私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(315)

Album: Knock The Walles Down
Artist: Steve Kipner
Genres: Soft Rock, AOR

Knock The Walls Down


アメリカ、オハイオ州シンシナティ出身のシンガーソングライター、音楽プロデューサー。
1950年生まれ。40年以上の長きに渡って、プロデューサーとして、
Olivia Newton-John/Physical, Chicago/Hard Habit to Break(グラミー賞ノミネート)
Christina Aguilera/Genie in a Bottle, Natasha Bedingfield/These Words,
98 Degrees/The Hardest Thing, Dream/He Loves U Notなど、そして最近では、アメリカの
オーディション番組である"American Idol Season 8"で優勝を果たしたKris Allenのシングル
Live Like We're Dyingや、Cheryl Cole/Fight for This Loveなどのプロデュースを
行うなど、ヒット曲を出し続け、活発に活動を続けています。
彼の父であるNat Kipnerは同じく音楽プロデューサとして
Johnny Mathis & Deniece Willams/Too Much, Too Little, Too Late(US#1)を
生み出した人物として知られています。
この父の力もあってBee GeesのMaurice Gibbらと知り合い、1965年にSteveは自身初の
グループとなるSteve and The Boardのアルバム...And The Giggle Eyed Goで彼の楽曲が
収められています。しかしながら、Maurice Gib関連でToast And Marmalade For Teaなどが
ヒットを記録するものの、なかなか彼自身の知名度は上がらず、グループ名を
Steve & Stevie, Tin Tinなどと変えつつ活動を続けていました。
Bee Geesの全米ツアーへの帯同、自身の参加していたグループFriendsのアメリカでの
レコーディングとリリースなどもあって、彼は幼少期から住んでいたオーストラリアから
アメリカへと、活動の拠点を移していくこととなります。
渡米後もなかなか成功には至らなかった彼は、セッションの場で偶然若き日のJay Graydonと
知り合う事となり、彼のプロデュースを得てRSO Recordからシングルを発売します。
これも売れず仕舞いでしたが、必死の働き掛けでアルバム制作の権利を得ます。
シングルの権利を買い戻して、アルバムは1979年に発売されることとなります。
Steveがソロ名義で発売したアルバムは後にも先にも今作だけ、ということとなりました。
そして本作は、Jay Graydonにとっても初めてのプロデュース作品という事になります。
彼のコネクションの力で、Steve Lukather(G), Larry Carlton(G), Michael Omartian(Key),
David Hungate(Key), Jeff Porcaro(Dr), Bill Champlin(Cho), Tom Kelly(Cho)という
錚々たるスタジオミュージシャンが集まり、勿論Jay自身によるギタープレイも
しっかりと収録されています。
#1The Beginningは、キラキラしたハイの音が気持ち良いリズムギターのリフと、
曲間に入ってくるGraydonのリードギター、スラップを絡めたベースラインで
ソリッドに展開する前半から、分厚いコーラスでスペイシーにして変化を付けます。
表題曲の#2Knock The Walls Downは、バリバリした歪みのイントロリフが如何にも
Graydonらしい音ですね…サビではストリングス系の音を出すキーボードが幻想的です。
コーラスの掛かったような音のギターソロも蕩けそうです。素晴らしい。
ダンサブルなベースラインと軽快なロールが入ったリズムパターンが太いグルーブを作る
#3Lovemakerは、短い一曲ですが当時の黒人のパターンミュージックの影響が垣間見えます。
テンポを落としたダークな#4School Of Broken Heartsは、サビでの女性コーラスの
スムースさの中で、少し鼻にかかったようなSteveのボーカルが際立っています。
サビの前のギターのフレーズはお約束、と言う感じですが当然良いです。
キメの後は大仰なゴスペルライクなコーラスがあって壮大に終わっていきます。
サビでのロングトーンが印象的な#5War Gamesは、曲のアウトロに爆撃の音のようなSEが
入っており、繊細な男性を描く歌詞と強烈な対照を成しています。
キラキラしたアコギはSteve Lukatherが弾いています。
Steveの一人多重録音によるコーラスで始まるバラード・シングルの
#7Love Is Its Own Rewardは、全体を通して配されたコーラスと、
エモーショナルな歌唱のバックでGraydonのギターが唸る、本作の中でもとりわけ
ポップス寄りな一曲に仕上がっています。お気に入り。
#8Cryin' Out For Loveは、Jeff Porcaroの得意とするシャッフルのリズムが
心地良い一曲で、スネアのアクセントによって生まれる揺れ感は正しく職人技です。
サックスソロの直前から徐々にボルテージが上がっていき激しくなっていく
フィルにはニヤニヤが止まりません。お気に入り。
#9Guiltyは、Michael Omartianによるピアノとストリングスに、切々と歌うボーカルで始まり、
切ないファルセットのロングトーンを起点に、ファンキーなカッティングと
Jeff Porcaro(Dr)のハードなドラミングで上昇していく進行とともに熱量は最高潮に達して…
再び冒頭の弾き語りに戻っていきます。お気に入り。
表題曲の#2のテーマの中で#10The Endingは、歌いながらバンド紹介をしたのち、
Jay Graydonの、生涯最高の名演の一つと言われている、
一分以上にも及ぶ超ロングギターソロが収められています。
あのシルキーで太いトーンと、ハイフレットでのどこまでも突き抜けるような
チョーキングの音を聴いているだけで、幸せな気持ちになってしまいます…
トーンの良さも勿論ですが、絶妙にアウトした音を織り交ぜたフレーズの構成力、
弾き過ぎないギリギリのところでフレーズに間を作って走り抜ける疾走感といい…
もうホント、最高です。
万人に訴求力のあるキャッチ―なメロディと、最高のギタープレイに緊張感のあるリズム隊、
紛れもないソフトロックの名盤だと思います。
Graydonのギターの音を、思う存分浴びることができます。

Knock The Walls Down

Love Is Its Own Reward

Cryin' Out For Love

Guilty

The Ending

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  1. 2014/07/13(日) 20:47:19|
  2. Steve Kipner
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  4. | コメント:0

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
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