私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(235)

Album: Back To Oakland
Artist: Tower Of Power
Genres: Funk, R&B

Back To Oakland


テナーサックス奏者のEmilio Castilloとバリトンサックス奏者のStephen "Doc" Kupkaを
中心としてアメリカ、カリフォルニア州オークランドで結成されたファンクバンド。
Emilioはラテン系の白人であり、メンバーの多くが白人で構成されています。
1970年にデビューして以来、Chicagoに代表されるような当時の流行であったブラス・ロックの
潮流に乗って(TOPは他のブラス・ロックのバンドに比して圧倒的にファンク色が強く真っ黒ですが)
細かいメンバーチェンジを繰り返しながらも
現在まで精力的に活動し、ライブも行い続けています。
各メンバーの演奏力とアンサンブルの鉄壁さにおいては他のファンクバンドの追随を許さぬほどの
ものがあり、特にRocco Prestia(B)とDavid Garibaldi(Dr)によるリズム隊の
緊張感に満ち満ちた16ビート中心の一糸乱れぬリズムワークは凄まじいと思います。
大がかりなホーンセクションの生み出す分厚いハーモニーも実にリズム楽器的であり、
切れ味の鋭いグルーブを作り出しています。
しかしながら、そうしたスリリングな演奏はあくまでボーカルを引き立てることを主眼に
置いて行われており、ゆったりとした歌もののバラード曲も多く存在しているので、
サウンドの指向性こそ違いますが、そういった点では全盛期のEarth, Wind & Fireに
近いものがあると言えると思います。
70年代末から80年代初頭にかけてのコンピューター・ミュージックの出現とディスコブームによって、
TOPの名は徐々に廃れていくこととなりますが、この手の音楽はシーケンサーで演奏させることが
非常に難しいものであり、唯一無二の音であることに変わりはないと感じていますし、
ファンクミュージックを代表するバンドの一つとして、現在でも名を挙げられることは多いと思います。
1974年作の4th。ボーカルにはLenny Williamsを迎え、Bruce Conte(G), Chester Thompson(Key)と、
長い彼らのキャリアの中でも最高の面子が集まった全盛期にあたる作品です。
#1Oakland Stroke...からいきなり圧倒的な手数のドラムスが暴れまわり対決を挑むかのように鳴る
クラビネットが強烈な疾走感を演出しています。ツボを押さえたカッティングも良い。
#2Don't Change Horses(In The Middle Of A Stream)はテンポを落とし、Chesterのハモンドオルガンが
印象的な前半部からのBruceのブルージーで渋いギターソロが聴き所です。枯れたトーンも素晴らしい。
#3Just When We Start Makin' Itはスウィートソウル寄りのゆったりとしたバラードで、
ボーカルのタメた歌い上げ方なんかは正に当時の流行のスタイルという感じで懐かしい香りに満ちています。
コーラスが入りヘッドで力強く歌うボーカリゼーションを堪能できます。
4ビートへのリズムチェンジから饒舌なハモンドソロに入る展開が単調になっていなくて飽きさせません。
#4Can't You See(You Doin' Me Wrong)は、Rocco Prestiaのご機嫌でメロディアスなベースラインと
David Garibaldiの軽快でフィルの引き出しの多いタイトなドラムスが主導権を握り、
ホーンが歯切れよく鳴って作られるグルーブが如何にも彼ららしい音像だと思います。
インストの#5Squib Cakesは、正確なシンバルレガートを刻みながら抜けの良いスネアが煽り立てるドラミングは
勿論最高ですが、左チャンネルを流れ続けるトレブリーなカッティングとLenny Pickettの
艶のあるエロいサックスソロはメロディアスでありながら非常にリズムコンシャスで寸分の狂いもありません。
メタル並みにトレモロし速弾きしまくる激しいハモンドソロのバックで自在にノリを操作していくドラムスが
涎ものの素晴らしさです…ただただ本当にカッコいいです。
キメの多さはフュージョン的でもあり個人的には趣味ど真ん中の一曲。
いつまでもこのグルーブを聴いていたいと思います。
3拍子で展開して行くバラードの#6Time Will Tellは後半のドリーミーなアレンジが時代を感じさせる一曲。
Lennyの適度にハスキーで甘いハイトーンが優しく響きます。ストリングスの大仰さがまた良いです。
#7Man From The Pastは、他の曲よりもロック寄りに、ソリッドで重く叩くドラムスが
音数の多くレイドバックしたベースラインを際立たせています。
後半では次第にハイハットの刻みが鋭くなりシンプルなパターンをリフレインするホーンと
カッティングが作る緊張感に溢れたパートへと変化していきます。お気に入り。
#9I Got Chopではさらにドラムスが重い音色になり、低音でフレージングするサックスと
パーカッシブなハモンドオルガンが重心の低いグルーブを醸成します。
#10Below Us, All The City Lightsはストリングスの作る厚みのあるバッキングが特徴的な異色なバラード。
最後にリフレインする#11...Oakland Strokeが入ってきてスリリングに終わりを迎えます…
70年代におけるバンドとしての見事な作品群も彼らの輝かしい功績ですが、
Huey Lewis & The Newsを初めとする他のアーティストのバッキングでも非常に多くの貢献を果たしている
Tower Of Powerの演奏は、未来に受け継いでいくべき理想的なサウンドだと強く感じています。
特にドラマーは聴いておいて絶対に損はないと思います。傑作。

Oakland Stroke[Live, 1974]

Don't Change Horses(In The Middle Of A Stream)

Just When We Start Makin' It

Squib Cakes

Man From The Past

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  1. 2013/12/09(月) 16:35:27|
  2. Tower Of Power
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  4. | コメント:2

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
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