私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(241)

Album: The Brand New Heavies
Artist: The Brand New Heavies
Genres: Funk, Acid Jazz

brand new heavies


イングランド、イーリング出身のアシッド・ジャズ、ファンクバンド。1985年結成。
80年代初頭からロンドンのクラブシーンにおいてジャズを掛けるDJが増え、
87年にEddie PillerとGilles Petersonの二人を中心として、Acid Jazz Rabel(レーベル名から
名付けられたジャンル名)が設立されたことが、90年代アシッド・ジャズ隆盛の時代の起点であると言われています。
当初クラブでは、従来のジャズ・ファンクやソウル・ジャズの作品が掛けられていましたが、
次第にブラジル音楽(ボサノヴァ)やヒップホップ(90年代初頭)を消化していくことにより、
アーシーでありながらもダンサブルな独自のサウンドが誕生していくことになります。
同じく16ビートのリズムを中心としているという点で、ジャズ(エレクトリック・ジャズ、ジャズ・ロック)
の派生ジャンルであるフュージョンと比較されることが多いですが、
サウンドの指向性(アーシーであるか洗練されているか)や曲の構成で違いが生じてくると考えればよいでしょう。
1990年作の1st。本作は何度も形を変えて再発されており、今回ご紹介するのは(筆者が所有しているのは)、
2007年に発売されたデジタルリマスターで、90年にイギリス国内で発売されたものに、未収録曲や
90年UK盤には収録されなかったシングルをボーナストラックとして加えた完全な仕様になっております。
他にも、ボーカリストが N'Dea Davenportに交代して、収録曲が若干異なる北米盤(91年発売)、
さらに一部の楽曲がリミックスされ、Jean Carne/Don't Let It Go To Your Headのカヴァーが収録された
インターナショナル盤(92年)と、4種類のCDが発売されています。
音楽性としては、Gilles Petersonが後に設立するTalkin' Loudレーベルに所属していた
Incognitoのようなエレクトロニック路線とも、Roni Sizeのようなドラムンベース路線とも、
Jazzanovaのようなジャズ色の濃い中にR&Bやボサノヴァの香りが強い音楽性とも
異なり、ダンス・ミュージックであることへのこだわりが感じられるサウンドで、
ディスコ・ミュージックを強く想起させるものになっていると感じます。
#1BNHは、シンプルなパターンをリフレインするドラム、ベースに対してホーンやギターソロ、キーボードソロが
入ってインタープレイを展開して行きます。後半のエフェクトが強く掛かったキーボードソロから、
キメを挟んでサックスソロへと繋がっていく背後で、シャリシャリしたカッティングが鳴り続けておりクールです。
#2Gimmie One Of Thoseは、ツーコードでひたすらカッティングするギターに対して
ワウの掛かったキーボードとミュートの効いた歯切れの良いホーンがファンキーで一際黒い一曲。
#3Dream Come Trueは、Jay Ella Ruth(Vo)の脱力したボーカリゼーションとソウルフルなコーラスが入りながら、
緊張感のあるフィルを伴ったカッティングソロが聴き所です。ベースも歌っていて非常に楽しいです。お気に入り。
#4Put The Funk Back In Itは、拍手や歓声がSEとして流れる中でゆったりと進行していくファンク。
オルガンのローファイな音色が70sを思わせるトーンで、ワウを掛けたサックスの低音が呻くように鳴っていて
ユーモラスです。
#5People Get Readyは、スリリングなホーンにソリッドなドラミングと、遠くで音の隙間を埋めるようにして
弾かれるカッティングが繰り返されて作られるグルーブにひたすら浸ることができます。
#6Ride In The Skyは、シンプルなリフを繰り返しながら次第に変化していくキーボードと、
モータウン風な動きの多いベースラインを思う存分楽しめます。
#7Sphynxは、冒頭のカッティングフレーズを中心としてホーンが味付けしていきますが、
角の取れた丸いトーンのギターソロが長く少し異色な一曲です。
#8Stay This Wayは、キャッチーなイントロのギターソロからパーカッションがアフリカンな香りを漂わせながらも、
メロディと展開は明快でポップスに限りなく近い一曲でこれもお気に入り。気怠く歌うボーカルが洒脱です。
#9Shakedownは、サックスの二転三転するドラマティックなメロディと、後半部のひたすらワンコードで押し通す
カッティングをバックにして弾きまくるピアノがジャジーで最高にクールです。素晴らしい。
ここからはボーナストラックです。
US盤に収録されたヒット曲#10Never Stopは、N'Dea Davenport(Vo)の低音が艶やかなボーカリゼーションと、
キーボードのパーカッシブなリフ、抜けの良いドラムスの強調されたような、モダンなR&B色の濃い一曲です。
ツインボーカルの掛け合いとコーラスがテーマに複雑さを作る#11Rest Of Meは、
歌うような単音カッティングのギターリフとソリッドなドラムスが作る鉄壁なグルーブで安心の出来です。
#12Realityは、冒頭のベースの滲むような音色のリフが流れる中でtwangなトーンで動き回るカッティングと
すっきりしたシンプルなリフを繰り返すピアノのバッキングを中心にして淡々と進行していきます。
サックスソロもゆったりとしていて緩く爽やかなグルーブがあります。
#16Never Stop,#17Dream Come Trueはボーカル違いの元のバージョンが収録されています。
どの曲もダンサブルでオールドスクールっぽいアーシーさがありながら、
ドライブのBGMとして聴き流すにも最適なファンクだと思います。
5thのBrother Sisterと合わせて、アシッド・ジャズ入門には最適の盤の一つ。

Dream Come True

People Get Ready

Stay This Way

Shakedown

Never Stop

この記事をはてなブックマークに追加

スポンサーサイト
  1. 2013/12/26(木) 12:33:11|
  2. The Brand New Heavies
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
下さったら嬉しいです。
※Twitterもやっております。
アカウント名はprivategrooveです。
https://twitter.com/privategroove
こちらでもおすすめの音楽など情報を流しております!
フォロー下さると嬉しいです。
可能な限りフォローバック、コメントしに参ります。
※放送企画として「私的名盤放送」というラジオを配信しております。
ツイートキャスティングホームページをご覧下さい。不定期に配信、Twitterにて情報を呟いております。ハッシュタグは「#私的名盤放送」です。宜しくお願い致します。
http://twitcasting.tv/privategroove

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

総閲覧者数(ユニークアクセス)

アクセスカウンター(PV数, 2013/12/26より集計)

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

にほんブログ村 CDレビュー

にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村

Feedly(RSSリーダー)で「私的名盤紹介」を読む

RSSリーダーとは、Google, Feedlyなど複数あるアプリまたはサイトを用いて自身で登録したブログの更新を自動で確認し、さらにブログ記事をテキストと画像、リンクのみの軽い状態で見ることができるツールです。 管理人も便利ですので積極的に使っております。 Feedlyにはスマホ向けアプリもありますが、PCはブラウザで操作でき動作も軽いため使っております。

follow us in feedly

「私的名盤紹介」管理人Twitterをフォローする

私的名盤紹介トップページをはてなブックマークに登録する

「私的名盤紹介」トップページをはてなブックマークに追加

「私的名盤紹介」管理人によるはてなブックマークを見る

管理人が普段見ている音楽系サイトで、気になる記事について、日々 「はてなブックマーク」を使ってコメントを付け、まとめております。 当サイトであまり取り扱わない音楽ジャンルの記事、年間ベスト、評論など雑多に取り扱っています。フォロー頂けると嬉しいです。

私的名盤紹介はてなブックマーク

「私的名盤紹介」管理人Twitter

TweetsWind

にほんブログ村ランキング(CD Review)

もし記事を楽しんでいただけましたら、お手数ですが 下の「このブログに投票」のところをクリックしていただけると大変嬉しいです。 投票はランキングに反映されます。

RSSリンクの表示

Ninja Tools(アクセス解析)

検索フォーム

相互リンク 音楽系レビューサイト

このブログをリンクに追加する

現在の閲覧者数

現在の閲覧者数: