私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(401)※

Album: Niteflyte, Niteflyte Ⅱ
Artist: Niteflyte
Genres: Funk, Soul

Niteflyte

Niteflyte2

アメリカ、フロリダ州マイアミ出身のフィリーソウル、ファンクユニット。
メンバーはSandy Torano(G, Vo)とHoward Johnson(Vo, Perc)の二人です。

キューバ出身のスタジオミュージシャンであったSandyが、77年にマイアミのバーで
地元出身のHowardと出会い、地元でバンドを組んで活動を共にし、
1979年にNiteflyteの名を名乗るようになります。

当時SandyはTornaderというバンドを組んでおり、シングルBack UpはUSR&B52位にランクインするなど、
徐々に活躍の兆しを見せている頃でした。スタジオミュージシャンとしてはThe Brecker Brothersの
Don't Stop The Musicをはじめとして、Johnny Winter, Joe Beck, Larry Youngなど、
幅広いジャンルのアーティストのバッキングとして名を馳せていたようです。

Niteflyteの方は、デビューシングルIf You Want ItがUSR&B21位、USPOP40位に入るなど、
ヒットを博しますが、アルバム2枚で解散、John Howardはその後ソロ活動へと移行していきます。

しかしながら彼らが日本の音楽シーンに与えた影響は大きく、1980年には、Ride On Timeヒット前の
山下達郎が、吉田美奈子を交えてFM局のスタジオライブ番組内でIf You Want Itをカヴァーし、
後のFOR YOUに収録されている彼の代表曲の一つ、SPARKLEの元ネタとなっていると考えられます。
それ以外にも、2ndのNiteflyte2に収録されているYou Areは、SMAPのヒット曲となった
がんばりましょうの元ネタとなっていることも知られています。

2ndの方が当時の評価は高かったようですが、LPは国内盤がプレスされず輸入盤のみであったため、
入手はなかなか難しい状態が続いていたようです。現在では2作ともにリマスターされ
クリアな音質で聴くことができるのは幸せなことだと思います。

カラリとしたクリーントーンのカッティングに、蕩けるようなファルセットのボーカル、
シルキーなストリングスなど、フィリーソウルのおいしいところが完璧に内包されていて、
リズムにはレゲエの影響を受けたもの、フュージョンテイストの強いもの(まさに山下達郎
サウンドに近いといえると思います)、AOR的なジャジーで艶やかなもの、
アーバンなギターインストなど、ムーディーな楽曲に満ちていて、何度聴いても飽きさせません。
邦楽の同時代的なシティポップやAORの好きな方は聴いておいて絶対に損はないアルバムだと思います。一押しです。

If You Want It

I Wonder

You Are

You're Breaking My Heart

Anyway You Want

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  1. 2015/11/26(木) 23:44:05|
  2. Niteflyte
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今日の一枚(398)

Album: Central Line
Artist: Central Line
Genres: Disco, Funk, Soul

Central Line

イングランド、ロンドン出身のディスコ、ファンクバンド。1978年結成。1981年作の1st。

活動期間は1978年から1984年と短いですが、2つのヒットシングルを発売しており、
本作収録のWalking Into SunshineはUSSoulで14位となったり、ヒップホップの
サンプリングソースとして多くのアーティストに用いられています。

このCentral Lineは、以前に私的名盤紹介で紹介しましたアシッドジャズバンドの
Head Quarters(アシッドジャズタブを参照)の後身となるバンドで、
メンバーのSteve Salvariが率いています。
そちらの方の記事にCentral Lineのバイオグラフィーについても説明していますので、
詳細はそちらを参照して下さい。(Headquartersの記事はこちらを参照のこと)

内容としては、ヒットとなったWalking Into Sunshineは81年らしいギラギラとした
ディスコチューンですが、硬質なファンクネスが満ち満ちた演奏で、ジャズファンク的な
アプローチの曲、フュージョン~ブラコン的な雰囲気を湛えたもの、
アコースティックなバラードなど当時のトレンドの最先端を行く出来で、
もっと売れて再発されていても良い作品だと思います。

ヒット曲となった表題曲の#1Walking Into Sunshineは、軽いドラムスによる4つ打ちのパターンに
ハンドクラップ、歯切れの良いシンセのリフ、右チャンネルを流れる単音カッティングが絡みつく
冒頭部から、コーラスを起点にして少しダークさを帯びたフックがキャッチーな一曲。最高。
さらにビートが強調されカッティングとコズミックなシンセがフィーチャーされた
パターンミュージック#2I Need Your Loveは、ブリッジではファルセットのコーラスと
ジャジーなコードワークで変化がついています。後半のインストパートはベースソロ、
コードリフが前面に出たアレンジになっています。お気に入り。
Stuffを思わせるようなインストR&Bの香りがしながらも、パーカッションの使い方や
スラップの印象的なベースラインにラテン、ディスコの香りがする#3Breaking Pointも素晴らしいです。
オクターブ奏法によるギターのリフ、歪ませたシンセベースなどはブラコン、フュージョン的な香りがして、
時代を先取りしている音だと思います。
コーラスの掛かった長いギターソロを取り上げた#4Shake It Upは、ファンクロック的なアプローチの
ギターソロを堪能できます。
サスティーンの短く高音成分の多いベースと、左右に定位を揺らしながら流れるカッティング、
AOR的なキメのあるリズムが合わさった#6Don't Tell Meは、分厚いコーラスをフィーチャーした
サビが異色な一曲です。お気に入り。
アコギのアルペジオと透き通った処理が美しいコーラスがEWFを思わせるような
極上のバラード#7Goodbyeで締めくくっていきます。最高。

80s初頭のディスコミュージックとしても隠れた名盤だと思いますが、
当時のAirplayやEWFのようなサウンドを好まれる方も嵌れるようなグルーブに
満ち満ちた一枚だと思います。もっと聴かれてもいいアルバムだと思います。愛聴盤。

Walking Into Sunshine

I Need Your Love

Don't Tell Me

Good Bye

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  1. 2015/09/17(木) 17:26:28|
  2. Central Line
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今日の一枚(364)

Album: Changing Times...
Artist: Head Quarters
Genres: Club Jazz, Acid Jazz, Blue-Eyed Soul

Head Quarters

イギリス、ロンドン出身のジャズファンク、ポスト・ディスコバンドである
Central Line(1978-1984)のボーカリスト/キーボーディストであるSteve Salvariを
中心とするアシッドジャズ、クラブジャズユニット。1997年作の1st。
本作の他にオリジナルアルバムが存在するかどうかは確かめられませんでした。

現在、Steve Salvariはロンドンに拠点を置くMoondance Musikというプロダクション会社を
設立し、音楽プロデューサー、スタジオミュージシャンとしてRobert Palmer,
Barry White, Sheena Easton, Lulu, Chaka Khan, Incognito, Ronny Jordanなどを
手掛けた実績もあるということです。最近はR&B, ヒップホップ系のミュージシャンを
多く手掛けているようで、シンガーソングライターのChidiなどの楽曲提供を行っています。

幼少の頃から音楽に親しんでいた彼は、学生時代から弟のBurt Salvari(G)とバンドを組んで
活動していました。その頃にはStyle CouncilのベーシストであったCamelle Hindsと
TFB (Typical Funk Band)というバンドを結成、一年間の活動の後、
メンバーを入れ替え、Central Lineとして活動、代表曲のWalking Into Sunshine(1981)は
本国イギリスよりもアメリカでヒット(USBlack#14, USClub#5)することとなります。
Central Lineでは Roy Ayers, Grover Washington Jr., Fat Larry's Band, The Real Thing
など錚々たる面々のツアーに参加し、ライブを行っていました。
Central Line解散後、Camelle Hindsは1996年にソロアルバムを発表、ここでも
Steve Salvariはプロデュース、作曲を行っています。

この直後にセルフプロデュースとして発表されたのが本作で、彼にとっては初の本格的な
ソロアルバムと言うことになります。ボーカリストにはDepeche Mode, George Michael,
Barry White, David Bowie, Joe Cocker, Paul Young, CJ Lewis, Beats Internationalなどの
作品に参加してきたJordan Baileyをゲストに迎え、全編でソウルフルなボーカルを聴かせます。

音楽性としては、当時全盛期から少し過ぎていたBrand New Heavies, Incognito,
Jamiroquaiなどのアシッドジャズ的なサウンドで、ドラムは打込み然としており、
ハウスに近い音像の楽曲もありますが、歌唱の技術が素晴らしく、
エモーショナルなサックスソロなど、人間味のある肉体的なサウンドに仕上がっています。
Steve Salvari自身によるキーボードもファンキーで、フリーキーなソロが聴き所です。

イントロのリフを繰り返すエレピがファンキーなアシッドジャズ#1Feel So Highは、
ストリングスは遠くに定位されていてSwing Out Sisterを思わせるようなデジタルな音で、
サックスソロからはブラジリアンなテイストのあるパートへと変化します。最高。
打込みによるキックと、徐々に下降していくエレピのコードバッキングが歯切れの良い
#2All My Loveは、サビではソウルフルなコーラスとホーンのサンプリングが彩ります。
レトロな音作りの女性コーラスがループされて始まる#3Take A Chanceは、
サビに向かって徐々にストリングスが入ってくる大仰なアレンジがされています。
うねりのあるベースラインと妖しげなハーモニーに掴まれるスムースジャズ~クラブジャズな
#4Come To My Worldは、メロディに歌謡っぽい情感があります。お気に入り。
インストによるインタールード的な一曲#5Groovin For The Leshは、ソロ回しを中心に据えた
ファンキーなフュージョンに仕上がっています。サックスソロ、エレピソロが熱いです。
ローファイなシンセのストリングスとデジタルな打込みドラムスに、
巧みなファルセットを絡めたボーカルがソウルフルな#6Summertimeもお気に入り。
#7Wishing Wellは、アコギのカッティングと、ブラコンを思わせるようなキラキラしたシンセが
絡みつくダンサブルな一曲。長めのトランペットソロが入っています。
ワウの掛けられたシンセベースによるオクターブ奏法を絡めたリフと歯切れの良いコーラス、
四つ打ちを基本にしたキックによる音数の少ないイントロから一気に盛り上がっていく
80s的なディスコチューン#8Give Me Loveは、メロディにネオソウル的な翳りが垣間見えていて、
冷ややかな魅力のある一曲だと思います。
間奏になると打込みリズムのハウスっぽさが強調されて最高。
表題曲の#9Changing Timesは、EWFばりのホーンのオブリガートが激しく決まるイントロから、
コズミックな魅力のあるボーカルパート、そして派手なキメを起点に再び
ブラスとパーカッションの強調されたインストのパートへと切り替わります。
中間部ではSteve Salvariによる流麗なエレピソロがフィーチャーされています。最高。
#10Prayer For The Worldは、Steve Salvariによるピアノとサックスだけによる
静かな哀愁漂うインストのバラードで、Burt Bacharachを思わせるようです。これもお気に入り。
#11は#6のリミックスバージョン(Cool Jazzy Version)で、よりレイドバックした
アレンジとなり、グロッケンシュピールによるソロが入り、
リズムはR&Bっぽい打込みへと変化しています。これも良いです。
#12も#6のオリジナルバージョン(デモバージョンのことでしょうか)となっており、
他のトラックと比べるとローファイな音ですが、四つ打ちのキックとリズムギターの
単音カッティングが強調され、ラップにピアノソロもありと、
より肉体的なサウンドとなっています。これもお気に入り。

全体として爽やかなアシッドジャズ~UKソウルと言う感じですが、
音に翳りのある感じ、リズムによりハウスっぽい打込みが多用されている部分などが
彼らの個性を感じます。Brand New HeaviesやIncognito,Swing Out Sisterなど
好きな人には堪らないサウンドだと思います。佳作。

音源が見つからなくなったので、紹介ページを貼っておきます。

HMVの紹介ページ

Discogsによる紹介

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  1. 2015/01/26(月) 15:21:24|
  2. Head Quarters
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今日の一枚(357)

Album: Jarrod Lawson
Artist: Jarrod Lawson
Genres: Neo Soul, Blue-Eyed Soul, R&B, Jazz/Fusion

Jarrod Lawson

アメリカ、オレゴン州ポートランド近郊モララ出身のシンガーソングライター、
マルチプレーヤー。1976年生まれ。2014年作の1stフルアルバム。

自宅兼レコーディングスタジオを持ちプロのスタジオミュージシャンであった父の影響で、
2歳の頃からドラムス、12歳からピアノを弾き始めます。
幼少期に、膨大であった父のレコードコレクションの中からDonny Hathawayや
Stevie Wonderと言ったニューソウルを発見し没入していった彼は、10歳でSongs In The Key Of Lifeを
聴いてシンガーソングライターになることを志します。他にも、Maurice RavelやFrederic Chopinなどの
クラシック音楽に加えて、Oscar Peterson, Chick Corea, Erroll Garnerなどといった
ジャズピアニストのリーダー作品、或いはCommon, The Roots, Q-Tip, Mos Defといったような
Native Tongue~オルタナティブ・ヒップホップを聴き漁っていたということらしく、
複雑に構築されたハーモニーの感覚はその辺りから来ているように感じます。

高校卒業後はオレゴン州オレゴンシティにあるClackamas Community Collegeにて
音楽を学び、教会の聖歌隊で歌いつつ、地元のバンドでピアノボーカルとして活動します。
A New Groove, +SoulMates-といったグループでの活動が確認されているようです。
音楽活動は2009年頃から本格化し、Good Peopleと言うバンドで、Christopher Frisen(B),
Farnell Newton(Trumpet), Joshua Corry(Dr), Chance Hayden(G)という5人組で活動していました。
本作でも、Haydenを除くメンバーが録音に参加しており、ライブツアーもJarrod Lawson & Good People
という名義で行っているということだそうです。

本作に収録されている楽曲は、Lawson自身が10年間ほどの間に書き溜めてきたものを
纏めているということで、2012年には曲が完成、そこからさらにエンジニアに
Prince/Diamonds & Pearls, George Clinton/Smell My Finger, 日本国内ではPink Martiniとの
コラボレーションアルバムである由紀さおりの1969, The TimeのPandemoniumなどを手掛けた
David Friedlanderを招き、マスタリングにはCarole King/tapestry, Michael Jackson/Thriller,
Steely Dan/Aja, Prince/Purple Rain, Dr.Dre/Chronicといった知る人ぞ知る傑作に
数多くかかわってきたBernie Grundmanが参加することとなったということからも、
如何に彼が期待されているか、ということが窺われます。

こうして制作された本作は、2014年の5月に自主販売と言う形でひっそりと世に出される
こととなりますが、当初アメリカ国内ではあまり目を付けられず、
ブレイクのきっかけとなったのはイギリスの雑誌Echoes Magazineに取り上げられた
ことでした。その後に自主販売分は完売し、イギリスのソウル系のレーベルである
Dome Recordsと契約を結び、イギリス国内のラジオSolar Radioでもパワープレイ
されるなど人気を博しています。

Lawsonはここ数年間、毎年6月の頭頃にメリーランド州、ワシントンD.C.の郊外にある
GaithersburgColumbiaで行われているAC, ソウル、ジャズを中心とした
巨大な音楽フェスティバルであるCapital Jazz Festに参加しており、
今年のステージではErykah Badu, John Legendのステージで前座を務めています。
余談になりますがその他にも今年はChaka Khan, Incognito, The O'Jays, Michael Franks,
George Dukeなどのビッグネームが参加しており、筆者も個人的に行ってみたいと思うところです。

ということで前置きが長くなりましたが、本作はLawsonによるセルフプロデュース作品で、
先ほども話しましたGood Peopleのバンドメンバーによる生演奏での録音です。
ハーモニーにはジャズからの影響が色濃く、一聴するとAja, Gaucho期のSteely Danや
Donald Fagenのソロに近いようなサウンドと言うことになると思います。
インスト部分もそれなりに長く、ギターソロ、ピアノソロなどもかなり往年のSDを意識したものになっています。
特筆すべきは非常に緻密なコーラスワークで、ゴスペル直系の泥臭さ、力強さがありながら、
あのTake 6を思わせるような複雑なハーモニーを完璧に演出しています。
リードボーカルは、少しキーが高めで、絞り出すようなブレスリーなファルセット、
ビブラートの感じが堪りません。曲によっては自らラップを披露する楽曲、
ドロリとしたファンクやラテンのリズムを取り入れたものなど、多彩で飽きさせません。
録音もクリアで分離が良い音だと思います。

自身の音楽を宇宙への旅とまで表現してしまうポエトリーリーディングから始まる
#1Music and Its Magical Wayは、後の曲にも出てくるベースリフを中心としながら、
無機質なハンドクラップの作るリズムの中で幾重にも重ねられたコーラスの
スペイシーな感覚が堪りません。アウトロのピアノソロも素晴らしい。
ラテンフュージョンと言った趣の強い#2Sleepwalkersは、トレブリーなベースのフレットレスのような
角の取れたトーン、フルートのリードプレイがスピード感を生み出しています。
ファルセットによるコーラスで複雑なハーモニーを構築していくスタイルは一貫しています。
トレモロを効果的に用いたブルージーなピアノソロはスキャットで締めくくられます。
スキャットとベースのユニゾンがあった後は、パーカッションの音が
一気に分厚くなっていきます。お気に入り。
ピアノの妖しげなコードヴォイジング、端正で乾いたドラムスが冒頭からSteely Danを強く思わせる
#3He's Thereは、彼の得意とする美麗で複雑な一人多重コーラスがそこかしこに敷き詰められています。
曲後半では歌唱と言うよりは殆どラップのスタイルへと変化していき、
リズムはラテンっぽさを増して行きます。ドリーミーなコーラスがあり、
テクニカルなギターソロで曲はクライマックスを迎えます。最高。
更にリズムコンシャスになったジャジーな#4Walk In The Parkは、#3からの空気をそのままシームレスに
引き継ぎながら、コーラスの質感はよりソウル寄りとなっていて、
リズムにはラテンのフィーリングがあります。コーラスで素早いコードチェンジを
繰り返すキメは鳥肌ものです。お気に入り。
鳥のさえずりがSEとして取り入れられ、神秘的なストリングス系のシンセ、
エレピが絶妙に左右に揺れながらコードを鳴らす異色な#5All That Surroundsは、
ベースラインがメロディアスで、派手なフィルを弾き倒しています。ベースソロもクールです。
#6Think About Whyは、アフリカンなパーカッションを積極的に取り入れており、
キメを連発するパートではやはりSDのようなコーラスが流れます。
ピアノソロは正確無比でストレートなグルーブがあります。
その後はスキャットとギターのユニゾンと、George Bensonのようなパフォーマンスまで見せています。
一瞬インダストリアル系の音かと思わせるようなシンセの音の波が押し寄せてくる
#8Spiritual Eyesは、歌が入るとエレピでの弾き語りとなり、なんとそこから派手な四つ打ちの
リズムパターンと、サスティーンの短いベースへと変化し、ファンキーなエレピソロが入ってきます。
ダンサブルなリズムをバックにしながら、得意のコーラスが炸裂するという面白い一曲。お気に入り。
ワウの掛かったエレピとスキャット、ハーモニカの絡みつくイントロで一気に掴まれるファンキーな
#9Together We'll Findは、タメたドラムスとミニマルなリフをひたすら繰り返すベースで
ゴリゴリと押していきます。ハーモニカのフレージングやハーモニーの感じはこれが一番
Stevie Wonderに近い一曲だと思います。最高。
他の曲の構築美に比べて、ピアノ弾き語りによるシンプルな一曲#11Everything I Needは、
先ほど紹介したDome Recordsから発売されているSoul Loungeシリーズのコンピレーション、
Soul Lounge11に収録されています。彼の温かくハリのあるバリトンボイスを堪能できます。
こうして聴いてみると、ヴィヴラートの掛かり方など、Stevieにかなり似ている部分があります。お気に入り。
#12Gotta Keepは、フランジャーの掛かった懐かしい感じのエレピがシンプルなリフを弾き、
バリバリしたエフェクトの掛かったベース、アナログレコードのような質感が特徴的なホーンの
フレーズがどことなく和を感じさせるフレーズを聴かせているネオソウル寄りな一曲です。
しかし彼の見事なコーラスワークが入るとどことなくチープな感じのあるトラックにシルキーな
感じが加わって素晴らしいです。最高。

昨年出会った新譜の中でもかなり強くお勧めしたい、アーバンで徹底的に構築されたハーモニー、
ネオソウルっぽい質感がありながらも「生演奏」のグルーブ、
Take6ばりの巧みなコーラスワークが堪能できます。愛聴盤。

Sleepwalkers

He's There

Think About Why

Gotta Keep

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  1. 2015/01/04(日) 02:42:37|
  2. Jarrod Lawson
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今日の一枚(346)

Album: Planet E
Artist: Escalators
Genres: Acid Jazz, Funk, Fusion

Planet e

愛知県岡崎市出身の歌手、作詞作曲家であるZoocoを中心として結成された
日本のアシッドジャズ、ファンクバンド。1993年結成。1994年、イギリスにてデビュー、
その後、日本では日本コロムビアに所属、
同時期のレーベルメイトにはPizzicato Fiveがいます。
その他のメンバーは三宅一彰(G)、川西浩之(B)、堀越昭宏(Key)、立花聡(Dr)と
なっていますが、多少の入れ替わりもあったようです。
Escalatorsでは作詞はZoocoが、作編曲の多くは堀越が務めています。

活動期間は1998年までと短く、アルバムは6枚発表されています。
彼らがデビューした当時の日本国内は渋谷系の全盛期とも言える時期で、
国内ではそういったアーティストと共に挙げられることが多いですが、
イギリスではアシッドジャズムーブメントの担い手の一人であった
Incognitoによるリミックス、マキシシングルを発表するなど、
クラブミュージック界隈で活躍していたようです。

バンド解散後、ボーカルのZoocoはJames Poyser, Slum Villageなどとの
コラボレーションを果たした他、Soysoulという11人組のバンドを結成し、
良質なクロスオーバーミュージックを制作しています。
他にも村上"PONTA"秀一やゴスペラーズのメンバーとも親交があるようで、
Jaye公山とのデュエット曲のレコーディング、海外レコーディングを行い
ソロ作を発表する傍ら、他アーティストへの楽曲提供、
角松敏生のバックバンドでコーラスも務めています。

本作は1994年作の2ndで、プロデュースはPizzicato Fiveの高浪敬太郎が
担当しています。80年代末~90年代の日本のポップスに特徴的な、
シンセや電子音の多く入ったギラついたアレンジから離れた、
Fender Rhodesの音と、乾いたリズムギター、太くうねるメロディックな
ベースが腰に来るグルーブを生み出しています。
1stでは全編英語詞でしたが、本作では全体として日本語詞になっています。
アシッドジャズと言われるのは、ドラムの音の軽さとフュージョンライクな
シンセの音色がそれに近いからと考えてよいと思います。
Incognitoと言うよりは、Brand New Heaviesのそれに近いと思います。
ただあちらよりはもう少しJポップらしいメロディと、
70年代のディスコミュージックを思わせる、
パターンミュージックとしての魅力もあります。 
#1Flying Highは、くぐもったフェイザーの掛かったカッティングと
エレピに太いベース、アフリカンなパーカッションの作る渋いメロから、
サビでは少し安っぽいストリングス系のフィリーなシンセと複雑なキメのドラムスに
少し甘いボーカルはMISIAをもう少しポップ寄りにしたような声で素晴らしい。
正に和製アシッドジャズと言う感じです。最高。
#2Spacy Loveは、チャキチャキしたカッティングを中心にした、
極めて動きの少ないファンキーなメロから、意表を突いてサビへと突入していく展開が面白いです。
ホーンの断片化されたバッキングは疾走感があります。お気に入り。
#3Something About Jazz Discoは、エレピの流麗なリフが流れる中で箱鳴り感のある
ジャジーなカッティングが映えている短いインストです。
スラップベースによるベースソロとサックスソロ、ブルージーなギターソロとスキャットのユニゾン、
キーボードソロとソロ回しの連続で構成される#4星みたいにも熱いです。
人力のリズム隊ではありますがどことなくヒップホップ、ドラムマシンのグルーブを感じる
#5スペシャル地帯は、重いリズムの中で柔らかいカッティングや
ホーンの音が生々しく綺麗な対比になっています。
アップテンポになった#6深夜特急は、初期のフィリーソウルを思わせるようなホーンのオブリガートが
印象的なサビのアレンジが素晴らしいです。キーボードソロからスネア連打、ラストサビへと
突入していきます。熱量を帯びすぎないクールなボーカルも見事に嵌っています。お気に入り。
本作の中でもとりわけポップな#7雨のち晴れは、ストリングスも非常にリッチな音で、
ベースのぶっといリフの中で歪みのギターが尖った音で楽しいです。お気に入り。
ニュージャックスウィングを思わせる音色のシンセベースと硬質なドラムスの作るビートが
乾いた音像の#8チャネリングは、要所要所にキラキラした上物やメロディにユニゾンするホーンが
入ってくるなど、電子音の比重の大きくコズミックで、かなり異色な一曲です。
モータウンっぽいベースラインにクラシカルなソウルを思わせるコーラス、ハーモニーの
#9Ooh~Childは一転して渋い魅力のある一曲です。
#11To Get To The Sunは、ジャリジャリした歪みのカッティングが様々なパートで鳴らされ、
ドロドロとした感触のある一曲です。
#12Love Escalationは本作の中では貴重なスロウテンポのバラードで、
エレピの揺れたスペイシーな音と中毒性のある繰り返しのメロディが
耳に残ります。音数の絞られたエレピソロは白眉です。
シームレスに続いていくインストの#13Unknown Galaxyは、フュージョン~ジャズロックを
思わせるような混沌としたグルーブがあって、不気味に終わっていきます。

ボーカルのすっきりとした声質、乾いたドラムスや太いベースに、
ヒップホップ通過後のグルーブ感覚は90sのイギリスのソウル・クラブミュージックに
近い音楽性と言うことになりますが、これをこの時代に日本語でやっていたという意味で、
セールス面でこそ成功しなかったものの、先進的なバンドであったのかもしれません。
隠れた名盤。

Fly High

Spacy Love

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  1. 2014/11/09(日) 00:24:57|
  2. Escalators
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
下さったら嬉しいです。
※Twitterもやっております。
アカウント名はprivategrooveです。
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こちらでもおすすめの音楽など情報を流しております!
フォロー下さると嬉しいです。
可能な限りフォローバック、コメントしに参ります。
※放送企画として「私的名盤放送」というラジオを配信しております。
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