私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(354), 今日の一枚(355)

Album: Shiggy Jr. is not a child. , LISTEN TO THE MUSIC
Artist: Shiggy Jr.
Genres: Pops, Pop Rock, Fusion, Disco

東京都内で活動している日本のインディーロックバンド、ポップロックバンド。2012年結成。
メンバーは池田智子(Vo), 原田茂幸(G, Cho), 森夏彦(B, Cho), 諸石和馬(Dr)で、
全員1989年~1990年生まれということだそうです。ドラマーの諸石和馬とベーシストの森夏彦
の二人は早稲田大学の出身で、諸石氏は軽音楽サークルのSound Workin' Shopの
出身と言うことだそうです。今回は2013年作の1stEPと2014年作品の2ndEPを同時に紹介します。

筆者とほぼ完全に同世代のバンドでデビュー間もないため、情報不足な感は否めませんが、
最初に聴くことになったきっかけはTower Recordsでのバイヤーレコメンドでした。
その後インターネット上での反応を見ていくと、80sポップス、とりわけ日本の
シティポップに強く影響を受けたバンドと言う噂を嗅ぎ付け、すっかり嵌っております。

インタビューによれば影響を受けたミュージシャンは山下達郎,Jamiroqai, Michel Jacson, Maroon5
宇多田ヒカルなどということで、実際に聴いてみると、1stEPのShiggy Jr. Is Not A Childは、
フュージョンライクな手数の多いドラムスにうねるベースと肉体的な音像のポップロック、
2ndEPのLISTEN TO THE MUSICはシンセの音が分厚くなりキックの4つ打ち積極的に
取り入れられた、ニューウェーブ~ダンスミュージック寄りのプロダクションとなっています。
ボーカルの池田智子の声質は甘くて軽い感じがあり、都会的なハーモニーや軽いリズム、
クリーントーンのカッティングとまろやかに混ざっています。
リードギターのフレーズは70s末のファンクロックを思わせるようなフレージングで、
ブラスのアレンジも加わって粘りのある感じなのがまた堪りません。

以前、私的名盤紹介では一押しのバンドとしてパスピエ(パスピエの項を参照)したと思いますが、
正しく彼らが好きな方は間違いなく嵌るサウンドだと思います。
俗にはNegiccoやEspeciaのようなガールズグループあたりと比較してサブカル系のバンド
ということで受容されているという話も聞くので、アニメソングのファンにも訴求力の高いサウンド
だと思います。ただし、敢えてパスピエ(クラシックやテクノ~ニューウェーブの影響が強いか)と
比較するなら、AOR~ソフトロックと言うサウンドよりはむしろ、メロディやハーモニーの感じは、
王道的な、つまりはMr.Childrenのそれを思わせるような邦楽ポップス特有のもので、
どことなく懐かしく、濡れた感じがあるところがまた彼らならではの特色だと思います。

他には、表面的にディスコサウンド、80s的なシンセのバッキングと言う面では、
tofubeats、オルタナティブロックに近しいサウンド、シンプルな構成の楽曲と言う意味では
やくしまるえつこ率いる相対性理論なども彼らと近い方向性のグループと考えてよいと思います。

これらのアーティストを一括りに「シティポップス再評価」と考えるのは表面的すぎる意見だと
思いますが、いずれにせよ、90s末から00s半ばにかけてのVisual~パンク~オルタナティブロック
或いはポストロック~音響系の系譜とは明らかに異なるサウンドで、渋谷系
(こちらも声優の花澤香菜など再評価の流れが感じられます)というよりは、
その根源が80年代の邦楽、洋楽ポップスにあるのは間違いないと考えてよいと思います。
(相対性理論に関しては山下達郎もラジオにて評価していると発言していました。)

と言うわけで、まずは1stEPから見ていきます。

Shiggy Jr is not a child

#1Saturday Night to Sunday Morningは、ワウの掛けられたカッティングが牧歌的なイントロから
始まり、歯切れの良いコードバッキングと高音寄りの堅いスネアの手数の多いドラムス、
ホーンのフュージョンライクなオブリガートの入ったキャッチ―なポップロックで、
後半部にはブルージーな歪みのギターソロ、キーボードソロが入ってます。
ボーカルの甘い声質のチェストと消え入りそうなファルセット、
繰り返されるコードと下降していくメロディにノックアウトされました。最高。
#1の80s的なリバーブ感のある音像から密室的な音へと変化した
#2サンキューは、アコギの弦のノイズが心地良いコードカッティングにシンセのリフから始まり、
そこからは端正なリズム隊と、それに対してレイドバックしたピアノのジャジーなバッキングが
グルーブを生み出しています。色彩感溢れる風物詩をコラージュのように並べて行った
歯切れの良い作詞、メロディに妙があります。アウトロでは
原田のボーカルも入ってクライマックスに達します。これも最高。
一転して四つ打ちのリズムパターンとわずかに歪んだストラト系のギターリフから疾走感たっぷり、
ダンサブルに始まる#3oh yeah!は、ストレートな8ビートとの間を行き来しながら、
ニューウェーブ的なシンセ、サビでは裏でカッティングが入るという#1を思わせるバッキングで
統一感が図られています。ギターソロは派手に歪んだ速弾きでピックスクラッチまで入っていて、
絶妙なミスマッチ感があります。
一風変わったドリーミーな#4(awa)は、大胆にエフェクトを掛けられてケロったボーカルと、
ローファイな歪みのギターがオクターブ奏法を噛ませて掻き鳴らされたバッキングのサビ、
メロ部分ではリズムに捻りを加えて、後半ではドラムンベースのようなフレーズが
取り入れられたりしています。
#5今夜はパジャマ☆パーティーは、再びレゲエ的なギターカッティングに少し重めに
チューニングされたドラムスで楽しげに始まり、サビ前半では一気にテンポダウンして
柔らかいシンバルレガートの鳴る中、ナイアガラサウンドを思わせるような
コーラスワークを入れてみたり、後半ではテンポを戻してポップに可愛らしくと
展開の多い一曲。これもお気に入り。
最後を飾るバラードの#6ばいばい は、タッチノイズの暖かみのあるアコギのアルペジオで
ボサノバを思わせるシンコペーションの入ったリズムパターンをバックに、
微かに右チャンネルでコズミックなシンセが鳴っています。中間部からは残響を抑えて
リズムボックス風の音になったドラムスが入ってR&Bっぽいアレンジが加えられていきます。
ギターソロは音数の絞られてジャジーで良いです。最高。

Saturday Night To Sunday Morning

サンキュー

1stEPダイジェスト

続いて、2ndEPです。

LISTEN TO THE MUSIC

ボーカルのブレス音から始まりメロディとユニゾンするシンセが派手なダンスチューン
#1LISTEN TO THE MUSICは、パーカッシブなシンセと重低音の効いたキックが
中心となっており、ギターサウンドもかなり後ろの方で鳴っていて、前作からの変化を窺わせます。
サビから一瞬でピアノのリフを中心とした静かなパートへと変化し、再び戻っていきます。お気に入り。
続いて電子音とサンプリングされたボイスが散りばめられた#2summer timeは、
歯切れの良いシンセのリフが80sを思わせます。サビはさながらテンポを落とした
ユーロビートのようで、ベースラインはオクターブの入った鮮やかなものになっています。
スラップベースによるソロが聴き所です。
生音に近い感じのブラスの入った#3day tripは、サビの展開が如何にもJポップ直球のサウンド
と言う感じで、柔らかいコーラスが幻想的な感覚があります。正直可愛いです。
硬質なカッティングと饒舌なベースラインがグル―ヴィーでジャジーな
#5baby i love youは、打ち込みっぽく音処理されたドラムスがデジタルな感覚を演出していて、
本作の空気にぴったり嵌っています。ラストサビにかけてコーラスの音遣いがソウルフルになっていて、
エレピの音も頽廃的です。アウトロで機械的に鳴っているローファイな
ハットの音が良い味してます。最高。
かなり大きな音量の四つ打ちキックとニューウェーブ風なキーボードのフレーズで掴まれる
#6dance floorは、Bメロに入った途端にシンセのシーケンシャルなフレーズが入って、
デジタルな感覚のある音処理にパッと変化する展開が意表を衝かれて面白いダークな
ダンスチューンです。お気に入り。
#7にはDJ WILDPARTYによる#1のリミックスバージョンで、完全なるエレクトロニカに変化しています。

個人的には1stEPの音の方が、シティポップス直系の音像で好みと言えば好みなのですが、
本人達的には2ndのエレクトロダンス路線で展開していきたいと考えているのではないか、
というのが筆者の予想です。
兎にも角にも、今年(もう年は明けてしまいましたが)聴いた中では最も今後の活躍が気になる
バンドの一つです。ライブも是非、行ってみたいです。
お勧めです。

LISTEN TO THE MUSIC

baby i love you

2ndEPダイジェスト

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  1. 2015/01/01(木) 03:03:42|
  2. Shiggy Jr.
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  4. | コメント:2

プロフィール

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは50,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
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