私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(390)

Album: Just Chillin'
Artist: Norman Brown
Genres: Smooth Jazz, Fusion

Just Chillin

アメリカ、ミズーリ州、カンザスシティ出身のジャズ、フュージョン系ギタリスト。
1970年生まれ。2002年作の5th。

8歳の時に兄の持っていたギターを譲り受け、弾くようになった彼は、両親や兄姉が音楽ファン
であった影響で、普段からジャズやゴスペル、ブルース、R&Bを聴き漁っていたようです。
ギタリストとして影響を受けた人物にはGeorge Benson, Wes Montgomeryの二人を挙げています。
高校卒業後にプロのセッションギタリストとして活動を始め、Stanley Turrentine, Roy Ayers,
Lou Rawls, Patti LaBelleなどのジャズ、ソウル、ブルース、ゴスペル界隈のミュージシャンの
バッキングとして活動していました。

22歳でハリウッドにあるギタリスト, クラフトマンのための
音楽専門学校として知られているGuitar Institute of Technology(G.I.T)の講師として
抜擢され、音楽理論講座、インプロヴィゼーション、ジャズのワークショップ、
リズムギターの講座など毎日6つもの授業を担当していたということのようで、
デビュー後レコーディングへの参加は少なかったものの、この頃からその実力は
プロ達の間では徐々に知られていっていたようです。

そして1992年には、Motownがそのジャズ部門として立ち上げたMoJazzというレーベルの
第一弾アーティストとしてデビューを飾ることとなります。1stアルバムのJust Between Usは、
ゲストにStevie Wonder, Boyz 2 Menなどを迎えるなど非常に豪華な作品となり、
Top Contemporary Jazzチャートで4位にランクインするヒット、
Motownから発売した残りの2枚のオリジナルアルバムは共に2位という見事な売り上げを残しています。

1998年にMoJazzが閉鎖ということとなり、彼はWarner Brothersへと移籍、プロデューサーには
元Bobby Caldwellのエンジニアであり、プロデューサーとしてはPeter White, Kirk Whalum,
Larry Carlton, Patti Austin, George Bensonなど錚々たるミュージシャンに関わり、
スムースジャズのブームの火付け役となった存在でもあるPaul Brownが就くようになります。
そして、一部の楽曲では当時Erykah Badu, Ronny Jordan, Eric Benetなど、ネオソウル~
アシッドジャズ界隈で注目を集め始めていた時期のJames Poyser, Vikter Duplaixが担当しており、
クールで陰のあるサウンドに一役買っています。

本作は、Top Contemporary Jazzチャートでは2位、R&Bチャートでは50位、総合では198位の
ヒットとなり、当時のラジオではパワープレイされていたようです。
ゲストボーカリストにはMichael McDonald, Chante Moore, Debbie Nova, Miki Howardの
三人を迎え、バッキングにはLil' John Roberts(Dr), Alex Al(B), Pino Palladino(B),
James Poyser(Key), Ricky Peterson(Key), Paulinho Da Costa(Perc), Lenny Castro(Perc)など、
ファンク、フュージョンからAOR系に至るまで、腕利きのスタジオミュージシャンが参加しています。

本作発表以降も、Brown-Whalum-Braun(BWB, Kirk WhalumとRick Braunの三人組によるプロジェクト)
でも大ヒットを出したり、Verve傘下のPeakに移籍してからもTop Contemporary Jazzチャートで
1位を獲得したり、最近ではGerald Albrightとのコラボレーションアルバムを発表したりと、
好調に活動を続けています。

#1The Feeling I Getは、ストリングス系のシンセの柔らかいバッキングが幻想的な
イントロから、ワウの掛かったカッティングと揺れるエレピで静かながらもファンキーな
グルーブのあるトラックになっています。箱ものらしい丸みのある、角の取れたトーンで
オクターブ奏法とスライドの多用されたテーマがリラックスさせてくれます。最高。
表題曲のJust Chillin'は、バックビートの強調された重いドラムス、生々しいホーンに対して
ボイスサンプルやコズミックなシンセが細かに配置されており、90sのアシッドジャズ的で、ルーズな
グルーブのある展開の前半部から、ブルースフィーリングたっぷりで
速弾きしまくりなソロパートへと突入していきます。最高。
Chante Mooreがボーカルを務めている#3Feeling The Wayは、懐かしいリズムボックスの音が
Boyz Ⅱ Menをはじめとする90sUSR&B的な空気を醸し出す一曲で、バックで滑らかなオブリガートが
鳴り続けています。お気に入り。
リバーブのカットされたスネアや低音の強調されたキックからして、一気にダークでヒップホップ的な
雰囲気を強く感じさせる#4Night Driveは、正しくRonny Jordanを思わせるような都会的な
アシッドジャズとなっています。音の詰め込まれた端正で冷ややかなソロに対して、
Rick Braunのフリューゲルホルンの柔らかい音に癒されます。お気に入り。
Michael McDonaldがゲストボーカルを務めているR&Bテイストの強いバラード#5I Still Believeは、
McDonaldの過去のAOR~ブルーアイドソウル作品とは毛色の違った一曲になっています。
打込みによるラテンフィーリング溢れるリズムとNorman Brown自身によるスキャットが
印象的な#6Dancing In The Houseは、Pino Palladinoのメロディアスで端正なベースラインの
美しさに聴きほれてしまいます。James Poyserのピアノソロはベタベタですがこれもまた良いです。最高。
Janet Jacksonのカヴァー#7Let's Wait Awhileは、キラキラした原曲よりも、もう少しレイドバックした
甘くてアダルトな音になっています。
Debbie Novaがゲストボーカルを務める#8Won't You Stayは、16分のハットの刻みやスネアのタイミングの
ニュアンスに、ネオソウル~最近のChris Dave辺りに通じるような感じがある打込みのドラムや、
これまたネオソウルによくある繊細なボーカル、Pino Palladinoの太いベースラインと、
音数の絞られたリードギターが渋いです。お気に入り。
Jeni Fujita, Maya Azucene, Edwin Lugoの三人によるコーラスのリフレインと
対話するようにギターソロが紡がれていく#9In My Lifeは、SEの選び方、ストリングス系のシンセの
デジタルな感じが懐かしいクワイエットストームです。
Mikki Howardの低音の響きの豊かでエモーショナルなボーカルで、生々しいコーラスの入った
サビ前の展開からボーカルとユニゾンしながら、モダンなR&Bの音型であるサビへと
繋がって行く#10Not Like You Doは、アウトロのサビで一気に弾き倒していきます。最高。

ギターインストによるアシッドジャズ~スムースジャズということで、
90s以降同系統のギタリストが数多くいることと思います。
しかしながら、彼の作品は、カヴァーにも聴きやすいR&Bからのカヴァーなどが多く、
陰のあるサウンド、レイドバックしたグルーブがありながらポップでメロディアスな
仕上がりとなっています。James Poyserの音が好きな方にとっては勿論、
BGM的に聴くのに極上の一枚だと思います。

The Feeling I Get

Just Chillin'

Night Drive

Won't You Stay

Not Like You Do

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  1. 2015/05/11(月) 00:03:46|
  2. Norman Brown
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
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3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
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オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
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ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
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