私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

「同人誌とゲームと音楽のにっこにっこブログ」に関して

いつもお読みくださっている皆様に感謝いたします。
管理人のSystematic Chaosと申します。
おかげさまで、当サイトも訪問者数2500を超え、たくさんのコメントも頂きまして、喜んでおります。

今日は、大学の友人同士で新しく書くことに決めましたサブカル系総合レビューブログ、
同人誌とゲームと音楽のにっこにっこブログについてご紹介させてください。
(当ページからリンクで行くことができます。同じFC2ブログですhttp://satorinkawaiio.blog.fc2.com/ )

ブログCM


基本的にはタイトル通り、同人誌とTVゲーム、それに関連する音楽作品を不定期に
複数人の筆者が書いていきます。

まだ僕は書いていませんが、
「私的名盤紹介」管理人のSystematic Chaosも記事を投稿していきますので、
お楽しみいただけたら幸いです。(記事の下とタイトルに筆者のペンネームが書いてあります)
同人誌・東方系同人音楽担当はsouthern horizon氏ですが、
この方の知識量は尋常ではありませんので、ご期待ください!(とハードルを上げておきます)

※記事の一部に成人の方向けの内容も含まれておりますので、
未成年者の方のご訪問はご遠慮下さい。

リンク↓

同人誌とゲームと音楽のにっこにっこブログ

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  1. 2013/05/31(金) 11:36:01|
  2. 雑記
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今日の一枚(155)

Album: Flashmob
Artist: Vitalic
Genres: Techno, Electronica, New Rave

flashmob.jpg


フランス、ディジョン出身の音楽プロデューサー。1976年生まれ。
00年代後半から、ビッグ・ビートからの流れを汲んだ、ダンス・ミュージックとしての
アナログ・シンセを活用した電子音楽に、ロックの要素を取り入れた音楽性を持つことで知られる
ニュー・レイブ系のミュージシャンの一人として数えられることが多いです。
2009年作の4th。レイブとは言っても、Daft Punkのようなポップネスもありますし、
勿論ギター音のサンプリングによるキレの良い音色も楽しむことができます。
そういった意味で、彼の作品群はパンク色の強い作品だと感じます。
ヒットのきっかけとなった1st、OK Cowboyと比較すると、エッジの効いたロック色は、
本作ではやや薄くなっており、そのかわり80s的なディスコ・ミュージックに近い
パターン・ミュージックのグルーブ感を追求して制作されていると言えそうです。
ボイス・ヴォコーダーを用いたアシッドなロボット声から、
如何にもリズムマシンで作ったバシッとしたキック、
はたまたR&B的なボーカルの導入といい、アルバム随所に様々な音楽からの影響が窺われますが、
一貫してポップで聴きやすく、中毒性があるようにアレンジされています。
ただその中でも、やはり最も強い影響を感じるのはKraftwerkだと思います。
特に複雑なリズム構成の中にファンキーさとポップネスを兼ね備えた、
Computer Worldは本作の源流にある作品のように感じます。
スペイシーなシンセの音色や、どことなく哀愁が漂っているメランコリックなメロディは、
彼らならではのものだと思います。
歪んだシンセの音が耳にへばりつくようで、やはりテクノはヘッドフォンで聴いた方が気持ちいいですね。日本でPVが撮影された#2Poison Lipsはキャッチーなメロディと80s的なトランス・サウンドで
フロアを盛り上げること間違いなしのアンセムだと思います。
ボイス・ヴォコーダーが効果的に活用された表題曲の#3Flashmobは、
左右への音の振りが激しく非常にサイケデリックで、中毒性のある一曲です。
#5Stillは、奇妙な音色のシンセから始まり、ソリッドなリズムトラックがもたれたグルーブを
定位しています。とにかく奇妙なメロディを奏でるキーボードから耳が離せません。
加工された男女のボーカルが、サウンド・コラージュ的に用いられており、リフレインが
非常に印象的です。
陰鬱なメロディと、徐々に曲を盛り上げつつ背景を流れるストリングス、
良く分離されたシンバル類の音が静謐で淋しげな雰囲気を醸し出す#8Allan Delonは、
本作の中でも彼らの静的な部分での魅力が凝縮されています。
#12Station Mir 2099は、一転して近未来的なサウンドメイクで、
ワウのかかったような歪んだベースラインや、ピコピコとひたすらリフレインを刻むキーボード、
一際くっきりとしたメロディを奏でるシンセのフレーズは非常に印象的です。
ダンサブルなディスコ・ミュージックを吸収しているとは言え、
ニュー・ウェーブのようなパンク由来の歯切れのいいサウンドと、
単なる享楽的な音楽性とは異なる実験性やサイケデリックな音使いを随所に感じる良作。

Poison Lips

Still

Allan Dellon

Station Mir 2099

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  1. 2013/05/28(火) 01:07:34|
  2. Vitalic
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今日の一枚(154)

Album: Channel Orange
Artist: Frank Ocean
Genres: R&B, Hip Hop, Electronica

channel orange


アメリカ、ルイジアナ州ニューオーリンズ出身のシンガー・ソングライター。1987年生まれ。
Tyler, the Creator(1991~)がリーダーを務めるアーティスト集団の
OFWGKTAに参加しています。2012年作の1st。本作はGrammy Arwardで
Album of the YearとBest Urban Contemporary Albumの2つを受賞しています。
本作発売の直前である2012年7月4日に、自身がゲイであることをカミング・アウトしています。
Hip Hopとの境界に近い領域にあるR&Bとしては非常に内省的な音楽性で、
ミドルテンポの楽曲が多く、アンビエント・ミュージックに近い、
冷ややかな音の散らばりが肌で感じられるような鮮やかなアレンジがなされています。
歌唱法としては、Stevie WonderやMarvin Gayeのようなオールド・スクールなR&Bの、
艶のあるチェストから、Hip Hop直系のジャジーなラップやポエトリー・リーディングにも近い語り、
メロウで伸びの良いファルセットと、多彩な表情を見せてくれます。器用な方だと思います。
歌のメロディはシンコペーションが多く、サウンド・コラージュ色の強い複雑な曲の構成に
自在に乗っていくことで、独自のグルーブを作り出しています。
アルバム全体の構成も秀逸で、TVのチャンネルをザッピングしていくかのように、
環境音を上手く組み合わせたSEが曲間に挿入されており、曲のリアリティを高めています。
アルバム冒頭の(Play Stationのあの不気味な起動音が入った)SEからシームレスに入っていく
#2Thinin Bout Youはストリングスの湿った音色と、キーボードのスペイシーなフレーズが、
弱々しく消え入るような仄暗いボーカルと絡みついて、都会的で耽美的な音像を作り出しています。
#4Sierra Leoneは2分30秒と短い曲ですが、曲の初めから様々な楽器が入っていき
徐々に盛り上がりを見せていきます。ここでもストリングスアレンジは洒脱なものになっています。
ファンキーでレイド・バックしたボーカリゼーションがグル―ヴィーな#5Sweet Lifeは、
メロディアスなベースラインや澄んだ音色のキーボードのフレージングから、
サビにかけて一気にキャッチ―になっていくのが素晴らしい!曲構成の上手さが際立っています。
訥々としたラップと背後を流れるストリングスや環境、甘いコーラスワークが一体となって、
乾いた、アンビエントなグルーブを生み出しています。
ラウドなリズムと、ジャジーなピアノのフレーズに、軽く息漏れしたファルセットが
曲に肉体的なリアリティを与えています。
大作主義の#10Pyramidsは前半部のファンキーでソリッドなリズムが印象的な
へヴィ―なグルーブから、ポストロック的な中間部、John Mayer(G)のリードギターの枯れた
フレーズで締めくくっています。
わずか1分間の#12Whiteは、シンプルなシンセのフレーズに、またJohnの
無駄のない洗練されたプレイが堪能できるインストの(豪華すぎる)インタールードです。
手数の多いドラミングが、緩やかなラップと対照的に、曲に疾走感を与えている
#13Monksは、コーラスの柔らかい被せ方もAORのようなジャジーでアーバンなセンスを感じます。
オルガンの柔らかくフレーズに始まり、自身の同性への愛を示唆する歌詞を切々と歌い上げる
メロウな#14Bad Religionも、ストリングスの緻密なアレンジが軽やかに
鳴り響いて軽快さを残しています。
全体を通じて寂寞とした空気感の漂う静的な作品ですが、
アンビエント、エレクトロニカ、ヒップ・ホップを通過した
R&Bが、新たにどのようなフュージョンを迎えて行くべきかという方向性を示唆した
歴史の分岐点となりうる傑作。

Thinkin Bout You

Sierra Leone

Sweet Life

Monks

Bad Religion

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  1. 2013/05/27(月) 23:38:22|
  2. Frank Ocean
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HIVプロテアーゼ阻害剤

プロテアーゼ阻害剤(PI)導入 以降の死者数
(1)HIVプロテアーゼ阻害剤
protease inhibitorの
登場により、HIVの予後は
近年大きく改善している。
(2)2007年末現在、9種類の薬剤が
認可されている。
(3)米国で1995年に導入されてから、
AIDSによる死亡数は減少したが、
ここ数年死亡数は横ばいである。

作用機序
(1)HIVの機能タンパク質は
前駆体タンパク質として
逆転写酵素によって合成される。
(2)HIV自身がコードする
プロテアーゼは、
前駆体タンパク質を切断して活性化する。
※活性化されるタンパク質には逆転写酵素、プロテアーゼ、
インテグラーゼ等の酵素や
構造タンパクがあり、いずれも
ウイルス増殖に必須である。
(3)PIはこのプロテアーゼを阻害することによりウイルス増殖を阻害する。

HIVプロテアーゼの構造
(1)HIVプロテアーゼ
の構造はX-ray
crystallography
(X線回折による
結晶構造の分析)
によって解析される。
(2)HIV Proteaseは
ホモダイマーで、
それぞれの
サブユニットは99の
アミノ酸で構成
される。
(3)活性中心はサブユニット間
に存在し、Asp-Thr-Gly
という配列を持っている。
このAsp残基が触媒として働く。
(†)Each sites of the HIV protease are
labelled according to the resemblance
to an English Bulldog or a fat cat.

HIV プロテアーゼは、 前駆体タンパクを加水分解により 切断する。
(1)HIV Proteaseの中央部が開裂することによって、水が求核剤として働くようになる。このため、
結合力の小さい状態にあるペプチド結合が加水分解される。
(2)二つのflaps部位は、
基質結合時に最大で7Å移動する。
(3)レトロウイルスは変異率が高く、しかもアミノ酸の変異は数個であるため、阻害剤の結合を容易に免れることができる。
(4)特定のPIに晒され続けると、活性部位は迅速に変異する。

PIの一般的な副作用
(1)感覚異常
(2)下痢
(3)悪心、嘔吐
(4)高血糖、高トリグリセリド血症
インスリン分泌低下による。
高脂血症と併せて年間30%リスクで
虚血性心疾患のリスクが高まる。
(5)水牛様脂肪沈着buffalo hump
四肢の脂肪が減少し、
腹部と上背部に脂肪が蓄積する。
(6)高コレステロール血症

代表薬①リトナビル
(1)一日1,200mgの投与が必要で、
消化管副作用が強いため
現在では、単独では
あまり使われない。
(2)
他のプロテアーゼ阻害剤
のブースター、
エンハーサーとして
用いられている。(※)
(3) ブーストされた
阻害剤の血中最低濃度
Cminが上昇するため、
耐性出現を軽減する。
※全てのPIは、肝臓の薬物代謝酵素CYP3A4アイソザイムを
少量で強力に阻害する。このため、PI投与により薬剤の血中濃度は容易に上昇する。

代表薬②ロピナビル、NFV
(1)ロピナビル
低用量のリトナビルと
併用されることが多い。
食中服用。半減期は5時間。
少量のリトナビルは消化管
副作用が比較的小さく、CYP3A4阻害も達成されるため、
ロピナビルの血中濃度を上昇させるのに役立っている。
(2)NFV
非ペプチド性のPIであり、経口利用
されることが多い。NFVはCYP3Aに
あまり代謝されないため、
リトナビルでのブーストはできない。
下痢を起こしやすいがロペラミドで対処可

代表薬③硫酸アタザナビル
経口吸収率が高く、半減期は7時間。食後服用。
グルクロン酸トランスフェラーゼの競合阻害薬で、
高ビリルビン血症と黄疸、心筋作用としてPR間隔の延長による
脈拍数低下が既知の副作用である。

参考文献
1.イラストレイテッド薬理学、
Richard A. Harvey他、丸善出版、2012
2. 図解 薬理学、越前宏俊、医学書院、2010
3. 医系 免疫学、矢田純一、中外医学社、2011
4. 今日の治療薬2012、浦部晶夫他、南江堂、2012
5. Three-dimensional structure of aspartyl protease from human immunodeficiency virus HIV-1, Manuel A. Navia, Nature 337, 615 - 620 (16 February 1989)
6. Structure of complex of synthetic HIV-1 protease with a substrate-based inhibitor
at 2.3 A, Miller M, Science 246, 1989
7. Structure at 2.5-A resolution of chemically synthesized human immunodeficiency
virus type 1 protease complexed with a hydroxyethylene-based inhibitor, Jaskólski M,
Biochemistry 1991 Feb
8. Selection of High-Level Resistance to Human Immunodeficiency Virus Type 1 Protease Inhibitors, Watkins T, Antimicrob Agents Chemother. 2003 Feb
9. 日経サイエンスHP http://www.nikkei-science.com/beyond-discovery/hiv/06.html
(2013/05/16閲覧)
10. UCLA Department of Chemistry and Biochemistry HP, 2009
http://people.mbi.ucla.edu/yeates/153AH_2009_project/sriphanlop.html
(2013/05/16 閲覧)

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  1. 2013/05/26(日) 17:20:46|
  2. 薬理学
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今日の一枚(153)

Album: The Powerless Rise
Artist: As I Lay Dying
Genres: Metal Core, Post Thrash, Melodic Death Metal

the powerless rise


2001年にアメリカ、カリフォルニア州サンディエゴで結成されたメタル・コア、
メロディック・デスメタルバンド。2008年にはBest Metal Performanceにノミネートされており、
2006,2007年にLOUD PARKに出演するなど、日本でも高い人気を誇っています。
2010年作の5th。メタルコアとは言っても、ハードコア色はそれほど強くはなく、
スラッシュ・メタルに近いリズムワークを聴くことができます。
リフはメロディックでクサさを湛えているため、メロデスっぽさもあるバンドです。
Tim Lambesis(Vo)は基本的にデスヴォイスで歌唱していますが、
ビリビリとしたFrying Screamから、低音の効いたFalse Chordまで、
非常に多彩な音色を操っています。Josh Gilbert(B, Clean Vo)はクリーンボイスでの
歌唱を担当しており、こちらはとてもメロディックで、エモい湿り気のあるボーカルになっています。
前作に比して今作より、特にサビがキャッチ―なものとなっており、
北欧のメロデスの影響を垣間見ることのできるフレーズがちりばめられています。
Phil Sgrossoのギターリフもなかなかにテクニカルなものが多いですし、
リードのNick Hipaも時にはメロデス風、時にはネオクラシック風、
スラッシーな疾走感のあるフレーズと、多様なプレイで飽きさせません。
#2Anodyne Seaを初めとした、如何にもメタルコアといえるようなブレイク・ダウンも
勿論取り入れられていますし、#3Without Conclusionのように
ツーバス連打で疾走するスラッシュも勿論あります。
#4Parallelsは低音の強調された重いリフに始まり疾走していく良く練られた構成が面白い佳曲です。
ブルータル・デスメタルと言ってしまっても過言ではないほどに暴走していて最高にクールな
#5The Plagueや#7Condemnedでも、やはりメロディはキャッチ―で聴きやすいと思います。
アルバムの最後に配されている#11The Blinding False Lightはハードコア色が強く、
メタル色は薄めになっています。ライブで盛り上がりそうな曲ですね。
各パートの演奏のバランスのとれた隙のなさ、アレンジの緻密さもそうですが、
リフの引き出しの多さとボーカルの上手さに関しては、数あるメタル・コアバンドの中でも
総合力でトップクラスにあると思います。
メタル・コアの名作としてお手本にされるべき作品だと思います。
メタラーの多くにもきっと受け入れられるでしょう。

Anodyne Sea

Without Conclusion

Parallels

Condemned

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  1. 2013/05/18(土) 23:52:40|
  2. As I Lay Dying
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今日の一枚(152)

Album: Mothership Connection
Artist: Parliament
Genres: Funk, Psychedelic Soul

mothership connection


Funkadelicの中心人物George Clintonによって、アメリカ、ニュージャージー州プレーンフィールドで
1968年に結成されたファンク/サイケデリック・ソウルバンド。1975年作の4th。
50年代後半(Georgeは弱冠14歳です)にはドゥー・ワップグループThe Parliamentsとして
活動していました。(I Wanna) Testifyなどのヒット曲を生み出しています。
その後、勤め先であった地元の理髪店の常連客が、ツアーのバックバンドとして参加するようになり、
バンドメンバーが揃うことになります。66年ころからP-Funkのメンバーとして
参加することになるベースのBilly Bass Nelsonも当時からジョージの床屋に通っていたようです。
事務所との契約問題を抱えた彼らは、The Parliamentsのバンド名を変更せざるを
得なくなり、Funkadelicと改名して活動することとなります。
(その後契約問題が解決し、再びParliamentの名を名乗るようになるのは、
既にFunkadelicとして多くの傑作を生みだし活躍していた1970年のことです。)
そのため、ジョージを中心とするバンドは、二つをまとめてP-Funk(ParliamentとFunkadelicの略)
と呼ぶことが多いです。
ドゥー・ワップの楽曲を作っていた頃の、いわゆるモータウン直系の音楽性は影をひそめ、
Funkadelicに参加した若いメンバー達が強く影響を受けていた、Jimi Hendrixや
Sly & The Family Stoneといった、サイケデリック・ロック寄りの音楽性を
指向していくようになります。
Funkadelicの音楽性がファンク色を薄め、ファンク・ロックへと方向転換していた
70年代半ばからは、この方針転換のためFunkadelicを一時離脱していた元JB'sのBootsy Collins(B)
を中心として、Georgeは、Funkadelicでの活動と並行しながらも、
アーシーなファンクを基調としたParliamentとして作品を発表していくこととなります。
1975年にはJames Brownのバックバンド、JB'sのメンバー(Maceo Parker(Sax)ら)をもバンドに加え、
より洗練された、タイトで肉体的な音像の楽曲を制作していきます。
本作はコンセプト・アルバムとなっており、 エイリアンのStarchildが、宇宙船に乗って
人類にファンクを伝道しに来たというファンタジー的なストーリーに沿って作詞されています。
オートワウのかかったBoosty(B)の自由なフレージングや、
JB'sの中でも最も名の通ったサックス・プレーヤーであるMaceo Parkerの伸びの良く澄んだ
トーンのブロウやリフレインが、曲に厚みを加え、強烈な疾走感を生み出しています。
他にも、同じくJB'sのメンバーであったFred Wesley(Trumpet), Michael Brecker,
Randy Breckerの兄弟も参加しており、ジャズ・フュージョン的な軽快でインテリジェントな
疾走感を生み出す原因となっています。Bernie Worrell(Key)の、
浮遊感のあるジャジーなフレーズも、リズム隊の粘りのある音色とは一線を画しているため、
くどくなり過ぎず、クールな空気感を醸し出しています。
ワン・コードでゴリゴリとしたリズムに、シンセのリフがうねるように絡み付き、
練りに練られたグルーブで頭の中が一杯になります。#1P-Funk (Wants to Get Funked Up)は
Hip-Hop絡みでよくサンプリングされる楽曲ですが、
気だるく静かな語りのパートと、突然始まる整った演奏パートの対比が洒脱です。
表題曲の#2.Mothership Connectionは彼らの代表曲ですが、
Let Me Ride!(宇宙船に乗せてよ)というフレーズでテンションも最高潮に達します。
#5Handcuffsは本作の中でも抜群にドス黒い一曲です。
Georgeのエモーショナルなボーカリゼーションに、ワウのかかりまくった暴れるベースラインと、
一糸乱れぬホーンのアンサンブルが、張り詰めた緊張感を感じさせます。
ヒット曲の#6Tear The Roof Off The Sucker (Give Up The Funk)
は、ソリッドな音色のスラップが作り出すグルーブがクールです。
現在でも数多くのミュージシャンに強烈な影響を与え続けている、
ファンク史上最も偉大なバンド=P Funkの最重要作。

P-Funk (Wants To Get Funked Up)

Mothership Connection

Handcuffs

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  1. 2013/05/17(金) 18:09:41|
  2. Parliament
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今日の一枚(151)

Album: Pages
Artist: Pages
Genres: AOR, Soft Rock

Pages.jpg


1978年にRichard PageとSteve Georgeを中心としてアメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルスで
結成されたソフト・ロック/AORバンド。本作は1981年作の3rd。
ジャズ・フュージョン寄りの優れたソフトロック作品を残した彼らですが、
非常に残念ながら商業的な成功には恵まれず、結成わずか3年で解散しています。
ペイジ、ジョージの二人はPages解散後、Mr. Misterを結成し、80年代にメロディック・ロックの
教科書的なサウンドと言っても過言ではないような、良質な楽曲達を生み出すことになります。
本盤も、商業的なヒット作とはならなかったとは言え、そのクオリティは非常に高く、
ギタリストとしてはSteely Dan等の収録(Peg)に関与し、
EWFの名曲After The Love Has Goneをプロデュースし、
他にもGeorge Benson, Dianna Ross, Al Jarreauなど数多くのアーティストに
素晴らしい楽曲を提供してきたJay Graydon(Airplayは勿論のこと)をプロデューサーに迎え、
とてもよく練られた抜けの良い、無駄な音のない、隙のない楽曲たちが並んでいます。
そんな中で私が強調したいのは、Richard Pageのボーカリゼーションです。
メロウではあるのですが決して粘着質ではなく、かといってヘッドボイスでハイトーンを連発
するようなパワフルな歌い方というわけでもないのですが、
とてもよく楽曲と「混ざる」歌い方をしていると思います。
簡単に言えば、よくプロデュースされた上手さ、とでも言うべきなのかもしれません。
ファルセットの清澄さや、フュージョン特有の変拍子ゴリゴリの複雑で速いリズムに対して、
氏のボーカルは驚くべきほどに正確で、いとも容易く乗っていきます。
Jeff Porcaro(Dr)も参加していますが、やはりパワフルで一聴して彼とわかるドラミングで
曲に絶大なダイナミズムを与えてくれています。
ポーカロ以外の楽曲は当時デビューしたてのVinnie Colaiuta(Dr)が叩いているという、
もうなんと言えば良いのやら、凄すぎて何も言えません(笑)
当時のカリウタは本盤収録時にプロデューサーのJayに「手数が多すぎる」とか
相当不満を言われたらしいですが、全然完璧に上手いと思いますけどね……
プロデューサーのJay Graydon(G)も、一部楽曲ではリードギターとしてジャズ・ロックを感じる
理知的で、制御されたトーンでソロをかましてくれています。
冒頭の#1You Need A Heroからリズムは捻くれまくりで、スペイシーなSteveのキーボード、
Steely Danを意識したようなジャジーなコーラス(全体的に彼らの方がロック色が強いです)、
弾きすぎず曲にアクセントを加えるカッティングも綺麗に嵌っています。
#2Tell Meはサビでの歯切れの良いコーラスと、ファルセットの清澄な伸びが心地よいです。
ボスッとしたスネアと、キラキラとしたシンバルワークの作り出す重みのあるグルーブに、
SE的に活用されるストリングスが音を分厚くしています。
#3O.C.O.E(Official Cat Of The Eighties)は、へヴィ―なドラムスと太いベースラインの
ゴリゴリとした前半部から、リフレインが印象的なサビにかけてポップになっていく
構成が飽きさせず良いと思います。曲間のギターソロも、粒立ちがよく、必要最低限の音数で
ドライブ感を生み出しています。トレブリーなカッティングや浮遊感のあるキーボードの音色も
空気に滲むようで耳が気持ちいいです。
バラードの#4Cone On HomeはTom Scottのサックスのフレージングに酔いしれることができます。
それでもリズム隊は重みのある演奏で、Richardのメロウなボーカリゼーションに緊張感を与えています。
#5Sesatiaはハードロック寄りのソリッドな音像で、歪んだギターリフが聴けて
またアメリカン・プログレハードに近いメロディックでパワフルなグルーブを聴かせてくれます。
ボーカルはもっと力んでクサくしても良いかなとは思いましたが、「やりすぎない」ことが
この作品のクールな音像を生み出しているのだとも思います。
リズムギターのミュートの綺麗さや、ギターソロのリズムへの嵌り具合は本当に一級品ですね。
#7Automaticでは、なんとシャウトのロングトーンまで飛び出しています。
TOTOの曲に負けずとも劣らぬアグレッシブでプログレッシブな演奏です。
タム回しもへヴィ―で良いですね。ギターの歪みもシルキーで聴きやすいです。
キーボードの単音連打が強烈な疾走感を与えてくれます。
最後を飾る#9Midnight Angelは、本盤でももっともメロディの綺麗な曲だと感じます。
力強いミドルヴォイスと、ファルセットの織り交ぜ方が溜息が出るほど上手いです。
派手にストリングスを入れたりしないところがまた素晴らしいです。
優れたスタジオ・ミュージシャンと、プロデューサー、そしてソングライティング、
ChicagoやTotoも欲したRichardのボーカル、文句のつけようがないAORの名盤だと思います。
「引きの美学」を極めた奇跡の名盤。

動画の多くが削除されており、探すのにはかなり苦労しました……
CD買おうってことですね。自分は勿論リマスターを買いましたよ!EMIさん……


Pages(叩いてみた)

Automatic

Midnight Angel

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  1. 2013/05/15(水) 00:18:58|
  2. Pages
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今日の一枚(150)

Album: Pelican West
Artist: Haircut 100
Genres: Alternative Rock, Post Punk/New Wave

pelican west


1980年にイングランド、ケント州でNick Heyward(Vo, G)を中心として結成された、
ブラスロック、ポストパンク/ニューウェーブバンド。#1Favorite Shirtや#2Love Plus Oneなど
ヒット曲を連発しましたが、僅かアルバム2枚を残して解散しています。
1982年作の1st。最近まで全くその存在を知らなかったのですが、たまたま中古レコードショップの
バーゲンコーナーで気にかかり購入に至りました。
ラテン色の強いリズムと、切れ味の鋭いカッティングが全編を通じて鳴り響き、
軽快なグルーブを創出しています。
特にPatrick Hunt(Dr)の堅めのスネアや Les Nemes(B)の良く動くベースライン、
そしてNickのジャキジャキしたドライブ感溢れるリズム・ギターのトーンが心地よいです。
当時の彼らのような、ファンクにラテン音楽の要素を取り入れたバンドは「ファンカラティーナ」
(ABC, Funkapolitan, Level 42、Modern Romanceなど)と言われていたようです。
ホーンの入れ方に注目して聴いてみると、いかにもファンク的な疾走感を感じさせるものと
なっていますが、アレンジはアコースティックで温かい音になっているため、
どちらかというとネオ・アコースティックの影響が強いバンドであると言えるかもしれません。
彼らの楽曲は、日本で90年代に生まれてきたいわゆる「渋谷系」のミュージシャンたちに
強い影響を与えているらしく、Flipper's Guitarの楽曲に、「バスルームで髪を切る100の方法」
(アルバム、「カメラ・トーク」収録)というのがあるほどです。
彼らの代表曲である#1Favorite Shirt(邦題:好き好きシャーツ というのを読んで思わず
吹き出してしまいました)は、ダンサブルでキャッチ―なメロディが楽しめます。
高速カッティングとメロディアスなホーンとの絡みが素晴らしい!
曖昧な関係の男女の姿を描いた切ない#2Love Plus Oneでも、
ソリッドなカッティングの切れ味は勿論のこと、サックスのリフレインが強く頭に残る
中毒性の高い曲です。
#4Marine Boyはフュージョンライクなリズムと、手数の多いジャジーなピアノソロを聴かせてくれます。
サックスのメロディは日本のフュージョンのようなスムースさを湛えていますが、
その中でもカッティングは相変わらずファンキーで曲に疾走感を与えています。
ニックのボーカリゼーションもメロウで、柔らかいものとなっています。
バイクの通り過ぎるSEと共に始まる#5Milk Filmは一転してクラシック・ロック色の強い
ソリッドなリズムと甘いメロディを特徴としたギター・ポップに仕上がっています。
ファンキーな#6Kingsize (You're My Little Steam Whistle)はスラップベースのハネた
リズム感と、絶妙なタイム感のカッティングが良く映えたグル―ヴィーなファンク・ロックです。
#10Love's Got Me In Trianglesは、本作の中でも異色な一曲で、低音が強調されたダークな
ベースラインと、エモーショナルなボーカルが炸裂するダンサブルなものとなっています。
#12Calling Captain Autumnはシンプルな歌詞に粒の揃ったカッティングと
ファンクにおける教科書的なベースライン、左チャンネルから流れるコンガの連打が音の隙間を
縫うようにグルーブを創出していくゴリゴリとしたファンクです。
80年代の英国ポップスを代表する隠れた名盤だと思います。

Favorite Shirt

Love Plus One

Marine Boy

Love's Got Me In Triangles

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  1. 2013/05/12(日) 23:24:53|
  2. Haircut 100
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今日の一枚(149)

Album: Our Favorite Shop
Artist: The Style Council
Genres: AOR, Soul, Jazz, Funk, Pops

our favorite shop


1983年にイングランド、ロンドンで結成され、1990年に解散したポップス・ソウルユニット。
従来のDr. Feelgoodに代表されるようなガレージ・ロックのパンキッシュなサウンドに、
モータウン、スタックスにみられるソウル/R&Bのエッセンスを加えた独創的な音楽性で
絶大な支持を受けたThe Jamのリーダー、Paul Wellerが同バンド解散の後、
The Merton ParkasのキーボーディストであるMick Talbotと共に結成しました。
1985年作の2nd。全英アルバム・チャート1位を獲得しています。
楽曲の多様さ、演奏技術、アレンジの全てが非常に高いレベルで完成された本作は、
余りにも有名な1st Cafe Bleu(こちらはジャズやボサノヴァの影響が色濃く、
アコースティックでウォームな音色を特徴としています)と共に
グル―ヴィーなソフト・ロックの大名盤だと確信します。
本作はR&Bやソウル色が強く、どちらかというとリズム主導でよくまとまった印象を受けます。
特にSteve White(Dr)の、Style Councilがロックであることを決定する要因とも言える
へヴィ―かつタイトなドラミング(#4Internationalistsでのソリッドなプレイが心地よいです)と、
Mick Talbotのよく練られた煌びやかなキーボードの音色は
聴きどころだと思います。
#5A Stones Throw Awayを初めとして、ストリングスのアレンジも非常に繊細で細部まで
明瞭に聴き取ることができます。
隙のない鉄壁な演奏のお蔭か、PaulのボーカリゼーションもThe Jamのころよりも
朗々と歌っているように聴こえます。
洗練された楽曲とは裏腹に、歌詞の内容は時のサッチャー政権へのアンチテーゼに富んだもので、
歌詞カードも読む価値が大いにあると思います。
コーラスとボーカルで参加しているDee C. Leeの柔らかく艶やかで正確なピッチ感の
ボーカリゼーションも、バンドアンサンブルの中に緊張感を与えています。
#1Homebreakerでは街の喧騒のSEから始まり、スリリングなホーンをバックに
力の抜けたボーカリゼーション、Mickのクールなオルガンのソロも洒脱です。
ボサノヴァテイストの#2All Gone Awayでもポップになりすぎず、徐々にボルテージを
上げていきます。
ファンキーなベースラインがうねる#6Stand Up Comics Instructionsも、
弾きすぎないキーボードソロが強烈な存在感を放っています。
#10Lodgersはゴスペルライクな分厚いコーラスワークにファンク全開の太いベース、
グル―ヴィーなトーンのリードも冴えわたっています。
#11Luckではフィリー・ソウルへの意識を窺わせるようなメロウなボーカリゼーションが堪能できます。
某情報番組のテーマ・ソングとしても起用されていた
#15Shout To The Topはアルバムの最後に配置されています。
ストリングスのキャッチ―なリフが生み出す強烈な疾走感とグル―ヴィーなリズムの中に、
上級階層へのプロテストを高らかに宣言するという社会的なメッセージが詰め込まれている
言わずと知れた名曲です。
「スタイル評議会」の名の通り、ポップス、パンク・ロック、ニューウェーブ、ネオアコ、
ソウル、ファンク、ジャズ、R&Bと数多くの音楽のエッセンスが結晶化した、
ポップスが芯にあるべき姿を体現したかのようなアルバム。

Homebreaker (Live)

Internayionalists (Live @Melbourne, 18/8/1985)

The Lodgers

Shout To The Top

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  1. 2013/05/11(土) 02:13:49|
  2. The Style Council
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今日の一枚(148)

Album: Phrenology
Artist: The Roots
Genres: Alternative Hip Hop, Neo Soul, Jazz Rap

Phrenology.jpg


1987年にアメリカ、ペンシルベニア州フィラデルフィアで結成された、
バンドとして活動しているヒップ・ホップグループ。
Grammy Awardを初めとして数多くの受賞歴を持つ彼らですが、本作も2002年度の
Grammy AwardでBest Rap Albumとしてノミネートされています。5th。
生演奏によるタイトな中にフィリ―ソウル色を感じるグルーブ感と、
サンプリングやターンテーブルによるエレクトリックなサウンドのブレンドが、
洒脱で都会的な音像を作り上げています。
本作は、以前の彼らの作品に特徴的な、ジャジー・ヒップ・ホップ路線のものから
よりロック色の強いダイナミックな音楽性へと変化を見せています。
初期メンバーであるQuestlove(Dr)のドラミングも、ラウドでへヴィなものになっています。
Black Thoughtによるラップも歯切れがよく、グル―ヴィーなビートとメロディアスなベースラインに
対してスクエアでハードなラップで乗っていく#7Thought At Workや、
Swing Out Sisterの名曲Breakoutを元ネタとする#11Quillsでも、
彼のシビアなリズム感が冴えわたっています。
#2Rock Youから#3!!!!!!!ではゴリゴリの歪んだギターリフと、
これまたソリッドで遊びの少ないドラムスのループ、激しく煽り立てるようなラップが、
本作のコンセプトを端的に体現しています。
Nelly Furtadoとのコラボレーションである#4Sacrificeでは、一転してジャジーなトラックに
なっていますが、ここでもMCは挑発的なものとなっており、キュートで透明なコーラスと
好対照をなしています。
冒頭から流れるカッティングのループと、重くフィリー・ソウルによく見られるようなベースラインが
印象的な#8The Speed(2.0)では、ネオ・ソウル界隈では有名なCody ChesnuTT氏が参加しています。
現代のソウルを代表する女性シンガー・ソングライターの一人であるJill Scott(Vo)が参加した
#13Complexityでは、ファルセットのメロウなコーラスワークと、訥々と紡がれていくラップが
怪しくダークなグルーブを感じさせてくれます。
#14Something In The Way Of Things (in Town)では、仰々しい語りが延々と流れる中で、
プログレ色を感じるスペイシーで不気味なキーボードのリフに、
鋭いハイハットの刻みにはただただ驚くばかりですが、恐ろしいまでの手数と正確なリズムの、
まさに「人力ドラムンベース」と呼ぶにふさわしいQuestloveの激しいドラミングを聴くことができます。
#17The Ultimateでのコール・アンド・レスポンスはライブでの彼らの盛り上がりを、
強烈な熱気を肌で感じることができます。
Phrenology=骨相学(脳は、精神活動を司る様々な小器官が集合して出来ていると解釈する古い学問)
というタイトルの通り、ヒップ・ホップという音楽が、いかに多様な音楽を呑みこみ、
消化することによって生み出された、インテリジェントで洗練された音楽であるかを、
本盤は力強く物語っています。

Rock You

Sacrifice

The Speed(2.0)

Complexity

The Ultimate

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  1. 2013/05/06(月) 21:14:51|
  2. The Roots
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今日の一枚(147)

Album: Out Of The Blues
Artist: Simon Phillips
Genres: Fusion, Jazz Rock

out of the blue


イングランド、ロンドン出身のジャズドラマー。1957年生まれ。
16歳のころからスタジオ・ミュージシャンとしての活動を始め、ジャズ系のドラマーとしてだけではなく、
Judas PriestやWhitesnake, Michael Schenker Groupなどのへヴィ・メタルのバンドや、
Jeff Beckなどのインストゥルメンタル・ロックバンドでも活動しています。
ジェフ・ポーカロ亡き後のTOTOにも後任のドラマーとして参加しています。
08年以降はスタジオ・ミュージシャンとしての活動に加えて、
日本を代表するジャズ・ピアニストである、上原ひろみのスタジオ・レコーディングとライブツアーに
参加しているなど、現在でもその活動は衰えるところを知りません。
本作は1999年作のソロ・アルバムで、98年に行われたツアーAnother Lifetimeの
ヨーロッパ公演の中から選ばれたテイクが収録されています。
ギターのAndy Timmonsを初めとする優れたミュージシャンたちによる、ジャジーでプログレッシブな、
初期のWeather Reportを思わせるような(あちらよりもメタリックでロック指向の音ですが)
緊張感の張りつめたハードでソリッドなフュージョンを聴かせてくれます。
録音状態も良好で、彼の要塞ドラムスから生み出される特にシンバル類の強弱のニュアンスが
よく聴こえてきますし、Andyの太くて厚みのあるリードや、
鋭く曲に緩急をつけるリズムギターの音は素晴らしい!
Jerry Watts Jr.(B, Herbie Hancock, Steve Vai etc)の丸くて密度の高く複雑なベースライン
は曲全体に強烈なドライブ感を与えています。
TAMA(星野楽器本社は名古屋市にあります)のスネアドラムの、
あの切れ味の鋭いスパンッという音はいつまででも聴いていたくなります。
上原ひろみのライブツアーで初めて生でSimonのドラミングを見ましたが、
これが私がこれから一生見る中で最高の演奏かもしれないと思いました。
リズムに対して非常に正確で、完全なるロックドラム仕込みの熱いフィルや、
ツーバスを踏みまくって疾走するスラッシーとすら呼べるプレイスタイルは、
ジャズ・ロックに感じるようなプログレ特有の高揚感を最大限に引き出してくれます。
#1Kumi Na Mojaでは、徐々に盛り上がりを見せ、1分半あたりから一気に複雑怪奇な
変拍子のタイトなリズムにスペイシーで泣きまくりのギターとサックスの完璧なユニゾンや
キーボードの柔らかくグルーブを包む広がりを見せるプレイでPat Metheny Groupの作品に
近いグルーブを生み出しています。
#5Jungleyesはこのアルバムの中でも特にお気に入りの一曲ですが、
疾風怒濤のフィルやバスドラムの圧倒的な音圧、それとは対照的に繊細なハイハットの刻みによる
グルーブに、伸びやかなホーンやシルキーなトーンのギターリフが非常にキャッチ―です。
Andyのソロも弾きまくっていて、ライブにもかかわらず精密機械のような粒の揃いっぷりには
ただただ驚嘆するばかりです。
#7Indian Summerはフュージョン色の強いクリアで爽やかな音像を楽しめます。
僅かに歪ませたトーンでのカッティングのタイム感や、リードでのモダンでソリッドなトーンは
聴き飽きません。
キーボードソロの#8Rhodes Untravelledでは、Jeff Babko(Key, Larry Carlton,
Steve Lukather, Vinnie Colaiuta etc)では、目にも止まらぬ速さで怪しく
Joe Zawinulばりのスペイシーなフレーズを弾き倒しています。
スピード感あふれるハード・フュージョンの#10Midair Decisionは、
メタルと呼んでも問題ないほどにエモーショナルな歪みのトーンで
へヴィなグルーブが定位されています。それとは対照的にキーボードのソロはジャジーで
インテリジェントなフレーズをやはり速弾きしています。
バックを流れる流麗なクリーントーンのカッティングが気持ちいいです。
本物のプロたちが集まることによってしか生まれない、
お互いの間を流れる緊張感が、演奏をよりシャープで洗練されたものに昇華し、
キメの連続が強烈なカタルシスを与えてくれる、
そんなハードフュージョンの魅力が本盤には凝縮されています。

Kumi Na Moja (From The Album "Another Lifetime")

Jungleyes (From The Album "Another Lifetime")

Indian Summer

Out Of The Blue

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  1. 2013/05/02(木) 23:17:47|
  2. Simon Phillips
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
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可能な限りフォローバック、コメントしに参ります。
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