私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

【祝】私的名盤紹介閲覧者数8万人突破

「私的名盤紹介」をご覧下さっている皆様、ありがとうございます。

2012年年末の開設から約7年が経ちまして、
閲覧者数(ユニークアクセス)が8万人を突破致しました。
2016年秋から始めてきたツイキャスでの放送企画「私的名盤放送」も総閲覧者数2300人弱、
1話あたり300-400回程度の試聴回数で安定してきております。
お聞き苦しい点も多々あるかと存じますが、ご覧いただける皆様のお蔭で継続出来ています。

医師生活も3年目となり、昨年よりは随分と忙しい日々を送っております。また昼夜逆転せざるを得ない業務の
関係上、学生時代ほどのコンテンツの密度や頻度を維持できていないことに、内心釈然としないものもあります。
しかしその分経済力を身に付けたので、
東京(宇田川町、神田神保町、下北沢、新宿)などへLPを探しに行ったりする機会が増えました。

Spotifyを利用している分、触れられるコンテンツは増える一方ですが、
その分だけより一層自分の感性をより研ぎ澄ます必要性を感じます。引き続き深く音楽の歴史や成り立ちを学び、
「サンデーソングブック」や「メロウな夜」、「Crossover Laboratory」(終了してしまいましたが…)など、
プロフェッショナルの選曲に負けない、個性的で、キャッチーで、グルーヴィーな楽曲を掛けられるよう邁進して参ります。

また職員寮から引っ越して自宅のオーディオシステムと防音のよい環境を得たことで、
学生時代一度は諦めてしまったPCDJの機材ともう一度向き合う機会も得られました。
Serato DJのシステムやコントローラーと格闘しながら、ロングミックスの作成にも取り組んでみようと考えています。

今年より活動を本格化した「もう一つの」私的名盤紹介、
私的名盤紹介アネックス」も精力的に更新しておりますので、ぜひフォローください。
現在は、東海三県のショッピングセンター、ショッピングモールの機能性を含んだデザインの美しさに焦点を当て、
主に80-00s前半に建設された施設を紹介しています。
近いうちに本サイト上で商業施設一覧をご覧頂けるようなコンテンツを用意する予定です。お楽しみに。

季節の変わり目です、体調にはお気をつけください。
引き続き、「私的名盤紹介」をご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

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  1. 2019/11/11(月) 23:27:41|
  2. 雑記(音楽関連)
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#好きなRnBアルバムを30枚挙げてみる

私的名盤紹介/私的名盤放送をご覧下さっている皆様、お世話になっております。
管理人の@privategrooveです。

今回は、Twitterで募集されていた
#好きなRnBアルバムを30枚挙げてみる」に参加したいと思います。

ネット上のR&Bファン有志によるランキングを作ろうと@SOUL_CAFEさんが集計下さっています。

集計結果はこちらからご覧下さい。今年中は公開される予定のようです。

では、私的名盤紹介管理人が選出する1988-2018年に発売された(今回の集計の選考基準となっています)
R&Bの名盤30を一気にご紹介します。どれも自信を持ってお勧めできる愛聴盤ばかりです。
秋の夜長のお供に、最高のスロウ・ジャムをお楽しみ下さい。

Artist - Title (Year)
1 Bruno Mars /24k Magic (2016)
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2 Mint Condition /Meant to Be Mint (1991)
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3 Frank Ocean /Channel Orange (2012)
Frank Ocean


4 SWV /It's About Time (1992)
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5 Anderson Paak /Malibu (2016)
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6 Bobby Brown /Don't Be Cruel (1988)
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7 Don-E /Changing Seasons (1995)
Don E


8 Glenn Jones /Here I Go Again (1992)
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9 Keith Washington /Make Time for Love (1991)
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10 Hi-Five /Hi-Five (1990)
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11 New Edition /Heart Break (1988)
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12 K-Ci & JoJo /Love Always (1997)
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13 Solo /Solo (1995)
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14 Aaliyah /Age Ain't Nothing But a Number (1994)
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15 Brian McKnight /I Remember You (1995)
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16 R. Kelly /12 Play
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17 Universal Nubian Voices /U.N.V. (1995)
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18 Cool'r /Cool'r (1989)
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19 Pebbles /Always (1990)
Pebbles Always


20 Adriana Evans /Adriana Evans (1996)
Adriana Evans


21 Ella Mai /Ella Mai (2018)
Ella Mai


22 Keith Sweat /Keith Sweat (1996)
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23 Tony! Toni! Tone! /Sons of Soul (1993)
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24 Gerald Alston /Gerald Alston (1988)
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25 Guesss /Guesss (1994)
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26 Faith Evans /Faith (1995)
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27 Zhane /Pronounced Jah-Nay (1995)
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28 Lynden David Hall /Medicine 4 My Pain (1997)
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29 TROOP /Attitude (1989)
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30 Smooth Approach /You Got It (2000)
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  1. 2019/10/19(土) 02:29:44|
  2. 雑記(音楽関連)
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私的名盤放送Spotify Playlistのご案内


いつも「私的名盤紹介」「私的名盤放送」をご覧下さっている皆様、ありがとうございます。
管理人の@privategrooveです。

近年はTwitter、そしてTweet Castingでの活動が中心となっておりますが、
LP, CD収集や音楽レビュー以外の趣味として、昨今流行している「渋ビル」
(主に1960-1970年代に建築された、意匠の凝らされた窓やファサードが特徴的なビル)のほか、
「昭和なスーパー」(1960年代からバブル時代前後に建築されたショッピングモールやスーパー)を探訪することに、
密かに嵌っておるこの頃です。

そこで、新しくTwitterのアカウントを作成致しました。題して私的名盤紹介別館=「私的名盤紹介ANNEX」です。
こちらにこれまでに撮影してきた「渋ビル」「昭和なスーパー」などを紹介しております。ぜひ、ご覧下さい。

それに加えまして、既に放送44回を重ねた「私的名盤放送」の方も、ゆっくりではありますが、徐々に試聴して下さる方が
増えてきており、嬉しい限りです。これからも、プロのFM放送の選曲やクオリティに負けぬよう、
出来るだけ多くの音楽に触れ、継続していこうと思います。

これまでに放送してきた珠玉の楽曲の中から、私も愛用しているストリーミングサービスのSpotifyから
聴くことが出来る楽曲を集めたプレイリストを作成しました。

339曲、25時間に渡るプレイリストです。シャッフルなどして適宜ご活用いただけると幸いです。
どちらかというと有名な楽曲を多めに採用しております。随時更新してまいりますので、ぜひお楽しみ下さい。

※下記のリンクから試聴することができるようになっています。Spotifyアプリケーションをお持ちの方は、
 アプリでプレイリストをフォローして頂きますと、ライブラリから聴けるようになります。

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  1. 2019/02/16(土) 21:16:17|
  2. 雑記(音楽関連)
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2018年度 私的ベストアルバム15 洋楽編

引き続いて、洋楽作品につき私的名盤紹介管理人が自信を持ってお勧めする15枚の作品たちです。
どうぞ。

【洋楽私的ベストアルバム15】
番外 Francfranc Presents RETRO ELEGANCE/Various Artists
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90年代からインテリア、雑貨販売会社として知られるFrancFrancが、店内放送用BGMとして制作したアルバムです。
基本的には90s末から00sにかけてのネオソウルやヒップホップソウルの楽曲をカバー、
アレンジし直してレコーディングしています。一部に新曲も収録したコンピレーションアルバムとなっています。
Jill Scott feat. Anthony HamiltonによるM1はレトロなヒップホップソウル、Bruno Marsのヒット曲M2、
アシッドジャズ関連ではGroove TheoryのM3, NJS世代ではZhaneのM4, TamiaのM5, その他Erykah BaduのM8など、
これでもかと名曲が詰まった素晴らしいセレクトでした。R&B入門、BGMとして楽しむにもベストな一枚でしょう。一押しです。

第15位 Resume/Moli
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ベルギー出身の19歳シンガーソングライター、トラックメイカーによる1stEP。
インディーポップ系のトラックメイカーですが、サウンドとしては近年のビートミュージック、フューチャーソウルを
基礎としながら、ポップなサウンドの楽曲が揃います。
ビートの黒さや粘りは少なくさっぱりとしていて、M1のサビは80s的なテクスチャーがあり、上物の数も少なくて聴き疲れしません。
チルなシンセのシーケンシャルなフレーズが複数組み合わされたアンビエントソウルM2,
テンポを落としたM3はわずかに訛ったリズムで、後半では徐々にエモーショナルな歌唱に変化します。
同じくファルセットのコーラスにリズムマシンの生々しい音が絡むスロウM4は、どこかインド音楽的なメロディも。
アンビエントR&Bの中にもどこか懐かしさを感じる好盤でした。

第14位 Good Company/Tone Stith
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10年以上USR&Bのトップランナーとして活躍しているChris Brownの最新作リードトラックや、
ブレイク前のDrakeを発見したことでも知られるニュージャージー出身のSSW, 音楽プロデューサーによるEP。
昨年1stを発表し、最新のサウンドのみではなく、オーセンティックなR&Bを作り出しており、
本作は特にBruno Marsが取り上げたことで再度注目を集めているニュージャックスウィング回帰な
Light Flexで注目を集めています(映画Uncle Drewのサウンドトラックに収録されています)。
滑らかで伸びやかなハイトーンが特徴的なボーカルは、90sクワイエットストームの香り漂うM1にぴったりです。
M3はメロディの譜割りは現代の流行りのパターンですが、バッキングのキラキラとしたシンセはブラコン的な音です。
スウィンギーなM4は幾度となくMichael Jacksonの名前が出てくるジャジーな一曲で、巧みなファルセットが光ります。
さらに短めのスロウM6の繊細な歌唱も素晴らしい。リヴァーブの深めに掛かったスネアと太いシンセベースの組み合わせ、
そこに声ネタを重ねて音数少なく進行していくM7は、まさに現代のクワイエットストームと言えるサウンドです。最高。

第13位 Get High/The Doggett Brothers
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UK, ノリッチ出身のソウル、ディスコユニットによる3rdフル。Carl & Greggの二人兄弟によって結成されたグループで、
今作ではアシッドジャズ~UKソウルの名盤、Set The Toneが日本でも人気の高いNate James(私的名盤紹介でも掲載済み)と、
Stevie Wonder的なソウルにSteely Dan顔負けの複雑なコード進行な楽曲で知られるようになった
Jarrod Lawsonをゲストに迎えています。マスタリングにはUK在住の邦人プロデューサー、T-Grooveが担当しています。
(T-Grooveの1stはネオブギーの名盤で、管理人も愛聴盤です)
Nate Jamesを迎えたM1は声ネタを重ね、パッドの醸し出す薄くてコズミックなコードに対して、
Stevieを思わせるボーカルが絡みます。サビはダンサブルなディスコサウンドでありながら、
チルなサウンドはそのままで最高な組み合わせ。今年のブギーの中でも特にお気に入りでした。
平たいビートとハンドクラップの組み合わせで暗く始まるM2、Jarrod LawsonによるM3は一気に生演奏テイストに変わり、
澄んだリムショットのスネア、変態的な多重コーラス、Steely Danも顔負けな精緻なストリングスが彩ります。最高。
B.Thompsonをゲストに迎えたM4はKashifを思わせるシンセのリフ(デトロイトテクノのような音色で)が特徴的なブギーです。
現代的な音色のリズムマシンでBCMのリズムパターンを再現したようなミッドM7は、
後半の単音カッティングのリフを中心としたパートがたまらない。
KING的なアンビエントソウルM9, フュージョン的なギターインストにアンビエントソウルを合わせたM10など、
AOR~ブラコンファンにもうれしい一枚。

第12位 Lost & Find/Jorja Smith
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UK、ウォルソール出身のシンガー、97年生まれ。Drake/More Lifeに2曲ゲストボーカルとして参加して注目を集め、
2018年度のCritic Choice Awardを受賞, グラミーでは最優秀新人賞を受賞しました。
Curtis Mayfieldからの影響を公言しながら、幼いころからレゲエにも触れており、
父がネオソウル系のバンドで活動していたようです。透き通ったハイトーンと柔らかい声質から、かつてのSadeを思わせます。
スウィンギーなビートがNJSを思わせながらも、オーガニックな音色で再構築したようなM1は、
ボーカルが入るとR&Bというよりは、東南アジア的なメロディや節回しがみられ、不思議な魅力があります。
M2もビートはヒップホップソウルのそれに近いグルーブで、これに冷ややかなピアノと70sソウル的なメロディを合わせます。
ヒップホップ的なループの感覚は比較的希薄な一曲です。
Diana Ross/It's Your Moveを思わせるようなピアノリフから始まるM8は、リサフランク/現代のコンピューほど
テンポは遅くなく、ヒップホップソウル的なドラムトラックに歌を載せることで構成しています。お気に入り。
美しいイギリス英語のフリースタイルをフィーチャーしたM9はいかにもネオソウルらしいループが美しい。

第11位 CITY SOUL: FUTURES- SOUL,AOR & BLUE EYED SOUL/Various Artists
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昨年最も読んだ愛読書となったのが元bmr(Black Music Review, かつては松尾潔さんも所属した、
ブラックミュージックを取り扱う専門誌で、現在はウェブ上の雑誌として生き残っています、
普段から最もよくチェックするサイトの一つです)
の編集長である小渕晃氏が編著した「シティソウルディスクガイド」でした。
そこには昨年のベストアルバムに選出したブルーペパーズの福田直木さんも著者として参加していたり、
新R&B入門など、ブラックミュージック関連の書籍を数多く執筆している林剛さんなども参加しています。
そんなシティソウルディスクガイドは重版もされ、注目を集めているようで、これで取り上げたアーティスト、
特に現代のシティソウル(ノーザンソウル、AOR, ブルーアイドソウル、フュージョン、アシッドジャズ、
ブラックコンテンポラリー、NJS, ヒップホップソウル、ネオソウル、アンビエントソウル、フューチャーソウル
などを体系的に指す新たなジャンルの定義)に注目し、
それに適合するアーティストの楽曲を集めたコンピレーションが発売されました。
この内容が素晴らしく、ベストアルバムに選出しました。
TOTO~AIRPLAY, Pagesなど直系のAORではWilliam SikstromやTomi Malm, Steely DanフォロワーのEd Motta,
Monkey House, ブラジル音楽の影響がうかがわれるLucas Arruda, Stevie Wonder的なボーカルのJeremy Passion,
UKソウル~ファンクロックのMamas GunとウェストコーストロックプロジェクトのYoung Gun Silver Fox,
もう少しベテランではSwing Out Sisterとともに日本での人気が高いWORKSHY、
フュージョン寄りのAORとして名作を数多く放ったMichael Franksなどなど、
現代のシティソウルを見事に定義した一枚となりました。
私的名盤紹介の視点は、シティソウルの概念にかなり近いと思います。
そうした意味で、この界隈からは目が離せません。書籍もマスト・バイです。

第10位 Supremacy/Derric Gobourne Jr.
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弱冠20歳にして、自らをNew Jack Singerと名乗るシンガーの1stフル。
Call You TonightのPVは、かつてのBobby Brown/Every Little Stepを思い起こさせるような演出で話題となりました。
最近、NJSリヴァイバルの楽曲が国内外で徐々に出てきています(国内ではRYUCHELL/link, dirty talk/w-indsなどは好例です)が、
そういった勢力の中でも、本作の完成度は圧倒的に高く、NJS当時の名盤群と比較しても引けを取らないと思います。
単音カッティングとブリブリとしたベースの心地いいM1から、NJS、特に初期のBobby Brownの楽曲に近しいトラックが並びます。
現代の録音ならではの分離の良さ、コーラスの心地よさ、トラックの完成度の高さ、
キャッチーさはいずれも見事なものだと思います。
M2はキャッチーなシンセのリフが素晴らしい。M4では典型的なビートに繰り返されるベースリフでミニマルな造りで。
ファルセットで繊細に歌うM5や、Michael Jackson & Rod Tempertonのような質感を見せるM7は特にお気に入りです。
Every Little Stepのリズムパターンをそのまま使ったM8、ブラジリアンなイントロのM9,
ブラックコンテンポラリー後期のサウンドに近いM10、Freddie Jacksonもびっくりの絶品クワイエットストームM11など、
BCM以降のR&B好きをときめかせてくれるサウンドを一杯に詰め込んだ一枚。

第9位 Au Dre/Au Dre
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オーストラリア出身の2人組R&Bユニット。近年リヴァイバルが進むニュージャックスウィングをテーマとした
作品の中でも、彼らのこのアルバムがベストと考えました。実のところ、M1のイントロのフレーズに
ノックアウトされたのが大きかったのですが。
サビ前のストリングスの使い方や、比較的シンプルなサビでも盛り上げ方が圧倒的にうまく、
最高のトラックの一つだったと思います。
後半にはフュージョン的なサックスソロまで入っており、サービスたっぷりです。
キックがビシビシと決まり、90sヒップホップソウル的なメロディが絡みつくM2は少し翳りのある一曲。
シャッフルのM3は少しSteely Dan的なジャジーなコード進行もある変化球な一曲。
さらに緊張感溢れる展開が続くモダンブギーなM4、Mint Condition/Someone To Loveのような
フレーズをテーマにしたクワイエットストームM7も堪りません。
続いてM1同様にNJS的なビートを下敷きにしたM8, M9ですが、特にM9は上物の感じはAOR的で、
独特の新鮮さがあります。ハウス的なM10もまた異色で面白いです。

第8位 AM waves/Young Gun Silver Fox
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ロンドン出身でファンクロック~ソウル、ポップロックの間を行くサウンドで日本での人気が高い
Mamas GunのAndy Plattsと、Shawn Leeの二人組による、現代にウェストコーストロック、AORを甦らせたユニットによる2ndフル。
昨年はTomi Malmの1stフルがTOTO~AIRPLAYのサウンド、David Fosterのサウンドを復活させ、本家に肉薄する
クオリティのアルバムを作り上げましたが、今年はYoung Gun Silver Foxのこれが圧倒的でした。
M1から早速繊細なコーラスが重なる、センチメンタルなウェストコーストサウンドを聴かせてくれます。
後半にはコーラスの効いたエモーショナルなギターソロも。最高。
続いてM2では人力のリズムならではの混然一体となったグルーブが楽しめます。
M3のやや強引な展開とサビの構造は完全にMichael McDonaldのそれで、歌もうまいです。
ストラトの枯れたギターソロも定番ですが、やはりいいものは良い。
さらに何重にも重ねた多重コーラスをフィーチャーしたM5は、後半でほぼ声のみのパートを設けています。
エレピ弾き語りで始まるM6はややブルーアイドソウル寄りな一曲です。少しハネた16分の刻みの作るグルーブと、
豪華なホーンが心地いいM7も素晴らしい。
鋭いホーンのオブリガートが入った重いグルーブのM9など、ジャケットの通り、夕方の海岸が似合う爽やかな一枚でした。

第7位 The Feels & The High/Midas Hutch
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オランダ人プロデューサー、FS Greenによる変名ユニットの1stフル。Midas Hutchの名前は、
おそらくBCMを代表するグループ、Midnight Star/Midas Touchをもじって付けられたのではないでしょうか。
(ちなみにMidas Touchという楽曲は山下達郎/SONORITEにも収録されています)
ゲストにはBluey Robinson, MAAD,Eva(Solangeなど), Kaleem Taylorなどが参加しています。
MAADをゲストに迎えたM1はイントロからBCM全開の打ち込みドラムスで始まりますが、あまり粘りは強くありません。
必殺の80sソウル進行を存分に使ったM2も黒過ぎずのバランスで、
サビの最後のメロディーはFinnese/Bruno Marsを思わせます。最高。
先行シングルのM3ではシンコペーションの多いベースラインとすっきりとしたボーカルの組み合わせ、キャッチーなサビと、
まさに現代版ブラックコンテンポラリーとしてアップデートされた素晴らしいトラックでした。
大仰なイントロとMidnight Star/Curiousを思わせるリズムで始まるムーディーな
M4はトークボックスのうねうねとした音と組み合わせて。最高に僕好みです。
Kashif的なフレーズのシンセをフワフワとした音色に差し替え、クラブミュージック的な展開を加えたM5,
絶品ミッドのM6も、サビまでは00s以降の複雑なメロディーで、サビでは80sソウル的な構造になっています。
特にMarの参加したクワイエットストームM10は、エッジボイスや抑揚の付いたボーカルがオーセンティックなR&Bのそれで、
最もお気に入りな一曲です。Teddy Mikeにも負けないインストブラコンなM11も最高です。
ブラコン、NJS再評価の流れの中でも、特にAOR~ブルーアイドソウル好きの日本人には
間違いなく気に入って貰えるサウンドなのではないでしょうか。

第6位 Geography/Tom Misch
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ロンドン出身のビートメイカー, SSW, ギタリストによるソロ1st。
宅録系のマルチプレーヤーとしてJordan Rakei, FKJ, Alpha Mistらとの共演ののち、遂にアルバム発表となりました。
ギタリストとしてはフュージョン的な音作りであり、リズムギターもソロも見事に弾きこなすのですが、
De La Soulとタッグを組んだM6のように、ラテンフュージョンにネオソウル的なエッセンスを加えた曲など、
ギタリストの枠に収まらない楽曲が多いです。
Lee Ritenourのカヴァーでも知られ、ジャズスタンダードとしても愛されるStevieのIsn't She Lovely
ソロギターでカバーしたM8など収録していたり、全体的に上品で良質なトラックが並びます。
今後、ほぼ確実に現代フュージョンの一翼を担う存在になっていくことでしょう。
ブギーM8では、ディスコの典型的なベースラインと流麗なテーマを組み合わせたさっぱりとした質感に仕上げています。
しかし、M1ではメロウなスムースジャズ的なギターはそのままに、J Dilla的な粘るリズムと組み合わせるあたり、
これまでにありそうでなかった個性的な才能を感じます。アシッドジャズ~ネオフィリーなM3もなかなか良いです。
レイドバックしたソウルM4は薄く流れるオルガンのようなシンセや、素朴なボーカルと合わさり、得も言われぬ淋しさを演出します。
AOR~ブルーアイドソウルのテイストが強いM11は特にお気に入りです。
アルバム全体として非常によく統一されたサウンドで、肩の力が抜けていて衒いのない作品だと思います。
世代関わらず親しみやすく、しかしギターヒーローともなりうる資質を備えた、新たな才能の成長を期待したいです。

第5位 Negro Swan/Blood Orange
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ロンドン出身のSSW, Dev Hynesによるユニット、Blood Orangeの4thフル。
Florence and the Machine, The Chemical Brothersの作品に参加、2011年からBlood Orange名義で活動しています。
プロデューサーとしてはインディーR&Bとチルウェイブ、アンビエントを融合した独特な音楽性のFKA twigsなどを
プロデュースしています。M1はD'Angelo/Black Messiahを思わせるような艶消しな質感の録音で、
暖かみのあるスモーキーなサウンドが並んでいます。最高。
かと思うと、M2では深めにリヴァーブの掛けられたボーカルとアンビエントなシンセがフィーチャーされています。
ジャジーな弾き語りM3は3部作の時代のStevie Wonderを思わせる短い一曲。
ヒップホップソウルの最も重要なプロデューサーPuff DaddyをフィーチャーしたM4は、
当時を思い起こさせるようなスネアはそのままに、穏やかなアンビエントソウルとなっています。
ASAP Rockyをゲストに迎えたM9では、ローファイなドラムトラックに、
深いリヴァーブの掛かったボーカルが歌うメロディは80sソウル的です。
シャワーの音のようなSEから始まるM10はパワフルなファルセットのリードヴォーカルをフィーチャーした一曲で、
これもレトロなサウンドのように見えますが、基本的にはループにボーカルを載せる形で作られています。
後半のドラムマシンが入ってきて、中華メロディなシンセが入ってくるパートが堪りません。
The InternetのSteve Lacy(Kendrick Lamarのプロデュースでも注目を集めています)が参加したM14は
特にミニマルなドラムループがブラコンを意識させるようなフレーズで、特にお気に入りです。
エレキ弾き語りによるM16もStevieを思わせるような節回しと、コーラスの組み合わせが切なく、また懐かしくもある一曲でした。
ヒップホップがシーンの中心となって久しいですが、歌ものとしてのR&Bの魅力を、ただ懐古的に振り返るだけでなく、
現代的なアンビエントソウルやダブ、ヒップホップソウル、BCM, モータウンまで取り込みながら、
新たな形として提示し直した、重要な作品となると思います。

第4位 Ella Mai/Ella Mai
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ロンドン出身のソウルシンガー、1994年生まれ。DJ Mustardに見出されたことがきっかけで有名となりました。
ジャマイカ系とアイルランド系の両親を持つ彼女は、Ella Fitzgeraldから名づけられたということです。
Bruno Mars(FinneseのCardi Bを迎えたリミックスは、今年のベスト・トラックの一つだと思います)の24k Magicツアーに
バックコーラスとして参加(Cardi Bが抜けた後に参加)したりと注目を浴びています。
影響を受けたアーティストとしてLauryn Hill, Chris Brown, Brandy, Destiny's Child, Alicia Keys,Mariah Careyなどを挙げており、
ソロ1stとなる本作も、BCM~90sR&B的なサウンドも収録されています。
チルなシンセのイントロから始まるM2はハンドクラップの音がクラシカルな響きです。
ネオフィリー的な翳りのあるブギーM3は難しいリズムのメロディを見事に歌いこなしていきます。
サビメロは一部独特な中華メロディです。Chris Brownをゲストに迎えたM5、John Legendをゲストに迎えたM9もありますが、
なんといってもM9のイントロが圧倒的に素晴らしい。シンバルのサスティーンの長さ、リズムマシンそのままなリズムが、
往年のブラックコンテンポラリーそのもので、しかしながらそこにヒップホップソウル的なメロディ、
アンビエントソウルのテクスチャーをも見事に取り込んだ一曲に仕上げています。
この曲のみでベストに入れようと考えました。私の理想とする現代ソウルの形だと思います。

第3位 It's About Time/Nile Rodgers & Chic
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伝説的なディスコ/ファンクユニットであるChicと、そのギタリストNile Rodgersによる26年ぶりとなるニューアルバムです。
カッティングギターという奏法そのものの革命を起こしたNile Rodgersは、ディスコミュージック再評価の
きっかけとなったDaft PunkのRandom Access Memoriesにゲストとして参加し、起爆剤となりました。
本作のリードシングルSoberはニュージャックスウィングの手法を用い、2Stepを代表するCraig Davidを起用しているあたり、
懐かしさもあります。すべての楽曲を、当時の焼き直しではなく、普遍的なダンスミュージックとして成立させ、
そのすべてを当時と変わらないパッションで演奏していて、胸が熱くなります。
リズムの面では、DJ Cassidy/Make The World Goes Roundを思わせるモダンブギーM1(Anderson Paakが共作)など、
全体的にスクエアぎみなものが多い印象です。
NaoによるMinne Liperton系のキュートなボーカルのM2,Craig Davidを迎えたM3は、
Guy/Groobe Meのサウンドを意識して作った
というだけあり、往年のニュージャックスウィングの美味しいところを取り入れながら、
トレードマークのギターバッキングと見事に組み合わせています。最高。
コーラスの音の配置や、オートチューンのケロりで音色を調節し、声ネタ的にも使ってしまうM4も面白いです。
M5のコーラスのフレーズもNJSならでは。
Dance, Dance, Danceを思い起こさせるパートに、ポップなサビが組み合わせられ、
現代的にアップデートされたM6は、ビートの重さも相まって、
ディスコ現役世代にも広く受け入れられる一曲だと思います。これもお気に入り。
Al Di Meola, David Sanbornなどへの作品参加で知られるスムースジャズ系鍵盤奏者、Philippe Saisseを
ゲストに迎えたM7も、カリカリしたカッティングをバックに、緊張感あふれるピアノソロを全開にフィーチャーしています。
しかしながら楽曲全体では非常にダンサブルで、後半にはテクニカルなカッティングソロ、ギターとボーカルのユニゾンもあり、
フュージョンファンにはたまらない一曲です。
Elton Johnをゲストに迎えたM8、Lady Gagaを迎えたM9と、後半ではコーラス、歌唱をフィーチャーして
フィリーソウル、後期モータウンの感触が強くなっています。
かつてのChicのスタイルの核となる部分はそのままに、新たなダンスミュージックとして見事に再構築した名盤といえるでしょう。

第2位 Line By Line/Prep
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ロンドン出身の4人組ポップスユニット。2015年デビューで、Vaporwaveを思わせるようなジャケットや、
日本のシティポップ/シティソウルからの影響を感じさせる彼らは、特に日本での人気が大きいようです。
今回はPaul Jackson Jr.のほか、LA出身のファンクバンド、
Vulfpeck(彼らもJB~AWBのちょうど間を行くような、素晴らしいグルーブを残しています)が
参加していたりと、話題に富んだEPとなりました。ムーディーでキャッチーなAOR, シティソウルがたっぷりと詰まっています。
表題曲M1からVaporwaveを通して再度AORを見つめ直したような、冷ややかでグルーヴィーなシンセAORに仕上がっています。
M2はBobby Caldwellを思わせるようなコード進行でありながら、無機質で独特の淋しさに満ちています。
Misty Mauve/山下達郎などと並べて聴きたい一曲。最高。
Monsta XのShownuによるソウルフルなボーカルもあの時代を思い起こさせてくれます。
いかにもJeff Porcaroの作りそうなリズムパターンを採用したM3も、少し鼻の掛かったボーカルと合わさると、
Smooth Reunionを思わせます。
サビではMichael McDonald参加期のDoobie Brothersのよう、これも最高です。
続いてM4は少しKenny Logginsの作品にみられるような、メロディックハードロック的なリズムでありながら、
やはり冷ややかな質感があります。
Paul Jackson Jr.のカッティングがフィーチャーされ、よりレイドバックしたグルーブに生まれ変わったM5、
M6では平板な打ち込みビートとLowdownのベースラインを採用したクラブサウンド、これも面白い。
tofubeatsがソロアルバムで指向しそうなサウンドです。まさに僕の趣味全開なサウンドで満ちた一枚でした。

第1位 Hive Mind/The Internet
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LA出身のフューチャーソウル、ファンクバンド。Tyler The Creatorの結成したOdd Futureの一員でもあります。
J Dilla, D'Angelo革命以降のブラックミュージックでは、徐々にトラックメイカー1人で楽曲を作り上げるスタイルが
中心となっていますが、彼らがバンドという形式を守りながら、こうした最新のブラックミュージックを演奏していくという点では、
かつてのThe RootsやRH Factor,さらにはTony! Toni! Toné!, Mint Conditionなどから脈々と続く遺伝子を感じさせます。
ジャケット写真は90sを思わせるようなファッションに身を包んでいて、ダンサブルなサウンドへと変化しています。
アタックの強いベースリフから始まるM1でも、ネオソウル的な不穏なコーラスが絡みつきながらもファンキーに仕上げています。
Michael McDonald/I Keep Forgettin'のリズムで始まるM2も、
エレピが入ると一気に90sUKソウルのようなテクスチャーになります。最高。
Earth, Wind & Fireのインスト曲のような雰囲気を纏うM4, フェイザーの掛かったカッティングが心地よいM7,
これまた80sソウル的なカッティングのリフとファルセットのボーカルによるM9も、ループ感が強く現代的に仕上げています。
サスティーンの短いスネアが刻む平たいビートに低域の多いベースが絡むM10もメロウで素晴らしい。
TLCやSWV, Kut Klose, Xscapeなど90sガールズヒップホップソウルを思わせるようなM11,
かと思うと細かく刻まれるハイハットの切れ味鋭いファンクM12は、
後半で人力ドラムンベースをベースにしたメロウR&Bへ変化し、これも最高。
アンビエントソウルM13でも、やはりベースの存在感はしっかりとあり、
現代のブラックミュージックシーンでも異彩を放つ彼らの最高傑作と思います。

以上、遅れてしまいましたが私的名盤紹介の年間ベストでした。
邦楽ベストアルバム15
も合わせて是非、お聴きになってみてください。
今年はInstagramも合わせて開始しています、音楽以外のテーマにも取り組んでいこうと考えておりますので、ぜひどうぞ。

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  1. 2019/01/09(水) 23:05:52|
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2018年度 私的ベストアルバム15 邦楽編

私的名盤紹介にいつもお越しくださっている皆様、
そして私的名盤放送をご覧くださっている皆様、お世話になっております。
管理人の@privategrooveです。

この「私的名盤紹介」を始めてから丸6年が経ち、現在メインの企画として継続しているTweet Castingの
私的名盤放送」を初めて2年余りが経ちました。はじめは中古CD, TSUTAYAでのレンタルを中心に作品を集めてきましたが、
ここ2-3年はアナログレコードで音楽を収集することが増えてきました。
聴取を巡る環境や社会の変化は、大学に入学した頃には想像だにしなかったほど大きなもので、感慨深いものがあります。

一人暮らしを始めて、自分専用のオーディオ(PMA-50& Dali Zensor1)を得られたことで、
アナログを毎日聴きたい時に聴けるようになったことは、大きかったと思います。
それだけでなく、音楽聴取の大部分はアナログとストリーミングサービス(Spotify)に置き換えられ、
CDを購入する機会は減ってきています。SpotifyとBluetoothによる組み合わせは非常に使いやすく、
オーディオシステムとカーオーディオの両者で大活躍しています。

研修医の生活にも慣れてきました。職務も3次救急病院とはいえ、比較的時間のある施設での研修であったため、
新譜、旧譜共に学生時代に負けず劣らずの数、作品を聴くことができたと思います。
しかしながら、ブログとして文章を書いていく時間を取れなくなってきたのは事実です。
一発勝負の「生放送」という形式をとることで、よりリアルタイムな情報発信を行うことができるようになった一方で、
まとまった形で音楽についての文章を残す機会が減っており、歯痒い思いもしています。

せめて年間ベストアルバムは、しっかりとした文章の形で残しておきたいと考え、
邦楽、洋楽共に15枚ずつのアルバムを選ばせて頂きました。
私的名盤紹介管理人が、自信を持ってお勧めする30枚の素晴らしい作品たちです。どうぞ。

【邦楽私的ベストアルバム15】

第15位 After The Rain/古内東子

After the Rain古内東子
90年代半ばよりフュージョン~AOR, ブルーアイドソウル的なサウンドで異彩を放ったベテランSSWのデビュー25周年作。
90年代当時はシティポップ自体が勢いを失っていつつあった時代でもあり、
その中で滑らかでグルーヴィーなサウンドを作り上げた彼女の存在は、JPOPの中でも稀有な存在だと思います。
この最新作ではプロデューサーにクニモンド瀧口(流線形など)、河野伸(ACO, Crystal Kay, 中島美嘉, ピチカート・ファイブ、
堀込高樹などを手掛け、菊地成孔のSPANK HAPPYのメンバー)を迎え、バックにはアシッドジャズを代表するバンド、
Incognitoを迎えています。かと言ってアシッドジャズ的な軽いリズムの曲は少なく、
むしろ表題曲M2のように重厚なサウンドが特徴的で、ホーンのアレンジはさながら山下達郎のようです。
M1は90年代のStrengthなどに近い彼女の得意とするタイプの楽曲だと思います。
そのほかDavid Foster的なバラードM3, Anita Bakerの楽曲に24th Street Bandのバッキングを組み合わせたような
ブラックコンテンポラリーM4はパリッとしたトーンのストラトのソロが堪りません。メロウなM6はサビのコーラスの生々しさと
テーマの美しさは圧倒的です。Ronny Jordanのようなファンキーなカッティングとクラビネットのリフで彩られるM8など、
高品位な楽曲が並んでいます。自身の得意とするサウンドを存分に発揮した、円熟の一枚です。

第14位 BLUE COMPASS/水瀬いのり
BLUE COMPASS
95年生まれの女性声優のソロ2nd。自身は水樹奈々さんのファンであることを公言しており、
水樹さんと同じくイメージカラーを青とされているようです。
1stシングルが意表を突いたジェットコースターのような曲で驚いていましたが、
水樹さんの楽曲と対比して考えると、よく理解できるような気もします。
2ndは全体として爽やかで明るい曲調のものが多く、手数の多いドラムや派手なストリングスはアニメソング的とも言えますが、
緩急の付いたバンドサウンドで、聴きやすいバランスになっていると思います。
渚のバルコニー/松田聖子のようなメロディで始まるM1, 速いテンポのポップロックでCall & Responseの要素もあるM2は、
かつてのGLAYを思わせるような懐かしいハーモニーやギターソロです。本作の白眉はM4で、
スウィンギーなイントロから分厚いホーンセクションの入ったイントロから一気に引き込まれます。
サビは80sソウル的な進行にオクターブのベースラインが絡みつき、ロングトーンもしっかりと聴ける、
しかもアニメソング的な可愛らしさもあり、上坂すみれ/ノーフューチャーバカンスとあわせて、
今年のアニメ関連楽曲でも最高の出来上がりだと思います。2番サビあとからフュージョン的なキメが連発したり、
一部ピアノのみになったり、ラストサビの前で多重コーラスを合わせたりと、編曲の細やかさも素晴らしい。
メロディとユニゾンするグロッケンとストリングスが冷ややかなM5, 弾き語りのバラードM12など、
全体的に統一感のあるサウンドで、水瀬いのり自身の個性となる音を確立したアルバムになったと思います。
有形ランペイジやTRIX関連のスタジオミュージシャンが参加していることも、彼女がいかに将来を嘱望されている
アーティストなのかを表していると思います。今後が楽しみです。

第13位 Baby Bump/Chara
Baby Bump
1968年生まれの埼玉県川口市出身のシンガー、SSWであり、YEN TOWN BANDでの小林武史との名タッグや、
ソロでのヒットは数知れないベテランですが、これまできちんと聴いたことのない方でした。
シンガーとしてはソウル/R&Bからの影響を述べており、特にPrinceに最も影響を受けたとのことです。
最新作、コンピ合わせて29枚目のアルバムとなった本作は、最先端のブラックミュージック、
フューチャーソウルやアンビエントソウル、ネオソウルのエッセンスをふんだんに取り入れた、
コズミックなサウンドの一枚になっています。ジャケット写真はかつてのErykah Baduのようです。
ベタッと一様なリズムマシンが近年のディスコリバイバルを髣髴とさせるM1に始まり、
緊張感あふれるエレピの歯切れの良いバッキングにミニマルなメロディが絡みつくファンクM2,
デトロイトテクノそのものなイントロから始まる表題曲M3は、歌が入るとEDM的なコードが目立ちます。
デジタルな質感でありながら、P-Funkの楽曲のように音の塊が混然一体としてぶつかってくるようなM5も素晴らしい。
フィリーなストリングスと生々しく太いベースラインが心地良いM7, へばりつくようなボーカルとワウの深くかかった
シンセを中心としたマシンファンクM8など、JPOPのメインフィールドで活躍してきたアーティストとは
思えぬほどの濃厚でビターなファンクが詰まっています。70sソウル直系の音でありながら、
見事にモダンな音で作り直したM11も最高。プロデュースにはLucky Tapesの高橋海や、
トラックメイカーのTENDREなどを迎えており、最高のコラボレーションとなったと思います。

第12位 M-P-C “Mentality, Physicality, Computer"/冨田ラボ
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00s前半から現在に至るまで、映画音楽、ブルーアイドソウルや後期Steely Danに代表される
AORに影響を受けた複雑なコード進行と精緻な編曲、多重録音と宅録による独特なスタイルで、
JPOPにおいて特異な存在感を放つプロデューサー、冨田恵一のソロプロジェクト。6枚目のオリジナルアルバムです。
前作からは近年の邦楽ブラックミュージックの流行を取り入れたサウンドを指向するようになり、
本作でもその傾向は維持されています。過去の作品でもドラム音源をワンショットずつ自身で録音し、
くみ上げるという独特なスタイルでリズムトラックを構築していることからも、
ヒップホップのアーティストと類似点を見出すことができるかと思います。
今作では女性ラップデュオのchelmico, ジャジーヒップホップの最先端を行くKANDYTOWNのryohu,
ものんくるの吉田沙良、東京事変のメンバーでありペトロールズの長岡亮介、
ジャジーヒップホップとフューチャーソウル/ファンク、ネオソウルを混ぜ合わせたWONKの長塚健斗などが参加しています。
特にKANDYTOWNのryohuのラップに得意とする生々しいドラムスのフィルが緊張感ある
グルーブを作り出す表題曲が素晴らしい。その他WONKとのスウィンギーなネオソウルM6など収録。

第11位 Hi-Fi POPS/ORESAMA
HiFiPops.jpg
小島英也とぽんの2人組による長野県出身のJPOP, アニメソングユニットの2ndフルアルバム。
2014年に一度メジャーデビューを果たすも、レーベルとの問題によりシングル1枚でマイナーへ、
その後2017年に再デビューを果たします。トラックメイカーの小島氏はNile RodgersやEarth, Wind & Fireなど
ディスコミュージックからの影響を公言しており、そうしたサウンドをベースにして、
現代的なトラップ~フューチャーソウルのテクスチャーを取り入れたポップスという点で、
彼らのスタイルが確立されたアルバムになったと思います。白眉はTVアニメ『魔法陣グルグル』2クール目OPとなったM2で、
現代のアニメソング系ブギーの中でもとりわけ煌めくメロディ、キュートなボーカルとスリリングなストリングスの
組み合わせが必殺。ブリブリとしたスラップベースと重いビートはスクエアに、アニメファンにも聴きやすい。
その他密室的な音作りのM6も素晴らしい。

第10位 愛をあるだけ、すべて/KIRINJI
愛をあるだけ、すべて
90sから冨田恵一とのタッグで知る人ぞ知る存在となり、最近もヒット曲「エイリアンズ」がTV-CMでも使用され
息の長い活動を続けている堀込高樹、堀込泰行による兄弟シティポップ/AORユニット。
2013年に泰行氏が脱退して兄、高樹氏が中心のバンド体制へと移り変わります。
特に後期Steely Danと比較されることの多い彼らですが、テンションコード、意表を突くコード進行を中心に
語られがちだった彼らの最新作は、80sソウル、ディスコを髣髴とさせるグルーヴィーな一枚に仕上がっており、
また新境地に達した感があります。意味不明な歌詞でありながら不思議な浮遊感のあるダンサー、
M3はこれまでのキリンジ、KIRINJIにはなかった80sテイストの強い一曲で最もお気に入りです。
M1は、豪華なホーンとブリブリとした低域の多いベースライン、繰り返しの多い歌詞とファンクロックな
ギターソロが新境地です。なんとM2は4つ打ちのキックでハウス的に始まり、
Zappばりのトークボックスがフィーチャーされたダンサブルな一曲です。
アシッドジャズなコード進行とひんやりとしたエレピのバッキングが疾走感たっぷりなM4も、
ハンドクラップを入れて往年のディスコサウンドのよう。M6も意味不明な曲名ですが、
ネオソウルらしいハーモニーのコーラスと、スラップを多めに使った重いリズムが
SlaveやOhio Playersをはじめとするオハイオファンクのようで、ねっとりとした質感です。
これも素晴らしい。どこかで聴いたタイトルのM7はEDMのようなイントロとブラコンなサビが面白い組み合わせです。
まさに、新たなる邦楽レアグルーブな一枚。

第9位 THE ASHTRAY/Suchmos
The Ashtray
神奈川県出身の男性6人組ロックバンド。Louis Armstrongから命名したというバンド名ですが、
1stフルは主にUKの90sアシッドジャズを基礎としながら、それよりもさらに重厚なリズムで、
ロック/ポップスファンにも訴求力のあるキャッチーさで再構築しており、2018年度の紅白歌合戦にも出場するなど、
年代問わず注目を集めているバンドです。ボーカリストのYONCEは、姉の聴いていたMISIA, TLCといった
R&B系シンガーに幼少期から関心を持って居たようで、ロックバンドの形式をとりながらも、
ボーカルのタイム感はR&Bシンガー的なものを感じます。かつてはNirvana, Michelle Gun Elephantなど
オルタナティブロック、グランジなどをレパートリーとするコピーバンドを組んでいたこともあり、
2ndフルはロック然としたジャリ付いたサウンドが多めでした。本作は初のミニアルバム形式で、
ブラックミュージック寄りのサウンドが多くなっています。特にM3Fruitsはブラックコンテンポラリー色の強い一曲で、
スモーキーな編曲と合わさり、新境地に達しています。

第8位 dressing/Lucky Tapes
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高橋海、田口恵人、高橋健介による3人組のロックバンドのメジャー1st。
デビュー当時から、とても邦人とは思えないシャープなドラムスや、ネオソウル以降のコード感を纏いながら、
AOR~ブルーアイドソウルファンにも堪らないキャッチーさもある円熟したバンドでしたが、
メジャーデビューに際してCharaや韻シストのBASIをゲストに迎え、多彩な音楽性を見せています。
それに伴い、フロントマンの高橋海の趣味が前面に出たアルバムにもなっていると思います。
先行シングルのブギーM1は滑らかなホーンとモータウン的な温かみのあるキャッチーなイントロが素晴らしい。
M2は星野源も参照したCurtis MayfieldやIsley Brothersの香りがします。鋭いキメもたまらない。
M4は不穏なホーンのループを中心としたヒップホップ以降のテイストとポップなサビの組み合わせが最高。
Charaをゲストに迎えたM8はラップに挑戦した後半部が特徴的です。アルバムを出すたびに成長を続けています。良作。

第7位 TVアニメ「スロウスタート」キャラクターソングアルバム「Step by Step」/V.A.
TVアニメ「スロウスタート」キャラクターソングアルバムStep by Step
芳文社の『まんがタイムきらら』で、2013年から連載している4コマ漫画シリーズ「スロウスタート」のTVアニメで、
2018年1月~3月にかけて放送された同作品のキャラクターソングアルバムを選びました。
キャラソンアルバムということで、声優さんを各楽曲のボーカルに据えながら、
プロデューサーはROUND TABLEのほか花澤香菜のプロデューサーとしても知られる北川勝利が担当しています。
7曲収録のミニアルバムですが、北川氏が花澤香菜のプロデュースで作り上げてきた華やかで
ヨーロピアンな香りのあるポップス、Burt Bcharachのような構築された編曲のオールディーズ、
AOR~ブルーアイドソウル、アシッドジャズ、あの頃の渋谷系の音などが見事に混ざり合った高品位な楽曲が揃います。
花澤香菜/恋する惑星での手法をふんだんに使ったM1, アシッドジャズ期のOriginal Loveを思わせるようなM2,
細やかな多重コーラスとストリングスの組み合わせによるヨーロピアンなM4,
沼倉愛美の翳りのあるボーカルと美麗なストリングスがかみ合うジャジーなバラードM5など、
いずれもキャッチーな楽曲が揃います。

第6位 平成/折坂悠太
平成
鳥取県出身のSSW, 平成元年生まれ。ロシア、イランで幼少期を過ごし、2014年から自主制作でアルバムを出しますが、
今年になり突如としてフジロックやライジングサンに出演するなど注目が集まっています。
詳細不明な経歴の彼ですが、明らかに非アメリカ非イギリス的な、例えば中近東的な、
東南アジア的なテイストのある旋律やハーモニーに、日本の民謡のようでもあり、
またブルース的でもある独特の撚れたボーカルが絡みつく、独自の音世界を確立しています。
彼の1stフルとなる今作では、ワールドミュージックを指向していたころのOriginal Loveのようなサウンドに
朗々としたボーカルがとても新人とは思えないM1, スウィングジャズなリズムに民謡的なメロディをビブラートなしで
語るように歌うM2, 個人的にはとりわけファンキーでグルーヴィーなM6がお気に入りです。

第5位 LIBIYAN GLASS/UNCHAIN
LIBIYAN GLASS
京都出身の4ピースロックバンドであり、管理人自身、学生時代から毎年ライブに通っている彼らの最新作は、
70s-80sソウル、ファンクロック、00sのミクスチャーロックを中心としながらも、
さらにその表現の幅が広くなった一枚となりました。彼らの楽曲の中でも特にメロディの難度が高いM1は
パッドの音を効果的に用いたイントロがこれまでになかったパターンです。
アップテンポでかつてのAVEX時代に近いM2も、演奏の練度が高まり、リズム隊の重さが増しています。
LAでのリレコーディングの経験が大きく作用しているのだろうと思います。
カッティングがカギを握る80sソウル的な、レイドバックしたミドルM3、シカゴソウルのリズムのM5は
徐々に音数を増やしていくクラブミュージック的な造りと、巧みなファルセットのコーラスをフィーチャーしています。
英語詞によるM7も8分のエレピのリフを基本としながらも16分のノリを上手くミックスし、
ソウルなサビメロをロックに聴かせてしまうのが彼らの才能といえるでしょう。
最後を飾るM12はロックバンドの範疇を出て、極限までStevie Wonderの楽曲に肉薄しています。

第4位 RUN/tofubeats
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神戸市出身、関西学院大学経済学部卒のトラックメイカー、プロデューサー、90年生まれ。
ハードオフやブックオフで手に入れたCDやLPを用いながらトラックメイキングし、
JPOPのリミックスでその名が知られるようになり、遂には彼自身の憧れである森高千里やBONNIE PINKとも共演したりと、
今や日本のゆとり世代を代表する売れっ子となりました。彼自身のYoutubeチャンネルでは、
ハードオフで1000円の予算で買いそろえたLPを用いて1時間の時間制限付きでトラックを作るという
「Hard Off Beats!」という企画を運営しており、自身の親友を多く集めてワイワイと楽しむ様子を見ていると心が温まります。
これまでのソロ作ではオートチューンを深くかけたボーカルと、90sJPOPや渋谷系、
ニューミュージックを思わせるポップな作風でしたが、前作からはフィルターハウスやデトロイトテクノなど、
彼が影響を受けてきた電子音楽を徐々に前面に出すようになりました。
そして今作では遂にオートチューンを一部外しており、生の声でのボーカルが聴けたり、
インストの4つ打ちテクノ、ハウスの楽曲も収録されました。特にお気に入りはM4で、
Kashifのブラコンサウンドをアップテンポにし、現代的にブラッシュアップされた見事なブギーです。
細やかなドラムンベースを合わせたポップスM3も、彼のトレードマークとなるサウンドながら、リズムは攻めた作りです。

第3位 JUNCTION/早見沙織
JUNCTION.jpg
東京都出身、早稲田大学出身の女性声優による2ndフル。幼少期からジャズボーカルで鍛え上げた
音感とピアノのスキルも合わせて、声優としての実力もさることながら、
キャラクターソングなどでの歌唱にも定評がありました。一昨年、遂にソロ1stアルバムを発売し、
今作では竹内まりやをゲストに迎えたM13などあるものの、かなり大部分の曲を自分で作詞作曲しています。
それだけでも恐るべきことですが、楽曲ごとにボーカルの表現を様々に変えながら、
ある時はビブラートバリバリに張り上げたかと思うと、キュートでポップにも歌えますし、艶やかで滑らかなトーンも出せており、
変幻自在の表現力を見せつけます。正確性、リズム、グルーブに対する解釈、トーン、ビブラート、声の立ち上がり、
全てにおいてボーカリストとしてトップクラスの実力であることを、本作を聴いて確信しました。
アメリカンロックなM1もサビでは少しトリッキーな構造になります。
アシッドジャズM2ではBrecker Brothersのような鋭いホーンが入り、アンニュイな表現が堪りません。
歌謡曲的なメロディにミクスチャーロックなテイストを混ぜたM3, 昭和歌謡のM3,
北園みなみ~Lampを思わせるネオ渋谷系なイントロ、クラビネットのファンキーなバッキングと
ソウル色の強いM8も素晴らしい。多重コーラスから始まりファンキーなカッティングが入ったフュージョン的な構造で、
アンビエントなタッチのボーカルが組み合わさる不思議なM9も良いです。
エレキギターの弾き語りM10ではディーバ的な伸びやかで艶やかなトーンで歌い上げます。
竹内まりやによるM13は、Denim以降の近年の作風に近い、スケールの大きなバラードで、
リヴァーブ感が80sの山下達郎の諸作に近く、暖かみのある音です。
すでに2ndアルバムにしてこれほどの完成度を見せる彼女、これからどこまで成長していくか、本当に楽しみです。
アニメソングファンというよりは、90JPOP, 渋谷系、AOR、アシッドジャズなどあらゆるポップスファンに訴えかける名盤。

第2位 初恋/宇多田ヒカル
初恋
活動再開し2枚目となった本作は、1stのタイトルを思い出させます。
サウンド的には最新のブラックミュージックを中心としながらも、独特の日本語詞と譜割り、
生々しいコーラスなどはそのままに、内省的で暗い中にも、どこか暖かさや慈愛を感じる音世界を作り上げます。
M1は4つ打ちのキックから始まるイントロ、シンセリードの質感などはエレクトロな印象が強いですが、
自身の声以外のコーラスを加えていたり、Chris Dave(Ds, Robert Glasperバンドのほか、
Adeleなどジャズフィールドを超えて活躍、かつてはMint Conditionにも所属していました)、
Sylvester Earl Harvin(Ds), Reuben James(Key, Sam Smithなど)などを
迎えており、生演奏の占める比率が大きくなりました。
ピアノ弾き語りで始まるM2も、白玉はシンプルなリズムですが、
"ai"の音で絶妙に韻を踏んだ歌詞と、歌それ自体でグルーブを見事に作り出しています。
サビ前にかけてヘヴィーなドラムス、豪華なホーンとフィリーソウルのようなストリングスが加わります。
しかしながら、あくまで音は密室的な暗さを残しており、レコーディングの妙を感じさせます。
曲後半では80sスムースジャズ的な進行もあり、シティソウル好きとしても最高です。
続くM3でも、シンプルなピアノ伴奏と、日本語詞の作るリズムでハネたグルーブを作り出しており、驚かされます。
このトラックに対してこのリズムのメロディをはめ込もうという発想自体、常人にはとても思いつかないものです。
Kingdom Hearts ⅢのテーマソングとなったM4は、J Dilla的な訛りのあるリズムを完璧に歌いこなしながら、
シルキーで暗いストリングスが彩ります。サビの部分でのコーラスの質感はFinal Distanceを思い出させます。
キメの部分、ラストではジャストなタイムに戻ります。このテクニックは恐ろしい。
緩い16ビートのリズムパターンで、ダークな雰囲気はそのままにグルーヴィーに仕上げたM5は、
後半にかけてこれまでの彼女の楽曲の中でも最も生々しい演奏となっています。
UK出身のMC, JevonのラップをフィーチャーしたM6は、あまりにも悲しいテーマを取り上げた一曲で、
椎名林檎を思わせる歌詞が印象的です。後半はほぼラップのみで構成され、
ラップのフロウはChildish Gumbinoのような流行のそれよりも、90sNative Tongueに近しいもののように感じられます。
アウトロに少しTimberland的なSEも加えます。
そのほか、リズムマシンの音をそのまま使った生々しいリズムトラックにパイプオルガンを乗せ、
ボイスサンプルをコーラス代わりに使うという組み合わせが面白いM9,
そして個人的には最もJPOPらしい構造のM10がお気に入りです。
M10のようなポップスでも、これまでより滑らかなドラムトラックが入っていて、人力なサウンドを指向しています。
ポエトリーリーディング的な歌い方を取り入れた重厚なM11では、繰り返されるフレーズが念仏を思わせるようです。
ラストを飾るM12も太い低域のベースが非常にメロディアスで、かつてのChaka Khanのバッキングをしていた頃の
Anthony Jacksonに近いプレイです。最新のトラップやヒップホップのサウンドに媚びすぎることなく、
かつ、「バンドミュージックとしての宇多田ヒカル」という新たな側面を見せた最新作は、やはり傑作でした。

第1位 POP VIRUS/星野源
POP VIRUS
前作Yellow Dancerで70s-80sソウルへの憧憬を如何なく発揮しながら、独特な中華メロディやストリングスのオブリガートなど、
独自のサウンドを確立した感のある星野源の最新作を1位に選びました。
今作ではリードトラックにMPCプレーヤーとして活躍するSTUTS(ソロアルバムも素晴らしい出来でした、
惜しくも今回は選外、PUNPEE/夜を使い果たしてやCHEMISTRYとの共演でも知られる)、
河村智康(Ds, 椎名林檎、桑田佳祐、松任谷由実など)、玉田豊夢(Ds,レキシ、aiko, いきものがかり、ポルノグラフィティなど)、
ハマオカモト(B, OKAMOTO’s), 石橋英子(Key), 長岡亮介(G, ペトロールズ、東京事変)、山下達郎(Chorus, M7)、
伊賀航(B, 細野晴臣、鈴木慶一)などが参加しています。山下達郎とは「ラジオの日」で対談したことが関係しているようです。
STUTSによるスウィンギーなビートで、サビのテーマになるメロディはかつてのSMAP/どんないいことを思わせるようで、
90sポップスの煌めきを現代風のサウンドで楽しめます。大ヒットドラマのテーマとなりダンスが話題になったM2は
細野晴臣風の中華メロディなストリングスのイントロが印象的です。
M3はハマオカモトのベースをフィーチャーしたソウルですが、Jackson 5/I Want You Backを思わせるようなサウンドで、
まさに得意とするところです。お気に入り。80sソウル進行を取り入れたM4は美麗なストリングスがフィリーソウルのよう。
M5もハンドクラップの特徴的な、細やかなリズムが存分に楽しめます。
山下達郎のコーラスをネオソウル風の楽曲に組み合わせるという驚くべき組み合わせなM7は、
密室的なサウンドと合わさって異彩を放ちます。冒頭でTR808のカウベルや太いリズムが鳴るM8は
弾き語りを中心とした心温まる一曲。ブーミーなシンセベースとドラムンベースが組み合わさったM10,
かなりテンポの速いスネア連打が難度の高いM11もNHKドラマのテーマソングとなりました。
恋にもつながるストリングスのテーマが再度出てきますが、後半でSTUTSのビートがフィーチャーされます。
AOR的なコード進行のクワイエットストームM13は本作で一番のお気に入りです。TR808でSTUTSが彩るビートが合わさると、
かつてのIsley Brothersのようなメロウさで、Yellow Dancerに収録されたSnow Menと合わせて
BCM(ブラックコンテンポラリー)好きには堪りません。
これほどのサウンドの独自性、演奏、編曲が完璧にかみ合ったポップスが、
日本で大衆に受け入れられていることは、どれほど喜ばしいことでしょうか。
彼のルーツにあるブラックミュージックが、さらに日本人に深く、広く愛されることを願いたいと思います。

私的名盤紹介、年間ベスト、ひとまずは邦楽編をお送りしました。
いかがでしたでしょうか。
今年(もう年を越してしまいましたが)もメロディの美しさ、聴きやすさがありながら高品位な編曲や、
僕の愛する70-80sサウンドを的確に取り入れた、宝石のようなJPOPが多数生まれました。

次は洋楽編です。ご期待下さい。

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  1. 2019/01/01(火) 19:08:22|
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
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※放送企画として「私的名盤放送」というラジオを配信しております。
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