私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(324)

Album: Kaleidoscope World
Artist: Swing Out Sister
Genres: Blue-Eyed Soul, Pops, Jazz Funk, Acid Jazz

Kaleidoscope World

イギリス、イングランド、マンチェスター出身のポップ/ブルーアイドソウルユニット。
1984年結成。メンバーは Andy Connell(Key), Martin Jackson(Dr),Corinne Drewery(Vo)の
三人で、プロデューサーの Paul Staveley O'Duffyに見出され、
Mercury Recordsからデビューを果たします。
彼らの最初のヒットである1986年末に発表されたシングルBreakoutはUS#6, UK#4を
記録する大ヒットとなり、日本でもディスコブームの中でパワープレイされることとなります。
ソウルやR&B,ファンクなどの黒人音楽と、ジャズフュージョンを中心とした
クロスオーバーの中に、当時流行であったシンセサイザーを積極的に取り入れた
派手なサウンド、テクノに近い音遣いやハウスのビート感を取り入れたデジタルで
ダンサブルなサウンドから、シンフォニックなアレンジ、或いはラテンのリズムや
ハーモニーを取り入れた楽曲に至るまで、その作風は多岐に渡っています。
他にはJohn Barryの映画音楽(Midnight Cowboy)からサンプリングを行った
#3Forever Blueなどの楽曲や、Carole King, Laura Nyroなどの女性シンガーソングライター
の楽曲のカヴァーや、La-La (Means I Love You)/The Delfonicsのような
ソウル(山下達郎のカヴァーはライブアルバムJoyに収録)のカヴァーなど、黒人音楽乃至はそれに
近しい音楽性を有するアーティストのカヴァーが目立つ傾向にあります。
殆どの楽曲の作編曲を担当していたAndrew "Andy" Connell(1961-)は、
元々クラシックピアノのプレーヤーでしたが、マンチェスター大学入学後
哲学を学ぶ傍らポストパンク/ニューウェーブを演奏していたThe Immediateと言うバンドや、
エレクトロ~ファンクバンドのA Certain Ratio, そして現在のクラブジャズ、
アシッドジャズの源流ともなった伝説のバンドであり、ネオアコ関連のミュージシャンへの
影響も強いKALIMAなどに在籍していました。
本作は1989年作の2ndオリジナルアルバムで、電子音と流麗なオーケストレーションの
共存が試みられた楽曲、ダンサブルで肉体的なグルーブのある楽曲がある中で、
全体を通じてBurt BacharachやEnnio Morriconeのような映画音楽への
強い憧れが見受けられ、多彩な楽曲が収録されています。
ストリングスのアレンジ(一部のみですが)は、The Fifth Dimension, Supremes,
Frank Sinatra, Temptationsなど無数のアーティストを手掛けてきた
Jimmy Webbが担当しており、幻想的で分厚い音像に仕上がっています。
疾走感のあるフィルから始まる#1You On My Mindは、バイオリンの高音が煌びやかな
ストリングスとブラスのオブリガート、徐々に上昇していく進行が心地よいポップス。お気に入り。
#2Where In The Worldは、強く歪んだエレキギターの単音リフや太いベースラインと、
ファンキーなドラムスでダンサブルにしつつ、Jimmy Webbによるオーケストレーションでは
幾重にも重ねられたフリューゲルホルンの分厚い音が楽しめます。
背後で微かになるグロッケンベルやハープシコードのような音のキーボードが
アクセントになっています。お気に入り。
#3Forever Blueは、レイドバックしたドラムスでどっしりと進行するメロから、
サビにかけてソウルフルなコーラスと哀愁あるハーモニカ、とともにストリングスの
音の波が最高潮となっていきます。
#4Heart For Hireは、リフレインするサビが印象的で、ドラムスに加えてティンパニの
音が入っており、アウトロではフリューゲルホルンの長いソロがジャジーです。
#5Taintedは、Martin Jacksonによる打ち込みのドラムスをバックにして、
粒の荒い歪みの掛かったシンセから、妖しげなサビにかけてはパーカッシブなプレイで
リズムに起伏の付いたプレイになっており、1stのニューウェーブに近い
コズミックなサウンドに仕上がっています。
一転してスムースなストリングスとキメの多いホーンのフレーズや、
シンセで派手に味付けされた#6Waiting Gameは、歪んだリードギターが入ってから
後半ではワウの掛かったカッティングが肉体的なグルーブの鍵を握っている一際ポップな一曲です。
Breakoutのヒットしたアメリカでシングルカットされているのも納得できます。
スパニッシュなギターの打ち込みとパーカッションに、時折挿入されるリヴァーブの掛かったSE、
Corinneの歌唱がスケールの大きさを演出する#8Masqueradeも異彩を放つ一曲で、
デジタルな感触のあるオケとアウトロの悲しげなコーラスが素晴らしくマッチしています。お気に入り。
Andy Connelの長いシンセソロが聴き所の#9Between Strangersに続いて、
スキャットが入る以外にはほぼインストの#10The Kaleidoscope Affairは、
ストリングスが鳴り渡る中で、スパニッシュなパーカッションとAndyのシンセ技が光る
スケールの大きな前半から、後半ではウォーキングベースが始まってジャズに変化していき、
Tim Cantsfieldのギターソロが泣いていて素晴らしいです。
#11Coney Island Manは、ブラジリアンなグルーブのあるリズムトラックに、
Cornnieの脱力したファルセット気味なスキャットをバックにして、
ハープシコードがスウィンギーに、軽やかに弾んで歌っています。
全体としてニューウェーブ寄りの作風であった1stの電子音、打ち込みによるリズムトラックの
要素は適度に残しながらも、より暖かくアコースティックなタッチのある、
オールディーズから脈々と続く古典的なポップスへと傾倒したサウンドに生まれ変わっており、
聴きやすく、かつ緻密なアレンジが施されています。
Jimmy Webbによるストリングスが全曲に施されていたら、もっと時代に左右されない
作品に仕上がっていたかもしれませんが、いずれにせよ内容としては非常に
高度で洗練された、都会的なポップスアルバムだと思います。

You On My Mind

Where In The World

Tainted

Waiting Game

Kaleidoscope Affair

Coney Island Man

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  1. 2014/08/06(水) 17:47:19|
  2. Swing Out Sister
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  4. | コメント:2

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
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