私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(211)

Album: Computer World
Artist: Kraftwerk
Genres: Techno, Progressive Rock

Computer World


1970年に西ドイツ、デュッセルドルフで結成された電子音楽/テクノ/プログレッシブ・ロック音楽グループ。
デュッセンドルフ音楽院にて即興音楽を学んでいたRalf HütterとFlorian Schneiderを中心として
結成されたKraftwerkは、シンセサイザーを用いた観念的で抽象的で実験的な音楽性を持つグループとして
現在でも圧倒的な知名度を誇っていますが、彼らの音楽の根底には、黒人音楽やプログレッシブ・ロックからの
影響を同時代的に受けたクラウト・ロック(ジャーマン・ロック)への意識が常にありました。
そういった意味で、機械的な、実験的な手段を用いて制作された無機質で、冷ややかな虚脱感のある
彼らの楽曲の中には、どこか人間らしいグルーブの感覚や奇妙なポップネスが存在しています。
74年に4thのAutobahnが大ヒットを記録してから、Trans-Europe ExpressやThe Man Machineといった
彼らの代表作と呼ばれるアルバムでは、社会的なメッセージや皮肉を強く込めたジャケットイメージや、
巨大なアナログ・シンセサイザーを会場中に並べて行われたライブパフォーマンスなども相まって、
アート・ロックや前衛音楽としてのイメージが強く、
ダンス/クラブ・ミュージック色の濃い本作(81年作の9th)は、発売当初厳しい目で評価される
ことが多かったようです。
勿論上記の作品群も本作も、現代のポピュラー音楽の観点から見て、十二分に評価されるべき作品だと思います。
AutobahnやThe Man Machineが、プログレッシブ・ロックを電子音楽の立場から再構築するという
複雑で暗澹とした空気を湛えた側面が強いのに対して、本作では特にリズム面での
(厳密にはハウス・ミュージック的であるというべきか)ファンキーなアレンジや
リフレインの多用というような、現代的なテクノ・ミュージックやクラブ・ミュージック、
或いはヒップ・ホップのエッセンスにもなり得るようなグルーブが作品全体に満ち溢れています。
メロディも非常にポップになり、機材の進歩のおかげかリマスターのおかげか、
より抜けの良く立体感のある音で楽しむことができます。
81年というと、日本ではYellow Magic OrchestraがTechnodelicを発売した年でもありますが、
こちらがいわゆる音響系ポスト・ロックやニューウェーブといった(これはB-2 Unit/坂本龍一でさらに
ポスト・パンク寄りのアプローチとして実現しています)方向へのサウンドでありました。
いずれにせよ共通しているのは、「非人間的なビートによる非人間的なグルーブの構築」という
発想ではないかと私個人は感じています。
#1Computer Worldは、シーケンサーによる画一なビート、メロディをなぞるように繰り返される
ベースラインと、殆ど無意味な単語の羅列のよう(に聞こえるがよく考えると現代に対する警鐘に
聞こえなくもない)、エフェクト処理された声が不気味なグルーブを作ります。
Buisiness, Numbersのところのエフェクトが凄く気になる…
#2Pocket Calculatorは、ファミコンみたいな音が鳴る右チャンネルと、延々と同じメロディを
鳴らすサスティーンの短いピコピコシンセが気持ち良いです。
発売された国の言語で本曲がボーナス・トラックで収録されているのがまたなんとも面白い。
ダンサブルでクールです。
#3Numbersは、ファンクっぽいハネ気味のビートと耳を交互に撫でるキュッキュッとした音で
耳がくすぐったい一曲。色々な言語で数字を数えるだけというまたなんとも意味不明な歌詞。
イチッニッサンシュィと言われてしまうと日本語ではないように聴こえます。
#5Computer Loveは、当時シンセサイザーにVelocityの機能が搭載されたこともあって、
低音部のボリューム奏法のような音量変化や、淋しげなメロディのリフレイン、
そして意外にも手数の多いリズムトラックが不思議な焦燥感を与えます。
#6Home Computerはベースラインのリフが最高にカッコいいです。
展開も多くメロディにエスニックさを感じるのもお気に入りです。後半のインスト部分は彼ららしい
暗さや漠然とした不安感を湛えた音になっています。
#7It's More Fun To Computeは冒頭部に曲名を繰り返した後はひたすらインスト。
やはりどこか不気味な空気を纏っています。何とも言葉にしづらい…
私自身電子音楽は殆ど素人で詳しくないですが、間違いなく本盤には飽きのこないグルーブがありますし、
それを人間の演奏によらずに生み出そうとするには、とてつもない時間を注ぎ込んで
一音一音、各フレーズを配置していくかということを考えねばならないのだと思います。
"Communication"というフレーズが頭の中をループしています。
もう一度、聴いてみて、歌詞をきちんと解釈してみようと思います。

Computer World

Pocket Calculator

Numbers

Computer Love

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  1. 2013/11/04(月) 01:47:52|
  2. Kraftwerk
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
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3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
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5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
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オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
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ライブラリは65,000曲ほどです。
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