私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(228)

Album: All Night Wrong
Artist: Allan Holdsworth
Genres: Jazz, Fusion, Progressive Rock

All Night Wrong


イングランド、ウェストヨークシャー州ブラッドフォード出身の
プログレ系/ジャズ系テクニカルギタリスト。1946年生まれ。23歳の時にデビューして以来、
その卓越した演奏技術(特に独特な運指とアウトフレーズに溢れた非常に難解なフレージング)と、
深い機材や音色へのこだわりで数多くのTempest, UKのようなプログレッシブ・ロックバンド
他にもIan Carrなどのジャズ・ロック界隈のミュージシャンのプロジェクトや
Soft Machineに代表されるようなジャズ・ロックバンドのメンバーとして渡り歩いていました。
1976年にはアルバムVelvet Darknessでソロデビューを果たし、それ以来12枚のオリジナルアルバムを
発表しています。現代に至るまで、 数えきれないほどのプロギタリストに絶大な影響を与え続けています。
1983年にRoad Games(EP)発売時に協力を得たEddie Van Halenを始めとして、
Joe Satriani, Greg Howe, Shawn Lane, Richie Kotzen, John Petrucciなど、
当代最高水準のギタリスト達が口を揃えてHoldsworthからの影響を公言するほどです。
本作は2002年に日本の六本木PIT INNで行われたライブの模様を収録した初めてのライブアルバムです。
Chad Wackerman(Dr, Frank Zappa, Steve Vai), Jimmy Johnson(B)とのトリオ編成で録音された本作は、
ジャズ・フュージョン色がどうのというよりは、完全に彼の個性が剥き出しになった
フリーキーでありながらテクニカルで、プログレ色の強い作風に仕上がっています。
本作のために書き下ろした楽曲の他に、彼の定番曲である#2The Things You Seeや
#6Water On The Brainや完全なる即興演奏の#5Zoneなども収録されていて、
彼の個性溢れるギタープレイが一枚に凝縮されています。
リズムはゴリゴリの変拍子がそこら中にみられ、その中で左手のみで息の長いフレーズを
流麗に弾きこなしていくとてつもないレガート奏法で速弾きしていきます…
用いられるスケールもどこか不思議な響きのする聴いたことのないようなものが多く、
どうやらフィンガリングの流れから新たなスケールを探っては記録を取って独自のものを
作り上げているようです。
一つのフレーズ内でスキッピングして演奏することもしばしばで、この辺のテクニックも
近年のテクニカル系ギタリストに与えた影響は大きいと思います。
ピッキングは柔らかく、音と音の切れ目が殆ど解らないようなプレイをすることも多いと感じます。
ギターの指板をピアノに見立てて演奏するという考え方を基準にしているため、
コードを弾く際にも奇妙なフォームで弾いているとのことですが、あまりにも高度すぎて
正直言いまして筆者にはさっぱり…と言う感じです。
さすがPIT INNでの録音ということもあり、音色はライブ盤とは思えぬほどに良好で厚みのある音です。
#1Lanyard Loopは、頭から凄まじく手数の多いフィルが入り、2:30あたりから
摩訶不思議なギターソロが入ってきます。突然のリズムチェンジは当たり前のように訪れ、
ベースもそれに完璧に付いてきていて、ただただ信じがたいばかりと言う感じです。
ギターの音色はかなり太い音で丸みのあるものですが、ベースはそれに比べて抜けの良く非常に好みの音です。
古くから演奏してきた#2The Things You Seeは、原曲とはかなり異なるフレーズ、コード進行、
構造に置き換わっており、Chad Wackermanは軽めの音色のスネアが印象的なドラミングで
自由自在にノリを変えていきながらウネウネと進行していきます。
速弾きのフレーズには如何にもHoldsworthらしい癖のあるフレーズもありニヤニヤしてしまいます。
書き下ろしの#3Alphrazallanは、シンセのようなトーンのクリーンからアドリブソロの
こもったような歪みはお約束です。
アーミングを絡めたフレーズが奇怪でスローな一曲で、ベースはかなり動いていて聴き所です。
おなじみの#4Funnelsは、クリーンの柔らかい音色がとても好みです。やりなれた曲ということもあるのか、
Chadのドラミングはギターのフレーズの強弱に瞬時に、見事に合わせた抑揚の付いたもので白眉です。
#5ZoneはChadのイカれたドラムソロが楽しめる完全なるインプロビゼーションです。
どんなにタムをどんなに叩いてもうるさくなく、耳が気持ちいいです…最高のドラムソロです。
ギターとベースが入ってくると一気に激しく展開していきます。途中フリーキーなパートが
長く続き口が開きっぱなしですが(笑)
#6Water on the Brain Pt.IIは、各パートのソロが激しくぶつかり合うハードフュージョンな一曲です。
リズムのアクセントが複雑過ぎてキメをかますのは相当難しそう、というか普通の人間には無理だと思います。
ベースソロはかなりしっかり歌っていて特に印象に残ります。高音が澄み渡っていて聴きやすい。
とてもギターとは思えないスペイシーなシンセ風の音のソロで始まり、4分程別の世界に連れて行かれる
#7Above & Belowは、リズム隊が入ってくると表情が変わってメロディアスな
ベースがメロウに歌うように弾かれています。
#8Gas Lamp Bluesは、速いテンポで展開されるブルース形式に則った珍しい構成の一曲です。
しかしながらギターソロは勿論気味が悪いので安心。ここでももはや神の領域といっても
過言ではない超絶レガートを見せてくれます。
対照的に淡々としたクールなベースラインがまた何とも面白いです。
紛れもないAllan Holdsworthというジャンルを端的に知るにはとても解りやすく入りやすい作品だと思います。
彼の頭の中がどうなっているのか、とっても気になります…知りたいような、
知ってしまったら中毒になりそうな、そんな傑作です。

※CDの音源と異なるライブしかヒットしなかったものも多いですがご了承下さい。

Lanyard Loop

The Things You See

Water On The Brain PT. II

Gas Lamp Blues


この記事をはてなブックマークに追加

スポンサーサイト
  1. 2013/11/27(水) 01:36:40|
  2. Allan Holdsworth
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
下さったら嬉しいです。
※Twitterもやっております。
アカウント名はprivategrooveです。
https://twitter.com/privategroove
こちらでもおすすめの音楽など情報を流しております!
フォロー下さると嬉しいです。
可能な限りフォローバック、コメントしに参ります。
※放送企画として「私的名盤放送」というラジオを配信しております。
ツイートキャスティングホームページをご覧下さい。不定期に配信、Twitterにて情報を呟いております。ハッシュタグは「#私的名盤放送」です。宜しくお願い致します。
http://twitcasting.tv/privategroove

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

総閲覧者数(ユニークアクセス)

アクセスカウンター(PV数, 2013/12/26より集計)

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

にほんブログ村 CDレビュー

にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村

Feedly(RSSリーダー)で「私的名盤紹介」を読む

RSSリーダーとは、Google, Feedlyなど複数あるアプリまたはサイトを用いて自身で登録したブログの更新を自動で確認し、さらにブログ記事をテキストと画像、リンクのみの軽い状態で見ることができるツールです。 管理人も便利ですので積極的に使っております。 Feedlyにはスマホ向けアプリもありますが、PCはブラウザで操作でき動作も軽いため使っております。

follow us in feedly

「私的名盤紹介」管理人Twitterをフォローする

私的名盤紹介トップページをはてなブックマークに登録する

「私的名盤紹介」トップページをはてなブックマークに追加

「私的名盤紹介」管理人によるはてなブックマークを見る

管理人が普段見ている音楽系サイトで、気になる記事について、日々 「はてなブックマーク」を使ってコメントを付け、まとめております。 当サイトであまり取り扱わない音楽ジャンルの記事、年間ベスト、評論など雑多に取り扱っています。フォロー頂けると嬉しいです。

私的名盤紹介はてなブックマーク

「私的名盤紹介」管理人Twitter

TweetsWind

にほんブログ村ランキング(CD Review)

もし記事を楽しんでいただけましたら、お手数ですが 下の「このブログに投票」のところをクリックしていただけると大変嬉しいです。 投票はランキングに反映されます。

RSSリンクの表示

Ninja Tools(アクセス解析)

検索フォーム

相互リンク 音楽系レビューサイト

このブログをリンクに追加する

現在の閲覧者数

現在の閲覧者数: