私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(335)

Album: Whatever It Takes
Artist: Cheryl Lynn
Genres: R&B, Disco, Soul, New Jack Swing

Whatever It Takes

アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルス出身の女性ソウルシンガー。1957年生まれ。
幼いころから教会の聖歌隊に所属し歌を歌っており、ミュージカルのThe Wiz
(L. Frank Baum作のThe Wonderful Wizard of Ozを当時のアフリカンアメリカン達の
文脈の中で再構築したという作品のようです)に出演したことがきっかけで、
1976年にテレビのオーディション番組The Gong Showに出演して歴代最高得点を獲得、
これをきっかけにデビューの誘いが殺到しました。CBS Sonyと契約し、1978年にデビューを果たします。
彼女の最大のヒット曲となったディスコ・クラシックを代表する名曲である
Got To Be Realは、TOTOのキーボーディストとして知られるDavid Paichと、David Fosterの二人に
よるプロデュースで、Billboard Hot 100では12位、USR&Bでは1位を獲得しました。
直後に発売されたアルバムCheryl Lynn(1978)は100万枚を売り上げ、USR&B#5, US#23と、
大ヒットとなりました。Judy WiederとJohn Footmanの共作によるシングルStar Loveは
全米1位を獲得、他にもTOTOの1stアルバムに収録されている名曲Georgy Porgyでの
バックグラウンドボーカルとしても、彼女の声を聴いた方は多いと思います。
その後もRay Parker Jr., Luthar Vandrossなどのプロデュース(Vandrossとのデュエット曲
であるIf This World Were Mineも有名曲ですが)により主に70年代末から
80年代初頭に、良質なダンスミュージックのヒット作を連発しています。
他にもJimmy Jam & Terry LewisのプロデュースによるEncoreもUSR&Bで1位を獲得しています。
90年代に入るとレーベルとの契約が切れてソロ活動は下火(NJSの生みの親、Teddy Rileyなどと組んで
ソロアルバム、Good Timeを発売してはいますが)となってしまいます。
本作は1989年作の8th。現在は廃盤となっているようですが、中古レコードショップで
偶然発見したため早速購入に至りました。アルバムヒットとは行かなかった本作ですが、
#2Every Time I Try To Say GoodbyeはシングルとしてTop10入りを果たしており、
良質な楽曲が収録されています。#7Most Of Allを除いて殆どの楽曲は打込みによるサウンドで、
音色には時代を感じてしまう部分もありますが、ストリングス系のシンセの音や、
乾いた、手数の多いドラムスやブリブリしたシンセベースの作り出すグルーブは、
得も言われぬ魅力があり、隆盛の兆しを見せていたニュージャックスウィングの影響下にある
音像と考えれば良いと思います。プロデュースはミネアポリス出身のファンクロックバンド
であり、Princeのバックバンド(アウトテイクを演奏するためのバンドだったそうですが)としても
知られているThe Time(後にThe Original 7venと改名、1981年から現在まで活動中)のギタリスト、
オリジナルメンバーであるJesse Johnson(1960-)が担当しています。
#1Upset!は、シンセベースのキャッチ―なリフを中心として、コズミックなシンセのパーカッシブな
コード弾きとアルペジオ、ファンキーなドラムスで肉体的なグルーブのある一曲です。
低音の艶のあるコーラスもクールで、シャウトを絡めた音程差が激しいフレーズを
エモーショナルに歌いこなしてきます。突き抜けるようなハイトーンも圧巻です。お気に入り。
ヒット曲の#2Everytime Time I Try To Say Goodbyeは、冒頭でスロウなバラードと見せかけて、
へヴィな打込みのドラムスが叩きだす無機質な8ビートと、高音のキラキラとしたシンセが入ってきます。
エッジボイスやノートベンドを巧みに混ぜたボーカルワークを堪能できます。
中間部のタムが左右に振られたインストパートでは、ハンドクラップや
パーカッションが入ってきてハウスのような展開となります。最高。
表題曲の#3Whatever It Takesは、シンセの東洋的な香りのするリフと、ブリブリした
シンセベースのメロディックなベースラインが際立ったスロウでソウルフルなバラードです。
残り1:40辺りからはシンセのミニマルな繰り返しの中でロングトーンが入り、
ゴスペルライクなコーラスが浮遊感のあるパートへと移り変わって行きます。素晴らしい。
高めにチューニングされたスネアと左チャンネルを流れるギターリフでモーダルに展開する
メロ部分が印象的な#4Good For Meは、妖しげな雰囲気があります。
中間部ではスクラッチやサンプリングで声を加工したパートがあり、
ホイッスルに入らんとするようなハイトーンが聴けます。
低音が強調されたベースの音もこの曲のエロティックな雰囲気に合っています。
アウトロにはエモーショナルなギターソロが激しくオブリガートを弾いています。お気に入り。
冒頭にJBの声がサンプリングされた#5Overworked 'n' Underlovedは、
サスティーンの短いドラムベースの音色が歯切れが良く、ギターのコードカッティングまでも
巧みにサンプリングされており、メロディックなサックスソロは箸休めといった感じで、
ヒップホップとのクロスオーバーと言う一曲。後半には何とラップまで
収録されています。これも勿論お気に入り。
#6I Surrenderは、本作の中でも特にハイトーン連発な一曲で、パワフルでありながら、
Whitneyよりも泥臭いテイストのあるボーカルが堪りません。
生演奏によるサウンドで落ち着いた雰囲気のある#7Most Of Allは、如何にも打込みによるサウンド
と言った他の楽曲に比べて聴きやすく、ボーカルのソウルフルな部分が強調されて癒されます。
#8The Bottom Lineは、ストリングス系のシンセの音がNJSを思わせる音で、
シンプルな繰り返しを歌うバックグラウンドボーカルの中でボーカルは
フェイクしながら暴れ回ります。
ミニマルな繰り返しと強力で一貫したリズムパターンを中心としたダンスミュージックの核は
崩さないままに、シンセ(ベース)による派手なリフやサンプリング、リズムマシーンを使った
ドラムスが作る無機質な音が合わさって妖しい魅力を放っています。
NJS好きな方は是非聴いて見られて下さい。隠れた傑作。

Upset!

Everytime I Try To Say Goodbye

Whatever It Takes

Good For Me

Overworked 'n' Underloved

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  1. 2014/09/18(木) 11:48:19|
  2. Cheryl Lynn
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
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