私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(371)

Album: Bluesette
Artist: Bluesette
Genres: House, Electronica, R&B, New Jack Swing

Bluesette.jpg

アメリカ、ニューヨーク州ロングアイランド出身の日系アメリカ人三世のレコーディングエンジニア、
音楽プロデューサー、作曲家、編曲家である本山清治(1967-)と、
歌手のHiromiによるR&B, エレクトロソウルユニット。1996年作の1st。
フルアルバムは1枚しかリリースしていないようです。

本山氏は、プロデューサー、レコーディングエンジニアとして、日本国内外で多彩な活躍をしていますが、
思ったよりもその名前が知られていないように感じます。
(英語のWikipediaも存在しませんし、日本国内での方が知られているようです)
幼少の頃からブラックミュージックに囲まれて育った彼は、15歳の時に
Oberlin College, Oberlin Conservatory of Musicの二つの大学で作編曲、コンピューターミュージックを
学び、80年代はアメリカで活動、98年に東京に移住して本格的に音楽活動を始めます。

アメリカではEric Martin(ex Mr.Big), The Cardigans, GUY(Teddy Riley), Aaliyah,
LL Coo J, Larry Coryell, Peabo Bryson, Micheal Jackson, Cyndi Lauper, Johnny Gillなどの
主にリミックスやエンジニアリングで参加し、ブラックコンテンポラリーや
ニュージャックスウィング関連のミュージシャンの作品への参加が目立っていました。
日本国内では福原美穂, Lead, CHEMISTRY, Earth, 宇多田ヒカル、The Gospellers, Sing Like Talking,
Skoop On Somebody, Sowelu, LUV and SOUL, SILVA, 嶋野百恵、露崎春女など、
90年代から00年代半ば辺りの時代に活躍した、R&B, ソウル系の優れた作品のプロデュースや
作曲編曲にかなり幅広く関わっていることが窺われます。

宇多田ヒカルを始めとして、女性R&B系シンガー(宇多田ヒカルは1stのアレンジはR&Bですが、中身は
構築された打ち込み系ポップスと言うべきでしょうが、世間の評価的にR&Bという事にしておきます)が
日本国内で空前の大ブームを起こすこととなる前夜に彼らの作品はリリースされており、
邦楽的なメロディアスさ、キャッチーさがありながら、ジャジーで捻りのあるハーモニーが加わった、
艶消しな、渋いアレンジのNJSサウンドと言った感があります。
ボーカルのHiromiの声は、以前当サイトでも書きました國分友里恵のトーンに近く、
リズムマシンやシンセが中心のデジタルなトラックの中で、
どことなくシティ・ポップスの物憂げな感じ、透明感を与えています。

コズミックなシンセとピアノのイントロから始まる#1Only Youは、キラキラとした冷ややかなシンセの
コードバッキングと、密室的なコーラスワークの対比が心地良く、ハウス的なマシンのリズムと、
サンプリングによるサックスの不穏なフレーズが散りばめられた一曲。
サビのメロディラインは、邦楽には余り無いタイプのそれでまた最高です。
#2Let Your Love Goは、随所に配されたボイスサンプリングと、より強くなったビートが
ヒップホップ的なグルーブを作る一曲で、ただメロ部分のメロディはかなり邦楽的で、
そのミックス具合が堪りません。これもお気に入り。
ピアノとスキャットによる#3Bluesette On Bluesette(題名そのままBluesetteの一節を歌います)
はスキットで、#4Because Of Youでは語りのパートの後のサックスソロが素晴らしいです。これも良い。
テンポを落としたクワイエットストームなバラードの#5Just For Tonightは、
始めはR&B色が強いですが、2:00辺りのサビからの展開はDavid Fosterを思わせるような
綺麗なバラードとなっています。ベースの音遣いやリムショット、マシンによるフレーズが
僅かにブラック色を残してはいますが。これはさすがに時代を感じますが、個人的には良いと思います。
テープ早回しを利用して、半分のテンポで歌うスキット#6Bluesette In The Jungleも良いセンスです。
一気にストレートなディスコチューン#7Make You Mineは、シーケンシャルなフレーズを繰り返す
ピコピコシンセが左右に定位を変えながら迫ってくるアレンジが心地良いです。
後半では軽快で手数の多い、アフリカンなドラムソロが用意されています。
#8Mood For Loveは、サックスによる短いリフを中心にしながらエレピのコードバッキング、
ワウを掛けたリズムギターに、シンセリードがメロウなオブリガートを重ねるパターンミュージック。
これも洒脱で抜けの良いアレンジだと思います。
後半には荒々しいラップがフィーチャーされています。最高。
Cheryl Lynnによるディスコミュージックを代表する#9Got To Be Realのカバーは、
原曲の雰囲気をそれほど崩さないままに、揺らぎの少ない打ち込みによるリズムが作り出す
デジタルで無機質なグルーブと、ジャリジャリしたシンセのトーンや配置に、
どことなくドライな魅力があります。転調してからストリングスが派手に入って来るアレンジも、
艶消しで格好いいと思います。アウトロに向かってラップが入っており、スクラッチと、
原曲のホーンをサンプリングして、音ネタとして連発し、高揚感を煽っていきます。個性的なカバーで最高。
ブラジリアンなスキャットとピアノによるスキット#10Bayamon/Lullabyを挟んで、
#11That's The Way Love Endsは、トランペットによる浮遊感のあるフレーズと、
打ち込みライクな平坦なホーン、ファンキーなコードカッティングによるゴリゴリしたパートと、
ジャジーで妖しげなサビ前の展開、コーラスとメロディが掛けあうように配置され、
キラキラしたシンセが彩るNJSライクなサビに短いラップ、そしてクライマックスとなる
エモーショナルなピアノソロへと、かなり展開の多い一曲です。最高。
#13Make It Happenは、かなりへヴィ―なキックが印象的なリズムとピアノによるシンプルな
バッキングからストリングス、コーラスと徐々に音数を増やしていきます。

海外で言えばTeddy Riley直系のサウンドと言った感じですが、
日本語による和製ニュージャックスウィングの佳作として、例えば国内では久保田利伸の初期や
MISIAの初期などが好きな人にはたまらないサウンドだと思います。
90年代邦楽R&Bの隠れた名盤。

Make You Mine

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  1. 2015/02/18(水) 02:59:55|
  2. Bluesette
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
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