私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(103)

Album: 無罪モラトリアム
Artist: 椎名林檎
Genres: Pops, Alternative Rock

歌舞伎町の女王


1978年生まれの日本のシンガーソングライター。2004年~2012年は、
オルタナティブ・ロックバンドの東京事変のボーカリストとしてもソロと並行して活動していました。
高校中退後、ヤマハのオーディションでバンド、個人ともに実績を残し、
98年に東芝EMIからメジャー・デビューを果たします。
アルバム三枚で椎名林檎を閉じる発言の通り、2003年に3rdを出してしばらくはソロ活動を
休止することになります。本作は99年発表の1st。
この発言の主旨はわかりませんが、デビューからの3作を聴く限りでは、おそらくデビュー時に描いていた
音楽的なビジョンを体現するのに、アルバムは3枚で十分だと判断したのでしょうし、
実際その通りだと思います。
やはり彼女の音楽で最もエキセントリックで魅力的なのは、意味深長なメタファーの中に
本能や汚れた欲望を倒錯的にさらけ出すような、独特の詞世界であると思います。
様々なミュージシャンにカヴァーされ今でも彼女の代表曲である#3丸の内サディスティックでは、
憧れるBlankey Jet Cityの浅井健一への一種マゾヒスティックな欲望を、
バイト生活に明け暮れる冴えないミュージシャンの主人公という立場から歌にするなど、
彼女の初期作でよく見られる詞的表現のエッセンスが込められた佳曲です。
音楽的にソロの作品によく見られるのが、ジャズっぽい音やコード感への憧憬が至る所にみられる点です。
2ndから3rdへと、この傾向はさらに顕著になっていきます。
鍵盤のフレーズを聴いていると、この傾向はよく見つけることができます。
勿論、パンク(というよりオルタナやシューゲイザー)的な歪みで爆音を鳴らす枯れたギターサウンドと、
亀田誠司(B)を中心に作り出される太くハネぎみのリズムに、
奇妙なポップさを纏ったメロディを乗せるという、彼女自身のスタイルが、
既に1stにして完成されています。恐るべき才能だと思います。
挑発的で、時にヒステリックでさえあり、バラードでは苦しく呻くように計算されつくした
ボーカリゼーションが曲に強烈なリアリティと説得力を与えています。
渋谷系をもじり「新宿系」などと名乗っていた彼女ですが、あちらがソウルやオールド・ポップスの
リヴァイバルであるのに対して、パンクやサイケデリック・ロックへのリヴァイバルである
と解釈すれば、この発言も納得のいくもの(?)かもしれません。
まあそれはともかく、2ndや3rd、東京事変の曲たちに比べると(個人的には事変が好きな人ですが)、
本作だけ曲にバラつきが大きく、曲ごとにアレンジや音使いが異なるものが多いので、
私小説的な作品であるというよりもむしろ、路線をはっきりとさせてからプロデュースするという、
職業作家的な色が強い作品となっています。
90sという、陰鬱で不安な時代の本質を描き出したかのような、日本のポップスの紛れもない名盤。

丸の内サディスティック(Live) スタジオ・バージョンが見つからなかったのでジャジーなこちらをどうぞ。
浮雲(G)氏のカッティングが冴えわたっています。事変2期によるライブです。

枯葉/歌舞伎町の女王(Live,Niconico動画)
戦後のシャンソンの(ジャズの)スタンダードであるLes Feuilles mortesと、連続で歌っています。
音域の広さに驚かされます。ヴォーカリストとしても非常に有能な人だと思います。

丸の内サディスティック(UNCHAINによるカヴァー)
ソウルフルなロックとして、グル―ヴィーでクールな演奏になっています。

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  1. 2013/03/07(木) 15:38:42|
  2. 椎名林檎
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今日の一枚(102)

Album: Groovin'
Artist: The Rascals
Genres: R&B, Funk Rock

groovin2.jpg


1964年にニューヨークで結成されたブルー・アイド・ソウルバンド。
1960年代半ばから1970年にかけて多くのヒットを生み出しました。
Good Lovin(1966),Groovin(1967),People Got To Be Free(1968)などはBillboardで首位を
獲得しています。70年代に入るとメンバーのうちの2人が抜け、ギタリストのBuzz Feitenなどを
加えて再出発しますが、セールスは振るわず、72年に解散しています。
メンバー4人のうちの3人はイタリア系のアメリカ人ですが、彼らの作り出すグルーブは、
決して黒人のそれの「模倣」にとどまっておらず、ラテンを感じる音使いの中に、
拍と拍の間にグルーブを生み出すような、かつ緊張感というよりはリラックスしたテイストの、
良い意味で緩いソウルが聴けます。これは彼らだからこそできたことだと思います。
ホーンセクションの絶妙な音の埋め方や、美しいコーラス・ワークには、今聞いてもハッとさせられます。
日本のミュージシャンにも、大村憲治や山下達郎など、多くのミュージシャンに影響を与えています。
#6Groovin'のカヴァーが山下氏のARTISAN(ラジオSunday Songbookのテーマ)
に収録されていたりします。#9You Better RunなんかはIt's A Poppin' Timeに大きく
アレンジされて演奏されています。こちらは長尺で緊張感のあるリズム・ワークが聴けるカヴァーです。
彼らの初期作5作が、Original Album Classicのシリーズとして(5枚で2000円!安い!!)
レコード店やネット通販で購入できるようになっているのに驚きました!
意外と需要があることに嬉しくなりました。
気になる方(ファンの方は各アルバムのリマスターを購入される方がよいでしょうが)
は見てみるとよろしいかと思います。一番勢いのある時期の作品ばかり集めてあるので、聴きやすいです。
それにしても、一枚の中にロック色の強いものあり、バラードあり、ビートルズのように
メロディの美しいポップスあり、コーラスの美しいスウィート・ソウルありと、
本当に楽しくなる一枚です。ブラック・ミュージックの楽しさが凝縮された素晴らしい作品です。

Groovin'

You Better Run

Jungle Walk (ラスト・アルバムIsland Of Real(1972)より。Buzz Feiten(G)の
超絶なバッキングがクールなファンク・ロックです。必要最小限の音数でグルーブを作りつつ、
ソロでは弾き倒すという緩急のつけ方が最高です!堪りません!)

Groovin'(山下達郎カヴァー)

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  1. 2013/03/06(水) 23:19:56|
  2. The Rascals
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【祝】 訪問者数1000人突破!

祝!

総閲覧者数(ユニーク・アクセス)が1000人に達しました!

今までお越し下さった皆様、誠にありがとうございます。
このブログを始めてまだ2か月半くらいですが、これだけの方がいらして下さったことに感謝いたします。
そもそも、CDのレビューを一般の方が一番目にされるのは、
Amazonなどの通販サイトのレビューとしてだと思います。
最初は、このようなサイトにレビューを乗せてみるのも良いかもしれない、
などと漠然と考えていたのですが、
ただ、私のように趣味が偏っていて知識も少ない若輩としては、ソースが完璧ではない不正確な
情報を、商品のレビューとして販売サイトに載せることには抵抗を感じました。
そこで、このように個人的なサイトを作るという方針に転換いたしました次第です。
音楽という芸術(大げさな表現ですが)の権力は、現代にかけて確実に凋落していると私は感じます。
ただ、これは至極残念なことではあれ、必ずしも「悪い」ことだとは思いません。
年間のチャートを挙げて、やれアイドル・ソングだらけだ、「韓流」だらけだ、と言われて
批判されるのをネットの匿名掲示板などで見かけたり、周りの友人が話していたりしますが、
よくよく過去のチャートを見てみると、70sや80sといったロック・ポップスの飛躍した時代も、
やはり上位を占めるのは時めくアイドルたちで、今と根本的に状況が違うかというと、そうではありません。
過去に優れたポピュラー音楽がたくさんあるので、現代はそれの焼き直しばかりでつまらない、
という人もいますが、これも本質を捉えていないと思います。
勿論、過去の焼き直しに過ぎない(明らかに〇〇〇という曲のオマージュであるとか)
いわば「駄作」は数多く存在していますが、これも過去に同様のことがなかったか、と言えば
そうではないからです。いつの時代でも駄作は存在します。
重要なことは、いつでも「リスナーが正しい鑑賞力を養う努力をすれば、どの時代でもいずれは
(多寡はあるでしょうが)必ず素晴らしいと思える作品に出会える」ということだけです。
ただ今の時代は、自分からどんどん情報を手繰り寄せていわば「能動的に」音楽を聴かなければ、
各人にとってお気に入りの、その人にとっての優れた(と感じる感動できるような)「私的名盤」には、
「絶対に」出会えないということです。
音楽がメディアとしての権力を有していた時代では、「ヒット曲」こそが「名曲」と評価
されましたし、それは今の時代の人が聴いても概ね優れていると判断するに値する作品群でした。
ですが、今は違います。ヒット曲=良曲という時代ではないと思います。(あくまで確率論の話です)
CD自体が売れない時代となったことも、その原因の不景気も、レコード会社やジャスラックなどの
大人の事情がこの現象に影響していることは、言うまでもありませんが。
希望はあると思います。今は、レコードの時代からライブの時代、フェスの時代になりました。
つまり、音楽はレコード、CDの時代からもう一度ライブという原点に帰還したのです。
簡単なことです。ネットもありますし、都市部ならライブハウスがたくさんあります。
自分で情報を集め、友達を集めて、ライブに行く。CDを買う。いつの時代でも、ここは変わりありません。
むしろ、「流行曲やジャンル/音楽スタイル」に(いろんな意味で)引きずりまわされていた時代は
終わりを告げ、多種多様な起源をもつ音楽が、下手な「格付け」をされずに剥き身でそこにある、
ということは、真の意味で私たちリスナーは自由になった、と考えてよいということだからです。
いつの時代にも、良作は存在し得るのです。

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  1. 2013/03/06(水) 22:34:07|
  2. 雑記(音楽関連)
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今日の一枚(101)

Album: Nemesis
Artist: Stratovarius
Genres: Heavy Metal, Power Metal

Nemesis.jpg


発売されたばかりの、北欧メロディック・スピードメタルの雄、Stratoveriusの14th。
ドラムスのヨルグ・マイケルが癌のため(公式では個人的な理由のためとされていますが)脱退という、
非常に大きい痛手をこうむった彼らですが、新たなドラマーとして、弱冠25歳のRolf Pilveを加え、
今年ニュー・シングルとアルバムの発表に至りました。
本作も、基本的にはMatias Kupiainen(G)とJens Johansson(Key)の二人により作曲され、
Timo Kotipelto(Vo)が作詞を担当するという編成になっています。
変態キーボードとギターの高速ユニゾンを聴かせる#1Abandonや、
不協和音が怪しく鳴り響く#3Stand My Ground
(#3のソロの完璧さと安定感は聴いていて安心します。良質なパワーメタルです。)
のような疾走曲も勿論健在で素晴らしいのですが、
(ドラムスが変わったため、以前よりもスネアやシンバル類は耳の上で鳴っている印象です)
#2Unbreakableのように非常によく練られた複雑な曲構成のものから、
#5Fantasy(Lauri Porra(B)作曲)ではこれまでにないようなポップネスを獲得しています。
Matiasの清澄なギタートーンはとても好みの音です。PHの音なんかは素晴らしい!
一方では、#10One Must Fallのようにモダン・へヴィネスよりのリフを掻き鳴らすものや、
バラードの#13If The Story Is Overでは、Timo Kotipeltoのボーカルにさらに磨きが掛かっていて
エモーショナルなものになっています。キーも、以前と比べると(若干無理をしてハイ・トーンを
歌わせているような感じがあったかなと思います。)チェストの響きがよく伝わってくる音域に
設定してあるので、実力を100%引き出せているようで、朗々とした歌唱が聴けます。
幾度もの危機を乗り越えてきた彼らですが、やはり今回もメロディックかつキャッチ―でありながら、
曲ごとに様々な仕掛けがしてあって、飽きさせない良質なパワー・メタルを生み出しています。
ストヴァリからメタルを聴き始めた私は幸運だったと思います。

Unbreakable
関係ありませんが、水樹奈々さんのUnbreakableもキャッチ―なパワー・メタルです(笑)

Halcyon Days

Fantasy

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  1. 2013/03/05(火) 19:51:14|
  2. Stratovarius
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今日の一枚(100)

Album: Full Circle
Artist: Boyz Ⅱ Men
Genres: R&B,Soul

Full Circle


アメリカフィラデルフィア出身のボーカル・インストゥルメンタルグループ。
1988年の結成以来、優れたボーカル・ワークで
(特にアカペラでのハーモニーの完璧さは神掛かっています)数多くのヒット曲を生み出してきました。
2002年作の6th。結成時からのメンバーの一人であるMichael McCaryが脱退する直前の作品です。
現代のTemptaionsとでもいうべきソウルフルな歌唱と、70sのモータウンを彷彿とさせるコード感を、
Hip-Hopのリズムを取り込んだトラックに載せてポップに仕上げるという、モダンなR&Bのスタイルの、
一つの完成形を(90sという時代に)提示したのは、彼らの大きな功績と言えると思います。
彼らがいなければ、00s以降の、多くのR&B系シンガーの台頭はなかったかもしれません。
前作、前々作とスマッシュヒットを重ねているだけあってアルバムトータルとしての
完成度はかなり高く、隙の全くない作品となっています。
Nathan Morrisのメロウで艶のあるブレスが多めのファルセット、
Shawn Stockmanの憂いを帯びた揺らぎを見せる中音域、
Michael McCaryの渋く身体全体からの反響が伝わってくるようなバス・ヴォイス、
Wanya Morrisの、緩急強弱自在のトーン・マニュピレーションと、Melismaを効果的に用いた揺れのある
ボーカルは特に素晴らしいと思います。本当に聴けば聴くほど上手いですね・・・・・・。
とにかく、これほどまでに全員が完璧なピッチとリズム感
(レイド・バックの具合もグル―ヴィーですし、ノート・ベンドの使い方もセクシーですね)
を持ったボーカル・インストゥルメンタルグループは、過去にもそう多くはいないと思います。
メンバーも、高校生の時からの付き合いということもあって、
息があっていて、やはり彼らにしか生み出せないグルーヴを生み出しています。


Relax Your Mind

Ain't A Thang Wrong

The Color Of Love

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  1. 2013/03/04(月) 20:40:25|
  2. Boyz Ⅱ Men
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今日の一枚(99)

Album: Temple Of Shadows
Artist: Angra
Genres: Symphonic Metal, Progressive Metal

Temple Of Shadows


1991年ブラジルサンパウロ州で結成された、ブラジルを代表するメロディック・スピードメタル/
シンフォニックメタルバンドの5th。2004年作。
前任のボーカルであったAndre Matosが、Eduardo Falaschiへと交代した新体制となってから
2枚目のアルバムとなっています。アンドレ期のAngraは、クラシック色の強い音楽性で、
ストリングスのアレンジも、かなり味付けの濃いものとなっていましたが、
エドゥが参加してからは、同じようにジャーマン・メタルのスピード感と、叙情的なメロディアスさを
保ちつつも、より大作主義、コンセプト・アルバム指向へと変化していき、プログレ・メタルの
諸バンドと比較しても引けを取らない重厚な内容になっています。
その後期Angraの中でも、コンセプト・アルバムとして最も評価されているのが本作かと思います。
ゲストにはGamma RayのKai Hansenなど、超一流の面子を揃えてレコーディングされています。
アルバムのストーリーとしては、11世紀の十字軍騎士であるShadow Hunterが、
エルサレムへの遠征をしていく中で、宗教戦争への痛烈な批判、
それを通して現代人への警鐘を鳴らすという、大変に思想的な要素が強い一大絵巻となっています。
#1Deus Le Volt!から#2Spread Your Fireへと疾走しながら流れ込んでいく、といういつもの
ツーバスドコドコのネオクラシカル的な曲展開
(コーラス・ワークの美しさは特筆すべきものがあると思います。溜息が出ますね)も、勿論ですが、
#8 No Pain For The Deadのようなミドルテンポの楽曲はエドゥのエモーショナルなボーカルが聴け、
#10Sprouts Of Timeのようにブラジル音楽の影響の色濃い濡れたメロディと、
Kiko Loureiro(G)の粒立ちが良く丁寧で厚みのあるトーンが楽しめます。
やはり個人的にはクサクサの速弾きツインギターが楽しめる#6Temple Of Hateのような曲に
アスリート的なカッコよさを感じずにはいられません。
ただ、曲間のインスト部分はプログレを匂わせる音使いが多く、
Dream TheaterのMetropolis Part2-Scenes From A Memoryを聴いているのに近い
カタルシスを覚えます。
コンセプト・アルバムとしての統一感をより一層際立たせていて、素晴らしい快作だと思います。

Spread Your Fire

The Temple Of Hate

Sprouts of Time

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  1. 2013/03/04(月) 00:12:45|
  2. Angra
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今日の一枚(98)

Album: Bitte Orca
Atist: Dirty Projectors
Genres: Post Rock, Experimental Music

Bitte Orca


2002年に、アメリカニューヨーク州ブルックリンで結成された
インディー・ロック/ポスト・ロックバンド。2009年作。元々は、イェール大学に在学していた
デイヴ・ロングストレスのソロ・プロジェクトとして始まりましたが、メンバーは流動的で、
一時的にはVampire Weekend(こちらも現在のインディー・ロックの先端を行く音楽性で興味深いですが)
のメンバーも在籍していたことがありました。ビョークとのライブでの共演(2007)や、共作の発表も、
彼らが有名になるきっかけになったと言えるでしょう。
本作を評価するのは、大変難しいことだと思います。如何せん前例のない摩訶不思議な音使いの連続で、
これほど不思議な気持ちになった作品は久しぶりです。
変拍子の多用されたリズム・パターンと、浮遊感を強く感じる、一筋縄ではいかない独特なコード進行、
それに、女性のコーラス隊が作り出す、まるで50sから60s初期にかけて隆盛したドゥー・ワップを
(Moonglowsのような)思わせるようなハーモニー、それを切り裂くように乾いたトーンで、
スペイシーに舞う、Steve Howe(Yes)のようなフレーズを弾くリード・ギター。
こうして音の特徴を書き連ねても、あまり説明にはなっていませんね。
というか、どうしてこのリズムに、こういう上物を乗せればいいという発想になるのか、
考えても全くわかりません・・・・・・。
でも、なぜかクセになってしまう、「グルーブ」がそこにはあります。
一つ言えることは、彼らの曲作りの核には、ソウルミュージックの影響が強いということでしょうか。
その中に、ファンク、ドゥー・ワップ、ハード・ロックの要素や、アフリカ、東欧、中東の民族音楽、
の要素が混じり合っているという印象です。
いずれにせよ、彼らの作り出す音楽は摩訶不思議ではありますが、
決して混ぜてみただけの「デタラメ」にはなっていません。
ワールド・ミュージックへの深い洞察に裏打ちされた、強烈なインテリジェンスを感じます。
「グルーブとは何か」という問いへのヒントが、このアルバムの中にあるのかもしれません。

Cannibal Resource

Useful Chamber

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  1. 2013/03/03(日) 17:30:10|
  2. Dirty Projectors
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今日の一枚(97)

Album: Bossa Nova 2001
Artist: Pizzicato Five
Genres: Pops

Bossa Nova2001


1984年結成の、小西康陽、高浪慶太郎を中心として結成された日本のポップス・ユニット。
ボーカルは佐々木麻美子、田島貴男(Original Love)、野宮真貴と順に担当しています。
本作は93年の6th。いわゆる「渋谷系」の筆頭格として、60s-70sのソウル・ミュージックや、
ネオ・アコースティックにヒップ・ホップなどの影響が色濃く感じられる音楽性を有しています。
その一方で、大瀧詠一や山下達郎を中心とするような、Niagara系のポップスからの影響も
強く感じられる音楽性であると言えます。
個人的には、田島氏がボーカルを務めていたBellissima!も好みの音色ですが、
やはり、彼らのヒットを決定づけたのは、小山田圭吾(Flipper's Guitar, Cornelius)との
共同プロデュースによって生まれた本作ということになるかと思います。
数ある彼らの作品の中でも、本作はおそらく最もポップでキャッチ―なメロディが溢れています。
CMタイアップとして取り上げられ、初めてのヒットとなった#2スウィート・ソウル・レヴュー
や、耽美的で流麗なストリングス・アレンジと、浮遊感のあるサイケデリックなシンセが
特徴的な#3マジック・カーペット・ライド(私はSgt. Peppersの音像を思い起こしました)
も素晴らしいポップ・ソングですね。
Bossa Novaと称しながらも、結局この曲しかボッサ・ノヴァではない(笑)という#1ロックン・ロール、
前作のアシッドなダンス・ミュージックから離れ、The Isley BrothersのMarvinのような
ぶっといベースラインとブラスアレンジから、よりフリー・ソウルっぽいグルーブを
生み出している#11ゴー・ゴー・ダンサーなんかはファンク好きには受けがいいのかもしれません。
一転して小山田色満載の#16クレオパトラ2001は、このアルバムの中で異彩を放っています。
ポップスの、底抜けなく明るく、ハッピーでグル―ヴィーな魅力を凝縮したフラッグ・シップの一つ。

スウィート・ソウル・レヴュー

マジック・カーペット・ライド

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  1. 2013/03/03(日) 16:10:04|
  2. Pizzicato Five
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今日の一枚(96)

Album: Torches
Artist: Foster The People
Genres: Pops, Electronica

torches.jpg


2009年アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルスで、
ボーカルのMark Fosterを中心に結成されたエレクトロ・ポップスバンドの1st。2011年作。
現代的なエレクトロ・ポップスというと、冷ややかで無機質な電子音と、サイケデリックな音色が
イメージされるかとは思いますが、彼らの作品は良い意味で80s的であり、温かみのあるグルーブと
ファンキーなリズムが特徴的で、こういったニューウェーブ・サウンドを、モダンな密度感の高い
アレンジで聴かせるという内容になっています。
口笛の入った#2Pumped Up Kicksは彼らの出世作です。メロディもキャッチ―で聴きやすく、
デビューして間もない新人の1stアルバムとしては完成度がかなり高く驚きました。
インディーロックや80sのニューウェーブがお好きな方なら必ずはまると思います。
ダンサブルなリズムと、強くリバーブの掛かったシンセ、歯切れのいい繰り返しが心地よい歌詞、
東にサイケデリックで実験的なMGMTあれば、
西にソウルフルでポップなFoster The Peopleあり!という感じで、
インディー・ポップ界を盛り上げていって欲しいバンドの一つです。

Pumped Up Kicks

Call It What You Want
↑個人的にはこのくらいソウルフルでファンキーなリズムの曲が好みです!
キーボードの音色も適度にジャジーで最高にクールだと思います!

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  1. 2013/03/02(土) 23:51:08|
  2. Foster The People
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今日の一枚(95)

Album: A La Mode
Artist: 川口千里
Genres: Jazz, Fusion

A La Mode


四日市市在住のドラマーのソロ1st。1997年生まれ。現役の女子高生です。
Youtubeのアニメ「けいおん!の曲を叩いてみた」動画で有名となったことで知られています。
(当時使用していたYamaha Hipgigというセットが、HTTの田井中律(Dr)と同じセットであった、
ということだそうで、動画では制服姿でローファーを履いて、髪を律のように纏めて演奏しています)
わずか8歳にして、現代の日本を代表するテクニカル・フュージョンバンドのFragileで
ドラムを務める「手数王」菅沼孝三に師事し、セッションに参加して腕を磨いていたようです。
偶然CDショップで見つけて視聴して、店員書いたの紹介文を見て初めて動画の子だと
解って驚きました。
華奢な身体からは想像できないほどに、師匠の菅沼氏に勝るとも劣らぬ手数と、
パワフルでバウンスの効いたスネアとタム、それに正確かつ躊躇いのないリズム感。
参加しているミュージシャンも、驚くべき強者たちが揃っています。
苽口雄也(G)、増﨑孝司(G,Dimension)、山本恭司(BOWWOW)(G)、矢堀孝一(G,Fragile)、櫻井哲夫
(B,Casiopea)、水野正敏(B,Ponta Box,Fragile)、小野塚 晃(Key,Dimension)など、
Japanese Fusionの次世代の担い手として、
彼女を大切に育てようという強い意識が感じられます。
既に非常に高いレベルに到達している彼女ですが、より若いミュージシャンとのセッションに参加したり、
ジャンルにとらわれずに、様々なバンドやシンガーのバッキングでも、レコーディングに参加
してくれたらいいなと思います。

INFINITE POSSIBILITY

GO! GO! MANIAC (HTT Cover)
かなりアレンジされたプレイとなっています。
手数はかなり多くなっていますが、非常に自然に聴かせています。
刻みの丁寧さとダイナミックなタム回しは特筆すべきものがあります。

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  1. 2013/03/01(金) 17:02:41|
  2. 川口千里
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  4. | コメント:0
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
下さったら嬉しいです。
※Twitterもやっております。
アカウント名はprivategrooveです。
https://twitter.com/privategroove
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フォロー下さると嬉しいです。
可能な限りフォローバック、コメントしに参ります。
※放送企画として「私的名盤放送」というラジオを配信しております。
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