私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

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今日の一枚(395)

Album: Cosmosquad
Artist: Cosmosquad
Genres: Progressive Rock, Fusion, Hard Rock

Cosmosquad.jpg

アメリカ、オハイオ州トレド出身のフュージョン系テクニカルギタリストである
Jeff Kollmanを中心として結成されたフュージョン、プログレッシブロックバンド。
1997年作の1st。長らくリイシューされておらず、入手困難な状態が続いている作品です。

12歳の時にVan Halen, Randy Rhoadsなどに影響を受けてギターを始めた彼は、
14歳の時に地元オハイオ州のハードコアパンクバンドThe Stainのギタリストとして
活動を開始します。1986年には初めてのオリジナルアルバムであるKnow the Scamを発売しています。
デビュー後はシュラプネルレコード所属のテクニカル系ギタリストとして
2枚のオリジナルアルバムを発表するなどしています。

1992年から98年頃までは、アメリカ中西部を中心としてバンドを組んで3枚のオリジナルアルバムを
発表しています。当時から長きにわたって活動を共にしてきた人物としては
ベーシストのKevin Chownが挙げられます。最近では、Red Hot Chili Peppersのドラマーとして
知られる、Chad Smith率いるインストゥルメンタルファンクロックバンドである
Chad Smith's Bombastic Meatbatsでも、Kollmanと共に参加しています。

1995年にアリゾナ州の州都フェニックスへと移住し、スタジオミュージシャンとして
Linda McCartney, Lyle Lovett, Wayman Tisdaleなどのバッキングで活動をする傍ら、
Michael Schenker Groupのドラマー、ベーシストである
Shane Gaalaas(B'z, MSG, Yngwie Malmsteen, Vinnie Moore)と
Barry Sparks(Yngwie Malmsteen, MSG, Dokken, UFO, Scorpions, B'z)
をメンバーに加えて、今回紹介するCosmosquadを結成することになります。

その後の活動としては、メンバーとの繋がりもあってUFOのボーカリストであるPhil Moggとの
コラボレーションによるアルバム($ign of 4, 2002)を発表したり、Deep Purpleの
ベーシスト/ボーカリストのGlenn Hughesとのアルバム(Songs in the Key of Rock, 2003)、
RainbowのボーカリストであるJoe Lynn TurnerとのプロジェクトHTP 2など、
そして2007年からはRHCPのChad SmithとのBombastic Meatbatsで活動して2009年、2010年、2012年に
アルバムを発表しています。

2012年には久々にソロ名義によるアルバムとなるSilence in the Corridorを発表し、
Ray Luzier, Billy Sheehan, Steve Lukatherなどとの共演も果たしつつ、
現在に至るまで活発に活動を続けています。

筆者は今年4月に行われたライブに参加して、その会場で貴重盤となっていた本作を
ようやく入手して聴くに至りました。内容としてはシュラプネル系のテクニカルギタリスト
らしく、バリバリな速弾きとプログレ的なキメを連発した硬質なフュージョンとなっています。
しかしながらリズム隊のグルーブにはファンキーさ、粘りやうねりがあり、
ギターの音もあまり歪んでいないため、かなりクリアな音で、キャッチー、グル―ヴィーな
インスト作品に仕上がっています。日本人としては、B'zのバックバンドを務めた二人が
この作品では実力を如何なく発揮し緊張感あふれるプレイを見せているので、
B'zファンにも是非遡って聴いていただければと思います。

プレイの激しさとジャム感の溢れる曲たちでありながらも、ハーモニー的には
ジャズ~フュージョンの影響が色濃く見受けられ、曲によってはラテンを取り入れたものも
あったりと、このあたりがプログレ的であると言われる所以なのかもしれません。

ライブを見たりベスト盤、ソロ、そしてこのCosmosquadなど聴いた感想としては、
フュージョン人気の高い国内ならば、もっと知られても良いギタリストだと思いますし、
アドリブの能力に関しても、他のシュラプネル系のギタリストと全く遜色ないどころか、
正確性とトーンの美しさ(クリーンではEric Johnsonのそれに近いストラトのトーン)に関していえば、
世界的に見てもトップレベルのギタリストと言って、全く過言ではないと思います。

#1El Perro Vailaはバリバリと歪んだファンキーなカッティングから入るメロディアスな
フュージョンで、テーマとなる部分はラテン色のあるフレーズとなっています。
後半からは高速のタッピングフレーズや高速フルピッキングの連発で、
ブルージーなパート、ベースソロにドラムソロと、テクニカルフュージョンにも関わらず
グルーヴィーなリズム隊が彼らの個性を打ち出していて素晴らしいと思います。最高。
続いてテンポを落としたブルージーな#2Three A.m.でも、粒の揃ったタイトなカッティングや、
繊細なスネアロール、シンバルレガートでジャジーなリズムと、後半では高速のスラップが入った
ベースソロを挟んで、Allan Holdsworthを思わせるような変態なソロへと繋がっていきますが、
ピッキングのニュアンスがハッキリ出ていて、ファンキーな歌わせ方で、自分の好きなタイプです。最高。
ストレートアヘッドな4ビートにウォーキングベが乗ったリズムのース#3The Sceneは、
澄んだクリーントーンでの怪しげなフレーズを堪能できます。
続いて一気に強く歪んだ変拍子満載のプログレメタル~フュージョンの#4I.N.S. Conspiracyは、
極めて複雑なキメを連発しながら、ハードな速弾きをひたすらに楽しめる内容となっています。
リズム隊もへヴィーで本領発揮という感じです。最高。
冒頭はファンキーに、後半に向かうにつれてゴリゴリに歪んだスラッシーなサウンドへと変化していく
#5Epapo Funkに続いて、アコギに持ち替えた穏やかなバラードの#6Missing Youは、
ピッキングのニュアンスまで細やかに伝わってくる80s後半のスムースジャズ的なサウンドに仕上がっていて、
これもまたお気に入りです。
シャッフルのリズムと弾きまくりのベースラインにハードな歪みのギターが乗った一風変わった#7Stretchhogは、
#1のテーマを思わせるようなラテンテイストのあるフレーズを随所に出しながら、エグイバスドラム連打が
細かく入ったパワフルなドラムソロがフィーチャーされています。
続いてピアノのコードバッキング、ソロが涼しげなスローテンポでアコースティックな#8Pugs in Central Park、
さらにテンポを落としたジャジーで重いリズムに浮遊感のあるフレーズが映えている#9Slowburnは、
トランペットソロのムーディーさが素晴らしいです。
へヴィーな8ビートに薄くかけられたストリングス系のストリングスとブリブリしたベースをバックに
変幻自在に弾き倒している#10Galactic Voyageは、絶妙にアウトしたフレーズ満載で、キャッチーで
エモーショナルなチョーキングの入ったテーマ部分と綺麗な対比が成立しています。最高。

ハードなテクニカル系のフュージョンといっても、難解になりすぎず、キャッチーでファンク的な
グルーヴィーさもあり、乾いたサウンドと合わさってすっきりと聴ける一枚だと思います。
シュラプネル系のギタリストの作品の中でもかなり好きな作品です。愛聴盤。

El Perro Vaila

Three A.m.

I.N.S. Conspiracy

Missing You

Galactic Voyage

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  1. 2015/07/12(日) 10:59:45|
  2. Cosmosquad
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今日の一枚(390)

Album: Just Chillin'
Artist: Norman Brown
Genres: Smooth Jazz, Fusion

Just Chillin

アメリカ、ミズーリ州、カンザスシティ出身のジャズ、フュージョン系ギタリスト。
1970年生まれ。2002年作の5th。

8歳の時に兄の持っていたギターを譲り受け、弾くようになった彼は、両親や兄姉が音楽ファン
であった影響で、普段からジャズやゴスペル、ブルース、R&Bを聴き漁っていたようです。
ギタリストとして影響を受けた人物にはGeorge Benson, Wes Montgomeryの二人を挙げています。
高校卒業後にプロのセッションギタリストとして活動を始め、Stanley Turrentine, Roy Ayers,
Lou Rawls, Patti LaBelleなどのジャズ、ソウル、ブルース、ゴスペル界隈のミュージシャンの
バッキングとして活動していました。

22歳でハリウッドにあるギタリスト, クラフトマンのための
音楽専門学校として知られているGuitar Institute of Technology(G.I.T)の講師として
抜擢され、音楽理論講座、インプロヴィゼーション、ジャズのワークショップ、
リズムギターの講座など毎日6つもの授業を担当していたということのようで、
デビュー後レコーディングへの参加は少なかったものの、この頃からその実力は
プロ達の間では徐々に知られていっていたようです。

そして1992年には、Motownがそのジャズ部門として立ち上げたMoJazzというレーベルの
第一弾アーティストとしてデビューを飾ることとなります。1stアルバムのJust Between Usは、
ゲストにStevie Wonder, Boyz 2 Menなどを迎えるなど非常に豪華な作品となり、
Top Contemporary Jazzチャートで4位にランクインするヒット、
Motownから発売した残りの2枚のオリジナルアルバムは共に2位という見事な売り上げを残しています。

1998年にMoJazzが閉鎖ということとなり、彼はWarner Brothersへと移籍、プロデューサーには
元Bobby Caldwellのエンジニアであり、プロデューサーとしてはPeter White, Kirk Whalum,
Larry Carlton, Patti Austin, George Bensonなど錚々たるミュージシャンに関わり、
スムースジャズのブームの火付け役となった存在でもあるPaul Brownが就くようになります。
そして、一部の楽曲では当時Erykah Badu, Ronny Jordan, Eric Benetなど、ネオソウル~
アシッドジャズ界隈で注目を集め始めていた時期のJames Poyser, Vikter Duplaixが担当しており、
クールで陰のあるサウンドに一役買っています。

本作は、Top Contemporary Jazzチャートでは2位、R&Bチャートでは50位、総合では198位の
ヒットとなり、当時のラジオではパワープレイされていたようです。
ゲストボーカリストにはMichael McDonald, Chante Moore, Debbie Nova, Miki Howardの
三人を迎え、バッキングにはLil' John Roberts(Dr), Alex Al(B), Pino Palladino(B),
James Poyser(Key), Ricky Peterson(Key), Paulinho Da Costa(Perc), Lenny Castro(Perc)など、
ファンク、フュージョンからAOR系に至るまで、腕利きのスタジオミュージシャンが参加しています。

本作発表以降も、Brown-Whalum-Braun(BWB, Kirk WhalumとRick Braunの三人組によるプロジェクト)
でも大ヒットを出したり、Verve傘下のPeakに移籍してからもTop Contemporary Jazzチャートで
1位を獲得したり、最近ではGerald Albrightとのコラボレーションアルバムを発表したりと、
好調に活動を続けています。

#1The Feeling I Getは、ストリングス系のシンセの柔らかいバッキングが幻想的な
イントロから、ワウの掛かったカッティングと揺れるエレピで静かながらもファンキーな
グルーブのあるトラックになっています。箱ものらしい丸みのある、角の取れたトーンで
オクターブ奏法とスライドの多用されたテーマがリラックスさせてくれます。最高。
表題曲のJust Chillin'は、バックビートの強調された重いドラムス、生々しいホーンに対して
ボイスサンプルやコズミックなシンセが細かに配置されており、90sのアシッドジャズ的で、ルーズな
グルーブのある展開の前半部から、ブルースフィーリングたっぷりで
速弾きしまくりなソロパートへと突入していきます。最高。
Chante Mooreがボーカルを務めている#3Feeling The Wayは、懐かしいリズムボックスの音が
Boyz Ⅱ Menをはじめとする90sUSR&B的な空気を醸し出す一曲で、バックで滑らかなオブリガートが
鳴り続けています。お気に入り。
リバーブのカットされたスネアや低音の強調されたキックからして、一気にダークでヒップホップ的な
雰囲気を強く感じさせる#4Night Driveは、正しくRonny Jordanを思わせるような都会的な
アシッドジャズとなっています。音の詰め込まれた端正で冷ややかなソロに対して、
Rick Braunのフリューゲルホルンの柔らかい音に癒されます。お気に入り。
Michael McDonaldがゲストボーカルを務めているR&Bテイストの強いバラード#5I Still Believeは、
McDonaldの過去のAOR~ブルーアイドソウル作品とは毛色の違った一曲になっています。
打込みによるラテンフィーリング溢れるリズムとNorman Brown自身によるスキャットが
印象的な#6Dancing In The Houseは、Pino Palladinoのメロディアスで端正なベースラインの
美しさに聴きほれてしまいます。James Poyserのピアノソロはベタベタですがこれもまた良いです。最高。
Janet Jacksonのカヴァー#7Let's Wait Awhileは、キラキラした原曲よりも、もう少しレイドバックした
甘くてアダルトな音になっています。
Debbie Novaがゲストボーカルを務める#8Won't You Stayは、16分のハットの刻みやスネアのタイミングの
ニュアンスに、ネオソウル~最近のChris Dave辺りに通じるような感じがある打込みのドラムや、
これまたネオソウルによくある繊細なボーカル、Pino Palladinoの太いベースラインと、
音数の絞られたリードギターが渋いです。お気に入り。
Jeni Fujita, Maya Azucene, Edwin Lugoの三人によるコーラスのリフレインと
対話するようにギターソロが紡がれていく#9In My Lifeは、SEの選び方、ストリングス系のシンセの
デジタルな感じが懐かしいクワイエットストームです。
Mikki Howardの低音の響きの豊かでエモーショナルなボーカルで、生々しいコーラスの入った
サビ前の展開からボーカルとユニゾンしながら、モダンなR&Bの音型であるサビへと
繋がって行く#10Not Like You Doは、アウトロのサビで一気に弾き倒していきます。最高。

ギターインストによるアシッドジャズ~スムースジャズということで、
90s以降同系統のギタリストが数多くいることと思います。
しかしながら、彼の作品は、カヴァーにも聴きやすいR&Bからのカヴァーなどが多く、
陰のあるサウンド、レイドバックしたグルーブがありながらポップでメロディアスな
仕上がりとなっています。James Poyserの音が好きな方にとっては勿論、
BGM的に聴くのに極上の一枚だと思います。

The Feeling I Get

Just Chillin'

Night Drive

Won't You Stay

Not Like You Do

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  1. 2015/05/11(月) 00:03:46|
  2. Norman Brown
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今日の一枚(375)

Album: Fret not... Fear all... Faint Not
Artist: Freak Zoid
Genres: Progressive Rock, Fusion

Fret Not Fear All Faint Not

アメリカ、ニュージャージー州出身のフュージョン~プログレ系ギタリスト、作曲家である
Scott McGillによるテクニカルフュージョン、プログレッシブロックユニット。2012年作。

14歳の頃にギターを弾き始めた彼は、テンプル大学でジャズ演奏/作曲を専攻し、
始めはRobert Hazardのバッキング(1985-1986)としてスタジオミュージシャン活動を開始します。
1991年にはHand Farmという自身がリーダーのバンドを結成し、Finneus Gaugeというプログレバンドの
メンバーとしても活動していました。1997, 1999年に二枚のオリジナルアルバムを残しています。

その後、2001年にはFinneus Gaugeのメンバーなどを集めてMichael Manring, Vic Stevensらと
Addition By Subtractionと言うバンドを結成(2006年作のセルフタイトルには現Dream Theaterの
Jordan Rudessがゲストとして参加するなどしています)し、ライブ、オリジナルアルバムを発表しています。

彼のギタリストとしてのスタイルは、弦飛び、フリージャズ的な手法による
スケールアウトの極めて多いフレーズ、強固な左手による音の繋がったレガート奏法、
ヴォリューム奏法などを始めとして、Allan HoldsworthやScott Hendersonの
それとかなり近いもので、テクニカルで変態的なジャズロックといった趣の強い作品を多く残しています。
ただし、メロディアスな速弾きにはプログレメタル的な様式美なフレーズも散見され、
こちらも是非CDを手に入れて聴き込んでみたいと思っております。

今回紹介するFreak Zoidは、2006年作のソロアルバム、Awarenessに参加したメンバーである
Ritchie DeCarlo(Dr, Per, Theremin), Kjell Benner(B), Dave Klozss(Stick)のトリオで
録音されており、初期の作品と比べてよりプログレ色の増した音像となっています。
テクニカルなキメやリズムチェンジが繰り返される中で、メタリックでダークな歪みのギターが
唸りを上げまくっています。特に、個人的にはドラムスのRitchie DeCarloがなかなか素晴らしく、
複雑なリズム、ハードでパワフルなフレーズの中にも、ハイハットやスネア、
リムショットなどの音の配置にフュージョン由来の軽快な16ビート的なグルーブがあり、
混沌としたギターのフレーズの中にも、タイトで端正なイメージを湧き立たせています。
基本的には他のパートを支えることに集中しているベースも、曲によってはメロディアスに
弾き倒しており、全体としてはセッション、ジャム的な要素がかなり強い内容となっています。

#2All up in thisでは音程差の大きいギターの速弾きフレーズにユニゾンするベース、
浮遊感あるエレピのバッキングにタムやリムショットを巧みに絡めたドラミングがフュージョン色を
強く打ち出しています。お気に入り。
#3TRNBではMike Sternのリーダー作品を思わせるようなアウト感満載の荒く歪ませたギターは、
速弾きにはHoldsworthを思わせる部分が強く、暴れまくり、重低音でどっしりとしたベースが心地良いです。お気に入り。
ベースが前面に出て、メロディアスに弾き倒している#4The Gizmo Tronixでは、
ギターは高音域のかなり出たキンキンしたトーンで、ドラムスはより手数多くメタリックになっています。最高。
#5Звук волны (zvuk volny)は、ギターとフレットレスベース、コンガによる
アコースティックでアフリカンな一曲です。
ブルージーで狂気を孕んだ速弾きギターとツーバスドコドコ踏みながらも繊細なシンバルワークを見せる
ドラムスで疾走する#6Six Foot Eight、ハードロック的な重厚なグルーブのある#8Ben Ali Game overは、
ジャキジャキとしたリズムギターにアウト感のあるリードフレーズ、
高音の強調されたトーンのギターシンセのような、ハーモニカのような音がオブリガート的に入って
来るのも良いです。歪ませたベースによるソロも入っています。
冒頭からひたすらに激しいツーバスとジャズの4ビート風のライドシンバルを組み合わせた
リズムパターンに、ワウを掛けた歪みのリズムギター、クリーントーンの速弾きで自由自在に切り込む
#9Five Zoidは、轟音にひたすらに圧倒される一曲です。
インダストリアルのような機械音と金属音がポリリズミックに構築されながら、
次第にベースリフが入って来てミニマルに展開する#10Vague Hausもお気に入り。
スウィンギーで抜けの良いドラムスの叩き出す変拍子と、奇怪なフレーズを次々と
生み出していくギター、ハイの出た、Jacoを思わせるようなトーン、同音連打からの若干レイドバックした
フレージングにはWill Leeを思わせるようなファンキーさもある変態速弾きベースラインで
疾走感たっぷりに進んでいく#11Pasted Tripは、リズムチェンジを巧みに挟みながら、
鋭いグルーブに満ち満ちています。最高。

テクニカルな変態系ギタリストによるプログレチックなフュージョン作品ということになりますが、
リズム隊の生み出すファンクやジャズからの影響が垣間見える粘りのあるグルーブと合わさって、
非常に個性的なアンサンブルを生み出していると思います。佳作。

All Up In This[Live]

Звук волны (zvuk volny)

リーダーのギタリストScott McGillによるセッションです。

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  1. 2015/03/10(火) 23:28:55|
  2. Freak Zoid
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今日の一枚(344)

Album: Front Page
Artist: Bireli Lagrene, Dominique Di Piazza, Dennis Chambers (Front Page)
Genres: Fusion, Jazz Rock

Front Page

フランス、アルザス地域圏、バ=ラン県スフレンアイム出身の
ジャズギタリストであるBireli Lagrene(1968-)、フランス、ローヌ=アルプ地域圏、
ローヌ県リヨン出身のジャズベーシストであるDominique Di Piazza(1959-)、
アメリカ、メリーランド州ボルチモア出身のドラマーであるDennis Chambers(1959-)の
三人によるハード・フュージョンプロジェクト。2000年作。

三人のメンバーについて、少しずつ紹介してみたいと思います。

Bireli Lagreneは、ジプシーを先祖に持つロマ(移動民族)の家庭に生まれ、
4歳でギターを弾き始めます。8歳の時には既にDjango Reinhardのコピーを
こなしていたようで、12歳の時にフランス北東部の都市であるストラブールで
行われたフェスティバルで優勝をおさめたことがきっかけで、
ドイツ国内でツアーを行います。その後はアメリカへと渡り、
Stephane Grappelli, Benny Goodman, Benny Carterなどの
作品に参加しています。1984年には、ジャズロック黎明期であった1965年に
The Free Spiritsと言うバンドを結成したギタリストのLarry Coryell(1943-)に
見出され、Jaco Pastoriusに紹介され、ヨーロッパツアーに帯同しています。
その後はAl Di Meolaなどのライブにサポートで参加する傍ら、
ソロアルバムを発表し続けています。

Dominique Di Piazzaは、独学でギターを学んでいましたが、
20歳の時にベーシストに転向したようで、1991年から翌年の1992年に行われた
John McLaughlin Trioのツアーに、Trilok Gurtuとともに参加し、
300公演をこなし、McLaughlinのアルバム、Que Alegria(1991, USJazz#5)に
参加したことで、いわゆる速弾き超絶技巧系のベーシストとして、
その名が知られるようになりました。彼の影響を受けたベーシストには
Matthew Garrison, Adam Nitti, Lucas Pickfordなどがおり、
現代のフュージョン系、テクニカル系のプレーヤーに多大な影響を与えています。

Dennis Chambersに関してはGreg Howeの項でも少し述べていますので
簡単にお話ししますが、参加したミュージシャンには
John Scofield, George Duke, Brecker Brothers, Santana,
Parliament/Funkadelic, John McLaughlin, Mike Stern,
Steely Dan, Greg Howeなどがおり、その超絶技巧、とりわけその驚異的な
スピードと強力なバスドラムで、非常に個性的なプレイスタイルです。
数多くのハードフュージョンの優れた作品に参加しています。

というわけで、これだけテクニカル指向のメンバーが揃ったトリオと言うこともあり、
緊張感溢れるインタープレイが楽しめる、良質なハードフュージョン作品となっています。
ただ音はギラつき過ぎておらず乾いていて、すっきりと聴けてしまいます。 
#1Intro Jingle/The First Stepは、雨だれのようなハイハットと超高速のハーモニクスを
連発するギターのイントロテーマの中で、Dominiqueのベースが縦横無尽に暴れ回ります。
Dennis Chambersのドラムも、いつもより軽い音で、曲に疾走感を与えます。
オクターブとスライドの入りまくった速弾きギターソロも、角の取れた音で、
カッティングのトーンが気持ち良いです。
後半では壊れたようなツーバス連打が待ち受けております。お気に入り。
表題曲の#2Front Pageは、ミニマルでファンキーなベースリフの中で、
メロディックに歌うギターがキャッチ―な一曲で、ベースとの高速ユニゾンもクールです。
#3Marie Tcha Tchaは、ハイハットの鋭いミュートがドライブ感を生み出しており、
ギターソロには少しラテンの香りも漂っています。後半では精密機械そのものといった
ドラムソロが入っています。これも素晴らしい。
Jacoを思わせるようなモコモコしたトレブリーなトーンのベースが印象的な
#4The Eyes Of Jesus Christは、グッとテンポを落としており、
アタックのパリッとしたメロウなギターと合わさると、
さながらWRのような雰囲気もあります。お気に入り。
#5D.B.Dは、鋭いトレモロによるリフを中心にしてゴリゴリと進むパートがあり、
ハイライトのドラムソロへと繋がって行きます。ギターソロはブルース色の強い
フレーズで繰り返しが多く、これも変態的です。
これまでのテクニカル指向な楽曲から少し離れた都会的でAORな#6Valbonne's Songは、
フレーズの要所要所で挟まれるハーモニクスの音が堪りません。
柔らかいシンバルレガートと、それとは対照的な鋭いハットの刻み、
リズムの中を自由自在に動き回るギターが熱い#8Living Hope、
ギターソロによるスキットを挟んで#10Zoe's Little Waltzは、
一気に冷ややかで落ち着いた音像になっていて、スケールライクなソロを
ビシバシ決めるギターのバックで、低音の出たベースが蠢いています。
#11Timotheeは、冒頭からベースによるテーマがフィーチャーされ、
Bireli自身によるスキャットの入れられた一曲で、中間部ではロングソロが用意されています。
#12I Wait For The Lordは、Dominiqueによるベースソロのスキットです。
#13JosephにはなんとJohn McLauglinがゲストで参加しており、
二人の熾烈なギターソロ対決の模様が収められています。
相変わらずMcLaughlinのプレイは極めて個性的で、得も言われぬ不穏さがあって最高です。

中古屋で偶然見つけた作品でしたが、一枚通じてひたすらにテクニカルな曲ばかり
と言う感じではなく、ジャジーで落ち着いた曲も配置されてるので、
疲れず聴くことが出来ました。オーセンティックなジャズギターのスタイルで速弾き、
喩えるならPat Martinoあたりがさらに弾き倒しているような、
そんな熱い現代型のテクニカルフュージョンです。

Intro Jingle/The First Step

Marie Tcha Tcha

The Eyes Of Jesus Christ

Valbonne's Song

Joseph

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  1. 2014/11/03(月) 01:33:43|
  2. Bireli Lagrene/Dominique Di Piazza/Dennis Chambers
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今日の一枚(337)

Album: A River In The Desert
Artist: Paul Jackson Jr.
Genres: Jazz, Fusion, Funk, Smooth Jazz

EPSON001.jpg


アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルス出身のジャズ/フュージョンギタリスト、作曲家、
編曲家、音楽プロデューサー。1959年生まれ。12歳の時にギターを始め、15歳の時に
プロのギタリストとなることを決意します。南カリフォルニア大学に入学してから、
音楽を専攻していました。18歳の頃からセッションマンとして様々なミュージシャンの
レコーディングに参加するようになり、その中でも特に知られているのは、
Michael Jacksonの作品への参加であると思います。オリジナルアルバムのうち、
Thriller(1982), Bad(1987), Dangerous(1991)の三作品で、彼のギタープレイを聴くことが出来ます。
その他にもTemptations, Whitney Houston, Thomas Anders, Patti LaBelle, Chicago, Elton John,
George Benson, Al Jarreau, Marcus Millerなどの作品に参加しています。
アメリカ国内でのテレビ番組でも彼の演奏を聴くことができ、The Tonight Show with Jay Lenoや
American Idolと言った番組でも演奏をしているようです。
影響を受けたギタリストとしてはLee Ritenour, Ray Parker Jr., Al McKay(Earth, Wind & Fire)の
三人を挙げており、特にLitenourについては、彼がソロ活動を行うようになったのが
きっかけでその代役として自分がセッションマンのキャリアを積んで言った、と
Jackson自身が語っているほどです。とりわけ彼のギタープレイで評価されているのは、
コードカッティングを始めとするリズムギターのテクニックやタイム感と言うことになるのでしょうが、
ソロ作品では、甘いトーンと流麗でメロディアスなプレイを堪能できます。
1988年にソロデビューしてからは数年ごとに(一時期はBlue Noteから)作品をリリースしており、
最近ではDaft PunkのRandom Access Memories(2013)のレコーディングにも参加するなど、
活発に活動しています。本作は1993年作の3rd。

ゲストのミュージシャンにはHarvey Mason(Dr),Jeff Lorber(Key), Greg Phillinganes(Key),
George Duke(Piano), Stanley Clark(B), Paulihno Da Costa(Perc)など豪華で、
リズム打込みの楽曲もありますが、それらには当時隆盛を見せていたアシッドジャズのような
(Ronny Jordanのようにヒップホップ寄りのトラックと緊張感のあるプレイというと言い過ぎですが)
雰囲気もありながら、バラードもあって、全体として落ち着いたスムースジャズといった感覚です。

#1Heaven Must Be Like Thisは、Glen Jonesによるソウルフルなボーカルとコーラス、
パリッとしたアタックとオクターブを巧みに絡めたソロが心地良い一曲です。
バックで鳴るストリングス系のシンセはGreg Phillinganesによるものです。お気に入り。
続いてインストの#2Alainは、Gerald Albrightのサックスとギターのユニゾンした
テーマから始まるバラードで、Jeff Lorberのキラキラとしたキーボード、シンセベースの音は
無機質な感じがなく温かみのある音像です。テーマの後のギターソロは
速弾きの多いフレーズですが、至ってクールで落ち着いています。
ソリッドで生々しいキックと乾いたスネア、ウネウネしたシンセベースの作るグルーブが
アシッドジャズ的な#3The Flavorは、ファンキーなカッティングとレイドバックした
オブリガートのタイム感が堪りません。お気に入り。
スムースジャズ~フュージョンと言った感覚の#4Preview Of Coming Attractionsは、
Harvey Mason(Bob James, Chick Corea, Lee Ritenour,Herbie Hancock etc)の、
細やかなアクセントの付いたハットや、エレピのパーカッシブなバッキングに載せて
メロウで流麗なギターが歌っています。エモーショナルなサックスソロを挟んでギターも
ボルテージを上げていきます。アウトロのピアノソロのヴォイジングも素晴らしい。お気に入り。
#5The East From The Westは、アコギのソロがフィーチャーされたパートと、
エレキに持ち変えてのソロが中心となったパートが入れ替わりながら進んでいきます。
アコギの低音弦の温かい響きや粘っこいスライドの音が堪りません。これも良い。
Leon "Ndugu" Chancler(Weather Report, Eddie Harris, Hampton Hawe etc)のスウィンギーな
ドラムスとStanley Clarkeのウォーキングベースの中でオクターブ奏法を多用した
ギターソロが鋭い#6It's A Startは、テンポアップしていきながらBobby Lyle
(Sly & The Family Stone, George Benson, Al Jarreau, Anita Baker etc)の
ファンキーなピアノソロが聴き所です。最高。
Boyz Ⅱ Men(Boyz Ⅱ Menの項を参照)の、1992年に全米1位となったヒット曲のカヴァー
#7End Of The Roadは、ギターインストとしてリアレンジした部分と、
コーラスが入ってくる中でジャジーなソロを弾きまくるパートが原曲を
あまり崩さずに上手く同居しています。
表題曲の#8River In The Desertは、Harvey Masonによる生ドラムと打込みのパーカッションや
ハンドクラップ、歯切れの良いシンセベースの中で浮遊感のあるソロが特徴的です。
Atlantic StarrのリードヴォーカリストであったBabara Weathersの伸びやかなボーカルを
フィーチャーしたブラコンなバラードの#9If I Go Awayは、アコギの音数を絞ったバッキングと、
後半にかけてパワフルになっていくドラムス、そして歪んだトーンの、
泣きのギターソロへと繋がって行きます。
82年から86年まで活動していたゴスペルユニットのBeBe & CeCe Winansの1988年のヒット曲
カヴァーである#10Heavenは、徐々に上昇していくカッティングフレーズが鳥肌ものです。
#11One O'Clock Bluesは、#6と同じ編成によるジャズブルースの一曲で、
一際渋いプレイを楽しめます。

派手なテクニックやアウトフレーズに満ちた緊張感のあるプレイが楽しめる、
というわけではありませんが、カッティングやソロのリズムの緻密さや
一転の曇りの無い清澄なトーンを楽しめる、落ち着いた、スムースな佳作です。

Heaven Must Be Like This

The Flavor

Preview Of Comming Attractions

End Of The Road

If I Go Away

Heaven

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  1. 2014/09/21(日) 19:59:51|
  2. Paul Jackson Jr.
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは50,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
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