私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(209)

Album: Flapper
Artist: 吉田美奈子
Genres: AOR, Pops, Soul

flapper.jpg


埼玉県大宮市出身の日本のシンガー、作詞家、作曲家、アレンジャー、音楽プロデューサー。1953年生まれ。
実兄はレコーディング・エンジニアの吉田保。1976年作の6th。
高校在学時に細野晴臣と松本隆といったはっぴいえんどにのメンバーとなる
面々に出会ったことがきっかけとなり、
72年に大瀧詠一のソロ1stアルバムに収録されている指切り
(後にSugar BabeのSongsリマスターにもカバーが収録されることになります)
のフルートソロの演奏でデビューを果たすことになります。
シンガーとしてもほぼ3オクターブの音域を自在に行き来する能力を持ち、
コーラスや作詞家として、デビューから山下達郎のRCA/AIR期の作品やライブの多くに関わっています。
デビュー時からRCA/AIR期の彼女の作品は、Laura NyroやCarole Kingのような、50s~60sを代表する
女性のシンガーソングライターを習った都会的でハイファイさを強く感じる
スタイルの楽曲やアレンジが多いように感じます。
80sにかけてALFAに移籍した後のファンク路線のへヴィーな演奏やアレンジも素晴らしいものがあると思います。
(またの機会にご紹介します)
バックを固めるスタジオ・ミュージシャンも70年代から現在に至るまで日本のポピュラー音楽を牽引してきた、
細野晴臣(B)、鈴木茂(G)、林立夫(Dr)、村上"PONTA"秀一(Dr)、松任谷正隆(Key)、佐藤博(Key)、
矢野顕子(key)、浜口茂外也(Per)、山下達郎(cho)、大貫妙子(cho)、松木恒秀(G)といったまさに、
伝説級の御仁が多数参加して存分に腕を振るっています。
吉田自身による作曲は3曲にとどまっており、山下達郎、細野晴臣、佐藤博、矢野顕子、大瀧詠一
といったメンバーが楽曲を提供しています。
もう本当に夢のようなことが現実に起こっていた時代だと思います。
このうち、細野晴臣や佐藤博といった多くのミュージシャンは当時バンド兼
音楽プロデュースチームとして活動していた
Tin Pan Alley(73~)というユニットに参加していた人物ということもあり、
彼らのプロデュース作品として本作を聴いても、大きな問題はないかと思います。
#1愛は彼方は、ピアノソロとフリーソウルっぽいストリングスから始まり、山下達郎によるコーラスと
ジャジーで時にパーカッシブなピアノのフレージング、林立夫(Dr)のキメの多いリズムワークと
鈴木茂の繊細でトレブリーな音色のギターソロが存在感を放つソウル寄りのクロスオーバーという感じ。
いきなり良曲。
#2かたおもいは、矢野顕子(Key)の捻くれて歌唱難度の極めて高いメロディーラインを
見事に歌い切るボーカリゼーションと、
一聴してそれとわかるトーンやフレージングの細野晴臣(B)のご機嫌なベースラインが
クラシカルな進行に見事に嵌って素晴らしいです。ストリングスのアレンジも音数が絞られた鮮やかなものです。
#3朝は君には、アルバム中で特に存在感を放っている作曲者の佐藤博
(Key, ソロ作品も素晴らしいものばかりです。これもまた後ほど)
によるキーボードのフュージョン色の強い饒舌なフレーズや煌びやかな音色で聴かせる一曲という感じです。
松木恒秀(G)の最早職人芸であるところのカッティングの音の切り方のセンスの良さには溜息が出ます…
#4ケッペキにいさんは、打って変わって重厚なファンクナンバーです。こんな曲まで入っているとは…
特に意味のない歌詞を連呼するボーカルとぶっといベースやハネたドラミングが楽しい。
達郎の声が若くて冴えない感じで、心の底からダルそうなのがのがまた何とも言えないです。
思わず笑ってしまいます。
#5ラムはお好き?はこれまた如何にも細野さんが書きそうな進行の一曲という感じで、
最後の掛け合いは外国の人が聴いたらどうなるんだろう(笑)そんなクレイジーな一曲。
#6夢で逢えたらは鈴木雅之やキンモクセイなど様々なアーティストにカバーされる代表曲の一つですが、
実は作曲は(このアレンジを聴けば一発で納得すると思いますが)大瀧詠一氏で、最初はアン・ルイスのために
書き下ろした楽曲だったということだそうです。
#7チョッカイは、高水健司によるベースのリフと村上秀一のパワフルなドラミングが圧倒的な存在感を放つ
スロウテンポなファンク。意図して作ったのは間違いないでしょうが、
完全にSly & The Family Stoneの楽曲という感じの音像です。
それにしてもこのグルーブを日本人が出せるというのが夢を感じます。その位完璧な再現度です。
#8忘れかけていた季節へは吉田自身のピアノ弾き語りから始まりニューヨークのシンガーソングライターっぽい
暗澹とした空気を湛えたバラード。個人的にはかなりお気に入りの一曲です。
シンプルに彼女のボーカルの巧みさやトーンの清澄さが伝わってきます。
#9Last Stepは、山下達郎作曲の西海岸をイメージさせ、ホーンセクションが光る短い一曲。
アルバムの最後を飾る#10永遠に はLast Stepとともに山下達郎作曲で彼のソロ1st
(詳しくは山下達郎の項を参照)にも収録されています。
ガラスの弾けるようなストラトのクリーントーンと、アンビエントなグルーブを創出するキーボード、
タムのへヴィーさがリズムに緊張感を与えています。最高。
アルバム全体を見渡すとかなり幅の広い楽曲が収められていますが、
どの楽曲にも明確なイメージやコンセプトがあって作曲されており、
演奏もそれに合わせて無駄な音が一切なく、当時のアメリカ東海岸のスタジオミュージシャンと
比べても、まったく遜色ないレベルに達していると言って過言ではないと、私は思います。
この時代を生きてみたかった、ライブに行ってみたかったと心の底からそう思わされた作品。
(何度もそう思わされていますけどね)

愛は彼方

朝は君に

ケッペキ兄さん

夢で逢えたら

チョッカイ

ラスト・ステップ

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  1. 2013/10/24(木) 12:53:18|
  2. 吉田美奈子
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

プロフィール

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは50,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
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