私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

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今日の一枚(132)

Album: Interplay
Artist: Bill Evans
Genres: Jazz, Modern Jazz

interplay.jpg


アメリカニュージャージー州出身のジャズ・ピアニスト。1929年生まれ、1980年没。
ジャズ・スタンダードの楽曲に対して、ドビュッシーやモーツァルト、ラフマニノフや
モーリス・ラヴェルを始めとするクラッシックからの影響を踏まえて、優美なアレンジを加えたり、
インタープレイ(音楽における「対話」としてのアドリブを重視する)に重きを置く
モダン・ジャズのスタイルを確立していきます。
Kind Of BlueでのMilesとの共演(というよりこの作品は、ビルを中心として完成された作品だ
と言っても過言ではありませんが)はあまりにも有名ですが、
Milesがモード・ジャズを深く探求していくきっかけともなりました。
そういった意味でも、彼がジャズ全体に与えた影響力が絶大であることが窺えます。
本作は、1962年作で、彼には珍しいクインテットによる演奏。
相性抜群のJim Hall(Undercurrentでのデュオのプレイも大好きですが)の他にも、
Freddie Hubbard (trumpet), Percy Heath(B), Philly Joe Jones(Dr)といった
(何をやらせても超一流ですが)
どちらかというと、ハード・バップ寄りのソリッドでダイナミックな演奏が
似合うメンバーでの演奏が聴けます。
Jim Hallの角の取れた、ウォームでありつつもメロウで都会的で、
リズムに対して基本的にスクエアで、シングル・トーンの、
ジャズ・ギターとしての基本に忠実な非常にシンプルなプレイは、
Pat Methenyが敬愛して止まないというのも、スタティックなプレイをしている時の
彼の演奏を思い浮かべれば、至極納得できます。
アドリブも、一見地味に見えるかもしれませんが、他の楽器の音を「本当に」よく聴いていなければ
生み出すことのできないものだと思います。
若き日のFreddie Hubbardの、艶やかで濡れたトーンのプレイや、
スウィングするグルーブ感が心地よいPhilly Joe Jonesのドラムスに対して、
ビル・エヴァンスのピアノは、他の作品よりもリラックスした伸びやかなプレーを聴かせてくれます。
右手が生み出す、一音たりとも無駄な音のない、単音の「煌めき」は、
他の誰にも表現することのできない、独特の柔らかさの中に静かに燃え上がる情熱が宿っています。
#2When You Wish Upon A Starのような穏やかなバラードでのベースの入りや、
ギターが静かにテーマを絶妙に崩して奏でていくあたりも素晴らしい!
キャッチ―なテーマと、鋭く刻むハイハットやスネアドラムから生み出されるリズムの
狭い狭い隙間を、絶妙に縫っていくように展開されるアドリブの応酬がクールな
#1You And The Night And The Musicでは、トランペットの饒舌なフレーズも相まって、
ロックンローラーでもきっと気に入るような一曲に仕上がっていると思います。
#4InterplayでのJimのトーンは絶品ですね。ウォーキング・ベースのグルーブ感や、
流麗なピアノのフレージング(コードをまとめて弾くというよりも、一音一音を積み上げて
空気感を作ると言えば良いのでしょうか)の心地よさが堪りません。
数ある彼の作品達の中でも、最も好きな作品の一つです。
単純に耳が気持ち良いです・・・・・・
古今東西最高のピアニストの一人だと思います。

You And The Night And The Music

When You Wish Upon A Star

Interplay

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  1. 2013/03/31(日) 21:59:18|
  2. Bill Evans
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今日の一枚(131)

Album: Slipknot
Artist: Slipknot
Genres: Heavy Metal, Alternative Metal

slipknot.jpg


1995年アメリカ、アイオワ州デモインで結成されたへヴィメタル/オルタナティブメタルバンド。
2000年作のメジャー1st。Linkin ParkやKorn, Rage Against The Machine,
Marilyn Mansonなどと並んで、オルタナティブ・メタル界隈では最も知名度の高いバンドの一つ。
バンドメンバー全員がそれぞれ違ったマスクを装着しており、
個々人のキャラクターに合わせたものを着けています。
作曲は主にJoey Jordison(Dr)とPaul Gray(B, 2010年に急逝)の二人で行われています。
テレキャスを初めとする、フェンダー系のトレブリーで鋭いガラスの如く突き刺さるようなトーンの
James Root(といいつつも、チューニングは「2音下げ」とかの極悪低音チューニング
なので、一般的ならしい音にはなってませんが)
と、EMG搭載のIbanezで、Yngwieのようなクラシカルな速弾きや
低音リフを細かく刻んでいくようなプレイまで丁寧に弾き分けるMick Thomsonの、
ツインリードによる分厚い轟音と、Corey Taylor(Vo)の凄絶なスクリーム寄りのデスヴォイスが
素晴らしい!ドコドコとブラスト・ビートの心地よい、手数の多く軽快なドラムスと、
重く金属的なポールのベースラインも、綺麗にリズムに嵌っていて、
「大衆受け」したバンドの中でも、正確な演奏をしていると思います。
2ndのIOWA(こちらの方も紛れもない名盤ですが)の方が、
よりモダンな色の強いメタルになっています。しかし、本作の方が、どちらかというとポップで
聴きやすい部分があると思います。サンプラーや、ターンテーブルを用いた音作りの幅の広さも、
このバンドならではの楽しさだと思います。
音楽性自体も、ノイズ・ミュージックからの影響や、ヒップ・ホップ(というよりラップか)の
グルーブ感を取り入れたりしていますので、今聴いても古臭い感じはありません。
#1 742617000027、#2(Sic)の疾走感溢れるリズムとスクリームも勿論最高ですが、
#4Wait And Breedでは特にコリィのクリーンでの歌唱がよく映えていると思います。
他にも、#7Tattered & Tornではデジタル色の強い音処理が聴けたり、
#8Liberateでは完全なるラップ・メタルの、重低音が身体全体に響いてくるような
オルタナティブでダークなグルーブを楽しむことができます。やはりここでもクリーンの歌唱と、
高音スクリームによるロングトーンが美しい!
#9Prostheticsでは、スラッシーなリフのリズムの間を、ターンテーブルが切り裂いていくのが
非常にクールですね。シャウトの歪み方も一番しっくりくる曲かなと思います。
これからも聴き続けていきたかったのですが、本当にポールの死が悼まれます・・・・・・
00年代のへヴィ・メタル史上、演奏力、先進性、ポップネスの全てにおいて最もバランスのとれた
バンドの一つだと思います。売れるべくして売れたバンドだと、心底納得できます。

(Sic)

Wait And Breed

Liberate

Prosthetics

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  1. 2013/03/31(日) 00:01:52|
  2. Slipknot
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今日の一枚(130)

Album: Relationship of Command
Artist: At The Drive In
Genres: Punk, Emotional Punk, Psychedelic Rock

relationship command


1994年に、テキサス州エル・パソ(メキシコとの国境沿い)で
Jim Ward(G,Key,Cho)とCedric Bixler(Vo,SPARTA)を中心として結成された
パンク/エモ・スクリーモバンド。2000年作の3rd。(メジャーでリリースされたアルバムは本作のみ)
プロデュースには、KornやSlipnot, Soulfry, Fear Factoryなど数多くのアーティストに
関わってきたRoss Robinsonを迎えて制作されています。
基本的には、ポストパンク/ハードコアの音楽性を有しながらも、所々にパワフルなシャウトを
取り入れた正に「エモい」曲たちを聴けます。
セドリックの、喉の奥から絞り出されるようにして吐き出されるシャウトには、
溢れだす焦燥感と血生臭い攻撃性が剥き出しにされた説得力があります。
それぞれの曲をよくよく聴いてみると、非常に良く計算され、練られているので、
こういった疾走感のあるロックバンドにありがちな、すぐに飽きてしまうということもなく、
何度でも聴きたくなるキャッチ―なメロディと、
Omar Rodríguez(G, Mars Volta)のフリーキーでアヴァンギャルトなプレースタイルから
生み出される硬質な不協和音が奇妙なグルーブ感を生み出すギターと、
(ライブでは、謎のチューニングでセオリーを完全に無視したプレーや、
ギターを捨てて暴れだしたりするパフォーマンスも、彼らの魅力の一つです。)
Tony Hajjar(Dr, Sprata)の重くメタリックで手数の多いドラミング、
エッジの効いたソリッドなPaul Hinojosのベースライン、
全てが不思議な一体感を見せ、サイケデリックでカオティックな中にも
インテリジェンスを感じるグルーブを作り出します。

One Armed Scissor

Sleepwalk Capsules
某タモリ倶楽部の「空耳アワー」で取り上げられ話題を博した「ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」
で有名な(13秒)一曲です(笑)

Cosmonaut

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  1. 2013/03/30(土) 14:25:08|
  2. At The Drive In
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今日の一枚(129)

Album: Free Hand
Artist: Gentle Ginant
Genres: Progressive Rock, Jazz Rock

free hand


イギリスのプログレッシブ・ロックバンド。1970年結成。Derek Shulman(Vo)と
Ray Shulman(B)の兄弟を中心として結成された。1975年の7th。
テクニカルなジャズ・ロックとしての音楽性と、クラシック音楽の影響が濃厚であった初期の音楽性から、
73年のOctopusを初めとして、クラシカルなコーラスワークを取り入れたり、(#2On Reflection)
ファンキーなリズム隊の演奏や、ハードロック色のあるドラマティックな曲展開が増えるように
なっていきます。本作以降の作品では、ますますポップネスを獲得していき、
大衆性を感じる作風となっています。
テクニカルで複雑な曲構成と、聴きやすいボーカルのメロディや古楽らしい煌びやかで
エキセントリックな音像のバランスという点では、本作が最もバランスのとれたものだと思います。
メンバーの殆どがマルチプレーヤーであるため、一人が複数の楽器を持ち替えて演奏していたりします。
表題曲の#3Free Handや#4Time To Killでは、スペイシーでシャープなギターの音色が、
Frank ZappaやTotoのプログレ作を印象付けるような作風になっています。
一転して#6Talybontでは、完全なるクラシックテイストの旋律を、
電気楽器で演奏してアンサンブルを作り上げていくというスタイルで、
また違ったグルーブを作り出します。
ただ、全体としてJohn Weathers(Dr)のドラミングや変態ベースラインによく見られるように、
リズム面ではどの曲も変拍子で溢れかえっているにも拘わらず、
ファンクを強く感じるもたれかかったリズム感が全体を支配しているので、
変拍子やポリリズム、繰り返されるキメといった、入り組んだプログレ独特の
カタルシスのあるグルーブ感を、あくまで聴きやすく、それとは感じさせずに演奏されています。
他にも、チェロやリコーダー、ヴァイオリンにメロトロンなど、ロックンロールではほとんど
用いられない楽器が、すべて生演奏により一糸乱れず演奏されていたりと、
数あるプログレッシブ・ロックのバンドの中でも、屈指の演奏力の高さを有するバンドだと思います。
ジャズ・ロックからの、クラシックへの、ひいてはハードロックへのアプローチが、
最も洗練された形で実現された、他のバンドには生み出せない孤高の傑作。

On Reflection メンバー全員によるコーラスワークと、
リコーダーの音色が切なくて神々しい!

Free Hand 本作中でも最もお気に入りなのがこの表題曲です。
キーボードのスペイシーなリフと、エモーショナルなボーカルが、極上の高揚感を与えてくれます。

Time To Kill 鋭くリズムの間を縫っていくギターのフレーズが最高にクールです!

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  1. 2013/03/30(土) 01:48:48|
  2. Gentle Giant
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今日の一枚(128)

Album: 有形世界リコンストラクション
Artist: 有形ランペイジ
Genres: Soft Rock, Fusion, Alternative Rock, Heavy Metal

有形世界リコンストラクション


音楽プロデューサーとして、主にVOCALOIDを用いた同人音楽や、ゲーム音楽(2011年度の
東京ゲームショウに参加しています)界隈で活躍するsasakure.UKを中心として結成された
ソフト・ロック、オルタナティブ・ロックバンド。2013年作の1st。
本作では、sasakure氏自身によって作曲された曲の他に、同人音楽として作曲された名曲たちの
バンド演奏によるカヴァー曲が多数収録されています。
友人に紹介されるまでその存在を全く知らなかったのですが、聴いてみて衝撃を受けたバンドです。
元の曲も殆ど知っているものばかりだったのですが、実際にバンドで演奏するとなると、
VOCALOIDの楽曲というのは大変再現が難しいものです。しかしながら、デビューしたばかりのバンドの
1stとしては考えられないほどに正確無比な緻密な演奏と周到な音作りです。
メンバーを見てみると、アニメAngel Beats!の岩沢ヴォーカルとしてアニメファンにはお馴染みの
marina(Vo, ex Girls Dead Monster)や、
Rittor Music主催の、Guitar Magazine「最強プレイヤーズコンテスト2005」でグランプリを受賞
した佐々木秀尚(G)、市原康や菅沼幸三に師事し、あの是方博邦、難波弘之、鳴瀬喜博が
所属するバンド「野獣王国」のサポートを務める今井義頼(Dr)、
久保田利伸や斉藤和義のバッキングで知られる白井アキト(Key)など、
若手の非常に優れたスタジオ・ミュージシャンたちを起用しているようです。
サウンドとしては、基本的にハッキリとした曇りのないアレンジです。
手数の多いドラムスや速弾きベース、プログレ的なキメの多い、
Frank Zappaを思わせるようなテクニカルなギターが強烈なカタルシスを与えるインストパートと、
歌いきらない感じのスペイシーなボーカルが好対照をなす、
ジャズの香りが沸き立つオルタナティブ・ロック&
プログレフュージョンな#1世界五分前仮説(オリジナル曲)や、
#2The De'but(インスト)、ワウの効いたカッティングと、如何にもJapanese Fusion的な、
あるいはCarltonのような甘美なソロがスムースな#6Home(インスト)のように
ファンク・フュージョン色やAOR色の強い洒脱なオリジナル曲のように、
筆者がいかにも好みそうな、ファンキーなソフト・ロックもありますし、
Daisy DaisyのMika(水樹奈々の実妹)がボーカルを取る#5千本桜(原曲:黒うさP)では
一転してゴリゴリしたメタリックなリフと、演歌のスピリットを剥き出しにした
エモーショナルなボーカルで聴かせます。
他にも、モダンなR&Bらしいアレンジと、RCA/AIR時代の山下達郎バンドを彷彿とさせる
グル―ヴィーなリズム隊がうねる音像を作り出す#7トリノコシティ(原曲40mP)や、
ブラジル音楽の影響を強く感じるボサノヴァテイストで、フラメンコ・ギターに近い
パーカッシブなアコギのタイム感が心地よい#8Freely Tomorrow、
デジタル・ロック、ビッグ・ビート色の強いキーボードと、ハードロック然としたギターの絡みが
歯切れの良いボーカルと噛みあって、BPM以上の疾走感を生み出す#10裏表ラバーズなど、
様々なタイプの曲が収められています。それぞれの曲に対して非常に丁寧な音作りと、
定位が行われている印象で、単なるカヴァーアルバムとして以上の魅力を持った作品だと思います。
VOCALOIDを用いた楽曲に抵抗のある方にこそ、是非聴いて頂きたい作品です。
現代の同人音楽が、いかに優れた才能を多く抱えているかということを、
このバンドの演奏が、楽曲が雄弁に物語っています。
10年代の日本のロックの方向性を決定づける可能性のある重要作品。


世界五分前仮説

千本桜 (Live)

Freely Tomorrow (Live)

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  1. 2013/03/28(木) 20:20:44|
  2. 有形ランペイジ
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今日の一枚(127)

Album: Another Chapter
Artist: Mad Finger
Genres: Acid Jazz, R&B, Soul Jazz

Another Chapter


2001年にチェコのプラハで結成されたアシッド・ジャズ/クラブ・ジャズバンド。
2011年作の3rd。(日本での発売は2013年)
地元のTower RecordsでのBuyer's Recommendのコーナーでたまたま視聴して
見つけたバンドなのですが、余りに好みのサウンドだったのでその場で購入してしまいました。
聴いた瞬間に、彼らの音楽が80s末から90sにかけて流行したIncognitoを初めとする
アシッド・ジャズのムーヴメントのリバイバルであると感じました。
本作では、ボーカリストが女性のMarketa Foukalovaから、男性のMartin Svatekへと変わっています。
以前の作品は聴いていませんので解りませんが、少なくとも本作では明らかにStevie Wonderを
意識したボーカリゼーションを聴かせてくれます。
かつてのアシッド・ジャズで見られた、無機質でプラスティックのように透明なボーカルとは
異なり、ソウルフルでありながらもジャズ・ボーカルの翳りを湛えたボーカルが聴けます。
彼自身、盲目のシンガーということもあって、鋭い感性を備えているのかもしれませんね。
バックの演奏も非常にタイトで、ジャズ・ファンクとフリー・ソウルの要素を取り込んだ上で
ポップに仕上げていくという教科書的なアシッド・ジャズのグルーブ感を生み出すタイトで
隙のないリズム隊の演奏も、遊びが少ないとも言えますが、そこは今後に期待したいところです。
#1Stillのように洒脱なクラブ・ジャズ要素の強いものから、
#3Are You Readyのようなメロウで緩やかなフィリー・ソウル色の強いもの、
EWFっぽいホーンの入れ方と、ドゥーワップを感じるコーラスワークが心地よい
#4I'm Wondering、モダンなR&Bに近い音像と、アーシーなアレンジが特徴的な#12I'm Movin' On、
#9This Goes OutではMarvin Gaye, Stevie, Donny Hathawayの名前を歌詞の中に出して
しまうほどの潔さで、彼らを初めとするフリー・ソウルへの強い憧憬が現れています。
日本盤のボーナス・トラックとして、知る人ぞ知る名曲であるStevie Wonderの
#13As(Songs In The Key Of Life収録)のカヴァーが収められていますが、
これもまた原曲に比して洒脱でジャジーなアレンジになっていて素晴らしい解釈ですね!
もっと日本国内でプッシュしてほしい若手バンドの一つです。
好みど真ん中のバンドに出会えて私はラッキーでした。
こういうことはよくあるので、レコード・ショップには生き残って欲しいと強く願っています。

Still

Bittersweet

You Remind Me

I'm Movin' On

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  1. 2013/03/28(木) 12:46:22|
  2. Madfinger
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

今日の一枚(126)

Album: Blue Lines
Artist: Massive Attack
Genres: Electronica, Hip-Hop

Blue Lines


1988年にイングランドのブリストルで結成されたヒップ・ホップ、エレクトロニカユニット。
1991年作の1st。レゲエとヒップ・ホップを中心として、オルタナティブ・ロックやR&B、
ファンク、ソウルからへヴィ・メタルに至るまで、数多くの音楽とのクロスオーバーを見せる
音楽性が特徴的で、後進のダンス/クラブ・ミュージックやダブ、等のミュージシャンに絶大な
影響力を持っています。初期の作品である本作では、近年の作品に比べてよりブラック・ミュージック
からの影響が強く出た作風となっています。
ベースラインのサンプリングによるランニングに、ソウルフルな女性ボーカル(Shara Nelson)
が朗々と歌う#1Safe From Harm、William DeVaughnを元ネタとする
#4Be Thankful For What You've Gotでは、フリーソウルらしい緩いグルーブ感と、
ダンスミュージックの非常に高いレベルでの融合を楽しめます。
厚みのある緻密なストリングス・アレンジと、機械的なリズムトラックに、ハイトーンボーカルが
リフレインする#6Unfinished Sympathyの、幻想的でアンビエント的な音像は、唯一無二の
不思議なトリップ感を与えてくれること間違いありません。
一転して、#7Daydreamingではヒップ・ホップ色が濃厚になりますが、
あくまでR&Bっぽいコーラス・ワークや抜けの良いアレンジで聴かせます。
ダンス・ミュージックではありながらも、踊れる要素はほとんどなく、むしろダブとヒップ・ホップを
下地として、ロックンロールの要素を極限まで抑えつつ、R&Bやソウルの緩さを上に
被せて、無駄な音を削り落としていくことで、理性的な、しかしどことなく
頽廃的で耽美的な世界観を創出しています。
高く積み上げられたオールド・スクール的なR&Bへの知識と、
優れたサンプリング、プログラミングの技術により、俯瞰的な視点から
グルーブを「構築」していくという、ヒップ・ホップ、エレクトロニカの方法論を、
最も洗練された形で提示した歴史的傑作。

Be Thankful For What You Got

Unfinished Sympathy

Daydreaming

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  1. 2013/03/27(水) 15:25:53|
  2. Massive Attack
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

今日の一枚(125)

Album: Heavy Metal Be-Bop
Artist: The Brecker Brothers
Genres: Fusion, Hard Rock, Funk

heavy metal be bop


アメリカペンシルベニア州フィラデルフィア出身のRandy Brecker(Trumpet, Flugelhorn)、
とMichael Brecker(Tenor Sax)の兄弟によるフュージョンバンド。1975年デビュー。
本作は1曲目のEast Riverを除いて全てライブ・レコーディングによるもの。1978年発表の5th。
兄弟揃ってスタジオ・ミュージシャンとしても多くの作品に参加しており、Frank Zappaバンドでの
演奏は良く知られていますが、日本ではフュージョン系キーボーディスト/ジャズピアニストの
深町純の作品に参加したりもしています。
本作は、白人によるフュージョン/クロスオーバー(エレクトリック・ジャズ、ジャズ・ロック、
ジャズ・ファンク)を代表する、知る人ぞ知る有名作です。
圧倒的な疾走感と、ロックスピリット溢れるインプロビゼーションの連続、
強くエフェクトのかけられたマイケルのトランペットや、
一流のジャズギタリストの彼らしからぬ、ハードロック寄りのエモーショナルなソロや、
肉体的でファンキーなバッキングでも魅せるBarry Finnerty(G)のプレイも勿論最高ですが、
何と言っても恐るべき要塞ドラムから変態的なリズムをたたき出すTerry Bozzio(Frank Zappa Band,
Jeff Beck, Steve Vai)のリズムワークこそが、この作品をロックファンに強く訴えかけるものに
しているのだと思います。Niel Jason(B)のジャズベースのセンターPUから生み出される、
太く歌うようなベースラインと、パーカッシブで抜けの良い、シャープなトーンが特徴的な
スラップも、跳ねるリズムに完璧に嵌っています。
相変わらずマイケルのエレクトリック・トランペットの、コルトレーンに勝るとも劣らぬブロウも、
彼らしい精密機械のような長いパッセージも、粒立ちの良いトーンでと吹いていきます。
#3Some Skunk Funkは、フュージョンを代表する大名曲です。
若き一流のミュージシャンたちの才能が、一瞬の火花を散らした奇跡の記録だと思います。
ロックンロールが、ジャズが、ファンクが、ハードロックが渾然一体となり、
ジャンルという名の限界を突破する熱量を蓄えた大傑作。

Inside Out

Some Skunk Funk

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  1. 2013/03/26(火) 15:12:51|
  2. The Brecker Brothers
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

今日の一枚(124)

Album: Blufunk Is A Fact!
Artist: Keziah Jones
Genres: Funk, Blues Rock

blufunk is a fact


ナイジェリア出身のシンガー・ソングライター、ギタリスト。1970年生まれ。1992年作の1st。
ヨルバ族という民族の族長を父に持つ。医師を目指すためロンドンのパブリック・スクールに
わずか8歳にして送り込まれた彼ですが、結果としては学校をドロップアウトした後、
ミュージシャンとなりパリでデビューを果たすことになります。
基本的には、Bob DylanやJimi Hendrix的なブルース・ロックの音楽性を基調とするコードと
メロディを、ファンクのハネたリズム感やアフロビートを感じるリズムに載せて演奏する、
という独特のスタイルで、自身はこれをBlufank(Blues+Funk)と呼んでいます。
本作では全編でアコースティック・ギターで演奏しています。
ほぼメンバーはトリオでの演奏で、アコギ、ベース、ドラムスの構成となっています。
ギタリストとしては、コードを鳴らすバッキングでの、タイム感の良さに卓越していると思います。
ベースとの絡み方も素晴らしいですし、うねるようなビート感と、切れ味の鋭いカッティングや
スラップ奏法等のパーカッシブで一切の隙のないプレイと、シャープに弾きながら歌う、
自身のセクシーなボーカルのリズム感の良さやサビのメロディの、アフリカの民族音楽の影響が色濃い
素朴で綺麗なメロディーが非常に高い親和性を見せています。
彼の演奏を聴いていて真っ先に思い浮かぶのが、以前に紹介した雅-Miyavi-です。
私の勝手な想像ですが、彼は確実にキザイアのスタイルに影響を受けていると思います。
とても近いスピリットを感じずにはいられませんね!!
ヒットのきっかけとなった#3Rhythm Is Loveでのブルージーでかつキャッチ―なメロディ、
無駄の削ぎ落とされたとことんフィジカルなリズムの生み出すグルーブは、
彼の音楽でしか味わえないものだと思います。
他にも、#5Where Is Life?でのCurtisを髣髴とさせる滑らかなファルセットの
メロウな歌唱も良いですし、#6Funderlying Undermentalsや#8Free Your Soulでの
カッティングの気持ちよさは、いつまでも聴いていたくなるような絶妙なタイム感です。
キメの多い構成とリズムチェンジの心地よいタイトな演奏が楽しめるドライブ感に溢れる
#10The Waxing And The Waningなんかは趣味ど真ん中過ぎて最高です!
キャリアに比して寡作な彼ですが、全ての作品を聴きこんでいきたいです。
良いアコギが欲しくなる作品ですね。ファンク系のギタリストの中で大好きな方の一人です。

Rhythm Is Love

Where Is Life?

The Funderlying Undermentals

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  1. 2013/03/25(月) 01:17:42|
  2. Keziah Jones
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  4. | コメント:2

今日の一枚(123)

Album: Dualism
Artist: Textures
Genres: Progressive Metal, Extreme Metal

dualism.jpg


2001年にオランダで結成されたプログレッシブ・デスメタルバンドの4th。2011年作。
ボーカルがDaniel de Jonghに変わった新体制での1枚目ですが、
邪悪なグロウルと伸びのある艶やかなクリーンも綺麗に決まっていて、適任だと思います。
レーベルも、この系統のバンドでは大手と言えるNuclear Blastからの発売で、
これからの活躍に期待されているバンドであることが窺えます。
以前紹介したメシュガーのような怪奇さはありませんが(笑)このバンドもやはり
変態的と呼ばれたがっているに違いない変拍子の嵐が怒涛の如く訪れます。
Peripheryとかが同系統のバンドと言えるかとは思いますが、
メロディの綺麗さと、スラッシュ・メタルにも通じるリフの刻み方なんかでは、
(特に#7Singularityの低音リフはカッコいいですね!自然に体が動き出します)
こちらの方が個人的には好みです。メタル・コア色もメロディアスなパートの至る所に感じますが、
どちらかというとスラッシュ寄りで、あまりその色は濃くありません。
かといってキーボードは古典的プログレの香りがするような
(Opethのような)感じかというとそうでもなく、あくまでもテクニカルなパートのバックで
柔らかく鳴っている感じで、耳に刺さらない一種アンビエントのような、
ウォームな音を作り上げています。クリーンが主体となっている#5Consonant Hemispheresの
メロディの美しさは特筆に値すると思います。
インスト曲の#6Burning The Midnight Oilでは、激しいパートと、それとは対照的な
オルタナっぽい枯れた、耽美的なスタティックなパートとの対比が楽しいです。
キラキラとしたメロディックさと、テクニカルなリズムの生み出す張りつめた緊張感、
スラッシュ・メタルの疾走感や独特の重いグルーブ、心地の良いリフレインを生み出すキーボード、
クリーンでもデスでも、パワフルでありながらも金属的でありすぎずエモーショナルな熱を感じる
ボーカル、と聴きやすい要素が適度に詰められています。
Djentのムーヴメントに確実に一石を投じた作品です。
現代型の良質なプログレメタルです。

Sanguine Draws the Oath

Consonant Hemispheres

Singularity

Minor Earth, Major Skies

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  1. 2013/03/23(土) 00:09:50|
  2. Textures
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今日の一枚(122)

Album: この声
Artist: 高橋優
Genres: Pops, Folk Rock

この声


秋田県横手市出身のシンガーソングライター。1983年生まれ。2012年作のメジャー2nd。
彼の存在を知ったのはメジャーデビュー前なのですが、中高生の時から普段よく聴いている
TOKYO FMのSchool Of Lock!という番組内ででした。受験期のとある夏の日です。
どういう内容だったかは忘れてしまいましたが、強烈な社会風刺に満ちた歌詞を、
激情的で個性的なボーカルでまくしたてるように歌いながら、
アコギを掻き鳴らす彼の曲を聴いて強烈な印象を受けました。
CDを買うようになったのは大学に入って時間ができてからからのことです。
インディーズ期のアルバムである「僕らの平成ロックンロール」での、皮肉と社会の理不尽への怒りに
満ちた曲たちと、前作の「リアルタイム・シンガーソングライター」における
未来への希望や励ましをあくまで前向きに歌おうという(かの震災に無関係ではないであろう)
曲たちが、あくまでシンプルなコード進行と、彼の音楽の命である美しいメロディはそのままに
よく融合して、新たなステージに達していると思います。
かつての70s的なフォーク・ミュージックとも、歌謡曲ともネオアコともつかぬ
プロテスト・ソングとしての魅力が彼の楽曲にあるのは、確実にアレンジの良さがあると思います。
インタープレイでの平畑徹也のキーボード(#5気ままラブソング)や、
この手のシンプルなロックンロールには不似合いになりがちな
ストリングス・アレンジを効果的に用いていたりと、
吉田佳史(ex.TRICERATOPS)や高間有一(GRiP)を初めとする
リズム隊のタイトな演奏も相まって、「モダン」なフォーク・ロックとも言うべき
繊細な音で、彼の内面的な世界観にどっぷりと嵌れるように工夫が凝らされています。
ともすれば、ロック・ミュージックは、若者が格好付けるために聴く
お洒落な「ファッション」の一部になりかけてしまうものだと思いますが、
彼の曲を聴くと、カウンター・カルチャーとしての、プロテスト・ソングとしての
フォーク、ロックの素晴らしさが復活していくのを目の当たりにするようで、
心が洗われるような気持ちになります。
日常のふとした瞬間の思いを、意見を、怒りや悲しみを歌にして歌うという、
混迷を極めている現代にこそ必要とされるべき音楽だと、強くそう思います。
これからも追いかけていきたいです。

序曲~蛍

誰がために鐘は鳴る

気ままラブソング

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  1. 2013/03/22(金) 23:13:35|
  2. 高橋優
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今日の一枚(121)

Album: Stuff
Artist: Stuff
Genres: Fusion, Jazz, Funk

stuff.jpg


1970年代から80年代初頭にかけて活躍したニューヨーク出身の伝説のファンク・フュージョンバンド。
Steve Gadd(Ds,言うまでもないドラムの神様)や
Eric Gale(G,Motownを初めとして無数のセッションに参加してきた)を初めとする当代きっての
スタジオ・ミュージシャンたちが集まって結成されたセッションバンドです。
Richard Tee(Key)がFender Rhodesから生み出すメロウで洗練された旋律に、
Ericのエモーショナルなリードとグルーヴ感に満ち満ちたバッキング、
そしてSteve GaddとChris Parker(ex. Brecker Brothers)のツインドラムが
叩き出すタイトでありながらも芯のしっかりとした、どっしりとしたへヴィ―なグルーブ。
R&Bともフュージョンともファンクともソウルともつかない、
彼らにしか作り出せない、うねりのある個性的な音像を聴かせてくれます。
ともするとテクニック偏重の音楽となりがちなフュージョンの中でも、
彼らの曲は非常にシンプルで、特別にテクニカルな速弾きや複雑なリズム、曲構成を
演奏するというよりは、もっとプリミティブな空間にいるバンドだと、私は思います。
であるからこそ、洗練された音色の中にも、どことなくサザン・ソウルにも通じる
アーシーな香りを匂わせているのだと思います。間違いなくそのスピリットを感じます。
というわけで、本盤はフュージョンの好きな方は勿論ですが、
70sのR&Bが好きな方にもきっと響く作品だと思います。
#1Footsのような、ミドル・テンポのファンキーなリズムに、ブルース色の強いツイン・ギターが
絡んでいくという緩やかなファンク・グルーブを感じさせるものから、
繊細なシンバル・ワークと太いベースラインに、ハモンドっぽいフェイザーのかかった
音色のキーボードが印象的な、バラードの#2My Sweetness、
一転してソリッドなリズムとキメの連続が心地よいドライブ感を生み出す
#3(Do You)Want Some Of This、
ジャジーで饒舌なキーボードと、カッティングの心地よいリズム・ギター、
弾きすぎないギリギリの音数で泣きを見せるリードがクールで都会的な#8Happy Farmsと、
インストゥルメンタルの作品の中でも屈指の重厚さを湛えたグルーブを楽しめる
「極上」のフュージョン・ミュージック。


Foots

My Sweetness

(Do You) Want Some of This

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  1. 2013/03/21(木) 22:43:26|
  2. Stuff
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分子遺伝学・腫瘍医学メモ

【enhancer element】
enhancer elementは、真核生物のセントラル・ドグマにおいて、
遺伝子発現の調節に関わるシス因子とトランス因子の内、シス因子に属する。
エンハンサーのDNA領域には、転写促進因子(アクチベータ)が結合する。エンハンサーに結合した転写促進因子は、DNAをループ状にして、RNAポリメラーゼⅡと転写基本因子を引き寄せる。介在因子という大型のタンパク複合体が、仲介して転写促進因子と結合することにより、エンハンサー領域から離れた場所にある遺伝子を活性化することができる。

【promoter region】
promotor regionもシス因子の一つで、転写基本因子が結合するDNA領域のことを指す。転写基本因子は、RNAポリメラーゼを正しい位置に配置し、DNA二重鎖を解いて鋳型鎖を露出させ、ポリメラーゼを起動して転写を開始させる。
転写開始部位の約25塩基上流にあるTATAボックスには、転写基本因子のTFⅡDが結合することにより、DNAの局所的な歪みを生じ、他の転写基本因子タンパクが引き寄せられる。これによりRNAポリメラーゼと共に転写開始複合体を形成する。転写基本因子TFⅡHは、RNAポリメラーゼの尾部をリン酸化する。このため転写因子複合体は解離し、転写が開始される。

【5'UTR】
5' 非翻訳領域(five prime untranslated region)は、
成熟mRNA のコーディング領域の上流にあるタンパク質に翻訳されない領域を指す。
5' 非翻訳領域は転写開始点から始まり開始コドンの一つ手前の塩基で終了し、タンパク質発現を調節する部位を含んでいる。
【3’UTR】
3'非翻訳領域は、成熟mRNA のコーディング領域の下流にあるタンパク質に翻訳されない領域を指す。
3'非翻訳領域にはmRNA の安定性やタンパク質の翻訳を調節している幾つかの標的(認識)部位が存在している。
【exon, intron】
真核生物の遺伝子の中で、転写されてmRNAとなり、発現する部分をエキソンexonといい、タンパク質のアミノ酸配列を指令する。
真核生物の遺伝子の中で、非翻訳領域であり、RNAに一旦転写されるがmatured mRNAができる際にスプライシングによって取り除かれる領域をイントロンintronという。

【open reading frame】
open reading frameとは、DNA またはRNA 配列をアミノ酸に翻訳した場合に終止コドンを含まない読み取り枠(Reading Frame)
がタンパク質に翻訳される可能性がある塩基配列を指す。
具体的には、終止コドンに中断されず100個以上のコドンが続く塩基配列をopen reading frameという。

【遺伝カウンセリングと早期発症型アルツハイマー病】
早期発症型アルツハイマー病(EOFAD)は常染色体優性の遺伝形式をとる。発症年齢は通常40歳代から50歳代前半であり、 一般集団における早期発症型ADの頻度は10万人あたり41.2人である。 これら早期発症型AD患者の61%で家族歴が陽性であり、13%が常染色体優性遺伝形式の厳しい基準(すなわち、3世代に罹患者が存在すること)を満たしている。認知症に関する3世代に渡る家族歴を注意深く聴取すべきであり、分子遺伝学的検査により、 PSEN1 遺伝子、PSEN2遺伝子、APP遺伝子の変異を調べることになる。
ただ、アルツハイマー型認知症に対しては近年治療薬の開発によって薬物治療が主に行われるようになってきたが、現在のところ根本的治療薬は見つかっていないため、カウンセリングの結果EOFADのリスクが高いことが判明しても、講じる対策が想定出来ないため、クライントの家族間での話し合いの結果、遺伝カウンセリングを行うかどうか決定する必要がある。

【SNPとゲノムワイド関連解析】
一塩基多型SNPとは、生物のゲノムの塩基配列のうち、一つの塩基が多型を示すこと。
ゲノムワイド関連解析(GWAS)でとは、数十万箇所のSNPを網羅的に解析することで、疾患の素因となる遺伝子を見付け出すことをいう。健康な群と疾患をもつ患者群の2群を作った後、血液を集め、DNAを精製する。このDNAを用いて通常50万ヶ所以上のSNPの遺伝子型を決定し、2群間で遺伝子型の頻度が異なるSNPを明らかにする。これにより、任意の疾患を持つ人で、有意に高頻度なDNA多型を見付け出すことができる。

【Ras遺伝子の発見過程】
低分子GTP結合タンパク質の一種で、転写や細胞増殖、細胞の運動性の獲得のほか、細胞死の抑制などに関わるRasタンパク質をコードするRas遺伝子は、もともとレトロウイルスの1つであるマウス肉腫ウイルス(MSV)の癌遺伝子として同定された。
1980年代にロバート・A・ワインバーグらの研究者グループは、
マウスの正常細胞にヒトの膀胱癌細胞のDNAを取り込ませてがんを作り、そのマウスのがん細胞に紛れ込んだヒトDNAを取り出すことによってヒトの癌細胞からRas遺伝子を同定することに成功した。

【X染色体の不活化】
雌のX染色体は基本的には不活性化されるように設定されているが、常に1つのX染色体だけが活性を持つように選択されることを示している。X染色体上のX不活性化中心(X inacivation center, XIC)と呼ばれる塩基配列が、X染色体の不活性化を制御する。想定されているブロッキング因子はXICの内部配列に結合するものと予測されている。X染色体上にXICが存在すれば、X染色体の不活性化が起きる。
XICが常染色体上に転座した場合、その常染色体が不活性化され、XICを失ったX染色体は不活性化されない。XICは、X染色体の不活性化に関係するXistとTsixの2つの非翻訳性RNA遺伝子を含んでいる。XICはさらに既知および未知の制御タンパク質との結合部位を含む。
Xist(X-inactive specific transcript)遺伝子は長大な非翻訳性RNAをコードしており、それが転写されるX染色体の特異的不活性化に関与する。不活性なX染色体(Xi)はXist RNAによって包まれており、活性を持つXaは包まれていない。Xist遺伝子はXiから発現する遺伝子であり、Xaでは発現しない。Xist遺伝子を欠くX染色体は不活性化されることはない。

不活性化が起きる前には、2本のX染色体の双方がXist RNAをわずかに転写している。不活性化プロセスが進むにつれ、Xaとなる染色体はXist RNAの転写を止め、一方Xiとなる染色体はXist RNAの転写を劇的に増加させる。Xiとなる染色体上でXist RNAはXIC領域から他の部分に広がる。Xiにある遺伝子の抑制はXist RNAによるコーティングの直後に起きる。

Tsix遺伝子は、Xistと同様に長大な非翻訳性RNAをコードしている。Tsix RNAはXistに対する相補鎖(アンチセンスRNA)として転写される。すなわち、TsixはXistを抑える制御因子であり、Tsixの発現を欠きXistが高発現するX染色体は正常なものより不活性化されやすい。
X染色体の不活性化が始まると、将来のXiはTsix RNAの転写を止め、一方、将来のXaはTsix RNAの転写を数日間にわたって続ける。

三毛猫のまだら模様はX染色体の不活性化の目に見える例である。毛色の「黒色」と「茶色」はX染色体上の対立遺伝子によって決定される。2本のX染色体の片方が不活性化される。不活性化されなかった遺伝子が発現し、毛色は黒色もしくは茶色となる。体表の部分によって不活性化されるX染色体が異なる「モザイク」状態になるので、黒色と茶色のまだら模様となる。

【KudonのTwo Hit Theory】
KnudsonのTwo Hit Theoryに従えば、癌抑制遺伝子が両アリルで欠失した場合に癌が発症する。原因遺伝子の一つにgeneticな変異があれば、もう一つのアリルで染色体欠失、DNAのメチル化やアセチル化などによるエピジェネティックな変異、或いは異常な組み換えが生じることなどによる体細胞変異somatic mutationが発生し、高い確率で癌を生じる。これをLoss Of Heterozygosityという。

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  1. 2013/03/20(水) 16:27:25|
  2. 分子遺伝学・腫瘍学
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今日の一枚(120)

Album: Dos
Artist: Michael Fakesch
Genres: Electronica, Techno

dos.jpg


ドイツのRosenheimで1996年に結成されたテクノユニット、Funkstörung(ファンクストラング)
のメンバーであるMike Fakesch(1975年生まれ)によるソロ・アルバム。
2007年作。オウテカ等の90年代のテクノ・ミュージックに影響を受けた、
調性や拍子といった概念に縛られない現代音楽的な、打ち込みによる変化に富んだリズムや、
独特なハーモニーの組み立て方を見せながらも、意外にもポップで聴きやすい部分も持ち合わせていて、
なかなか不思議な音を作り出しています。
テクノやアンビエント、エレクトロニカといったジャンルにはあまり詳しくなく、
本作も偶然地元の中古屋の500円セールで、ジャケットに惹かれて購入したものですが、
後で調べてみると、ファンクストラングの作品群は、ジャケットのアートにとても凝っているらしく、
彼らの魅力として挙げられることも多いと聞いて納得しました。
インストゥルメンタル・ミュージックとしてのテクノのイメージを私は持っていますが、
本作には、ボーカルが結構きちんとメロディを歌っていたり、コーラスを入れてきていたりして、
さらに#2Sodaや、#4Complicatedは、デジタル・ビートがまるでファンクやソウルに近いような
バック・ビートの効いたへヴィ―なグルーブを作り出し、これにキャッチ―なメロディが
よく絡んでいるので、無国籍的なデジタル・サウンドを用いて、「有機的」なグルーブを作り出す、
という非常に面白い作品だと私は感じました。
かと思えば、#7I Want Itのようにヒップ・ホップの影響を強く感じさせる、重低音の効いた
ライムに載せてビートを切っていきながら、そこにエレクトロニカ的な打ち込みを重ねていく手法の、
ファンクストラング後期によく見受けられるような楽曲も勿論入っています。
聴いているうちに、この作品にファンクやR&Bを感じるのは、
ベース音の処理の仕方が原因だと感じます。ベースラインをよく聴いてみると、
#9Give It To Meなんかは完全にファンクのゴリゴリしたベースや、ワウのかかったような音色の
処理がなされたキーボードが用いられていたりしますから、明らかに意識してやっているのでしょう。
グルーブは、人の演奏というフィジカルなものによってしか生み出されない、などとということはなく、
どんな音楽ジャンルでも共通して生まれて来得る、ということを強く実感させられます。

Soda

Complicated

I Want It

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  1. 2013/03/20(水) 14:38:47|
  2. Michael Fakesch
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今日の一枚(119)

Album: Nightwalker
Artist:Gino Vannelli
Genres: Progressive Rock, AOR, Soft Rock

nightwalker.jpg


1952年生まれのイタリア系カナダ人のシンガーソングライター。ケベック州モントリオール出身。
1981年作。当時はいわゆるAOR系のシンガーとして名を馳せていた彼ですが、
実際に作品を聴いてみると、単なるAORという音楽性からはかなりかけ離れたものとなっています。
これは、彼の兄でありアレンジャーのJoe Vannelli(Key)による働きが大きいと考えて良いと思います。
緻密な打ち込みによるストリングスアレンジによって、(当時はポリフォニック・シンセサイザーを
用いて、従来単音楽器であったシンセサイザーが和音楽器となった時期に当たります。
この技術的な進歩は、クロスオーバーやプログレなど、数多くの音楽の演奏様式に影響を与えています)
幻想的で、よりドラマティックなサウンドスケープを作り上げていきました。
ポップで洒脱なロック路線のもの(Black Carsなど)から、
本作のようなプログレ色の強い前衛性を感じさせる作品まで、良質なソフト・ロックを生み出しています。
ドラムスはあのVennie Colaiutaが叩いており、ベースはNeil Stubenhausという世界的にも
最も多忙かつ最強鉄壁のリズム隊が生み出す、この複雑極まりない、
緊張感の張りつめたハードで疾風怒濤の如き演奏が(AORのシンガーの作品としては最高レベルの演奏が)
#2Seek And You Will Findや#5Santa Rosaなどの曲たちで聴くことができます。
この曲だけ聴いたら完全にプログレッシブ・ロックのアルバムですね!
カリウタの残した数多い演奏の中でも、本作はノリに乗っていて大好きなものの一つです。
こういったハードな演奏の楽曲が楽しめるのも本作の大きな魅力なのですが、
やはり本作が名盤なのは、Gino自身のソウルフルで非常に音域の広く正確な
ボーカリゼーションがあるからこそであり、それは#3Put The Weight On My Shouldersや、
#8Sallyのようなメロディの美しく透き通ったバラードにこそ現れると思います。
全米6位のヒットとなった#6Living Inside Myselfは彼の楽曲の中でも有名作で、
ここでも彼のボーカルのポテンシャルが完璧に発揮されています。
次から次へとやってくる転調を軽々と乗り越え、正確無比な「演奏」を聴かせてくれます。
個人的に好みなのは、あのファンク・グルーブに近い、うねるようなリズムが心地よい、
#7Stay With Meです。ベースの動き方も素晴らしいし、なによりトーンが好みすぎます。
勿論朗々とした歌唱も良いですし、スネア連打のへヴィ―さがもう堪りませんね……
Steely Danの傑作群と比較しても負けず劣らずの大傑作だと私は確信しています。
プログレッシブ・ロックの様式美とソフト・ロックの洗練された美しさが
最高のレベルで溶け合った、クロスオーバー・ミュージックの一つの到達点。

Nightwalker

Seek And You Will Find

Santa Rosa

Stay With Me

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  1. 2013/03/19(火) 23:38:53|
  2. Gino Vannelli
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今日の一枚(118)

Album: Home Ground
Artist: 堀込高樹
Genres: Pops, AOR

home ground


兄弟である堀込高樹と堀込泰行の二人によって結成されたポップス/AORユニット、
キリンジの兄、高樹によるソロ・プロジェクトの1st。2005年作。
キリンジでは約半分の曲の作曲とギターを担当し、あまりリード・ボーカルを取ることは
なかったのですが、本作ではキリンジでの鼻に抜けた独特なトーンや、繊細なファルセットも勿論ですが、
普段とは異なり軽快で爽やかなトーンで歌う曲も多いです。
日本語の響きが美しく、かつ難解な歌詞や、しばしば変態的と称される倒錯的な
世界観が耽美的で素晴らしいと思います。
ドナルド・フェイゲンの影響を強く感じるコード進行の変態さも個性的で洒脱ですね。
不穏なキーボードのイントロから始まり、歌謡的でありながらもメロウなサビへと繋がっていく
如何にもキリンジの高樹曲という感じのAOR#2冬来たりなば は、ジャジーなコーラスと
緩めなビート感が心地よい良曲です。
タムのへヴィ―なリズムとホーン、柔らかく音を切るカッティングがファンキーな
#4パレードはなぜ急ぐ では、Steely Dan的なソフト・ロックサウンドとの融合が綺麗に行われています。
スペイシーな音像と、意味深で夢の中の心象風景をそのまま切り取ったかのような歌詞、
ファルセットの歌唱が噛みあって不気味な、でも繊細なハーモニーを作り出すコーラス・ワークが
綺麗な対照をなす#5Soft Focus、自身によるブルージーなソロと、
コーラスで参加している原田郁子(クラムボン)の良く映える#6恋のマネーロンダリング
(これまたなんとも皮肉な曲名ですが)のような曲は、正にキリンジの路線をさらに
深めて、よりアダルトで刹那的な印象を与えます。
日本語による良質な現代型のポップスとは何か、という問いに、
きっと本作は、明快な答えの一つを与えてくれると思います。

冬来たりなば

Soft Focus

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  1. 2013/03/19(火) 21:48:16|
  2. 堀込高樹
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今日の一枚(117)

Album: Instant Funk
Artist: Instant Funk
Genres: Funk, Soul, Disco

instant funk

1975年にアメリカ、ペンシルベニア州フィラデルフィアで結成されたファンクバンド、
ボーカルインストゥルメンタル・グループの2nd。
1979年作。偶然某中古CDショップでリマスター盤を発見したのですが、
このバンドはグルーヴィーですね。調べてみると、80sにはラジオで高い人気を誇っていたらしく、
主によくFMで掛けられていたグループのようです。
というより、70s後半~80sにかけて、フリーソウルの流れを汲んで、後のディスコ・ミュージックや
ハウス・ミュージックの源流ともなった重要なレーベルである、サルソウル(サルサ・ソウルの略)
に属していた名プロデューサー、Bunny Siglerのバックバンドとして
活動していたメンバーで構成されています。
真っ黒なファンクというよりは、エレクトロ/ディスコミュージックよりのキラキラとした音像で、
典型的なパターン・ミュージックの体裁をなしています。
メロディラインをきちんと歌うというよりは、ボーカルは主にリズム楽器的に、
あるいはコーラスでコード感を強調するようにして使われている印象です。
ノリノリでダンサブルな曲が多く収録されています。
ヒップ・ホップの元ネタとしても良く使われる#1I Got My Mind Made Up(You Can Get It Girl)、
ベースラインのノリとカッティングのまろやかな切れ味が心地よく、
ファルセットがセクシーに響き渡るソウルフルな#2Cry、
Slyの影響が強く見受けられる、太いスラップがグルーブを創出し、
ローファイともサイケデリックとも取れる#7You Say You Want Me To Stay、
インスト・ナンバーの#5Wide World Of Sportsは、スリリングで滑らかで、饒舌なホーンセクションと、
フュージョンライクな軽いドラムスと、流麗なキーボードがEWFのインストを思わせます。
ダンス・ミュージックやディスコ・ミュージックが黒人音楽であるファンクから誕生していく、
その歴史的な瞬間が切り取られた80s流ファンク・ミュージックの教科書。


I Got My Mind Made Up(You Can Get It Girl)

Crying

Wide World Of Sports

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  1. 2013/03/19(火) 19:03:39|
  2. Instant Funk
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今日の一枚(116)

Album: Rise Of The Tyrant
Artist: Arch Enemy
Genres: Melodic Death Metal, Thrash Metal

rise of the tyrant


ギタリストのMichael Amottと、彼の弟であるChristopher Amott(G)の二人を中心として
1996年に結成されたスウェーデンのメロディック・デスメタルバンド。
2001年にボーカルのJohan Liivaが脱退して、Angela Gossowに変わってからの作品で、
Christopherが一時脱退したのち、復帰してすぐの時期の作品です。2007年作の7th。
マイケルのメロディアスなプレイ、重低音を鳴らすリフのスピード感と、
Yngwieばりのクラシカルな速弾きを見せるクリストファーのクサメロが北欧らしい湿り気を
感じさせて、タイトなDaniel Erlandsson(In Flamesなど)のリズムがぴったりと噛みあい、
ボーカルのアンジェラ嬢の、とても女性とは思えない圧倒的な声量の、
攻撃的で暴虐的なグロウルが(特にライブ・パフォーマンスが素晴らしい!悪魔が降臨しています!)
曲を無慈悲にかき回し、へヴィなグルーヴを作り出していきます。
前作のDoomsday Machineよりも、(これはリーダーMichael Amottの力によるものでしょうが)
キャッチ―で、湿り気のある叙情的なメロディに溢れていて、北欧のバンドらしさを感じます。
本作もそうですが、ヨハン時代のアルバムも、SHM-CDとして高音質盤が2011年にリマスターされて
再発していますが、リマスターの効果も良好で、よりベースの重みやギターの一音一音が
鮮明に聴こえるようになっています。
#1Blood On Your Handsは彼らの代表曲であり、このアルバムでも一際優れた楽曲だと思います。
アンジェラ加入後、ミドル・テンポの曲が多かったこともあり、ファンたちの間でも
評価が分かれましたが、今作では疾走する曲もしっかりと収録されており、
Megadethのような、疾走感溢れるスラッシュ・メタルと、
日本人ならば思わず悶絶してしまうようなギターのメロディアスなプレイの連続で、
デスメタルを初めて聴かれる方でもきっと楽しめる作品だと思います。
ボーカリゼーションも、ブルータルでありながらも、
ずっとエモーショナルなものとなり、本作で新たなステージに踏み出した感があります。
Arch Enemyの、ひいてはメロディック・デスメタルの史上最高の作品の一つだと信じて疑いません。

Blood On Your Hands さあ!Remember!!!!!!と絶唱しましょう!!!

Intermezzo Liberte
インスト曲です。このテーマのクサさは半端ないですね。演歌的な情感に近いものさえ感じます。

I Will Live Again

Nemesis(From The Album Doomsday Machine)
疾走曲の中では最も好きな曲の一つです。ブルータルなグロウルが堪らん!!!

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  1. 2013/03/16(土) 01:21:34|
  2. Arch Enemy
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今日の一枚(115)

Album: Scream Aim Fire
Artist: Bullet For My Valentine
Genres: Thrash Metal, Metal Core

scream aim fire


ウェールズ出身のスラッシュ・メタル、メタル・コアバンド。1998年結成。
BFMVとして活動を始めたのは2003年から。2008年発表の2nd。
ツイン・リードが滑らかに絡みながらメロディアスなリフを刻んでいくあたりは、
Iron Maidenを始めとするNWOBHMのようなへヴィ・メタルの古き良き部分を踏襲しつつも、
Matthew "Matt" Tuckの透き通った無垢なクリーンヴォイスと、
シャウトを効果的に織り交ぜたボーカル・スタイルはモダンなエモ(Emotional Punk)や
メタル・コアの影響も色濃く感じさせます。
(ボーカルのマットは喉を痛め、手術することとなってしまいました。
無事復帰されたようで、とてもホッとしました・・・・・デスヴォイスは、喉を傷める危険性と
常に隣り合わせです。
カラオケなど遊び半分で出そうとされない方がよいと思います
エッジヴォイスの練習の感覚を掴んだうえで、完璧なミックス・ヘッドの声帯閉鎖の
コントロールができることが前提であれば、喉を傷めにくいです。
とはいえ、常に危険は付きまといます。声楽家でも何でもない素人の発言です、ご参考ほどに。)
前作Poisonもなかなかの良作ですが、本作の方がメタル・ファンの受けは良いと思います。
アレンジも抜けがよく、ツイン・リードのトーンがよく分離されて聴こえますし、
ドコドコしたバス・ドラムの重厚な音色もよく一音一音が分離されていて聴きやすい!
(決して上手い方ではないと思いますが・・・スタジオ音源ならさほど気になりません。)
タイトル曲の#1Scream Aim Fire、#2Eye Of The Stormのスラッシーな展開で、
がっちり心を掴まれました。#5Disappearでのシャウトの用い方もクールですね。
この手のメタルコアのバンドはコアなメタラーにはあまり受けが良くないイメージがありますが、
これだけメタリックで攻撃的ならきっと受け入れられると思います。
特にJudasとかMetallicaみたいな元祖メタルなバンドに思い入れのある方であれば、
きっと彼らにもそれに近いスピリットを感じることができると思います。
3rdのFeverからは、よりモダン・へヴィネス(Post Slash,Groove Metal)
よりの音楽性へと変貌し、本作のようなキャッチ―さはなりを潜めて行きます。
やはり本作がアルバムとしての完成度ではずば抜けていると思います。
メタル・コア初心者の方、(自分もそうですけど)にもお勧めしたい
グッド・メロディーとグッド・リフの詰まった良作。

Scream Aim Fire

Eye Of The Storm

Disappear

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  1. 2013/03/15(金) 00:59:19|
  2. Bullet For My Valentine
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今日の一枚(114)

Album: Epiphany
Artist: Chaka Khan
Genres: R&B, Soul

epiphany.jpg


アメリカイリノイ州出身のシンガー。1953年生まれ。本作は新曲を多数含むベスト・アルバム。
1996年作。Aretha Flanklinと双璧をなすR&B系のシンガーのトップ・ランナーとして知られています。
元々はファンクバンドであるRufusのボーカリストとして1973年にデビューし、ソロデビューは1978年。
圧倒的な声量、驚異的なハイトーンと、ソウルフルで個性的なトーンを持つボーカルは、
R&Bやソウル、ディスコ・ミュージックは勿論のこと、ジャズ・ボーカルにもその才能を発揮しています。
2004年にはジャズ・スタンダードを歌ったClassikhanをリリースしたり、
2006年にはバンドとソロ(オリジナルアルバムFunk This)でグラミー賞を獲得するなど、
非常に息の長い活動をしています。現在でもそのライブ・パフォーマンスは衰えを知らず、
パワフルでラウドで、エモーショナルなボーカルスタイルから、
ジャジーでブレスリーな影のあるボーカルスタイルまで、
曲ごとに最適な変幻自在のトーン・コントロールを見せ、かつどの曲も、魂を揺さぶって歌っているという
一貫したソウルを感じる、古今東西最高の歌手の一人だと思います。
本作はベストアルバムの体をなしていますが、実際には映画のサントラに収録されていた
#7Love Me Still,ソロ名義の新曲であるIt Ain't Easy Lovin' Me、#13Never Miss The Water
など、7曲も新曲が含まれているので、実質はオリジナルアルバムと捉えてよいと思います。
これぞDavid Fosterというべき珠玉のバラード#10Through The Fire、
デビュー・アルバム(Chaka,1978)に収録されている、ストリングスの導入部と
ダンサブルなリズムに、強烈な分厚さの声量でI'm Every Womanと反復することにより、
うねるようなファンクネスを感じさせる#6I'm Every Womanは、彼女のポテンシャルの
黒い部分がが如何なく発揮されています。
新曲のNever Miss Thes Waterのように当時流行のアシッド・ジャズ路線のものや、
最大のヒット作である#4I Feel For Youも勿論収録されています。
David Gamsonプロデュースの#17It Ain't Easy Lovin' Me(日本盤のみ収録)のような
ファンキーなアッパーチューンが個人的には大嵌りですね!
彼女のボーカルは、私にとってソウルフルなボーカルの、永遠の教科書のような存在です。

I'm Every Woman

Through The Fire

It Ain't Easy Lovin' Me

Never Miss The Water

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  1. 2013/03/14(木) 15:26:22|
  2. Chaka Khan
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今日の一枚(113)

Album: Musically Adrift
Artist: Samuel Purdey
Genres: Soft Rock, AOR

Musically Adrift


元Jamiroquaiのメンバーであった、マルチプレーヤーのBarney HurleyとGavin Doddsによる
アシッド・ジャズ、ソフトロック、ブルー・アイドソウルユニット。
もともと本作は1997年に彼らが初めて発表したシングルのLucky Radioがあまりヒットしなかったため、
アルバムさえ発表されることなく解散を余儀なくされたという不運なユニットなのですが、
日本ではこの曲が非常に評価され、1999年に日本のレーベル(Quattro/Good Sounds)から
発売されるという、なんともBig In Japanなアーティストです。
(こういうミュージシャンは日本に沢山いますね。
世界的に見ても、日本はメロディック・ロックやAORが最も熱烈に受容された国の一つです。)
本盤は2009年に本人たちによってリマスターされ、再発されています。
Steely Danフリークである彼ららしく、正にあのサウンドに影響を受けた洒脱で繊細なアレンジと、
Jamiroquaiを通過することによって生まれたダンサブルで底抜けなく明るい享楽的でありつつも
ジャジーなサウンドを楽しめます。
ギタリストには本家Steely DanのElliott Randallを起用しており、
#7One Of A Kindや#8Santa Rosa (Extended version)では
流麗でトレブリーな音色から練りに練られたグル―ヴィーなソロを楽しめます。
#2Valerie (Extended version)でのバッキングも、限られた音数の中でスペイシーなプレイをしています。
コーラスでの音の重ね方もセンス抜群で、いかにもブルー・アイド・ソウル的な適度に力の抜けた
フリー・ソウルへの憧憬を感じる、後期Doobie Brothersを思わせるものになっています。
ブラス・セクションの緊張感のある配置も何ともゴージャスですね。
発売当時イギリス本国ではあまり評価されなかったため、
現在でも彼らの存在を知る英国人は少ないと思います。
ただ00年代に入ってからTalcやThe Feeling,Phoenix,Smooth Reunionなど、
いわゆるNeo AOR路線のミュージシャンが少しずつ出てきたため、
今こそ2ndアルバムを制作してほしい(すれば売れるとおもうんだけどなぁ)時期だと思います。
テンポ・チェンジも多く、コード進行も複雑なものが多いため、
数あるAORのバンドの中でも、彼らの曲は演奏難度のかなり高いものだと思います。
ジャジーなソフトロックというと、ジャズ・ファンクの影響が色濃い
(ダンス・ミュージック寄りの)ポップスが大半を占めていた当時のバンドたちの中で、
アメリカン・プログレ・ハードでもコマーシャルなAORでもなく、
彼らの楽曲は、ソウル(特に70年代のブルー・アイド・ソウル)に起源を持っているという点で、
非常に稀有な例だと思います。
もっと彼らの作品を聴きたい!聴きたくて仕方がないです・・・・・・
90年代のソフト・ロックを代表する隠れた大名盤。

Whatever I Do

Lucky Radio アルバム中で最もJamiroquaiライクな一曲です。コーラスが神々しい!
こういうのをオシャレな曲というべきですね!

Santa Rosa

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  1. 2013/03/14(木) 01:53:47|
  2. Samuel Purdey
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今日の一枚(112)

Album: 内視鏡世界
Artist: 五人一首
Genres: Progressive Metal

内視鏡世界


1996年結成の日本のプログレッシブ・デスメタルバンドの2nd。
活動期間は長いのですが、未だにアルバムは2枚しか発表されていません。
日本盤は、新宿にあるDisk Unionという有名な中古CDショップ(東京に行く時はよく覘いていますが)
からのリリースとなっています。輸入盤は、百田真史(Key)によるリマスタリングが施されたもので、
音質もより良好となっているらしく、お値段も安いのでお勧めです。
某動画サイトでニコニコしている時に偶然発見したバンドですが、
日本のバンドでいそうでいなかった、テクニカル指向なデスメタルに、
和風のアレンジを施すというバンドで、とにかくメンバーの演奏テクニックが半端ではありません。
もちろん変拍子好きには堪らないひねくれ放題の奇怪なリズムに、
非常に正確で粒の立ったへヴィなリフと、意外にもクサく、エモーショナルで
泣きまくりのソロのコントラストがクールな高橋史男のギター、
プログレ臭しまくりの、時にスペイシーで時に激情的な、力強いタッチの百田真史のキーボードが
やはりこのバンドの音を作り出す中心となって、まるでかのDream Theaterのような
緻密で、スコアレベルで練りに練られたアンサンブルの応酬を楽しむことができます。
松岡あの字(Vo,G)の、クリーン時には陰陽座の黒猫氏のような艶やかで伸びのある
ハイトーン・ボーカルから、デスヴォイスでは低音の強調された、通常のグロウルとか
スクリームともまた少し違う(その中間的な)個性的なデスヴォイスを聴かせます。
というかこれ歌いながらギター弾けるとか凄すぎますね・・・・・・
歌詞の厨二病満載な歌詞も、(ほとんど聴き取れませんが)歌詞カード見ながら聴くと、
より一層この奇怪で不気味で不穏な世界観に浸ることができます。
国産のプログレバンドは、最近なかなか好みのバンドが見つけられていなかったのですが、
偶然このバンドに出会えて本当にラッキーでした。
テクニカルなメタルが好きな方、DTを始めとするプログレメタル好きの方、
陰陽座や六合、古いところでは人間椅子などが好きな方はきっと嵌ると思います。
是非とももっと世界で活躍してほしい(十分できる)バンドの一つだと思います。

無礙の人 古典的なプログレに近い曲構成で、ギターソロのカッコよさは随一です!

人媒花 クリーンでの歌唱が映える一曲です。割と聴きやすい(?)

赫い記憶 無い無いの連呼が怖すぎます・・・・・・悪夢見そうです。カッコいいですけど。

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  1. 2013/03/13(水) 17:46:06|
  2. 五人一首
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今日の一枚(111)

Album: Whitney Houston
Artist: Whitney Houston
Genres: R&B,Pops

whitney houston


1963年アメリカニュージャージー州出身のシンガー。
2012年2月に薬物中毒のため浴槽内で窒息死しているところを発見されました。
彼女は、世界で最も多くのヒットを生み出した歌手の一人で、
アルバムが1億4,000万枚以上、シングルは5,000万枚以上の売り上げを残しています。
彼女のボーカリゼーションは確実にゴスペルに起源を持っています。
自身の名づけ親でもあるAretha Flanklinや、バック・コーラスを務めていたChaka Khanよりも、
(お二方もR&B界最高の歌手だと思いますが。因みに叔母さんはDionne Warwickだと言うから驚きです。どんな家系なんでしょうね、本当に!)さらに伸びやかで、立ち上がりの早く
かつ二人にはない、透明感のある声質は、ブラック・ミュージックは勿論ですが
どのような曲調のものでもよくマッチする、「万能の楽器」といっても差し支えないと思います。
特にパワフルで厚みのある高音域では、他を寄せ付けません。リズム感も完璧です。
プロデュースは、かのアリスタ・レコードの社長である敏腕Clive Davisが担当しています。
(関わったアーティストは、Janis Joplin, Miles Davis, Aretha Flanklin, Jennifer Hudson,
最近ではAlicia Keysなど他多数)正に折り紙つきですね。
Jermaine Jacksonとのデュエット曲である#8Take Good Care Of My Heartでの
抑え目の歌唱も素晴らしいですが、やはり彼女の高音域がキラキラと煌めく
#6How Will I Knowぐらいの音域が最もしっくり来るような気がします。
そういう意味では、バラードの#7All At Once,#9Greatest Love Of Allも、
ライブでは半音下げて歌われることも多いですが、レコードのバージョンの方が私は好きです。
現代でも、彼女の歌唱スタイルやライブ・パフォーマンスが与えた影響力は凄まじいものがあり、
Celine Dion, Mariah Carey, Jessica Simpson, Jennifer Hudsonなど、
現在活躍する女性ボーカリストの殆どがその影響を公言するほどです。
プロデュース、楽曲、アレンジ、演奏、歌唱の全てが完璧に噛みあって生まれた、
ポップスとしてのブラック・コンテンポラリーを代表する永遠の最高傑作。

How Will I Know

All At Once

Take Good Care Of My Heart

Greatest Love Of All

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  1. 2013/03/12(火) 23:26:30|
  2. Whitney Houston
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今日の一枚(110)

Album: DocumentaLy
Artist: サカナクション
Genres: Alternative Rock, Post Punk/New Wave

Documentaly.jpg


2005年に札幌市で、山口一郎(Vo,G)を中心に結成された日本のオルタナティブ・ロックバンド。
2007年デビュー。本作は2011年作の5th。
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2006 in EZOに、868組の中から選出されて出演するなど、
早くからその存在が注目されていました。三日月サンセットや白波トップウォーターといった曲が、
デビュー前からすでに演奏されていたことを考えると、メロディセンスの良さがよく解ります。
キラキラとしたシンセのバッキングは、かつて日本のニューウェーブを代表する存在であった
Yellow Magic Orchestraのようなポップネスを獲得しつつも、
Kraftwerkのような実験性の強い側面を見せます。
デビュー当時は、正直ここまでヒットするとは思っておらず驚きました。
(日本のロックのファンたちの間では勿論話題に上がっていましたが)
やはり、どれほど音をいじっても、メロディの綺麗で、ストレートで日本語の美しい
歌詞を書くバンドは生き残るという当たり前の真実を教えてくれます。
そういった意味で、山口氏の「やりたいこと」と、より多くのリスナーに聴いてもらうという大衆性の
間で、見事にバランスの取れているバンドだと思います。
ジャングル・ビートから始まり、クラブ・ミュージック寄りのシンセの音に、キャッチ―なメロディと
透明感のあるコーラスが重なる、といういかにも彼ららしい#2アイデンティティも佳曲ですが、
見えない世界に色を付ける声は僕だ、と高らかに実存を宣言する#8エンドレスは、
このアルバムの中でもかなり解釈の多様性が予想できる歌詞になっています。
ヒットシングルの#10バッハの旋律を夜に聴いたせいです。でも、
男女混成バンドならではの厚いコーラス・ワークを楽しめます。
サンプリングのセンスも素晴らしいですし、相変わらず捻くれたベースラインが
あくまで愚直なほどにスクエアなリズムの間を埋めていきます。
無機質でプラスティックのように透明な山口氏のボーカリゼーションが、
このアルバムの、サカナクションというバンドのトーンを決定づけているのです。
今月も新譜が発表されます。今度はとても楽しみです。
現代の日本が生み出した、10年代ロックのクロスオーバーの傑作。

アイデンティティ

エンドレス

バッハの旋律を夜に聴いたせいです。

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  1. 2013/03/12(火) 16:03:21|
  2. サカナクション
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今日の一枚(109)

Album: Blood Sugar Sex Magik
Artist: Red Hot Chili Peppers
Genres: Alternative Rock, Funk Rock

blood sugar sex magik


1983年にカリフォルニア州ロサンジェルスで、結成された
オルタナティブ・ロック、ファンク・ロックバンド。
日本では「ミクスチャー」と言われるタイプのバンドですが、基本的な音楽性は、
ファンクとヒップ・ホップという黒人音楽に起源を持っています。
恐ろしく手数の多いChad Smith(Dr)のへヴィでありながらもタイトでファンキーなリズムと、
Anthony Kiedis(Vo)の、歯切れの良いラップとボーカルのバランスが心地よく混ざり合って、
ファンクともパンクとも、メタルとも違う、RHCPにしかない個性的なグルーブを生み出しています。
Flea(B)の、あのLarry Grahamにも匹敵するような極太のスラップと、
ツーフィンガーによる非常に粒立ちの良い、絶妙にもたれかかった、
リズム感やリフのカッコ良さは、このバンドの最大の魅力といっても過言ではないと思います。
本作では、前作のMother's Milkよりも、スラップや速弾きを多用した
ファンク・メタル色は意図的に抑え、休符を意識させるようなタイム感で、
より「黒い」グルーブを生み出すことに集中しているようです。
個人的には、#2If You Have To Ask noのようなファンキーでありながらもテクニカルで、
John Frusciante(G)のJB'sばりのカッティングが作り出すグルーブと、
ラップのそれぞれが「音」と「音」、「声」と「声」の空間を心行くまで楽しめる音作りが最高ですね!
ブルース色の満載の泣きっぷりを見せたかと思えば、
乾いたカントリーを思わせるような哀愁のあるプレイを見せたり、
或いはJimi Hendrixのような、ワウを噛ませたファズっぽくサスティーンの長い歪みを鳴らしたりと、
これぞストラトキャスター!というべき、まさに良い意味で「枯れた」音色を、
一音一音を丁寧に聴かせようという意図がくみ取れるJohn Frusciante(G)のプレイも見事だと思います。
テクニック的な部分ではさほどのものでもないですが、
クリーンやクランチのサウンドで、薄っぺらい音にならず、芯のありつつ、
抜けの良いサウンドを作り出す音作りには感服します。
90年代以降のロックの、ブラック・ミュージックとの
クロスオーヴァ―路線を決定づけた非常に重要な作品だと思います。

If You Have To Ask

Give It Away

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  1. 2013/03/11(月) 15:38:24|
  2. Red Hot Chili Peppers
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今日の一枚(108)

Album: Travels
Artist: Pat Metheny Group
Genres: Fusion, Progressive Jazz

travels.jpg


アメリカミズーリ州リーズサミット出身、1954年生まれのジャズギタリスト。
ヴィブラフォン奏者のGary Burtonに才能を認められ、わずか18歳にして、数多くの
魑魅魍魎の変態達を生み出してきたバークレー音楽院(最高の褒め言葉)の講師を務めました。
デビュー作のBright Size Life(1975)では、Jaco Pastorius(B)が参加したりしています。
ボサ・ノヴァやサンバなどのブラジル音楽の影響を色濃く受けたヒット作である、
1987年のStill Lifeや、1989年のLetter From Homeといった
傑作を生み出したことで、一般にその存在がよく知られるようになったといえるでしょうか。
機材は、ホロウ・ボディのギターのフロント・ピックアップを基本的に使用しており、
Ibanezのシグネイチャーモデルや、Gibson ES-175といったギターを使用しています。
彼の音楽性は、大きく分けてトリオの時と、本作のようなPat Metheny Group(PMG)の時とで
結構異なっています。トリオの時にはジャズ色が強くスタティックな演奏、PMGではプログレ色や
テクニカル・フュージョン色の強いダイナミックな作風になることが多いです。
いずれにせよ、メロディはどの曲も美しく、カントリー色を少なからず感じる暖かなトーンが聴けます。
テクニック的にも飛びぬけており、細やかな理論に裏打ちされたジャズ系のスケールの
高速フルピッキングやスウィープ奏法などの速弾き技術も、頭一つとびぬけている感があります。
スライドの音使いの、フレットレスを用いているのに近い無音階的なフレーズや、
音程差の大きいフレーズには特筆すべきものがあります。
ギター・シンセを用いた丸みと粘りのある独特な音色も特徴的です。
本作は、PMGとして発表されたライブ・アルバムです。1982年に行われたライブ・ツアーの中から、
ベストテイクを集めたもので、81年に初めてアルバムOfframpでグラミー賞を受賞した直後の
若き日のパットの気鋭のプレイを、非常に高音質で楽しめるという、夢のような傑作です。
オリジナル・アルバムに収録されず、このライブ盤しか入っていない曲も多く、
(Disc1-5Straight on Red,#6Farmer's Trustなど)そういった意味でも、
是非手に入れておきたい一枚です。
サンバのリズムを基調としつつも、ところどころにプログレを感じる変拍子を、
全くの違和感なしに、これほどまでに心地よく聴かせるアレンジや構成力にはただただ驚嘆します。
大好きなギタリストの一人です。弾いているときの痛快な表情もカッコいいですね!

Straight In Red

Lorenzo

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  1. 2013/03/10(日) 23:24:04|
  2. Pat Metheny Group
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今日の一枚(107)

Album: The Dock Of The Bay
Artist: Otis Redding
Genres: Soul

The Dock Of The Bay


アメリカジョージア州ドーソン出身のソウルシンガー。1941年生まれ、1967年に飛行機事故で急逝。
本作は彼の死の3日前に録音されたもので、1968年作。Billboard週間ランキングで、
1位を獲得することとなりました。
生前に発表された曲では、ジェリー・バトラーとのI've Been Loving You Too Longや、
サザン・ソウルや、シカゴ・ブルースの優れたミュージシャンを数多く輩出した
名門スタックス・レコードの至宝であり、
当時の殆どのソウル・ミュージックの作品群でバッキングを務めた、
Stephen Lee Cropper(G,ex.Booker T. & the M.G.'s)との共作である、
Fa-Fa-Fa-Fa-Fa (Sad Song)などがヒット曲として知られています。
本作でも、#1(Sittin' On) The Dock of the Bayや、#3Let Me Come On Home、
#5Don't Mess With Cupidなど全編通じて、まるでガラスで出来た弦を弾いているかのような、
繊細でメロウなトーンのカッティングや、適度にジャリッとしたクランチ・サウンドで
ブルージーなソロをかましてくれます。
Donald "duck" Dunn(B, Motownを支えたJames Jamersonと並び称される、Stax Recordの黄金期
を築き上げた伝説的プレーヤー)の正確なパターン・プレイと強いピッキングから生み出される
58sのプレシジョン・ベースの太く躍動感溢れるグルーブ、
Al Jackson Jr.(Dr)のタメがあって、シンプルながらも重厚なノリのあるドラムス、
これら全てに、Otisの周りに汗を撒き散らすかのような野性的で、
強烈に熱気を帯びたソウルフルな「絶唱」が空間を支配して、
身体がグラつくようなグルーブが生まれます。
本作は後期Otisらしく、若干力の抜けたスタイルになっていますが、それもまた素晴らしい!
初めてOtisを聴かれる方であれば、むせ返るような会場のオーディエンスの熱気と一体感を楽しめる
ヒット曲のオン・パレード、Live In Europeの方から聴き始める方がいいかもしれませんね。
Otis Blueも、Immortalも、どの作品もソウルの巨人が残した足跡の大きさを教えてくれます。

(Sitting On)The Dock Of The Bay

Don't Mess With The Cupid

Let Me Come On Home

Respect(Live)

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  1. 2013/03/10(日) 21:43:59|
  2. Otis Redding
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今日の一枚(106)

Album: What's My Name?
Artist: 雅-Miyavi-
Genres: Alternative Rock,Visual-Kay

whats my name


1981年生まれの日本のギタリスト、シンガーソングライター。
ヴィジュアル系ロックバンドであるDué le quartzに加入し、一人で作詞作曲編曲をこなし、
2002年にソロデビュー。ソロ3rdシングルが発表された2005年あたりから、
アコースティック・ギターを使う機会が増えていき、スラップ奏法を初めとするよりパーカッシヴな
プレイスタイルを指向していくようになり、現在のスタイルを築き上げていきます。
エレキギターの場合でも、ピックは使わずに指で弾いています。
ソロデビューするまで、録音は宅録形式で行っており、一人でボーカル、ギター以外のパートの
打ち込みとアレンジも行っていました。
現在ではスタジオでのセッションで曲を練っていく方法へとシフトしています。
本作は2010年作のメジャー9thですが、録音は殆どがスタジオでの一発録りで収録されています。
ボーカル、ギター、ドラムスだけのパートで構成されており、ドラムスは
54-71(1995年結成の日本のハードコア/エクスペリメンタル・ミュージックバンド)の
Bobo(TK(ex凛として時雨)、くるり、フジファブリックのサポートでも知られる)が担当しています。
音数を極限まで絞り込んだギター・プレイと、ヒップホップに近いグルーブを生み出すリズムとシャウト。
とても日本人が作ったとは思えない作品だと思います。
特にアコギの洗練された鋼のようなトーンは、無駄なものが全て削ぎ落とされた
Jeff beckのGuitar Shopを思わせるような周到さです。
勿論テクニックも非常に優れてはいますが、やはり彼のギター・プレイの魅力は、トーンもそうですが、
音と音の隙間をどうやって作り出すか(=グルーブを作り出すか)ということこそあると思います。
本来、曲のコード感を提示し、リズムを作り出すことで「音の隙間を埋めつつ」、
グルーブを下から支えるようにして作り出す役割を担うベースを敢えて用いずに録音していることこそが、
このアルバムで彼がやりたかったことを端的に物語っています。
海外でも、和のテイストを強調したファッションや、和太鼓にタップなどを導入した
個性的なライブ・パフォーマンスで、彼の活動は注目を集めているようです。
現代の新たなギター・ヒーローとして、かつてのLoudnessの高崎晃の如く、
世界に大きな衝撃を与える人物となっていく日を心から楽しみにしています。

What's My Name?

Torture

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  1. 2013/03/09(土) 00:23:49|
  2. 雅-Miyavi-
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今日の一枚(105)

Album: Obzen
Artist: Meshuggah
Genres: Thrash Metal, Progressive Metal

Obzen.jpg


1987年結成のスウェーデンのテクニカル・デスメタル/プログレッシブ・デスメタルバンド。
2008年作の6th。日本では、2008年にLOUDPARKに出演しており、好評を博しています。
疾走する低音リフとシャウトを多用する、スラッシュメタル的な音楽性から、
古典的プログレのような大作主義の作品、ノイズ・ミュージックからの影響を受けかつ、
現代音楽的なアプローチを見せたり、ポリリズムをそこかしこに用いた、
複雑かつ精密機械のように正確なリズムなど、非常に個性的で変態的な音像を作り上げます。
最近のライブでは、立体音響へのこだわりを見せているようで、
各楽器の音をキャビネットからマイクに取るのではなく直接にワイヤレス・システムを用いてPAへと
送り、そこから各楽器を空間に定位する(ギターは空間的に上、ベースは空間的に下からというように)
という非常に特徴的な音づくりを行っているようです。
他の数ある北欧メタルのバンドのような湿り気のある叙情的なサウンドはその影もなく、
(というか曲全体を支配するテーマとなるはずのフックも、
それを作るメロディすらも殆どないという)非常に無国籍的でエクスペリメンタルな音像です。
不穏な音色で奇妙なフレーズを弾く2本の8弦ギター、一人でいくつものポリリズムを叩く
人間リズムマシーン、Tomas Haake(Modern Drummer magazine's 2008 Readers' Pollの
メタル部門で一位を獲得しています)、歪ませたうねりの強く太いベースライン、
全てが噛みあって、何度も聴くうちに、不思議なグルーブで頭が一杯になるアルバムです。
是非一度ライブに行ってみたいバンドの一つです。頭おかしくなりそうですけど(笑)

Bleed

Obzen

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  1. 2013/03/08(金) 15:36:39|
  2. Meshuggah
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  4. | コメント:2

今日の一枚(104)

Album: Django
Artist: Modern Jazz Quartet
Genres: Jazz

Django.jpg


1952年アメリカニューメキシコ州で結成されたジャズバンド。1956年作。
もともと、Dizzy Gillespieの楽団に属していた、ビブラフォン奏者であるMilt Jacksonと
John Lewis(Piano),Kenny Clarke(Dr)の三人によるジャム・バンドが起源になっています。
本作に収録されている表題曲の#1Djangoは、ジプシーのギタリストである
Django Reinhardt(1910~1953)へと捧げられた曲です。
本作は初期メンバーによる演奏ですが、Kenny Clarkeの叩き出すグルーブは、
テンポ・アップした軽快な、後年の同曲の演奏よりもずっと優れたものだと私は感じます。
ただし録音が大変古いものであるため、モノラルなのは当たり前としても、若干モコモコした
音であることは、否めない点だと思います。
(是非ともPyramidのバージョンやEurpean Concertのバージョンと聴き比べるといいと思います。)
とにかくMilt Jacksonのビブラフォン(鉄琴の一種で、鍵盤の下に羽がついていて、
ビブラートを生み出すことができるようになっている)のキラキラとした透き通ったトーンが、
心地良いですね。
40sというと、ちょうどBebopが全盛期を迎える時期に当たりますが、
その時代の中で、彼らが生み出した音楽は、即興中心の曲構成であるビバップと、
様式美の最たる例であるクラシック音楽(バロック音楽)のフュージョンという、
当時の流行の一歩も二歩も先を行く先進的なものでした。
しかも、そうであるにも関わらず、難解になりすぎず、洒脱で自由な空間にあるジャズだと思います。
知的で構築されつくしたJohn Lewisのピアノと、それと対照的なリラックスした、
奔放なMilt Jacksonのビブラフォンが、ヨーロピアンな、洗練された音色を生み出します。
ルネサンス期の即興音楽への影響を窺わせるFontessa(1956)や、
ブルース・フィーリングの強いアーシーなConcorde(1955)など、
ジャズの新たな可能性を切り開いた、歴史に残るべきバンドだと思います。

Django

The Queen's Fancy

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  1. 2013/03/08(金) 14:47:27|
  2. Modern Jazz Quartet
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プロフィール

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは50,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
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