私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

【特集記事】UNCHAINが好きな人にお勧めする楽曲・アーティストたち

【特集記事】UNCHAINが好きな人にお勧めする楽曲・アーティストたち

いつも私的名盤紹介にお越し下さっている皆様、お世話になっております。

管理人の@privategrooveです。昨年の年間ベストを更新して以来、
記事を書けずにおりました。まだまだ半人前、1/3人前位ではありますが、
研修医としての仕事が始まりまして、余裕がない状態が続いておりますので、
もうしばらく更新はゆっくりになるかと思います。

さて、今回の記事では、以前よりTwitterでも話題に上っておりました、
私の大好きな京都出身の4ピースロックバンド、UNCHAINの特集記事を
お送りしたいと思います。次回からは久々に通常のディスクレビューを
お届けできる予定ですので、ご期待下さい。

これまでのレビューはUNCHAINの項を参照して下さい。
彼らのサウンドは、ブラックミュージック、とりわけファンクやディスコ、
モータウン的なノーザンソウルからの影響が強く、
それに加えてAORやブルーアイドソウル、フュージョンやスムースジャズからの影響が
見られ、ここ2, 3年の邦楽でのブラックミュージックブームの、
先駆け的な存在であったと考えることも出来ると思います。

彼らはバンドとしての活動歴が長く、英語詞中心のミクスチャーロック色が
強かったインディー時代、充実した演奏とサウンドにも拘わらず、
売り上げでは中々振るわなかったAvex時代、そしてインディーに戻り、
カヴァーアルバム(椎名林檎/丸の内サディスティック)のヒットをきっかけに売り上げ、
知名度を伸ばしていった時期と、様々にサウンドを変えていきながら、ハイクオリティな
オリジナルアルバムを発表し続けています。

検索などでこの私的名盤紹介にお越し下さった方であれば、どなたにでも勧められる、
平たく言えば「最高にお洒落で、演奏も歌も上手い邦ロックバンド」と言えると思います。
特に、リードボーカル/ギターを務める谷川正憲の声は、デビュー当初から
Stevie Wondeに喩えられ、その他のメンバーのコーラスのクオリティも、
ロックバンドとは思えないほどに高いと言えるため、ロックファンというよりは、
ポップスのファンにとってみても、非常に魅力あるバンドと言えるでしょう。

そして、もう一点申し上げるのであれば、カヴァーアルバムでの選曲と、
リハーモナイズなど編曲のセンスが非常に高いことも、彼らの重要な特徴です。

カヴァーアルバムシリーズであるLove &Groove Delvery Vol.1-3では、
洋楽ではAOR~ウェストコーストロックの名曲、The Doobie Brothers/What A Fool
Believes、ディスコクラシックとして有名なThe Emotios/Best Of My Love,
Stevie Wonder/Don’t You Worry ’Bout a Thing, Donny Hathaway/This Christmas
など70s-80sにかけてのブラックミュージックの名曲を中心に、
90sではアシッドジャズの名曲、Jamiroquai/Virtual Insanity、
邦楽ではキリンジ/エイリアンズ、岡村靖幸/Super Girl, 宇多田ヒカル/Automaticなど、
彼らの世代ど真ん中な邦楽AORやR&Bを中心に、山下達郎/Ride On Timeや,
近年の作品ではファンクバンドのレキシ、90s邦楽ロックバンドとして
隠れた人気のあるMoon ChildのEscapeなど、様々な楽曲を、
ある程度の統一感を持たせながら取り上げています。

それらの楽曲の換骨奪胎が非常に上手く、彼らの懐の深さを感じさせます。

そういったわけで、元々UNCHAINがお好きなファンの方には、
「UNCHAINに似てるバンド、アーティスト」
「UNCHAINが影響を受け/与えている(と思われる、類似している部分のある)アーティスト」

の紹介として、この記事が役に立てば、これほど嬉しいことはありません。
厳密な意味で似ている、というよりは、UNCHAINの音楽の背景にあると想定できる
音楽を中心に纏めておりますので、その点はご容赦ください。

そしてUNCHAINを聴いたことのない方には、これを「逆引き辞典」として頂いて、
彼らのアルバムを聴いたり、ツアーに参加(名古屋のツアーには大抵行っております)して
頂ければ、と思っております。

では、どうぞ。
(この記事を「出発点」とできるよう、メジャーどころを多めに、一部はマイナーどころの
バランスとしました。また、既にカヴァーアルバムに収録されているアーティストは、
原則として除いています。
)

他にも思いつくアーティストなどいましたら、是非コメント欄やTwitterなどに書き込んで頂けると嬉しいです。
私も引き続き「掘り」続けていくつもりです。

【洋楽編】
①90sのUKソウル、アシッドジャズ~ネオアコースティック
Jamiroquai/Virtual Insanityのカヴァーがカヴァーアルバムに収録されています。
80sソウル~スムースジャズの定番の展開に、ジャズファンクからの流れをくむ
クラブジャズ的な軽いリズムがよく合っています。
それに加え、編曲上ソウルからの影響を強く感じられるポップスを幾つか挙げておきます。
●The Brand New Heavies

●Incognito

●Raw Stylus

●Workshy

●Samuel Purdey

●Swing Out Sister

②70sから80sにかけてのソウル~ディスコ
ディスコミュージックの、ミニマルでかつ削ぎ落とされたリズムパターン、ループ性の強い
コード進行は、彼らの楽曲に多く取り入れられています。
ファンク系のリズムでも、James Brown的なリズムと言うよりは、
より白人的なタイムの構築が多いように見受けられます。
●Average White Band

●Sly & The Family Stone

●Luther Vandross

●Maze feat. Frankie Beverly

●Remy Shand

③AOR, フュージョン
邦楽AORのカヴァーでは山下達郎、キリンジなどを過去のアルバムに収録していますが、
その同時代のアメリカのAOR、フュージョンにもUNCHAINが知らず知らずのうちに
影響されているであろう楽曲が多く見つけられます。
ギターソロは、初期の曲ではフュージョン的なフレーズが散見され、
フュージョン系ギタリストのオリジナルアルバムはチェックしておきたいところです。
ハードロック的なドラマティックな展開の曲は多くありませんが、
その中でもKenny LogginsのソロはAORとしての雰囲気を保ちながら、
高い熱量を感じさせるボーカルに、影響を感じ取れます。
●Bobby Caldwell

●Hiram Bullock

●Larsen Feiten Band

●Larry Carlton

●Grover Washington Jr

●TOTO

●Pages

●Kenny Loggins

●George Benson

④ディスコミュージック、ファンク
近年のDaft PunkやTuxedoに代表されるディスコミュージック再評価の流れの中で、
過去のディスコクラシックスを復習しておくことは、
UNCHAINの「踊れる曲のレシピ」を理解する最も簡単な近道と言えるでしょう。
●Cheryl Lynn

●Diana Ross

●Jocelyn Brown

●Tuxedo

●Prince

●Earth, Wind & Fire

⑤ポップロック、オルタナティブロック、ウェストコーストロック、フォークロック
ロックバンドとしてのUNCHAINを考える場合、リズム面ではファンクロックからの
影響を感じ取れますし、リードギターのテクニカルさ、リズムギターのカッティングの
心地良さはExtremeと比較することもできると思います。
その他、Maroon 5のカヴァーがあることからも、ブラックの影響が濃いロックバンドも
この項の中に入れておきます。日本で「ミクスチャーロック」と言われるバンドが
それに当たります。
そうしたバンドの背景にあるのは、70sのウェストコーストロックであり、
カヴァーアルバムではDobbie Brothersのカヴァーも収録されています。
さらに遡れば60sのUKロックやブルーアイドソウル、フォークロックへと繋がっていきます。
●Richie Kotzen

●Extreme

●The Zombies

●The Rascals

●5th Avenue Band

●kokomo

●Hall & Oates

●Mamas Gun

●Mutemath

●ikkubaru

●Young gun silver fox

●Wagner Love

⑥アメリカンプログレハード、ハードロック(に近いAOR)
ハイトーンを得意とする谷川正憲の巧みなボーカルとキャッチーなメロディーは、
Journeyのカヴァーをカヴァーアルバムに収録しているところからも分かるように、
ハードロック的なドラマティックさを楽曲に加えています。
●Boston

●David Roberts

●Dweyne Ford

●Lionville

⑦ニューソウル、モータウン、フィラデルフィアソウル
アルバム”Eat The Moon”は、過去最も多くのゲストを招いて制作されており、
(昨年コラボレーションアルバムも発表していますが)
タイトなリズムや複雑なツインギターの絡みはそのままに、
サウンド面ではソウル色の最も濃い一枚であったと言えるでしょう。
その背景にはStevieやDonny Hathaway、そしてMarvin Gayeなど、
ソウルの偉人たちの音があると言えますし、そういった楽曲は今でも色褪せぬ魅力を放ち続けています。
●Al Green

●Marvin Gaye & Tammi Terrell

●Four Tops

●Timothy Wilson

●Aretha Franklin

●Curtis Mayfield

●Leroy Hutson

●Leon Ware

●Eugene Record

【邦楽編】
①Jポップ、渋谷系、ネオアコースティック
椎名林檎や岡村靖幸、久保田利伸、キリンジ、米米Clubのカヴァーなどから分かるように、UNCHAINのメンバーにとって渋谷系前後の邦楽ポップスは、彼らの世代を考えても
非常に親しみ深い存在であったことでしょう。
90s後半から00sにかけてのJPOPを中心に選んでみました。
●Bonnie Pink

●朝日美穂

●SMAP

●Original Love

●Sing Like Talking

●Flying Kids

●Skoop On Somebody

●堂島孝平

●中田裕二

●平田志穂子(TVゲーム『ペルソナ4』OST)

②90s以降の邦楽ロック、ミクスチャーロック、ブラスロック、ファンクロック
デビュー後、初期はミクスチャーロックの文脈で捉えられていた印象がある彼らですが、
10年ほど前から表舞台に出始めたメロディックハードコア系のバンドで、
ブラックからの影響が濃いもの、現在でも活躍するファンクロック系のバンドなどを取り上げてみます。非常に演奏力の高いバンドが多いです。
UNCHAINとは兄弟的存在ともいえる、BRADIOもこのカテゴリーに入れておきます。
●ala

●the band apart

●Ivory7 Chord

●ACIDMAN

●BRADIO

●Scoobie Do

●Surface

●lego big morl

●Awesome city club

●Lucky Tapes

●Nona Reeves

●Keishi Tanaka

●Suchmos

③90s末以降の邦楽R&B, ソウル、アシッドジャズ、ファンク
宇多田ヒカル/Automaticのカヴァーから考えて、90s末のR&Bも彼らの重要な栄養分に
なっていることが想像されます。小室哲哉サウンドがその中心にあったJPOPが、
変化を迎えることになる激動の時代であり、彼らはその波を多感な時期に経験しているはずです。同時期にはアシッドジャズも邦楽に取り入れられ、アンダーグラウンドな
人気を博していたようです。
●Escalators

●ICE

●Phones

●スガシカオ

●MISIA

●Rammells

●森広隆

●DANCE☆MAN


④ニューミュージック、シティポップス、邦楽AOR、邦楽フュージョン
UNCHAINのメンバーが直接的に影響を受けてきたであろう90年代の渋谷系/JPOPの
背景には、アメリカンポップスを独自の形で消化し、邦楽ポップスとして育て上げてきた
ニューミュージック世代の活躍が背景にありました。
その同時代的には、インストゥルメンタルロック/ポップとしてのフュージョンブームが
あり、邦楽フュージョンのキャッチーさ、シンセの音の煌めきと緊張感あるキメも、
彼らのサウンドの中に息づいています。
●Casiopea

●ブレッド&バター

●安部恭弘

●松任谷由実


●竹内まりや

●Char

●ハイファイセット

●EPO

●角松敏生

●国分友里恵

●スペクトラム



しかしこうして並べてみますと、「単純に自分の好きな曲を並べただけ」のように
なってしまいましたが、それほどにUNCHAINのルーツとなっているであろう音が、
自分の好きなサウンドの核にあるものに近い、ということだと思います。

好きなアーティストが居たら、そのルーツをたどってみるという方法は、
新たな音楽との出会い方として、最も効率的で、かつ奥深いやり方だと思います。
皆様方が、ご自分の好きな音楽を辿って、さらに深く、音楽を楽しまれることを願うばかりです。ではまた。

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  1. 2017/05/03(水) 15:58:42|
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2016年度 洋楽私的ベストアルバム9+番外編

2016年度 洋楽私的ベストアルバム9
 
私的名盤紹介にお越し下さっている皆様、お世話になっております。
医師国家試験も片付きまして、近々研修のためのオリエンテーションが始まろうとしております。
休み中も旅行に行ったり新生活の準備をしたりと、思ったよりも忙しい毎日が続いておりまして、
更新が遅い状態が続き申し訳ありません。

では、引き続き張り切って洋楽編と番外編をお届けしたいと思います。
近年のフューチャーソウル/フュージョンとブルーアイドソウル/AORを
中心にしたラインナップとなっております。自信を持ってお勧めする9枚です。

どうぞ。

【作品一覧】
①Malibu/Anderson .Paak [Neo Soul, R&B]
②Still Waters/Breakbot[Chill Out, Disco, House, Techno]
③Stranger Heads Prevail /Thank You Scientist[Hard Rock, Progressive Metal]
④24k Magic/Bruno Mars[R&B, Black Contemporary, New Jack Swing]
⑤Yes Lawd! /NxWorries[Soul, R&B, Hip Hop]
⑥CWF/Peter Friestedt(feat. Bill Champlin, Joseph Williams)[AOR, Melodic Hard Rock]
⑦We Are King/King[Chill Out, R&B, Electronica]
⑧Velvet Portraits/Terrace Martin[R&B, Soul]
⑨Only You/Soweco[Blue Eyed Soul, AOR, Pops]


プレゼンテーション1 800

順位表1

【総評】
ブラックミュージック関連では、MJから80s末のブラックコンテンポラリー的な、
ギラギラとしたアレンジに90s的なメロディーの載った、ダンサブルでポップなR&Bとして、
近年稀に見る傑作であったBruno Marsの3rd④は、新たなポップスターの誕生を感じさせてくれます。
大衆にもマニアにも訴求力のある、昨年一番のアルバムだったように思います。
ハワイ出身のBrunoは山下達郎のファンでもあり、
来日の際にはOn The Street Cornerのアナログ盤を探していたということだそうです。

ネオソウルムーブメント以降のソウル、Dr.Dre以降のヒップホップからの影響を感じさせながらも、
Stevie Wonderの全盛期の傑作群を思わせる、ポップでタイムレスな魅力を放つ、Anderson Paakの4thソロ①は、
私にとってはD’Angello以上ともいえる衝撃を与えてくれた一枚でした。
このソロアルバムや、プロデューサーのKnxwledge(1988-, Glen Earl Boothe)とタッグを組んだNxWorries名義の⑤など、
Robert Glasper的なジャズ~ヒップホップなサウンドと、モータウンやスタックスのニューソウルから続いてきた
歌唱音楽としてのR&B/ソウルのサウンドが、高いレベルで融合したアルバムが徐々に出現するようになりました。

ビートミュージック然としたエレクトロミュージックとしての魅力を放つChance The Rapper、
90sのNative Tounge的なヒップホップや、はたまた80s的なスムースジャズ(M2)やフュージョン(M11)からの
影響が強く感じられるTerrace Martin⑧なども加えて、
新たなブラックミュージックの潮流を確かに感じることが出来たと思います。

ディスコ~ハウス、チルアウト関連では、フランス出身のBreakbot②が、
冷ややかで中毒性のあるサウンドを聴かせています。M6など古典的なディスコの構成をしたフックの曲でも、
シンセの音色などは現代的で、そのバランスが素晴らしいです。
同じくチルアウト的なシンセの音色が印象的なR&Bでは、女性3人組のKing⑦も良作だったと思います。
フューチャーソウルの定番なハーモニーとプログレ的な展開が、ありそうでなかったM11など、
頽廃的で浮遊感のあるサウンドで独特な魅力を放っています。
ネオAORやブルーアイドソウルの流れとしては、LA Projectと題して、
AOR不遇の時代であった00sに作品をリリースしたスウェーデン出身のギタリスト/プロデューサー、
Peter FriestedtによるユニットCWF(Bill Champlin, Joseph Williamsという豪華すぎるユニットです!)⑥が、
後期TOTOを思わせるような、古き良きアメリカンプログレハード~AORを存分に楽しめる一枚をドロップしています。
Michael McDonald在籍時のDoobie Brothers的なブルーアイドソウルや、
1st, 2ndの頃のTOTOのようなムーディーなAOR、Incognitoなどアシッドジャズの影響を強く感じる、
こちらもスウェーデン出身のバンド、Soweco⑨など、やはりネオAORの流れは北欧を
中心として盛り上がりを見せているようです。

少し毛色の異なるアルバムでは、King Crimsonの影響が色濃く見受けられながらも、
モダンで聴きやすいプログレメタルに仕上げたThank You Scientist③は、フォロワーの方にご推薦頂きました。
最近のプログレメタルでは、Animals As LeadersやProtest The Hero, Peripheryに代表されるような
Djentのリズム遊び的な展開と、複雑で艶消しなディストーションサウンドが流行していたと思います。
しかしながら、彼らの楽曲は非常にメロディアスでドラマティックな展開に満ち満ちていて、
かつてのDream Theaterを思わせる緻密なアンサンブルと、ホーンやストリングスを加えた多様なアレンジで、
極めて懐の深い一枚に仕上がっています。

Salvatore Marranoのボーカルも繊細で表現力に富んでいて、
M4など鋭いカッティングが心地良いファンク的なグルーブを見せる曲もあったり、
オブリガートのフレーズに民族音楽的なエッセンスを取り入れたりと、多彩な魅力を放っているバンドだと思います。傑作。

一昨年に引き続き、ブラックミュージック界隈では面白いアルバムが湯水のように出現し、
ネオAORの流れも定着してきた現状で、新譜を聴くのが楽しくて仕方ない状態が続いていることは、
本当に幸福なことだと思っております。

今年度はヒップホップ以降のブラックミュージックの深い学習と、
ヘヴィメタル~プログレでも新たなアルバムを発掘していきたく思っております。
ニューウェーブから続くオルタナティブロックや、プログレなど、
今までよりも深く追究していきたい音楽も数多くありますので、ブログのコメント欄やTwitterなどで、
皆様方からご教授頂けること、意見交換できますことを楽しみに致しております。

では、最後におまけ、番外編をどうぞ。

【番外編】(18枚に次いで聴いたアルバム達です)
①Awesome City Tracks 3/Awesome City Club[Pop Rock, Disco, AOR]
②The Still Life/平井堅[Pops, R&B]
③Love & Vice/Suchmos[Acid Jazz]
④Cloak/Jordan Rakei[Hip Hop, Neo Soul, Fusion]
⑤Paradigm Shift/Michael Janisch[Jazz Rock, Fusion]
⑥20世紀の逆襲/上坂すみれ[Pops, 歌謡曲, Disco, HR/HM, Alternative Rock]
⑦Zama City Making 35/Hi’ Spec [Japanese Hip Hop, Native Tounge]
⑧with time/UNCHAIN[Japanese Rock, AOR, Soul]
⑨I Will Be Waiting/William Sikström[AOR, Blue Eyed Soul]

プレゼンテーション2 800

シティポップ系のバンドからハイペースでリリースを続けているAwesome City Club①の3rdです。
1st, 2ndよりもさらにダンサブルでシンセの音の分厚いディスコ路線へと移っています。
キャッチーなメロディ連発の佳作。
久々の新譜となった平井堅②は、Pop Star以降のJPOP路線、バラードを中心とする楽曲たちから、
M1のようなかつての2 Step系R&Bも収録されていて、古くからのファンには嬉しいバランスの一枚でした。
ホンダのクロスオーバーSUV「ヴェゼル」のCMなどで一躍有名となったアシッドジャズバンド、
Suchmosのフル③は、Jamiroquaiのサウンドと比較されることが多いようですが、
楽曲によってはジャリジャリとした歪みのギターを中心として組み立てた
オルタナティブロック色の強い曲もあり、リズム隊の音は低域が太く重さがあって、個性が際立っています。
ファンクバンドがクラブミュージック的なアプローチをしているのではなく、
あくまでもロックバンドとしての形態、音作りにこだわりを持って居ることを感じさせます。
YONCEのボーカルの艶っぽさやか弱いファルセットも重要な魅力の一つになっています。
Hiatus Kaiyote系統のフューチャーソウル系SSW,
Jordan Rakei④の16年作はRichard Spavenのドラムスが素晴らしいです。
初期WRのような、ジャズロック的な混沌とした空気を残したMichael Janisch⑤、
歌謡メタルからディスコ、ニューウェイブ、テクノ、軍歌など、
さらに多種多様なサウンドが炸裂する個性満載な上坂すみれのソロ⑥。
SIMI LABのビートメイカーであるHi'Specのソロアルバム⑦はジャジーヒップホップで、
J Dilla, ネオソウル以降の粘り付くような、ドープなグルーブに満ちている。
ソウル/AORの影響が強い京都出身の4ピース、UNCHAINのニューアルバム⑧は、
M3などエレクトロな編曲にチャレンジした新境地な一枚。リメイクアルバムで見せたすっきりとしたアンサンブルへ。
そしてスウェーデン勢のネオAORでもう一人、William Sikström⑨のソロは、
宅録感満載な一枚で、PagesやDavid Robertsのカヴァーが収録されていることからも分かる通り、
Jay Graydonや彼のプロデュースしたAl Jarreau(ご冥福をお祈りいたします)のソロアルバムを思わせます。
Ole Borudに続く北欧AORの新たなシーンを作り出してくれそうで、今後が楽しみ。

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  1. 2017/04/01(土) 22:10:11|
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2016年度 邦楽私的ベストアルバム9

私的名盤紹介にお越し下さっている皆様、お世話になっております。
管理人のSystematic Chaos(@privategroove)です。

2016年もいよいよ終わりが近付いて参りました。
年末にはSMAPの解散報道もあり、訃報としてはGeorge MichaelやMaurice White, ELPのKeith Emerson、
そしてPrince、David Bowieというあまりにも偉大な2人、
邦人では私の大好きだったギタリストの松原正樹さんや村田和人さんなど、多くの優れた才能を失った一年でありました。

自分にとってはMichael JacksonやStevie Wonderと共に、
最も幼少期から聴かされてきたEarth, Wind & Fireや、Wham!への思いは並々ならぬものがありましたし、
SMAPの初期の音楽は、自分の中での邦楽ポップスの評価軸の中心にある、血肉化したサウンドでした。

彼らのステージを見たり、新譜を聴くことはもう出来ない訳ですが、
その優れた作品群はアルバムや映像作品という形で、これからも聴かれ続けていきます。
音楽に限らず言えることだと思いますが、大衆文化/芸術の一部としての音楽は、
その人の人生の様々な場面と共に記憶されていくもので、
その人の思い出の一部として生きていくものです。
山下達郎はかつて、「自分の作った音楽は世に出た瞬間から自分のものではなくなる」
という発言をしていましたが、とても端的に、そのことを表現していると思います。

最近、手に取ることが出来る形で音楽を所有することの意味を考える機会が多くなりました。
CDの売り上げは落ちていく一方で、LPの生産量が上向きとなっているとのことですが、
音楽をパッケージの形で所有する、という行為は、音楽を自分の一部として
「所有する」「内面化する」行為であるとも言えると思います。

そうした内面化、収集することと分類することによる個性化の過程は、
音楽の制作態度としてはDJ的と考えることができ、
この構造は90sの日本の「渋谷系」の文化の中にモデルを見ることができます。

サンプリングが極端な例ですが、録音技術の発達に伴って、
「ある時代の音楽の特徴、テクスチャーを、意図的に取り込む」といった行為のハードルが年々下がって来ています。
そのことは、文化の時代、地域による隔たりを無くし、全ての音韻/音響情報が同一平面上に並べられることを意味します。
(こうした流れは、インターネットの普及なども含め、ポストモダン的な発想と類似している、と言えるのかもしれません)

戦後、ロック、ポップス、ジャズをはじめとする大衆音楽の中心となる流れは、
アメリカの(特に黒人の)音楽をルーツとして形成されてきました。
録音技術とスタジオ文化の成立、マスメディアの発達に伴う音楽の、他の芸術からの分離は、
特に日本ではこの戦後から60年代、70年代に掛けて確立していきました。
この、いわばポピュラー音楽が大衆文化の中で特別な位置を占めていた時代には、
過去の音楽と、コンテンポラリーな音楽の相対化は比較的明確に行われ、
その繰り返しで様々な派生を生み出してきました。

ところが、過去の音楽の特徴を取り入れて再構築する、というシミュレーショニズムが、
もはや当然の行為として認識され始めると、音楽的なオリジナルとは何か、何が優れているのかという価値観は、
これまで以上に細分化されていきます。
このことは、(パッケージメディアの衰退、経済的な問題、インターネット普及による娯楽の無料化、多様化などを考慮しても)
日本のヒットチャートの現状と無関係ではないと思います。

本来は音楽に優劣などあるはずもなく、個人に合うか合わないかの問題なのですが、
この状態は音楽の、マニアの私物化を助長してしまうおそれがあります。
音楽を検索し見つけ出すだけの労力を支払い、パッケージを購入する人はほんの一部で、
多くの人は「その時代のコンテンポラリーな優れた作品」に触れることが難しい状態となってしまいます。

つまりこの構造は、我々リスナーにも大きな影響を及ぼしているのです。
「無数に生み出され、瞬間のうちにアーカイブされ、キュレーションされていく音楽の中から、
何を、どのように選び取るのか」という命題を真剣に考えていくことが、
これからの音楽を見渡していくうえで必要な行為となっていくということでもあります。

かつては、ラジオやTVなどのマスメディアがその役割を果たしてきましたが、
私自身Twitterやブログで情報を(大した情報でもないのですが)発信しているように、
今では無数の情報発信源があり、それを自分で選び取ることが出来るようになりました。
そうした意味で、私たちの世代は恵まれていると考えることも出来ると思います。

自分が歳を取った時、今棚に収められているCD/LP達を手に取り、振り返る日が今から楽しみです。
そして、10年後、20年後の日本の、世界の(自分の場合は主にアメリカですが)音楽がどのようになっているか、
想像するだけでわくわくしています。
音楽は、いつも私たちの人生と共にあります。

前置きが長くなってしまいましたが、
ここからは2016年度のベストアルバムをご紹介したいと思います。
医師国家試験が迫る中、時間的にも余裕がない状態ですので、
ランキング形式ではなく、総評という形を取らせて頂きます。
邦楽、洋楽でそれぞれ9枚ずつを選出させて頂きました。
では、どうぞ。
(今回の記事ではまず邦楽の9枚のみを掲載しております。洋楽につきましては鋭意執筆中ですのでご期待下さい。)



2016年度 邦楽私的ベストアルバム9

【作品一覧】
①good morning/藤原さくら[Pops, Country, Jazz Vocal]
②Neogene Creation/水樹奈々[Pops, Heavy Metal, Pop Rock, Symphonic Rock]
③SUPERFINE/冨田ラボ[Neo Soul, R&B, Hip Hop, Fusion, AOR ]
④What's A Trunk?/ Keishi Tanaka[Pops, AOR, Soul, Fusion]
⑤Fantome/宇多田ヒカル[Pops, R&B]
⑥Sphere/WONK[Fusion, Jazz, Neo Soul]
⑦The Last/スガシカオ[Funk, Pops, AOR]
⑧formula/Cicada[R&B, Hip Hop, Acid Jazz, Funk, Ambient]
⑨4YU/さかいゆう[Pops, AOR, Soul, R&B]


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順位表1


【総評】
音楽のトレンドの変化は、世代の入れ替わりの周期に合わせて変化していくと私は考えており、
「ゆとり世代」と表現される私たちは、歌謡曲から邦楽ポップスが誕生してきた世代の子供たちが多いのではないでしょうか。

私の両親はいわゆるバブル世代で、幼少期に親しんだ音楽の多くは洋楽、
特にAORやブルーアイドソウル、ファンク、ジャズ/フュージョン、ディスコミュージックなどの
黒人音楽に強い影響を受けたものでした。

そして、70s後半から80sにかけて、いわゆるニューミュージックの誕生を担ってきた世代は、
「時代の流行の音(≒アメリカ/イギリスのポピュラー音楽)をいち早く発見し、
そのエッセンスとなる部分を厳選して取り入れ、自分のものとして昇華する」という能力において、
非常に秀でていたのだと思います。
しかし、当時のアイドルソングの多くや、チャートで上位を占める音楽は、歌謡曲/演歌の影響が色濃く残っており、
そうしたニューミュージックの存在は、若者に支持される傍流としての存在に留まっていたようですが。

そして、ここ数年間の邦楽ポップスやロックを聴いていて感じるのは、
私とほぼ同世代のミュージシャン達が、この「ニューミュージック世代的なセンス」を
根底に持って居るのではないか、ということです。

この分かり易い例としては、去年のベストアルバムで掲載したceroのObsucure Rideがあるでしょう。
DやKendrick Lamarなど、ブラックミュージックの最近の流行の音を、ほぼリアルタイムで取り入れながらも、
邦楽ポップスらしい美しいメロディや、彼らならではのルーズなグルーブ感と合わせて、独自の音楽に「昇華」させていました。
重要なことは、このサウンドの「換骨奪胎」の上手さということにあり、
レアグルーブ再評価の時代に陥りがちであった、発掘してそれで終わり、ということに繋げないことです。
しかし、何度も強調していますように、「新しい」音楽だけが良いもので、
伝統的なものを生み出すことは無価値だ、と言っているのでは断じてありません。

とにかく、長い間邦楽ポップスに興奮できていなかった私にとっては、
ここ数年間、優れた才能が次々と出現し、それがほかならぬ同世代の方々であることを心から誇りに思っていますし、
新譜を聴くのが楽しくて仕方がありません。

少し長くなりましたが、選出した作品についてです。
これだけ新しい邦楽ポップスの傾向についてお話しておきながら、
ベテランの作品が多いのはどうかご容赦頂ければと思います。


弱冠20歳にして、圧倒的な円熟味を見せる藤原さくらの1st①は、
Norah Jones的なジャズボーカルの素朴さ、フォーキーな暖かみのあるサウンドだけでなく、
楽曲によって共鳴の量や位置、フレーズの後ろの調節の上手さなど、
歌をコントロールする能力が非常に高い印象を受けました。
トラックとしてはM4 maybe maybeがお気に入りです。フックの美しさはウェストコースト的で、
テンポ以上のドライブ感があります。JPOPという視点では、これが今年の最高傑作なのではないでしょうか。
あまりにも若く、とんでもない才能が出現してきたという印象です。これからの活躍がとても楽しみです。

新譜が出る度にレビューしており、FCにも所属している水樹奈々②は、
甲子園でのライブ(参加してきました、雨が凄かったです)で披露された、
M2STAND UP!のために制作を決めたということだそうで、前作から短い期間でのリリースとなりました。
生演奏によるトラックが増えており、定番となりつつある佐野康夫(Dr), 須永和弘(B)のリズム隊や、
玉田豊夢(Dr), 山本陽介(G ex OLDCODEX), 青山秀樹(Dr, 青山純の長男, Babymetal, Jam Projectなど),
増崎孝司(G), 種子田健(B)など、若手から脂の乗り切った中堅~ベテランまで、
優れたスタジオミュージシャンが数多く参加しています。

M2などクリアなアンサンブルの曲、M1からバラードを持ってくるなど、
JPOPのアルバムとしての作りへと変化を感じます。
M1でも門脇大輔のストリングスは音数を絞り込んでいて、サビ前など重要なところで
ポイントを突いたフレーズを連発していて、素晴らしい働きを見せています。
玉田豊夢の反響の少なく低音の豊かなドラムスと、ベースの音量も大きめにミックスされているため、
重厚なグルーブを意識してアレンジされています。
こうした傾向も今までの彼女の楽曲では見られにくいものでした。
M2の声の明るさやファルセットの伸びのよさ、力強いチェストとの使い分けと、
水樹奈々のボーカルの上手さやリズムに対する抜群の安定感が際立っています。
ブラスアレンジを前面に出し、タムを絡めたリズムパターンでサンバを取り入れたイントロが印象的な
高速フュージョンのM5は、Next Arcadiaの頃から続くElements Gardenらしいゴージャスな編曲の一曲です。
リズムチェンジの多さやキメの難しさなど、ライブでの再現が楽しみで仕方ない曲です。
吉木絵里子作曲のM7は、純潔パラドックスから続く東洋的なメロディを中心に構成されますが、
こういう曲もアコースティックで、レイドバックしたアレンジで聴いてみたいというのが私の思いです。
M8のような音域のバラードも、以前より多重録音のコーラスを多用したアレンジで、
メインのボーカルに対して2声でのハモりを随所に置いているのが変化を感じます。
しかし、高音を張ったりビブラートが炸裂するラストサビの直前では、
12, 13年前のALIVE & KICKIN’の頃のような、透明感を失わない無垢なトーンになっていて、切なさを感じさせてくれます。
かといって、矢吹敏郎Pro時代の面影を強く残す展開のM12や、
適度にアイドルポップスの頃の可愛らしさを意識したボーカルが聴けるM13では、
1stや2ndの、打ち込みポップスの頃よりも厚みのある端正なグルーブがあってグレードアップしています。
ファンならば正視できないであろうPVが強烈な!!M15を聴いていると、
もうそろそろ、奈々さんも私生活で幸せになっていくのだろう、という気持ちになります。
ライブであってもメディアに出る際にも、如何なる時にも一貫した態度で真摯にファンに向き合う水樹奈々は、
プロフェッショナルの中のプロフェッショナルなのだな、と今一度噛みしめています。

予想通り!物凄く長くなってしまいましたので、ここから巻きで参ります。

アレンジャー/プロデューサーとしてキリンジ、MISIA, 中島美嘉、平井堅、椎名林檎、
bird,Bonnie Pink, Crystal Kay, 坂本真綾など数え切れないほどのアーティストをヒットへと導いた、
冨田恵一のソロプロジェクトである、冨田ラボ③の5th
正に前書きで延々とお話しした、ヒップホップソウル/ネオソウル以降の「現代のブラックミュージック」を
担うアーティストを多数迎えた、彼としては珍しくアグレッシブな一枚に仕上がっています。
SuchmosのYONCE, ceroの髙城晶平、never young beachの安部勇磨、水曜日のカンパネラのコムアイなど、
それぞれのルーツに近しいと思われるものを挙げていけば、
90sのアシッドジャズ、DやRobert Glasper, Hiatus Kaiyoteに代表されるネオソウル以降のブラック、
はっぴいえんどなどの日本のニューミュージック、チルアウトやチルウェイブ、アンビエントなどの電子音楽、
ということになると思います。
様々なバックグラウンドを有する若手を、冨田恵一ならではのサウンドで、多彩な楽曲に仕立て直しています。
M1ではラップ的な譜割りにメロディを載せた作りであったり、
M9ではモダンなリズムパターンの太いシンセファンクに、MJ的な80sなボーカルを組み合わせたり、
また藤原さくら参加のM6はフォーキーでこじんまりとしたリズム隊とアコギに、
室内楽的なオーケストラの密室間のある音とジャジーなハーモニーを組み合わせた鉄板のパターンです。
坂本真綾参加のM4では、YMO譲りなシンセの中華メロディと透明なボーカルの組み合わせで、
幻想的な一曲に仕上げています。キリンジの堀込高樹による歌詞の、
複雑な感情を描き出す歌詞の懐の深さも素晴らしいです。
サビのコード進行やコーラスワークは、冨田恵一の得意とするメロウなサウンドで、AOR色の強い一曲。
The InternetやLove Experimentのような、パターンミュージック~フューチャーファンクのテイストが強くビートの強いM7は、
緊張感のあるファンキーなアンサンブルを堪能できます。
滑らかで優しくも、強い芯のある城戸あき子のボーカルは、この曲を適度にJPOPに昇華させる役割を果たしています。
現在の邦楽ブラックミュージックのトレンドを、最も洗練された、聴きやすい形で提供し、
かつヒリヒリとした緊張感を失わずに組み立てる冨田恵一の技量には本当に感動させられます。

ソウルやスカの影響が色濃かった邦楽ロックバンド、riddim saunterのVo/Gであり、
現在はSSWとしてソロ活動をしているKeishi Tanaka④の3rdフルアルバム
バンド時代はアコースティックサウンドを中心として、疾走感のあるメロディックハードコアに仕上げており、
モータウン的なフレージングが散見されるベースラインや滑らかなストリングスで豪華な音に仕上げていました。
今作は、ゲストにクラブジャズ~フュージョンバンドのfox capture planを迎えた緊張感あふれるキメが堪らない複雑なM7や、
ブラスロック~ソウルですっきりとしたバランスのM1、
歌謡的なメロディとソウルフルなコーラス、スカ的なホーンを合わせたM2、
朗々とした中高音のロングトーンが伸びるレゲエのリズムパターンとジャジーなハーモニーを合わせたM5など、
様々なスタイルのAORを楽しめます。フィリーソウル的なストリングスとキメの多いフュージョン寄りのリズムパターンで、
元々ロックバンドのフロントマンらしいスピード感のあるトラックに仕上がっているM10が白眉です。
ファルセットの表現など、ボーカル面での成長も楽しみです。
元ロックバンドのフロントマンということでは、椿屋四重奏の中田裕二がソロで優れた
歌謡~ニューミュージック寄りのシティポップを作り出しているように、彼もまた注目していきたいです。

オリジナルアルバムとしては実に8年ぶりとなる宇多田ヒカルの6thフル⑤は、
前作のHEART STATIONで自身による作詞作曲&編曲を務めた流れが踏襲されており、
さらに内省的な空気が強く漂う一枚になっています。
これまでの作品には少なかったゲストも多く迎えており、古くからの友人でもある椎名林檎や、
音楽レーベルTokyo Recordingsの代表を務めているR&B系シンガー/プロデューサーの
小袋成彬(1991-, 柴咲コウ、Keishi Tanaka, OKAMOTO’s,水曜日のカンパネラ, Lucky Tapesなど)、
新進気鋭のヒップホップMCであり、国内勢では5lackやZeebraなど、
海外勢では昨年新譜を出したFrank Oceanなど客演の多い KOHH(千葉雄喜, 1990-)が参加しています。
1stの頃のジャジーなNJS~ヒップホップソウル+JPOPのサウンドは影を潜め、
ブラック色の強いM6などでも、ラップ的なメロディーで細かくグルーブを規定していく作りになっている点など、
モダンにアップデートされている感があります。

M1は艶消しなアレンジでありつつ、EDM的なサステインの短いシンセのリフを配置して、
短いメロディーを積み重ねてトリッキーな作りになっています。新傾向の音だったといえるでしょう。
椎名林檎とのデュエットM4は、リズムでの遊びは少なくメロウな一曲で、
歌詞やPVから察するに禁断の愛というのがテーマになっているようです。
母である藤圭子への思いを歌詞にしたM3は、弾き語りを中心として後半からリズム隊が入ってくるシンプルな構成、
シンプルなコード進行にして、過去のLettersの歌詞と対応するような内容となっています。
M7に関してもそうですが、意表を突いたアプローチはゲストを迎えた曲で行い、
それ以外の曲に関しては、複雑にし過ぎずに、より日本語を際立たせようという傾向が強く感じられます。

モノクロで敢えてピントをずらして撮影したジャケットが「喪」を感じさせるように、
それと対応して彼女のサウンドは暗く、深い音となり、その暗さがこのアルバムの根底に流れているように感じられます。
そうしたサウンドをバックにすることで、曲ごとに異なる様々なテーマを歌ったとしても、
そのテーマの実態、現実の姿に迫り(=フォーク的なアプローチ)過ぎることなく、
あくまでも実体のない虚像(=Fantome)を描き出すことによる、
逆説的な説得力が楽曲に生じてくるのであろう、と私は思います。
彼女の哲学はより深く内省的なものとなり、一般的な日常を手に入れることにより、
さらに普遍性を手に入れつつあるという点で、表現者としてさらに一つ、高みへと昇っていったのだということを、
このアルバムを聴いて強く感じました。

Robert Glasper以降の、ジャズとヒップホップ~ネオソウルのクロスオーバーを主眼としたバンドとして、
Hiatus Kaiyoteにも迫る高い演奏力とJ Dilla的なヒップホップのエッセンスが詰まった
トラックメイキングで徐々にその名を知られつつあるWONK⑥の1stフル
ゲストには山下洋輔や渡辺香津美との共演、日野皓正Special Quintetのメンバーとしても活動し、
バークレーに留学していたジャズドラマーの石若駿(1992-)を迎えています。
トラックは打ち込みによるデモをドラマーのHikaru ARATAが作り、
それを元にリハーモナイズしたり生演奏に組み立て直すという形を取っているため、
リズムの主張が強く、ベースの音は低域の厚いトーンになっています。
これからの活躍に期待したいグループですが、エレクトリック期のマイルスが好きなメンバーの
嗜好をより反映したような、ジャズロック的なアプローチの作品を期待したいところです。

続いてベテラン勢では私がリアルタイムでファンであり続けているスガシカオ⑦の10thフルです。
ここ5, 6年はリリースが滞りがちだった彼ですが、
今作では原点回帰としての初期のサウンド=CloverやFamilyの頃の様な、
ヒリヒリとした倒錯的なエロティシズムとフェティシズムに満ちた歌詞世界と、
SmileやTimeの頃のポップさとAverage White Bandのようなフュージョン寄りのファンキーなグルーブが
絶妙に入り混じった上質なJPOP時代のサウンドがバランスよくブレンドされた一枚。
小林武史Proによる繊細で作りこまれたアレンジも、過度にスムースな音にはなっていませんし、
前作、前々作のファンク~ファンクロック路線よりもポップに仕上がっています。
マルチプレーヤーでもある本人が多くのパートをこなしていますが、
スタジオミュージシャンとしてはRIZEの金子ノブアキ(Dr)、玉田豊夢(Dr),
彼のツアーメンバーであるFamily Sugarの一員であった森俊之(Key)、
沼澤尚(Dr, Sing Like Talking, Theater Brook, 臼井ミトンなど) ,松原秀樹(B)や、
坂本竜太(B, 水樹奈々)、屋敷豪太(Dr, Simply Redなど)などが参加しています。
アコギ弾き語りで始まるM1は、後半に向かうにつれて音が分厚くなっていき、
小林武史の得意とする編曲でゴージャスに始まります。
AOR路線のジャジーなM4や、Funkadelicに収録されていそうな
ゴリゴリでダンサブルなファンクM5がお気に入りです。
M7の歌詞はまさに、初期のスガシカオの「汚さと生臭さ」で満ち満ちいて、
誰にも気づかれずに深夜一人で聴きたくなるような仕上がりです。
決して奇を衒ったことをせず、これまでのスタイルを再構築してバランスよく作り上げているという点で、
そのサウンドや歌詞の「いびつな部分をきれいに纏め直している」という、
奇妙で、最高にポップでドロドロとした一枚。
僕たちの待っていたスガシカオが遂に帰ってきた、そう言えるようなアルバムだと思います。

引き続いてブラックミュージック系の若手ではCicada⑧のメジャーで発売された2ndフル
を挙げたいと思います。
2012年に都内で結成されたヒップホップ~エレクトロ/アンビエント~アシッドジャズ系の
サウンドを作り出す4人組バンドで、城戸あき子の甘く無機質なボーカルは90s後半から00s初頭にかけてのR&B,
とりわけbirdやACOを思わせるようなテイストがあり、
近年流行のブラックミュージック(フューチャーソウル/ファンクと呼ばれたりします)をそのまま追っているというよりは、
よりアンビエントやドラムンベース的な電子音楽からのアプローチを生演奏に落とし込んでいるような印象があります。
M9のようにThe RootsのQuestloveが得意とするようなブレイクビーツのパターンとチルなシンセを組み合わせたり、
M2, M11のようにラップを中心とした90s的なレイドバックしたグルーブがそのサウンドの中核にあります。
M5はスクエアなハットとクリスピーなスネアが印象的なリズムパターンとエレピのループを組み合わせて、
極めてミニマルな構造を中心に作られていますが、サビはスムースジャズ~AORな構造になっていて最高。
ボーカルにはオートチューンを強めに掛けてケロらせることで、
ローファイなシンセやサンプリングのストリングスとのマッチングを良くする手法が用いられていて、
これもボーカリストの声質を上手く利用しています。一聴するとボーカロイド的にも聞こえますし、
昨年ベストアルバムの中で紹介したtofubeatsと(あちらがアイドルポップスを基礎として作っている部分で大きく異なりますが)
編曲の方向性は近いと思います。ボイスサンプルのピッチを弄ってリードシンセ的に活用したM12は、
Escalatorsを髣髴させる軽快なアシッドジャズですが、盛り上げ方が非常に上手く、
楽器の抜き差しで展開を作っていくクラブミュージック的な手法が根幹にある所が、
suchmosとの決定的な違いとなっています。
ポエトリーリーディングに近いフロウとポップなフックとコーラスを合わせて野望を語るM13を聴いて、
「上質な音楽をドロップするニューフェイス」を、同世代の私もしっかりと掘り起こしていきたいと思います。佳作。

もう一枚、メジャー系のJPOPではさかいゆう⑨の4thフルです。
先ほど述べたスガシカオ(かつて所属していました)やスキマスイッチ、秦基博など、
オーガスタ所属のSSWには良質なポップスを作る職人的な人が多いイメージですが、
その中でもさかいゆうはモータウンやフィリーソウル、ディスコなどブラックからの影響が最も濃いSSWの一人だと思います。
伸びやかで癖のないハイトーンやキラキラとしたファルセットなど、歌の魅力もずば抜けていると思います。
今作ではプロデューサーに蔦谷好位置(1976-, YUKI, Superfly, 平井堅、いきものがかり、JUJU, back number, 三森すずこなど)
を迎えています。芳醇な生のホーンとフュージョン的な展開、
モダンなR&Bの打ち込みビートに、自身によるアコピのソロをフィーチャーしたM1から圧倒的に難しいメロディの連発です。
ホイッスルボイスを自在に操るアウトロのフェイクは凄まじい。
80s的なグルーブとパワフルなハイトーンが堪らないM2は、
あらきゆうこ(Dr, コーネリアス、くるり、スガシカオ、秦基博など)の端正な16ビート、
タムの絡んだフィルがグルーブの肝になっています。
M3は3ピースで8ビートのピアノロック、M4は4ビートで石若駿(Dr), 種子田健(B)のリズム隊を迎えての
ライブ感満載な曲が続きます。Super Butter Dogの竹内朋康のギターをフィーチャーしたM5、
Nona Reevesの西寺郷太が作詞、編曲にはAvec Avec(chay, 牧野由依、三浦大知など)を迎えた打ち込みポップスM6も、
非常に音数を絞ったシンプルな作りにもかかわらずアルバムの中で異彩を放っています。
今作の中で最もフュージョン的なキメが多く不協和度の高いサビで掴むM8、
田中義人(bird, Mondo Grosso, スガシカオ、塩谷哲グループ、中島美嘉など)と
石成正人(平井堅、久保田利伸、スキマスイッチ、JUJU、古内東子など)のツインギターをフィーチャーしたM10は,
Earl Klughも顔負けなアウトロが鳥肌もの。
最後を飾るM12は蔦谷好位置による滑らかでドラマティックなストリングス、松原秀樹(B), 玉田豊夢(Dr)の
へヴィーなリズム隊が合わさったバラードで、ソウルフルないきものがかりといった感触。
現代のJPOPとしてすべての面で最高レベルの完成度とバランスを保った一枚だと思います。傑作。

ボーナスディスクはこれまでに収録されたカバー曲集となっています。
MISIAのつつみ込むようにではエレピでの弾き語りでファルセットの巧みさが楽しめ、
Original Loveの接吻のカヴァーでは田島貴男の太く響くチェストボイスとはまた一味違った甘いトーンがよく合っています。
山下達郎のPaper Dollではカッティングのリフをエレピで、
グルーブはPoppin Timeセッションに近いジャジーな解釈で演奏されています。
同曲はBillboardでのライブ(2015.09.12)を収録したものですが、Go Ahead!の頃の達郎のバックを務めていた
岡沢章(B)のベースソロに、田中義人(G)のギターソロも聴くことが出来ます。
そのほか、槇原敬之/遠く遠くでは村上秀一(Dr)が参加していたりと、
とてもボーナスディスクとは思えない高い水準の曲ばかりです。是非とも初回盤を手に入れて下さい。 

~【2016年度 洋楽私的ベストアルバム9+番外編】に続く~

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  1. 2017/02/17(金) 21:43:03|
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おすすめ書籍 その4

おすすめ書籍 その4

いつも私的名盤紹介にお越し下さっている皆様、お世話になっております。
管理人のSystematic Chaos(@privategroove)です。

ディスクレビューの方の更新が中々出来ておらず申し訳ございません。
Twitterの方でNew Arrivalをもうそろそろ更新できると思います。

今日は、最近手に入れましたおすすめ書籍を3冊ほどご紹介したいと思います。

まずは、
以前紹介しましたDisc COLLECTION FUSIONシリーズの関連書籍です。

①Disc Collection AOR/中田利樹[シンコーミュージック]

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COOL SOUNDというレーベルでAORの隠れた名盤を中心にリイシューしたり、
数々のアルバムのライナーノーツを執筆していることでも知られている中田利樹氏の監修のもと、
AORの名盤800枚がフルカラーで収録されています。
前半ではTOTO~AIRPLAY, Boz Scaggs, Bobby Caldwell, Donald Fagen, Michael McDonald,
Gino Vannelliなどのビッグネームの特集
として、バイオグラフィーと共にほぼ全作品のレビューが掲載されています。
これからAORを聴きたいという方は、この前半部分だけ読んでも十分な情報量だと思います。
その他は、サウンドやバックグラウンドにある音楽、時代ごとに分類して非常に見やすい構成になっています。
ポップロック寄りのもの、メインストリーム(アメリカンプログレハード方面を含む)、
SSWもの、ソウルシンガーのソロアルバム、ブルーアイドソウル、フュージョン系のミュージシャンが出したAOR指向の作品、
ハワイアンAORやCCM(contemporary christian music)
など他の書籍ではなかなかみられない章立てもあり、
New Streamとして00s以降のNeo AORの特集も組まれており、非常に読み応えのある内容です。
かといって奇をてらった選盤ではなく、定番はほぼ全て収録されていますし、
新しい作品もAORの枠から大きくはみ出ないものを紹介していますので、
ベテランのファンの方も楽しめる内容だと思います。
超、おすすめです。暇な時に読んでいます。

②フュージョン・ミュージシャン150人の仕事/熊谷美広[シンコーミュージック]

フュージョンミュージシャン150人の仕事

以前紹介しましたDISC COLLECTION FUSIONと同じ著者による1冊で、
こちらはスタジオミュージシャンにスポットを当てて、フュージョンの歴史を振り返ることのできる本です。
今後ブログの記事を書いていく上での参考資料にしようと考え購入しました。
ギタリスト、ベーシスト、ドラマー、キーボーディストとパートによる章立てで、
各ミュージシャンの生い立ちから主な参加作品、演奏スタイルの音楽的特徴、関連のあるミュージシャンなど、
一通りの情報を素早く得ることができるようになっています。
こちらは、既にDISC COLLECTIONの方を持って居る人のための「資料集」といった趣が強い一冊です。
索引ではアルファベット順でのスタジオミュージシャンの検索のほか、
スタジオミュージシャン参加作品(計6000枚)のアーティスト名検索も可能ですので、
スタジオミュージシャンを調べる以外にも、アルバムから参加ミュージシャンを検索するのにも一役買ってくれます。
知る人ぞ知るミュージシャンも多数紹介されているのも素晴らしいですが、
電化Miles~Weather Reportのジャズロック~フュージョン時代、
そしてインストゥルメンタルミュージックとしての印象が強い王道なフュージョンの作品にとどまらず、
(Jaco Pastorius, Joe Zawinul, John Mclaughlin, Steve Gadd, Dave Grusin, Joe Sampleなどなどほんの一部ですが)
それ以降のAORやブラックコンテンポラリーに多く関わったスタジオミュージシャンも
豊富に取り上げられている(David Foster, Paul Jackson Jr., Nathan East, Will Lee, David Paich, Vinnie Colaiutaなどなど)ので、
フュージョンのみならず、それに影響を受けたポピュラー音楽を好む方にもおすすめ出来る一冊です。
マニア向けな一冊。

③SOUL definitive 1956-2016/河地依子[ele king books/P-VINE]:

Soul definitive

こちらは、以前からR&Bやクラブミュージック、アシッドジャズやソウル(レアグルーブ多し)などの
再発を積極的に行っているPヴァインから刊行された新しいソウルミュージックの書籍です。
1959年生まれの筆者はP Funkに関する書籍を執筆していたりするライターの方のようで、
1956年から始まり今年に至るまでの、「ブラックのポピュラー音楽全体」の歴史に、
ディスクレビューという形で迫ろうという気概を感じられる
一冊となっています。
他にも、同様のシリーズでTechno definitive, House definitiveなどあるようで、それもとても気になっています。
最近読んだ本の中ではこれが一番よく纏まっているといえると思います。
フルカラーでジャケット写真も大きめに載せられており、とても見やすく整理されていて、
50sではドゥーワップの系譜からヴォーカルグループ、サムクックも、テンプスなどは勿論紹介されています。

モータウン/スタックスへの流れ、JB, スライやEWFなどファンクの隆盛に向かっていく60s-70sでは、
Isley Brothers, Ohio Players, P-Funk/Parliamentなどの濃厚なファンク、
スタイリスティクスやO'Jaysやヴァンマッコイのようなフィラデルフィアソウル、
マーヴィンやダニーハサウェイ、スティービーもしっかりと紹介され、プリンス、MJもそれぞれにページが割かれています。

多くの類書はこのあたりの時代で終わってしまうものが多いのですが、
80s以降に関しても、Luther Vandrossなど正統派に加え、AOR~フュージョンに近いサウンドのChaka KhanやAnita Baker,
モータウンではDebargeなど、ディスコミュージックでもChic, Sister Sledge, Emotions, Cheryl Lynnなど王道から
Juniorのような一発屋まで収録されていますし、先日亡くなってしまったKashifのようなブラコンもあります。

90sではTeddy RileyによるNew Jack Swingにもかなりのページを割いていますし、
その他のLA & BabyfaceやJam & Lewisなどの優れたプロデューサーが関与した作品群、
Whitney Houstonのようなディーヴァの時代、Mary J. BligeやUsherのような実力派シンガー、
TLCやEn Vogue, SWV, Brownstoneなどのガールズグループなどなど、R&B全盛期の熱気が収められています。

90s後半以降は、D'AngeloやMaxwell, Lynden David Hall, Erykah Badu, Rahsaan Pattersonなどの
ヒップホップソウルからネオソウルへと移り変わっていく時代が描かれています。

00s以降では夭折が悔やまれるAaliyah, 今や大スターとなったR.Kelly, オーガニックソウルのJill ScottやIndia Arie,
ネオソウルにフィリーソウルの香りが強いMusiq Soulchild, メロディーメイカーとしての優れた才能を発揮したNe-Yo,

さらに、近年ではエレクトロ色の強くなった現代的なR&BではRiahnnaやAkon, T-Pain, Pharell Williams,
ジャズとヒップホップ~ネオソウルのサウンドの現代的融合を目指したRobert Glasper,
アンビエント譲りのテクスチャーと浮遊感あるファルセットが美しいFrank Oceanなど、

ドゥーワップやボーカルグループの時代から現在進行形のR&Bまで、
大まかにその流れを捉えることが出来る非常にバランスの良い選盤になっていて、
必携と言っても良い一冊だと思います。

ブラックミュージックのファンの方もそうでない方も是非どうぞ。
すごく良い本です。



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  1. 2016/10/20(木) 17:02:47|
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にわかジャズファンの9枚

お世話になっております。
管理人のSystematic Chaos(@privategroove)です。

以前予告していました「にわかジャズファンの9枚」という企画で、
私が選んだ9枚について、レビューを書いておりましたが、
2枚書き上げるのが時間的に限界でしたので、作成途中のものを掲載したいと思います。

残りの作品についても、いずれ時間を見つけて書いていきたいと思います。

クロスオーバー/フュージョン以降の作品には多少詳しいと思っておりますが、
ストレートアヘッドなジャズに関しては未だに素人で、
それほど詳しい訳ではありませんので、割とすんなりと選ぶことが出来たと思います。

では、どうぞ。

20160817_170125000_iOSsmall.jpg


上段左から順番に行きます。
Modern Art/Art Pepper(1956-1957)
Charlie Parkerを起点とするハードバップの手法を完璧に体得していた、
ウェストコーストジャズを代表するサックス奏者の1人、Art Pepperの57年作。
ウェストコーストと一言に言っても、本作のように(M1はアドリブソロを思い切りフィーチャーしています)
バップ色の強いものから、抑制されたクールジャズ、ソウルジャズ寄りのものまで、
その中身は多種多様と言えます。
麻薬中毒による入退院を繰り返していた彼ですが、それを感じさせぬ切れ味の鋭いアドリブが
全編通して貫かれています。
長いパッセージでも、強弱や音の切り方が非常にハッキリとしており、
無駄な音が一音たりともないプレイで、
バッキングはMeets The Rhythm Sectionなど他の傑作よりも控えめなので、
ペッパーのブルージーで、しかし泥臭さのない洗練されたソロに集中することができます。

Speak Like A Child/Herbie Hancock(1968)
非常に多作であり、好きな作品の多いハンコックですが、
今回の企画に合うものとして、マイルスバンドに所属していた当時のリーダー作品から選ぶことを考えました。
Takin' OffやMaiden Voyageなどで既に盤石な実力と、
ピアニストとしてのみならず、作曲家、アレンジャー、プロデューサーとしての才能を開花させていた彼ですが、
本作も含め、ハンコックは作家指向の強い演奏家という印象が、僕にはあります。
自身でしっかりとソロを取りながらも、ピアノトリオではなく、
フリューゲルホルン、トロンボーン、フルートの3管を加えたバンドで、
アルバムを通して一貫したストーリーを感じさせる緻密な計算が行われていることが窺われます。
M1Riotは後でも出てくるNefertiti/Miles Davisに収録された曲ですが、
モードジャズのスタイルで徹底的に追い込んだアドリブは、弾き過ぎる限界の所で止めた演奏で、
テーマの部分には軽快なホーンでドラマティックに味付けされている辺りが、
緊張と弛緩を絶妙に使いこなしていて、完璧なバランス感覚を見せています。
表題曲M2はボサノヴァのリズムパターンを取り入れ、
前半では流麗なアドリブよりも柔らかいホーンのハーモニーを聴かせ、
ソロとなると複雑なテンションを駆使したヴォイシングが前面に出て、どこか東洋的な響きを感じさせます。
かつてはHeadhunters(1973)のようなファンク路線でビートの強い作品が好きだった自分も、
こうしたモダン/モードジャズの流れを汲んだサウンドの複雑な味わい深さが、
少しばかり分かるようになってきたと感じています。 
エヴァンスの静かで知的で、どこまでも透き通ったピアノと、
ハンコックの情熱的で雄弁なピアノ(しかしアルバムとしてのトータルプロデュースは非常に細やか)は
表面的には対照的に映りますが、その核にあるものはかなり類似しているのだろう、と僕は感じています。

Newk's Time/Sonny Rollins(1959)

My Favorite Things/John Coltrane(1961)

Nefertiti/Miles Davis(1968)

Somethin' Else/Cannonball Adderley(1958)

Wynton Marsalis/Wynton Marsalis(1982)

Interplay/Bill Evans(1963)
レビュー済みです。過去記事をご覧下さい。

We Get Requests/Oscar Peterson Trio
レビュー済みです。過去記事をご覧下さい。

※近日中に、私的名盤紹介の新企画を、期間限定でやってみたいと考えています。ご期待下さい。

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  1. 2016/10/13(木) 01:32:23|
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
下さったら嬉しいです。
※Twitterもやっております。
アカウント名はprivategrooveです。
https://twitter.com/privategroove
こちらでもおすすめの音楽など情報を流しております!
フォロー下さると嬉しいです。
可能な限りフォローバック、コメントしに参ります。

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