私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

私的名盤放送第55回「録り溜めLP音源で送るシティポップ、レアグルーブ特集」

私的名盤放送第55回「録り溜めLP音源で送るシティポップ、レアグルーブ特集」

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「放送アーカイブはこちらから」

M1 MIRACLE TOUCH /ブレッド & バター 『SECOND SERENADE』 (1984)
M2 Step by Step /Terry McCullough 『Step by Step』 (1985)
M3 Patience /Grady Harrell 『Romance Me』 (1990)
M4 Night Flight Telephone Call /一十三十一 feat. PUNPEE 『Snowbank Social Club』 (2014)
M5 City Night /中原めいこ 『ココナッツ・ハウス』 (1982)
M6 You're Gonna Get Served /Gene Rice 『Just For You』 (1991)
M7 秘密 /Maica_n 『秘密』 (2019)
M8 iをyou /フレンズ 『iをyou』 (2019)
M9 A train to chuncheon /김태연 『A train to chuncheon』 (2019)
M10 Don't Wanna See You Cry /Clifford Coulter 『The Better Part Of Me』 (1980)
M11 Once In A Life /Joe Chemay Band 『The Riper The Finer 』 (1981)
M12 Seaside Romance /島谷ひとみ 『briliant』 (2019)
M13 Yearning for Your Love /PJ Morton 『PAUL』 (2019)
M14 So You Are Love /The Dells 『I Touched A Dream』 (1980)
M15 リバーシブルで恋してる /彩恵津子 『Delication』 (1986)
M16 Love Has Taken It All Away /Jim Schmidt 『Somethin' Right』 (1983)
M17 Repeat /FlowBack 『do not hesitate』 (2019)
M18 (Every Time I See) A Pretty Lady /Gemini 『Rising』 (1981)
M19 I'm in Love /亜蘭知子 『浮遊空間』 (1983)
M20 恋のマメチシキ /尾崎由香 『MIXED』 (2018)
M21 I Believe in You /Enchantment 『Soft Lights, Sweet Music』 (1980)

【放送後記】
私的名盤放送、またしばらく間が空いてしまいました。
医師生活3年目を迎えて半年間が経ちましたが、この1, 2ヶ月の間はこれまでで最も多忙な時間となりました。
夜間、休日の呼び出しや深夜に渡る勤務も多く、重症の集中治療室の患者さんを担当したりと、
研修医時代には経験しなかった緊張感や責任感を感じる場面が多く、正直疲労も溜まっております。
今月末からは救急初療室での専従業務が始まり、未熟ながら救命の第一線で働くこととなります。

しかしながら私的名盤放送は自分のライフワークとして続けていくつもりですので、どうかお楽しみ頂ければと思います。
前回はゲストにDJゆか坊を迎えての放送でしたが、今回はこれまでに集めてきたアナログレコードの音源を中心に、
シティポップ、ブラックコンテンポラリー、レアグルーブをお送りしました。

和モノからはまず、岩沢幸矢と岩沢二弓の2人組フォークデュオ、ブレッド&バターの9thフル、Second Serenadeから
シャッフルのリズムのメロウグルーブ、ミラクル・タッチです。シングルコイルの枯れたトーンのギターソロ、
気怠い歌い方のボーカルと幾重にも重ねられたコーラスワークが素晴らしい。
山下達郎ファンとしては「ピンク・シャドウ」の収録されたBarbecueも必聴盤です。

その他、ラテン音楽、フュージョン、同時代的なAORの影響も感じられながら、それらをあくまで昭和歌謡曲の観点で
纏め上げ、いなたい歌詞の世界も個性的な中原めいこ(1959-)の82年作、1stからCity Nightです。
Jay Graydonを思わせるような強めのリヴァーブが掛かった今剛のギターから始まるイントロが印象的です。

角松敏生プロデュース期の杏里の楽曲を思わせるような彩恵津子のモダンブギー、リバーシブルで恋してるです。
彩恵津子は1961年生まれで1986年作の3rdからの一曲です。グロッケンのような音色の煌めくシンセのバッキングと、
少しチープなホーンのオブリガートが時代を感じますが、リズムのスクエアさやメロディには
作曲者の崎谷健次郎らしい節回しを感じます。

同じく角松敏生/オメガトライブの流れを汲んだリゾートミュージックな一曲に、
島谷ひとみの最新EPからSea Romanceを選びました。作曲には佐原陽と七海光が参加し、
編曲には管理人一押しのシティポップ~AOR~ブルーアイドソウルユニット、ブルーペパーズの井上薫が参加しています。
細やかなヴィブラートが掛かった表現やファルセットへの抜き方など、どこか水樹奈々さんに近いものを感じさせる
島谷さんのボーカル、Raw Stylusなど90sアシッドジャズの香りがする間奏のハーモニーや手数の多いドラムスに、
歌謡曲的なメロディが載ることで独特の魅力が生まれます。アウトロの懐かしいシンセソロはブルーペパーズの楽曲への
相似形を感じさせてくれます。

さらにもう一曲、杏里/角松敏生を思わせるシティポップを、KPOPを代表するアイドルグループ、
少女時代のテヨン(김태연)のニューシングル、A train to chuncheonです。元のバージョンはKim Hyun Chulの
1989年作と思われます。これもまとめてどうぞ。

そのほか、シティポップ系レアグルーブとして海外での評価が高い亜蘭知子の1983年作から、
現在、水樹奈々のバッキングを務める北島健二らが所属したFENCE OF DEFENSEが参加したメロウ, I'm in Loveです。

この頃のシティポップの楽曲の相似形を、現代の声優ソングにみることができると思いますが、
TVアニメ「けものフレンズ」、サーバル役の出演で知られる尾崎由香の1stフルから、
現代シティポップ~AOR, 80sソウルリヴァイバルを代表するバンド、NONA REEVESの西寺郷太によるプロデュースの
恋のマメチシキです。気の抜けたラップとNONA REEVESの代表曲、Love Togetherを思わせるような
ハーモニーの組み合わせが現代版「恋愛サーキュレーション」ともいえるグルーヴィーな一曲です。

さらに現代JPOPからは、おかもとえみをヴォーカリストとする5人組バンド、フレンズの最新シングル、
iをyouを取り上げました。00年代半ばにいきものがかりが作り出したJPOPサウンドを、
もうすこしブラックミュージック的なグルーブを下地にして演奏したような、ありそうでなかったグループだと思います。
とにかく全ての楽曲がキャッチーで、地上波のドラマの主題歌にも採用されているようですが、
あいみょんやOfficial髭男dismに次いで、今後有名なグループになるのではないかと思っています。

もう一人、徳島県出身の大学生SSW, Maica_nの1stEPからSMAP, 今井美樹、鬼束ちひろなどのレコーディングに
関わった富樫春生を編曲に迎えた秘密です。丸の内サディスティックに代表されるような80sソウル進行を下敷きとした
ムーディーな一曲で、後半はディストーションギターのソロとブレイクからエレピが前に出てくるアレンジなど、
短い循環コードの楽曲でありながら、飽きさせない工夫に富んでいます。
そのほか時間の都合で紹介できませんでしたが、ボサノヴァのリズムの弾き語り「タバコと私」は
彼女の脱力した歌の魅力をたっぷりと楽しめます。メロディはこちらの方が美しく、必聴です。
これと併せて水樹奈々/LOOK AWAYも是非どうぞ。

現代の邦楽シティポップ歌姫の一人として、クニモンド瀧口プロデュースのもと、流線型のフルやCity Dive以降の
一連の作品でも知られる一十三十一の「冬」をテーマにした一枚から、今のノリにノっているPUNPEEをゲストに
迎えたNight Telephone Callです。

続いて、人生で初めてDiscogsを使って購入したレコード、ノルウェー出身と思われる詳細不明なシンガー、
Terry McCulloughの唯一のミニアルバム、1985年作から表題曲のStep by Stepです。
ディスクガイドなどにも全く載っていませんが、新宿「カブキラウンジ」のAOR系イベントで耳にした記憶があります。
バリトンヴォイスの太いボーカルの優しい表現と意外なほどにクリアな音質、フィリーソウル的なバッキングの組み合わせが
渋いブラコンです。その他、Patti Austin/ I've Got The Melodyのカヴァーなどが収められています。

レアグルーブ系ではBill Withersのバッキング、ギタリストのClifford Coulterによるソロアルバム、1980年作(Columbia)です。
John Lee Hookerの人脈によってBill Withersに見いだされた人のようで、
Bill Withers自らプロデュースとキーボードで全編に参加しています。
オハイオファンクにも負けないねっとりとしたグルーブがアルバム全体に満ち満ちており、
特にクラヴィネットのリフレインとスラップベースが頭から離れない最高のレアグルーブ、Don't Wanna See You Cryです。
本作は以前にも紹介していますが、全ての曲をラジオでお掛けしたいくらいお気に入りです。

NJSでは80年代末にRCAから何枚か作品を残しているBCM系のシンガー、Grady Harrellの1990年作、Romance Me
(放送本編ではシングルオンリーと言いましたが、アルバム収録曲でした、失礼しました)から
Teddy Riley直系のキャッチーな一曲です。意外と知られていないですが最高です。サビに向かって行く高揚感が堪りません。
Grady Harrel自身は非常に器用なシンガーで、一般にNJS系のシンガーはあまりパワーや情緒の表現力が無い人が多い中で、
歌い上げる楽曲も、こうしたシャープな歌い方も出来る貴重なタイプだと思います。

髭をたっぷりと蓄えた風貌はまるでTeddy Pendergrassを思わせるブラコン系シンガー、Gene Riceの1stフルアルバム、91年作
Just for YouからBy All Means一派プロデュースによる絶品のクワイエットストーム、
You're gonna Get Servedです。重く溜めの効いたマシンビートが堪りません。

TOTOやKarizmaなど、80年代にはスタジオミュージシャンを集めたスーパーグループが数多く結成されました。
その中で、今回はLAを拠点としてLeon Russell, Beach Boys, Elton John, Christopher Crossなどのレコーディングに
参加したベーシスト、Joe Chemayを中心としたJoe Chemay Bandを取り上げました。唯一作で81年作です。
のちにJoe Chemayはウェストコースト系AORを代表する名盤、
Frankie Bleu/Who's Foolin' Who?をプロデュースすることになります。(Frankie Bleuの所属したGabrielの75年作も希少盤です)
粒ぞろいの楽曲の中でも今回は一番メロウなOnce In A Lifeを取り上げました。

Maroon5のツアーへの参加で知られ、India Arieへの楽曲提供でグラミーを受賞したキーボーディスト、SSWのPJ Mortonの
新譜から、とりわけ80sのクワイエットストームの流れを感じるYearning for Your Loveです。

大きく時代を遡り、シカゴで結成され1950年代から長い歴史のあるボーカルグループ、The Dellsの
1980年作はEarth, Wind & Fireのアレンジを手掛けたTom Tom 84と、Chi LitesのEugene Recordを制作に迎え、
オーセンティックでありながら泥臭くない仕上がりです。間奏部分の豪華なアレンジと盛り上げ方が素晴らしいSo you are loveです。

CCM系(Contemporary Christian Music)ではJim Schmidtの83年作を選びました。PagesのRichard Page, Steve Georgeのほか、
Roby Duke, Paul Jackson Jrなど参加しており、AORがお好きな方なら名前を聞いただけでサウンドが想像できるかと思います。
エレピの音の揺れる感じやペキペキしたカッティング、コーラスワークなどPages好きなら確実に嵌る一曲です。

SME系のレーベル、キューン・ミュージックからデビューした5人組ダンスボーカルグループ、Flowbackの
ニューアルバムから、松尾潔プロデュース期のEXILEを思わせるような、Chris Jasperが前面に出ていた頃の
Isley Brothersからの影響も感じる90sJR&Bなブギー、Repeatです。

そして、もう一枚以前にも紹介したレアグルーブ、詳細不明の2人組によるユニット、Geminiの1981年作から
(Cornelius "Hot Lix" Mims(B), James Gadson(Ds), Ed Greene(Ds)などが参加しています)
蕩けるようなファルセットのフックが堪らないスロウです。

最後には70年代後半~80年代初頭に活躍したフィリーソウルのグループの中でも、
最も好きなグループの一つ、Enchantmentはデトロイト出身の5人組で、今回は80年作の4thから
重厚なグルーブに朗々としたリードボーカル、コーラスが載った、70sソウルと80sディスコの美味しいところが
見事なバランスで混ざった一曲、I Believe In Youを選びました。本作と83年作、Utopiaは何度聴いても飽きない傑作です。

今回はトーク少なめ、楽曲多めでお送りいたしました。いかがでしたでしょうか。
皆様に素晴らしい音楽との出会いがありますように。おやすみなさい。

前編

中編

後編


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  1. 2019/09/18(水) 23:30:23|
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私的名盤放送第54回「昭和歌謡特集 ゲスト:DJゆか坊」

私的名盤放送第54回「昭和歌謡特集 ゲスト:DJゆか坊」

「放送アーカイブはこちらから」

M1 ハリウッド・スキャンダル /郷ひろみ
M2 思いは必ず届く /佐藤聖子
M3 嵐のマッチョマン /とんねるず
M4 Slaughter of the Soul /At The Gates
M5 ファンタスティック・ウーマン /大橋純子
M6 JODAN JODAN /海援隊
M7 北風と太陽 /久保田利伸
M8 アダムとイブ・スーパーライブ /ピンク・レディ
M9 フリースタイル /水樹奈々
M10 恋する惑星 /花澤香菜
M11 ホットラインは内線424 /中原めいこ
M12 LOVE AFFAIR /サザンオールスターズ
M13 片方ずつのイヤフォン /平井堅

私的名盤放送第54回は久々のゲストを迎えての放送となりました。
名古屋で昭和歌謡曲DJとして活躍するDJゆか坊さんをお招きして、選曲頂きました。
市内のレコードショップ談義や昭和歌謡曲のおすすめをお掛けしています。ダンサブルな楽曲多めのラインナップです。
直近では
①9/22(日) 栄FLOW lounge(名古屋市中区)にて昭和歌謡 レコード限定イベント「昭和アナログモード」開催(17:00-22:00)
②9/27(金) 昭和歌謡曲バー スウィートメモリーズでの「のすたるじっく・フライデー」単独DJ (19:00-23:00、毎月1回あり)
に参加されるとのことです。

9/22のイベントには私も参加できそうな状態ですので、病棟の業務などが無ければお伺いすると思います。
名古屋在住の私的名盤紹介読者様はぜひ、お越し下さい。参加される方はTwitter DMへご連絡下さい。

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  1. 2019/09/07(土) 22:06:36|
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私的名盤放送第53回「私的名盤放送2019夏の2時間スペシャル」セットリスト

私的名盤放送第53回「私的名盤放送2019夏の2時間スペシャル」セットリスト

#53 1

#53 2

#53 3

「放送アーカイブはこちらから」

M1 Speechless /内田雄馬 『Speechless』 (2019)
M2 HIT NUMBER /おかもとえみ 『ストライク!』 (2016)
M3 Don't Be Shy /KARA 『the First Bloooooming』 (2007)
M4 Slow Luv /ゴスペラーズ 『Soul Serenade』 (2000)
M5 夜を使い果たして /STUTS feat. PUNPEE 『Pushin'』 (2016)
M6 Summer Breeze /The Isley Brothers 『3+3』 (1973)
M7 PEARL /伊藤美来 『PopSkip』 (2019)
M8 Eenie Meenie /Jeffrey Osborne 『Jeffrey Osborne』 (1982)
M9 Joy[Live] /Sing Like Talking 『SING LIKE TALKING 30th Anniversary Live Amusement Pocket“FESTIVE”』 (2019)
M10 Island Off The Coast Of America /Monkey House 『Friday』 (2019)
M11 morning light /THREE1989 『Kiss』 (2019)
M12 Daydream /山下達郎 『RIDE ON TIME』 (1980)
M13 A Fool for You(Baby) /Walter & Scotty 『My Brother's Keeper』 (1993)
M14 有名な映画のようにラブリーな恋がしたい /Sugar's Campaign 『FRIENDS』 (2015)
M15 Homeless Heart /楠瀬誠志郎 『宝島』 (1986)
M16 2NITE /Slom, Ace Hashimoto, 向井太一 『2NITE』 (1988)
M17 Stella's Cough /大江千里 『OLYMPIC』 (1987)
M18 横顔からI LOVE YOU /今井美樹 『MOCHA under a full moon』 (1989)
M19 くつひも /斉藤朱夏 『くつひも』 (2019)
M20 Have A Stroll /Perfume 『JPN』 (2011)
M21 星のいない週末 /佐藤聖子 『Bright Lights』 (1992)
M22 Parallel Line /崎谷健次郎 『ただ一度だけの永遠』 (1990)
M23 Take It Lucky /脇田もなり 『AHEAD!』 (2018)
M24 虹 /Aqua Timez 『うたい去りし花』 (2009)

【放送後記】
前回が水樹奈々さんの特集であったこともあり、お掛けしたい楽曲のストックがかなり溜まっておりました。
そこで今回はお盆休み(病院にはお盆休みという概念はなく働いておりますが)に合わせて、
「私的名盤放送2019夏の2時間スペシャル」をお送りしました。

いつもにましてキャッチーなトラックを中心に、JPOP, アニメソング多めの内容としております。
声優さんのソロアルバムからは、1992年生まれの内田雄馬の3rdシングル、Speechlessは
90秒ぴったりで1番が終わる完璧な構成、欅坂46の楽曲を手掛ける前迫潤哉によるサビへの高揚感が素晴らしいです。
BanG Dream!や五等分の花嫁などへの出演で知られる1996年生まれの伊藤美来が
今年発表した2ndソロアルバムから、先行配信されたPearlです。松たか子、坂本真綾への曲提供で知られる
高田みち子による作曲で、北川勝利による花澤香菜の楽曲に勝るとも劣らぬジャジーなトラックです。
シャリシャリしたカッティングで始まるメロ部分の展開は角松敏生的なリゾートミュージックを思わせ、
サビに掛けてダンサブルなリズムセクションに、冨田恵一の編曲を思わせる、
ストリングスの作るテンションが上品に鳴り響きます。
その他にも伊藤美来の2ndは良質なポップスが詰め込まれており、花澤香菜/Blue Avenueの感覚に近い一枚です。

ラブライブ!サンシャイン!!の渡辺曜役で声優デビューを果たした1996年生まれの斉藤朱夏ニューシングルは、
aikoの楽曲を思わせるような少しブルージーなメロディとストーリー性に富んだドラムスが素晴らしいです。
一聴した感じでは、タイム感は佐野康夫かと思いましたが、クレジットを見ると、惜しくも解散してしまった
school food punishmentの比田井修のようです。作曲はLIVE LABのハヤシケイで、元々はVOCALOIDで楽曲を
作っているプロデューサーのようです。メジャーなJPOPのシーンで活躍しそうな予感がします。

最近管理人が一押ししている男女混成5人組バンド、フレンズのボーカリストであり、元THEラブ人間のおかもとえみの
2015年リリースのEPから非常にシンプルなメロディのフックが印象的なHIT NUMBERを選びました。
イントロ部分のFM音源を思い出させるシンセや、土岐麻子のような柔らかさがありながら、
しかし無機質な魅力があるボーカル表現が最高です。

KPOP/KR&Bからは、Mr, GO GO Summerなどの大ヒットで知られるアイドルグループ、KARAの2007年の1stから
ヒップホップソウル直系のスウィングするビートと、宇多田ヒカル/B&Cを思わせるようなイントロ、
Earth, Wind & Fireのような後半のドラマティックな転調など、JPOP好きにはたまらない要素が目白押しのDon't Be Shyを
選びました。MISIAや露崎春女などがお好きな方ならきっと好きになる、絶品のR&Bです。
そしてもう一曲は、ソウル出身の音楽プロデューサー、yonyonが向井太一、Slom(Zion Tのプロデュースで知られる)を
迎えて制作したニューシングル、2NITEです。Pharrel Williams/Stay With Meを思わせるような、
ギラギラとしたシンセのバッキングが堪りません。Stevie Wonder的なジャジーなハーモニーも個性的です。

管理人が邦楽R&Bに触れるきっかけとなったグループ、ゴスペラーズの00年作から、
酒井雄二作曲のスロウジャム、Slow Luvです。彼が作る楽曲は、グループの中でもとりわけジャジーなハーモニーが多く、
少し広域の多く柔らかい声質の彼が思い切り張り上げるサビ前など、蕩けるようです。
編曲は、邦楽アシッドジャズバンドのSOYSOULのキーボーディストであり、EARTH, 久保田利伸、
シティポップ再評価で注目される具島直子などに関わったK-Mutoが担当しています。

現代の邦楽ブラックミュージック再評価の軸となっているのが星野源やPUNPEEであり、その「裏方」として
シーンで大活躍しているのが東大出身のトラックメイカー、MPCプレイヤー、プロデューサーのSTUTSと言えるかもしれません。
STUTSの2016年リリースの1stフルから、現代邦楽ブラックミュージックのアンセムとなった
PUNPEEをフィーチャリングした「夜を使い果たして」です。この曲の印象的なリフレインは、
Addrisi Brothers/Baby, Love is a Two Way Streetが元ネタだと思われます。
1977年に発表されたブルーアイドソウルの隠れ名盤で、Michael Franksのカバーが収められていたりと、
AORのファンにも沁みる一曲です。これも中古レコードショップでなかなか見つけられない一枚です。

管理人が思う夏ソングの代表格、Isley Brothers/3+3に収録されているSummer Breezeです。
Ronald Isleyのエロスに満ちたファルセットが堪能できます。それにしても、これが73年の音というのに改めて驚きを感じます。
元のバージョンはSeals & Croftsによるカントリーなサウンドで、これもまた素朴な魅力があります。

BCM系では、SOLAR Recordsを代表するボーカルグループ、The Whispersの中心メンバーで双子のWallace Scottと
Walter ScottによるWalter & Scotty名義の1993年作から、NJS的なキラキラしたシンセと鋭いハイハット、SEに
甘いコーラスが涼しげなA fool for you(Baby)です。プロデュースを務めるのはCurtis Mayfieldに見いだされた
セッションベーシスト、プロデューサーのKeni Burkeです。これも夏にぴったりなすっきりした一曲。

そして、もう一曲BCM~AORではGeorge Dukeプロデュースによる元L.T.D.のボーカリスト、Jeffrey Osborneの
1stアルバム、セルフタイトルからMichael Sembello(G), Bob James(Key), Steve Ferrone(Ds, Average White Band)という
最強の布陣による夢見心地なメロウグルーブ、Eenie Meenieです。しかしMichael Sembelloの楽曲としては
それほど「マニアック」な展開ではありません。Jermaine Jackson/You Like Me Don't Youにも近いサウンドです。

Steely Danフォロワーなアーティストは数多くあるものの、Monkey Houseほど「本家」に肉薄したサウンドを作り出した
グループは居ないでしょう。菊地成孔がラジオで「SDのイディオムのみを用いて作り上げられたサウンド」とまで
言い放った彼らの作品には、Jay Graydon(G), Drew Zingg(G), Elliott Randall(G), Michael Leonhart(Trumpet)など、
もはや本家のアルバムに参加していたスタジオミュージシャン本人を迎えて制作しており、クオリティの高さはお墨付きです。
新作のFridayから、Bernard Purdieのシャッフルのリズムを完璧に再現したリード曲を選びました。

1989年生まれの男性3人組ユニット、THREE1989の2ndフルアルバム、Kissから、
Earth, Wind & Fire/After The Love Has Goneを思わせるようなメロディが随所に登場するmorning lightです。
キーボードの音色もDX7のような音色で、かつボーカルのスタイルは松尾潔プロデュース期のEXILEを思わせるような
90s~00s前半のJR&B的なスタイルで、見事な組み合わせだと思います。

山下達郎のアルバム達は全てが名盤で説明不要とも言えますが、80年作のRIDE ON TIMEから、
独特のタイム感のカッティングリフが唯一無二のグルーブを作るDaydreamを選びました。
青山純/伊藤広規のリズム隊が生み出す重さは、オハイオ出身のファンクバンドであるSLAVEやLakesideの
作る重さに近いものがあるというのが、個人的な感想です。こういったオハイオ・ファンクや、
Isley Brothers/Hurry up and waitのようなポリリズムファンクが彼に与えた影響は非常に大きいと思います。

avec avecとSeihoの2人組によるBCMやクワイエットストームの影響を強く感じるプロジェクト、
Sugar's Campaignの名作メジャー1stフルアルバムから、渋谷系の楽曲の様なタイトルの
「有名な映画のようにラブリーな恋がしたい」です。ぶりぶりのシンセベースや間に挟みこまれるシンセリードと、
可愛らしいボーカルの組み合わせが最高な一曲です。tofubeatsのポップな楽曲が好きな方なら必聴です。
90年代の中野雅仁&藤原美穂のpas de chatを現代版にアップデートしたサウンドとも言えます。

山下達郎フォロワーとして語られることも多い楠瀬誠志郎は、もともと山下達郎バンドのバックコーラス出身で、
Sing Like Talkingの佐藤竹善にも近いキャリアですが、彼の1stアルバムから圧倒的な声量と伸びやかなハイトーンが
素晴らしいシティポップ、Homeless Heartです。ベースラインの饒舌さはAnthony Jacksonを思わせるようなフレージングです。
間奏部分のジャズらしいコード進行など、既に高度に完成された音楽性を感じさせます。

そして同系統のサウンドでは槇原敬之に負けずとも劣らぬ透明感のあるボーカルと、多彩な編曲で日本のシティポップに
大きな影響を与えた崎谷健次郎を忘れてはいけません。斉藤由貴「夢の中へ」、 中山美穂「これからのI Love You」
などのヒットで知られる1962年生まれのSSWで、80年代末から90年代に掛けて優れた邦楽AORの作品群を残しています。
ロイヤル・フィルハーモニー・管弦楽団をゲストに迎えストリングスをフィーチャーした
1990年作の4thから、シャッフルの歯切れの良いドラムスにぶりぶりしたシンセベースがデジタルな質感を与え、
そこにホーンの豊かなハーモニーが加わることで、独特なモダンさを残しています。

80年代末から90年代にかけてヒットを連発したSSW, 大江千里の87年作は
小林武史(Key), 富樫春生(Key), 松原正樹(G), 佐橋佳幸(G), 伊藤広規(B), 山木秀夫(Ds)など
錚々たるスタジオミュージシャンを迎えています。当時のニューウェイブの影響を受けたエレクトリックファンクを
想起させるようなStella's Coughを選びました。

リヴァーブを深く掛けられたスネアドラムの音色や、透明感あふれるボーカルが、これぞ「日本の夏のリゾートミュージック」
と思わせてくれる今井美樹の1989年作、MOCHA under a full moonから武部聡志(kokua, 松任谷由実、一青窈)が作曲、
坂本真綾や花澤香菜の名曲を数多く手掛ける作詞家、岩里祐穂がタッグを組んだ完璧な一曲です。
杏里やオメガトライブなど、シティポップの中でもフュージョンの影響が強い、キラキラとした輝ける日本のバブル時代を
思い起こさせるサウンドです。この作品がお好きなら、One Step Communicateという3人組もぜひ、おすすめです。

中田ヤスタカのプロデュースにより、日本のダンスボーカルグループの名実ともに頂点に上り詰めた
広島県出身の3人組、Perfumeの誰もが知る2011年の名盤、JPNから敢えてNJS的な、調性感の薄い
Have a Strollを選びました。R&B的なハーモニーでありながら、それをここまでポップに聴かせる編曲の妙は、
彼にしかなしえない業だと思います。

90年代は、aiko, 宇多田ヒカル、椎名林檎の3人の巨人に隠れてしまいがちではあるものの、
無数の優れた女性シンガーソングライターを生み出しました。シティポップの観点で振り返られる機会が多いのが
具島直子ですが、もう一人、是非とも今振り返られるべきSSWが、佐藤聖子だと思います。
1971年生まれ、埼玉県新座市出身の彼女の1stアルバムから星のいない週末です。
Patrice Rushenからの影響を公言している通り、80年代のAOR~BCMに影響を受けた、かつポップなメロディと、
甘くミルキーなハイトーンボーカルが組み合わさった、甘酸っぱく爽やかな、雨降りの夏の夜にぴったりな一曲です。

そして、管理人が一押しのアイドルグループであった神戸、三宮出身のダンスボーカルグループ、
Espesia(今は解散してしまいましたが)のメンバー、脇田もなりのソロ2nd, Ahead!から、
Espesia時代を思い起こさせてくれる突き抜けるようなサビから始まるリゾートミュージック、Take It Luckyです。
新井俊也によるキャッチーなサビとアシッドジャズ以降の間隔がある間奏、
クニモンド瀧口(流線形)とタッグを組んでデビューしたトラックメイカー、シンガーのukoによるきらめく編曲も最高です。
このシングルのB面、PEPPERMINT RAINBOWはBruno Mars/Finesseや
SMAPのプロデュースで知られる林田健司のソロを思わせる現代版NJSで、これも絶品です。

そして最後には、管理人が選ぶ最高の「夏ソング」、惜しくも昨年解散してしまった、邦楽ポップ~ロックバンドの
中で最高級のメロディを生み出し続けたAqua Timezの「虹」で締めくくりました。

私的名盤放送、夏の2時間スペシャルいかがでしたでしょうか。
皆様に素晴らしい音楽との出会いがありますように、おやすみなさい。暑い日が続きますがご自愛ください。

※いつもご覧下さっている皆様、ありがとうございます。感想はTwitter ReplyやDM, 質問箱などで随時承っております。
  今後、近いうちにゲスト放送回も予定しております。過去放送回もぜひご覧下さい。

その①

その②

その③

その④


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  1. 2019/08/14(水) 23:21:53|
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私的名盤放送第52回「『水樹奈々』で棚から一掴み」セットリスト

私的名盤放送第52回「『水樹奈々』で棚から一掴み」セットリスト

私的名盤放送52回1

私的名盤放送52回2

「放送アーカイブはこちらから」

M1 FATE /水樹奈々 『SUPERNAL LIBERTY』 (2014)
M2 Song Communication /水樹奈々 『PHANTOM MINDS』 (2010)
M3 フリースタイル /水樹奈々 『MAGIC ATTRACTION』 (2002)
M4 SUMMER PIRATES /水樹奈々 『METANOIA』 (2019)
M5 夏恋模様 /水樹奈々 『IMPACT EXCITER』 (2010)
M6 NEXT ARCADIA /水樹奈々 『IMPACT EXCITER』 (2010)
M7 アンビバレンス /水樹奈々 『SMASHING ANTHEMS』 (2015)
M8 COSMIC LOVE /水樹奈々 『STARCAMP EP』 (2008)
M9 You have a dream /水樹奈々 『HYBRID UNIVERSE』 (2006)
M10 エデン /水樹奈々 『エデン』 (2015)
M11 アオイイロ /水樹奈々 『Justice to Believe/アオイイロ』 (2006)
M12 suddenly~巡り合えて /水樹奈々 『suddenly~巡り合えて』 (2002)

【放送後記】
しばらくぶりの私的名盤放送は、ファン歴13年、FC会員の私的名盤紹介管理人が選ぶ水樹奈々さん特集です。
音楽性、関係するスタッフやスタジオミュージシャン、プロデューサーなどに着目した90分間です。

一人のアーティストのファンで居続けることでこそ、気付くことのできる魅力や、音楽性やボーカル表現の変化の
細かい点に気付くことが出来るようになり、より深く音楽を楽しむことが出来ると思います。

特に、あえてシングルヒットを選ばないことによって、管理人の好みを反映できたと思います。

FATEはV6/Guilty, Astrogationのほか、クリスハートのプロデュースなど、JR&B的な編曲が多くみられる
陶山隼を作編曲に迎え、00s初頭のEXILEを思わせるようなスロウジャムに仕上がっています。

Song Communicationはコーラスにかつて水樹奈々が参加していた声優グループPritsのメンバーを集め、
Elements Gardenの作家陣の中でも、「残光のガイア」のようにアコースティックなアレンジを得意とする
藤間仁がペンを執っています。あえて高域の多い、柔らかく可愛らしい声質で歌うボーカルも素晴らしい。

矢吹敏郎がプロデュースを務めた初期作のMAGIC ATTRACTIONからは
本間昭光(いきものがかり、ポルノグラフィティなど)が作曲を務めたアイドルポップス、フリースタイルです。
デビューしてまもない時点でも完成されたボーカルですが、あえてヴィブラートを抑えたハイトーンが心地良いです。
失恋から立ち直ろうとする歌詞も、少し背伸びした当時だからこそできたボーカル表現だと思います。

最新シングル、METANTONIAのC/W, SUMMER PIRATESはBrecker Brothersを思わせるような
フュージョン的なホーンのオブリガートが特徴的な、スピード感あふれるアシッドジャズなトラックです。
最近のメタリックなシングル曲たちの中でも少し異色な一曲に仕上がっています。
Aqoursの楽曲やTHE IDOLM@STERの楽曲を手掛ける光増ハジメが作曲しています。

水樹奈々の隠れた名曲の代表格、「夏恋模様」は、藤林聖子の上品でストーリー性に富んだ、
淡い思い出を描く歌詞と、齋藤悠弥による少しブラジリアンなBメロや少し後ノリなグルーヴィーなドラムスの
作り出すゆったりとした16ビートなど、これまでの彼女の楽曲にはないサウンドで占められています。
プロデューサーの三嶋章夫さんが「一番泣ける曲」と称しているようです、納得します。
ライブでなかなか聴くことが出来ない曲でもあり、「Live Grace Opus3 2019」でさらにブラジリアンな香りを強めて
大胆にアレンジされたバージョンが聴けます。

水樹奈々の楽曲は演奏難度の高いものが多いですが、特にElements Gardenが手掛ける難しい楽曲の
中でも、とりわけキメが多くプログレッシブロック~ハードフュージョン的な色が強いのがNEXT ARCADIAです。
特にピアノのバッキングのリズムやオブリガートの難しさ、後半のドラムスのフィルインなど
ライブで観るとダブルドラム、トリプルギターの構成でこの曲を完璧なアンサンブルで聴かせるバンド、
Cherry Boysの実力を思い知らされます。

2015年作のSMASHING ANTHEMSに収録されたアンビバレンスは、椎名林檎/丸の内サディスティックでの
河村智康を思わせるようなブリティッシュな香りがするビートとAOR的なサビの展開が特徴的な、
レイドバックした一曲です。武道館7daysライブではスガシカオをゲストに迎え入れて演奏しています。
これも管理人的には水樹奈々隠れ名曲の一つです。

管理人の好きな水樹奈々楽曲は、DISCOTHEQUE以降のディスコトラックとヘッドセットで歌うダンス曲、
タオルを振る「タオル曲」が多いのですが、その中でもCOSMIC LOVEのコードカッティングや
パタパタしたドラムスの音色も、水樹奈々楽曲の中ではかなり珍しい音作りで、
Elements Gardenのメンバーであり、BanG Dreamの音楽プロデュースを務める藤田淳平が作曲しています。

同じく藤田淳平によるHybrid Universeから、デビュー当初の歌い方から現在のボーカルスタイルに
移り変わる「変声期」を捉えたともいえるYou have a dreamは、サウンド的にも90sポップス的な
エレクトロ~テクノポップな初期のサウンドと、「明るいが、暗く、切ない」水樹奈々ポップスの真髄が垣間見える曲です。

比較的新しいシングルからは、藍坊主の 藤森真一作曲によるエデンを選びました。
音価の長いメロディと、山本陽介のかき鳴らされるギターの分厚さに圧倒されます。名演だと思います。
AGENT-MR作曲による「アオイイロ」は制服を来てダンスするPVも印象的ですが、
スターダムを駆け上がる、その直前期の水樹奈々の魅力が凝縮されています。

そして最後に、矢吹敏郎による初期水樹奈々屈指の名曲、suddenly~巡り合えてです。
定番のエモーショナルなギターソロ、ドラムブレイクから入るイントロ、分厚いコーラスパート、
アメリカンプログレハードにも繋がる編曲と、この頃のサウンドを通して、AOR的な水樹奈々サウンドが
今後聴ける日を待ち望んでおります。

放送内ではさらに踏み込んで、水樹奈々のボーカルスタイルや、個人的な思い出を語りつくします。
ぜひ、ご覧下さい。次回もお楽しみに。皆様に素晴らしい音楽との出会いがありますように。

前編

中編

後編


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  1. 2019/07/29(月) 22:29:56|
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私的名盤放送第51回「JPOP/邦楽ロックの新譜盛り合わせ」セットリスト

私的名盤放送第51回「JPOP/邦楽ロックの新譜盛り合わせ」セットリスト

私的名盤放送第51回2

私的名盤放送第51回1

私的名盤放送第51回3

「放送アーカイブはこちらから」

M1 忘れられないの /サカナクション 『834.194』 (2019)
M2 Misty Lady /Casiopea 『PHOTOGRAPHS』 (1983)
M3 Do you remember? /Shiggy Jr. 『KICK UP!! E.P.』 (2018)
M4 Take A Step Forward /TrySail 『TryAgain』 (2019)
M5 Running out of Time /Tyler, the Creator 『IGOR』 (2019)
M6 Nice & Easy /Leroy Hutson 『Paradise』 (1982)
M7 Rose Color /Cindy 『Don't be afraid』 (1991)(Youtubeへのリンクは中山美穂バージョン)
M8 Strawberry Jam /大塚愛 『LOVE JAM』 (2004)
M9 Burning Friday Night /Lucky Kilimanjaro 『FULLCOLOR』 (2015)
M10 I'm Falling /Earl Klugh 『Peculiar Situation』 (1999)
M11 You & Me /EXILE 『Mixed Emotions』 (1978)
M12 Good To Be Back /Natalie Cole 『Good To Be Back』 (1989)
M13 Stars in Your Eyes /Kan Sano 『Ghost Notes』 (2019)
M14 I Like It /Gabby And Madi 『I Like It』 (2019)
M15 素敵にあこがれて /RYUTist 『センシティブサイン』 (2019)
M16 Take Me /Softsoul feat. カマタミズキ 『Timeless』 (2019)
M17 常夏ヴァカンス /フレンズ 『コン・パーチ!』 (2018)
M18 Special /Quincy feat. Ryan Destiny 『Special』 (2019)
M19 My One Temptation /Mica Paris 『So Good』 (1988)
M20 夢の続き /メロウ・イエロー・バナナムーン 『Tropicália』 (2019)
M21 Blue Sky /COLOR 『BLUE 〜Tears from the sky〜』 (2008)
M22 サーチライト /ブルー・ペパーズ 『Retroactive』 (2017)

【放送後記】
またしばらくぶりの更新となりました。今年1年間は内科の中で、各診療科別の専攻へ進む前の研修の時期に当たります。
様々な内科系診療科をローテ―トし診療に当たるので、科によっては時間に余裕がないこともありますが、
現状は音楽を聴いたり、私的名盤放送を継続できております。有難いことです。
このブログも2012年に開設してから7年半もの時が流れ、続けられているのは
見て下さっている方、お声掛けを頂ける方のお蔭様と思っております。有難うございます。

さて、2016年10月から試験放送を始めた私的名盤放送も、51回を数え、閲覧者数も各話で100-200名前後で安定してきました。
はじめは見て下さる方が数人という時期が長く続きましたが、継続してきた成果と思っております。
これからも、プロの作るラジオ番組やその選曲に負けないような、良質な楽曲を、よい音質で、
より深い解説とともにお届けできるよう、努力いたします。

今回はここ数年で発表されたJPOP/邦楽ロックの作品を中心に取り上げました。
特に目玉は、2005年から現代に至るまで、常に邦楽ロックのシーンの最前線に立ち続けるサカナクションの最新作です。
エレクトロミュージック、テクノポップやインディーロック、UKロック、歌謡曲など様々な背景を持つフロントマンの山口一郎は、
大衆に広く受け入れられるサウンド、ポップネスと、自身が表現したいサウンドを高い水準で融合させる能力に
長けた紛うことなき天才で、アルバムのリードトラックとなった「忘れられないの」は、
杉山清貴&オメガトライブを彷彿させるようなPVも印象的ですが、近年の邦楽のシティポップ/AOR再評価の流れを汲んだ、
80sソウル進行を下敷きにした一曲です。ドラムスの低域が強調されたスネアの音色や、リヴァーブの掛かり方など、
オーディオ面でも、80年代の邦楽へのオマージュを感じさせます。曲間のベースソロも非常にメロウで、
アウトロにはギターソロが入っていますが、そこでフェードアウトしてしまうのが憎い作りです。
サビ前の盛り上げ方などは明らかにEDMを通過した感覚を感じますが、それも違和感なく、80s的なギラギラしたサウンドへ
回収してしまうバランスの良さは唯一無二です。彼らの最高傑作のひとつだと確信します。

邦楽シティポップの歴史を辿るうえで重要なのがインストゥルメンタルミュージック、邦楽フュージョンですが、
特に海外での評価が高いスーパーグループ、Casiopeaの野呂一生作曲によるMisty Ladyを選びました。
一聴してそれと分かる神保彰の独特なフィルインや、ぶりぶりしたスラップベース満載で、
邦楽フュージョンのおいしいところが詰まっています。
その他、「郊外のスーパーで掛かったフュージョンをそのまま掛ける」コーナーでは、
Stevie Wonder, George Benson, Bob Jamesなどとの共演、Return To Foreverへの参加で知られる
ガッドギターの名手、Earl Klughの99年作から、マリンバの様な音色のイントロが特徴的なI'm Fallingを。
(この曲はTSUTAYAの店内放送でも掛かっているかと思います、よく耳を澄ませてみて下さい)

Tyler, The Creatorの新譜からは、ゴスペルライクなコーラスが入り、Thundercat/Drunkのサウンドを
彷彿させるようなとりわけチルなトラック、Running Out of Timeを選びました。恋を諦める、悲しいリリックです。
アーバンな上物に速弾きのシンセ、ノイジーなベースラインが重なる音遣いのセンスは天才的です。

残念ながら今年解散してしまったミクスチャー~シティポップ系ロックバンドのShiggy Jr.ですが、
キャリアを重ねるにつれて演奏力は確実に向上しており、2018年のEPに収録されている
Do you remember?は、かつての山下達郎バンドにも迫るほどのへヴィ―な諸石和馬の作るグルーブが素晴らしいです。
池田智子のキュートなボーカルは何物にも代えがたい魅力があり、今後の動向が気になるところです。

アイドルソング系では、以前にも取り上げた新潟県出身のアイドルグループ、RYUTistのニューシングルの
B面に収録されているジャジーで緊張感あふれるコード進行の「素直にあこがれて」です。
フュージョン的なサウンドとジャズボーカル的なメロディが組み合わさった、
現代版フリッパーズ・ギター~ピチカート・ファイヴともいえる一曲です。
一聴すると田中秀和のサウンドのようにも聴こえますが、作曲を担当するのは佐藤望という作家のようです。素晴らしい。
その他、麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜の3人組による声優ボーカルユニットのTrySailニューアルバムから、
16ビートのカッティングと煌めくシンセに切ないメロディという少し懐かしいアニメソング風のTake a Step Forwardも良曲です。

Curtis Mayfieldの後任として1971年からImpressionsで活動し、73年にソロデビューした1945年生まれのSSW、
Leroy Hutsonは現代のレアグルーブ再評価の中で最も注目されている人の一人だと思います。
彼がElektra Recordsに遺した唯一作、82年のParadiseは特にBCM色の強い一枚で、
シルキーなグルーブが堪らないNice and Easyを。

2000年代のJPOPに戻り、現代において再評価されるべき女性SSW, 大塚愛の名盤2ndからスウィンギーなリズムと
ブラスのアレンジが心地良いStrawberry Jamです。アレンジを務めるのはIkoman(生駒龍之介)で、
YUI, FLOW、エレファントカシマシ、ステレオポニーなどを手掛けた人物です。
パンキッシュなサウンドやポップロックを中心とした元気な楽曲が多いイメージの彼女ですが、
こんなアンニュイでグルーヴィーな楽曲もあります。歌いまわしやベンドの使い方は、aikoのそれに近しいものを感じます。
ビジュアル、作曲能力、編曲の丁寧さと、全ての面において非常に完成されたアーティストだったと思います。

続いて現代に戻り、6人組のファンク~ディスコ~シティポップユニットのLucky Kilimanjaroによる
2015年のEPから、Emotions/Best of My Love的なクラシカルなディスコサウンド、Burning Friday Nightです。
AORでは6人組のロックバンド、EXILE, 1978年作からウェストコーストロックとブルーアイドソウルの中間を行く
スムースなYou & Meを選びました。John Valenti/Stephanieなどお好きな方には堪らないと思います。

Miss You Like CrazyがUS Hot100で7位を記録したNatalie ColeのAOR期からジャズボーカル期へと移り変わる時期の名盤、
Good To Be Backから、表題曲を選びました。Neil Stubenhausの滑らかで音の切り方が天才的なベースラインと、
Paul Jackson Jrのいい意味で安っぽいカッティング、少しトロピカルなサウンドは
陽だまりに照らされているような暖かい気持ちになれる最高のBCMです。
その他、第13回で取り上げたRandy Goodrum作のRest of The Nightも必聴、全てが名曲しかない一押しのアルバムです。

さらに新譜へと戻り、今年出たばかりのキーボーディスト、SSWのKan Sanoの新譜を取り上げました。
僕自身はLucky Tapesのライブにゲスト出演していてその存在を知りましたが、
既存の楽曲を換骨奪胎、リハーモナイズしたカヴァーの連続が素晴らしかった記憶があります。
D'Angelo以降のネオソウルの影響を感じながらも、リードトラックとなった
Stars in Your Eyesは非常にキャッチーなシンセのリフレインが印象的で、囁くようなボーカルと
ハイファイなベースと剃刀のような切れ味のハイハット、加工されたボーカルが非常に耳に残る一曲です。
その他にもレイドバックした、削ぎ落とされたビートが満載で、これを一人で全て演奏しているというのは、
にわかに信じがたいレベルで、恐るべしです。かつてのThe Roots, RH Factorにも迫るファンキーな一枚でした。
ネオソウルの流れの中にいて、特異なカラーを放つこのKan Sanoと
中村佳穂(こちらはプログレッシブロック、フュージョンの香りもする)は、
最近の邦楽ブラックミュージックの中では別格の存在だと思います。

さらにインディーなR&Bでは、女の子2人組の詳細不明なユニット、Gabby And Madiから
DeBarge/I Like Itを大胆に使ったクワイエットウェイブ、I Like Itと、
NJSを代表するシンガーの一人、Al B. Sureの息子、Quincyと、Deron Irons(ex. Guess)の娘であるRyan Destinyとの
ユニット名義で発表されたシングル、Specialを選びました。最近のMidas HutchやLe Flexにも繋がる一曲です。

そしてもう一曲、BCMからはUK出身のソウルシンガー、Mica Parisの88年作から、UKシングルチャートで
7位となったヒットシングル、My One Temptationです。Anita Baker/Rapture的なクワイエットストームを
下敷きにしながら、軽やかな音遣いの爽やかな一曲です。

かつて、ピチカート・ファイヴや初期のOriginal Loveを支えたドラマー、故宮田繁男の所属していたファンクバンド、
Softsoulの活動10年目にして1stアルバムとなったTimelessから90年代の邦楽アシッドジャズ、
Escalatorsを思い起こさせるようなTake Meを選びました。

その他には、2015年に結成された男女混成5人組バンド、フレンズの2018年の2ndフル、
コン・パーチからファンキー&キャッチーなきらめくJPOPで、常夏ヴァカンスも素晴らしかったです。
アニメソングではORESAMAや、JPOPではいきものがかりや初期の椎名林檎、
かつてのm-floのような邦楽ブラックミュージックなどを背景に感じる、高い演奏技術に裏打ちされた良質な楽曲が並び、
既に完成されたバンドといった印象です。タイアップも複数こなしており、今後JPOPのメジャーシーンで活躍しそうな
雰囲気を強く感じています。名盤です。

そして、もう少しマニアックなところでは、インディーポップバンドのメロウ・イエロー・バナナムーンの
2ndEPからトロピカルな香りを感じる星野源/恋ともいえるような「夢の続き」を選びました。
少しルーズなグルーブの感じやリラックスしたファルセットのボーカルなど、
シティポップ~AORに振り過ぎず、かつてのシュガーベイブや大瀧詠一作品にも通じる美しく懐かしいメロディが満載で、
最近見つけた若手の中では一番注目しています。

日本でEXILEと言えば、ATSUSHIを中心としたLDH系のボーカルグループでしょうが、
彼が参加していたボーカルグループのCOLORは、EXILEの初期にも通じる、90s的なスロウジャムを数多く
リリースしており、JR&Bファンには見逃せない内容となっています。
その中から特にキャッチーで、CHEMISTRYの全盛期に負けずとも劣らぬBlue Skyをどうぞ。

最後には、現代シティポップ系のユニットで最も密度が高くかつポップで完成されたアレンジで
注目されているブルー・ペパーズの1stフルアルバムから、サーチライトです。
2017年の年間ベストにも選出しています。佐野康夫や森俊之なども参加しています。全てのトラックがおすすめです。
メンバーの福田直木さんがパーソナリティーを務めるラジオ番組、「Crossober Laboratory」は、
数あるラジオ番組の中でも非常にレアな、AOR, BCM, フュージョン、ブラジリアン、CCM、ヨットロックなどを取り上げる番組で、
僕も毎週必ず聴きようにしています。ぜひチェックされてみて下さい。

来月からは特に忙しい診療科での勤務が始まりますが、何とか更新頻度を保てるよう努力してまいります。
皆様に素晴らしい音楽との出会いがありますように、おやすみなさい。

前編

中編

後編



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  1. 2019/07/15(月) 23:45:36|
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
下さったら嬉しいです。
※Twitterもやっております。
アカウント名はprivategrooveです。
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フォロー下さると嬉しいです。
可能な限りフォローバック、コメントしに参ります。
※放送企画として「私的名盤放送」というラジオを配信しております。
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