私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(278)

Album: Smappies -Rhythmsticks
Artist: Various Artists
Genres: Fusion, Jazz, Pops, R&B, Soul, Acid Jazz

Smappes Rhythmstics


アーティスト表記はVAとなっていますが、本作は日本を代表するジャニーズ系アイドルグループとして、
1988年から活動を続けているSMAPの楽曲を、ジャズ・フュージョン界の名だたるスタジオミュージシャン
達によるインストアレンジで演奏したものです。こういった企画が実現したきっかけとなったのは、
1994年(まだ森且行がメンバーとして所属していた時代です)に発売された6thアルバム
SMAP006"Sexy Six"のレコーディングがニューヨークで行われたことでした。
ニューヨークでの録音が行われたこの6th(1994)から9th(1996)までの時期の作品は、
そのバッキングトラックの演奏の完璧さから、主にフュージョンファンからも
高い評価を得ているようです。参加しているメンバーとしては、以下長くなりますが…

Sax: Michael Brecker, Jay Beckenstein(Spyro Gyra, Dream Theater), Grover Washington, Jr.
Trumpet: Randy Brecker, Arturo Sandoval
Flute: Dave Valentin
Vibraphone: Mike Mainieri(Steps, 深町純 etc)
Guitar: Hiram Bullock,
David T. Walker
(Marvin Gaye, Stevie Wonder, Micheal Jackson, Quincy Jones etc),
David Spinozza(John Lennon, James Taylor, Donny Hathaway, Billy Joel etc)
Drums: Omar Hakim
(Miles Davis, Wayne Shorter, Herbie Hancock, Marcus Miller, Carole King, etc)
Vinne Colaiuta
(Chick Corea, Frank Zappa, Jeff Beck, Joni Mitchell, Gino Vanelli, 中島みゆき etc)
Bass: Will Lee(Brecker Brothers, Steely Dan, B.B. King, James Brown, Spyro Gyra, 山下達郎)
Chuck Rainey(Quincy Jones, Aretha Franklin, Roberta Flack, Rascals, Laura Nyro, Donald Fagen)

と言ったメンバーで、紹介するのも恐れ多い程の方々ばかりであります。
(参加アーティストもほんの一部に過ぎません)
SmappiesというネーミングはドラマーのOmar Hakimが、アルバムのレコーディング時に考えたそうで、
スタジオミュージシャン同士のコネクションがこの奇跡的なセッションを成功させることになります。
1996年作の1st。SmappesⅡ(1999)も存在しており、こちらに参加しているメンバーも上記の
メンツの中に入っています。1stである今作は、SMAPの6thと7thアルバムに収録されている楽曲を
再録したものが多く、2ndではオリジナルの楽曲も複数織り交ぜられています。
サウンドとしては、ゴリゴリのハードでソリッドなグルーブを楽しめるフュージョンサウンド
でありながら、ポップスとしての楽曲の多彩さがアレンジに反映されていて、
多様な楽しみ方ができると思います。
#1Theme of 007は、Ian Fleming(1908-1964)によるスパイ小説を原作する映画作品で、
James Bondのテーマソングとしてお馴染みの一曲で、7thアルバムのラストにも収録されています。
聴いた瞬間彼と分かるVinnie Colaiutaの抜けの良く鋭いドラムス、Will Leeの寡黙な中にスラップが
映えるグル―ヴィーなベースが作る鉄壁のリズムに、Michaelも凄いですが、個人的には
Dave Valentinのフルートソロが個人的には聴き所です。
#2Working Peopleは、冒頭のKraftwerkのような加工ボイスから始まって、ディスコビートを感じる、
うねりのあるベースラインを弾くJames Genus(B, Daft Punk, Bob James, Herbie Hancock, Chic Corea)
が素晴らしいです。当時弱冠20歳とは思えないプレイです。ファンキーなトラックが鳴り響きます。
Brecker Brothersがそろい踏みで一糸乱れぬ切れのいいサウンドで聴かせていてお気に入り。
Michael Mainieriのビブラフォンをフィーチャーした#3Won't Stop Rainingは、
後半にかけてOmar Hakimのフィルが激しくなっていく展開が最高に楽しいです。
それに煽られてかビブラフォンもその丸い音色を保ちながら力強くフレージングしていきます。
#4Painは、David T. Walkerの繊細なハイフレットの音が気持ち良いギターソロから始まり、
Wlliam Galisonの暖かみのあるハーモニカソロ、Jay Beckensteinのサックスソロが
交互に対話するように演奏されています。そのバックではBernard Purdie(Dr, Steely Dan, James Brown)
とChuck Rainey(B)という最高のリズム隊が付いており、緩やかさのあるグルーブで包み込みます。
Pamela Driggsのヴォーカルが生々しく、艶やかに彩るボサノヴァ#5Pensando em Voceは、
Romero Lubambo(Al Jarreau, Grover Washington, Jr.)によるアコースティックギターのシンプルな
バッキングで穏やかに進行するメロから、サビにかけてGil Goldsteinのピアノが前に出てくる
アレンジがボサノヴァ特有の翳りのある洒脱なコード感の中にポップな盛り上がりがあって素晴らしい。
Giovanni Hidalcoのコンガが炸裂するアフリカンなリズムに、フルート特有の澄んだ鋭い高音が
爽やかな#6Muchacha Bonitaに続いて、スムースジャズ界隈で高名なPhilippe Saisse
(Al Di Meola, David Bowe, Nile Rodgers, 角松敏生)をアレンジ/キーボードに迎えた
#7Part Time Kiss(Smap002に収録)は、Hiram BullockのトレブリーでTwangな音のギターソロが
ハイライトなポップスです。リズム隊はいつものOmar HakimとWill Leeの組み合わせです。
George MrazのウッドベースとTommy Campbellの柔らかいシンバルが耳を撫でる前半部から、
ホーンがダイナミックに前に出てくる#8I Wish You'll Be Happyは一際ジャジーな一曲です。
#9Morningは、David Spinozza(G)の一音一音非常に粒のそろった、端正で丁寧なプレーを堪能できます。
繰り返されるキメを起点にして、Omar Hakimが様々にリズムチェンジを仕掛けていきます。
バックを流れるカッティングも良い音してます…最高です。
ゴスペルライクな力強いコーラスの掛け合いから始まっていく#10Happy Birthday(Smap003に収録)は、
ノスタルジックなハーモニカのリードプレイのバックでWill Leeのベースが歌っていて素晴らしい。
メンバーを見ても素晴らしい作品になるのは当たり前なのですが、
それでもただ集めただけと言う感じにはなっていないのは、元のSMAPの楽曲がこうしたアレンジにも
対応できるようなものであったことが非常に大きいと思います。
彼らを引き合わせてくれたSMAPには感謝しなければいけません。
NYレコーディング期のオリジナルアルバムも、是非聴かれて見て下さい。文句なしの隠れた名盤。

Part Time Kiss

この記事をはてなブックマークに追加

スポンサーサイト
  1. 2014/04/02(水) 00:49:03|
  2. Smappies
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
下さったら嬉しいです。
※Twitterもやっております。
アカウント名はprivategrooveです。
https://twitter.com/privategroove
こちらでもおすすめの音楽など情報を流しております!
フォロー下さると嬉しいです。
可能な限りフォローバック、コメントしに参ります。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

総閲覧者数(ユニークアクセス)

アクセスカウンター(PV数, 2013/12/26より集計)

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

にほんブログ村 CDレビュー

にほんブログ村 音楽ブログ CDレビューへ
にほんブログ村

Feedly(RSSリーダー)で「私的名盤紹介」を読む

RSSリーダーとは、Google, Feedlyなど複数あるアプリまたはサイトを用いて自身で登録したブログの更新を自動で確認し、さらにブログ記事をテキストと画像、リンクのみの軽い状態で見ることができるツールです。 管理人も便利ですので積極的に使っております。 Feedlyにはスマホ向けアプリもありますが、PCはブラウザで操作でき動作も軽いため使っております。

follow us in feedly

「私的名盤紹介」管理人Twitterをフォローする

私的名盤紹介トップページをはてなブックマークに登録する

「私的名盤紹介」トップページをはてなブックマークに追加

「私的名盤紹介」管理人によるはてなブックマークを見る

管理人が普段見ている音楽系サイトで、気になる記事について、日々 「はてなブックマーク」を使ってコメントを付け、まとめております。 当サイトであまり取り扱わない音楽ジャンルの記事、年間ベスト、評論など雑多に取り扱っています。フォロー頂けると嬉しいです。

私的名盤紹介はてなブックマーク

「私的名盤紹介」管理人Twitter

TweetsWind

にほんブログ村ランキング(CD Review)

もし記事を楽しんでいただけましたら、お手数ですが 下の「このブログに投票」のところをクリックしていただけると大変嬉しいです。 投票はランキングに反映されます。

RSSリンクの表示

Ninja Tools(アクセス解析)

検索フォーム

相互リンク 音楽系レビューサイト

このブログをリンクに追加する

現在の閲覧者数

現在の閲覧者数: