私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(323)

Album: Ain't Nobody Worryin'
Artist: Anthony Hamilton
Genres: R&B, Soul

Aint Nobody Worryin


アメリカ、ノースキャロライナ州シャーロット出身の歌手。1971年生まれ。
10歳の頃から教会の聖歌隊で歌うようになり、高校在学中には合唱で
コンクール優勝などを果たして、1993年に地元を離れて歌手となるべく
ニューヨークへと移住します。
そしてモータウンのCEOであるAndre Harrell(1960-)のレーベルである
Uptown Recordsと契約を結んで、96年にはMCA Recordからソロアルバムを発表した
その後しばらくは、他のアーティストのフィーチャリングやバックコーラスとしての
活動が中心となって行きます。99年にはDonnell Jonesのヒット曲U Know What's Upの
共作を手掛け、2000年にはD'AngeloのVoodoo発売時のワールドツアーに
バックコーラスとして参加しています。
彼の名が知れ渡るきっかけとなったのは、
彼がゲストとして参加したNappy Roots/Po' Folks(2002)が
Grammy AwardのBest Rap/Sung Collaborationにノミネートされたことでした。
これによって加速度的にフィーチャリングの仕事が舞い込み、
The RH Factor, Angie Stone, Buddy Guy, Santanaなどとのコラボレーションをする傍ら、
2003年のAristaからのソロアルバムであるComin' from Where I'm fromは
US#33, R&B#6を獲得、Grammy Awardでは三部門でノミネートされ、
最終的にはミリオンセラーとなりました。
2001年にロサンジェルスのインディーレーベルSoulifeで録音していた
作品の再発であるSoulife(2005)のリリースを挟んでの、
本作は2005年作の3rd。US#19, US R&B-Hip Hop#4を獲得しています。
プロデューサーとしては、前作でも関わった
Mark Batson(Eminem, Snoop Dog, Alicia Keys, Maroon 5, Beyuonce etc),
James Poyser(Erykah Badu, D'Angelo,The Roots, John Legend etc)が
中心となって行い、ゲストプロデューサーとしてRaphael Saadiqや、
彼との共作経験の多いJake and the Phatmanなどが多数参加しています。
内容としては、非常に古典的なソウルミュージックで、
歌唱は巧みなファルセットや低音の響きの豊かなチェストで、
Donny Hathawayのようなテイストもあります。
キーボードやオルガンの鳴り方なんかは、そのままサザンソウルのそれで、
流行の先端であったネオソウルに見られるような、
ヒップホップ由来のソリッドな音遣いやポップなR&Bのキラキラとしたサウンドとは離れた、
アナログで、ブルージーで暖かいフィーリングがあって、
Anthony自身の優れた作詞能力もあいまって時代に左右されない音になっていると思います。
#1Where Did It Go Wrong?は、重々しいキックと、か弱いファルセットの入った歌唱に
不穏な空気を醸し出すオルガンやワウの掛かったシンセがダークな一曲です。
The Isley Brothers/I Need Your Bodyにそっくりなイントロのシンセとリズムで
メロウに進行するクワイエットストームの#2Southern Stuffは、
シンセのリフが冒頭から続いて鳴る中で歯切れの良いボーカルが渋いです。お気に入り。
弱々しいエレピのイントロと、生々しいリズムトラックと、
対照的な暖かくゴスペルライクなコーラスの温度差が心地いい#3Can't Let Goへと続きます。
表題曲の#4Ain't Nobody Worryin'は、細やかに配されたパーカッションの作る
複雑でクールなグルーブの中で、訥々とした、野性的なトーンの
ボーカルが映えています。お気に入り。
キーボードソロから始まる#5The Truthは、非常に耳に近い位置に定位された高音のコーラスと、
MCのごとく配置された低音の歌唱が交互に耳を撫でていきます。これも良い。
#6Preacher's Daughterは、本作の中でもとりわけ肉体的でファンキーなサウンドに
仕上がっており、ボルテージを上げながら迫ってくるコーラスと、
Tarsha' McMillianのブレスリーで情感たっぷりなボーカルをバックにして、
鬼気迫るラップをかましていく展開は熱い、熱過ぎます。最高です。
#7Pass Me Overは、淋しげなピアノのバッキングとアウトロでのソロ、
サビでのスケールの大きなコーラスは鳥肌ものです。
アルバムの中で異彩を放つレゲエのリズムを取り入れたJames Poyserプロデュースの
#8Everybodyは、アタックの音が心地良いリズムギターやドラムスが牧歌的なリズムを
刻んでいますが、女性コーラスやサビでの透き通ったファルセットの歌唱が
物哀しさを残していて、他の楽曲とも不思議なマッチを見せています。お気に入り。
ピコピコなシンセが枯れたリフを鳴らす打ち込みファンクの#9Sista Big Bonesは、
アウトロでの口ベースも楽しい。
Larry Goldによるドリーミーなストリングスアレンジが鮮やかで
ストレートなバラードの#10Change Your WorldもJames Poyser作で、
サビでのブレイクを挟んだ展開が切なさを増幅させています。
アウトロのリズムチェンジとスウィンギーなピアノもセンス抜群です。お気に入り。
Hamiltonnファルセットでの歌唱に焦点を当てた#11Never Love Againは、
最小限に抑制されたビートと、高音のキラキラとしたシンセで最小限のアレンジで
まとめられています。どっしりとサウンドを支えるベースのスライドがアクセントです。
#12I Know What Love's All Aboutは、ワウの掛けられたオルガンや
音数の少ないカッティング、どっしりとしたキックの印象的なリズムトラックですが、
ベースは動きが大きく、オルガンと共に歌唱のボルテージが上がるのに
呼応して曲を盛り上げていきます。
アメリカ国内では評価が高く、セールスも記録しているにもかかわらず、
案外日本での知名度が高くないような印象がある彼ですが、
内容としては非常に大人向けで、渋くオーガニックな香りもある落ち着いたソウルです。
キャッチ―でキラキラした音のポップス、或いはクラブミュージック寄りで
アシッドジャズ的な、派手なR&Bが人気となりがちな国内で、
こういう作品ももっと評価されると良いなと妄想に耽っております。
落ち着いた気分でじっくりと聴きたい傑作。

Southern Stuff

Ain't Nobody Worryin'

Preacher's Daughter

Everybody

Change Your World

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  1. 2014/08/06(水) 01:00:39|
  2. Anthony Hamilton
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

プロフィール

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは50,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
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