私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(368)※

Album: Into The Everflow
Artist: Psychotic Waltz
Genres: Progressive Metal, Heavy Metal, Psychedelic Rock

Into The Everflow

アメリカ、カリフォルニア州サンディエゴ郡エルカホン出身のプログレッシブメタルバンド。
1988年結成。1992年作の2ndで、地元サンディエゴのSan Diego Music Awardsでハードロックバンド部門
にてノミネートされています。

メンバーはDevon Graves(aka Buddy Lackey)(Vo, Flute), Dan Rock(G, Key), Brian McAlpin(G)
Ward Evans(B, Perc), Norman Leggio(Dr)と言うメンバーで、4枚のオリジナルアルバムを発表し、
解散しています。(2010年に再結成しているという情報もありました。)
元々はAslan(C. S. Lewisの小説、The Lion, the Witch and the Wardrobeに因んで)という
バンド名で活動していましたが、インディーズデビューの際に同名のバンドが居たため、
Psychotic Waltzと改称しています。

アメリカのバンドですが、デビュー当時からヨーロッパでの評価が高かったようで、
1stのA Social Graceは長らく入手困難な状態が続いていたようです。
本作はドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州ヘルネでレコーディングされおり、
ドイツ国内で活躍しているテクニカルスラッシュメタルバンドのMekong Delta(1985-)の
フロントマンであるRalph Hubertがプロデュースを行っています。

Dream Theaterを思わせるようなプログレッシブメタルと言えるだけのテクニカルな演奏、
曲展開は勿論あるのですが、各楽曲はさほど長尺と言うわけではなく、プログレ~アートロック、
或いはサイケデリックロック方面の音に近い部分もあると思います。
特にツインリードギターによるメロディアスなオブリガートや、哀愁を感じさせる
幻想的なストリングスも、やはりヨーロッパで人気が出そうなメロディアスさを備えています。
M1Ashesは静かなパートでもピロピロのリードギターが背後で鳴っていて、
スラッシーなリフとインドとも中東ともつかぬメロディが不思議な
M2Out Of Mindへと繋がって行きます。中間でテンポチェンジがあり、
左右に振られたギターリフが焦燥感を煽ります。最高。
どこか中近東風なメロディのギターソロと、金属的なベースラインが際立って聴こえる
M3Tiny Streams、表題曲のM4は、後半のツインギターの生み出すハーモニーがクサクサで素晴らしい。
グッとテンポを落としたバラードのM6Hanging On A Stringにも、どことなくエスニックな
香りが漂うメロディと煌びやかなアルペジオ、へヴィ―で手数の削られたドラムが
物哀しい雰囲気を演出します。お気に入り。
本作の中でもバスドラムのフレーズやギターリフなどリズム面でもっともテクニカル色の
強いM7Freakshowは、ボーカルも終始激しいハイトーン連発で、シンプルなフィルを起点に
静的なパートへと変化していきます。ギターソロもストーリーがあって泣いています。最高。
アフリカンなパーカッションの取り入れられたドラムソロパートから、
Purple Hazeのパロディまで飛び出してしまう長尺曲のM9Butterflyで終わっていきます。


ソロパートの激しさやリズムの難解さと言う点に関しては、Dream TheaterやPain Of Salvationなど
と比べると大分穏やかですが、独特の濡れたメロディセンスと、ツインギターによるハモリや
哀愁漂うコーラスやストリングスの心地良さが素晴らしく、すっきりと聴けてしまいます。
プログレメタル黎明期の傑作。

Ashes

Out Of Mind

Freakshow

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  1. 2015/02/09(月) 01:27:19|
  2. Psychotic Waltz
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今日の一枚(331)

Album: Miss Machine
Artist: The Dillinger Escape Plan
Genres: Progressive Metal, Chaotic Hardcore

Miss Machine

アメリカ、ニュージャージー州モリスで1997年に結成されたカオティック・ハードコア/
プログレッシブメタルバンド。元々はハードコアパンクを演奏していたArcaneというバンドが
彼らの前身で、それ以前にもAdam Doll, John Fulton, Chris Pennieの三人はSamsara, Malfactor
といった名義で活動していました。初めてのデモ音源を発表する際に、1930年代の銀行強盗の犯人である
John Dillingerの脱獄事件からThe Dillinger Escape Planの名を名乗るようになりました。
当時のハードコアパンクバンドの中で、彼らの演奏力の高さや暴虐的な音楽性が注目を集めるようになり、
Relapse RecordsからEPのリリースが決定することとなりました。
99年に1stアルバムを発表してからは、アバンギャルドメタルの界隈で評価され、
ファンクメタルバンドのMr.Bungleとツアーを共にする機会を得ます。
00年代に入ってからはAphex Twinのカヴァーを演奏するなど音楽性を広げる一方で、
イギリス国内の有名フェスティバルであるReading and Leeds Festival(Nirvanaのステージが
ライブレコーディングされたことでも知られていると思いますが)で汚物をステージ上で袋に入れて
撒き散らすという暴挙に出るなど、過激なパフォーマンスでもその名を知られるようになります。
本作は2004年作の2ndフルアルバムで、発売後一週間で12000枚の売り上げを記録するなど、
彼らの最大のヒット作となりました。本作リリース後はSlipknot, System of a Down, Megadeth
などのサポートアクトも行うようになります。
1stアルバムの攻撃的でパンキッシュなサウンドから、本作ではさらにアバンギャルドなサウンドを
指向しており、ボーカリストには元々彼らのファンであったGreg Pucitoが参加しています。
プロデューサーには、Alesana, Poison the Well, A Static Lullaby, Sepultura, Symphony X,
Saves the Day, Lifetime, Kid Dynamite, Story of the Year, Every Time I Die,
Earth Crisis, Still Remains, Our Last Night, The Wonder Yearsなど、
90年代前半から現在に至るまで、ハードコア~メタルコア、プログレッシブメタルなどの作品を
数多く手掛けてきたSteve Evettsが担当しています。(彼らの最新作もEvettsがプロデュースを行っています)
ボーカルは基本的にグロウルやスクリームを中心としたスタイルで、
ドラムスの叩き出すビートは、数学的に計算された変拍子を身体に叩き込んで演奏する
プログレッシブロックのそれというよりは、インダストリアルやミニマルテクノ、
ブレイクビーツに影響を受けたような、細分化、断片化されたビートを組み合わせて
巧みにリズムチェンジを行っているように感じられます。
しかしながら、曲中にはスラッシュメタルやブラックメタルに見られるような
リズムのパートも多くあり、この比率が絶妙にコントロールされています。
音は激しく歪んでいますが、フュージョンに近いハーモニーの感覚があって、
その上に多彩なエフェクトの掛けられた電子音やギターが飛び交っている、という異形な音像です。
目まぐるしく動くリズムや繰り返しの少ない曲の構造でありながら、
テクニックの高さに基づいた凄まじい緊張感があり、中毒性のあるサウンドだと思います。
#1Panasonic Youthは、冒頭から激しいスクリームが入っているため音量に注意して下さい。
変拍子のドラムスは目まぐるしくリズムチェンジを繰り返し、リズムギターのフレージングは
Meshugahhやその界隈から派生したDjentのそれです。短いタッピングのフレーズを起点にして、
曲後半ではスラッシュメタルのようなパートもあって楽しいです。お気に入り。
そのままシームレスに繋がっていく#2Sunshine The Werewolfは、激しいブラストビートを
随所に挟んでいますが、ともかくキックの音圧と粒の揃い方には驚かされます。
1:30あたりからはアンビエントなキーボードの鳴る静かなパートがあります。
最後一分ではノイズまみれのスクリームと美麗なストリングスが素晴らしい対比です。お気に入り。
Panteraのようなグルーブメタルを想起させる#3Highway Robberyは、本作の中でも
かなりキャッチ―な一曲に仕上がっています。突如として透き通ったコーラスが入った
パートでリズムチェンジした後は再び元に戻っていきます。
曲の中間部でDream Theaterを思わせるようなテンポの速いコードチェンジがある
#4Van Damselもなかなかにキャッチ―でポップです。
サスティーンの短いドラムスとジャリジャリと歪んだシンセ、ギターの単音カッティングで
静かに展開していく#5Phone Home、ギターリフとドラムスで出来る不気味なポリリズムが
得も言われぬグルーブを生み出す#6We Are The Stormは、左チャンネルを流れるフリーキーな
リードギターが際立っています。静かなパートは必要だったのかと思いますが…お気に入り。
機械音のようなインタールード#7Crutch Field Tongsに続いて、
#8Setting Fire To Sleeping Giantsは、本作の中でも一番激しいスクリームがありながら、
クリーンで歌うパートはコーラスもあったりして、Greg Puciatoの巧みなボーカルワークを楽しめます。
#9Baby's First Coffinは、ブラストとスクリームによるパートとメタルコアなパートが
交互に入れ替わりながら進んでいます。アウトロではドラムの抜けの良さがよく分かります。
#11The Perfect Designは、後半のテンポダウンしてからのスクリームが絶品です。
やはりアウトロは音量注意です。
かなり個性的なため、アルバム通して聴いているとなかなか疲れるサウンドですが、
一曲の中にこれでもかと展開が詰め込まれていて、キャッチ―なパートもあるため、
プログレメタルのファンだけでなく、スラッシュメタルやグルーブメタルの好きな方にも
楽しめると思います。計算された混沌、といった感じの一枚です。

Panasonic Youth

Sunshine Werewolf

We Are The Storm

Setting Fire To Sleeping Giants

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  1. 2014/09/04(木) 15:42:21|
  2. The Dillinger Escape Plan
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今日の一枚(314)

Album: Mythology
Artist: Derek Sherinian
Genres: Progressive Rock, Progressive Metal, Fusion

Mythology.jpg


アメリカ、カリフォルニア州ラグナビーチ出身のキーボーディスト。1966年生まれ。
自身のソロ活動に加えて、ドラマーのVirgil Dotaniを加えた
プログレッシブロックバンドPlanet X(詳細はPlanet Xの項を参照)での活躍や、
Alice Cooper, Billy Idol, Yngwie Malmsteen, Kiss, Black Label Societyなどでの
レコーディング、その他にはプログレッシブメタルを代表するバンドの一つである
Dream Theaterのメンバーとして、1994年から1999年にかけて活動していました。
ソロアルバムでは、 Slash, Yngwie Malmsteen, Allan Holdsworth,
Steve Lukather, Joe Bonamassa, Billy Sheehan, Zakk Wylde and Al Di Meolaなど、
ジャズフュージョンからHR/HM系に至るまでの優れたギタリストを多く迎えて
制作されており、ギタリストのファンからの人気も高いと思います。
本作では、ドラマーには現代のフュージョン系プレーヤーを代表する存在の
一人となったSimon Philips(詳細はSimon Philipsの項を参照)、
ベーシストにはTony Franklin, Marco Mendozaという、
John Sykes(G, Whitesnake, Thin Lizzy, 彼も本作に参加しています)を
中心としたハードロックバンド、Blue Murderのメンバーが参加しています。
Derek自身の演奏は、Dream Theater時代にはライブ中のミスの多さ、演奏のブレが
あったという批判もありますが、ストリングス系の派手で分厚い音色と、
ピッチベンドやワウ、荒々しい歪みなどを効果的に用いた極めて攻撃的で、
力強いタッチから繰り出されるロック寄りのフレーズで、
彼ならではの強烈な個性を見せてくれます。
Brian Tichy(Whitesnake, Billy Idol, Foreigner, Ozzy Osbourne)のへヴィなドラムスと、
Zakk Wyldeのハーモニクスを絡めた骨太なリフで始まる#1Day Of The Deadは、
プログレらしい浮遊感のあるキーボードソロがあって、その後に
かのAllan Holdsworthの気味の悪いロングソロが待ち受けている…という
何とも豪華な一曲です。その後のSherinianのソロも見事にHoldsworthのものを踏襲した
作りになっており、バックでザクザクしたスラッシーなリフが流れてきます。最高。
抜けの良いSimon Phillipsのドラムスが際立つ#2Alpha Burstは、
ブリブリしたシンセのリフを中心として、Steve Stevensの艶のある歪みのギターが、
合わさることでJeff BeckのGuitar Shopのあの音、あのプレイに極めて近いものに
仕上がっています。上質なプログレを演出します。Sherinianのキーボードプレイも
勿論速弾きながらブルージーな香りを残していて、コズミックなパートとの対比が面白いです。
John Sykesの荒い歪みが特徴的な、バリバリしたギタープレイと、派手にチョーキングを
かましてネオクラシカルなソロを弾くエモーショナルなソロがハードロック的な
#3God Of Warは、メインテーマとなる部分でのオルガンの大仰な音作りは、
さながらゲームミュージックのよう。
スキャットとフレットレスベースを組み合わせたMarco Mendoza(B)のプレイが
心地良いラテンナンバー#4El Flamingo Suaveは、Steve Stevensもギターを
アコギに持ち替え、Sherinianも生ピアノで答えています。Simon Phillipsのドラムスは
まさに本領発揮の感があって、鋭いスネアと豊かな響きのある
タムの音が涎ものです。勿論お気に入り。
バラードの#5Goin' To Churchは、Steve Lukatherの豊饒な泣きのギターが堪能できる
一曲で、Sherinianのストリングスの音も荘厳な雰囲気を見事に演出します。
Tony FranklinにSimonのリズム隊にLukatherとはまた…何と言う豪華な組み合わせでしょう。
良いに決まっています。インストなゴスペルソングといった趣です。
前曲の箸休めから一気に気味の悪い変拍子で満たされた#6One Way or the Otherでは、
上原ひろみのバッキングで何枚も作品を聴いていると、Simonのドラミングは
凄すぎて何だか驚かなくなってきてしまいましたが、当然すさまじいことになっております。
基本的にはJerry Goodmanのバイオリンと、Sherinianの壮絶なバトルが展開されていますが、
後半ではまたしてもAllan Holdsworthが降臨してきて、
戦いはさらに激しくなっていきます。最後は長いバイオリンソロです。
Liquid Tension Experimentを思わせるようなザクザクのリフと、パワフルなドラミングで
疾走感たっぷりな#7Trojan Horseは、何とギターをBrian Tichyが弾いているというから
驚きを隠せません。アウトロではMarco Mendozaのベースソロが聴けます。
#8A View from the Skyは、Steve Stevensのギターが甘美でかつスペイシーなフレーズを
紡いでいきます。メインテーマでのユニゾンや、静かにバックを支えるSimonのドラムも最高。
アウトロのソロは、シンプルな繰り返しのフレーズですが、ワウの掛け方といい
コードヴォイジングの気持ち良さといい、本当に素晴らしいプレイです。
#9The River Songは、Zakkのしゃがれたボーカルが独特な味わいを生み出すハードロックで、
彼の爆音のバッキングに乗せてSherinianが激しいソロを見せます。
ジャンルのところにはプログレメタルと書きましたが、
楽曲によってフュージョン寄りのものやバラード、サルサもあったりと、
かなり振れ幅のある作品で、長尺曲もなく、さらりと聴けてしまいます。
その割に個々の曲の演奏のテンションが異常に高く、かなり密度の高い
作品に仕上がっていると思います。ギタリストの方にも自信を持ってお勧めできます。

Day Of The Dead

Alpha Burst

El Flamingo Suave

Goin' To Church

One Way or the Other

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  1. 2014/07/12(土) 00:37:54|
  2. Derek Sherinian
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今日の一枚(298)

Album: Anima
Artist: Spheric Universe Experiment
Genres: Progressive Metal, Symphonic Metal

Spheric Universe Experimence


1999年にフランスで結成されたプログレッシブ・メタル/シンフォニック・メタルバンド。
ギタリストのVince BenaimとベーシストのJohn Draiを中心として結成され、
幾度かのメンバーチェンジを繰り返しながら活動を続けています。2007年作の2nd。
ボーカリストのFrank Garciaは、2003年にSperic Universe Experimence名義で発表した
1stアルバムであるMental Tormentsのレコーディング時のセッションでメンバーとなっています。
またキーボーディストのFred Colomboは日本が好きなようで、楽曲の中に日本語の語りを入れた
ものも収録されています。この1stはJailhouse Studioで録音され、彼らと契約を結んだ
Replica Recordsから世界で発表されることとなりました。
2005年にはScorpionsのワールドツアーで、Colmarでのライブの前座を務めるなど、
徐々にその知名度を上げていきます。
2007年にはProgPower Scandinaviaというプログレメタル関連のフェスに参加しています。
本作では、英語、イタリア語、フランス語、スペイン語、日本語の歌詞が楽曲中に
積極的に用いられており、メロディに対する乗り方に合わせて巧みに言語が選択されています。
非常に高い演奏力と、複雑なリズム構成を特徴とするプログレメタルとしては、
真っ先にDream Theaterと比較されるのでしょうが、Dream Theaterがフレーズの所々に
中東っぽい香りを漂わせるのに対して、彼らはよりシンフォニックなサウンドで、
キーボードの音にはアンビエント寄りのアプローチが多く見られる点は個性的だと思います。
ジャズからの影響も見て取れますが、この部分に関してはJordan Rudessのキーボードにも
勿論そうしたフレーズがあるので彼らに特有とは言えないかもしれません。
ともかくFred Colombo(Key)のテクニックや音作り、フレーズの引き出しの多さは
特筆すべきものがあると思います。素晴らしいキーボーディストに出会えました。
ローファイなイントロと、空間中を蠢くシンセが印象的な#1Scepticは、
スピードメタル並みのドコドコなドラムスと、安定感抜群の強く歪んだリフで進行していきます。
テクニカルさは控えめですがクリーンのヴォーカルも透き通っていて聴きやすいです。
後半には激しいリズムチェンジと、バリバリの速弾きシンセが聴けます。
ラストサビでは、エモショーナルなピアノのバッキングもあって展開の多い一曲。
2分半程度のスキット#2Beingは、もろにDream Theaterなフレーズを弾き倒すギターに
思わずニヤリとしてしまいます。
シームレスに続いていく#3The Inner Questは、分厚いオルガンの醸し出す音が味付けする
メロディックスピードメタルという感じで、インストパートのプログレッシブさと、
歌のバックでの硬いグルーブのある演奏との抑揚が付けられていて素晴らしい。お気に入り。
波の音と雷のSEが不気味さを演出する#4Neptune's Revengeは、曲に入る前の大仰なキメと
変拍子の連発される展開で一気に引き込まれます。長くクラシカルな速弾きのキーボードソロと、
ライブでコール&レスポンスを楽しめそうな部分もあって楽しそうです。
最後は煌びやかなピアノソロで静かに終わっていきます。これもお気に入り。
さらにシームレスに続くスキット#5Stormy Domeは、オペラティックな高音のコーラスと、
静謐なアルペジオで聴かせます。
#6World Of Madnessは、その綺麗な音のままのピアノがバックで軽やかに弾かれる中で、
随所随所にギターが難解なフレーズを入れていきます。大袈裟にタムを回したドラムを起点に
ボーカルが入っていきます。サビの前に一瞬ベースと電子音の入る展開や、
唐突にインストパートに変化する部分も緩急が付いていて、良い意味で予想を裏切ってきます。
後半には長いポエトリーリーディングがあり、そこからはキーボードの独壇場です。上手いです。
ハイトーンは若干苦しそうですが、それが曲にリアリティを与えています。
#7End Of Traumaは、メロディックなシンセのリフをテーマにしてゴリゴリと展開していきます。
テンポを落として、ハイハットの細やかな刻みが心地よいパートはバラードのように、
そこからはまたハードになります。複雑なコーラスワークと、捻くれたメロディも聴き所です。
キーボードソロのバックでは殆どスラッシュメタルのようなリフを刻んだり、
忙しないリズムギターもあり、ベースソロがあり、と色々と一曲の中に詰め込まれています。
7:30あたりのキーボードソロはさながらファミコンのようで面白い。
冒頭に男性の訥々とした日本語の語りが所々に入った#8Heal My Painは、
少し恥ずかしくなってしまいますが、内容としてはミドルテンポで
タメの効いたトラックになっています。3:00あたりからテンポアップとダウンを繰り返して
緩急を付けています。ギターソロもどこか哀愁の漂うものになっています。
一番の見せ所は一際長くブルージーなベースソロでしょう。
10分以上の長尺曲#10The Keyは、ピアノのダークなリフレインの中で語りが入り、
80年代末のような懐かしい音のシンセが入ってきます。
フュージョンのようなフィーリングのあるシンセの音に対して、歪みのギターはモダンな音で、
この対比も面白いです。メロディのクサさ、コーラスの大仰さは如何にもイタリア的な情緒が
あります。キーボードソロは非常に面白いです。ギターは音も往年のアメリカン・プログレハード
っぽい歪みの音色で好みですし、リズムも堅く上手いのですが、
フレーズがワンパターンで引き出しに欠ける感が無きにしも非ずです。
やはりクライマックスでのロングトーンは苦しそう。
#11Black Materiaは、冒頭からノイズの入ったシンセとピアノの饒舌なフレーズで、
途中でジャズになったりメカニカルな速弾きも見せたりと、多彩な技を見せてくれます。
全体を通してFred Colomboの華麗なシンセ技を楽しむにも面白いですし、
Dream Theaterのような典型的なプログレメタルを求める方、
メロディックでキャッチーなメタルを求める方にも楽しめる作品だと思います。

Being-The Inner Quest

Neptune's Revenge

Black Materia

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  1. 2014/05/21(水) 15:01:35|
  2. Spheric Universe Experimence
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今日の一枚(280)

Album: Spanking Hour
Artist: Freak Kitchen
Genres: Progressive Metal, Hard Rock, Heavy Metal

Spanking Hour


スウェーデン、ヨーテボリ・ブーヒュース県ヨーテボリ出身のハードロック、
プログレッシブメタルバンド。1992年結成。1996年作の2nd。
北欧出身のプログレッシブメタルバンドとして名の通った彼らですが、本作はメンバーが交代する
前の作品で、Mattias "IA" Eklundh(Vo,G)のテクニカルなギタープレイと、
楽曲に垣間見えるジャズやボサノヴァの影響が見受けられるコード感のある楽曲や、
ポップでキャッチ―な歌メロの楽曲を持つもの、シンプルなハードロックの強いビート感のもの、
Extremeに代表されるようなファンキーなノリのもの、
ゴリゴリしたリフで一気に聴かせる楽曲などがバランスよく配置されており、
随所に出てくる変拍子やポリリズムを効果的に用いたリズムワークはプログレ的とも言えますが、
楽曲はさほど長くは無く、すっきりと聴ききれるものが多いです。
3ピースでありながらサウンドの分厚さはそれをあまり感じさせません。
ギターのMattiasは、奏法として水道のホースを蛇口に留めるための金具を用いて
スライドギターのように弾くホースクリップ奏法を始めとする特殊奏法を用いたり、
ギターのジャックをラジカセに繋いで音を出すことで歪ませるといったような
(本作でも用いられています)、かなり創意工夫に富んだ音作りがなされていて面白いです。
ラジカセによるこの暴力的な歪みの音は意外や意外、とても自然でサウンドに溶け込んでいます。
ハードロックの定番でもあるハーモニクスとアーミングを組み合わせた奏法も得意で、
さながらSteve Vaiのようでもあります。
速弾きのフレーズは派手な両手タッピングを絡めたものが印象的で、
飛び道具的に使われることが多く、バッキングも通常のハードロックに見られる
パワーコードでのリフよりもテンションを含んだコードでのバッキングを多用しているようで、
歪んでいてもかなりジャジーなハーモニーや、エスニックな香りのするソロを
入れてきたり、不協和音の効果的な活用と、引き出しの多さを感じさせるプレイだと思います。
これほどまでのテクニックや難解なフレージングを見せながら、それをミスなく弾きこなし、
さらに音程差のあるフレーズや息の長いフレーズでもメロディアスに聴かせてしまうセンスは
恐ろしいものがあると思います。
彼らを代表する一曲のハードロック色の強い#1Walls Of Stupidityは、冒頭から始まる
太く、歪んだカッティングが心地良い音をしています。
コードも9th系のテンションがあってこれが良いです。
ミュートの弦がこすれる音が個人的には大好きです。
如何にもハイパワーのピックアップの音と言う感じで、ハーモニクスの巧みなコントロールや、
不思議なソロも個性が出まくっていて最高です。残り一分で緩急を付けながら
テンポアップして盛り上がっていく展開も、一曲目にして早くもクライマックスです。
#2Haw, Haw, Hawは、前半のスラッシーなリフとキャッチ―なサビの対比、
分厚いタムの創り出すへヴィ―なグルーブが駆け巡る肉体的な一曲。
高速フルピッキングが冴えわたるソロもまた緊張感満載です。
イントロのキャッチ―なリフで掴まれる#3Jerkも、歪んでいながらコードのヴォイジングが
非常に粒だっていて美しいです。
このクオリティで歌いながら弾いているというのは信じられません…
ソロでは激しさを極めるピロピロなタッピングをひたすら聴かせてくれます。
ホント良い音です。これもお気に入りです。ソロ後の盛り上げ方も上手い。
#4Taste My Fistは、変拍子の絡んだリフを軽やかに弾きこなしていきながら、
テンポチェンジを効果的に挟んで聴き手を攪乱していきます。
これも演奏難度は極めて高い一曲だと思います。またこのソロの音遣いも不思議です。
トレブリーなカッティングと、ベースラインが際立つすっきりとしたオケで、
軽めのドラムスが作るグルーブが少し異質な#5Burning Bridgesは、柔らかいファルセットの絡んだ
サビでの歌唱やそのバックでのジャジーなChristian Grönlund(B)のフレージングが堪りません。
#6Inner Revolutionは、ラテンっぽいノリのサンバ・キックが作るリズムに、
囁くような低音のコーラスで怪しく進行し、轟音のギターが入ってくる、
これもとても個性的な一曲です。ドラムの作るジャングルビートの中で、
スラップベースが出てきたりと、歪んだギターの鳴るメタルの音像でありながら、
こうしたリズムが嵌っているのは本当に面白いです。
冒頭からメタルっぽくない進行の表題曲#8Spanking Hourは、サビメロの響きが一風変わっていて
面白いです。ソロはブルージーな香りが湧き立ちます。
重々しく始まっていきミュートの効いておりピッキングハーモニクスのコントロールが耳に残る
バッキングの#9Proud To Be Plasticのソロは本作の中でも一番好きかもしれません。
このHoldsworthともつかぬフュージョンっぽいアウト感が堪りません。
バックで少しお茶目にスキャットしていたりするのも気になります。
ラストを飾るバラードの#11The Bitter Seasonは、重厚なJoakim Sjöbergのタム回しをバックにして
静かに進行していきます。ギターリフは変拍子でありながら、キャッチ―で
あまりそれを感じさせない曲だと思います。
どの楽曲にもメタリックなリフや重いリズムがありながらも、メロディーはキャッチ―で、
コードワークやリズムワークには様々なジャンルからのミクスチャーがあって興味深い、という
どの角度から見ても文句のつけようのないプログレッシブメタルの傑作だと思います。

Walls Of Stupidity

Jerk

Taste My Fist

Inner Revolution

Proud To Be Plastic

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  1. 2014/04/07(月) 23:59:32|
  2. Freak Kitchen
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  4. | コメント:1
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
下さったら嬉しいです。
※Twitterもやっております。
アカウント名はprivategrooveです。
https://twitter.com/privategroove
こちらでもおすすめの音楽など情報を流しております!
フォロー下さると嬉しいです。
可能な限りフォローバック、コメントしに参ります。
※放送企画として「私的名盤放送」というラジオを配信しております。
ツイートキャスティングホームページをご覧下さい。不定期に配信、Twitterにて情報を呟いております。ハッシュタグは「#私的名盤放送」です。宜しくお願い致します。
http://twitcasting.tv/privategroove

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