私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(353)

Album: The Minstrel Show
Artist: Little Brother
Genres: Hip Hop, Alternative Hip Hop

Minstrel Show

アメリカ、ノースカロライナ州ダーラム出身のヒップホップグループ。2001年結成。
メンバーはPhonte(MC, 1978-), Big Pooh(MC, 1977-),
9th Wonder(DJ, Producer, 1975-)の三人です。

三人はもともとダーラムにあるNorth Carolina Central University(NCCU)の学生で、
NCCUと、Michael Jordanの出身校としても知られているNorth Carolina Universityの
学生が集まってできたヒップ・ホップサークルであるJustus Leagueで知り合い、
2001年にグループ結成に至りました。同年には、カリフォルニア州オークランドにある
インディーレーベルのABB Reccords(Sound Providersなどのプロデュースで知られる)と
契約を結び、作品をリリースするようになります。
本作は2005年作の2nd。US#56, 発売週間売り上げは18000枚。

本作のタイトルとなっているMinstrel Showとは、アメリカで1830年頃から行われていた
踊りや音楽、寸劇などを交えたショーのことで、南北戦争の後は
主に黒人たち(それ以前は、顔を黒く塗った白人が行っていました)によって
演じられていたようです。本作ではこのショウの模様を放映する
という体裁に則って、黒人奴隷の生活ぶりを風刺するような内容が含まれています。
リリース当初はサウスヒップホップグループであるBun Bから、
黒人差別を象徴するミンストレル・ショウを扱う事への批判もあったようです。

この後、2007年に9th Wonderはグループを離れ、
メジャーどころでは Jay-Z, De La Soul, Destiny's Child等と仕事をするようになり、
ソロキャリアを重ねていくようになります。次第に活動は停滞し、
2010年には解散を余儀なくされてしまいます。

音楽性としては、90年代のニューヨークで隆盛を見せたA Tribe Called Quest, De La Soul,
Jungle Brothersを始めとするNative Tongueや、Black Moon, Smif-N-Wessun,
Heltah SkeltahなどのBoot Camp Clickと呼ばれるスタイルに影響を受けたサウンドで、
Bobby Womack, Rufus, Stylisticsなどの定番のソウルをサンプリングしながらも、
ビートは複雑に入り組んでいます。ゲストボーカルには9th Wonderとかかわりの深い
Erykah Baduのバックコーラスを務めていたYahZarahをボーカリストに迎えたり、
Lauryn Hill, The Roots, Common, John Legendなどとの仕事でその名を轟かせている
James Poyserをプロデューサーに迎えたりしており、起伏に富んだ音像で、
生演奏も取り入れられ、レイドバックしたラップとの絡みついて得も言われぬ
グルーブを生み出しています。

#1Welcome to the Minstrel Showは、YahZarahによる柔らかいボーカルをフィーチャーしたイントロ。
サンプルにはNo Stronger Love/The Floatersが使われています。
メンバーの紹介とともにシームレスに#2Beautiful Morningへと繋がって行きます。
フィリーソウルを代表するグループであるThe StylisticsのWhats Happening, Baby?の
美麗なストリングスがゆったりと流れるバックで鋭いフロウが楽しめます。お気に入り。
さらにシームレスにChaka Khanの所属していたRufusのCirclesがリフレインする
#3Becomingは、ソリッドで強い低音の出たリズムにレイドバックしたラップが絡みます。
The Isley BrothersのボーカリストであるRonald Isleyの蕩けるようなファルセットが取り入れられた
#5Cheatin'は、一気に密室的でモダンな音像になったR&Bです。最高。
Jealous Love/Bobby Womackをサンプリングした#6Hiding Loveは、
後半に長い会話のSEが挿入されています。
64年から68年までTemptationsでリードボーカルを務めたDavid RuffinのSlow Danceを
大胆に中低音をカットしてサンプリングした#7Slow It Downは、ローファイで強く揺れるシンセの
バッキングがコズミックな感触があります。シンセのごくごく短いループと女性コーラスの
ループがまとわりついてくる#8Say It Againは、とびきりメロウな一曲です。
1:20程度の短いスキット#95th & Fashionは、コズミックなシンセに断片化された女性コーラスが
散りばめられています。同じくThe StylisticsのOne Night Affairを大胆に、
そのまま用いたイントロから始まる#10Lovin' Itは、
コーラスにエフェクトが掛けられていてヴォコーダーのような効果が得られています。最高。
子供と父親の長い会話のスキット#11Diary of a Mad Black Daddy(すんごいタイトル)があり、
I Really Hope It's You/Michael Franksのコーラスワークを繋ぎ合わせて作った
#12All For Youは、ファルセットの歌唱にどことなくD'Angeloを思わせるような
部分もあります。お気に入り。元々はStevie Wonderの1966年の曲ですがこれのMichael Jacksonによる
1973年のカバーWith a Child's Heartを用いた#13Watch Meは、DJ Jazzy Jeffによる
激しく細やかなスクラッチが聴き所です。
#15Still Lives Throughは、同時代的に影響を受けてきたと思われるA Tribe Called Questの
Oh My Godからサンプリングした一曲で、歯切れの良くスカスカなスネアと、
粘りつくベースライン、凍り付くような冷たさを感じるシンセの残響が
絶妙なスパイスになっています。お気に入り。
再び冒頭の#1と同じ展開で出演者に謝辞を述べて拍手喝采の中で終わっていく
#16Minstrel Show Closing Themeで終わっていきます。
ボーナストラックも収められており、Jermaine JacksonのSitting On The Edge Of My Mindを
サンプリングした#18Hold On(Tellin' Me)、
Curtis MayfieldのAin't No Love Lastをサンプリングした#19The Olioは、
2006年にリリースされたEPのThe Commercial Freeに収録されており、
かなり派手に取り入れられたストリングスが堪りません。
これはアルバム収録曲に負けず劣らずお気に入りです。

基本的にはサンプルする楽曲もマニアックなものは少なく、ビートの感触も
90sのNative Tongueを思わせる硬質で乾いた感触があり、ローファイなトラック、
レイドバックしたラップの生み出すフロウは懐かしい感じがあります。
00年代ヒップホップの愛聴盤の一つです。傑作。

Welcome to the Minstrel Show

Beautiful Morning

Becoming

Lovin' It

All For You

Still Lives Through

The Olio

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  1. 2014/12/02(火) 03:05:51|
  2. Little Brother
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  4. | コメント:0

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
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5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
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6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
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