私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(358)

Album: Another Night
Artist: The Wilson Brothers
Genres: AOR, Soft Rock

Another Night


アメリカ、ミシガン州生まれ、アーカンソー州出身のSteve Wilson(1951-), Kelly Wison(1960-)の
兄弟によるAOR,ソフトロックユニット。1979年に発表された唯一のオリジナルアルバム。

地元のバンドでボーカルギターとしてバンド活動をしていた兄Steveの影響を受けて
Kellyも音楽を始めます。1974年頃から作曲を行うようになり、Nighthawksと言うバンドで
作ったオリジナル曲、If The World Ran Out Of Loveが、テキサス州ダラス出身の
カントリー、ソフトロックデュオであるEngland Dan & John Ford Coleyの二人に注目され、
当時彼らのプロデューサーであったKyle Lehningに紹介され、
これがデビューのきっかけとなります。Kyle Lehningは、有名どころではBobby Caldwellの
4th, August Moon(TOTOのメンバーが参加)やParker McGee, Karen Blakeなどを
手掛けています。

レコーディングは、Kyle Lehningが本拠地としていたテネシー州ナッシュビルで行われ、
Shane Keister(Key), Steve Lukather(G), Jon Goin(G, solo on #2), Kenneth Buttery(Dr),
Ernie Watts(Sax)などが参加しており、ブルーアイドソウルを基調としたサウンドの中にも、
どことなくカントリーっぽい暖かさを感じさせる部分があります。
Steve Lukatherのギターは後からオーバーダビングされたものと言うことだそうで、
殆どすべての曲で洗練された、普段よりも抑制されたギターソロ(曲によってはいつも通り弾きまくりです)
を聴かせてくれます。#7はTodd Rundgrenのカヴァーで、#9はブラックコンテンポラリー、
R&B系のシンガーであるStevie Woodsがカバーしています。

幾重にも重ねられた緻密なコーラスワークと、柔らかく、粗削りで線の細いボーカルの生み出す
ハーモニーは、テクニック的には多少見劣りするかもしれませんがPagesのそれよりも
声の混ざり具合、溶け込み具合が絶品で、血の通ったサウンドだと思います。
Steve Lukatherのギターは、当時の彼らしいサスティーンの長く、コーラスの掛けられた
艶のあるトーンですが弾き過ぎておらず、Ernie Wattsのサックスも同じくリッチで
シルキーな音で、いつまでも聴いていたくなる音です。

#1Feel Like We're Strangers Againは、カントリーっぽい暖かさを感じるハーモニーは、
John Valenti(John Valentiの項目を参照)のそれを思わせます。
歪みのギターによるミュートの効いたフレーズを起点に進行していきます。
歌の間で自由自在にオブリガートを弾きまくるLukatherのギターが堪りません。
チョーキングの伸びやかな音は鳥肌ものです。最高。
表題曲の#2Another Nightは、ブライトな音色のキーボードのリフ、へヴィ―なタムを絡めた
リズムパターンにアフリカンなパーカッションが絡むTOTO風な一曲です。
ソウルフルなバラードの#3Thanking Heavenは、ドラムスの軽くて乾いた音色の
スネアが良いです。ギターはワウを掛けたチャカポコのカッティングが印象的です。
ストリングス系のシンセが分厚い音作りで、Ernie Wattsのサックスソロも楽しげです。
テンポを上げたダンサブルな#4Shadowsは、激しくエフェクトの掛けられたエレピや
大仰なストリングスのアーティキュレーションがNJSのそれに繋がって行くような音です。
不気味に蠢いていてダークな雰囲気があります。繰り返しの多いサビはキャッチ―で、
今度はクリーントーンによるカッティングソロという、なかなか珍しいプレイが聴けます。最高。
#5Just Like A Lover Knowsは、冒頭から様々な定位で聴こえてくる浮遊感あるエレピ、
ギターのクリスピーな単音カッティングでミステリアスに始まります。
ギターソロは速弾きも入っており、泣きのチョーキングが連発されています。
#6Lost And A Long Way From Homeは、轟音のバリバリとした
歪みのギターによるコードバッキングと、溜めの効いたドラムス、
スウィングするキーボードのリフがグルーブを生み出すメロディアスなハードロック。
#7Can We Still Be Friendsは、美麗なストリングスのアレンジとコーラスワークが
包み込むバラードで、サビのバックで流れるコーラスの混ざり具合が素晴らしい。最高。
一転してハンドクラップとコンガの柔らかいバッキング、若干レイドバックした
ドラムがファンキーな#8Ticket To My Heartは、Ned Doheneyの曲を思わせます。お気に入り。
#9Take Me To Your Heavenは、リバーブの掛かったギターの重ねられたテーマが
印象的なミドルテンポの一曲で、サビからブリッジにかけての切なさの感じは、
どことなく邦楽ポップス的でもあると思います。歌詞もシンプルで、ひたすらに美しいポップスです。最高。
アルバム最後を飾る#10Like Yesterdayは、テンポをぐっと落として失恋の曲となっており、
Ernie Wattsの長いサックスソロの歌わせ方、高音の透き通った音は筆舌に尽くしがたく
甘く都会的で幻想的で、名演だと思います。最高。

ボーカルの単純なテクニックと言う点では、他にも優れたAOR系のアーティストはいますが、
彼らほど、こみ上げてくるような、胸が締め付けられるような暖かさを持った作品は少ないと思います。
Steve Lukatherのファンの方は必聴と言えますが、それ以上の価値がある名盤と思います。

Feel Like We're Strangers Again

Another Night

Shadows

Ticket To My Heart

Take Me To Your Heaven

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  1. 2015/01/15(木) 00:49:58|
  2. The Wilson Brothers
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  4. | コメント:0

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
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