私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(220)

Album: Exit
Artist: Pat Martino
Genres: Jazz

Exit.jpg


アメリカ、ペンシルベニア州フィラデルフィア出身のイタリア系アメリカ人のジャズギタリスト。
1944年生まれ。オリジナル曲にジャズ・スタンダードを加えて演奏したリーダー作品。1977年作。
1959年に僅か15歳にしてプロデビューを果たしてから、ハード・バップを代表するジャズ・ギタリストとして
Footprints('72)やVisit('72),屈指の名演と言われるBobby HebbのSunnyが収録されたLive!など
優れたリーダー作を残しましたが、76年に脳動脈瘤によって倒れ、手術後に記憶喪失を起こすという
大きな困難をも乗り越え、87年に活動を再開するまでに至ります。
奏法に関しては、いわゆるマシンガン奏法と称される(奏法というべきなのかフレージングというべきなのか…)
単純に言うと一小節に徹底的に音符を詰め込んだ非常に息の長くかつリズムに対してスクエアで正確な
リードプレイが特徴的です。
そしてもう一点取り上げられることの多いマイナー・コンバージョンと呼ばれる方法ですが、
これは文献によってかなり解釈に幅があるため詳しく定義することは難しいですが、敢えて言うならば
キーによって定まってくるダイアトニック・コードに対して代理コードを想定し、
それに対応するモードでアドリブを行う(つまり用いるモードは一種類に定まる)という説明がありますが
実質は後付けの「奏法」と捉えるべきではないかと私は感じています。
彼の演奏自体はWes Montgomeryに代表されるビバップのスタイルへの深い理解を背景として、
後期のコルトレーンに代表されるようなフリー・ジャズの影響をもろに受けたリズム・コードワークの
パートもあり、60sのR&Bやロックの空気を吸っていながらも、あくまでサウンドにハードさや冷徹さを失わず、
シンプルですが本当の意味で個性的なプレイだと思いますし、コピーは難しいと思います。
表題曲の#1Exitは、冒頭からRichard Davis(B)を中心とした奇怪でフリーな展開が続き、
弾きまくりのギターソロがアドレナリン出まくりな、かなりテンポの速い4ビートへと繋がっていきます。
ソロのマシーンのようで正確無比なフレージングは圧巻です。
#2Come Sundayは、打って変わって非常にゆったりとしたテンポで演奏されています。
徐々に鋭さを増していくパタパタした音色のドラムスと、
ソリッドでエッジの立ったトーンで絶妙にメロディラインを崩していくギター、
Gil Goldstein(Piano)はシングルノートのブライトで音数を絞り込んだソロで、
キーボードを演奏する時の彼とはまた違った一面を見せてくれます。
へヴィ―なウォーキングベースとハイハットが疾走感を演出する
#3Three Base Hitは、スウィンギ―なドラムソロを挟んでピアノとギターがそれぞれにソロを見せていきます。
フェードアウト際までメカニカルに弾き倒しています。
#4Days of Wine and Rosesは、バラードと言えどかなり饒舌に弾いていてかなり好みのアレンジです。
とにかくこのトーンが大好きなのです…
チョーキングやフレーズの中でリズムに対して繊細に動きながら泣かせていく技術に惚れ惚れします。
#5Blue Bossaもかなり早いテンポで演奏されており、シンプルでどっしりとした2拍子のベースラインを
バックにして絶妙なアウト感でソロを魅せるピアノがエモーショナルで最高。
#6I Remember Cliffordは、本盤の中でも特に素晴らしい演奏だと思います。
ブルースフィーリングの強いピアノソロや一つ一つの音の輪郭がハッキリとした几帳面なギターソロは、
まるで1分1秒の時間が過ぎるのを惜しむように空間の全てに隙間なく音を詰めているようですが、
決してうるさくなく、クールで都会の夜を思わせるサウンドに帰着しています。
ストレートアヘッドなジャズギタリストのソロ・アルバムの中で最も愛聴している盤の一つです。

Exit

Three Base Hit

Blue Bossa

I Remember Clifford

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  1. 2013/11/13(水) 01:34:53|
  2. Pat Martino
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
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