私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(404)※

Album: ひつじ雲
Artist: 朝日美穂
Genres: Pops, AOR, Soft Rock

ひつじ雲

大阪府生まれ、東京都、千葉県佐倉市出身の日本のシンガーソングライター。1972年生まれ。
早稲田大学第二文学部西洋哲学専修卒。2013年作の5th。

1995年に、リットーミュージック主催AXIAアーティストオーディションの優秀賞と
サウンド&レコーディング賞を受賞したことがきっかけで、翌年ミニアルバムAperionで
デビュー、1997年にSony Recordsからメジャーデビューを果たします。

その後は2002年に朝日蓄音という自身のレーベルを立ち上げ、オリジナルアルバムを
5枚、EPを2枚残し、ゆっくりと地道に活動を続けています。
本作は6年ぶりのオリジナルアルバムで、出産と子育てを経て制作されているということのようです。
収録曲に関しては、SoundCloudでも試聴ができるようになっています。

本作では、先行シングルとなった夏のトレモロをキリンジの兄、堀込高樹と共作していたり、
バックバンドにもキリンジのメンバーである楠均(Dr)、千ヶ崎学(B)は2005年より
彼女のバンドメンバーとして参加しています。また同曲ではギターに
青山陽一(冨田ラボ、bird etc)が参加しています。
他には田村玄一(Pedal Steel)、まつきあゆむ(G)、たまきあや(Violin)、戸田和雅子(Cho)などが
参加し、独特な音世界を創り出しています。

デビュー時から、他のJポップの女性シンガーソングライターには中々見られなかったような
音数を絞った、クリアな録音による音響派的な構築、ジャズやブラジリアンの影響が強く
伺われるハーモニー、リズムにもヒップホップ的なものもあったり、変拍子とテクニカルな
キメを突っ込んだフュージョン~プログレ的なものもあったりと、
捻られたメロディーのセンスも加わって、作風としてはJoni Mitchellを
思わせるかのような独創性に満ちています。

夢落ちる
一人多重録音によるコーラスと、ホルンを中心とした淡いホーンが印象的なスロウなバラード。
シタールのような音のシンセソロと、スペイシーな音の中でくっきりとした、
少しギラついた千ケ崎学のべースが映えています。

夏のトレモロ
脱力したファルセット交じりの高音ボーカルが柔らかく歌うアップテンポ。
メロ部分のキメの鋭さに歯切れのいいメロディが絡まって、重いキックとスラップベースのリズム隊、
トレブリーな音色のギターソロが疾走感を演出するキラーチューン。
予想を裏切る展開もクールです。最高傑作の一つだと思います。

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  1. 2015/11/27(金) 01:03:14|
  2. 朝日美穂
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今日の一枚(403)※

Album: Head Quarters
Artist: Monkey House
Genres: Soft Rock, AOR

Monkey House

カナダ出身のシンガーソングライター、音楽プロデューサー、キーボーディスト
作家、音楽評論家のDon BreithauptによるソロAOR,ソフトロックユニット。
1992年活動開始。2012年作の3rd。バークレー音楽大学奨学生(ジャズ、作編曲)、
クイーンズ大学卒(フィルムスタディー)。

日本では今年の4月に国内盤が発売され、かなりクオリティーの高い
Steely Danに影響を受けたサウンドでその名が知られるようになりました。

彼は音楽評論に関わる作家としても活動しており、SDマニア、研究家の一人
として、「スティーリー・ダン Aja 作曲術と作詞法」(2007, DU BOOKS)という
Ajaの研究本を出版しています。以前私的名盤紹介で取り上げた
冨田恵一のナイトフライ本と合わせれば、Donald Fagen, Walter Beckerと
Steely Danがどのような軌跡を辿ってきたか、その録音技術、編曲、作曲、
ソロイストの扱い方や選び方、プログラミング、そして彼らの歴史を
かなり深いところまで学ぶことができるようになったと思います。
その他に、映画評論家としても活動しているようです。

SDの影響を強く受けたこのMonkey Houseは、1992年に1stアルバム、Welcome To The Clubを
発表しデビューということですが、編集盤を含めた3枚のアルバムは
今のところリイシューされておらず、手に入れるのは難しい状態が続いています。

また彼はキーボーディストとして、スタジオミュージシャンとしても
活動しており、Rik Emmett(Vo, G, exTriumph)、Kim Mitchell(Max Webster)などの
カナダ国内のハードロック系のミュージシャン、
ボーカリストではSass Jordan(1962-)、Wendy Landsなど、
多くのアーティストのバッキング、レコーディングに参加しています。

作曲家としては、テレビ番組の音楽を多く手掛けており、
2009年には6teenという人気アニメ番組の音楽を手掛けてエミー賞、
カナダの主要音楽賞であるSOCAN Awardで3つの受賞歴もあります。
テレビ音楽の制作では、AOR関連ではMarc Jordanとの共演も知られており、
本作でも作曲に参加しています。

ソングライティングに関しては、彼の兄である作詞家のJeff Breithauptと
共に活動することもあるようです。

スタジオミュージシャンは、基本的には彼の見知っているカナダ国内の
スタジオミュージシャンが中心となっており、これは1stの頃から大きくは変えていません。
ゲストには本家SDのサポートを務めていた
Michael Leonhart(Trumpet)とDrew Zingg(G)、
前作にも参加したPat Metheny Group出身のDavid Blamires(Vo)、
それにRik Emmett(Vo, Triumph)を迎えて制作されており、非常にリッチな音を
楽しむことができます。優れたソロに一糸乱れぬバッキングと、
殆どすべてを生演奏で収録しており録音状態も良いため、
パッと聴くとSDと殆ど遜色ないほどに作り込まれた曲が並んでいます。

Right About Now
ファンキーで粘りのあるビートとさっぱりしたアレンジで近年のDonald Fagenソロを思わせるような一曲です。

I Could Do without the Moonlight
シンセのリフを中心としながら動きの少ないメロディでサビにかけて盛り上げていく展開は80s的で、
グルーブの中にトロピカルなスイング感を出しているのが面白いです。

Checkpoint Charlie

Lazy Nina
Greg Phillinganesのソロアルバム、Pulse(これも隠れた名盤)に収録されているDonald Fagenプロデュースの一曲の
カヴァーバージョンというマニアックなトラックですが、原曲よりもレイドバックしたアレンジになっていて、
自然と身体が動いてしまうグルーブです。サビもキャッチーで最高。

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  1. 2015/11/27(金) 00:31:09|
  2. Monkey House
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今日の一枚(402)※

Album: Selfish
Artist: Terry Black
Genres: Neo Soul, Soul, R&B

Selfish

アメリカ、オハイオ州スプリングフィールド出身のシンガーソングライター、音楽プロデューサー、
エンジニア、キーボーディスト。セルフプロデュースによる2007年作の1st。
情報に関しては中古セールで100円で輸入盤を手に入れました。

自身でスタジオを運営していた叔父のDaniel Smithの影響で歌と作曲にのめり込むようになります。
影響を受けたミュージシャンとしてはJames Brown, Michael Jackson, Jimmy Jam and Terry Lewis,
Quincy Jones, Stevie Wonder, Prince, Babyface, Teddy Riley, Smoky Robinsonなどで、
そして最も影響を受けたのはMarvin Gayeということのようです。

The New Editionが活躍していた時代、彼は様々なコーラスグループに所属し、
LeVert, Natalie Coleのバックコーラスを務め、ファンクバンドのRoger and Zappにも
そのパフォーマンスを注目されます。

その後はNelsen Rangellなどジャズミュージシャンのリミックスを行ったり、
ヒューストンでの大学在学中には1stソロアルバムであるTwilightを制作しています。
地元オハイオに戻った後、コロラド州デンバーにあるGuitar Centerで働きながら、
楽曲のプロデュースとエンジニアリング、スタジオ経営のノウハウを学んでいきます。

そして、彼自身と、オハイオのスプリングフィールド出身のシンガー、
Benjamin Macklin Jr.の二人でデュオBLACKMACを結成、その才能に注目が集まるようになり、
デンバーのTV局の番組でテーマソングを制作したり、FM番組のテーマソングを作るなどしています。
2007年にはソロデビュー作として本作が発売されることとなります。

音楽性としては、D'Angelo系の独特のリズムの粘りも確かに存在しますが、
それは音色の選択の部分に表れている傾向が強く、全体としては70s-80sの古き良きソウルの、
とりわけMarvin Gayeのようなフリーソウルの影響が強いように感じられます。
ボーカルの質感は繊細で、柔らかい歌唱と、スウィートソウル的なシルキーなアレンジ、
一人多重コーラスによるハーモニー、ラップを加えたヒップホップ寄りのトラックなど、
バラエティに富んだ、粒揃いなトラックが並んでいて、もっと聴かれても良い一枚だと思います。
ネオソウル音像の中にも暖かみのあるトラックが並ぶ隠れた好盤。

Losing Controll
鼻にかかったような気怠いボーカルと重いキック、不気味なキーボードが浮遊感たっぷりです。
チープなSEの入った展開からはジャジーさも加わっていきます。

So Deep In Love
多重録音のコーラスの透明感と囁くようなボーカルが心地いいスロウです。これも良い。

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  1. 2015/11/27(金) 00:07:44|
  2. Terry Black
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今日の一枚(401)※

Album: Niteflyte, Niteflyte Ⅱ
Artist: Niteflyte
Genres: Funk, Soul

Niteflyte

Niteflyte2

アメリカ、フロリダ州マイアミ出身のフィリーソウル、ファンクユニット。
メンバーはSandy Torano(G, Vo)とHoward Johnson(Vo, Perc)の二人です。

キューバ出身のスタジオミュージシャンであったSandyが、77年にマイアミのバーで
地元出身のHowardと出会い、地元でバンドを組んで活動を共にし、
1979年にNiteflyteの名を名乗るようになります。

当時SandyはTornaderというバンドを組んでおり、シングルBack UpはUSR&B52位にランクインするなど、
徐々に活躍の兆しを見せている頃でした。スタジオミュージシャンとしてはThe Brecker Brothersの
Don't Stop The Musicをはじめとして、Johnny Winter, Joe Beck, Larry Youngなど、
幅広いジャンルのアーティストのバッキングとして名を馳せていたようです。

Niteflyteの方は、デビューシングルIf You Want ItがUSR&B21位、USPOP40位に入るなど、
ヒットを博しますが、アルバム2枚で解散、John Howardはその後ソロ活動へと移行していきます。

しかしながら彼らが日本の音楽シーンに与えた影響は大きく、1980年には、Ride On Timeヒット前の
山下達郎が、吉田美奈子を交えてFM局のスタジオライブ番組内でIf You Want Itをカヴァーし、
後のFOR YOUに収録されている彼の代表曲の一つ、SPARKLEの元ネタとなっていると考えられます。
それ以外にも、2ndのNiteflyte2に収録されているYou Areは、SMAPのヒット曲となった
がんばりましょうの元ネタとなっていることも知られています。

2ndの方が当時の評価は高かったようですが、LPは国内盤がプレスされず輸入盤のみであったため、
入手はなかなか難しい状態が続いていたようです。現在では2作ともにリマスターされ
クリアな音質で聴くことができるのは幸せなことだと思います。

カラリとしたクリーントーンのカッティングに、蕩けるようなファルセットのボーカル、
シルキーなストリングスなど、フィリーソウルのおいしいところが完璧に内包されていて、
リズムにはレゲエの影響を受けたもの、フュージョンテイストの強いもの(まさに山下達郎
サウンドに近いといえると思います)、AOR的なジャジーで艶やかなもの、
アーバンなギターインストなど、ムーディーな楽曲に満ちていて、何度聴いても飽きさせません。
邦楽の同時代的なシティポップやAORの好きな方は聴いておいて絶対に損はないアルバムだと思います。一押しです。

If You Want It

I Wonder

You Are

You're Breaking My Heart

Anyway You Want

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  1. 2015/11/26(木) 23:44:05|
  2. Niteflyte
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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
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