私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(352)

Album: CIRCUIT of RAINBOW
Artist: Anri(杏里)
Genres: Pops, AOR, Funk, Fusion

Circuit Of Rainbow


神奈川県大和市出身の歌手、シンガーソングライター。本名は川嶋栄子。1961年生まれ。

歌手デビュー以前はモデルの仕事をしており、1978年に
尾崎亜美作詞作曲によるシングル、"オリビアを聴きながら"でデビューを果たします。
この曲は発売当初こそさほどヒットしなかったものの、
現在では稲垣潤一、徳永英明、河村隆一、Stardust Revueなど
様々なミュージシャンやアイドルにカヴァーされ、
近年ではバンダイナムコゲームズによるテレビゲーム、アニメシリーズの
"アイドルマスター"で、如月千早(CV:今井麻美)によるバージョンなども存在しています。

デビューからしばらくはアイドル/タレント路線での売り出しが強かったようで、
ヒットにはなかなか恵まれませんでしたが、1982年に当時バックバンドを務めていた
小林武史作曲のシングル、"思いっきりアメリカン"がヒットとなります。
この時期からサーフミュージック、ドライブミュージック路線で売り出しをかけるように
なり、良質なシティ・ポップの作品を発表していくこととなります。
1982年作の"Heaven Beach"は小林武史、角松敏生、ブレッド&バターのプロデュース、
翌年のBiKiNiではA面全てのプロデュースを当時まだ無名であった角松に任せ、
テレビアニメ"Cat's Eye"の主題歌となった同名曲が初のオリコン1位となり、
これが彼女のブレイクスルーとなりました。その直後には当時流行であった
ディスコミュージック的なベースライン(青木智仁による)を取り入れたシングル、
"悲しみが止まらない"も大ヒットとなり、紅白歌合戦の出場も果たしています。

1984年以降のソロ作品では海外レコーディングによる作品が増えていくこととなり、
シンセサウンドとダンスミュージックに傾倒したWave,
久保田利伸、原田真二の参加した派手なダンスポップのTrobule In Paradise,
オリエンタリズムを強く打ち出した歌謡ポップスのMystiqueなど、
アルバムごとにコンセプトのある作品を連発しています。

1987年以降のソロ作品では自身による作曲、プロデュースで作品を
リリースするようになり、作詞には吉元由美、アレンジには小倉泰治を迎えて
制作することが増えていきます。1991年作のNeutralは唯一のミリオンヒット
となりました。本作はセルフプロデュースによる1989年作の13th。
参加ミュージシャンは正に恐るべきメンバーで、
Philip Bailey(Cho), John Robinson(Dr), Jeff Porcaro(Dr), Freddie Washington(B),
Neil Stubenhaus(B),Paul Jackson Jr.(G), Dean Parks(G), Alan Pasqua(Key),
Lenny Castro(Perc),などです。第13回日本レコード大賞アルバム大賞を受賞しています。
フュージョン~AORサウンドへと大きく傾いた本作は、優れたスタジオミュージシャンによる
グル―ヴィーな演奏が、CD初期の録音とは思えない滑らかで生々しい音で収められています。
曲ごとのPersonnelが参照できないため、筆者の耳による推測であり正確でない部分も
あると思われますが、見ていきましょう。

#1The Break Of Dawnは、コズミックなシンセとアフリカンなパーカッションの絡みつく
幻想的なインスト。SEには波の音が入れられています。
表題曲の#2Circuit Of Rainbowは、鋭くトレブリーなカッティングと、
キメを連発するフュージョンライクなリズム隊がファンキーな、Earth, Wind & Fireを
思わせる一曲です。メロウなサックスソロがありフェードアウトして行きます。最高。
一転して打込みのビートにぶっといシンセベースの絡むダークなブラコン風味#3Asian Girlは、
Dean Parksの歪みのギターソロが熱いです。
アジアっぽさはコーラスやシンセのオブリガートに散りばめられています。
Jeff Porcaro(Dr)のへヴィ―でもたれかかったリズムパターンに鋭いハットのフィルが堪らない
#4Shoo-be Doo-be My Boyは、うねるベース、サックスソロに、もはや彼女のボーカルを
圧倒的に凌駕するソウルフルなコーラスが聴き所です。最高。
ダンサブルで疾走感溢れるシティポップス#5失恋ゲームが終わるまでは、
ホーンのオブリガートは実にフュージョン的で、緊張感のあるインストパートでは
Porcaroの手数の多いドラムスがクールです。これもお気に入り。
バラードの#6Who Knows My Loneliness?は、スウィンギーなリズムと派手なホーン、
コーラスのアレンジが少し時代を感じますがこれも良いです。Philip Baileyはこの曲のみ参加。
#7Havana Beansは、Freddie Washingtonと思われるスラップベースと、
Dean Parksのスケールライクな、歪んだ鋭いソロが楽しめるスキット。
再びJeff Porcaroが叩いていると思われる#8Groove A Go Goは、
ジャリついたスラップベースとシンセベースを合わせたラインに、
長くジャジーなピアノソロ、アウトロではホーンが唸っています。お気に入り。
#9P.S.言葉にならないは、煌びやかなアコギのアルペジオに単音カッティング、
John Robinson(Dr)の叩きだすゆったりとしたリズムに柔らかくて無垢なボーカルが映えています。
エモーショナルで暖かいギターソロはPaul Jackson Jr.のものと思われます。
山下達郎/いつかの伊藤広規のベースラインにクリソツな#11センチメンタルを捨てた人は、
Freddie WashingtonとJohn Robinsonのリズム隊と思われます。
夏や海をテーマとする歌詞とキラキラとしたバックトラックに
やはり彼女のボーカルはよく似合っています。
アウトロのギターソロはDean Parksで弾き倒しています。お気に入り。
キーボード弾き語りにストリングスを加えたバラードの#12Lovers On Venusで
ドラマティックに終わって行きます。

バブル時代も終焉を迎えつつある時期の作品で、当時の熱狂していたらしい日本を知らない
平成生まれの筆者ですが、この作品を聴いているとその空気、残り香を感じられるようで、
元気になるような、切なくなるような気分です。

現在再評価されているシティ・ポップスのフラッグシップと言ってもよい音だと思います。
紛れもない名盤。

Circuit of Rainbow

Shoo-be Doo-be My Boy

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  1. 2014/11/28(金) 01:45:26|
  2. 杏里
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今日の一枚(351)

Album: 黄昏エスプレッソ
Artist: 堂島孝平
Genres: Pops, AOR, Soft Rock

黄昏エスプレッソ

大阪府大阪市生まれ、茨城県取手市出身の日本のシンガーソングライター、
作曲家、編曲家。1976年生まれ。神奈川大学経営学部中退。

幼少期からピアノ、14歳の時にギターを弾き始め、高校在学中、1993年に行われた
ヨコハマハイスクール HOT WAVE Festivalという高校生のための音楽コンテストで
イメージソング賞を受賞し注目されたことがきっかけで、
1995年に日本コロムビアからメジャーデビューを果たします。
その後はなかなかヒットに恵まれませんでしたが、6thシングルの"ロンサムパレード"の
ヒット、そしてテレビアニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」のオープニングテーマとして
使われた7thシングル"葛飾ラプソディー"も有名曲となっています。
2000年からは自身でアレンジも手掛けるようになり、2003年には
徳間ジャパンコミュニケーションズ、2007年にはバップへと移籍し、テレビCM楽曲の制作、
Kinki Kids、声優、歌手の飯塚雅弓などへの楽曲提供も行いながら、
現在に至るまで活発に活動を続けています。

本作は2000年作の6thアルバムで、プロデュースにはバンド時代のOriginal Loveの
メンバーとして活動していた(Original Loveの項を参照)宮田繁男(Dr、松任谷由実など多数)、
元Pizzicato Fiveのサポートメンバーの中山努(Key)、真心ブラザーズの
桜井秀俊の三人が担当しています。その他、スタジオミュージシャンには
鈴木茂(G)、古川昌義(G)、中西康晴(Key, Pizzicato Five)、渡辺等(B)、
小松秀行(B, Original Love)、佐々木久美(Cho)、真城めぐみ(Cho)などが
参加した豪華な編成となっています。

シンプルでポップな楽曲と甘く柔らかくて無垢なボーカルに、
鋭くフュージョンライクなリズム隊、浮遊感のあるシンセやエレピ、
緻密なストリングス、緊張感あるホーンを配した楽曲など、
全体としてはブラックミュージック的な、肉体的なグルーブの強い作品に仕上がっています。
その中で、鈴木茂のカラりとした歪みのギター、古川昌義の丸く角の取れた
クリーントーンのカッティング、小松秀行の太くファンキーなベースライン、
宮田繁男の叩き出すフィルなどなど、鳥肌ものの演奏が詰まっており、
ジャケットのコーヒー豆のような豊かで深い渋みのあるサウンドです。

#1流星カルナバルは、レゲエっぽいカッティングやコーラスの掛かったアルペジオ、
真城めぐみのソウルフルなコーラスの作る牧歌的なメロから、
キメの心地良いサビ前の展開がグル―ヴィーでフォーキーな一曲です。
鈴木茂(G)がジャラジャラした低音弦の響きのクリスピーなリフを弾く
#2ラブ・トーク・ショーは、中西康晴のエレピのファンキーなバッキングに山本拓夫のフルートソロが
聴き所です。か弱いファルセットボイスのサビは癖になりそうです。お気に入り。
古川昌義のカッティングから幕を開ける#3センチメンタル・シティ・ロマンスは、
宮田繁男の得意とするフュージョンライクなドラムスと切れのいいホーンが絡みつきます。
フィリーなストリングスが豪華に彩るサビはキャッチ―で、鋭いバッキングの中で
哀しげなメロディが際立っています。最高。
表題曲の#4黄昏エスプレッソは、渡辺等のモコモコしたウォーキングベースに
フォーキーなアコギ、浮遊感のあるエレピのバッキングがメロウなバラードです。最高。
テンポアップして再びフュージョン的な音へと戻った#5涙をとめろは、
生のホーンセクションによる分厚いオブリガート、単音カッティングで疾走感を演出するギター、
かなり大きめに入った佐々木久美の透き通ったコーラスで、キメに向かって
ボルテージが上がって行きます。CHiBUN(G)によるカッティングソロ、ホーンのソロも
かなり長めに入っています。小松秀行のベースも派手にユニゾンして弾きまくっています。お気に入り。
中山努のピアノとCHiBUNのアコギにボーカルが入って始まる音数の少ないバラード
#7Keep on lovin'は、ギターのオブリガートのフレーズに東洋的なフレーズが入っていて面白いです。
#8セピアは、須貝直人の、もう少しロック寄りになったドライブ感あるドラムスと、
桜井秀俊のシタールのミステリアスな響きのフレーズが特徴的なサウンドで、
サビでは金原千恵子をはじめとする生のストリングスが加えられています。
#9フライハイは、矢部浩志(Dr), キタダマキ(B)のさらにラウドなリズム隊となり、
爽やかなポップロックに仕上がっています。
ホーンのジャムがSEに入った#10フルムーンカフェで会いましょうは、
堂島自身による派手なホーンアレンジとアコギ、中山勉のニューオーリンズチックなピアノ、
で暖かくブルージーになっています。これもお気に入り。

10曲入りと短めの内容ですが、かなり緻密に計算されたバンドサウンドと
捻りのありかつキャッチ―な楽曲で、彼の甘いボーカルが最大限に生かされています。
フォーキーで暖かくポップなメロディ、楽曲に、鋭くフュージョン、AOR的な演奏、アレンジが
組み合わさった、非常に良質なポップスだと思います。00年代シティ・ポップスの傑作。

センチメンタル・シティ・ロマンス

涙をとめろ

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  1. 2014/11/22(土) 23:54:12|
  2. 堂島孝平
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今日の一枚(350)

Album: Brown Sugar
Artist: D'Angelo
Genres: Neo Soul, R&B, Soul

Brown Sugar

アメリカ、バージニア州リッチモンド出身のシンガーソングライター、キーボーディスト、
音楽プロデューサー。1974年生まれ。
1990年代末から同時多発的に出現してきたいわゆるネオ・ソウルを代表するミュージシャンと
言われています。オリジナルアルバムは僅か2作品で、本作は1995年作の1st。

本人はMarvin GayeとPrinceからの影響を度々公言しているようですが、
実際には古典的なソウルミュージックに留まらず、ヒップホップ、ファンクのビート、
MCを取り入れた密室的な音像に、自身によるジャジーで浮遊感ある
キーボードプレイが取り入れられた、独特な音楽性を有しています。

父はペンネコステ派の教会の牧師で、他の宗派の人間との関わりを
持たないようにと厳格に育てられていたようです。
3歳の頃に兄からピアノを譲り受けて弾き始めるようになり、
父に習いハモンドオルガンも演奏していたようです。
17歳の頃、当時彼が結成していたMichael Archer and Preciseという
バンドが、ニューヨークのアポロシアターで行われたアマチュアナイトの
コンペティションで成功をおさめ、このことをきっかけにして高校を退学、
ニューヨークへと移り住み、音楽活動に専念するようになります。

I.D.U. (Intelligent, Deadly but Unique)というヒップホップグループに
加入した彼は、その卓越したソングライティング能力で頭角を現すようになり、
1991年にEMIと契約、1994年作のシングルU Will Knowのヒットで一躍有名となります。
この作品は、Black Men Unitedという全員黒人男性アーティストによる
ユニット名義で発表(発表されたのはこの一曲のみです)されており、
Brian McKnight, Usher, R. Kelly, Boyz II Men, Raphael Saadiq,
Gerald Levertといった錚々たるメンバーが参加しています。
全米28位、R&Bチャートでは5位まで上り詰めています。
ソロアルバムでデビューを飾る以前にも、Angie Stone, Erykah Badu,
The Boys Of Harlem, Twiceらの作品にボーカリストとして参加したり、
プロデュースを行ったりしています。

その翌年に発表されたのが本作で、R&B Album ChartではTop 200に65週間連続チャートイン、
最高位は22位、年間で50万枚以上、トータルでは約200万枚を売り上げるという
大ヒットとなっています。彼の商業的な成功によって、
同じくネオソウルと呼ばれる音楽を作り出していたMaxwell, Erykah Badu, Lauryn Hillなどが
続々と発掘され、成功を収めていくこととなりました。
2000年作のVoodooはGrammy AwardでBest R&B Albumを受賞、Slum Village, Anthony Hamilton
(Anthony Hamiltonの項を参照)などをゲストに迎え、ライブツアーを行っています。
2000年以降は他のアーティストとの共演の機会が増え、J Dilla, Common, RH Factor,
Q-Tip, Snoop Doggなどの作品でゲストミュージシャンとして参加しています。
2010年前後からは契約の問題や本人の体調悪化などの原因で活動が停滞していますが、
Pino Palladinoらと制作した数曲の新曲が公開されているなど、徐々にではありますが
発売の準備が進んでいるようです。

温かく倍音豊かな中低音に対して、柔らかく繊細なファルセットのボーカルは、
彼自身が大きく影響を受けたと公言するPrinceのものに近い部分を感じます。
タイトルのBrown Sugarとはマリファナを指す隠語と言うことなのだそうですが、
正に麻薬的な中毒性、浮遊感のある音だと思います。
ハーモニーにはジャズを想起させる部分もありますが、
循環、繰り返しの多い構成になっていて、ライブでのアドリブ演奏を
誘発しやすいようなものだと思います。録音の影響か、全体としては独特のモコモコとした
サウンドで、そのあたりが70sを思わせるという評価を生み出しているのかもしれません。
ただその温かみのある音の質感とは裏腹に、歌い上げられる歌詞は麻薬への礼賛や殺人を
取り上げたものなど、非常にヒリヒリとしていて、
数少ない参加アーティストであるBob Powerのギターは熱量たっぷりで、
ブルージーなフレーズを弾き出しています。
その他にはA Tribe Called QuestでQ-Tipらとともにグループを支えた
Ali Shaheed Muhammedがプロデュースで#1に、Raphael Saadiqは#7に参加していたりします。

表題曲の#1Brown Sugarは、サビの消え入りそうなファルセットの、シンプルな繰り返しによる
サビが得も言われぬ浮遊感があって、背後で雑然と流れている話し声のサンプリングや
エレピのローファイな音と、ヒップホップ由来の生々しいスネアの定位感が中毒を誘います。最高。
#2Alrightは、かなり荒い音質のリズムトラックに、太く低音の出たベースリフを中心とした
これまたミニマルな作りになっていて、後半に向かうにつれてベースも動きを見せてきます。
#3Jonz In My Bonzは、マリンバのような音のシンセとエレピが波打つようなグルーブを作り、
サビでのコーラスの頽廃的な妖艶さは筆舌に尽くしがたいです。
一転してBob Powerによるギターの入った牧歌的なイントロから始まる
#4Me And Those Dreamin' Eyesは、コーラスの音が空間に広がっていく感じが堪りません。
ジャジーなイントロから始まる#5Shit, Damn, Motherfuckerは、動きの少ないメロディで
エレピやギターがフリーキーに弾いており、強烈な歌詞を歌い上げています。
後半ではギターのふにゃふにゃした音が癖になりそうです。
ジャズギタリストのMark Whitfieldが参加した#6Smoothは、Gene Lakeの叩きだす
ヒップホップ的なリズムがどっしりとループされている中で、
緊張感あるピアノソロが展開されている異色な一曲です。
Smokey Robinsonの1979年作品のカバー#7Cruisin'は、生のストリングスを豪華に取り入れた
(デジタルな音処理が施されていて、遥か彼方で鳴っているような感じです)
クワイエットストームな一曲に仕上がっています。お気に入り。
#8When We Get Byは、どっちりとしたウォーキングベースと、乾いたリムショットや
繊細なシンバルの音が暖かくてアナログな感触があります。
アウトロのBob "Bassy" BrockmanによるトランペットソロはMilesを思わせるようです。最高。
#9Ladyは、プロデュースとともにギター、ベースを弾いているRaphael Saadiqの趣味が
少し反映されたファンキーで肉体的なグルーブのある一曲で、幾重にも重ねられたコーラスは
Four Topsのそれを思わせるような美麗さです。Tim Christian(元々はRaphael Saadiqとともに
Tony! Toni! Toné!というNJS関連の音楽グループのメンバーでした。)によるピアノはもう少し明るく
ハッキリとした音で、また違った感触です。お気に入り。
#10Higherは、彼自身によるオルガンと、緻密な多重録音のコーラスのハーモニーを、
Will Leeによる饒舌なフィルが心地いいベースが支えています。

80年代末から90年代初頭にかけて流行していた派手で享楽的なニュージャックスウィングの音から、
70年代的な音へと回帰していきながらヒップホップやエレクトロミュージックとの
クロスオーバーを遂げて変化していくネオソウルをはじめとする現代のブラックミュージックのサウンドへと
変化する時代の、エポックメイキングな作品の一つだったのであろうと感じます。
そんなことはともかく、とにかく、中毒にならずにはいられない、クールで妖艶な魅力のある作品だと思います。

Brown Sugar

Shit, Damn, Motherfucker

Cruisin

When We Get By

Lady

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  1. 2014/11/21(金) 00:34:38|
  2. D'Angelo
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今日の一枚(349)

Album: No Truer Words
Artist: Mark Portmann
Genres: Smooth Jazz, Fusion, AOR

Mark Portmann

アメリカ中西部(Midwest)出身(おそらくオハイオ州シンシナティの出身と
思われます)のキーボーディスト、音楽プロデューサー。
生年は公式HP、AllMusic等を参照しましたが記載がありませんでした。
おそらく活動年から考えて1960年代中ごろの生まれであると考えられます。

5歳の頃にピアノを弾き始めた彼は、僅か8歳の頃にCollege-Conservatory of
Music University of Cincinnati(シンシナティ音楽院)の教授に見出されたことがきっかけで
クラシックピアノを学び始めます。ここで数々の賞を取って頭角を現した彼は、
ニューヨークにあるEastman School of Musicの奨学金を得て、作曲と
オーケストレーションを学びます。17歳の時にマイアミ大学へと移って、
Vince Maggio等に学び、ポップス、ジャズへと指向性を変えていくこととなります。
この頃には既にプレイヤー、アレンジャーとして多数の作品に参加していたようで、
Jose Luis Rodriguezの作品など、ラテン系のミュージシャンとの共演が多かったようです。

1988年にロサンゼルスへと移り住み、その一か月後にはLAを代表する
スムースジャズ/フュージョングループとして活躍した、
Russ Freemanを中心として、David Benoit, Eric Marienthal, Jeff Yukio Kashiwaなどが
所属していたThe Rippingtons(1986-)へ加入します。
4年間のグループでの活動の後、自身によるレーベルであるHands Onを結成、
1stソロ、Roadmusic(1994)を発表します。これがTop 94にいチャートインするなど
マイナーヒットとなったようで、本作はその3年後、1997年作の2nd。

この時期から、彼自身が最も影響を受けたDavid Fosterとの邂逅を果たし、
彼のキーボードとアレンジによるBarbra StreisandのBack To Broadwayは
AC(Adult-Contemporary) Chartで1位を獲得します。
その後はLuther Vandross, Boyz II Men, Michael Bolton, Diana Ross,
Dionne Warwickなどのアレンジやキーボード、プロデュースなどを手掛ける傍ら、
テレビ番組(Showtime, The Disney Channel, Univision, BET等多数)、
CMの音楽制作などを行っています。グラミー賞には9回ノミネートされています。

本作には、ゲストにMichael Thompson(G), Ricky Lawson(Dr), Neil Stubenhaus(B),
Steve Groves(Sax), Bill Champlin(Vo), Joseph Williams(Vo)などが参加しており、
4曲目の表題曲No Truer Words以降はインストで占められています。
キーボードのタイム感、フレージングはやはりDavid Fosterを思わせる部分もありますが、
97年の作品という事もあり、アシッドジャズのようなグルーブのあるもの、
打ち込みのドラムスによる揺るがないグルーブに軽快なソロを乗せたものなど、
全体として冷ややかな感触があります。AORが好きな方と言うよりは、
クラブミュージック、ラウンジなどが好きな方に好適なサウンドかもしれません。
トラックはデジタルな感覚のあるものもありますが、
キーボードはメロディアスですので、高品位で落ち着いて聴けます。

Warren Wiebeがボーカルを取っているバラードの#1Here I Go Againは、
無機質で揺るがないビートとブライトなトーンのピアノに、
淡い透き通ったストリングス系のシンセが味付けするブルーアイドソウルと言った感じで、
後半になるとクリーントーンのギターやホーンが前に出てきます。お気に入り。
Lori Perryの鋭いハイトーンボイスがフィーチャーされた、Roberta Flackのグラミー受賞作品の
カバー#2The First Time Ever I Saw Your Faceは、打って変わって壮大な音作りで、
Niel Stubenhausのフレットレスベースの角の取れた丸い音と、Michael Thompsonの
シルキーなギターが泣いています。
Joseph WilliamsとMarilyn ScottのコーラスにBill Champlinの語り掛けるような
リードボーカルと言う豪華な編成の#3Come As You Areは、Marty Walshのアコギと
Bernie Dresel(Dr), Neil Stubenhaus(B)のリズム隊でより生々しく切ない
バラードに仕上がっています。力強いタッチのピアノソロが最高です。
メロディアスなインストのバラード(ここから先はインスト曲になっています)
#4Canyonsは、濁りの無いピアノのフレージングが如何にもFoster直系という感じです。
キラキラとした音像の中で、乾いたパーカッションの音に儚さを感じます。
表題曲の#5No Truer Wordsは粘りのあり鋭い音色のドラムスにスラップの絡んだリズムに、
歯切れの良いホーンの加わったファンキーなトラックの中で
饒舌なキーボードが弾き倒しています。お気に入り。
Steve Grovesのメロウなサックスをフィーチャーした#6Walla Wallaは、
もう少しフュージョンっぽいハーモニーでDavid Sanbornのソロ作品を思わせます。
地味ですがポップで聴きやすい一曲です。
#7Summer In Trujilloは、ピアノがこれまでの力強くてブライトなプレイから
軽くオブリガートの心地よいプレイへと変わっており、どことなく
クラシカルな香りが湧き立っています。リムショットの印象的な静かなリズムパターンから、
テーマに入るとパワフルに鋭くなっていきます。
ワウの掛かったカッティングが右チャンネル、クリーンのカッティングが左チャンネルに
配され、デジタルなドラムスがアシッドジャズを思わせるファンキーな#8Slinkでも、
Steve Grovesのサックスが速いパッセージを流麗に吹いています。ホーンの使い方はEWFを思わせます。
後半ではサックスとピアノ熱いインタープレイが楽しめます。お気に入り。
Ricky Lawson(Dr), Freddy Washington(B)のタメの効いたリズム隊に変わった一層ファンキーな
#9Michiでは、ピアノのフレージングは非常にパーカッシブで切れ味抜群です。最高。
Steve Grovesのサックスが切々と歌っているバラードの#10The Last Songは、
ディストーションギターまでバックに入ってきて、盛り上がりを見せます。

歌物は冒頭の3曲のみで残りはインストと言う構成の作品で、
スムースジャズとはいっても彼のポップセンスが如何なく発揮された一枚になっていると思います。

Here I Go Again

Come As You Are

No Truer Words

Michi

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  1. 2014/11/20(木) 22:21:51|
  2. Mark Portmann
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今日の一枚(348)

Album: Limited Addiction
Artist: 東京女子流
Genres: Pops, Soft Rock, AOR, Fusion

Limited Addiction

2010年に結成された日本のガールズアイドルグループ。avex trax所属。
メンバーは小西彩乃、山邊未夢、新井ひとみ、中江友梨、庄司芽生の5人組です。
本作は2012年作の2nd。オリコン週間25位。

2010年のデビュー直後に渋谷O-nestでライブを行い、
その後は2週間に一回の頻度でステージに立っているようです。
テレビ出演では、NHKの"Music Japan"、BSフジの冠番組「東京女子流スレスレTV!」のほかに、
フランスで放映されているJapan In Motionという番組などでもその姿を見ることが出来ます。
普段筆者はアイドル「グループ」の楽曲を聴く機会が少なかったのですが、
80年代のシティポップスに影響を受けた音楽性と言う触れこみやTwitter上での情報を得て、
急遽作品を聴いてみました。

サウンドプロデュース、アレンジを行っているのは松井寛(1967-)
という人で、筆者の知るところでは、「笑っていいとも」などのバラエティ番組や、
「新世紀エヴァンゲリオン」などのアニメなど、テレビ番組の音楽制作で知られる鷺巣詩郎のソロ作品、
MISIAの初期作品のアレンジを手掛けた人物と思われます。
他のメディアでも言われていることですが、この松井氏のアレンジが往年の
ジャパニーズフュージョン~シティポップスの流れを感じさせるもので、
とりわけ手数の多く、軽快なドラムスの打込みや、多彩な音色の選択は非常に緻密な仕事で、
元になったドラマーが想像できてしまうような明確なサウンドイメージがあるように感じています。
堅いリバーブの感じと、引き締まったリズム隊の作り出すグルーブは、かつての角松敏生の
サウンドを思わせるような部分があります。


基本的にトラックは打込みによるものなのですが、ギタリストにはスタジオミュージシャンとして
70年代後半から現在に至るまで活躍し続けてきた土方隆行(1956-)を迎えて制作されており、
正しく本家(?)の角松敏生を代表する曲である"DO YOU WANNA DANCE"(シングル)、
そしてアルバムでは全盛期の80年代の作品群、
"ON THE CITY SHORE"(1983), "AFTER 5 CLASH"(1984), "GOLD DIGGER"(1985), "SEA IS A LADY"(1987)
に参加しています。その他にも浅川マキ、杏里、小野正利、河村隆一、コブクロ、佐藤博、
スピッツ、SMAP(フュージョン期)、竹内まりや、玉置浩二、田村ゆかり、TM Network、
中島みゆき、浜田省吾、松田聖子、南佳孝、吉田拓郎、吉田美奈子などなどこれはほんの一部ですが、
非常に多くの作品でプロデュースとギター演奏を行っています。
キャッチ―なアイドルポップスの側面もありながら、楽曲の構成は複雑で、
練りこまれたホーンやストリングスのアレンジに加え、インストパートの長い楽曲構成が、
アイドルポップスには極めて特徴的な作風だと思います。

彼女達自身によるボーカルは、決して高い技術があるというわけではないのですが、
全パートユニゾンということはなく、きちんとコーラスで歌っている点も、面白いです。
エイベックスと言うレーベルは、小室哲哉氏の黄金期の時代から、
ダンス、ダンサブルであること、をテーマにして音楽制作を行う印象があります。
そういった意味で、シンセ色の強い打込みの、メカニックな音色の4つ打ちリズムと、
ドラマティックで、明るい展開というサウンドと、この東京女子流の音は、
一見相反する影のあるサウンドという風に感じる部分もあります。
しかし、聴いている客を躍らせるアイドルソングと言うことで考えれば、
こういったファンク、フュージョンのリズムを取り入れた軽快で肉体的なリズムというのも
一つの方法として納得できるように思います。

#1Introは、前作アルバムの"鼓動の秘密"の最後に収められているOutroからの
続きと言う形になっており、ChicのNile Rodgersを思わせるようなカッティング、
ループされるストリングス、ヒップホップ的なソリッドなリズムが印象的なインスト。
そのまま密室的なスネアの叩きだす16ビート、カッティングとともにシームレスに入っていく
#2Sparkleは、サビメロの歌謡っぽさとゴリゴリした進行の組み合わせが面白いです。
サビ前のカッティングフレーズやシンセソロには大仰さがあって適度なダサさがあります。
歪ませたカッティングに派手なシンセのリフでダンサブルに始まる#3W.M.A.Dは、
強くエフェクトの掛けられたBメロ部分の歌唱は歌詞が充てられておらずAh...のみで通しており、
オクターブとスラップを組み合わせたベースラインが腰に来るグルーブを生み出しています。
少ししつこいほどにバキバキのキメを繰り返す展開ですが、
暗さのあるハーモニーで、ただポップと言うわけではなく不思議な感覚があります。お気に入り。
ローファイなエレピのソロから始まり鋭いフィルインを起点にメロに入る#4Regret.は、
手数の多くへヴィ―なドラムスと太いベースの作るフュージョンライクなグルーブが堪りません。
キーボードソロは速弾きの入ったテクニカルなもので、緻密なコーラスを見せるパートも楽しい。
アウトロのカッティングフレーズも鳥肌ものです。最高。
00年代の日本のガールズバンドを代表する存在であったZONEのカバー
#5僕の手紙は、原曲よりも音数を絞った、レイドバックしたサウンドに変化しており、
クリスピーなクリーンのリズムギターはジャジーで、荒い歪みのギターソロも
トレブリーで枯れたトーンで渋いです。これも最高。
激しいスクラッチとブラコン風味のシンセベース、大きなキックの入った異色な#6Don't Be Cruelは、
デジタルな感触のトラックの中でアコギのアルペジオが緩衝材のような役割を果たしています。
インストパートでは少しハードなギターソロが控えています。
#7Liarは、ひたすらにスラップする極太ベースとハードなドラミングの作る真っ黒なリズムの中で、
シンセ然としたホーンのオブリガートがキラキラとした雰囲気を出しています。
QueenのWe Will Rock Youのオマージュと思われるイントロをあしらった#8Rock You!は、
左チャンネルの低音弦の単音カッティングとワウの掛かったカッティングを中心としたギターと、
サスティーンの短いシンセベースの粘りつくグルーブがありながらメロディはアイドルソングらしく
ポップなものになっていて素晴らしいバランスだと思います。
それにしても、サビ前にカッティングの3連が入る曲が多い気がします。
表題曲の#10Limited Addictionは、冒頭に置かれているユニゾンのギターリフを中心とした
パターンミュージックですが、ドラムスは手数が多いです。
シルキーな歪みのギターがブルージーなソロで、暴れ回っていて熱いです。
ピアノの弾き語りに壮大なストリングスと管を加えたバラードの#11追憶は、
やはりとてもかなりまだ幼いアイドルの歌う歌詞とは思えぬ哀しいもので、
後半ではもう少し音数が減り、荒廃した景色を思わせる残響が印象的なドラムスのパートが
挟まれています。
最後のインスト#11Outroは何とオーセンティックな4ビートのモダンジャズかと思わせておいて、
いきなりメタルばりの重いリズムと歪んだギターのパート、そしてまたジャズへと戻って行きます。

ギラついた音処理やアレンジ、ドラムの手数の多いフレーズは80sを思わせる部分もありますが、
今の録音技術と打込みのなせる業でかなり密室的な音になっており、
場合によっては過剰装飾に聴こえかねない部分もあるとは思います。
兎にも角にも、当時平均年齢14歳のアイドルグループの歌う楽曲としてはかなり大人びた
ファンキーでブラック色の強い作品で、年齢と曲、歌詞の内容のアンビバレントな感じが
独特の魅力を生み出しているように感じます。佳作。

Sparkle[Live]

W.M.A.D

僕の手紙

Don't Be Cruel

Limited Addiciton

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  1. 2014/11/14(金) 00:37:05|
  2. 東京女子流
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今日の一枚(347)

Album: Tatham, Mensah, Lord & Ranks
Artist: 2000Black
Genres: Electronica, Fusion, Drum and Bass, Neo Soul

2000Black.jpg

イングランド、ロンドンの北部ドリスヒル出身の音楽プロデューサーで、
ドラムンベース、ブレイクビーツの黎明期、1989年から活躍してきたユニット、
4Hero(1998年にTalkin' Loudから発表したアルバム、Two PagesはMassive Attackの
Mezzanineなどと共にマーキュリー賞を受賞しています)
のメンバーであるDennis "Dego" McFarlaneを中心とするエレクトロニカ、
フュージョン、ニュージャズ、ブレイクビーツユニット。1998年結成。本作は2012年作。
ユニット名はRoy Ayersの1975年の同名曲から名付けられたようです。

メンバーはDennis "Dego" McFarlane(今作ではDego Ranksとクレジット),
Kaidi Tatham, Akwasi Mensah, Matt Lordの4人です。
Kaidi Tathamは、Home Cookin'のようなファンクバンドやBugz in the Atticのような
ブレイクビーツユニットでキーボーディストを務めており、
Matt Lordも同じくHome Cookin', Bugz in the Atticのメンバーでした。
四人によるサウンドプロデュースに、ゲストボーカリストとして
Bembe Segue, Sarina Leah, Ferraz, Nadine Charlesなど、
サックスプレーヤーにFinn Petersなどを加え、強烈で複雑な打ち込みのビートに、
暖かみのある生音、さらにはヒップホップ、ラテンなどが入り混じった、
ジャジーでファンキーなエレクトロニカと言った趣です。
特にリズムにはブレイクビーツやポリリズム、変拍子が積極的に取り入れられていて、
複雑な作りになっています。軽いリズムとうねるベース、ワウの掛かったクラビネットと
全体としてはブラックの色合いがかなり濃い作品です。

#1Seven4は、柔らかいトーンのシンセによる変拍子のリフと様々に散りばめられた
コンガのようなパーカッション、ワウの掛かったクラビネット、
鋭くフュージョンライクなスネアが作り出すハーモニーはPat Methenyを思わせるようです。最高。
ボーカルの入った#2Naiveは、左右に揺れるピコピコシンセのデジタルな感触と、
パワフルになったリズム隊、ボーカルの生々しい感触が好対照をなしています。
ベースラインはかなりシンコペーションの入ったフレーズが多く、この辺もフュージョン的です。
ジャジーなピアノ、サックスの生音をサンプリングした#3Celebrateは、
バックを流れる男性コーラスがソウルフルで心地良いです。
ワウの掛かったカッティングが配されていたり、
ベースはうねりがあってリズムはファンキーです。これもお気に入り。
冒頭にラテン風のパーカッションソロが入っている#4Badlyは、
ベースが入ってきてからは徐々にコズミックな音作りへと変化していきます。
分厚いコーラスが配され、ジャパニーズフュージョンのウィンドシンセのような音のキーボードが
印象的な#5Stars Shine For Youは少し変り種です。
Michael JacksonのRemember The Timeとクリソツなキーボードの浮遊感たっぷりな
リフで一気に掴まれる#6Mr Picklesは、鋭い音色のドラムス、
トレブリーなベースによるソロが聴き所です。最高。
リバーブの掛かった女性ボーカルがドリーミーな#8Mind Skiesは、パーカッションにラテンっぽい
グルーブがあり、サスティーンの短く歯切れの良いベースがその揺れを強烈にしています。お気に入り。
打って変わってダンサブルなミドルテンポの#9Missing In Actionは、
中間部での音数の絞られたシンセソロがキャッチ―な一曲です。これも良いです…
#10Get Up Lift Up Yourselfは、ワウの掛かったアルペジオ中心のシンセベースに、
無機質なドラムスとブラコン風味のリズムをバックに、エモーショナルな女性ボーカルが映えています。
音数は少なく密室的で冷ややかな音像で、オリエンタルなシンセのリフが異彩を放っています。
#11You Know Its Like Thatも#10と同じような雰囲気のリズムですが、
展開はもう少しポップで、70s末のシカゴソウルのような香りを放っています。
完全にテクニカルフュージョンの体裁を成してしまっている#13T.H.Bは、
冒頭から難解なキメを連発する展開から始まり、シンセのソロはトーン含めて
どこか日本のフュージョンを思わせます。パーカッションのロングソロがあり、
高音のシンセがウネウネと動き回って行きます。再びベースが前に出ていきテーマへと戻ります。
#14Quantumはローファイなシンセのコード弾きとサックスが登場する短い一曲。
ブラジリアンなテイストの強いフュージョンの#15Ooh Monseigneurは、
フルートがかなり早いパッセージのテーマを吹いていて、その音の隙間を縫って
シンセが入ってきます。ジャングルビートを鳴らすドラムスはあまり動かず、
徐々に上昇していくテーマのフレーズの高揚感が堪りません。最高。
#16TreDJanous Interludeは喧騒のSEにハンドクラップ、アコギを加えた短い一曲。

エレクトロニカと冒頭で書きましたが、実際にはかなり生に近付けた音作りで、
フュージョン寄りのリズム、ソウルフルなスキャットやコーラスと、
フュージョンやブラコン、ソウル好きの方ならかなり楽しめる一枚だと思います。
中古屋のセールで偶然見つけた一枚でしたが、他の作品も是非聴きこんでみようと思います。
かなりの当たりでした。最近の愛聴盤。

Seven4

Mr.Pickles

Missing In Action

You Know Its Like That
 

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  1. 2014/11/12(水) 01:04:36|
  2. 2000Black
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今日の一枚(346)

Album: Planet E
Artist: Escalators
Genres: Acid Jazz, Funk, Fusion

Planet e

愛知県岡崎市出身の歌手、作詞作曲家であるZoocoを中心として結成された
日本のアシッドジャズ、ファンクバンド。1993年結成。1994年、イギリスにてデビュー、
その後、日本では日本コロムビアに所属、
同時期のレーベルメイトにはPizzicato Fiveがいます。
その他のメンバーは三宅一彰(G)、川西浩之(B)、堀越昭宏(Key)、立花聡(Dr)と
なっていますが、多少の入れ替わりもあったようです。
Escalatorsでは作詞はZoocoが、作編曲の多くは堀越が務めています。

活動期間は1998年までと短く、アルバムは6枚発表されています。
彼らがデビューした当時の日本国内は渋谷系の全盛期とも言える時期で、
国内ではそういったアーティストと共に挙げられることが多いですが、
イギリスではアシッドジャズムーブメントの担い手の一人であった
Incognitoによるリミックス、マキシシングルを発表するなど、
クラブミュージック界隈で活躍していたようです。

バンド解散後、ボーカルのZoocoはJames Poyser, Slum Villageなどとの
コラボレーションを果たした他、Soysoulという11人組のバンドを結成し、
良質なクロスオーバーミュージックを制作しています。
他にも村上"PONTA"秀一やゴスペラーズのメンバーとも親交があるようで、
Jaye公山とのデュエット曲のレコーディング、海外レコーディングを行い
ソロ作を発表する傍ら、他アーティストへの楽曲提供、
角松敏生のバックバンドでコーラスも務めています。

本作は1994年作の2ndで、プロデュースはPizzicato Fiveの高浪敬太郎が
担当しています。80年代末~90年代の日本のポップスに特徴的な、
シンセや電子音の多く入ったギラついたアレンジから離れた、
Fender Rhodesの音と、乾いたリズムギター、太くうねるメロディックな
ベースが腰に来るグルーブを生み出しています。
1stでは全編英語詞でしたが、本作では全体として日本語詞になっています。
アシッドジャズと言われるのは、ドラムの音の軽さとフュージョンライクな
シンセの音色がそれに近いからと考えてよいと思います。
Incognitoと言うよりは、Brand New Heaviesのそれに近いと思います。
ただあちらよりはもう少しJポップらしいメロディと、
70年代のディスコミュージックを思わせる、
パターンミュージックとしての魅力もあります。 
#1Flying Highは、くぐもったフェイザーの掛かったカッティングと
エレピに太いベース、アフリカンなパーカッションの作る渋いメロから、
サビでは少し安っぽいストリングス系のフィリーなシンセと複雑なキメのドラムスに
少し甘いボーカルはMISIAをもう少しポップ寄りにしたような声で素晴らしい。
正に和製アシッドジャズと言う感じです。最高。
#2Spacy Loveは、チャキチャキしたカッティングを中心にした、
極めて動きの少ないファンキーなメロから、意表を突いてサビへと突入していく展開が面白いです。
ホーンの断片化されたバッキングは疾走感があります。お気に入り。
#3Something About Jazz Discoは、エレピの流麗なリフが流れる中で箱鳴り感のある
ジャジーなカッティングが映えている短いインストです。
スラップベースによるベースソロとサックスソロ、ブルージーなギターソロとスキャットのユニゾン、
キーボードソロとソロ回しの連続で構成される#4星みたいにも熱いです。
人力のリズム隊ではありますがどことなくヒップホップ、ドラムマシンのグルーブを感じる
#5スペシャル地帯は、重いリズムの中で柔らかいカッティングや
ホーンの音が生々しく綺麗な対比になっています。
アップテンポになった#6深夜特急は、初期のフィリーソウルを思わせるようなホーンのオブリガートが
印象的なサビのアレンジが素晴らしいです。キーボードソロからスネア連打、ラストサビへと
突入していきます。熱量を帯びすぎないクールなボーカルも見事に嵌っています。お気に入り。
本作の中でもとりわけポップな#7雨のち晴れは、ストリングスも非常にリッチな音で、
ベースのぶっといリフの中で歪みのギターが尖った音で楽しいです。お気に入り。
ニュージャックスウィングを思わせる音色のシンセベースと硬質なドラムスの作るビートが
乾いた音像の#8チャネリングは、要所要所にキラキラした上物やメロディにユニゾンするホーンが
入ってくるなど、電子音の比重の大きくコズミックで、かなり異色な一曲です。
モータウンっぽいベースラインにクラシカルなソウルを思わせるコーラス、ハーモニーの
#9Ooh~Childは一転して渋い魅力のある一曲です。
#11To Get To The Sunは、ジャリジャリした歪みのカッティングが様々なパートで鳴らされ、
ドロドロとした感触のある一曲です。
#12Love Escalationは本作の中では貴重なスロウテンポのバラードで、
エレピの揺れたスペイシーな音と中毒性のある繰り返しのメロディが
耳に残ります。音数の絞られたエレピソロは白眉です。
シームレスに続いていくインストの#13Unknown Galaxyは、フュージョン~ジャズロックを
思わせるような混沌としたグルーブがあって、不気味に終わっていきます。

ボーカルのすっきりとした声質、乾いたドラムスや太いベースに、
ヒップホップ通過後のグルーブ感覚は90sのイギリスのソウル・クラブミュージックに
近い音楽性と言うことになりますが、これをこの時代に日本語でやっていたという意味で、
セールス面でこそ成功しなかったものの、先進的なバンドであったのかもしれません。
隠れた名盤。

Fly High

Spacy Love

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  1. 2014/11/09(日) 00:24:57|
  2. Escalators
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今日の一枚(345)

Album: しろくろ
Artist: 指田郁也
Genres: Pops, AOR, Funk, Soul

しろくろ

東京都出身の日本のシンガーソングライター。1986年生まれ。

3歳の頃からクラシックピアノを弾き始め、高校入学と共にプロを志すようになります。
2010年にワーナーミュージック・ジャパンが開催したオーディションである
VOICE POWER AUDITION~100年ヴォーカリストを探せ~でグランプリを獲得した
のをきっかけとして、1stシングル"bird/夕焼け高速道路"でメジャーデビューを果たします。

彼の存在を知ったのは、彼自身が最も尊敬する山下達郎(中学生の時に山下の
「蒼茫」を聴いたことがプロを目指すきっかけとなったようです)のSunday Songbookと
言うラジオでした。聴取率週間の時の放送だったかと思いますが、
この前述のオーディションについて触れた後で、birdを流し、彼の声を褒めていた、
と記憶しています。他に影響を受けたミュージシャンとして柴田淳、尾崎豊、
玉置浩二、小田和正, David Foster, Bobby Caldwell, Bill LaBounty,
Earth, Wind & Fire, Michael McDonaldなどを挙げています。

因みに、フィギュアスケートの羽生結弦選手とは交流があるようで、
2012年に福井県で行われたフィギュアスケートのアイスショー、
Fantasy on Ice 2012 in FUKUIで、羽生選手がエキシビジョンで
3rdシングルの"花になれ"をバックに滑ったということだそうです。

ピアノによる弾き語りのスタイルを主体としており、デビューシングルのbirdや
花になれのような、ピアノのサウンド中心の柔らかく爽やかなポップス、バラードと
言うイメージがありました。しかしながらアルバム曲も聴いてみると、
ファンク、ソウルを思わせるものやパーカッシブなキーボードのリフが主体となった、
ちょうどMichael McDonald加入後の後期Doobie Brothersを思わせるようなサウンド、
ハーモニーにもどことなくウェストコーストの香りがする楽曲も収録されています。
2013年作の1stフル。中音域の豊かで伸びやかなチェストボイスは、
うるさくなく存在感があって、実に堂々としていて素晴らしいと思います。

ピアノ弾き語りで始まる#1birdは、徐々に繊細なアタックの心地良いギター、
乾いたリムショットの印象的なドラムス、ベースが入ります。
サビでは繰り返されるパワフルでブライトなチェストのハイトーン、ファルセットが堪能できて、
彼の一番魅力的な音域が楽しめます。ギターのオブリガートもメロウで良いです。良い歌です。最高。
#2哀シテホシイは、ワウの掛かったファンキーなカッティングと、ピアノのリフで
ゴリゴリと進行して、ウェストコーストっぽいジャジーなハーモニーのサビで弾けていきます。
ギターソロは弾き過ぎておらずクリスピーな音です。これも最高。
バラードの#3花になれは、ピアノ弾き語りにサビでフィリーなストリングスを加えた一曲で、
メロでは抑制され、サビでは柔らかいサウンドの中で、シンコペーションの多いベースラインが
際立っていてグルーブを生み出しています。これもお気に入り。
自身が鉄道ファンであることから一曲書こうと思ったという#4上り電車は、
ブルージーなリードギターの存在感を放っていて、フォーキーでゆったりとしたサウンドです。
一転して打込みによる無機質な四つ打ちを中心としたディスコチューンの#5musicは、
揺るがないリズムの上で生ピアノのリフが蠢いていて得も言われぬグルーブがあります。
サビで鳴っているホーンはミュートが効いていて、フュージョンライクなフィルを入れてきます。
中間部では長いインストパートがあり、鋭い単音カッティング、スケールライクなギターソロ、
そのバックでBrecker Brothersばりのホーンが唸っています。面白いです。
初期のスガシカオを思わせるようなダークでエロティックなメロで掴まれるファンク
#7真夜中のシンデレラは、クラビネットのバッキング、トレブリーなカッティングが素晴らしい。
本作の中でも特にMichael McDonaldを思わせるAORなトラックの#8パラレル=は、
サビでのコーラスと掛け合うメロディ、クローズハイハットの効果的に入れられたリズムパターン、
低音弦の単音カッティングを中心としたギターのバッキング、サビに入る前のハーモニーなど、
思わず聴いていて笑みが零れてしまいます。ノートベンドの多いサックスソロ、
その後はギターにディストーションが掛かり迫力が増していきます。お気に入り。
#1birdと同じくデビュー前に書かれたバラードの#8ラブソングは、シンプルな弾き語りで、
字余り気味な歌唱がフォーク感を生み出しています。
自分の友人をテーマにした#10ロックスター☆は、前のめりなギターリフでハードに展開する
メロ、コーラスを多用しファルセット気味のロングトーンで締めるサビがロックンロールと
言うよりは軽い音ですが格好良いです。ギターベースのシンプルなユニゾンのバックで、
テクニカルなピアノソロが入っています。
ピアノのリフで進行していく#11明日になればは、ラストのコーラスでライブに来た観客の
声が録音されています。
#12嘘月は自身ではボーカルのみを担当しており、一発録りで作られたバラードです。
ピアノが止まった後の独唱は圧巻です。

デビュー以前の作品はピアノ弾き語り中心の暖かいサウンド、
デビュー後の作品はグル―ヴィーなAORサウンドと、1枚目としては非常に高い完成度で、
これからの活躍に心から期待したいです。こういうポップスがもっと売れるべきだと思います。傑作。

bird

花になれ

「しろくろ」ダイジェスト映像(全曲のハイライトが収められています) 

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  1. 2014/11/08(土) 02:07:58|
  2. 指田郁也
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今日の一枚(344)

Album: Front Page
Artist: Bireli Lagrene, Dominique Di Piazza, Dennis Chambers (Front Page)
Genres: Fusion, Jazz Rock

Front Page

フランス、アルザス地域圏、バ=ラン県スフレンアイム出身の
ジャズギタリストであるBireli Lagrene(1968-)、フランス、ローヌ=アルプ地域圏、
ローヌ県リヨン出身のジャズベーシストであるDominique Di Piazza(1959-)、
アメリカ、メリーランド州ボルチモア出身のドラマーであるDennis Chambers(1959-)の
三人によるハード・フュージョンプロジェクト。2000年作。

三人のメンバーについて、少しずつ紹介してみたいと思います。

Bireli Lagreneは、ジプシーを先祖に持つロマ(移動民族)の家庭に生まれ、
4歳でギターを弾き始めます。8歳の時には既にDjango Reinhardのコピーを
こなしていたようで、12歳の時にフランス北東部の都市であるストラブールで
行われたフェスティバルで優勝をおさめたことがきっかけで、
ドイツ国内でツアーを行います。その後はアメリカへと渡り、
Stephane Grappelli, Benny Goodman, Benny Carterなどの
作品に参加しています。1984年には、ジャズロック黎明期であった1965年に
The Free Spiritsと言うバンドを結成したギタリストのLarry Coryell(1943-)に
見出され、Jaco Pastoriusに紹介され、ヨーロッパツアーに帯同しています。
その後はAl Di Meolaなどのライブにサポートで参加する傍ら、
ソロアルバムを発表し続けています。

Dominique Di Piazzaは、独学でギターを学んでいましたが、
20歳の時にベーシストに転向したようで、1991年から翌年の1992年に行われた
John McLaughlin Trioのツアーに、Trilok Gurtuとともに参加し、
300公演をこなし、McLaughlinのアルバム、Que Alegria(1991, USJazz#5)に
参加したことで、いわゆる速弾き超絶技巧系のベーシストとして、
その名が知られるようになりました。彼の影響を受けたベーシストには
Matthew Garrison, Adam Nitti, Lucas Pickfordなどがおり、
現代のフュージョン系、テクニカル系のプレーヤーに多大な影響を与えています。

Dennis Chambersに関してはGreg Howeの項でも少し述べていますので
簡単にお話ししますが、参加したミュージシャンには
John Scofield, George Duke, Brecker Brothers, Santana,
Parliament/Funkadelic, John McLaughlin, Mike Stern,
Steely Dan, Greg Howeなどがおり、その超絶技巧、とりわけその驚異的な
スピードと強力なバスドラムで、非常に個性的なプレイスタイルです。
数多くのハードフュージョンの優れた作品に参加しています。

というわけで、これだけテクニカル指向のメンバーが揃ったトリオと言うこともあり、
緊張感溢れるインタープレイが楽しめる、良質なハードフュージョン作品となっています。
ただ音はギラつき過ぎておらず乾いていて、すっきりと聴けてしまいます。 
#1Intro Jingle/The First Stepは、雨だれのようなハイハットと超高速のハーモニクスを
連発するギターのイントロテーマの中で、Dominiqueのベースが縦横無尽に暴れ回ります。
Dennis Chambersのドラムも、いつもより軽い音で、曲に疾走感を与えます。
オクターブとスライドの入りまくった速弾きギターソロも、角の取れた音で、
カッティングのトーンが気持ち良いです。
後半では壊れたようなツーバス連打が待ち受けております。お気に入り。
表題曲の#2Front Pageは、ミニマルでファンキーなベースリフの中で、
メロディックに歌うギターがキャッチ―な一曲で、ベースとの高速ユニゾンもクールです。
#3Marie Tcha Tchaは、ハイハットの鋭いミュートがドライブ感を生み出しており、
ギターソロには少しラテンの香りも漂っています。後半では精密機械そのものといった
ドラムソロが入っています。これも素晴らしい。
Jacoを思わせるようなモコモコしたトレブリーなトーンのベースが印象的な
#4The Eyes Of Jesus Christは、グッとテンポを落としており、
アタックのパリッとしたメロウなギターと合わさると、
さながらWRのような雰囲気もあります。お気に入り。
#5D.B.Dは、鋭いトレモロによるリフを中心にしてゴリゴリと進むパートがあり、
ハイライトのドラムソロへと繋がって行きます。ギターソロはブルース色の強い
フレーズで繰り返しが多く、これも変態的です。
これまでのテクニカル指向な楽曲から少し離れた都会的でAORな#6Valbonne's Songは、
フレーズの要所要所で挟まれるハーモニクスの音が堪りません。
柔らかいシンバルレガートと、それとは対照的な鋭いハットの刻み、
リズムの中を自由自在に動き回るギターが熱い#8Living Hope、
ギターソロによるスキットを挟んで#10Zoe's Little Waltzは、
一気に冷ややかで落ち着いた音像になっていて、スケールライクなソロを
ビシバシ決めるギターのバックで、低音の出たベースが蠢いています。
#11Timotheeは、冒頭からベースによるテーマがフィーチャーされ、
Bireli自身によるスキャットの入れられた一曲で、中間部ではロングソロが用意されています。
#12I Wait For The Lordは、Dominiqueによるベースソロのスキットです。
#13JosephにはなんとJohn McLauglinがゲストで参加しており、
二人の熾烈なギターソロ対決の模様が収められています。
相変わらずMcLaughlinのプレイは極めて個性的で、得も言われぬ不穏さがあって最高です。

中古屋で偶然見つけた作品でしたが、一枚通じてひたすらにテクニカルな曲ばかり
と言う感じではなく、ジャジーで落ち着いた曲も配置されてるので、
疲れず聴くことが出来ました。オーセンティックなジャズギターのスタイルで速弾き、
喩えるならPat Martinoあたりがさらに弾き倒しているような、
そんな熱い現代型のテクニカルフュージョンです。

Intro Jingle/The First Step

Marie Tcha Tcha

The Eyes Of Jesus Christ

Valbonne's Song

Joseph

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  1. 2014/11/03(月) 01:33:43|
  2. Bireli Lagrene/Dominique Di Piazza/Dennis Chambers
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  4. | コメント:0

今日の一枚(343)

Album: In The Pocket
Artist: The Commodores
Genres: R&B, Funk, Disco

In The Pocket

アメリカ、アラバマ州タスキギーのタスキギー大学の学生であったLionel Richie(1949-)
を中心として1968年に結成され、現在までメンバーを様々に変えながら活動しているファンクバンド。
オリジナルメンバーはWalter Orange(Vo,Dr,Key), William King(Trumpet,G,Key)
Lionel Richie(Vo,Sax,Key,Dr),Thomas McClary(G), Milan Williams(Key, Trombone, G),
Ronald La Pread(B)で、全員が分担して作曲を行っています。

バンド結成後、1972年にはモータウンと契約し、翌年、1973年にJackson 5のツアーの
バックバンドとして活動を開始しました。結成当初Lionel Richieはサックスを担当しており、
1974年に発表された1stアルバムであるMachine Gunではインスト中心のファンクを演奏していましたが、
彼のボーカルをフィーチャーしたバラードである1977年作のシングル、EasyがUS Hot100で首位を
獲得したことをきっかけに、その後はバラードを中心とした楽曲でヒットを飛ばしていきます。
70年代後半から80年代半ばにかけて、Three Times a Lady, Nightshift, Brick House, Fancy Dancer,
Lady (You Bring Me Up), Too Hot ta Trotなどが有名曲で、バラードに加えて、当時流行の
ディスコミュージックを取り入れたサウンドで成功を収めます。

Lionelは1982年にグループを脱退した後、We Are The World(1985)の作曲を務めたり、
Kenny RogersのLady(1980)は全米1位, Dianna RossとのデュエットEndless Love(1981)も
全米1位となり、一躍ポップスターとしてその名が知れ渡るようになりますが、
Commodoresの方は80年代後半、1985年にNightshiftでグラミー賞を受賞して以降は
活動が停滞気味となり、オリジナルアルバムのリリースは滞っています。

本作は1981年作の9thで、Lionel Richieが所属していた時期の最後のアルバムです。
シングルの"Oh No"(US#4), "Lady (You Bring Me Up)"(US#8)は共にヒットを博しています。
とりわけLady (You Bring Me Up)はディスコ・クラシックとして取り上げられることの
多い楽曲で、Kool & The Gang/Celebrateなどと並び称されます。
ちなみに、このLady(You Bring Me Up)はWilliam KingとHarold Hudson,
Williamの妻であったShirley Hanna-King共作の楽曲で、
Lionelは作曲に関わってはいません。Oh Noの方はLichieによる作曲です。

乾いたエレピとシンセのイントロが繰り返されて一気にサビへと突入する
#1Lady(You Bring Me Up)は、遠くで鳴る歯切れの良いホーンと、
フランジャーの掛かったような揺れた音のリズムギターが印象的です。
リズムはひたすらにシンプルで、肉体的ですが黒さは薄められています。
大仰なコーラスのパートがあり、再びサビへと戻っていきます。最高。
クワイエットストームなバラードの#2Saturday Nightは、
ワウの掛けられたシンセベースと、エレピの作る太いグルーブと、
クリーントーンのギターのトレブリーで細いバッキング、
細切れに挿入されるシンセのオブリガートが緊張感を生み出しています。これも良い。
一気にテンポアップしたダンスチューン#3Keep On Taking Me Higherは、
フィリーソウル的な美麗なストリングスと、疾走感あるフィルで煽り立てるドラムス、
ギターのカッティングとハモンドオルガンのリフがユニゾンしたフレーズも派手で、
ギラギラしたサウンドにマッチしています。スライドの気持ち良いスラップの入った
ベースライン、ベースソロも素晴らしい。
Lionelのソロ作品の空気を強く感じるブラコンなバラード#4Oh Noは、
温かみのあるコーラスと、淡々と歌うボーカル、牧歌的なギターソロが聴き所です。
ぶっといベースと僅かに歪ませたリズムギターの絡みつき、パワフルなキックが重厚な、
ダークなダンスチューン#5Why You Wanna Try Meは、
コズミックな音のシンセソロにニューウェーブを感じます。お気に入り。
粘りつくようなドラムスと、ファルセットボーカルが炸裂する#7Been Loving Youでも、
アレンジはさほどドロドロし過ぎず、ホーンの音はさながらEWFのようです。
ピアノ弾き語りによるバラードの#8Lucyで終わっていきます。

ヒット以前の濃厚なファンクを演奏していた時代のファンも多いことはよく知られていますが、
本作のようなダンサブルで、白人にも受け入れられやすいサウンドと言う意味で、
本作は非常にスタンダードな佳作だと思います。

Lady (You Bring Me Up)

Saturday Night

Keep On Taking Me Higher

Why You Wanna Try Me

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  1. 2014/11/02(日) 19:17:53|
  2. The Commodores
  3. | トラックバック:0
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プロフィール

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは50,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
コメント下さると励みになります。
下さったら嬉しいです。
※Twitterもやっております。
アカウント名はprivategrooveです。
https://twitter.com/privategroove
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