私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(387)

Album: Introducing
Artist: Tortured Soul
Genres: House, Electronica, AOR, Soul

Tortured Soul

アメリカ、ニューヨーク、ブルックリン出身のハウス、エレクトロニカユニット。
2001年結成。2004年作の1st。
メンバーはChristian Urich(Dr, Vo), Jason Kriveloff(B, Chorus), Ethan White(Key, Chorus),
Angela Johnson(Guest Vo)となっていて、フロントマンはUrichです。

Urichはニューヨーク州立大学で音楽を学び、Jason Kriveloff, Ethan Whiteの二人と
バンドを組んで、Joey Negro, Kenny Dope, Soul Clap, Jamie Jonesなどのハウス~エレクトロ、
R&B, ヒップホップに影響を受けながら、Jamiroquaiに代表されるようなアシッドジャズを
取り入れた音楽性で活動していました。

彼らのデビューのきっかけは2001年に組んだアシッドジャズ系のバンド、Cooly’s Hot Boxでした。
当時、Urichの大学の同学年の友人で、ヴァイオリンを専攻していたAngela Johnsonを
このバンドに加えて、Might Do Something Wrongという曲を制作したところ、
これが地元ニューヨークのハウス系レーベルであるCentral Park Recordingsに注目され、
Tortured Soul名義でデビューを果たすこととなりました。
(Cooly's Hot BoxはR&B、ジャズ、ブラジリアンなどを巧みに取り入れた作品を作っており、
こちらもニューヨークのDJには人気を誇っていたようです。)

その後はニューヨークのハウス系のクラブで彼らの楽曲は密かな注目を集め、12インチシングルは
ヘビーローテーションとなっていたようです。Kruveloff, Whiteの二人は、アシッドジャズバンドの
Topazのメンバーとして活動しており、ニューヨークのジャズ系の
スタジオミュージシャンでもあります。

デビュー後はよりバンドサウンド指向へと音楽性を転換していき、80s的なディスコサウンドや、
Roy Ayersに代表されるようなフュージョン、ヒップホップのビート感を巧みにミクスチャーした
サウンドを生み出していきます。2006年に1stの本作、2009年には2ndのDid You Miss Me,
2013年にはセルフタイトルアルバム、そして今年の5月には4thアルバムが発表される予定で、
順調に活動を続けています。

公式のサイトでEDMの一形態として紹介されていることもあって、ダンサブルな打ち込みビートが
全体を貫いていますが、一部の曲の演奏は人力によるもので、ブレイクビーツを取り入れたり、
ジャズファンク的な粘りのある懐かしいグルーブを叩き出したりと飽きさせません。
しかしながら、コードは結構入り組んでいて複雑な響きになっており,
洒脱さ、浮遊感があって都会的な音像になっています。
今作ではまだゲストボーカルのAngelaが参加した楽曲を聴くことはできませんが、
彼らがデビューするまでの勢いを感じる楽曲がたっぷり収録されており、トリップできます。

#1I Might Do Something Wrongは、4つ打ちのキックとリムショットの入ったタイトでブラジリアンな
リズムパターンに、徐々に存在感を増してくるコズミックでローファイなシンセ、
ジャジーなエレピのコードをバックにして、柔らかいファルセットのボーカルが幻想的です。
後半にはピコピコシンセのリフが流れ、シンセが波のように押し寄せてきます。最高。
#2How's Your Lifeは、アップテンポになってかなりソリッドで密度の高いキックに、
それとは対照的な乾いたスネアのフィルが軽いグルーブを作り、#1と同じ音色のシンセが
蠢くイントロから始まります。こちらはメロディに展開が多くポップで、アシッドジャズ的な
一曲に仕上がっています。中間部から入ってくるファルセットのコーラスはD'Angeloの
それを思わせるようなか弱さがあって、デジタルなトラックに彩りを与えています。最高。
#3Whyは、ギターのカッティングのフレーズをサンプリングして配置し、シンセベースのリフが
左チャンネルに、低音のボイスサンプルが入ったミニマルなイントロから、
入り組んだコーラスワークで巧みにコードチェンジしていく構造は非常にAOR的で、
Steely Dan、最近ではOle Borudのようなブルーアイドソウルを思わせます。最高。
すこしレイドバックしたビートとディスコ的なベースラインが懐かしいリズムの#4Fall In Loveは、
乾いたギターのカッティングと、複雑なコーラスワーク、エレピのジャジーなソロで
聴かせる一曲です。これもキャッチーで素晴らしいです。お気に入り。
#5You Found A Wayは、冒頭のベースリフとポリリズミックな打ち込みのキック、
エレピのボサノヴァを思わせるコードバッキングで音数少なく進行していく一曲です。
コーラス、オルガン系のチルなシンセが入ってきて、ダンサブルなフックへと展開する瞬間は
鳥肌ものです。フックの終わりのキメもフュージョンライクで軽快なグルーブです。
トリルの多いエモーショナルなエレピソロから演奏はヒートアップしていきます。最高。
柔らかなシンバルレガートとリムショットと、一番ジャズしている生ドラムに
太く低音の強調されたメロディアスなベースが絡み付いた#6Epicは、1:30あたりから一気に
リズムチェンジを繰り返し、Chris Daveに近い人力リズムマシンとも言えるグルーブを
叩き出すUrichが良い仕事しているインストの長尺曲です。
ディスコライクな4つ打ちからTOPのような16ビート、そして後半に向けてテンポアップして
いきます。お気に入り。
#7Enjoy It Nowは、アフリカンなパーカッションと残響のカットされたハンドクラップに
揺らめくエレピによるミニマルな展開のイントロからラップ、コーラスが入って、
16ビートのコードカッティングが組み合わさって肉体的なグルーブが生まれていきます。
ピコピコシンセのシーケンシャルなフレーズは東洋的な香りがします。
そのままシームレスに繋がっていく#8Don't Hold Me Downは、エレピによるジャジーな
コードバッキングと、細やかにリムショットの入ったリズムパターンが落ち着いた、
都会的な雰囲気を醸し出しています。後半では女性ボーカルがリードボーカルになるパートが
挿入されています。
彼らによる完全な生演奏のフュージョン~AORの#9Love Everlastingは軽く疾走感たっぷりで、
エレピのハネたコードバッキング、Ramsey Lewisを思わせるようなファンキーな
ロングソロがフィーチャーされており、コードワークも意表を付いていて洒脱です。最高。
エレピの翳りのあるコードバッキングとアシッドジャズ的な軽い粘りのあるドラムスが
印象的な#10If You Want To Feel Alright, そして最後には日本盤ボーナストラックとして
生演奏によるジャズファンク#11Shush Birdyが収録されており、エレピの奇怪なバッキングが楽しめる
一曲となっています。

ダンサブルでそぎ落とされたクラブサウンドでありながらも、生演奏も適度に取り入れられていて、
アシッドジャズ的な軽いグルーブと時に意表を突いたリズムチェンジなど、
都会的な抜けの良いサウンドで、キャッチーさも十分です。
ソウルフル~ジャジーハウスの愛聴盤の一つ。

I Might Do Something Wrong

How's Your Life

Why

You Found A Way

Epic

Love Everlasting

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  1. 2015/04/10(金) 00:49:32|
  2. Tortured Soul
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  4. | コメント:4

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
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