私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

【特集記事】UNCHAINが好きな人にお勧めする楽曲・アーティストたち

【特集記事】UNCHAINが好きな人にお勧めする楽曲・アーティストたち

いつも私的名盤紹介にお越し下さっている皆様、お世話になっております。

管理人の@privategrooveです。昨年の年間ベストを更新して以来、
記事を書けずにおりました。まだまだ半人前、1/3人前位ではありますが、
研修医としての仕事が始まりまして、余裕がない状態が続いておりますので、
もうしばらく更新はゆっくりになるかと思います。

さて、今回の記事では、以前よりTwitterでも話題に上っておりました、
私の大好きな京都出身の4ピースロックバンド、UNCHAINの特集記事を
お送りしたいと思います。次回からは久々に通常のディスクレビューを
お届けできる予定ですので、ご期待下さい。

これまでのレビューはUNCHAINの項を参照して下さい。
彼らのサウンドは、ブラックミュージック、とりわけファンクやディスコ、
モータウン的なノーザンソウルからの影響が強く、
それに加えてAORやブルーアイドソウル、フュージョンやスムースジャズからの影響が
見られ、ここ2, 3年の邦楽でのブラックミュージックブームの、
先駆け的な存在であったと考えることも出来ると思います。

彼らはバンドとしての活動歴が長く、英語詞中心のミクスチャーロック色が
強かったインディー時代、充実した演奏とサウンドにも拘わらず、
売り上げでは中々振るわなかったAvex時代、そしてインディーに戻り、
カヴァーアルバム(椎名林檎/丸の内サディスティック)のヒットをきっかけに売り上げ、
知名度を伸ばしていった時期と、様々にサウンドを変えていきながら、ハイクオリティな
オリジナルアルバムを発表し続けています。

検索などでこの私的名盤紹介にお越し下さった方であれば、どなたにでも勧められる、
平たく言えば「最高にお洒落で、演奏も歌も上手い邦ロックバンド」と言えると思います。
特に、リードボーカル/ギターを務める谷川正憲の声は、デビュー当初から
Stevie Wondeに喩えられ、その他のメンバーのコーラスのクオリティも、
ロックバンドとは思えないほどに高いと言えるため、ロックファンというよりは、
ポップスのファンにとってみても、非常に魅力あるバンドと言えるでしょう。

そして、もう一点申し上げるのであれば、カヴァーアルバムでの選曲と、
リハーモナイズなど編曲のセンスが非常に高いことも、彼らの重要な特徴です。

カヴァーアルバムシリーズであるLove &Groove Delvery Vol.1-3では、
洋楽ではAOR~ウェストコーストロックの名曲、The Doobie Brothers/What A Fool
Believes、ディスコクラシックとして有名なThe Emotios/Best Of My Love,
Stevie Wonder/Don’t You Worry ’Bout a Thing, Donny Hathaway/This Christmas
など70s-80sにかけてのブラックミュージックの名曲を中心に、
90sではアシッドジャズの名曲、Jamiroquai/Virtual Insanity、
邦楽ではキリンジ/エイリアンズ、岡村靖幸/Super Girl, 宇多田ヒカル/Automaticなど、
彼らの世代ど真ん中な邦楽AORやR&Bを中心に、山下達郎/Ride On Timeや,
近年の作品ではファンクバンドのレキシ、90s邦楽ロックバンドとして
隠れた人気のあるMoon ChildのEscapeなど、様々な楽曲を、
ある程度の統一感を持たせながら取り上げています。

それらの楽曲の換骨奪胎が非常に上手く、彼らの懐の深さを感じさせます。

そういったわけで、元々UNCHAINがお好きなファンの方には、
「UNCHAINに似てるバンド、アーティスト」
「UNCHAINが影響を受け/与えている(と思われる、類似している部分のある)アーティスト」

の紹介として、この記事が役に立てば、これほど嬉しいことはありません。
厳密な意味で似ている、というよりは、UNCHAINの音楽の背景にあると想定できる
音楽を中心に纏めておりますので、その点はご容赦ください。

そしてUNCHAINを聴いたことのない方には、これを「逆引き辞典」として頂いて、
彼らのアルバムを聴いたり、ツアーに参加(名古屋のツアーには大抵行っております)して
頂ければ、と思っております。

では、どうぞ。
(この記事を「出発点」とできるよう、メジャーどころを多めに、一部はマイナーどころの
バランスとしました。また、既にカヴァーアルバムに収録されているアーティストは、
原則として除いています。
)

他にも思いつくアーティストなどいましたら、是非コメント欄やTwitterなどに書き込んで頂けると嬉しいです。
私も引き続き「掘り」続けていくつもりです。

【洋楽編】
①90sのUKソウル、アシッドジャズ~ネオアコースティック
Jamiroquai/Virtual Insanityのカヴァーがカヴァーアルバムに収録されています。
80sソウル~スムースジャズの定番の展開に、ジャズファンクからの流れをくむ
クラブジャズ的な軽いリズムがよく合っています。
それに加え、編曲上ソウルからの影響を強く感じられるポップスを幾つか挙げておきます。
●The Brand New Heavies
https://www.youtube.com/watch?v=ZAeJYhKQcp0
●Incognito
https://www.youtube.com/watch?v=CazinYJkWQo
●Raw Stylus
https://youtu.be/Fy8WNcia0Ig
●Workshy
https://www.youtube.com/watch?v=Fy8WNcia0Ig
●Samuel Purdey
https://www.youtube.com/watch?v=wAnMHrwIKN4
●Swing Out Sister
https://www.youtube.com/watch?v=CU9pEi3ByTw

②70sから80sにかけてのソウル~ディスコ
ディスコミュージックの、ミニマルでかつ削ぎ落とされたリズムパターン、ループ性の強い
コード進行は、彼らの楽曲に多く取り入れられています。
ファンク系のリズムでも、James Brown的なリズムと言うよりは、
より白人的なタイムの構築が多いように見受けられます。
●Average White Band
https://www.youtube.com/watch?v=IVd4XstLNcQ
●Sly & The Family Stone
https://www.youtube.com/watch?v=gZFabOuF4Ps
●Luther Vandross
https://www.youtube.com/watch?v=uv7y6PKEYms
●Maze feat. Frankie Beverly
https://www.youtube.com/watch?v=8gyhGxQOWfk
●Remy Shand
https://www.youtube.com/watch?v=wf6GbW82VcQ

③AOR, フュージョン
邦楽AORのカヴァーでは山下達郎、キリンジなどを過去のアルバムに収録していますが、
その同時代のアメリカのAOR、フュージョンにもUNCHAINが知らず知らずのうちに
影響されているであろう楽曲が多く見つけられます。
ギターソロは、初期の曲ではフュージョン的なフレーズが散見され、
フュージョン系ギタリストのオリジナルアルバムはチェックしておきたいところです。
ハードロック的なドラマティックな展開の曲は多くありませんが、
その中でもKenny LogginsのソロはAORとしての雰囲気を保ちながら、
高い熱量を感じさせるボーカルに、影響を感じ取れます。
●Bobby Caldwell
https://youtu.be/6F7hJTwvxlY
●Hiram Bullock
https://youtu.be/nCsDePB9Z7A
●Larsen Feiten Band
https://youtu.be/ME5dSURMhF0
●Larry Carlton
https://youtu.be/KN6AV-NsGVA
●Grover Washington Jr
https://youtu.be/WOuI4OqJfQc
●TOTO
https://youtu.be/7CQpvc8quQ8
●Pages
https://youtu.be/tVjQ_quXzjE
●Kenny Loggins
https://youtu.be/xijGlrN_jKQ
●George Benson
https://youtu.be/g_3eqKX1zpk

④ディスコミュージック、ファンク
近年のDaft PunkやTuxedoに代表されるディスコミュージック再評価の流れの中で、
過去のディスコクラシックスを復習しておくことは、
UNCHAINの「踊れる曲のレシピ」を理解する最も簡単な近道と言えるでしょう。
●Cheryl Lynn
https://youtu.be/84GEk4RUY3s
●Diana Ross
https://youtu.be/zbYcte4ZEgQ
●Jocelyn Brown
https://youtu.be/QgfXYv4OxbM
●Tuxedo
https://youtu.be/5OoZ83lqIbo
●Prince
https://youtu.be/HXcERc3N0zc
●Earth, Wind & Fire
https://youtu.be/wTvQq3AM9N4

⑤ポップロック、オルタナティブロック、ウェストコーストロック、フォークロック
ロックバンドとしてのUNCHAINを考える場合、リズム面ではファンクロックからの
影響を感じ取れますし、リードギターのテクニカルさ、リズムギターのカッティングの
心地良さはExtremeと比較することもできると思います。
その他、Maroon 5のカヴァーがあることからも、ブラックの影響が濃いロックバンドも
この項の中に入れておきます。日本で「ミクスチャーロック」と言われるバンドが
それに当たります。
そうしたバンドの背景にあるのは、70sのウェストコーストロックであり、
カヴァーアルバムではDobbie Brothersのカヴァーも収録されています。
さらに遡れば60sのUKロックやブルーアイドソウル、フォークロックへと繋がっていきます。
●Richie Kotzen
https://youtu.be/hhCqEfkKa5s
●Extreme
https://youtu.be/fLx2Z_uu_1I
●The Zombies
https://youtu.be/43on86AmOw8
●The Rascals
https://youtu.be/nm9ShxXikfw
●5th Avenue Band
https://youtu.be/KcTG8RgL5eY
●kokomo
https://youtu.be/HmUlT_bHurM
●Hall & Oates
https://youtu.be/AYUdldNzLNA
●Mamas Gun
https://youtu.be/MWUNfJkMUTY
●Mutemath
https://youtu.be/iHKIpv1vE_E
●ikkubaru
https://youtu.be/JMrBBvW_DF8
●Young gun silver fox
https://youtu.be/M4_e6SSUCnk
●Wagner Love
https://youtu.be/XUz387OZJ1o

⑥アメリカンプログレハード、ハードロック(に近いAOR)
ハイトーンを得意とする谷川正憲の巧みなボーカルとキャッチーなメロディーは、
Journeyのカヴァーをカヴァーアルバムに収録しているところからも分かるように、
ハードロック的なドラマティックさを楽曲に加えています。
●Boston
https://youtu.be/WGRrOEbY3pI
●David Roberts
https://youtu.be/O1XsHoHc9iQ
●Dweyne Ford
https://youtu.be/WXHMiAKm7E8
●Lionville
https://youtu.be/IOpR4H-bIKk

⑦ニューソウル、モータウン、フィラデルフィアソウル
アルバム”Eat The Moon”は、過去最も多くのゲストを招いて制作されており、
(昨年コラボレーションアルバムも発表していますが)
タイトなリズムや複雑なツインギターの絡みはそのままに、
サウンド面ではソウル色の最も濃い一枚であったと言えるでしょう。
その背景にはStevieやDonny Hathaway、そしてMarvin Gayeなど、
ソウルの偉人たちの音があると言えますし、そういった楽曲は今でも色褪せぬ魅力を放ち続けています。
●Al Green
https://youtu.be/COiIC3A0ROM
●Marvin Gaye & Tammi Terrell
https://youtu.be/Xz-UvQYAmbg
●Four Tops
https://youtu.be/Nz4pJ21Bvco
●Timothy Wilson
https://youtu.be/12yxh6yZ68s
●Aretha Franklin
https://youtu.be/dEWuAcMWDLY
●Curtis Mayfield
https://youtu.be/6Z66wVo7uNw
●Leroy Hutson
https://youtu.be/hSWbVw1fQ1Q
●Leon Ware
https://youtu.be/8tG6nuti70I
●Eugene Record
https://youtu.be/7M2M41tc3hE

【邦楽編】
①Jポップ、渋谷系、ネオアコースティック
椎名林檎や岡村靖幸、久保田利伸、キリンジ、米米Clubのカヴァーなどから分かるように、UNCHAINのメンバーにとって渋谷系前後の邦楽ポップスは、彼らの世代を考えても
非常に親しみ深い存在であったことでしょう。
90s後半から00sにかけてのJPOPを中心に選んでみました。
●Bonnie Pink
https://youtu.be/TRrMZYZBLI4
●朝日美穂
https://youtu.be/a-8whmrvkZU
●SMAP
https://youtu.be/mTYlCLMN3NQ
●Original Love
https://youtu.be/kh78G2ypDiE
●Sing Like Talking
https://youtu.be/0fjfIzqiPCE
●Flying Kids
https://youtu.be/5Bj9KT-aih0
●Skoop On Somebody
https://youtu.be/V9vT9axzPaQ
●堂島孝平
https://youtu.be/36VPETG9nV8
●中田裕二
https://youtu.be/Bl-lBaJpVFo
●平田志穂子(TVゲーム『ペルソナ4』OST)
https://youtu.be/tz7jCLLrZ0U

②90s以降の邦楽ロック、ミクスチャーロック、ブラスロック、ファンクロック
デビュー後、初期はミクスチャーロックの文脈で捉えられていた印象がある彼らですが、
10年ほど前から表舞台に出始めたメロディックハードコア系のバンドで、
ブラックからの影響が濃いもの、現在でも活躍するファンクロック系のバンドなどを取り上げてみます。非常に演奏力の高いバンドが多いです。
UNCHAINとは兄弟的存在ともいえる、BRADIOもこのカテゴリーに入れておきます。
●ala
https://youtu.be/TVKrLp9EcGY
●the band apart
https://youtu.be/PGdpJ4QRka0
●Ivory7 Chord
https://youtu.be/JjjAiMuXfiI
●ACIDMAN
https://youtu.be/EXYTyVR1Eac
●BRADIO
https://youtu.be/09wA4qWXOdU
●Scoobie Do
https://youtu.be/UH2wFlAMKtc
●Surface
https://youtu.be/004UFLdIxaE
●lego big morl
https://youtu.be/W4xLzohMQaE
●Awesome city club
https://youtu.be/EzLFdxsjmrQ
●Lucky Tapes
https://youtu.be/lavGP8BMLHo
●Nona Reeves
https://youtu.be/E-fxS_7lKPM
●Keishi Tanaka
https://youtu.be/gwR8ONvKnuA
●Suchmos
https://youtu.be/baTlMHrNW-0

③90s末以降の邦楽R&B, ソウル、アシッドジャズ、ファンク
宇多田ヒカル/Automaticのカヴァーから考えて、90s末のR&Bも彼らの重要な栄養分に
なっていることが想像されます。小室哲哉サウンドがその中心にあったJPOPが、
変化を迎えることになる激動の時代であり、彼らはその波を多感な時期に経験しているはずです。同時期にはアシッドジャズも邦楽に取り入れられ、アンダーグラウンドな
人気を博していたようです。
●Escalators
https://youtu.be/MzYKDlBJ1x8
●ICE
https://youtu.be/F1XtKZUE2so
●Phones
https://youtu.be/bfsdHzEY9Cc
●スガシカオ
https://youtu.be/Jx9LvrRpD0w
●MISIA
https://youtu.be/JeYJnSuYgrs
●Rammells
https://youtu.be/c5gVPBfZwRc
●森広隆
https://youtu.be/cPMaevqQYwA
●DANCE☆MAN
https://youtu.be/sSe20Hf0sNQ

④ニューミュージック、シティポップス、邦楽AOR、邦楽フュージョン
UNCHAINのメンバーが直接的に影響を受けてきたであろう90年代の渋谷系/JPOPの
背景には、アメリカンポップスを独自の形で消化し、邦楽ポップスとして育て上げてきた
ニューミュージック世代の活躍が背景にありました。
その同時代的には、インストゥルメンタルロック/ポップとしてのフュージョンブームが
あり、邦楽フュージョンのキャッチーさ、シンセの音の煌めきと緊張感あるキメも、
彼らのサウンドの中に息づいています。
●Casiopea
https://youtu.be/b73B0NdOVN0
●ブレッド&バター
https://youtu.be/6hZo7P77OpI
●安部恭弘
https://youtu.be/ew-z2RCGzL4
●松任谷由実
https://youtu.be/N6izSXDTojw
https://youtu.be/gW6vvug4wDY
●竹内まりや
https://youtu.be/sq6Ek0ioWH4
●Char
https://youtu.be/7IlMOp3X2qc
●ハイファイセット
https://youtu.be/rU5POa2jNFs
●EPO
https://youtu.be/cIdZur-8rEc
●角松敏生
https://youtu.be/owXNhLF-jJA
●国分友里恵
https://youtu.be/QEtXh0pH7bA
●スペクトラム
https://youtu.be/BGQRTuMm5WE

しかしこうして並べてみますと、「単純に自分の好きな曲を並べただけ」のように
なってしまいましたが、それほどにUNCHAINのルーツとなっているであろう音が、
自分の好きなサウンドの核にあるものに近い、ということだと思います。

好きなアーティストが居たら、そのルーツをたどってみるという方法は、
新たな音楽との出会い方として、最も効率的で、かつ奥深いやり方だと思います。
皆様方が、ご自分の好きな音楽を辿って、さらに深く、音楽を楽しまれることを願うばかりです。ではまた。

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  1. 2017/12/02(土) 16:16:37|
  2. UNCHAIN
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今日の一枚(356)

Album: みんなノーマル
Artist: ゲスの極み乙女。
Genres: Rock, Progressive Rock, Post Punk/New Wave, Fusion, Rap Rock

みんなノーマル


2012年に結成された日本のラップロック/フュージョンバンド。
indigo la Endと言うバンドで活動している川谷絵音(Vo, G, 1988-)と、
彼と同じ東京農工大学の軽音サークルに所属していた休日課長(B)を中心に結成されました。
その他にはちゃんMARI(Key), ほな・いこか(Dr)という4人組で活動しています。

indigo la Endは2010年から活動を開始しており、ケーブルテレビなどで音楽番組を
流す専門チャンネルであるSPACE SHOWER TVの運営するレーベルであるeninalから
デビューを果たしています。今年の4月からは、indigo la End、ゲスの極み乙女共に
Warner Music Japan内のレーベルであるunBORDEからメジャーデビューを果たしています。
彼ら以外にはandrop, CAPSULE, きゃりーぱみゅぱみゅ, 神聖かまってちゃん
高橋優, tofubeats, パスピエ, RIP SLYMEなどが所属しています。

彼らの存在を知ったのはかなり強力にプッシュしているSpace Showerでの
ミュージックビデオを見てのことでした。かなり目を引くバンド名で、
楽曲も一聴すると展開が唐突な感もあって色物と見られがちなのだろうと思いますが、
(indigo la Endもそうですが)演奏、アレンジと言う面では、デビューして
まだ日が浅いバンドとしてかなり洗練されたものだと思います。

特に、幼いころからクラシックピアノを修めてきたというキーボードは
そこかしこにクラシックからの影響が見て取れ、白玉だけでなくメロディアスな
オブリガート、コード弾きによる複雑で80sのポップスを思わせるようなリフを
決めていますし、indigo la Endでも活動しているベースは
かなりテクニカルな速弾き、派手なスラッピングと、ミックスの音量も大きくて
目立っていますが、 他の楽器とぶつからないギリギリのところで音の隙間を
埋めているようで、クールだと思います。ドラムスは16ビートを中心に、
細かく刻まれるハイハットに抜けの良いスネアと、フュージョンのような
軽さと手数の多さもありつつ、若干、ファンキーな粘りがあります。
ここぞ、と言う場面では最近流行のバスドラム4つ打ちと裏打ち
ギターボーカルは特段テクニックを見せつけることはありませんが、
ジャキジャキしたカッティングは心地良く、独特の繊細な声質は個性的で、
展開の複雑なメロ部分に比べて繰り返しの多くポップなサビでの字余り気味な歌唱は、
流行のサブカル系バンドと言う感じです。

本作は2014年作のメジャー1stEPで、自主制作盤を除いてインディーズ期から数えると
3rdとなると思われます。オリコン初登場11位。

#1パラレルスペックは、煌びやかなピアノがシーケンシャルなフレーズを繰り返し、
四つ打ちのバスドラムが印象的なイントロから、かなりトレブリーでパンキッシュな
カッティングが入って来ます。メロ部分ではコードの動きを抑えてドミナントセブンス中心の
ファンキーな展開、サビではポップにドラマティックに動きが付く、という構造で、
ベースソロ、派手なキメのあるラストサビ直前からのキーボードのオブリガートは
見事です。アウトロだけプログレッシブにしてあって遊び心があります。
バックでかなり派手にスラップしながら弾き倒しているベースを始めとして、
タイトなリズム隊が素晴らしいです。お気に入り。
さらにどことなくロシア音楽を思わせるピアノのリフレインが妖しげで浮遊感のある
#2サカナの心は、メロでは鋭いシンバルミュートの印象的なリズムパターンで、
やはりサビではスッキリとしたハーモニーでポップになっていくという構造になっていますが、
どことなく迷いを感じさせるような浮遊感を残していて、メロとの統一感を演出しています。
お気に入り。
#3市民野郎も、#2に続いてクラシカルなピアノのフレーズから始まり、
サビではコール&レスポンスの出来るようにしてあります。ライブ向けの曲と言うには
あまりに暗い感じがしますが…暗いサウンドにダンサブルな四つ打ちの組み合わせという
不思議なサウンドです。その割にOh-Oh-のあるサビのギターバッキングはパンクロック然とした
ものになっていたりします。
#4ノーマルアタマは、ピアノのハネたリフを中心として全編でフリーキーなリードプレイを
見せつけており、ギターとのユニゾンでサビへと突入します。リズムはまたしてもという
感もありますがこれも悪くないです。迷いが無くブライトな音色のピアノが良い。
一気にテンポアップした#5song3は、暴力的なまでにエフェクトの掛けられた
ピロピロキーボードがウネウネとしたフレーズで左チャンネルに、
ギターはラフなプレイで右チャンネルに配されていますが、キーボードの方に
圧倒的に分がある感じです。
#6ユレルカレルは、打って変わって静かな音像へと変化しており、ボーカルのラップや
ロングトーンも儚げに聴こえてきて存在感を放っていますし、
ベースのうねりや音色の良さもハッキリと聴こえてくるので、
こういう曲を増やしても良いかもしれません。焦燥感を煽るサビでのテンポチェンジと、
そのバックでジャジーなフレーズを繰り出すキーボードのタイム感が堪りません。お気に入り。

個性的な展開にしようと詰め込み過ぎる余り、逆に楽曲の印象が似通ってしまい、
アルバム通して聴くと耳疲れしてしまうようなイメージもありますが、
演奏力は確かで、ボーカルにさらなる訴求力が備われば面白くなりそうだと思います。
indigo la Endのプロジェクトとはまた異なる魅力のあるバンドだと思います。

パラレルスペック

ノーマルアタマ

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  1. 2015/01/01(木) 04:16:36|
  2. ゲスの極み乙女。
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  4. | コメント:0

今日の一枚(354), 今日の一枚(355)

Album: Shiggy Jr. is not a child. , LISTEN TO THE MUSIC
Artist: Shiggy Jr.
Genres: Pops, Pop Rock, Fusion, Disco

東京都内で活動している日本のインディーロックバンド、ポップロックバンド。2012年結成。
メンバーは池田智子(Vo), 原田茂幸(G, Cho), 森夏彦(B, Cho), 諸石和馬(Dr)で、
全員1989年~1990年生まれということだそうです。ドラマーの諸石和馬とベーシストの森夏彦
の二人は早稲田大学の出身で、諸石氏は軽音楽サークルのSound Workin' Shopの
出身と言うことだそうです。今回は2013年作の1stEPと2014年作品の2ndEPを同時に紹介します。

筆者とほぼ完全に同世代のバンドでデビュー間もないため、情報不足な感は否めませんが、
最初に聴くことになったきっかけはTower Recordsでのバイヤーレコメンドでした。
その後インターネット上での反応を見ていくと、80sポップス、とりわけ日本の
シティポップに強く影響を受けたバンドと言う噂を嗅ぎ付け、すっかり嵌っております。

インタビューによれば影響を受けたミュージシャンは山下達郎,Jamiroqai, Michel Jacson, Maroon5
宇多田ヒカルなどということで、実際に聴いてみると、1stEPのShiggy Jr. Is Not A Childは、
フュージョンライクな手数の多いドラムスにうねるベースと肉体的な音像のポップロック、
2ndEPのLISTEN TO THE MUSICはシンセの音が分厚くなりキックの4つ打ち積極的に
取り入れられた、ニューウェーブ~ダンスミュージック寄りのプロダクションとなっています。
ボーカルの池田智子の声質は甘くて軽い感じがあり、都会的なハーモニーや軽いリズム、
クリーントーンのカッティングとまろやかに混ざっています。
リードギターのフレーズは70s末のファンクロックを思わせるようなフレージングで、
ブラスのアレンジも加わって粘りのある感じなのがまた堪りません。

以前、私的名盤紹介では一押しのバンドとしてパスピエ(パスピエの項を参照)したと思いますが、
正しく彼らが好きな方は間違いなく嵌るサウンドだと思います。
俗にはNegiccoやEspeciaのようなガールズグループあたりと比較してサブカル系のバンド
ということで受容されているという話も聞くので、アニメソングのファンにも訴求力の高いサウンド
だと思います。ただし、敢えてパスピエ(クラシックやテクノ~ニューウェーブの影響が強いか)と
比較するなら、AOR~ソフトロックと言うサウンドよりはむしろ、メロディやハーモニーの感じは、
王道的な、つまりはMr.Childrenのそれを思わせるような邦楽ポップス特有のもので、
どことなく懐かしく、濡れた感じがあるところがまた彼らならではの特色だと思います。

他には、表面的にディスコサウンド、80s的なシンセのバッキングと言う面では、
tofubeats、オルタナティブロックに近しいサウンド、シンプルな構成の楽曲と言う意味では
やくしまるえつこ率いる相対性理論なども彼らと近い方向性のグループと考えてよいと思います。

これらのアーティストを一括りに「シティポップス再評価」と考えるのは表面的すぎる意見だと
思いますが、いずれにせよ、90s末から00s半ばにかけてのVisual~パンク~オルタナティブロック
或いはポストロック~音響系の系譜とは明らかに異なるサウンドで、渋谷系
(こちらも声優の花澤香菜など再評価の流れが感じられます)というよりは、
その根源が80年代の邦楽、洋楽ポップスにあるのは間違いないと考えてよいと思います。
(相対性理論に関しては山下達郎もラジオにて評価していると発言していました。)

と言うわけで、まずは1stEPから見ていきます。

Shiggy Jr is not a child

#1Saturday Night to Sunday Morningは、ワウの掛けられたカッティングが牧歌的なイントロから
始まり、歯切れの良いコードバッキングと高音寄りの堅いスネアの手数の多いドラムス、
ホーンのフュージョンライクなオブリガートの入ったキャッチ―なポップロックで、
後半部にはブルージーな歪みのギターソロ、キーボードソロが入ってます。
ボーカルの甘い声質のチェストと消え入りそうなファルセット、
繰り返されるコードと下降していくメロディにノックアウトされました。最高。
#1の80s的なリバーブ感のある音像から密室的な音へと変化した
#2サンキューは、アコギの弦のノイズが心地良いコードカッティングにシンセのリフから始まり、
そこからは端正なリズム隊と、それに対してレイドバックしたピアノのジャジーなバッキングが
グルーブを生み出しています。色彩感溢れる風物詩をコラージュのように並べて行った
歯切れの良い作詞、メロディに妙があります。アウトロでは
原田のボーカルも入ってクライマックスに達します。これも最高。
一転して四つ打ちのリズムパターンとわずかに歪んだストラト系のギターリフから疾走感たっぷり、
ダンサブルに始まる#3oh yeah!は、ストレートな8ビートとの間を行き来しながら、
ニューウェーブ的なシンセ、サビでは裏でカッティングが入るという#1を思わせるバッキングで
統一感が図られています。ギターソロは派手に歪んだ速弾きでピックスクラッチまで入っていて、
絶妙なミスマッチ感があります。
一風変わったドリーミーな#4(awa)は、大胆にエフェクトを掛けられてケロったボーカルと、
ローファイな歪みのギターがオクターブ奏法を噛ませて掻き鳴らされたバッキングのサビ、
メロ部分ではリズムに捻りを加えて、後半ではドラムンベースのようなフレーズが
取り入れられたりしています。
#5今夜はパジャマ☆パーティーは、再びレゲエ的なギターカッティングに少し重めに
チューニングされたドラムスで楽しげに始まり、サビ前半では一気にテンポダウンして
柔らかいシンバルレガートの鳴る中、ナイアガラサウンドを思わせるような
コーラスワークを入れてみたり、後半ではテンポを戻してポップに可愛らしくと
展開の多い一曲。これもお気に入り。
最後を飾るバラードの#6ばいばい は、タッチノイズの暖かみのあるアコギのアルペジオで
ボサノバを思わせるシンコペーションの入ったリズムパターンをバックに、
微かに右チャンネルでコズミックなシンセが鳴っています。中間部からは残響を抑えて
リズムボックス風の音になったドラムスが入ってR&Bっぽいアレンジが加えられていきます。
ギターソロは音数の絞られてジャジーで良いです。最高。

Saturday Night To Sunday Morning

サンキュー

1stEPダイジェスト

続いて、2ndEPです。

LISTEN TO THE MUSIC

ボーカルのブレス音から始まりメロディとユニゾンするシンセが派手なダンスチューン
#1LISTEN TO THE MUSICは、パーカッシブなシンセと重低音の効いたキックが
中心となっており、ギターサウンドもかなり後ろの方で鳴っていて、前作からの変化を窺わせます。
サビから一瞬でピアノのリフを中心とした静かなパートへと変化し、再び戻っていきます。お気に入り。
続いて電子音とサンプリングされたボイスが散りばめられた#2summer timeは、
歯切れの良いシンセのリフが80sを思わせます。サビはさながらテンポを落とした
ユーロビートのようで、ベースラインはオクターブの入った鮮やかなものになっています。
スラップベースによるソロが聴き所です。
生音に近い感じのブラスの入った#3day tripは、サビの展開が如何にもJポップ直球のサウンド
と言う感じで、柔らかいコーラスが幻想的な感覚があります。正直可愛いです。
硬質なカッティングと饒舌なベースラインがグル―ヴィーでジャジーな
#5baby i love youは、打ち込みっぽく音処理されたドラムスがデジタルな感覚を演出していて、
本作の空気にぴったり嵌っています。ラストサビにかけてコーラスの音遣いがソウルフルになっていて、
エレピの音も頽廃的です。アウトロで機械的に鳴っているローファイな
ハットの音が良い味してます。最高。
かなり大きな音量の四つ打ちキックとニューウェーブ風なキーボードのフレーズで掴まれる
#6dance floorは、Bメロに入った途端にシンセのシーケンシャルなフレーズが入って、
デジタルな感覚のある音処理にパッと変化する展開が意表を衝かれて面白いダークな
ダンスチューンです。お気に入り。
#7にはDJ WILDPARTYによる#1のリミックスバージョンで、完全なるエレクトロニカに変化しています。

個人的には1stEPの音の方が、シティポップス直系の音像で好みと言えば好みなのですが、
本人達的には2ndのエレクトロダンス路線で展開していきたいと考えているのではないか、
というのが筆者の予想です。
兎にも角にも、今年(もう年は明けてしまいましたが)聴いた中では最も今後の活躍が気になる
バンドの一つです。ライブも是非、行ってみたいです。
お勧めです。

LISTEN TO THE MUSIC

baby i love you

2ndEPダイジェスト

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  1. 2015/01/01(木) 03:03:42|
  2. Shiggy Jr.
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今日の一枚(340)

Album: N.E.W.S.
Artist: UNCHAIN
Genres: Soft Rock, Rock, AOR

EPSON235.jpg

京都府京丹後市出身の4人組ロックバンド。2005年デビュー。
私的名盤紹介では彼らの作品を何度か取り上げています(UNCHAINの項を参照)が、
今回も新譜が届きましたので、早速記事を書きたいと思います。

本作はオリコンのインディーズアルバムウィークリーで1位を獲得したということだそうで、
ファンの端くれとしては嬉しい限りです。前作の流れを汲んで、ハーモニーやリズムの
複雑化が進んだサウンドになるか、ソウルに接近するか、はたまたフュージョンやシティポップス
に接近するか…と思っていましたが、
当初の触れ込みはダンスミュージック寄りのサウンドと英語詞ということでしたので、
初期に戻るかと思っておりました。実際に聴いてみると、ドラムベースの作り出すグルーブは
確かにディスコライクなものもあったりしますが、全体にビート感の強いサウンドということらしく、
レゲエっぽいグルーブやスウィングのあった前作と比較すると、ストレートなものになった、
という印象があります。一方、ブラック寄りの楽曲もありながら、歪んだギターリフの流れる
ロックサウンドへと傾いた楽曲もバランスよく取り入れられていて、聴き飽きないような構成に
なっているようです。ダンサブルなUNCHAINと言えば、疾走感のある軽いリズムとロックっぽい
カッティングというイメージがありますが、本作ではもう少しテンポダウン、レイドバックした
ものへと変化していて、過去作のどれとも似ていないものを作っています。
2曲ごとにインストを挟んでおり、(これは東西南北の方角の頭文字を取って付け、
裏ジャケの記者会見を行うスーツ姿のメンバーとかけているダジャレなのでしょうが)
適度にクールダウンを図るような構成となっています。ライブではセットリストの中に
どうやってインストを取り入れていくのか、気になるところです。
毎年ツアーに行ったり作品を聴いていて感じるのは、特に吉田昇吾のドラムスの鋭さと
グルーブに対する感覚の成長だと思います。メンバー全員の演奏力も非常に高く、
(特にライブではロックバンドと思えないレベルの綺麗なコーラスを聴けます)
佐藤将文のカッティングやソロにも独特のタイム感があり、フレーズも癖があって、
個性的で素晴らしいのですが、前々作、前作、今作と聴いてきてドラムの作り出すグルーブの
多様さと器用さには驚かされています。付属のDVDには、東京キネマ倶楽部で行われた
アコースティックライブの模様が収録されています。
全ての楽曲がリアレンジされていて、より落ち着いた、レイドバックなアレンジに変更されています。

派手なキメから入っていく#1Spin My Headは初期を思わせる四つ打ちのダンスロックといった感覚で、
硬質で歪んだファンキーなカッティングにはワウを使いながら、
ツインギターのスリリングな絡みが楽しめます。疾走感を煽る16分ハイハットの刻みのバックで
ファンキーなカッティングが映えています。最高。
#2Easy Come, Easy Goは、ハンドクラップとキックでミニマルなリズムパターンを作るメロから、
ブルージーなテーマのメロディを繰り返してギターソロへと向かいます。
コーラスも少し嗄れ声になっていてソウルフルです。
冒頭のリフを変奏していきながら進むインストのスキット#3"NORTH"を挟んで、
#4b b...では右チャンネルのカッティングが流れるパターンミュージック的な冒頭部から、
うねりのあるベースラインとバックに張り付いたシンセの印象的なサビが異色な一曲。お気に入り。
#5The Grounds Heavenは、左右のチャンネルから交互に飛び出すカッティングと、
いつもより太い音のリードギターによるテーマを挟みながらファンキーに展開します。
冒頭のベースリフとギターがユニゾンし、緩くチューニングされたスネアロールをバッキングに
してブルージーな速弾きが唸りを上げるインストの#6#EAST"も面白いです。
へヴィなスネアが鳴る8ビートに一瞬青山純のメリーゴーラウンドでのプレイを思い浮かべてしまった
#7Lite The Truthは、パワフルなリズム隊の演奏の中でか弱いファルセットの歌唱が対照的です。
ユニゾンかましたギターソロとその後のカッティングの乾いた音、ボーカルの生々しい感じと言い、
極めて密室的な音響になっていてこれもまた今までの作風とは異なった曲です。
後半のギターソロではギターシンセのピコピコした音が堪りません。素晴らしい。
谷川正憲と佐藤将文によるツインボーカルに谷浩彰のラップまで飛び出す
#8Hybrid Loveに続いてインスト#9"WEST"は、フュージョンライクなドラムスと、
トレブルの出た饒舌で歯切れの良いベースラインをバックにギターは弾き倒しています。
こういう曲を聴くとthe band apartに近いと言われるのも分からないでもありません。
彼ららしい捻ったメロディのサビが特徴的でポップな#10Little Secret Paradeは、
メロでのソウルフルなコーラスと、ヴォリューム奏法の入ったポストロックっぽい
アプローチのイントロが楽しいです。少し翳りのあるサビから、バリバリした歪みの入った、
派手なギターソロが70s半ばのIsleyのようなファンクロックを思わせます。お気に入り。
最後のスキット#12"SOUTH"は、スネア連打を派手に入れたドラムスと、Venturesのような
クラシカルなサーフロックを思わせる単音カッティングが特徴的です。
#13Number-Oneは、リズムこそダンサブルでソリッドなものになっており、ギターのバッキングも
ロックしているのですが、サビはほぼ完全にソウルのそれになっていて、
見事に自分自身のスタイルに昇華しているようです。
(Marvin GayeとTammi Terrellのデュエット曲であり後にDianna Rossもカヴァーした、
Ain't No Mountain High Enough(1967)へのオマージュなのではないかと言うご指摘もありましたが、
なるほどその通りと思います。
「日本グルーヴチューン振興会」8/16付記事より)
間奏でのトークボックスのような音のバッキングも遊び心があっていいです。お気に入り。

今年のライブにも参加しますが、いつもはおとなしいお客さんの多いUNCHAINのツアーも、
ダンサブルな今作があれば盛り上がること間違いなし、と勝手に思っております。
どの作品にも共通したコンセプトがあってグルーブがあって、
彼らは自分にとって安心して付いていけるバンドであり続けています。勿論、お勧めです。

Spin My Head

N.E.W.S Official Trailer

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  1. 2014/10/05(日) 15:10:29|
  2. UNCHAIN
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今日の一枚(338)

Album: Pandora
Artist: SiM
Genres: Hardcore Punk, Screamo, Metal Core, Reggae

Pandora.jpg

神奈川県出身の日本の4人組ハードコアパンク/スクリーモバンド。2004年結成。
本作は2013年作の3rd。メジャー1st。

元々リーダーのMAH(Vo, G)が高校の同級生で
組んでいたスリーピースバンドのSilence iz Mineというバンドで活動し、
2006年にリードギタリストのShow-Hateが加入してからは、2008年から京都で行われている
ロックフェスである京都大作戦(主催はロックバンドの10-FEET)に出演したり、
インディーでアルバムを発表するなど活動が活発化していきます。
2009年には現在の4人のメンバーが揃うこととなりますが翌年にはツアー中にShow-Hateが
脳梗塞で倒れるという事態となり、3か月ほどはサポートメンバーを迎えてツアーを
続行したようです。2012年にはクリエイティブマンプロダクションが2000年より
東京(会場は千葉マリンスタジアム)と大阪の2か所で行っている国内最大規模のロックフェスティバル
であるSummer Sonicに出演を果たすなど、その名が全国に知れ渡るようになります。
昨年にはcoldrain(coldrainの項を参照)とのツアーを行い、Universalへと移籍、
メジャーデビューアルバムとなる本作を発表します。オリコン週間チャート5位。
結成当初はMuseに代表されるようなUKロックの色合いが強いサウンドの中に、
レゲエやスカのリズムアプローチを取り入れた音楽性でした。
その後ギタリストのShow-Hateが加入してからは、彼の影響もあってよりメタル
(とりわけオルタナティブ・メタル/ポスト・スラッシュ~メタルコア界隈)の音楽に影響を
受けたサウンドへと転換を図っていきます。ブラックメタルやデスメタルに見られるような
スクリーム(グロウル)だけでなく、高音の強いスクリーモ寄りのスクリームを活用した
ボーカリゼーションを見せるMAHは、PVでもそのルックスで一際目立つ存在です。
曲の構造としては、スラッシュメタルに近しいリフワークを中心とした疾走感あふれるパート、
それに対して時折スウィンギーなドラムスやカッティングを中心としたパートが
挿入されるように展開したり、うねりの強いベースが、ダブステップを意識したような
シンセベースに近い音作りを取り入れたパートがあったり、シンセによる電子音を散りばめた
アンビエントなパートがあったりと、一曲の中で目まぐるしい展開を見せていますが、
緩急の付いたリズムワークとバキバキに堅いグルーブのお蔭で、
統一感があってメロディアスなサウンドに仕上がっていて、非常に個性的なバンドだと思います。

#1Pandoraはエフェクトの掛かったスクリームのイントロとブレイクを挟んで、
軽快なブラストビートの中で疾走する短い一曲。
#2Who's Nextは、粒の荒くバリバリした歪みのリフがスラッシーなメロ部分と、
サビではきっちりとポップなパンクロックになっていて、この辺が日本のバンドらしい感覚があります。
最後の1:40辺りではドロドロしたエレクトリック(?)レゲエのパートへと変化します。お気に入り。
#3Pieces of Troopsは、タムが何ともクサいリズムパターンにブリブリしたベースが楽しい。
テーマとなるギターリフはパンキッシュで、ラフな感じで良いです。
冒頭からひたすらに疾走する#4BRAiNは、ライブで熱い客が頭を振る様子が浮かんでくるようです…
と思わせながら中間部からは再びエレクトリックレゲエの空間へと早変わりします。
#5Blah Blah Blahは、メタルコア的なリフとキックの入れ方など如何にもメロコアという
ドラムスが結合した前半はいつも通りと言う感じですが、途中で音頭に近い
スウィングの電子音が出てきたり、後半では派手にツーバス踏みながら
疾走したりと展開が多い一曲です。面白い。
ボーカルに激しくエフェクトが掛けられケロっている#7DUBSOLUTION #4は、ドラムンベースのような
リズムパターンが印象的で、冒頭から流れるテーマを変奏しながら進んでいきます。
#8We're All Aloneは、派手にリヴァ―ブの掛かったギターと、とりわけ大きな音で鳴っている
歯切れの良いベースラインが心地良い一曲です。
一気にテンポを落としてオーセンティックなレゲエに近づいた哀愁漂うメロと、
歌謡曲的なメロディのサビの対比が鮮やかな#9Rosso & Dryは、
MAHのブレスリーなボーカリゼーションが素晴らしいです。ギターソロもブルージーで、
エフェクトの掛けられたコーラスとファルセットの絡んだブリッジから
アウトロへと、そしてまたレゲエのパターンになって終わっていきます。最高。
#11March of the Robotsは、歩行するようなドラムスでスロウなデスコアかと思わせておいて、
意味不明な歌詞と、そこから電子音が飛び交う中でジャジーなベースが蠢きまわるという、
何とも変わった一曲。最後はちゃんとパンクしていてこれも楽しい。お気に入り。
#12Dreaming Dreamsは、疾走感たっぷりな哀愁メロコアにスクリームを足した一曲で、
ライブでのコール&レスポンスを意識しているのでしょう。
#13Upside Downは、メタルコアそのものなギターリフのイントロからメロディックなベースと
カッティングが中心となるメロ、ワウの掛かったようなSEをバックにして
グロウルを中心としたボーカルワーク、キメの多いアウトロと
起伏があって飽きさせません。お気に入り。

一曲一曲の長さが短く、その中に様々なリズムチェンジが含まれていて、
スウィンギーでグルーブのあるリズムもあり、スクリーモと言うよりは、
メタルコアに近い音楽性と考えて良いと思います。絶妙に日本人のメロディ、リズム感覚を
取り入れた叙情的でともすればダサいサウンドなのが、独特な魅力を放っています。
ハウスやトランスのようなエレクトロミュージックにさらに接近していくのか、
それともメタルコアで行くのか、今後の動きが気になるバンドです。佳作。

Pandora

Who's Next

Blah Blah Blah

Rosso & Dry

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  1. 2014/09/22(月) 00:41:50|
  2. SiM
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
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※Twitterもやっております。
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