私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

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今日の一枚(251)

Album: How's it going?
Artist: さかいゆう
Genres: Pops, R&B

Hows it going


高知県土佐清水市出身の日本のシンガーソングライター。1979年生まれ。
東京スクールオブミュージック専門学校出身。22歳でLAに渡り、現地でソウル、ジャズ、
ヒップホップといったブラックミュージックに触れ、Boyz Ⅱ Menの結成時のメンバー、
元Az YetのメンバーであるMarc Nelsonと作曲活動を行った経験もあります。
帰国後は2009年にオーガスタレコードからメジャーデビューを果たします。
2012年作のメジャー2nd。繊細で、透明感のあるハイトーンヴォイスとファルセットの
コントロールは非常に特徴的で、低音にはソウルフィーリングがあります。
英語の発音も明瞭で聴き取りやすいです。
楽曲は、リズム面ではソウル、ファンク, R&Bの影響が強く見られ、
Burt Bacharachの流れをくむ、スタンダードなアメリカンポップスの香りを感じます。
フェイザーの掛かったキーボードの音でいきなり心を掴まれる#1introから、
グル―ヴィーなブラスロックの#2Jammin'は、リフレインが印象的な熱い後半部のハモンドソロに
ドライブ感のあるリズム隊が絡みつく一曲。どことない渋谷系臭が漂っています。お気に入り。
#3パスポートは、疾走感のあるフュージョンっぽいハイハットの刻みが心地よい
Fuyu(MISIA band)のドラミングと、ブリッジで存在感を増すコーラスの定位、
サビ前のキメやキラキラしたシンセの音が80s的でクールです。これも良い曲。
#4Love & Life Letterは、ピアノトリオで録音されたバージョンとなっており、
日本語詞発音の工夫が非常に緻密で、メロディーに違和感なく乗っているのが
素晴らしいと思います。ファルセット寄りの軽めのヘッドが優しく耳を撫でます。
#5もしもあの朝に…は、ピアノ弾き語りにストリングスを加えた
極めてシンプルなバラードです。一つ一つの出来事を取り上げて、
別れを振り返るような歌詞の内容的に、リアルなエピソードを匂わせます。
#6Lalalaiは、イントロのキャッチ―なピアノリフと、シンプルな繰り返しでグルーブを作る
メロディが親和性が高い作りになっています。アウトロのインスト部が長いのがまた好みです。
どの曲にもグルーブがあります。抜けの良いスネアの音は惚れ惚れします。
英語詞バージョンで収録された#8How Beautifulは、元々2008年の、
土岐麻子のメジャー1stシングルとして彼から提供された一曲ということです。
彼が歌うとまた違った趣になっています。柔らかくジャジーに歌うサビ前の進行は最高です。
サビでの伸びやかなファルセットも溜息が出ます…名曲。
森雪之丞作詞による#9サンバ☆エロティカは、サックスのロングソロと
分厚いコーラスで聴かせる間奏に、ベースがエロティックな音しています。異色な一曲。
本作のハイライトと言える#11君と僕の挽歌は、彼自身の、親友との離別を、
手紙で語りかけるように歌った真摯な歌詞が胸を打つシンプルな一曲です。
コーラスを交えながらドラマティックに展開していくアウトロも良い。
ダークでスペイシーなキーボードの音色が耳に残る短い弾き語り#12パズルで終わっていきます。
基本的にキーボード、ベース、ドラムのみの編成で録音された本作は、
全編通じて極めてグルーブのある演奏で、メロディーはキャッチ―でありながら、
どの曲にもブラックミュージックの香りが湧き立っています。
歌詞も歌メロとの親和性が緻密に考慮されており、アレンジも抜けが良く洒脱です。
声質も透き通っていて美しいです。
自分が幼いころから愛聴してきた、山下達郎や佐藤竹善、久保田利伸と言ったような、
R&Bを消化した良質なポップスを生み出すシンガーソングライターが、
現代にまた一人現れたような気持ちで、内心とても嬉しく思い、期待に胸を膨らませています。

Jammin' [Live]

Love & Live Letter [福耳ver]

How Beautiful [Live]

君と僕の挽歌

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  1. 2014/01/31(金) 00:50:41|
  2. さかいゆう
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今日の一枚(250)

Album: Hell's Kitchen
Artist: Ming+FS
Genres: Electronica, House, Breakbeats, Hip Hop, R&B

Hells Kitchen


本名はAaron Albano(MING)。アメリカ、ニューヨーク、ロングアイランド出身の音楽プロデューサー、
DJ、作曲家。1972年生まれ。90年代後半に、Z-Trip, DJ Spooky, DJ Crazeなどと並んで、
アメリカのハウスやドラムンベース界隈でその名が知られるようになり、
現在ではアメリカの有名テレビ番組やドラマのBGM,CMソングを作曲
(ドラマではCSI: NY, CSI: Miami, Sex and the Cityなど、CMでは日産自動車やバーガーキング
が知られています)したり、若手のアーティストの発掘にも
積極的に関わりながら、活発に活動しています。
初期はMing+FSというデュオで活動しており、ブレイクビーツによるリズム構成を基礎としながら、
ハウスやR&B,ヒップホップを取り入れた実験的な音楽性を有していました。
専門誌では彼らの音楽性を指してjunkyardと呼ばれていたようです。1999年作の1st。
表題曲の#1Hell's Kitchenは、台詞主体に進行する前半部から、
忙しないブレイクビーツとスクラッチのパートを経て複雑にパーカッションが鳴る中間部を経て、
メインテーマで終わっていきます。
#2U NI SON Feauring BLESTeNATIONは、うねるようなエフェクトの掛けられた、
極めて入り組んだラップと、ピコピコしたシンセがクネクネしたグルーブを作っていきます。
後半の3分間に差し掛かると、歪みが掛かりローファイなスネアの音と、
シンセベースがひたすら繰り返され、腰に来るグルーブがあります。
#3CLS Featuring Mack & Youngbloodは、非常に軽いスネアの作るリズムに
不気味に蠢くベースと昔のプッシュ式電話機のボタンの音のようなシンセが耳に残ります。
#4Brain Dead Amphibian Twinsは、超絶テクニックのターンテーブルが楽しめます。
途中でメタリックなギターリフが入ってきたり、アンビエントな電子音やインベーダーゲームの
ようなSEが入ってきたり、得意のブレイクビーツが炸裂したりと、かなりハチャメチャ
ですが不思議と一貫したグルーブがあるとても面白い一曲です。お気に入り。
#6Electro Space Modulatorは、女性が電話で話すような声が左右に振り分けてありながら、
ご機嫌なベースのリフでゴリゴリと押す冒頭、2分30秒くらいから歪んだスネアが入った
パートがあり、幻想的なピアノのパートを挟んで、インドの香りが漂うシンセをバックにして、
最後は留守電になって終わります。
ピアノループが入ったジャジーヒップホップに高速ドラムンベースが絡みつく
#7Family Featuring Werdplayは、Robert Glasperが出していても全くおかしくない音像だと
思います。こちらはジャズ色は希薄ですが、かなり先進的な一曲だと思います。最高。
#8The D&B Beat Boxはボイスパーカッションによる短いインタールードです。
#10 80 Watt Parkerは、背ハットの刻みと、浮遊感のあるキーボードがテーマをメロディックに
奏でていて聴きやすいです。こういう静謐でアンビエントな曲でも、
ベースの音は太く、キックやスネアの音もドライブ感があってギラギラしていて、
個人的にはとても好みの音です。ジャコみたいなコンプの強めにかかった音の
ベースソロも歌心があって、心地の良い音です。これも良曲。
#11Bonus Roundは、モータウンっぽい空気を感じさせるキーボードのループと、
高速スクラッチでファンキーな冒頭部からスタティックになったかと思いきや
徐々に堅めのドラムが強さを増していき、シームレスにトレブリーなカッティングと
キーボードが流麗にフレージングしていきます。
#13Hijack The Disco Featuring TC Izlamは、サックスの吹くフュージョン風のメロディを
中心として、音の隙間を縫うようにしてターンテーブルとタイトルを囁くヴォイスがリフレインします。
ジャジー・ヒップホップやエレクトロニカ、ファンク、ソウルと様々な音楽からの影響が
融合していますが、どの曲もブレイクビーツやプログラムで作られたリズムや
ベースラインが非常にくっきりとしているので、ハウス的な側面が強い作品と捉えられる
でしょう。リズムコンシャスな電子音楽の好きな方ならきっと嵌れる作品だと思います。
ハウスの愛聴盤です。

Brain Dead Amphibian Twins

Family feat. Werdplay

Hijack The Disco

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  1. 2014/01/28(火) 00:47:41|
  2. Ming + FS
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  4. | コメント:2

今日の一枚(249)

Album: G5 2013
Artist: G5
Genres: Fusion, Hard Rock,Instrumental Rock

g52013.jpg


ニコニコ動画を始めとする同人音楽界隈で、或いはプロのスタジオミュージシャンとして
活躍する若手のギタリストが一堂に会してアルバムを制作しているグループ。
プロデューサーとして、個人レーベルのViViXを運営し、G5の他にも
G.O.D(Guitars on Demand) Projectなどで活発に活動している
GodSpeed(青木往洋)氏や、MintJamのギタリスト、プロデューサーとしてKey作品を始めとする
ゲーム/アニメ音楽として良質な作品を世に送り出しているa2C氏など、
日本の、現代型のギター・ヒーローとなりうるような御仁が参加している
ハード・フュージョンプロジェクトです。
今作では、Godspeed、a2c、ニケ、Takajiiの4人に加えて大和(正岡大和)を新メンバーとして
迎え、制作されています。
参加するギタリスト各々が作曲と演奏を行った曲を持ち寄った
コンピレーションアルバムの体裁をなしており、
毎回スリリングなギターオリエンテッドの作品を聴くことができます。2013年作の4th。
ライナーには、各ギタリストの使用機材が詳細に書かれており、
美しいギターの映像が散りばめられています。
最後のページにはa2C氏のT's Guitar製によるカスタム・モデルが掲載されています。
ここまでくると最早工芸品のようです。吸い込まれてしまうような青色です。
大和氏作曲の#1Dying to surviveは、彼らしい、メロディックでエモーショナル、
かつメタリックな疾走感ある一曲に仕上がっています。
歪みの音色も艶があって素晴らしい音だと思います。個人的に大好きな音です。
テーマの泣きっぷりも素晴らしいですが、やはり刻みの綺麗さは特筆すべきものがあります。
ニケ氏作曲の#2Emergencyは、シンセでのピコピコしたバッキングが
耳に残りますが、中間部から一気に難度が向上していきます。
ヴォリューム奏法があり、さらに激しく歪んで展開していきます。
ハーモニクスのコントロールの上手さ、ハイフレットでの安定性には開いた口が塞がりません。
多重録音によるハーモニーの重厚さも最高です。
a2C氏作曲の#3Kamuyは、ヴァイオリンやコーラスを加えた荘厳な雰囲気の一曲で、
アイヌ語の"カムイ"をイメージして作曲されているそうです。
イントロ、アウトロのフレーズは、変則チューニングを施したガットギターで演奏されています。
Takajii氏作曲の#4Flounderは、メカニカルな速弾きが硬質なイントロから、
メインテーマに向かうにつれてメロディアスに、情熱的に展開していきます。
後半で出てくるスパニッシュなアコギのパートが好みです。
Godspeed氏作曲の#5Virusは、DjentとEDM(Electronic Dance Music)の融合を目指して
作曲されたということだそうで、最後の一分前後に出てくるような、
生々しいSEや、浮遊感のあるキーボードの幻想的なパートと複雑なリズム構成で聴かせます。
強く歪んでいますが、あくまでメロディアスで聴きやすいと思います。
Takajii氏作曲の#6Fragile Seasonsは、バラード風のシンプルでメロウな一曲で、
森園勝敏を思わせるような、透き通るような、甘いトーンで演奏される
儚いメロディを聴いていると、心までも澄み渡っていくような心地がします。素晴らしいです。
Godspeed氏作曲で、ストリングスアレンジにJohn Graham氏を迎えて制作された
#7Journeyは、ギター(オケの音がかなり分厚いので定位がちょっと気になります)とのユニゾン、
中間部での盛り上げ方は鳥肌ものだと思います。
前作のG5 2010と比較すると、さらにテクニカルな楽曲が増えているイメージですが、
どの曲もテーマはメロディアスで音作りもよく、それぞれにプレーヤーの個性が綺麗に表れています。
筆者個人としても、大和さんを始めとして大好きなギタリストばかりで
(ギターの泣かせ方と言う点ではa2Cが頭一つ飛び抜けているような気がしますが)、
ギタリストでない方にも、どこまでも熱く、メロディアスなギターインストが好きな方なら、
間違いなく気に入られると思います。正直全部揃えたくなりました。
演奏されているプレーヤーの方々が色々な場面で活躍なさることをお祈りしています。

G5 Project 4th album "G5 2013" audio demo

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  1. 2014/01/27(月) 00:52:32|
  2. G5
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今日の一枚(248)

Album: Evidence Humanity
Artist: Mike Keneally/Marco Minnemann
Genres: Progressive Rock, Fusion

Evidence Of Humanity


Mike Keneallyは、アメリカ、ニューヨーク出身の作曲家、ギタリスト、マルチプレーヤー。
1961年生まれ。1988年にはFrank Zappanのツアーメンバーとしてギター、キーボードの
二つを担当し、その卓越したテクニックでZappa自身から相当な信頼を得ていたようです。
93年のFrank Zappaの死後には息子のDweezil Zappaのサポートメンバーや
Steve Vai, ULVER(ノルウェーを代表するブラック・メタルバンド)のサポート、
そしてソロ活動を行ってきました。
Marco Minnemannは、ドイツ、ニーダーザクセン州ハノーファー出身のドラマー、
作曲家、マルチプレーヤー。1970年生まれ。元Yesのキーボーディストである
Eddie JobsonのプロジェクトUKZ, Guthrie Govan率いるプログレバンドのAristocrats
への加入や、ポートノイ脱退後のDream Theater
後任ドラマーオーディションへの参加などで近年その名を耳に多いすることの多い人物です。
ソロ活動としては、Normalizerというプロジェクトを行っており、本作も、
そのプロジェクトによって作られた作品です。2010年作。
これは、Marco自身が演奏したドラムソロの音源を公開し、それに対して
複数の作家が曲を付けて作品を作っていくというものです。
#1Respect?は、アコギの生々しい刻みと緩やかなシンフォニックなシンセが、
攻撃的なドラミングと明確な対照をなしています。
後半はFrank Zappaを思わせるフレージングが随所に出てきます。
#2Evidence of Humanityは、一転して冒頭から強く歪んだ変拍子バリバリのリフがザクザクと
刻まれていて緊張感が張り詰めた短い一曲です。Marcoの足技は人間離れしています。
ポストロックのような幻想的なシンセと、背後でドコドコしながらシンバルで遊ぶドラムスに
アコギが絡みつく#3Three People Run Naked Through Schoolから、
#4Tooth and Cold Stone Pewはリズムを極めて複雑にするパーカッションや
ワウの掛かったギターの音色がこれまたZappaのようです。最高。
後半のベースラインで完全に拍を見失う#5Nowから、
#6Bastards into Battleはフリーキーな速弾きが飛び出します。正に変態そのもの。
いきなりポップになる#8Bad Fridayは、ギター以上にシンセが歌っていて、
#9Rough Time at The Hotelではペダルスティールの独特な音色が楽しめます。
ピアノが饒舌に冒頭のキメで魅せる#10Whoaは、アコギのシャリシャリした音や
タッチノイズの穏やかな一曲と思いきや後半になるにつれドラムは激しくなり、
タイトルを唱える#11Kaaに突入します。シルキーで艶のある音色で、
フレーズはエモーショナルで、泣いています。これも良曲。
ちょっとカァカァ言い過ぎですが…
本作のハイライト#12Clown Removalは、幻想的なオルガンのバッキングのもと、
独特の浮遊感のあるフレージングで奥行きのある前半部から、
一気にドラムの手数が増え、マシーンのような連打の中が空間を支配する後半部は
一瞬たりとも気が抜けません。
#14Apex Musicは、うねりにうねるキーボードと独特なタイム感のリフが不思議なグルーブを
作ります。#16Tryingは、どこかエキゾチックな空気の流れるフレーズが、
リバーブの掛かった個性的なトーンと完璧に噛みあっていて壮大なストーリーを感じさせます。
付属のDVDでは、Normalizerを用いたインプロビゼーションによるセッションの模様と
インタビューが100分近く収録されていて、ファンには堪らない仕様になっています。良作。

Evidence of Humanity (DVDの収録内容の一部)

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  1. 2014/01/26(日) 00:08:54|
  2. Mike Keneally
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

今日の一枚(247)

Album: Pages (1st)
Artist: Pages
Genres: Soft Rock, AOR

Pages1st.jpg


以前も紹介しました1978年にRichard PageとSteve Georgeを中心として
アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルスで結成されたソフト・ロック/AORバンドです。
3年間の活動期間の内、彼らの制作したアルバムは3枚ありますが、
本作は1978年の幻の1stです。
Jay Graydonのプロデュースの元、多数の有名スタジオミュージシャンを起用した
1981年の3rdが最も有名な作品であり、以前の記事ではこちらを取り上げております。
発売当初からプレス枚数が少なく、Sonyによって94年に初めてCD化された際にも、
国内には僅かしか輸入されず、CD化とリマスターが遅れていた本作は、
極めて手に入れるのが難しい作品でした。
国内盤は2001年にEpicから発売されていますが、それ以来3rdは紙ジャケで再発されている
ものの、この1stはリマスターや追加プレスが行われていないようで、
2014年現在では再び入手が難しくなってきています。
筆者は渋谷のレコファンでたまたま見つけた(というか探し続けていた)2001年版を購入しました。
プロデュースはBobby Colombyが、アレンジは知る人ぞ知るAORの名プロデューサーである
Dave Grusinが担当するなど、やはり1stも豪華なプロダクションが行われています。
Michael Brecker, Randy Breckerの兄弟をはじめとして、
ビブラフォン奏者のVictor Feldmanや、Stevie Wonderバンドでコーラスを務める
Lani Grovesなど、様々なゲストを迎えていますが、本作ではまだRichard PageとSteve Georgeを
中心とした5人組ロックバンドの体裁をなしており、3rdとはまた違った
勢いのあるバンドサウンドが楽しめます。
(3rdでは完全に二人だけのユニットになっています)
軽いグルーブが心地よいファンクの#1Clearly Kimは、Steve GeorgeのMini Moogでの
饒舌なソロと、Jerry Manfrediのベースソロがクールです。
#2This Is For The Girlsは、Richard Page(Vo)の透き通った甘いファルセットで
聴かせるスローバラード。ゲストのVictor Feldmanのビブラフォンが丸く柔らかい音色で
耳を撫でるように鳴っています。
SteveとLani Grovesとのデュエット#3Let It Goは、Russ Battelene(Dr)のドライブ感のある
ドラミングとオクターブやスラップを絡めてよく動くベースラインが、
メロウでキャッチ―なサビの中にファンキーなグルーブを作っています。
アウトロのコーラスは圧巻です。名曲。
#4Listen For Loveは、ハードロックかと思わせるイントロから、
重たく進行しながらホーンが味付けするグル―ヴィーなパートを挟んで、
Peter Leinheiserの長いギターソロがあるという一風変わった構成の一曲。
短いインストの#5Love Danceは、Dave Grusinによる豪華なストリングスを配した前半部から、
フュージョンライクな軽いビートにキーボードソロが入っています。
#6If I Saw You Againは、サビのリフレインがキャッチ―な、如何にもRichardの曲
と言う感じです。ブルージーで泣きの効いたギターソロもクサいですがそれが良いです。
アウトロでのクラビネットのバッキングもパーカッシブでセンス抜群。
#7Interludeはストリングスによるインストかと思いきや後半はピアノ弾き語りから
徐々に盛り上がっていき#8It's Alrightへとシームレスに繋がっていきます。
サックスソロも哀愁があって、都会的で洗練されたLAのサウンドと言うよりは、
郊外の夕暮れの風景が浮かんでくるような、ゆったりとしたグルーブを湛えています。
#9Room At The Topは、サビ前の緊張感あるキメと、教科書的ではありますが
抜けの良い音作りで一際目立つベースラインがパワフルなファンクロックです。
ここでもクラビネットやFender Rhodesのバッキングは最高です。時代の音ですね。
どの曲もリマスターのお蔭で分離良好で聴き取りやすく、
キャッチ―なサビメロとどこまでも透明で巧みなコーラスワークが全編通して堪能できます。
やはり1stも文句のつけようのない名盤でした。探す価値ありです。

Clearly Kim

Let It Go

If I Saw You Again

Room At The Top

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関連記事
  1. 2014/01/25(土) 00:41:43|
  2. Pages
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

ディスクガイドのご紹介 -おすすめ書籍

私的名盤紹介にお越しくださった皆様、お世話になっております。
管理人のSystematic Chaosです。

突然ですが、筆者の最も好きなジャンルであるところのAOR,ソフトロックや、
フュージョンと言ったいわゆるクロスオーバー・ミュージックに関して、
名盤を紹介するディスクガイドを書店で偶然見つけ、購入してみたのですが、
これが思いの外素晴らしい選盤だった(当サイトのAOR/ソフトロックの項目が必要ないと感じてしまうほどに)ので、
是非記事にて紹介させて頂きたく思います。
2冊あります。

1冊目はシンコー・ミュージックから出版された

Disc Collection Fusion 出版:シンコー・ミュージック 監修:熊谷美広 出版年:2013年

です。

Keywords: The Brecker Brothers, Larry Carlton, Lee Ritenour, Chick Corea, Miles Davis, Herbie Hancock,
John McLaughlin, Weather Report, Pat Metheny, Stuff, 高中正義、T-Square, Casiopea, 渡辺香津美、
     角松敏生、吉田美奈子、山下達郎 etc


フュージョン (ディスク・コレクション)フュージョン (ディスク・コレクション)
(2013/09/28)
熊谷 美広

商品詳細を見る


海外、国内のフュージョンの名盤に加えて、ポップスやフォーク、ソウル、モータウン、ソフトロック、ファンク、
エレクトリック・ジャズからプログレッシブ・ロックまで純然たるフュージョンとは異なる作品まで含めて、
広義にクロスオーバー・ミュージックを解釈した、とでも言うべき選盤です。
(1967年のWes Montgomery/A Day In The Lifeをフュージョンの起点として、2000年ごろまでの作品を紹介しています)
レビューはごくごく簡潔で、740枚の作品が、アーティスト名のA to Z、50音順の索引付きで紹介されています。
他にも、Sidemanと称して、フュージョン系のスタジオミュージシャンの有名どころが解説されています。
スタンダードな作品からちょっと熊谷氏の趣味が色濃く出た選盤もあり、とても面白いです。
各作品に参加しているミュージシャンのクレジットも表記されています。
本サイトで紹介したアーティストも結構重複していますので、私的名盤紹介をお気に召して下さった方なら
楽しんで読んで頂け、共感できる記事も多いと思います。
というより、筆者と選盤の仕方、傾向があまりにも近いので、正直驚きを隠せないです…

2冊目は、AOR作品のリイシューを積極的に行っているレコード会社である芽瑠璃堂の
芽瑠璃堂マガジンの編集、シンコー・ミュージックの出版による、

AOR 名盤プロデューサーの仕事 出版:シンコー・ミュージック 著者:中田利樹 出版年:2013年

です。

Keywords: David Foster, Jay Graydon, Burt Bacharach, Dave Grusin, Gary Katz, Charles Calello etc


AOR名盤プロデューサーの仕事 (芽瑠璃堂マガジンPRESENTS)AOR名盤プロデューサーの仕事 (芽瑠璃堂マガジンPRESENTS)
(2013/11/29)
中田 利樹

商品詳細を見る


主にオンライン・レコードショップとしてコアなAOR、ソフトロックの作品をリイシューしている
芽瑠璃堂ならではのツボを突いたセレクトで、77人のプロデューサーをセレクトし、
そのプロデューサーごとのバイオグラフィーと、関わった作品を一枚一枚取り上げ、
かなり詳細な解説が施されています。カラーの部分はアートワークが美しく、ジョーイ・カルボーンへの
インタビューも掲載されています。
記述と選盤がかなり面白く、類書の少ない本だと思います。

どちらの本も、クロスオーバー・ミュージックに興味のある方なら、
マニアの方から初心者の方まで、持っていて損はない本だと思います。

おすすめです。
是非どうぞ。

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関連記事
  1. 2014/01/22(水) 22:23:06|
  2. 雑記(音楽関連)
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Nana Fes 2014 一日目参加と東京遠征の成果

いつも私的名盤紹介にお越し下さっている皆様、
Twitterで交流させて頂いております皆様、お世話になっております。
そして、水樹奈々さん、お誕生日おめでとうございます。

というわけで完全に私事ですが、先週土曜日に有明コロシアムで行われた
Nana Fes 2014の一日目のみ、参戦してまいりました。
グッズの待機列の長さには正直辟易しましたが、4時間以上にも及ぶライブの内容は非常に濃く、
三島さんやバンドメンバーのお話もたくさん聞け、大変楽しめました。
意外なことになったナナソンランキングも面白かったですし、
衣装も新旧織り交ぜて色々な衣装の奈々さんを拝見でき、テンション高く見ることが出来ました。
音響が止まってからもマイクなしで観客に語りかけるお姿をかなり近くで見れて本当に良かったです。
おそらく内容は円盤になるのであまり詳しいことは書きませんが、
(Mの世界の公開録音「コトバのチカラ ~声に出して読みたい日本語~」のコーナー
は個人的に驚きを隠せませんでした、というか思い切りすぎていて放送したらマズい気がします)
ニューアルバム発売とツアー決定心から楽しみにしております、とだけ言っておきます。
今回のアルバムはシングルのストックが少ない状態で行われているため、
今までの作品で最もアルバム新曲の数が多くなるようで、全員違う作曲家と組んで制作を行っているようです。
多彩な作風で、かつ凝っていながら上物のうるさ過ぎず、良い意味で枯れた、
品のいいアレンジが施されることを、筆者は祈っています。

というわけで、本題でありますが、Nana Fes一日目参戦の後、
日曜日は東京遠征のついでに、新宿Disk Unionやレコファン、渋谷のTower Record、
神保町のマーブルディスクなど、幾つかCDショップを回って作品を収集してきました。
今後レビューする作品として登場することと思いますが、
忘備録も兼ねてリストをここに記録しておきたいと思います。
では、どうぞ。

Another Green World/Brian Eno(1975, Progressive Rock)
Elastic Rock/Nucleus(1970, Progressive Rock, Jazz Rock)
We'll Talk About It Later/Nucleus(1971, Progressive Rock, Jazz Rock)
カメラ=万年筆/MOONRIDERS(1980, Post Punk/New Wave)
モダン・ミュージック/MOONRIDERS(1979, Post Punk/New Wave)
Apple Juice/Tom Scott(1981, Fusion)
The Age Of Aquarius/The Fifth Dimension(1969, Soft Rock, AOR)
Larsen-Feiten Band /Larsen-Feiten Band(1980, Soft Rock, AOR)
Italian Graffiti/Nick DeCaro(1974, Soft Rock, AOR)
Domino/ROUND TABLE (1999, Pops)
Distance/ROUND TABLE Feat. Nino(2008, Pops)
Full Circle/Roger Nichols & The Small Circle Of Friends(2007, Soft Rock, AOR)
The Definitive Collection/The Four Tops(1966, Soul, Motown, R&B)
20th Century Masters: The Millennium Collection
- The Best Of The Mills Brothers/The Mills Brothers(1942, Doo-Wop)
Bridge Across Forever/Transatlantic(2001, Progressive Rock)
The Whirlwind/Transatlantic(2009, Progressive Rock)
Gentle Giant/Gentle Giant(1970, Jazz Rock, Progressive Rock)
Il Grande Gioco/Albero Motore(1974,Progressive Rock)
L'ultima Illusione/Euthymia(2010, Progressive Rock, Symphonic Rock)
You Are Here ... I Am There /Keith Tippet Group(1970, Jazz Rock, Free Jazz)
Happy The Man/Happy The Man(1977, Progressive Rock, Fusion)
Evidence of Humanity/Mike Keneally(2010, Progressive Rock)
Vital Tech Tones/Scott Henderson, Steve Smith & Victor Wooten(1998, Fusion, Progressive Rock)
G5 2013/G5(2013, 同人音楽, Fusion)

計 24作品

順番がバラバラで読み辛いかもしれませんがご容赦下さいませ。

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  1. 2014/01/21(火) 11:28:57|
  2. 雑記(音楽関連)
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今日の一枚(246)

Album: Cruor
Artist: Allerseelen
Genres: Post Industrial, Noise, Neofolk

Cruor.jpg

1987年にオーストリアで結成されたインダストリアル/ノイズ・ミュージックユニット。
実質はGerhard Hallstattによるソロ・ユニットです。
ユニット名のAllerseelenとはドイツ語で万霊祭(死者の日、All Soul's Day)を指しています。
出身地のオーストリアだけではなく、北米やロシアを中心として
サポートメンバーを加えて、ライブ活動も行っているようです。
本作は1994年作の1stで、89年から93年までの間にレコーディングされた作品を集めたもの。
(同じ時期に録音された作品のLPやカセットでのデモが数多くあるようですが、
現在では入手は困難です)
初期はritualで神秘的な音像の、ノイズミュージックの色合いが濃い、
インストゥルメンタルのみの作品をリリースしていましたが、
現在はボーカルの入ったバンド演奏による楽曲を制作し、
終末論や、ファシズムからの影響が色濃く見られる難解な歌詞と、
元々はノイズミュージックやポスト・インダストリアル(70年代後半に商業主義的音楽への
反発から生じてきた)から派生し、60年代の英米のフォークミュージックに基礎を置く
ネオフォークへと接近していきます。
筆者はノイズやインダストリアルに関して完全なる素人ですが、
偶然中古CDショップのセールコーナーで本盤を発見し、このジャケットの不気味さに
惹きつけられて衝動買いしてしまいました。
資料を検索してもドイツ語のものばかりで情報を集めるのにはかなり苦労しますが、
どうやらドイツ語圏の評論家には彼らをナチシンボリズムと結びつける人もいるようです。
(社会学者のAlfred Schobert(1963~2006))
一方Gerhard本人によれば、影響を受けたのはシュールレアリスムとシンボリズム、
特に19世紀中頃にイギリスで勃興したラファエロ前派(15世紀の北方美術の影響が色濃く、
象徴主義芸術の先駆とも言われています)であると話しています。
録音状態のせいか、音質はあまり良いとは言えませんが、そのお蔭か金属的なノイズの音や
バリバリしたSEの類に独特の安っぽさが加わって、不気味さが強調されています。
表題のCruorとはラテン語で血の塊を意味しています。
#1Flamme Empor(Flame Emperor)は冒頭のバリバリしたノイズとフラメンコのような
打ち込みのリズムが非常に印象的です。アウトロのテーマは結構キャッチーだと思います。
#2Aufbluteは、ローファイで足音のような打ち込みのリズムと、
極めてシンプルなリフを繰り返すシンセが不気味です。
#3Rabenkehrは、エフェクトの掛かった管楽器のような音でエスニックなテーマが流され、
ピコピコしたシンセがパーカッシブです。後半にかけて動物の鳴き声がSEとして入ってきます。
表題曲の#4Cruorは、前曲からのテーマが続いて流れた後、呻き声のような加工された音が
激しく鳴り響きます。スネアドラムのような音が忙しなく、焦燥感を駆り立てます。怖過ぎです。
#5Schwazer Rabは、鳴ったり止んだりを繰り返す、スウィンギーでアフリカンな
香りのするパーカッションが印象的です。
ホワイトノイズのような音が全体を覆い尽くしているのがまた不気味。
#7Ostaraは、冒頭から同音連打するシンセと工場で正確に動き続ける、
機械音のようなリズムが執拗に、等間隔に鳴り続けています。
得も言われぬ高揚感のある一曲です。
#8Totenloheは、5拍子のリズムがけたたましく鳴り、、飛行機の通過する時の
轟音のような音と、解体工事の現場で金属を削る時のような高音のノイズが入り混じって
迫って来ます。
#10Schwarzmondは、バリバリとした雷のような電子音にコーラスのように入る
声のサンプリングがループしています。リズムは和太鼓のような独特の音色です。
次第に電子音のノイズが大きくなり、フェードアウトしていきます。
#11Sirb Und Werbeは、大雨の音を加工したようなノイズが絶え間なく流れる中で、
コロコロしたパーカッションが多様に音色と周波数を変えながらリズムを刻んでいます。
#12Opus Angelorumは、どことなくスピリチュアルでゆったりとした
シンセのフレーズをバックに、ハウリングのようなノイズがユラユラと蠢いています。
神秘的です。途中からブレイクビーツのような高速のスネア音が、
非常に小さい音量で聴こえてきます。
#13Goldene Dammerungは、か細い高音のノイズに、歪ませたキーボードがテーマを奏でています。
まだきちんとテーマとなるメロディ(というかリフ)が展開していくので、
本作の中では曲の体裁をなしている気がします。昔の悪魔城ドラキュラのBGMのようです。
#14Flammenspurenは、パチパチと燃える焚火のような電子音の背後で、
カタカタとしたパーカッションが不安を煽り立てています。
全編を通じてバリバリした電子音が印象的で、
リズムやキーボードのリフも案外キャッチーなので、
聴いていて飽きない不思議な音楽だと思います。
不気味さの中に同居する神秘性と言えばいいのか、
非常に興味深い作品だと思いますが、筆者の中ではまだその真意を解釈しきれずにいます。

Aufblüte

Cruor

Totenlohe

Strib Und Werbe

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  1. 2014/01/20(月) 14:23:51|
  2. Allerseelen
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今日の一枚(245)

Album: 天鵞絨症奇譚
Artist: KENSO
Genres: Progressive Rock, Fusion

天鵞絨症奇譚


1974年に現役の歯科開業医、大脳生理学者の清水義央(G)を中心として、
神奈川県相模原市で結成された日本のプログレッシブ・ロック/フュージョンバンド。
2002年作の7th。本作まではドラマーとして村石雅行(Dr)が参加しています。
他にもバークレー音楽大学のジャズ作曲家出身の三枝俊治(B)や
東京音大作曲科出身の光田健一(Key,ex Stardust Revue,小田和正etc)など、
現代を代表するスタジオミュージシャンやソングライターを有する彼らは、
フュージョン指向のスムースな音像でありながら、変拍子を多用した緻密なリズム構成と
キャッチーでメロディアスなテーマが同居した非常に独特な音楽性を見せています。
特に本作は、以前に紹介したフュージョン、アンビエント色の強い時の丘(1991)
と比較して、ハードロック色の強くエッジの効いた清水義央のギタープレイが
印象的なものになっています。
しかしながら、テクニカルでキャッチーであるだけでなく、
楽曲ごとにガムランやフラメンコなどの民族音楽やテクノ、ノイズからの影響が見て取れ、
かなり興味深いことをしていると思います。
今回はゲストとしてフラメンコ歌手の川島桂子が参加しています。
タイトルの天鵞絨症(びろうどしょう)とは、Bombycosisという珍しい精神疾患のことを
指しているようで、白昼夢と幻視を伴う遺伝性疾患ということだそうですが、
筆者は聞いたことがありません。
(CD付属のライナーに精神病理学的な詳細がご丁寧に説明されていて思わず笑みがこぼれます)
#1精武門は、いきなり強く歪んだギターリフから始まるハードロックインストです。
徐々にテンポアップしていきながらキーボードの速弾きソロへと繋がっていきます。
アウトロはアコギのゆったりとしたストロークで終わっていく展開の多い一曲。
#2禁油断者マドリガルは、レスポールらしい艶のあるクランチでの
キーボードとのユニゾンに始まり、SEが僅かに入って終わっていきます。
#3韜晦序曲は、揺れるキーボードの印象的なキメの多い前半部から、
パーカッションが入りポリリズミックに展開します。
#4木馬哀感は、ブルースロックっぽいテーマを中心としながら、ピコピコしたキーボードがあり、
クラシカルで澄み切ったなピアノソロが飛び出してきます。
#5Tjandi Bentarは、環境音がそのまま入った冒頭から、東南アジアっぽいと言えばいいのか
何と言えばいいのか解らない不思議なフレージングのキーボードが頭に残ります。
2分50秒あたりから一気に早くなってベースラインが際立ちます。
村石雅行の軽快で歯切れのいいドラミングが冴えわたっています。名曲。
#6謀反は一転してシンプルなロックインストかと一瞬思わせますが、
やはりギターのフレーズは捻くれております。
#7夢想用階段は、ボイスサンプリングの早回しと思われるループと、
(何を言っているかは聞き取れません)ノイズが所々に入ってきながら、
シタールがメロディを弾いていくなんとも不気味な一曲です。
#8Echi Dal Foro Romanoは、キラキラしたシンセのアンビエントで柔らかい前半から
フィルを起点にして激しく展開します。抜けの良い三枝俊治のベースは最高です。
クリーンのカッティングでバッキングされたキーボードソロから
シンフォニックに、ドラマティックに終わっていきます。
#10太郎と言う生き方は、ドラムンベースのようなフレーズをマシーンのように叩く
ドラムスに対して、キーボードのテーマは伸びやかです。
ビブラフォンのような音のシンセも耳が心地いいです。
#12Isolated Jiroは、如何にも彼ららしいフュージョン寄りのプログレといった感じで、
溜めるようなドラミングでどっしりと進行していきます。
ここでも途中で奇怪なキーボードソロが一際目立っています。
#14陰鬱な日記は、ベースラインが動きまくりバキバキのスネアの残響が空間を支配しています。
このピアノソロは短いですが圧巻だと思います。
テーマを弾くギターの艶のあり太いトーンは好みの音です。
曲の最後には川島桂子の、ハスキーで渋いカンテが完璧に嵌っています。これも名曲。
#15自他融解は、幻想的なキーボードに覆いかぶさるようにして、
アナログテレビのスノーノイズのような音が入ったこれまた不思議な一曲。
ともすれば変わったリズムや民族楽器の使用といった特徴をなぞっただけで、
形骸化していると批判されがちなプログレの中で、彼らの作品は常に独創的な視点と
示唆に富んだ、好奇心をくすぐるようなコンセプトがアルバム全体を流れており、
最高の演奏テクニックがその心を完璧に形にしている、
真の意味で「プログレしている」プログレバンドの一つだと思います。
清水氏のブログによると、今年は新作を出す予定があるようで、
筆者はとてもとても楽しみにしております。

禁油断者マドリガル

Tjandi Bentar

Echi Dal Foro Romano

太郎と言う生き方

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  1. 2014/01/15(水) 23:35:06|
  2. KENSO
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今日の一枚(244)

Album: Soulrider
Artist: Glen Scott
Genres: Neo Soul, Soul, R&B, Funk

Soulrider.jpg


ロンドン出身のジャマイカ系移民二世のシンガーソングライター、マルチプレーヤー。
1973年生まれ。2002年作の2nd。99年にソニーからデビューを果たし、
00年代前半のいわゆるネオソウルムーブメントで注目を集めたシンガーソングライターです。
D'Angeloが鮮烈なヒットを生み出していた当時に、彼よりも温かみのあるオーガニックな
ソウルを指向しながらも、StevieやCurtisのような70sソウルのギラギラしたファンクネスとは
また違った独特な味わいを感じさせてくれます。
ソングライターとしてだけでなく、キーボーディストやバックコーラスとしても
UKソウル界隈で活躍しているようです。
今作でも1stと同様に、作詞作曲編曲に加えて全ての楽器を一人で演奏し、録音されています。
ボーカルは当時流行のウィスパーやファルセットを多用したような柔らかいものではなく、
泥臭さや暖かみのあるチェストが印象的です。
ジャジーヒップホップやクラブミュージック風の香りを漂わせるあたりが、
UKのソウルらしく洗練されたトラックに仕上がっています。
#1Do Somethingは、気怠くスペイシーなコーラスとハネるキーボードのフレージングが
印象的なノスタルジックな一曲。チャキチャキしたカッティングも良い。
打ち込み然としたリズムがモダンな雰囲気を漂わせています。
アウトロのボイスヴォコーダーの使い方は少し90sっぽさを感じます。
ダンサブルなリズムとシンセベースの作るトラックにキャッチ―なメロディが乗る
現代的でソリッドなR&Bの#2Lucky DayはサビでのAlaniの甘いコーラスが素晴らしい。
電子音とスクラッチが空間を占めるアウトロからシームレスに繋がる
ジャジーな#3I Want Itは、密室的に配置されたコーラスとサビのリフレインが頭に残ります。
サウンドコラージュとスクラッチが味付けする#5See U Againは、特にサビの
進行やメロディはオーガニックなソウルのそれになっていて懐かしさもあると思います。
太くシンプルなベースラインも存在感があります。
後半にかけてエモーショナルになっていくボーカリゼーションが最高です。
エフェクトが掛かって音が割れたり揺れたりするアレンジが洒脱です。
#6Sundazeblewはイギリスのフォーク系シンガーソングライターである
Nick Drakeの名前が出てくる複雑な含意を感じる歌詞と、
ハモンドのファンキーなバッキングに悲痛なファルセットのコーラスが説得力を与えます。
これもお気に入りです。
ラップを中心にして展開される短い#7 70's Childは、左右に定位されたコーラスが
生々しいです。歌詞はいたってシンプルです。
#9Simple Manは揺らめくようにして音量の変わっていき、次第に大きくなってくる
ゴスペルライクなコーラスとウネウネした電子音が浮遊感を作る不思議な一曲。
#10Burning Incenseは、街の雑踏のSEが入りアコギの鳴るパートと
ストリングスの幻想的なパートが対照的で社会に疲れた男の独白のような歌詞も秀逸です。
レゲエっぽいノリで緩いグルーブのある#Riziaを挟んで、
キーボーディストとしての実力を如何なく発揮したインストのジャズ・ファンク
#11Soul Riderで締めくくります。シークレットトラック扱いで
最後の3分間ほどはアコギ弾き語りにコーラスを加えたWastin' Timeが収録されています。
一人で録音、制作を行っているからこその内省的な歌詞や密室的なアレンジが、
心地よく彼の頭の中で鳴っている音をそのまま聴いているかのような感覚に浸らせてくれます。
もっとヒットしても良い才能の持ち主だと、筆者は思っております。
00年代ネオソウルの隠れた名盤。

Lucky Day

70's Child

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  1. 2014/01/14(火) 23:53:07|
  2. Glen Scott
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  4. | コメント:0

今日の一枚(243)

謹賀新年

明けましておめでとうございます。
新年のご挨拶遅れましてすいません。
今年も丁寧な選盤と解説を心がけて「私的名盤」を一枚一枚紹介してまります。
宜しくお願い致します。では、いつも通りまず本年一枚目はこちらをどうぞ。

Album: Destiny
Artist: Felix Cavaliere
Genres: Funk, Blue Eyed Soul, Funk Rock

Destiny.jpg


アメリカ、ニューヨーク、ウエストチェスター郡出身のシンガーソングライター、
キーボーディスト。1942年生まれ。60年代にはThe Young Rascalsのメンバーとして、
(詳しくはThe Rascalsの項を参照)ヒットシングルの多くでボーカルを取っています。
キャリア初期には地元の黒人バンドであるThe Stereosの唯一の白人メンバーとして、
さらに、白人のドゥー・ワップグループであるThe Escortsを結成し活動していたことから、
彼の音楽的な素地が、Alan Freedがラジオで掛けていたような
50年代のR&Bやニューオーリンズのソウルといった、ロックンロールの源流ともなる
黒人音楽「そのもの」であるということを窺い知ることができます。
他にも彼は、Rascalsのメンバーであると同時に
Joey Dee and His Starlightersのメンバーでもありました。
プロデューサーとしてはLaura NyroやJimmie Spheerisのアルバムを手掛けています。
2008年にはBooker T. & The MG'sのギタリストであるSteve Cropperを招いて
オリジナルアルバムNudge it Up a Notchのレコーディングを行ったり、
2012年にはRascals時代の盟友であるEddie Brigatiと再結成を果たすなど、
現在でも新譜を出し続け活発に活動しています。
本作は1975年作のソロ2nd。72年のラスカルズ解散直後のソロアルバムですが、
作風としてはより洗練された冷ややかなグルーブが印象的で、
後期ラスカルズに参加していたBuzz Feiten(G)の他にJoe Farrell(Sax),
David Sanborn(Sax)を始めとするフュージョン系のスタジオミュージシャンを集めて
レコーディングされていることが影響していると考えられます。
表題曲#1Destinyは、Dino Danelli(Dr)のハイハットの細やかな刻みと作る疾走感ある
イントロからのフュージョンっぽい軽快なグルーブに、
フィリー色の強いストリングスアレンジに対して、
Buzz Feitenの鋭いリズムギターが切り込んでいくファンキーな一曲。
#2Flip Flopは左右から流れるコーラスとバックビートの強く効いたスラップベースに
Buzz Feitenの煌びやかなトーンで弾き過ぎないギターソロが光ります。
Felix自身のボーカルは最早白人であることを忘れてしまう倍音の多さや粘りのある
ソウルフルなトーンで最高。パーカッシブなホーンアレンジもBuzzならではのものです。
#3Never Felt Love Beforeは、女性コーラスとの掛け合いと緩いグルーブ感が
如何にもブルーアイドソウルらしいミドル。
#4I Can Rememberはアコギのキラキラとしたバッキングと伸びやかなミドルで朗々と歌う
ボーカルの魅力がフィーチャーされたバラードです。
Joe Farrellのメロウなサックスソロも聴き所。
#5Light Of My LifeはJeff Southeorth(G)のワウの掛かったカッティングの印象的な
前半部から、フュージョンっぽいシルキーな音色が耳に優しいリードがエモーショナルに
弾きまくり味付けするハードロック色の強い異色な一曲で、
Jack Scarangella(Dr)の全編フィルインとも取れるようなパワフルなドラミングも
熱いファンクロック。
派手にエフェクトの掛かったキーボードやギター、コーラスがサイケデリックな
#6Can't Stop Loving YouはDavid Sanbornのサックスソロがメロディックで対照的です。
#7Try To Believeは、強く歪んだツインギターのバッキングにファンキーなリズム隊が
絡みつくファンクロックで、Leslie Westの饒舌なリードギターが主役です。
#8You Came And Set Me Freeは、Joe Farrellのフルートソロと
Elliot Randallの終始忙しなく動きまくるカッティングフレーズ、
パーカッションの作るアフリカンなリズムが特徴的な一曲。
#9Love Cameは、コーラスでLaura Nyroが参加しており、抜群の存在感を発揮しています。
ホーンの長いソロ回しがあってインタープレイを楽しめます。
Felix自身のオルガンもこの曲が一番聴き取りやすいかも。
冒頭からハードロックなリフから始まる#10Hit Runは、
このごくシンプルなギリフを中心としてブルージーに進行していきます。
チョーキングしまくりなギターソロもクサクサで素晴らしい。
クラビネットやハープシコードが独特なエスニックさを加えているのも不思議です。
後半からは左右からツインドラムが襲いかかり激しく終わっていきます。
ブルーアイドソウル特有の緩いファンクの楽曲も勿論ありますが、
ジャケットの穏やかなイメージとは裏腹な、
熱いファンクロックも詰まっていて飽きさせません。
ソウルミュージックを極限まで深く掘り下げていく中で、
古典的なそれとは全く異質な音楽性を有しながら、
しかしその内側に確かな本物のソウルがある、
独自の音楽性へと到達していったRascalsという奇跡的なグループで
多くのヒットを生み出し、かつ天性の歌声を持ち合わせたボーカリストの、
正に隠れた名盤というにふさわしい一枚だと思います。

Full Album

Never Felt Love Before

Love Came

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  1. 2014/01/02(木) 02:43:32|
  2. Felix Cavaliere
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
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