私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(175)

Album: Extraction
Artist: Greg Howe, Victor Wooten, Dennis Chambers
Genres: Jazz, Fusion

extraction.jpg


本サイトでも何度か取り上げているGreg Howeですが、本作は2003年作の
Victor Wooten, Dennis Chambers という何とも贅沢なトリオで録音した作品です。
小柄な体に比して巨大な大砲のような「暴虐的な」音と、立ちくらみするほどのグルーブをを叩き出す
Dennis Chambers(Dr)はBrecker BrothersやP-Funkで、
フォデラのベースを抱え、ロータリースラップを駆使しながら速弾きにコード弾きと自由自在な
ティクニックを駆使して強烈なファンク・グルーブを創出する
Victor Wooten(B)はBela Freck & The Freckstonesの
バックバンドとして、それぞれ聴いてきた私としては、
三人とも大好きなプレーヤーという、何ともわくわくせずにはいられない作品です。
Greg Howe(G)のフレージングもお得意のタッピングによる高速フレーズから
アウトフレーズの応酬と、何時にも増して絶好調です。
この面子ならではの技術のぶつかり合ったハードなフュージョン曲は勿論ですが、
ジャジーで柔らかな楽曲も収録されており、ファンク・メタル寄りのハードフュージョンという
ソロ作の傾向よりはむしろジャズ色が強く、その点で他の一般的なフュージョンのアルバムよりも
難解に聴こえる作品であると言えるかもしれません。
#1Extractionの冒頭からDennis Chambersの高速ドラミングに脳漿をぶちまけそうになります。
本作で一番暴れているのはGreg Howeではなく間違いなく彼だと思うのは、
私だけではないはずです。
地鳴りのようなバスドラムで、思わず「地震が起きたのか!?」と思って間抜けな顔をして
ヘッドフォンを外してしまう始末です(笑)
随所随所に取り入れられる「らしい」ハーモニクスやジャム・セッションに近い即興性の高い
流麗なフレージングやタイム感の良さという点で、Greg Howeのプレイは非常に高いレベルで
バランスが取れていると思います。何気にスペイシーな音色のキーボードがいい仕事しています。
#2Teaseではシャキッとしたクリーントーンのカッティングとミニマルなリフから
どんどん複雑に展開していくというロック色の強い曲です。
バック・ビートの効いたファンキーなドラミングに、
Victor Wootenの澄んだトーンのベース・ソロ、
ワウの掛かった歪みのエモーショナルなギターソロと特にダイナミックでお気に入りな一曲です。
#3Crack It Way Openは後半部でまたしても人間リズムマシーン・デニチェンの
他の2人への挑戦とでも言わんばかりの強烈なソロをこれでもかと堪能することができます!
#4ContigoはAl Di Meolaの楽曲を彷彿とさせるようなエキゾチックで、
アコースティックで温かみのある音像が特徴的です。
轟音のドラムの中、キーボードのサポートで参加しているDavid Cook(Key)が
エモーショナルで長いソロを弾き倒しています。
Allan Holdsworthのカヴァー(と言ってもかなりマニアックな選曲ですが)の
#5Proto Cosmosは、さらに緊張感のあるアレンジになっており、
完全に自分の曲として昇華している感すらあります。メロディックで動きまくりの
ベースラインも最高にグル―ヴィーですね。
何度聴いてもこの重厚なフィルとメランコリックなフレージングには鳥肌が立ちます。
#7Lucky 7は如何にもGreg Howeのお得意なファンク・フュージョンという感じの楽曲で、
メンバーが全員黒人の本作では、正に彼らのためにあるようなドス黒い
(かつテクニカルでキメの高揚感が堪らない)パワフルなテクニカルフュージョンになっています。
リズムの間を縫うようにして掻き鳴らされるカッティングや、
同じ音高でも指を充てる角度を絶妙に変えながら多彩な音色を
丁寧に紡ぎ出していくベース・ソロが緻密で腰に来る重いグルーブを聴かせてくれます。
どんなに速弾きしても、それが音の薄っぺらさにつながっていないところが、
このリズム隊がいかに優れているかということをよく表していると思います。
#9Bird's Eye Viewは、冒頭のテーマで雨垂れのように随所に挿入される絶妙なゴーストノートに
思わずドラムばかり聴いてしまいます。上手すぎて溜息が出ます・・・
後半部からはギターもどんどん加速していき、メロディックで歌心溢れる
ソロを弾きだしています。ジャキジャキしたカッティングもキメも、本当に耳が気持ち良いです。
テクニカルなフュージョンの作品数あれど、本作は最高峰に位置すると言っても過言ではないでしょう。
最高のメンバーと楽器同士の最高のインタープレイ(=対話)が心行くまで楽しめる傑作。

Extraction

Tease

Contigo

Proto Cosmos

Bird's Eye View

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  1. 2013/07/30(火) 00:07:23|
  2. Greg Howe
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

今日の一枚(137)

Album: Introspection
Artist: Greg Howe
Genres: Fusion, Funk, Hard Rock

introspection.jpg


アメリカニューヨーク出身の、黒人フュージョン系テクニカルギタリスト。1963年生まれ。
イングヴェイ・マルムスティーンや、ポール・ギルバード、リッチ―・コッツェンなど
数多くの優れたギタリストを発掘してきた名門、シュプラネル・レコードの代表である
Mike Varneyにデモテープを送りつけたことが、彼のデビューのきっかけとなりました。
ソロ活動を始めるまでは、自身の兄をボーカルとするHOWEIIというファンク・メタルバンドの
ギタリストととして活躍していました。最近までHoweIIの作品を手に入れるのは難しかった
のですが、2011年に日本盤のリマスターが(ソロ作品も含めて)キング・レコードから
再発されたため、ようやく手に入るようになりました。
他のシュプラネル系のプレイヤーの作品群も同様に再発されていますので、是非探してみると
宜しいかと思います。本作は1993年作のソロ2nd。
1stでの野趣に富んだファンキーなハードさから、本作ではフュージョン寄りの
柔らかい音使いへシフトし、スムースで、難解なフレーズを流麗に弾きこなしていきます。
スウィープや高速フルピッキング、タッピング(レガートのフレーズは、
そのほとんどを左手のプリングではなく、タッピングで演奏しています。)
といったロックオリエンテッドなプレイスタイルを基礎としながらも、
中心音から半音ずらすような形で挟まれることの多い
John ScofieldとかAllan Holdsworth(Soft Machine, Tempest)を髣髴とさせるような
ジャジーなアウトフレーズを滑らかに入れてくるあたりは、
強いインテリジェンスを感じるプレイだと思います。
しかし、リズムに対して正確で複雑なフレージングでありながら、非常にメロディックであるため、
スムースで歌心のあるプレイに聴かせてしまうという点で、
沢山いるテクニカル系のギタリストの中でも、彼は頭一つとびぬけていると思います。
クリーントーンによるカッティングも得意としているようで、
ファンキーでソリッドなグルーブを楽しめる内容になっています。
使用機材は、初期ではハムに改造したFender Stratocasterを、
近年では、フロントにダンカンのHot Rail、リアにディマジオのSunny Casterが乗った
ESPのカスタムモデルを用いていることが多いです。
2003年には Dennis Chambers(Dr, P-Funk, John Scofield, Bill Evans Group,
Brecker Brothers, Steely Dan など)とVictor Wooten(B, Béla Fleck and
the Flecktones, Bass Extremesなど)という名実ともに最高のプレイヤーと組んだ
大名盤、Extractionを発表したり、同じくデニス・チェンバースに、
櫻井哲夫(B, Casiopea)を加えたVital World(2010)を発表するなど、
優れたハード・フュージョンの作品を残しています。
ハードロック的なエモーショナルで攻撃的なプレイと、
ジャジーでインテリジェントなプレイとが絶妙に溶け合った傑作。
大好きなギタリストの一人です。

Jump Start 冒頭の音程差の大きいフレーズがカッコいいですね!!
           彼の曲の中でも特にお気に入りの一曲です。

Come And Get It
           メタリックなリフと、へヴィ―なドラムスが、荒々しい熱量を感じます。


Direct Injection

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  1. 2013/04/13(土) 16:25:00|
  2. Greg Howe
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
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