私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(388)

Album: Tuxedo
Artist: Tuxedo
Genres: R&B, Disco, Blue Eyed Soul, AOR, Funk

Tuxedo.jpg

アメリカ、ミシガン州アナーバー出身のシンガーソングライター、音楽プロデューサー、
アレンジャー、エンジニア、マルチプレーヤー、DJで、ロサンゼルス在住の
Mayer Howthrone(1979-)と、アメリカ、ワシントン州シアトル出身の音楽プロデューサー、
Jake Oneの二人によるR&B, ダンスミュージックユニット。2015年作の1st。

Mayer HowthroneのBiographyに関しては以前の記事を参考にしていただくとして、
Jake Oneに関して少しだけお話しておこうと思います。

シアトルのキャピトルヒルで育った彼は、15歳の時にシアトル北部へと引っ越し、1992年から
キーボードを用いて作曲を始めました。ワシントン大学在学時に、レコードショップで働いていた
友人に自分のデモを聴かせたことがきっかけで、同じレコードショップに勤めていた
DJ Mr. Supremeの目に留まり、音楽プロデューサーとしてのキャリアをスタートすることとなります。
彼の最初の仕事は、EclipseのWorld Premierです。
彼が有名となるきっかけは、50Cent率いるG-UnitのアルバムBeg For Mercyへと参加し、
G-UnitのプロダクションチームであるMoney Management Groupの一員となったことでした。
プロデューサーとしては00年代半ばから活動を本格化しており、De La Soul, G-Unit, 50 Cent,
2Pac, Planet Asiaなど一線で活躍するヒップホップ系のミュージシャンに数多く関わっています。

Jake One名義としてのソロアルバムWhite Van Musicを2008年に発表して以来、
(Brother Ali, Young Buck, De La Soul,M.O.P., Freeway, DOOM, Slug, Keak da Sneakなど
豪華なゲストを招いて制作されています)Freeway, Truthliveとのコラボレーションアルバムを
発表する一方で、映画Get Rich or Die Tryin', The Fast and the Furious:Tokyo Driftなどの
サウンドトラック、Brother AliのMourning in America and Dreaming in Colorのプロデュースを
行っています。

Mayer Hawthroneとのコラボレーションは2006年に二人がミックステープを交換したことでした。
偶然にも二人の選曲は80sのディスコミュージックを中心としたもので、
意気投合した彼らは、Jake Oneがトラックを作り、Hawthroneがそれにボーカルを載せるという形で
曲を書き溜めていきました。2013年にはフリーダウンロードの音源としてEPを発表し、
ついにフルアルバムが発表されることとなります。

サウンドとしては、古典的なディスコミュージックの構造を積極的に取り入れながらも、
ベースラインやシンセの音使いにはブラコンの要素も多分に感じられたり、
音色のみ懐かしいものを使いながら、曲展開はネオソウル以降の音を絞ったものも
あったり、ヒップホップではSnoop DoggやG-Unitを取り入れた(オマージュと言うべきか)ものも
あり、非常にバラエティに富んだ、玄人好みな作品となっています。

歯切れの良いシンセベースのリフとファミコンシンセのリードフレーズに
クリーントーンのコードカッティング、少し安っぽいストリングス系のシンセが
音数少なく絡みつくダークで妖しげなディスコチューン#1Lost Loverは、
コーラスやリードボーカルの録音の良さのお蔭でモダンさを感じさせます。最高。
もたれかかったシンセベースがネオソウル的なリズムを取り入れたイントロから
ハンドクラップの入ったディスコへと戻っていく#2R U Readyは、
カラりとしたカッティングが気持ち良いです。
重いキックとダビーな歪ませたシンセ、白玉を弾くNJSっぽいシンセに
ファルセットのコーラスが絡みつく思い切り80s初頭なサウンドの#3Watch The Danceは、
ボーカルとユニゾンするギターの印象的なコーラス部でクライマックスを迎えます。お気に入り。
音数が減って繰り返されるテーマのメロディも一気にモダンな音作りとなった#4So Goodは、
メロ部分の複雑でジャジーなコーラスワークは、Mayer Hawthroneのソロに近い雰囲気を湛えています。最高。
哀愁漂うシンセのリフにChris Jasper参加時のIsley Brothersを思わせるようなクワイエットストーム
#5Two Wrongsは、蕩けるようなファルセットのコーラスがフィーチャーされています。
後半にはErnie Isleyのようなバリバリとした歪みのブルージーなギターソロが入っていて最高。
インストによるインタールードの#6Tuxedo Grooveを挟んで、#7I Got Uは細やかな16分のハットの刻みと、
ドライブ感溢れるフィルの入ったドラムスに、ギターによるコードとコーラスと生音の比率が高い
一曲となっています。お気に入り。
#8The Right Timeは、音作り自体は懐かしのディスコでありながら、曲の展開はDaft Punkの最近の
作品に近いグルーブがあります。
ホーンのロングソロが取り入れられ、鋭い単音カッティングが入った#9Roll Alongは、
サビに近づくにつれて80sっぽくギラついたサウンドになっていく展開が面白いです。最高。
Hawthroneの中低音の艶のあるボーカルを聴かせるスロウで都会的なバラード#10Get U Homeは、
後半ではホーンを中心としたインストパートとなって終わって行きます。
ぶっとくワウの掛かったシンセベースの作り出すグルーブに思わず身体が動く#11Do Itは、
中盤にかけて一気にAOR的なジャジーなコーラスが入ってきて流麗なギターソロへと繋がって行きます。
この二人のタッグらしく往年のディスコとハーモニーの面白さが見事に融合されています。最高。
#12Number Oneは、Snoop Doggの名曲Ain't No Funへのオマージュと思われる一曲となっており、
リッチなコーラスの彩りが素晴らしいです。

メディアではディスコと銘打たれながらも、実際には二人のソロ活動の音楽性がその中に
豊富に取り入れられており、モダンにアップデートされた個性的なサウンドに仕上がっています。
一言でいえばAOR~フュージョン的な部分もかなりあるので、ディスコファンならずとも、
良質なポップスを求めるファンにもかなり楽しめると思います。今年一押しの一枚です。佳作。

Do It

Number One

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  1. 2015/05/04(月) 16:48:11|
  2. Tuxedo
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  4. | コメント:0

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
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