私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(260)

Album: Free Soul ~2010s Urban-Mellow
Artist: Various Artists
Genres: R&B, Soul, Neo Soul, Hip Hop

Free Soul


普段コンピレーションのCDを購入することは少ないのですが、このFree Soulのコンピレーションの
シリーズはいくつか所有しており、洒脱でセンスのいい選曲と感じていたので、
この2010年代に発表された作品のみから選曲したUrban-Mellowシリーズを購入しました。
Free Soulと言う言葉はいわゆる和製英語で、90年代初頭の渋谷系ムーブメントの一端として、
渋谷のDJ Bar Inkstickというクラブで行われていた、
Free Soul Undergroundと言うイベントの名前が由来であると言われています。
このイベントの中心的な人物であったDJ、音楽ライターの橋本徹(1966~)が、
世に隠れたソウルやR&Bの珍盤奇盤に加えて、ヒップホップやボサノヴァ、ラテン音楽、ディスコ、
ソフトロック、フュージョン、ジャズファンクやアシッド・ジャズといったようなものまで含めた
個性的な選盤で作品を紹介するSuburbiaというフリーペーパーを刊行し、
これが渋谷系界隈のファンに人気を博したことで、今では一般的に知られている
Free Soulの名を冠した無数のコンピレーションを世に送り出すこととなります。
他にもTower RecordsのフリーペーパーBounceの編集、
執筆に関与するなど、良盤の発掘と有名作の再解釈という点において、
90年代から氏の果たした功績と影響は非常に大きいものと考えてよいと思います。
(当時の雑誌の記事にはPizzicato Fiveの小西康晴やFlipper's Guitarの小山田圭吾など、
渋谷系を代表するミュージシャンが多数参加していることからも明らかでしょう)
一般にFree Soulのコンピレーションは、アーティスト別に作品をコンパイルしたもの
(邦人ならキリンジやNona Reevesなど、洋楽ならCurtisやIsleyなど無数にあります)と、
タイトルに合わせたイメージでテーマ(Party, Travel, Lifeなどがタイトルに付いています)を決めて、
様々なジャンルの楽曲から選曲したものに大別されます。
そのため、発売からある程度時間が経った旧譜から選曲することが
殆どですが、本作のように同時代的な音楽の中から選曲したコンピレーションも存在しています。
Free Soulのコンピレーションにセレクトされるような曲の特徴は何かと言われると
難しいですが、基本的にはクラブでのDJプレイを想定しているために、
「踊れるお洒落な音楽」が詰まっていると考えて頂ければ問題ないと思います。
音楽的に難解なもの、キャッチ―さに欠けるものは選盤から外れていることから、
良くも悪くもファッション的な側面が強いと個人的には感じます。
黒人音楽を基礎としているということは、どのコンピレーションにも共通していますが、
これも実際にはかなり流動的な解釈で、むしろ黒人音楽にルーツを持つ、「都会的でグル―ヴィーな」
クロスオーバーミュージックに対して敏感に選曲しているようです。
兎にも角にも、アクの抜けたソウルやR&Bの派生音楽に触れる、という意味では
Free Soulシリーズのコンピ以上に優れた選曲のものはそうないと考えてよいので、
シンプルに何かオシャレな音楽を探しているという方に最適と思います。
実際筆者もコンピレーションからファンになったミュージシャンは沢山いますし、
おそらく今の若いミュージシャン達にとっても、Free Soulが原体験となっている人は
相当数いると想像されます。
「雑食」などと厚顔無恥なタイトルを冠したこのブログが、ジャンルレスな選盤をしようと
試みているのも、Free Soulや渋谷系の音楽と、その精神性への憧れが少なからずあるからだと、
最近になって感じております。
というわけでかなり前置きが長くなりましたが、本作の紹介に移りたいと思います。
これは2013年に発表されたコンピレーションで、文字通り2010年代にリリースされた
作品のみから、90年代的なフィルターと、Free Soul的なフィルターを通して18の楽曲が
セレクトされています。店頭で本盤を購入すると、アーティストの簡潔な
Biographyとレビューが書かれた小冊子が付属されてきまして、こちらを是非とも読んで頂きたい
(というかこれを読めばこの記事は不要と思えるくらいです)ので解説は最小限に留めておきます。
全体的な印象としては、アンビエント色の強いソウルやJames Blake的な、
ポスト・ダブステップの影響を受けたような電子音楽とのクロスオーバーが印象的で、
静かな都会の夜中にある音楽、というようなイメージの作品が選ばれています。
90年代のジャズ・ファンクやディスコ、或いはヒップホップに影響を受けた選盤のコンピレーションとの
連続性がかなり色濃く打ち出されたものになっていると感じます。
アーティストのラインナップは有名どころが多いため、本作から各アーティストの作品に
アクセスしやすいという点でも良いコンピレーションだと思います。

Game Over(Daley)

Neverland(Quadron)

Sweet Life(Frank Ocean) (詳細はFrank Oceanの項を参照)

Heaven For The Sinner(Bonobo Feat. Erykah Badu)

Man In The Middle(Roos Jonker) [Live]

Lovely Day(Jill Scott) (詳細はJill Scottの項を参照)

Who's That Lady(Lucas Arruda) (The Isley Brothers; Album 3+3より)

All That I Can Say(Gretchen Parlato)

Love Judge(The Slakadeliqs Feat. Tingsek And Ebrahim)

If Only(Snow White Blackbird)


楽曲一覧

1. Game Over(Daley)
2. NYC Tonight Version Shintaro Sakamoto (Dump)
3. Neverland(Quadron)
4. Sweet Life(Frank Ocean)
5. Get Lucky(Hyleen Gil)
6. Heaven For The Sinner(Bonobo Feat. Erykah Badu)
7. Amygdala(DJ Koze Feat. Milosh)
8. Summer's Loss(Ben Westbeech)
9. There's Nothing Like This(Omar Feat. Pino Palladino)
10. Man In The Middle(Roos Jonker)
11. Sitting On Shore(Finn Silver)
12. Lovely Day(Jill Scott)
13. Money(Lady)
14. Who's That Lady(Lucas Arruda)
15. Trust(Inc.)
16. All That I Can Say(Gretchen Parlato)
17. Love Judge(The Slakadeliqs Feat. Tingsek And Ebrahim)
18. If Only(Snow White Blackbird)


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  1. 2014/02/23(日) 02:07:54|
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プロフィール

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは50,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
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