私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(301)

Album: Abstract Emotions
Artist: Randy Crawford
Genres: R&B, Funk, Soul, Pops

Abstract Emotions


アメリカ、ジョージア州メイコン出身のソウル/ジャズシンガー。1952年生まれ。
デビュー以前には、オハイオ州のシンシナティや、フランス南部のSaint-Tropezなどの
クラブで歌っていた彼女は、1970年代の半ばにRandyの名を名乗るようになり、
ニューヨークへと移住します。デビュー前の時期にはGeorge BensonやCannonball Adderleyなどの
ジャズメンのサポートシンガーとして活動しており、その才能を買われていました。
これをきっかけとしてColumbia Recordsとの契約を成立させ、1972年に1stシングルを発表します。
1975年にはAdderleyのソロアルバムであるBig Manにボーカリストとして参加したり、
1978年には元GenesisのギタリストであるSteve Hackettのソロアルバムにも参加するなどして
徐々に知名度を上げていきました。彼女のブレイクスルーのきっかけとなったのは、
ジャズ/フュージョンバンドのThe Crusadersのトランスアトランティック時代のヒットシングル、
Street Life(1979)に参加し、映画Sharky's Machineのサウンドトラックとなったことでした。
日本では、1972年から1992年まで帝国劇場と武道館で行われていた東京音楽祭で、
1981年にベストアクトに選ばれたり、1986年のシングルAlmaz(邦題:スウィート・ラブ)が
TVドラマもう誰も愛さないの主題歌に選ばれるなどして、Whitney HoustonやNatalie Cole,
Patti Austin, Karyne Whiteなどと並んでいわゆるブラック・コンテンポラリーのシンガーとして
馴染みのある人物であろうと思います。
アメリカ国内ではBillboard Hot 100にはランクインしていない彼女ですが、
イギリスを始めとしてヨーロッパと日本での人気は高く、特にUKのチャートでは
1981年作のSecret Combinationが16週間連続でアルバムチャートにランクインするなど、
スマッシュヒットを記録しています。
近年では2007年にJoe SampleとのセッションをAbbey Road Studioで行っており、
ライブアルバム(2006, 2008, 2012)を積極的にリリースするなどして活動しています。
本作は1986年作の8th。現在でこそ本作を手に入れることは難しく、筆者も
偶然中古レコードショップで発見したのをここぞとばかりに購入したのですが、
参加しているスタジオミュージシャンもなかなか豪華で、Anthony Jackson(B),
Paul Jackson Jr.(G, Michael Jackson, the Temptations, Al Jarreau, Chicago,
Whitney Houston, Marcus Miller etc), Fred Zarr(Key, Dionne Warwick,
Four Tops, Arthur Baker, The Spinners etc)などが参加しています。
プロデューサーには、Stevie WonderのバッキングやMiles Davisバンドの
ギタリストとしても知られるReggie Lucas(Stephanie Mills,
Phyllis Hyman, Roberta Flack)が担当しています。
80年代後半という時代を考慮すれば当然かもしれませんが、全体として煌びやかなシンセの
音が非常に特徴的で、ディスコに近いグルーブのある音像となっていると思います。
イントロの東洋的なシンセフレーズが印象的な#1Can't Stand The Painは流石に時代を
感じる音と言う感じですが、#2Actual Emotional Loveのあの波打つようなシンセベースの
作るグルーブと、ミニマルなリフを弾くシンセの音の中で、朗々としたボーカルが
歯切れ良く歌います。#3World Of Foolsは、サウンドコラージュのように挿入される
Reggie Lucas自身によるシルキーな歪みのリードギターと、クリーンのカッティングが印象的で、
ゴスペルライクなコーラスの入ったサビも、気怠い感じの歌唱で良い。
ダンサブルで印象的なサビメロがキュートな#4Betchaは、レイドバックしたベースラインと、
サビメロを繰り返すキラキラとしたシンセに短いソロもあります。お気に入り。
純粋な愛が歌われた歌詞が胸を打つピアノバラ―ド#5Higher Than Anyone Can Countは、
打ち込みのドラムスとAnthony Jacksonのベースが作るゆったりとしたグルーブに、
転調を挟んでヒートアップした歌唱が堪能できます。
バキバキのドラムスとひたすらに鳴るハイハットが疾走感を演出するダンサブルな#6Desireは、
シンコペーションの入ったベースリフもシンプルな繰り返しで、ディスコ的なグルーブを作ります。
一転してへヴィになったドラムスと、Ray Parker Jr.のキレッキレなリズムギターの映える
ダークなフィーリングのある#7Gettin' Away With Murderは、Patti Austinの1985年作品の
カヴァーで、堅いグルーブがあってお気に入り。
続いて、イントロのカッティングからさらにファンキーになった#8Overnightは、
シンセのクサいヴォイジングを挟みながら、ハイライトとなるReggie Lucasのブルージーで
熱いギターソロを迎えていきます。
Randy自身による作曲のピアノ弾き語りにストリングスを加えたシンプルなバラード
#9Almazは、哀愁に満ちたメロディを弱々しく歌う表現が素晴らしい。
1986年作の映画Wild Catsサウンドトラックからのカヴァー#10Don't Wanna Be Normalは、
他の楽曲と制作メンバーの顔触れが異なりますが、さほど浮いている印象はありません。
他のブラックコンテンポラリー関連のボーカリストと比べると、
方向性が曖昧で、本作のようにポップスに傾き過ぎたアルバムだと楽曲のスリリングさに
欠ける部分があるのも確かですが、良い曲もあります。
セールでジャケット買い(300円!)でしたが、これもお得な買い物でした。

World Of Fools

Betcha

Gettin' Away With Murder

Almaz

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  1. 2014/05/28(水) 02:15:58|
  2. Randy Crawford
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
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9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
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