私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(346)

Album: Planet E
Artist: Escalators
Genres: Acid Jazz, Funk, Fusion

Planet e

愛知県岡崎市出身の歌手、作詞作曲家であるZoocoを中心として結成された
日本のアシッドジャズ、ファンクバンド。1993年結成。1994年、イギリスにてデビュー、
その後、日本では日本コロムビアに所属、
同時期のレーベルメイトにはPizzicato Fiveがいます。
その他のメンバーは三宅一彰(G)、川西浩之(B)、堀越昭宏(Key)、立花聡(Dr)と
なっていますが、多少の入れ替わりもあったようです。
Escalatorsでは作詞はZoocoが、作編曲の多くは堀越が務めています。

活動期間は1998年までと短く、アルバムは6枚発表されています。
彼らがデビューした当時の日本国内は渋谷系の全盛期とも言える時期で、
国内ではそういったアーティストと共に挙げられることが多いですが、
イギリスではアシッドジャズムーブメントの担い手の一人であった
Incognitoによるリミックス、マキシシングルを発表するなど、
クラブミュージック界隈で活躍していたようです。

バンド解散後、ボーカルのZoocoはJames Poyser, Slum Villageなどとの
コラボレーションを果たした他、Soysoulという11人組のバンドを結成し、
良質なクロスオーバーミュージックを制作しています。
他にも村上"PONTA"秀一やゴスペラーズのメンバーとも親交があるようで、
Jaye公山とのデュエット曲のレコーディング、海外レコーディングを行い
ソロ作を発表する傍ら、他アーティストへの楽曲提供、
角松敏生のバックバンドでコーラスも務めています。

本作は1994年作の2ndで、プロデュースはPizzicato Fiveの高浪敬太郎が
担当しています。80年代末~90年代の日本のポップスに特徴的な、
シンセや電子音の多く入ったギラついたアレンジから離れた、
Fender Rhodesの音と、乾いたリズムギター、太くうねるメロディックな
ベースが腰に来るグルーブを生み出しています。
1stでは全編英語詞でしたが、本作では全体として日本語詞になっています。
アシッドジャズと言われるのは、ドラムの音の軽さとフュージョンライクな
シンセの音色がそれに近いからと考えてよいと思います。
Incognitoと言うよりは、Brand New Heaviesのそれに近いと思います。
ただあちらよりはもう少しJポップらしいメロディと、
70年代のディスコミュージックを思わせる、
パターンミュージックとしての魅力もあります。 
#1Flying Highは、くぐもったフェイザーの掛かったカッティングと
エレピに太いベース、アフリカンなパーカッションの作る渋いメロから、
サビでは少し安っぽいストリングス系のフィリーなシンセと複雑なキメのドラムスに
少し甘いボーカルはMISIAをもう少しポップ寄りにしたような声で素晴らしい。
正に和製アシッドジャズと言う感じです。最高。
#2Spacy Loveは、チャキチャキしたカッティングを中心にした、
極めて動きの少ないファンキーなメロから、意表を突いてサビへと突入していく展開が面白いです。
ホーンの断片化されたバッキングは疾走感があります。お気に入り。
#3Something About Jazz Discoは、エレピの流麗なリフが流れる中で箱鳴り感のある
ジャジーなカッティングが映えている短いインストです。
スラップベースによるベースソロとサックスソロ、ブルージーなギターソロとスキャットのユニゾン、
キーボードソロとソロ回しの連続で構成される#4星みたいにも熱いです。
人力のリズム隊ではありますがどことなくヒップホップ、ドラムマシンのグルーブを感じる
#5スペシャル地帯は、重いリズムの中で柔らかいカッティングや
ホーンの音が生々しく綺麗な対比になっています。
アップテンポになった#6深夜特急は、初期のフィリーソウルを思わせるようなホーンのオブリガートが
印象的なサビのアレンジが素晴らしいです。キーボードソロからスネア連打、ラストサビへと
突入していきます。熱量を帯びすぎないクールなボーカルも見事に嵌っています。お気に入り。
本作の中でもとりわけポップな#7雨のち晴れは、ストリングスも非常にリッチな音で、
ベースのぶっといリフの中で歪みのギターが尖った音で楽しいです。お気に入り。
ニュージャックスウィングを思わせる音色のシンセベースと硬質なドラムスの作るビートが
乾いた音像の#8チャネリングは、要所要所にキラキラした上物やメロディにユニゾンするホーンが
入ってくるなど、電子音の比重の大きくコズミックで、かなり異色な一曲です。
モータウンっぽいベースラインにクラシカルなソウルを思わせるコーラス、ハーモニーの
#9Ooh~Childは一転して渋い魅力のある一曲です。
#11To Get To The Sunは、ジャリジャリした歪みのカッティングが様々なパートで鳴らされ、
ドロドロとした感触のある一曲です。
#12Love Escalationは本作の中では貴重なスロウテンポのバラードで、
エレピの揺れたスペイシーな音と中毒性のある繰り返しのメロディが
耳に残ります。音数の絞られたエレピソロは白眉です。
シームレスに続いていくインストの#13Unknown Galaxyは、フュージョン~ジャズロックを
思わせるような混沌としたグルーブがあって、不気味に終わっていきます。

ボーカルのすっきりとした声質、乾いたドラムスや太いベースに、
ヒップホップ通過後のグルーブ感覚は90sのイギリスのソウル・クラブミュージックに
近い音楽性と言うことになりますが、これをこの時代に日本語でやっていたという意味で、
セールス面でこそ成功しなかったものの、先進的なバンドであったのかもしれません。
隠れた名盤。

Fly High

Spacy Love

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  1. 2014/11/09(日) 00:24:57|
  2. Escalators
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
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3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
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7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
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