私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(227)

Album: Let's Stay Together
Artist: Al Green
Genres: R&B, Soul

Lets Stay Together


アメリカ、アーカンソー州フォレスト・シティ出身のソウル/ゴスペルシンガー。1946年生まれ。
幼少期から家族でThe Green Brothersというグループでゴスペルを歌っていた彼は、
1969年にHi RecordのプロデューサーであるWillie Mitchellに見出され、
Al Green Get Next To You(1971), Let's Stay Together(1972)が大ヒットを記録し、
メンフィス・ソウルを代表するシンガーとして一躍その名を馳せることになります。
70s初頭はモータウンやスタックスが低迷し始める時期でもあり、
これはちょうどフィラデルフィア・インターナショナルと、このハイ・レコーズの
台頭とちょうど重なっているという風に捉えて良いと思います。
そのハイ・レコーズもWillieの脱退により勢いを失っていき、ついには活動を終えることとなります。
現在でもその時代のカタログは創始者の子孫の手によって再発され、その歴史を伝えています。
本作は1972年作の4th。上記の2作品を皮切りとして、数多くのヒットアルバムを世に送り出した彼ですが、
74年にプライベートの女性問題で大きな傷を抱えてから徐々に売り上げが落ち始め、
本作を最後にHi Recordsを離れることとなってしまいます。
本作はWillieプロデュースによる70年代2作目の作品で、最も有名な作品です。
80年代はゴスペル界隈でのリリースが続くようになりますが、
90年代半ばになると再びソウル路線の楽曲を発表するようになります。
バックを固めるのはHodge Brothersと呼ばれる3人兄弟(Leroy Hodges(B), Charles Hodges(Piano, Organ)
Teenie Hodges(G)の3人で、Hi Recordsの殆どの作品で演奏しています)と、
Howard Grimes(Dr)という定番のメンバーです。
鋭く歯切れの良いドラミングと、メロディアスなベースラインが作るアーシーなグルーブは
正しくサザン・ソウルと言われて真っ先に思い浮かぶサウンドの一つだと思います。
その中でも、コンセプチュアルで華麗なストリングスを配したようなニューソウルの作品が誕生する
70s初頭という時代を反映した、洗練された香りのあるサザンソウルのグルーブを堪能できます。
Al自身のボーカルスタイルは、(Willieからの指示もあり)非常にスムースで柔らかいものと
なっており、激しくシャウトしたり太いチェストヴォイスで押し切るというサザンソウルの
スタイルとは少し違うものになっています。ファルセットでの艶やかさが強調され、
囁くように歌うパートから、野太くシャウトするパートまで、非常に考えられた起伏のあるスタイルで、
何をやらせても完璧なボーカルテクニックを有しているシンガーだと思います。
アルバム全体を通じてバラードが多く、Bee Geesのカヴァーである
#7How Can You Mend a Broken Heart?やEddie Floydのカヴァーである
#6I've Never Found A Girlも収録されています。
#1Let's Stay Togetherは、言葉はシンプルでありながら深く胸を打つ歌詞が印象的な名バラード。
ゆったりとしたテンポの中でも硬さがあるHoward Grimesのドラミングと、
サビで鳴り渡る朗々としたコーラスが優しいグルーブを湛えています。
繊細なアルペジオが徐々に曲を盛り上げ、背後になるオルガンが神聖な空気を醸し出します。大名曲。
#2La-La For Youは、囁くように歌う冒頭部からホーンが入っていくにつれて力強い歌唱へと表情を変えていきます。
#3So You're Leavingは、トレブリーなカッティングと動きの多いベースラインがファンキーな前半から
息の長いフレーズを語るようにしっかり歌い上げる中間部を経て
切れ目切れ目でホーンの入るファンキーなパートへと戻っていきます。
相変わらずパワフルなドラムスが最高です。
#5Old Time Lovin'は、多重録音によるシンプルなコーラスワークとパーカッシブなホーン、
瑞々しいオルガンをバックにゆったりと進行していきます。
#6I've Never Found A Girlは、適度にハネたドラムスとメロディとユニゾンするベースラインがクールです。
#7How Can You Mend a Broken Heart?も原曲とはまた一味違ったフィリーでありながら
哀愁のあって切ないトラックになっています。
ファルセットのセクシーで甘いトーンが本曲を見事にソウルバラードへと昇華しています。
名カバーだと思います。
#8Judyはイントロのストリングスが幻想的で当時流行していたMavin Gayeのような音を思わせます。
サビでのハスキーで切々とした歌唱は圧巻だと思います。
アルバム最後を飾る#9It Ain't No Fun to Meはパワフルで豊かなチェストとシャウトが際立つ
一層ファンキーな一曲。
この時代にしか生み出すことのできないグルーブがきっとある、とそう思わされるような
サザン・ソウルの洗練の極みであると感じています。

Let's Stay Together

So You're Leaving

How Can You Mend A Broken Heart

Judy

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  1. 2013/11/26(火) 16:07:00|
  2. Al Green
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  4. | コメント:2

プロフィール

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは50,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
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