私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(339)

Album: March Of The 13 Cats
Artist: 13 Cats
Genres: Funk, Fusion, Disco, Pops

13Cats

アメリカ、カリフォルニア州出身の作曲家、編曲家、音楽プロデューサーのCat Grayと、
同じくカリフォルニア州サンフランシスコ出身のパーカッション奏者であるKarl Perazzo、
そして東京都新宿区出身の日本のドラマー、沼澤尚(1960-)の三人によるフュージョン、
ポップスユニット。同名のロカビリーのバンドがありますが、それとは別の
ユニットです。本作は1996年作の3rd。

余り彼らを取り上げている記事が少ないため、
まずは簡単に三人について解説しておきたいと思います。
以前、筆者の大好きな日本のAOR/ソフトロックバンドとしてSing Like Talking
(Sing Like Talkingの項を参照)についてお話ししたことがあると思いますが、
この三人は佐藤竹善のソロキャリア、そしてSLTのバックバンドとしてサポートを
行っていた経歴があり、佐藤のソロではAlive & Kickingというライブアルバムで、
彼らの演奏を聴くことができます。特にCat Grayに関してはSLTのプロデューサーを
務めていた時期(アルバムで言うとtogetherness(1994), DISCOVERY(1995),
Welcome To Another World(1997)の時期に当たります)もあり、沼澤尚は初期からドラマーとして
レコーディングに参加しているなど、SLEとの結びつきの強いメンバーです。
Cat Grayは日本では佐藤竹善との仕事が知られていますが、他にもJames Brown, Prince, Sheila E,
Earth, Wind & Fire, Maurice White, Sly Stoneなどブラックミュージック周辺のビッグネームの
サポートやアレンジ、プロデュースなどにも関わっており、現在ではテレビ番組の音楽制作を
主な領域として活動しているようです。パーカッション奏者のKarl Perazzoはセッションマンとして
Santana, Dennis Chambers, Sheila E., Mariah Carey, John Lee Hookerなどの作品のレコーディングに
参加しています。そして現代の日本のセッションドラマーの中でも屈指の多忙さを誇ると言われる
沼澤尚は、海外ではChaka Khan, Bobby Womack, The Emotions, Hiram Bullock, Robben Ford,
Will Lee, Paul Gilbert, Al McKay, Verdine Whiteなど、国内では、土岐英史、山岸潤史、大村憲司、
宮沢和史(AFROSICK)、角松敏生、スガシカオ、山崎まさよし、槇原敬之、井上陽水、高中正義、
奥田民生、平井堅、くるり、河村隆一、安藤裕子、吉田美奈子、岩崎宏美、大貫妙子、
矢野顕子、椎名林檎、Original Love、つじあやの、中島美嘉、YUIなど、
有名アーティストのバッキングを無数にこなしています。
その人脈もあってか、ゲストにはSly Stone, 山岸潤、Sheila E.,タブラ奏者Zakir Hussain,
David T. Walkerを迎えて制作されるという豪華っぷりです。
現在は活動を休止している13Catsですが、再び作品をリリース(というよりCat Grayの活動)する
姿を見てみたいという思いが、個人的はあります。
音楽性としては、EWFのようなポップネスとファンクのグルーブが同居したサウンドとも
言うべきで、まさにSLTの7th-9thの時期の作品がお好きな方であれば間違いなく嵌ると思います。
基本的にはファンク寄りのフュージョンといった感じですが、
マーチ(タイトル通り)、ハードロック寄りのギターソロもあったりと
飽きさせない多彩なサウンドで、意表を突いたハーモニーの面白さもあります。

#1Marchは、アルバム全体のイントロダクションといった趣で、かなりきちんとマーチしています。
分厚いホーンの音と乾いたスネアロールの音が心地良いです。
一気に音圧が上がってファンキーな#2Blind Faithは、ウネウネした粘りのあるベースと
沼澤尚のへヴィ―なキックが腰に来るグルーブを作ります。お気に入り。
ギタリストとして山岸潤をゲストに迎えた#3Anything For Youは、鋭くファンキーなドラムスと
低音の厚いベースの作るグルーブと、ダークな雰囲気を湛えたメロ、キラキラとしたシンセが
ユニゾンするサビに続いて、ラップまで飛び出してきます。お気に入り。
Earth, Wind & FireのギタリストであるAl McKayをゲストに迎えたバラードの
#4When Love Is Overは、音数の少なくトレブリーなカッティングとエレピが
70sを思わせる音像です。ブリッジの後はドラムとパーカッションのソロが入っています。
#5DJ~Split Decisionは、McKay得意の単音カッティングとリヴァ―ブの掛かったスネアに
JBマナーなシャウトが流れるミニマルなDJからシームレスに歌メロが入ってきます。
アタックの強くうねったベースが強いグルーブを放ちます。お気に入り。
なんとSly Stoneご本人が参加して歌っているカヴァー、#7Thank Youは、
派手なシンセでモダンな音になっていて、Catによるジャジーなピアノソロと、
ファンキーなギターや野趣あふれるボーカルと見事な対照をなしています。お気に入り。
#8Inside Outは、乾いた、歯切れの良いフラムが堪らないグルーブを生み出すドラムスが
支配する中で、シンプルな繰り返しをひたすら続けるメロディが頭に残る
ダンサブルな一曲。これも良い。
#9Out Of Controlは、粘りつくベースラインに、デジタルでハウスを思わせる音色(人力ですが)
のリズムが絡みつくファンク。そのまま濃度を落とさず肉体的な#10Back On Trackへと
繋がって行きます。Al McKayのカッティングと巧みなコーラスワークが聴き所です。
シームレスに続く#11The Love That You Haveは、分厚いシンセのバッキングと、
メロディの間を縫って入ってくる山岸潤のブルージーなリードギター、ギターソロが素晴らしい。
Sheila E.がティンバレスで参加している#12Galaxyでは、ドラムソロの後、
Karl PerazzoとSheilaによる激しいインタープレイが入っています。
アウトロではザッピングするように今までの曲が流れた後テンポダウンして
ヒップホップ的なグルーブへと変わり終わっていきます。
Zakir Hussainがタブラで参加している#14Take The Timeは、グッとテンポを落とした一曲で、
スラップの入ったベースともたれかかったドラムス、奇怪でエスニックなトーンのシンセソロが
あり、後半ではドラムンベースの如く、激しく、細かいビートを刻むタブラソロが待ち受けています。
メロウに歌うボーカルとゆったりとしたドラムスにDavid T. Walkerの渋いギターが
絡みつくAOR的な#15Love Is The Answerは、サビ前で少しファンキーになって、
ソウルフルで物憂げなサビへと繋がって行く展開が鳥肌ものです。最高。

アルバム全編を通じて、鋭く乾いたグルーブが流れており、SLTのファンにとっては
堪らないサウンドだと思いますし、ファンキーでキャッチーなフュージョン作品としても
非常に良質だと思います。隠れた名盤。

※CD音源が見つかりませんでしたのでライブ映像を貼っておきます。御容赦下さい。

Split Decision[Live]

13Cats Live Tour 1999

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  1. 2014/09/24(水) 23:59:28|
  2. 13Cats
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今日の一枚(338)

Album: Pandora
Artist: SiM
Genres: Hardcore Punk, Screamo, Metal Core, Reggae

Pandora.jpg

神奈川県出身の日本の4人組ハードコアパンク/スクリーモバンド。2004年結成。
本作は2013年作の3rd。メジャー1st。

元々リーダーのMAH(Vo, G)が高校の同級生で
組んでいたスリーピースバンドのSilence iz Mineというバンドで活動し、
2006年にリードギタリストのShow-Hateが加入してからは、2008年から京都で行われている
ロックフェスである京都大作戦(主催はロックバンドの10-FEET)に出演したり、
インディーでアルバムを発表するなど活動が活発化していきます。
2009年には現在の4人のメンバーが揃うこととなりますが翌年にはツアー中にShow-Hateが
脳梗塞で倒れるという事態となり、3か月ほどはサポートメンバーを迎えてツアーを
続行したようです。2012年にはクリエイティブマンプロダクションが2000年より
東京(会場は千葉マリンスタジアム)と大阪の2か所で行っている国内最大規模のロックフェスティバル
であるSummer Sonicに出演を果たすなど、その名が全国に知れ渡るようになります。
昨年にはcoldrain(coldrainの項を参照)とのツアーを行い、Universalへと移籍、
メジャーデビューアルバムとなる本作を発表します。オリコン週間チャート5位。
結成当初はMuseに代表されるようなUKロックの色合いが強いサウンドの中に、
レゲエやスカのリズムアプローチを取り入れた音楽性でした。
その後ギタリストのShow-Hateが加入してからは、彼の影響もあってよりメタル
(とりわけオルタナティブ・メタル/ポスト・スラッシュ~メタルコア界隈)の音楽に影響を
受けたサウンドへと転換を図っていきます。ブラックメタルやデスメタルに見られるような
スクリーム(グロウル)だけでなく、高音の強いスクリーモ寄りのスクリームを活用した
ボーカリゼーションを見せるMAHは、PVでもそのルックスで一際目立つ存在です。
曲の構造としては、スラッシュメタルに近しいリフワークを中心とした疾走感あふれるパート、
それに対して時折スウィンギーなドラムスやカッティングを中心としたパートが
挿入されるように展開したり、うねりの強いベースが、ダブステップを意識したような
シンセベースに近い音作りを取り入れたパートがあったり、シンセによる電子音を散りばめた
アンビエントなパートがあったりと、一曲の中で目まぐるしい展開を見せていますが、
緩急の付いたリズムワークとバキバキに堅いグルーブのお蔭で、
統一感があってメロディアスなサウンドに仕上がっていて、非常に個性的なバンドだと思います。

#1Pandoraはエフェクトの掛かったスクリームのイントロとブレイクを挟んで、
軽快なブラストビートの中で疾走する短い一曲。
#2Who's Nextは、粒の荒くバリバリした歪みのリフがスラッシーなメロ部分と、
サビではきっちりとポップなパンクロックになっていて、この辺が日本のバンドらしい感覚があります。
最後の1:40辺りではドロドロしたエレクトリック(?)レゲエのパートへと変化します。お気に入り。
#3Pieces of Troopsは、タムが何ともクサいリズムパターンにブリブリしたベースが楽しい。
テーマとなるギターリフはパンキッシュで、ラフな感じで良いです。
冒頭からひたすらに疾走する#4BRAiNは、ライブで熱い客が頭を振る様子が浮かんでくるようです…
と思わせながら中間部からは再びエレクトリックレゲエの空間へと早変わりします。
#5Blah Blah Blahは、メタルコア的なリフとキックの入れ方など如何にもメロコアという
ドラムスが結合した前半はいつも通りと言う感じですが、途中で音頭に近い
スウィングの電子音が出てきたり、後半では派手にツーバス踏みながら
疾走したりと展開が多い一曲です。面白い。
ボーカルに激しくエフェクトが掛けられケロっている#7DUBSOLUTION #4は、ドラムンベースのような
リズムパターンが印象的で、冒頭から流れるテーマを変奏しながら進んでいきます。
#8We're All Aloneは、派手にリヴァ―ブの掛かったギターと、とりわけ大きな音で鳴っている
歯切れの良いベースラインが心地良い一曲です。
一気にテンポを落としてオーセンティックなレゲエに近づいた哀愁漂うメロと、
歌謡曲的なメロディのサビの対比が鮮やかな#9Rosso & Dryは、
MAHのブレスリーなボーカリゼーションが素晴らしいです。ギターソロもブルージーで、
エフェクトの掛けられたコーラスとファルセットの絡んだブリッジから
アウトロへと、そしてまたレゲエのパターンになって終わっていきます。最高。
#11March of the Robotsは、歩行するようなドラムスでスロウなデスコアかと思わせておいて、
意味不明な歌詞と、そこから電子音が飛び交う中でジャジーなベースが蠢きまわるという、
何とも変わった一曲。最後はちゃんとパンクしていてこれも楽しい。お気に入り。
#12Dreaming Dreamsは、疾走感たっぷりな哀愁メロコアにスクリームを足した一曲で、
ライブでのコール&レスポンスを意識しているのでしょう。
#13Upside Downは、メタルコアそのものなギターリフのイントロからメロディックなベースと
カッティングが中心となるメロ、ワウの掛かったようなSEをバックにして
グロウルを中心としたボーカルワーク、キメの多いアウトロと
起伏があって飽きさせません。お気に入り。

一曲一曲の長さが短く、その中に様々なリズムチェンジが含まれていて、
スウィンギーでグルーブのあるリズムもあり、スクリーモと言うよりは、
メタルコアに近い音楽性と考えて良いと思います。絶妙に日本人のメロディ、リズム感覚を
取り入れた叙情的でともすればダサいサウンドなのが、独特な魅力を放っています。
ハウスやトランスのようなエレクトロミュージックにさらに接近していくのか、
それともメタルコアで行くのか、今後の動きが気になるバンドです。佳作。

Pandora

Who's Next

Blah Blah Blah

Rosso & Dry

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  1. 2014/09/22(月) 00:41:50|
  2. SiM
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今日の一枚(337)

Album: A River In The Desert
Artist: Paul Jackson Jr.
Genres: Jazz, Fusion, Funk, Smooth Jazz

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アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルス出身のジャズ/フュージョンギタリスト、作曲家、
編曲家、音楽プロデューサー。1959年生まれ。12歳の時にギターを始め、15歳の時に
プロのギタリストとなることを決意します。南カリフォルニア大学に入学してから、
音楽を専攻していました。18歳の頃からセッションマンとして様々なミュージシャンの
レコーディングに参加するようになり、その中でも特に知られているのは、
Michael Jacksonの作品への参加であると思います。オリジナルアルバムのうち、
Thriller(1982), Bad(1987), Dangerous(1991)の三作品で、彼のギタープレイを聴くことが出来ます。
その他にもTemptations, Whitney Houston, Thomas Anders, Patti LaBelle, Chicago, Elton John,
George Benson, Al Jarreau, Marcus Millerなどの作品に参加しています。
アメリカ国内でのテレビ番組でも彼の演奏を聴くことができ、The Tonight Show with Jay Lenoや
American Idolと言った番組でも演奏をしているようです。
影響を受けたギタリストとしてはLee Ritenour, Ray Parker Jr., Al McKay(Earth, Wind & Fire)の
三人を挙げており、特にLitenourについては、彼がソロ活動を行うようになったのが
きっかけでその代役として自分がセッションマンのキャリアを積んで言った、と
Jackson自身が語っているほどです。とりわけ彼のギタープレイで評価されているのは、
コードカッティングを始めとするリズムギターのテクニックやタイム感と言うことになるのでしょうが、
ソロ作品では、甘いトーンと流麗でメロディアスなプレイを堪能できます。
1988年にソロデビューしてからは数年ごとに(一時期はBlue Noteから)作品をリリースしており、
最近ではDaft PunkのRandom Access Memories(2013)のレコーディングにも参加するなど、
活発に活動しています。本作は1993年作の3rd。

ゲストのミュージシャンにはHarvey Mason(Dr),Jeff Lorber(Key), Greg Phillinganes(Key),
George Duke(Piano), Stanley Clark(B), Paulihno Da Costa(Perc)など豪華で、
リズム打込みの楽曲もありますが、それらには当時隆盛を見せていたアシッドジャズのような
(Ronny Jordanのようにヒップホップ寄りのトラックと緊張感のあるプレイというと言い過ぎですが)
雰囲気もありながら、バラードもあって、全体として落ち着いたスムースジャズといった感覚です。

#1Heaven Must Be Like Thisは、Glen Jonesによるソウルフルなボーカルとコーラス、
パリッとしたアタックとオクターブを巧みに絡めたソロが心地良い一曲です。
バックで鳴るストリングス系のシンセはGreg Phillinganesによるものです。お気に入り。
続いてインストの#2Alainは、Gerald Albrightのサックスとギターのユニゾンした
テーマから始まるバラードで、Jeff Lorberのキラキラとしたキーボード、シンセベースの音は
無機質な感じがなく温かみのある音像です。テーマの後のギターソロは
速弾きの多いフレーズですが、至ってクールで落ち着いています。
ソリッドで生々しいキックと乾いたスネア、ウネウネしたシンセベースの作るグルーブが
アシッドジャズ的な#3The Flavorは、ファンキーなカッティングとレイドバックした
オブリガートのタイム感が堪りません。お気に入り。
スムースジャズ~フュージョンと言った感覚の#4Preview Of Coming Attractionsは、
Harvey Mason(Bob James, Chick Corea, Lee Ritenour,Herbie Hancock etc)の、
細やかなアクセントの付いたハットや、エレピのパーカッシブなバッキングに載せて
メロウで流麗なギターが歌っています。エモーショナルなサックスソロを挟んでギターも
ボルテージを上げていきます。アウトロのピアノソロのヴォイジングも素晴らしい。お気に入り。
#5The East From The Westは、アコギのソロがフィーチャーされたパートと、
エレキに持ち変えてのソロが中心となったパートが入れ替わりながら進んでいきます。
アコギの低音弦の温かい響きや粘っこいスライドの音が堪りません。これも良い。
Leon "Ndugu" Chancler(Weather Report, Eddie Harris, Hampton Hawe etc)のスウィンギーな
ドラムスとStanley Clarkeのウォーキングベースの中でオクターブ奏法を多用した
ギターソロが鋭い#6It's A Startは、テンポアップしていきながらBobby Lyle
(Sly & The Family Stone, George Benson, Al Jarreau, Anita Baker etc)の
ファンキーなピアノソロが聴き所です。最高。
Boyz Ⅱ Men(Boyz Ⅱ Menの項を参照)の、1992年に全米1位となったヒット曲のカヴァー
#7End Of The Roadは、ギターインストとしてリアレンジした部分と、
コーラスが入ってくる中でジャジーなソロを弾きまくるパートが原曲を
あまり崩さずに上手く同居しています。
表題曲の#8River In The Desertは、Harvey Masonによる生ドラムと打込みのパーカッションや
ハンドクラップ、歯切れの良いシンセベースの中で浮遊感のあるソロが特徴的です。
Atlantic StarrのリードヴォーカリストであったBabara Weathersの伸びやかなボーカルを
フィーチャーしたブラコンなバラードの#9If I Go Awayは、アコギの音数を絞ったバッキングと、
後半にかけてパワフルになっていくドラムス、そして歪んだトーンの、
泣きのギターソロへと繋がって行きます。
82年から86年まで活動していたゴスペルユニットのBeBe & CeCe Winansの1988年のヒット曲
カヴァーである#10Heavenは、徐々に上昇していくカッティングフレーズが鳥肌ものです。
#11One O'Clock Bluesは、#6と同じ編成によるジャズブルースの一曲で、
一際渋いプレイを楽しめます。

派手なテクニックやアウトフレーズに満ちた緊張感のあるプレイが楽しめる、
というわけではありませんが、カッティングやソロのリズムの緻密さや
一転の曇りの無い清澄なトーンを楽しめる、落ち着いた、スムースな佳作です。

Heaven Must Be Like This

The Flavor

Preview Of Comming Attractions

End Of The Road

If I Go Away

Heaven

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  1. 2014/09/21(日) 19:59:51|
  2. Paul Jackson Jr.
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今日の一枚(336)

Album: Evolve
Artist: Chelsea Grin
Genres: Deathcore, Black Metal, Progressive Metal, Metalcore

Evolve.jpg


アメリカ、ユタ州ソルトレイクシティ出身のデスコア/ブラックメタルバンド。
2007年結成。本作は2012年作の2ndEPで、オリジナルアルバムは3枚発売しています。
トリプルギターにベース、ドラムスとボーカルという(現在はツインボーカルとなっているようですが)
変則的な編成で、結成以後、様々にメンバーを変えながら活動しています。
激しいスクリームとブラックメタルを思わせる歪んだバッキング、
その中に電子音を取り入れたサウンドと言う点で、流行のサウンドと言えるでしょう。
疾走する楽曲は少なく、重いリズム隊(とりわけPablo Viverosのバスドラムは人間離れした
パワーがあります)とJason Richardsonを中心とするテクニカルなギター、
ストリングス系のシンセの音色のためにプログレメタル(ギターリフの断片化はDjentのそれに
近いと考えてよいと思いますが)に近い部分もあります。
彼らはEric Rushingによって設立されたArtery Recordings(カリフォルニア州サクラメントに
あります)と2009年に契約を結んで作品をリリースしており、2ndフルのMy Damnation(2011)と
本作はBillboardのHard Rockチャートでそれぞれ6位と4位を獲得するなど、
スマッシュヒットとなっており、最新作も4位となっていて、彼らへの期待の大きさが窺われます。
昨年はEverytime I Die、今年ではSuiside Silenceのツアーのオープニングアクトを務めたり、
多数のバンドのサポートとしても全米、全豪でのツアーも経験しています。
他にも、アメリカ最大級の複合型フェスティバルの一つであるWarped Tourにも参加しています。
プロデュースはジョージア州アトランタ出身のデスメタルバンドであるDaathのギタリスト
であるEyal Levi(1979-)が担当しています。
デビュー当時は全曲スクリームによるボーカルでしたが、
本作では唯一のオリジナルメンバーであるAlex Koehlerがスクリームで、
そしてドラマーのPablo Viverosがクリーンボーカルで歌っており、
電子音の割合も増えていて、本作を転換期としてサウンドが変化しています。
#1The Second Comingは、ストリングスの低音とミニマルな電子音が飛び交うイントロから、
突如としてスクリームが入り、メタルパートへと変化していきます。
Meshuggahhのような極低音のギターリフと、異常に粒の揃ったバスドラムが強烈な存在感を
放っています。タッピングを絡めたリフからスクリームを挟んでブレイクダウンがあり、
長いギターソロへと繋がっていきます。お気に入り。シンフォニックに終わっていきながら、
そのままシームレスに激しいバスドラムの連打の中で続く#2Lilithは、
False Chordとスクリームを巧みに使い分けるボーカルワークが聴き所です。
サビではクリーンによるメロディがあって、リードギターのフレーズも音も殆ど歪んでいなくて、
Dream Theaterのようでもあります。
長いスクリームでフェードアウトし、#3S.H.O.Tでは、緩急の付いたギターリフに、
メタルコア~グルーブメタルのような感覚があって異色な一曲です。
ギターソロは、ボーカルこそ歪んでいますが、
かなりクサいメロディを弾いていて好みです。お気に入り。
#4Confessionは、絶妙にバスドラムとユニゾンしたDjentなギターリフが中心となっており、
オブリガート的に入れられるリードギターがこれまたキャッチーです。
サビではベースも楽しげに歌っていて素晴らしい。テンポダウンしながら終わっていきます。
冒頭からキャッチ―でポップな#5Don't Ask, Don't Tellは、クリーントーンによるアルペジオと
シンセの印象的なバラードかと思わせておいて、所々フラッシュバックするかのように
メタリックなギターが挿入されていて面白い構造の一曲です。
中間部にはミニマルなパートがあり、本作の中でも特に長いのギターソロが用意されています。
トレモロ奏法は音の粒が揃っていて心地良いです。アウトロでは壮大なコーラスが入っています。
ボーナストラックとしては、2010年作の1stフル、Desolation of Edenに収録されていた
The Human Conditionのリミックスが収録されています。
スロウテンポなデスコア、ドゥームメタルと言う印象が強かったであろう彼らですが、
本作ではよりシンセサウンドが強調された形となっています。
最新作もこの流れを引き継ぐ形のもののようですし、
本作は重要なターニングポイントとなる作品なのでしょう。
ライブでこれらの楽曲がどう昇華されるのか、見てみたいです。

The Second Coming

S.H.O.T

Confession

Don't Ask, Don't Tell

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  1. 2014/09/18(木) 15:56:39|
  2. Chelsea Grin
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今日の一枚(335)

Album: Whatever It Takes
Artist: Cheryl Lynn
Genres: R&B, Disco, Soul, New Jack Swing

Whatever It Takes

アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルス出身の女性ソウルシンガー。1957年生まれ。
幼いころから教会の聖歌隊に所属し歌を歌っており、ミュージカルのThe Wiz
(L. Frank Baum作のThe Wonderful Wizard of Ozを当時のアフリカンアメリカン達の
文脈の中で再構築したという作品のようです)に出演したことがきっかけで、
1976年にテレビのオーディション番組The Gong Showに出演して歴代最高得点を獲得、
これをきっかけにデビューの誘いが殺到しました。CBS Sonyと契約し、1978年にデビューを果たします。
彼女の最大のヒット曲となったディスコ・クラシックを代表する名曲である
Got To Be Realは、TOTOのキーボーディストとして知られるDavid Paichと、David Fosterの二人に
よるプロデュースで、Billboard Hot 100では12位、USR&Bでは1位を獲得しました。
直後に発売されたアルバムCheryl Lynn(1978)は100万枚を売り上げ、USR&B#5, US#23と、
大ヒットとなりました。Judy WiederとJohn Footmanの共作によるシングルStar Loveは
全米1位を獲得、他にもTOTOの1stアルバムに収録されている名曲Georgy Porgyでの
バックグラウンドボーカルとしても、彼女の声を聴いた方は多いと思います。
その後もRay Parker Jr., Luthar Vandrossなどのプロデュース(Vandrossとのデュエット曲
であるIf This World Were Mineも有名曲ですが)により主に70年代末から
80年代初頭に、良質なダンスミュージックのヒット作を連発しています。
他にもJimmy Jam & Terry LewisのプロデュースによるEncoreもUSR&Bで1位を獲得しています。
90年代に入るとレーベルとの契約が切れてソロ活動は下火(NJSの生みの親、Teddy Rileyなどと組んで
ソロアルバム、Good Timeを発売してはいますが)となってしまいます。
本作は1989年作の8th。現在は廃盤となっているようですが、中古レコードショップで
偶然発見したため早速購入に至りました。アルバムヒットとは行かなかった本作ですが、
#2Every Time I Try To Say GoodbyeはシングルとしてTop10入りを果たしており、
良質な楽曲が収録されています。#7Most Of Allを除いて殆どの楽曲は打込みによるサウンドで、
音色には時代を感じてしまう部分もありますが、ストリングス系のシンセの音や、
乾いた、手数の多いドラムスやブリブリしたシンセベースの作り出すグルーブは、
得も言われぬ魅力があり、隆盛の兆しを見せていたニュージャックスウィングの影響下にある
音像と考えれば良いと思います。プロデュースはミネアポリス出身のファンクロックバンド
であり、Princeのバックバンド(アウトテイクを演奏するためのバンドだったそうですが)としても
知られているThe Time(後にThe Original 7venと改名、1981年から現在まで活動中)のギタリスト、
オリジナルメンバーであるJesse Johnson(1960-)が担当しています。
#1Upset!は、シンセベースのキャッチ―なリフを中心として、コズミックなシンセのパーカッシブな
コード弾きとアルペジオ、ファンキーなドラムスで肉体的なグルーブのある一曲です。
低音の艶のあるコーラスもクールで、シャウトを絡めた音程差が激しいフレーズを
エモーショナルに歌いこなしてきます。突き抜けるようなハイトーンも圧巻です。お気に入り。
ヒット曲の#2Everytime Time I Try To Say Goodbyeは、冒頭でスロウなバラードと見せかけて、
へヴィな打込みのドラムスが叩きだす無機質な8ビートと、高音のキラキラとしたシンセが入ってきます。
エッジボイスやノートベンドを巧みに混ぜたボーカルワークを堪能できます。
中間部のタムが左右に振られたインストパートでは、ハンドクラップや
パーカッションが入ってきてハウスのような展開となります。最高。
表題曲の#3Whatever It Takesは、シンセの東洋的な香りのするリフと、ブリブリした
シンセベースのメロディックなベースラインが際立ったスロウでソウルフルなバラードです。
残り1:40辺りからはシンセのミニマルな繰り返しの中でロングトーンが入り、
ゴスペルライクなコーラスが浮遊感のあるパートへと移り変わって行きます。素晴らしい。
高めにチューニングされたスネアと左チャンネルを流れるギターリフでモーダルに展開する
メロ部分が印象的な#4Good For Meは、妖しげな雰囲気があります。
中間部ではスクラッチやサンプリングで声を加工したパートがあり、
ホイッスルに入らんとするようなハイトーンが聴けます。
低音が強調されたベースの音もこの曲のエロティックな雰囲気に合っています。
アウトロにはエモーショナルなギターソロが激しくオブリガートを弾いています。お気に入り。
冒頭にJBの声がサンプリングされた#5Overworked 'n' Underlovedは、
サスティーンの短いドラムベースの音色が歯切れが良く、ギターのコードカッティングまでも
巧みにサンプリングされており、メロディックなサックスソロは箸休めといった感じで、
ヒップホップとのクロスオーバーと言う一曲。後半には何とラップまで
収録されています。これも勿論お気に入り。
#6I Surrenderは、本作の中でも特にハイトーン連発な一曲で、パワフルでありながら、
Whitneyよりも泥臭いテイストのあるボーカルが堪りません。
生演奏によるサウンドで落ち着いた雰囲気のある#7Most Of Allは、如何にも打込みによるサウンド
と言った他の楽曲に比べて聴きやすく、ボーカルのソウルフルな部分が強調されて癒されます。
#8The Bottom Lineは、ストリングス系のシンセの音がNJSを思わせる音で、
シンプルな繰り返しを歌うバックグラウンドボーカルの中でボーカルは
フェイクしながら暴れ回ります。
ミニマルな繰り返しと強力で一貫したリズムパターンを中心としたダンスミュージックの核は
崩さないままに、シンセ(ベース)による派手なリフやサンプリング、リズムマシーンを使った
ドラムスが作る無機質な音が合わさって妖しい魅力を放っています。
NJS好きな方は是非聴いて見られて下さい。隠れた傑作。

Upset!

Everytime I Try To Say Goodbye

Whatever It Takes

Good For Me

Overworked 'n' Underloved

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  1. 2014/09/18(木) 11:48:19|
  2. Cheryl Lynn
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今日の一枚(334)

Album: All In The Name Of Love
Artist: Atlantic Starr
Genres: Soul, Disco, Black Contemporary, Pops

EPSON064.jpg


アメリカ、ニューヨーク、ホワイトプレーンズ出身のソウル/ポップスグループ。1976年結成。
デビュー以来、メンバーを変えながらも息の長い活動を続けています。
77年には活動の場をニューヨークからカリフォルニアのウェストウッドへと移し、
ナイトクラブなどでNewbanと言う名義で演奏していました。
この際にA&Mレコード(Roger Nichols, Sergio Mendes, Burt Bacharach, The Carpenters,
Paul Williams, Police, Sting, Brian Adams, Sheryl Crow, Extremeなどがリリース)
の創始者であるHerb Alpert(1935-)に見出された彼らは、Atlantic
(東海岸の出身だったことに由来) Starrの名を名乗るようになります。
デビュー後には70年代末から80年代初頭に掛けて、US R&BでRadiant(1980)が#5,
Brilliance(1982)が#1を記録するなどアルバムヒットを生み出していましたが、
シングルはポップチャートではそれほど大きくヒットしていませんでした。
彼らにとってのブレイクスルーとなったシングルが1985年作のSecret Loversで、
これが全米ポップチャートで1位を獲得しました。本作はその翌年、1986年にレコーディングされた
1987年作の7th。本作に収録されている#5Alwaysは、US#1, US R&B#1を同時に獲得する
大ヒットとなりました。その後はボーカルを担当していたBarbara Weathers(1963-)など、
各メンバーのソロ活動が中心となっていったため、バンドとしての活動は
徐々に縮小していく結果となってしまいます。
80年代後半の作品らしく、ディスコの影響が色濃く表れたダンサブルな楽曲や、
当時流行していたブラックコンテンポラリーの派手なシンセサウンドが中心で、
今聴くと時代を感じてしまう部分もありますが、Barbara Weathersの、泥臭くなく、
温かみがあってトラックに溶け込んだボーカルは素晴らしいと思います。
#1One Love At A Timeは、歯切れの良い打込みのドラムスとブリブリした
シンセベースの作るグルーブはディスコサウンドそのものと言う感があります。
続く#2You Belong With Meも極めてダンサブルな一曲ですが、ドラムスはDanny Athertonが
叩いておりへヴィ―なグルーブがあります。彼らとは付き合いの長いDavid Cochrane(G)の
鋭いカッティングとオブリガートが生々しいです。お気に入り。
#3Femalesは、冒頭から流れるベースリフを中心としてファンキーに展開していますが、
リズムはあくまでダンスミュージックという感覚です。
バラードの#4Don't Take Me Grantedは、Barbara Weathersの多重録音による美麗なコーラスが
聴き所ですが、曲中絶えず流れているDavid Cochraneの単音カッティングも素晴らしいです。
大ヒット曲となった#5Alwaysは、David LewisとBarbara Weathersによるデュエット曲で、
二人の声のトーンが完璧に混ざっていて、淡々と歌っていますがただただ心地いいハーモニーです。
Gene Pageによる高音の透き通ったストリングスも最高です。お気に入り。
Maurice Whiteによるプロデュースの#6Armed And Dangerousは、派手なシンセの音作りは
後のニュージャックスウィングを思わせ、都会的なサウンドをバックに、
Gerald AlbrightのエモーショナルなサックスソロとDavidの野性的なボーカルが吠えています。
アウトロのMarlon McClaine(Pleasureというジャズファンクバンドのギタリスト、作曲家。
Jeff Lorber, Kenny Gなどに楽曲提供もしているようです)によるギターソロも会心の出来です。最高。
#7Let The Sun Inは、スラップベースの生み出すグルーブを中心とした、ダークな雰囲気のある一曲です。
Barbaraによるドリーミーなコーラスと、時代を感じるシンセのバッキング、
フュージョンライクなサックスソロも入っています。
生のリズム隊による#8Thankfulはサザンソウル風のバラード、キラキラとした
シンセが彩るクワイエットストームなバラード#9I'm In Loveに続いて、
ポエトリーリーディングから始まる表題曲の#10All In The Name Of Loveは、
ジャジーなデュエット曲になっています。
ボーカルとユニゾンするシンセとアウトロのクラシカルな速弾きのギターソロが熱い
#11My Mistakeも上質なバラードです。
打込みとストリングス、シンセ、生演奏を交えてポップに作られた
80年代後半のブラックコンテンポラリーの典型的な音像で、疲れた時に聴きたくなるスムースなサウンドです。

You Belong With Me

Always

Armed And Dangerous

Let The Sun In

All In The Name Of Love

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  1. 2014/09/13(土) 16:36:42|
  2. Atlantic Starr
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

今日の一枚(333)

Album: The Score
Artist: Fugees
Genres: Hip Hop, Soul, Reggae

The Score

アメリカ、ニュージャージー州サウスオレンジ出身のヒップホップグループ。1992年結成。
メンバーはLauryn Hill, Wyclef Jean, Pras Michelの三人で、三人ともラップを担当するだけでなく、
HillとMichelはボーカルも担当しています。活動期間は短く、結成5年目の97年で解散してしまいますが、
1996年作の2ndである本作は1700万枚を売り上げる大ヒットとなり、97年のGrammy Awardで
Best Albumを受賞、Roberta Flackの同名曲をサンプリングしたシングルである、
Killing Me Softly With His SongがBest R&B Groupを受賞しました。
この直後からメンバーはソロ活動を活発化させ、メンバーであったLauryn Hillはソロデビュー、
1stアルバムであるThe Miseducation of Lauryn Hill(1998)はGrammy Awardで11部門を受賞、
1200万枚を売り上げる結果となりました。
Wyclef JeanはDestiny Child, Carlos Santanaなどのプロデュース活動を中心として活動を続けています。
Fugeesとしては2004年に一度再結成を果たしており、そのライブの模様は
映画Dave Chappelle's Block Party(2004)に収録されていますが、ゲストとして
Kanye West, Jill Scott, Erykah Badu, The Roots, Common, John Legendなど、
ネオソウルやヒップホップ界隈の名だたるミュージシャンが参加しています。
大ヒットした本作では、サンプリングネタのセレクトに大ネタ(有名曲)が多く、
ソウル色、レゲエ色が濃厚な作品に仕上がっています。
オルタナティブ・ヒップホップ(Native Tongueとも言います, A Tribe Called Quest,
De La Soulの項を参照)を代表する作品として、Ramsey LewisやThe Headhuntersのような
ジャズファンクの作品や、The Flamingosのような1950年代のドゥーワップ、
スパニッシュギターの名手であるFrancisco Tarrega、レゲエの神様であるBob Marley、
ニューソウルではRoberta Flack、Enyaなどを取り上げて、独自の世界観を創り上げています。
ラップを中心としたメロ部分と、Lauryn Hillのソウルフルなボーカルを中心としたサビとの
対比が明確に行われた構造を持っており、ポップで聴きやすい作品に仕上がっているので、
これほどのビッグヒットになったのも納得できます。
短いピアノループと、サスティーンの短いスネアが乾いた感覚のある#1Red Introから始まり、
#2How Many Micsは、トレブリーなシンセのリフに幾重にも重ねられた訥々としたMC、
トンネルを走る車のブレーキ音のようなSE、咳の音が印象的です。
ヒット曲の#3Ready Or Notは、フィラデルフィアソウルの知る人ぞ知るグループとして、
Aretha Franklin, Jackson 5, Swing Out Sister, Manhattan Transferなど、
有名アーティストにカバーされることの多いThe DelfonicsのReady or Not, Here I Comeを、
EnyaのBoadiceaを用いて再構築するという試みが行われています。
フックの部分は原曲の雰囲気を余り崩さず、シンフォニックなアレンジが施された原曲よりも、
ソリッドで歯切れの良いドラムと、左右に揺れたストリングスが不穏な空気を醸し出しています。
Laurynの気怠いボーカルも最高。お気に入り。
#4Zealotsは、The Flamingosの1959年の名曲、I Only Have Eyes For Youからサンプリング
(日本人的には山下達郎がOn The Street Cornerというドゥーワップのカヴァーアルバムの
中で取り上げています)された、リヴァ―ブの掛かった美麗なコーラスをバックにして、
徐々にビートが強くなっていきます。パトカーのサイレンの音が入ってシームレスに
#5The Beastへと続いていきますが、こちらは冒頭の派手なスクラッチから始まって、
牧歌的なHeadhuntersのサンプルをバックにして、ドラムスの叩きだすグルーブにはカリブっぽい
香りがしていて素晴らしい。お気に入り。
Ramsey Lewisの浮遊感たっぷりなエレピの音と、ブルーアイドソウルを代表するシンガーソングライター
の一人であるTeena Marieのヒット曲、Ooo La La La(1988)のポップなフックをサンプリングした
#6Fu-Gee-Laなんかには、00s初頭のネオソウルに繋がっていく部分が多いように感じます。お気に入り。
ノイズ混じりのトラックとドライなラップ、アウトロのアコギのトレモロ奏法が
不安感を煽る#7Family Businessも良い。ファミコンのようなシンセを挟んで、
Roberta FlackのあのKilling Me Softlyの声がもう入ってきています。
#8Killing Me Softlyは、Lauryn Hillのボーカリゼーションが前面に押し出された一曲で、
無機質なドラムスのビートとボーカルのみでサビまで進み、元のレコードのリヴァ―ブの
感じを生かしたサビのバックに、巧みにラップが重ねられています。お気に入り。
表題曲の#9The Scoreは、70sに活動したファンクバンドのCymandeのDoveからサンプリングした
弾けるようなトーンのギターがアクセントになっていますが、トラック全体は非常に渋い魅力があります。
Everybody Plays The Foolのヒットで知られるThe Main Ingredientの楽曲を
サンプリングした#11Cowboysは、冒頭から入ってくるシタールのフレーズが頭から離れません。
アコギの弾き語りを中心にしたBob Marleyのカヴァー#12No Woman, No Cryは歌詞も変えられ、
原曲よりもジャジーなアレンジになっています。
最後を飾る#13Manifest/Outroは、80s末に結成したヒップホップグループである
Poor Rightenous Teachersの楽曲がサンプリングされており、
本作の中でもとりわけアグレッシブなラップと、フックでは激しいスクラッチが楽しめます。お気に入り。
サンプリング元の楽曲に有名作も多く、メロディックでポップな感触もあって、
ヒットするべくしてした作品だということをひしひしと感じます。傑作。

Ready Or Not

The Beast

Fu-Gee-La

Killing Me Softly

Manifest/Outro

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  1. 2014/09/10(水) 01:35:52|
  2. Fugees
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今日の一枚(332)

Album: Reformation
Artist: Break Reform
Genres: Electronica, Minimal, R&B, Dub, Jazz

Reformation.jpg

イギリス、ロンドン出身の3人組ジャジーヒップホップ、エレクトロニカグループ。2003年結成。
2005年作の2nd。メンバーはシンガー、作詞家のNanar Vorperianと、トラックメイカーの
J.J. Webster,DJで本作をリリースしたレーベルであるAbstract Blue Recordingsのトップである
Simon Sの三人で、ロンドンのアンダーグラウンド/クラブシーンでヒットしていたようで、
イギリス本国と日本、スペインでリリースされています。
ボーカルを務めるNanarは現在は文筆家としても活動しています。
サウンドとしてはアンビエント的な上物とストリングス、エレピとジャジーなハーモニーに、
ヒップホップやダブ的な、乾いていてソリッドなリズムトラックが組み合わさったもので、
アシッドジャズムーブメントのGiles PetersonやJazzanovaなど
(The Brand New Heavies, Jazzanovaの項を参照)に見いだされ、日本国内でも
評価を得ています。スロウ~ミドルテンポの楽曲が多く、全体として落ち着いたサウンドで、
Nanarの透き通ったボーカルや、クラシカルなストリングスを取り入れた
アレンジのお蔭もあって、どこか神秘的な雰囲気を纏っています。
#1Trustは、今で言うところのRobert Glasperを思わせるようなアナログシンセの音が揺れた
ジャジーなバッキングに、様々なSEを加えてシンプルなリフレインの歌詞を淡々と歌っていきます。
後半になるにつれてキックの音が強調されて生々しく展開します。お気に入り。
#2Neptuneは、サンプリングによると思われるウッドベースとリムショットのリズムが左チャンネルに、
ピアノが右チャンネルへと振られ、ラップの如くリズムの中で絶妙に動くボーカルが、
浮遊感を生み出しています。
波の音のSEが左右に動きながら、ゆったりとしたテンポでピアノとオルガンが入ってくる#3Waitingは、
ボーカルにエフェクトを掛けながらサックスやシンバルが入ってきたりと意表を突いています。
一転してソリッドな音色でレイドバックしたリズムと、フェイザーの掛かったキーボードが妖しげな
#4And Iは、冒頭のリフが延々と繰り返される中でメロディが入っていくファンキーな一曲。
サビでは甘いコーラスの絡みが心地良いです。お気に入り。
派手なストリングスとウッドベース、フルートのリードプレイが印象的な#5Nevermoreは、
饒舌なヴィブラフォンのロングソロが聴き所です。
ミニマルでアンビエントなインストの#6Abstract Blue LIは、ノイジーなエフェクトの掛かった
サンプリングボイスを随所に取り入れながら、ピアノのループとサスティーンの短い
キックやスネアが無機質で不安感を煽リ立てています。お気に入り。
#8Cut A Map In The Soles Of May Feetは、レコードの針のノイズのような音が入り、
サンプリングによるホーンが、遥か彼方で鳴っているような定位感が印象的なトラックの中で、
語りに付けられたメロディには東南アジアのようなテイストがあります。
落ち着いたトラックが多い中で一際アップテンポでキャッチ―な#9The Giftは、
軽快なリズムトラックに載せられたハネたピアノのフレーズと、フルートが派手にソロを取ります。
繰り返されるメロディが耳に残ります。
生々しいアコギのアルペジオを絡めたリフを中心として展開する#10They Are Hisは、
後半になると16分のハットが入って、エレピの音もノイズ交じりになっていく展開が良い。
#11It's Loveは、フックの部分に重ねられたコーラスの声がどこまでも透き通っていて堪りません。
後半からアウトロに向けてコズミックなシンセと電子音が散りばめられてトリップできそう。最高。
#12Lament OF An Unborn Childは、切り貼りされたシンバルレガートのループの中に
微かな音でスネアが配置されたリズムと、ウッドベースの繰り返すメロディの中で、
上物はどこか東洋的な香りが漂っています。不思議な曲です。
ジャジーなハーモニーのチルアウトなエレクトロニカで、生の楽器のループと揺れに、
電子音の無機質で滑らかな感触が加わって、冷ややかで神経質で鬱々とした魅力がある佳作。

Trust

And I

Abstract Blue L1

It's Love



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  1. 2014/09/09(火) 00:00:46|
  2. Break Reform
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今日の一枚(331)

Album: Miss Machine
Artist: The Dillinger Escape Plan
Genres: Progressive Metal, Chaotic Hardcore

Miss Machine

アメリカ、ニュージャージー州モリスで1997年に結成されたカオティック・ハードコア/
プログレッシブメタルバンド。元々はハードコアパンクを演奏していたArcaneというバンドが
彼らの前身で、それ以前にもAdam Doll, John Fulton, Chris Pennieの三人はSamsara, Malfactor
といった名義で活動していました。初めてのデモ音源を発表する際に、1930年代の銀行強盗の犯人である
John Dillingerの脱獄事件からThe Dillinger Escape Planの名を名乗るようになりました。
当時のハードコアパンクバンドの中で、彼らの演奏力の高さや暴虐的な音楽性が注目を集めるようになり、
Relapse RecordsからEPのリリースが決定することとなりました。
99年に1stアルバムを発表してからは、アバンギャルドメタルの界隈で評価され、
ファンクメタルバンドのMr.Bungleとツアーを共にする機会を得ます。
00年代に入ってからはAphex Twinのカヴァーを演奏するなど音楽性を広げる一方で、
イギリス国内の有名フェスティバルであるReading and Leeds Festival(Nirvanaのステージが
ライブレコーディングされたことでも知られていると思いますが)で汚物をステージ上で袋に入れて
撒き散らすという暴挙に出るなど、過激なパフォーマンスでもその名を知られるようになります。
本作は2004年作の2ndフルアルバムで、発売後一週間で12000枚の売り上げを記録するなど、
彼らの最大のヒット作となりました。本作リリース後はSlipknot, System of a Down, Megadeth
などのサポートアクトも行うようになります。
1stアルバムの攻撃的でパンキッシュなサウンドから、本作ではさらにアバンギャルドなサウンドを
指向しており、ボーカリストには元々彼らのファンであったGreg Pucitoが参加しています。
プロデューサーには、Alesana, Poison the Well, A Static Lullaby, Sepultura, Symphony X,
Saves the Day, Lifetime, Kid Dynamite, Story of the Year, Every Time I Die,
Earth Crisis, Still Remains, Our Last Night, The Wonder Yearsなど、
90年代前半から現在に至るまで、ハードコア~メタルコア、プログレッシブメタルなどの作品を
数多く手掛けてきたSteve Evettsが担当しています。(彼らの最新作もEvettsがプロデュースを行っています)
ボーカルは基本的にグロウルやスクリームを中心としたスタイルで、
ドラムスの叩き出すビートは、数学的に計算された変拍子を身体に叩き込んで演奏する
プログレッシブロックのそれというよりは、インダストリアルやミニマルテクノ、
ブレイクビーツに影響を受けたような、細分化、断片化されたビートを組み合わせて
巧みにリズムチェンジを行っているように感じられます。
しかしながら、曲中にはスラッシュメタルやブラックメタルに見られるような
リズムのパートも多くあり、この比率が絶妙にコントロールされています。
音は激しく歪んでいますが、フュージョンに近いハーモニーの感覚があって、
その上に多彩なエフェクトの掛けられた電子音やギターが飛び交っている、という異形な音像です。
目まぐるしく動くリズムや繰り返しの少ない曲の構造でありながら、
テクニックの高さに基づいた凄まじい緊張感があり、中毒性のあるサウンドだと思います。
#1Panasonic Youthは、冒頭から激しいスクリームが入っているため音量に注意して下さい。
変拍子のドラムスは目まぐるしくリズムチェンジを繰り返し、リズムギターのフレージングは
Meshugahhやその界隈から派生したDjentのそれです。短いタッピングのフレーズを起点にして、
曲後半ではスラッシュメタルのようなパートもあって楽しいです。お気に入り。
そのままシームレスに繋がっていく#2Sunshine The Werewolfは、激しいブラストビートを
随所に挟んでいますが、ともかくキックの音圧と粒の揃い方には驚かされます。
1:30あたりからはアンビエントなキーボードの鳴る静かなパートがあります。
最後一分ではノイズまみれのスクリームと美麗なストリングスが素晴らしい対比です。お気に入り。
Panteraのようなグルーブメタルを想起させる#3Highway Robberyは、本作の中でも
かなりキャッチ―な一曲に仕上がっています。突如として透き通ったコーラスが入った
パートでリズムチェンジした後は再び元に戻っていきます。
曲の中間部でDream Theaterを思わせるようなテンポの速いコードチェンジがある
#4Van Damselもなかなかにキャッチ―でポップです。
サスティーンの短いドラムスとジャリジャリと歪んだシンセ、ギターの単音カッティングで
静かに展開していく#5Phone Home、ギターリフとドラムスで出来る不気味なポリリズムが
得も言われぬグルーブを生み出す#6We Are The Stormは、左チャンネルを流れるフリーキーな
リードギターが際立っています。静かなパートは必要だったのかと思いますが…お気に入り。
機械音のようなインタールード#7Crutch Field Tongsに続いて、
#8Setting Fire To Sleeping Giantsは、本作の中でも一番激しいスクリームがありながら、
クリーンで歌うパートはコーラスもあったりして、Greg Puciatoの巧みなボーカルワークを楽しめます。
#9Baby's First Coffinは、ブラストとスクリームによるパートとメタルコアなパートが
交互に入れ替わりながら進んでいます。アウトロではドラムの抜けの良さがよく分かります。
#11The Perfect Designは、後半のテンポダウンしてからのスクリームが絶品です。
やはりアウトロは音量注意です。
かなり個性的なため、アルバム通して聴いているとなかなか疲れるサウンドですが、
一曲の中にこれでもかと展開が詰め込まれていて、キャッチ―なパートもあるため、
プログレメタルのファンだけでなく、スラッシュメタルやグルーブメタルの好きな方にも
楽しめると思います。計算された混沌、といった感じの一枚です。

Panasonic Youth

Sunshine Werewolf

We Are The Storm

Setting Fire To Sleeping Giants

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  1. 2014/09/04(木) 15:42:21|
  2. The Dillinger Escape Plan
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

今日の一枚(330)

Album: Scene 29
Artist: JaR
Genres: Soft Rock, AOR

Scene29.jpg


アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれの、音楽プロデューサー、作曲家、ギタリストの
Jay Graydon(1949-)と、アーカンソー州ホットスプリング出身の音楽プロデューサー、
作曲家のRandy Goodrum(1947-)の二人によるAOR/ソフトロックユニット。
Jay Graydonは度々私的名盤紹介で名前を出してきたと思いますが、
プロデューサーとしてはManhattan Transfer, George Benson, Al Jarreau,
Dionne Warwick, Pagesなどのプロデュースを手掛け、ギタリストとしては
Steely Danの名曲Pegでのギターソロ、それ以外でもLAのスタジオミュージシャンとして
Gino Vannelli, Diana Ross, The Jackson Five, Alice Cooper, Cheap Trick,
Christopher Cross, Ray Charles, Marvin Gaye, Hall & Oates, Wayne Shorter,
Olivia Newton-John, Albert Kingなどのバッキングを務めていました。
他には、作曲家としては、Earth, Wind & Fire/After The Love Has Gone,
George Benson/Turn Your Love Aroundなど複数の楽曲でグラミー賞を受賞し、
Manhattan Transfer/Twilight Zone, Al Jarreau/Mornin', Breakin' Awayなど、
David FosterやChicagoのBill Champlinらとタッグを組みながら無数のヒット曲を生み出しています。
FosterとはユニットAirplayを1980年に結成したり、後のTOTOのメンバーとは無数の作品で
レコーディングを共にし、そのシルキーでリッチな音に満ちた作品群は、
未だに衰えぬ魅力を放ち続けています。
一方Randy GoodrumはプロデューサーとしてAnne Murray/You Needed Me, Broken Hearted Me,
Michael Johnson/Bluer Than Blue, England Dan & John Ford Coley/It's Sad to Belong,
Steve Perry/Oh Sherrie, Foolish Heart, DeBarge/Who's Holding Donna Now、そして、
David Foster, Jay Graydonと共にTotoの名曲I'll Be Over Youや、
Chicago/If She Would Have Been Faithful...などを手掛けています。
紹介が長くなりましたが、GraydonとGoodrumは80年代の中頃から共作の経験があり、
MORなポップスを制作してきました。しかしながら今作はキャッチ―なポップスと言う感じではなく、
複雑なハーモニー構成を持ったSteely Danの往年の楽曲を思わせるものになっています。
ボーカルは二人が交代(Goodrumの方が多いですが)で取っており、久々にGraydonの
歌唱が聴ける作品でもあります。楽曲の構造は基本的にGoodrumが作ったと思われますが、
どの曲にもGraydonの流麗なギターソロが収録されていて、
彼のギターサウンドをひたすら聴きたいのであれば、(Airplay For The Planetなど
ソロ作品も素晴らしいですが)十二分に聴く価値のある作品だと思います。
ドラムベースなど、トラックは基本的に打込みによるものですが、音処理は非常に
モダンなイメージで、かっちりとしたグルーブに満ち満ちています。
スタジオミュージシャンによる生演奏ではないため、それがある種音の薄さであるとか
面白味のなさということで解釈されれば、やはり本家のSDのように豪華絢爛に
スタジオミュージシャンを起用して制作すべきではなかったか、ということも
言えなくはありませんが、筆者としては幾重にも重ねられた録音による音とは異なった、
打込みらしい密室感というか、すっきりとした感覚があるので、これはこれで好きです。
特にシンセベースやドラムの音色は、生に近い感触があるのに、音が揺れない感じが
不思議な感覚があって気に入っています。
二人とも長きに渡って活動を続けてきた人物であるだけに、本作は一種の道楽のようなものでは
あるのでしょうが、サウンドの完璧な配置と計算に対する拘りの強さを窺い知ることができます。
Graydonのギターソロは、かつてのプレイよりもさらにピッキングのアタックが現れない
滑らかなフレージングで、派手な泣きのフレーズよりも、複雑なコード進行の中で饒舌な
ソロを取るために、スケールに則ったプレイが印象的です。
シンコペーションしたアコギのストロークとフュージョン的なシンセベースが印象的な
#1Cure Kitは、サビのボーカルに掛けられたエフェクトにモダンな感覚があります。
Graydonのソロはピッキングの数が少なく最近の彼らしいプレイです。
#2Call Donovanは、メロ部分に多用されるコーラスがハーモニーに緊張感を与えており、
ファンキーなドラムスと、低域の強いトーンのベースが良く合っています。
ギターソロはスケールライクなフレーズを中心としていて、ハーモニクスの音が心地良いです。
エンジン音のSEが入ってフェードアウトして行きます。お気に入り。
4ビートを刻むドラムスは柔らかい音に変化して、ウッドベースがジャジーな#3Esquireは、
スウィンギーで異色な一曲です。ここでもサビではボーカルにはオートチューンのようなエフェクトが
掛けられています。最後の1分弱からリズムチェンジしてフルートのロングソロ、
そしてアウトロにはロック的なギターソロが収められています。
派手にワウの掛けられたシンセのリフを中心に展開する#4Make Somebodyは、
単音カッティングのバッキングや、ギターソロ、フルートソロの入り方が面白いです。
#5Your Heartbreakは、渋い楽曲の多い中でとりわけポップなサビが印象的な一曲です。
短いギターソロの後は、細かくコードチェンジしながら転調していく展開が洒脱です。
ボーカルも熱を帯びた感じで素晴らしい。お気に入り。
グッとテンポを落としたバラードの#6Worlds Apartは、穏やかなストリングスを加えた
メロウでジャジーな一曲です。アコギのオブリガートも音数が絞られています。
表題曲の#7Scene 29は、抑制されたメロ部分ではベースラインが際立っていて、
サビに掛けては細かなキメとブレイクを挟んでスウィンギーなサビへと繋がっていきます。
#8GPSは、冒頭から流れる短いリフをシンセとギターがユニゾンして行く中で、
鋭さを増した打込みのドラムスはさながらKeith Carlockの叩きだすようなグルーブがあって
かなり好みの音です。ギターソロもこのグルーブに完璧に乗り切った
音の伸ばし方で最高。お気に入り。
#10Glen's Hairは、ブライトなシンセのイントロにTOTOっぽさを感じます。
ライブをもしやれば(??)サビのlalalaで合唱できそうです。ギターソロは珍しいほどに弾きまくっています。
#11The Cabo Cadはソウルっぽい香りのするハーモニーが特徴的で、
アウトロでのシンセとギターによる激しいソロ合戦が楽しめる一曲になっています。お気に入り。
打込みによる揺るがないサウンドと練られたハーモニーに、Graydonによるギターソロが合わさって、
パッと聴いた感じでは生々しいようでありながら、無機質で現実離れした浮遊感があります。
佳作。

Your Heartbreak

Scene 29

GPS

The Cabo Cad

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  1. 2014/09/04(木) 14:11:36|
  2. JaR
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
下さったら嬉しいです。
※Twitterもやっております。
アカウント名はprivategrooveです。
https://twitter.com/privategroove
こちらでもおすすめの音楽など情報を流しております!
フォロー下さると嬉しいです。
可能な限りフォローバック、コメントしに参ります。
※放送企画として「私的名盤放送」というラジオを配信しております。
ツイートキャスティングホームページをご覧下さい。不定期に配信、Twitterにて情報を呟いております。ハッシュタグは「#私的名盤放送」です。宜しくお願い致します。
http://twitcasting.tv/privategroove

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