私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

私的名盤放送第51回「JPOP/邦楽ロックの新譜盛り合わせ」セットリスト

私的名盤放送第51回「JPOP/邦楽ロックの新譜盛り合わせ」セットリスト

私的名盤放送第51回2

私的名盤放送第51回1

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「放送アーカイブはこちらから」

M1 忘れられないの /サカナクション 『834.194』 (2019)
M2 Misty Lady /Casiopea 『PHOTOGRAPHS』 (1983)
M3 Do you remember? /Shiggy Jr. 『KICK UP!! E.P.』 (2018)
M4 Take A Step Forward /TrySail 『TryAgain』 (2019)
M5 Running out of Time /Tyler, the Creator 『IGOR』 (2019)
M6 Nice & Easy /Leroy Hutson 『Paradise』 (1982)
M7 Rose Color /Cindy 『Don't be afraid』 (1991)(Youtubeへのリンクは中山美穂バージョン)
M8 Strawberry Jam /大塚愛 『LOVE JAM』 (2004)
M9 Burning Friday Night /Lucky Kilimanjaro 『FULLCOLOR』 (2015)
M10 I'm Falling /Earl Klugh 『Peculiar Situation』 (1999)
M11 You & Me /EXILE 『Mixed Emotions』 (1978)
M12 Good To Be Back /Natalie Cole 『Good To Be Back』 (1989)
M13 Stars in Your Eyes /Kan Sano 『Ghost Notes』 (2019)
M14 I Like It /Gabby And Madi 『I Like It』 (2019)
M15 素敵にあこがれて /RYUTist 『センシティブサイン』 (2019)
M16 Take Me /Softsoul feat. カマタミズキ 『Timeless』 (2019)
M17 常夏ヴァカンス /フレンズ 『コン・パーチ!』 (2018)
M18 Special /Quincy feat. Ryan Destiny 『Special』 (2019)
M19 My One Temptation /Mica Paris 『So Good』 (1988)
M20 夢の続き /メロウ・イエロー・バナナムーン 『Tropicália』 (2019)
M21 Blue Sky /COLOR 『BLUE 〜Tears from the sky〜』 (2008)
M22 サーチライト /ブルー・ペパーズ 『Retroactive』 (2017)

【放送後記】
またしばらくぶりの更新となりました。今年1年間は内科の中で、各診療科別の専攻へ進む前の研修の時期に当たります。
様々な内科系診療科をローテ―トし診療に当たるので、科によっては時間に余裕がないこともありますが、
現状は音楽を聴いたり、私的名盤放送を継続できております。有難いことです。
このブログも2012年に開設してから7年半もの時が流れ、続けられているのは
見て下さっている方、お声掛けを頂ける方のお蔭様と思っております。有難うございます。

さて、2016年10月から試験放送を始めた私的名盤放送も、51回を数え、閲覧者数も各話で100-200名前後で安定してきました。
はじめは見て下さる方が数人という時期が長く続きましたが、継続してきた成果と思っております。
これからも、プロの作るラジオ番組やその選曲に負けないような、良質な楽曲を、よい音質で、
より深い解説とともにお届けできるよう、努力いたします。

今回はここ数年で発表されたJPOP/邦楽ロックの作品を中心に取り上げました。
特に目玉は、2005年から現代に至るまで、常に邦楽ロックのシーンの最前線に立ち続けるサカナクションの最新作です。
エレクトロミュージック、テクノポップやインディーロック、UKロック、歌謡曲など様々な背景を持つフロントマンの山口一郎は、
大衆に広く受け入れられるサウンド、ポップネスと、自身が表現したいサウンドを高い水準で融合させる能力に
長けた紛うことなき天才で、アルバムのリードトラックとなった「忘れられないの」は、
杉山清貴&オメガトライブを彷彿させるようなPVも印象的ですが、近年の邦楽のシティポップ/AOR再評価の流れを汲んだ、
80sソウル進行を下敷きにした一曲です。ドラムスの低域が強調されたスネアの音色や、リヴァーブの掛かり方など、
オーディオ面でも、80年代の邦楽へのオマージュを感じさせます。曲間のベースソロも非常にメロウで、
アウトロにはギターソロが入っていますが、そこでフェードアウトしてしまうのが憎い作りです。
サビ前の盛り上げ方などは明らかにEDMを通過した感覚を感じますが、それも違和感なく、80s的なギラギラしたサウンドへ
回収してしまうバランスの良さは唯一無二です。彼らの最高傑作のひとつだと確信します。

邦楽シティポップの歴史を辿るうえで重要なのがインストゥルメンタルミュージック、邦楽フュージョンですが、
特に海外での評価が高いスーパーグループ、Casiopeaの野呂一生作曲によるMisty Ladyを選びました。
一聴してそれと分かる神保彰の独特なフィルインや、ぶりぶりしたスラップベース満載で、
邦楽フュージョンのおいしいところが詰まっています。
その他、「郊外のスーパーで掛かったフュージョンをそのまま掛ける」コーナーでは、
Stevie Wonder, George Benson, Bob Jamesなどとの共演、Return To Foreverへの参加で知られる
ガッドギターの名手、Earl Klughの99年作から、マリンバの様な音色のイントロが特徴的なI'm Fallingを。
(この曲はTSUTAYAの店内放送でも掛かっているかと思います、よく耳を澄ませてみて下さい)

Tyler, The Creatorの新譜からは、ゴスペルライクなコーラスが入り、Thundercat/Drunkのサウンドを
彷彿させるようなとりわけチルなトラック、Running Out of Timeを選びました。恋を諦める、悲しいリリックです。
アーバンな上物に速弾きのシンセ、ノイジーなベースラインが重なる音遣いのセンスは天才的です。

残念ながら今年解散してしまったミクスチャー~シティポップ系ロックバンドのShiggy Jr.ですが、
キャリアを重ねるにつれて演奏力は確実に向上しており、2018年のEPに収録されている
Do you remember?は、かつての山下達郎バンドにも迫るほどのへヴィ―な諸石和馬の作るグルーブが素晴らしいです。
池田智子のキュートなボーカルは何物にも代えがたい魅力があり、今後の動向が気になるところです。

アイドルソング系では、以前にも取り上げた新潟県出身のアイドルグループ、RYUTistのニューシングルの
B面に収録されているジャジーで緊張感あふれるコード進行の「素直にあこがれて」です。
フュージョン的なサウンドとジャズボーカル的なメロディが組み合わさった、
現代版フリッパーズ・ギター~ピチカート・ファイヴともいえる一曲です。
一聴すると田中秀和のサウンドのようにも聴こえますが、作曲を担当するのは佐藤望という作家のようです。素晴らしい。
その他、麻倉もも、雨宮天、夏川椎菜の3人組による声優ボーカルユニットのTrySailニューアルバムから、
16ビートのカッティングと煌めくシンセに切ないメロディという少し懐かしいアニメソング風のTake a Step Forwardも良曲です。

Curtis Mayfieldの後任として1971年からImpressionsで活動し、73年にソロデビューした1945年生まれのSSW、
Leroy Hutsonは現代のレアグルーブ再評価の中で最も注目されている人の一人だと思います。
彼がElektra Recordsに遺した唯一作、82年のParadiseは特にBCM色の強い一枚で、
シルキーなグルーブが堪らないNice and Easyを。

2000年代のJPOPに戻り、現代において再評価されるべき女性SSW, 大塚愛の名盤2ndからスウィンギーなリズムと
ブラスのアレンジが心地良いStrawberry Jamです。アレンジを務めるのはIkoman(生駒龍之介)で、
YUI, FLOW、エレファントカシマシ、ステレオポニーなどを手掛けた人物です。
パンキッシュなサウンドやポップロックを中心とした元気な楽曲が多いイメージの彼女ですが、
こんなアンニュイでグルーヴィーな楽曲もあります。歌いまわしやベンドの使い方は、aikoのそれに近しいものを感じます。
ビジュアル、作曲能力、編曲の丁寧さと、全ての面において非常に完成されたアーティストだったと思います。

続いて現代に戻り、6人組のファンク~ディスコ~シティポップユニットのLucky Kilimanjaroによる
2015年のEPから、Emotions/Best of My Love的なクラシカルなディスコサウンド、Burning Friday Nightです。
AORでは6人組のロックバンド、EXILE, 1978年作からウェストコーストロックとブルーアイドソウルの中間を行く
スムースなYou & Meを選びました。John Valenti/Stephanieなどお好きな方には堪らないと思います。

Miss You Like CrazyがUS Hot100で7位を記録したNatalie ColeのAOR期からジャズボーカル期へと移り変わる時期の名盤、
Good To Be Backから、表題曲を選びました。Neil Stubenhausの滑らかで音の切り方が天才的なベースラインと、
Paul Jackson Jrのいい意味で安っぽいカッティング、少しトロピカルなサウンドは
陽だまりに照らされているような暖かい気持ちになれる最高のBCMです。
その他、第13回で取り上げたRandy Goodrum作のRest of The Nightも必聴、全てが名曲しかない一押しのアルバムです。

さらに新譜へと戻り、今年出たばかりのキーボーディスト、SSWのKan Sanoの新譜を取り上げました。
僕自身はLucky Tapesのライブにゲスト出演していてその存在を知りましたが、
既存の楽曲を換骨奪胎、リハーモナイズしたカヴァーの連続が素晴らしかった記憶があります。
D'Angelo以降のネオソウルの影響を感じながらも、リードトラックとなった
Stars in Your Eyesは非常にキャッチーなシンセのリフレインが印象的で、囁くようなボーカルと
ハイファイなベースと剃刀のような切れ味のハイハット、加工されたボーカルが非常に耳に残る一曲です。
その他にもレイドバックした、削ぎ落とされたビートが満載で、これを一人で全て演奏しているというのは、
にわかに信じがたいレベルで、恐るべしです。かつてのThe Roots, RH Factorにも迫るファンキーな一枚でした。
ネオソウルの流れの中にいて、特異なカラーを放つこのKan Sanoと
中村佳穂(こちらはプログレッシブロック、フュージョンの香りもする)は、
最近の邦楽ブラックミュージックの中では別格の存在だと思います。

さらにインディーなR&Bでは、女の子2人組の詳細不明なユニット、Gabby And Madiから
DeBarge/I Like Itを大胆に使ったクワイエットウェイブ、I Like Itと、
NJSを代表するシンガーの一人、Al B. Sureの息子、Quincyと、Deron Irons(ex. Guess)の娘であるRyan Destinyとの
ユニット名義で発表されたシングル、Specialを選びました。最近のMidas HutchやLe Flexにも繋がる一曲です。

そしてもう一曲、BCMからはUK出身のソウルシンガー、Mica Parisの88年作から、UKシングルチャートで
7位となったヒットシングル、My One Temptationです。Anita Baker/Rapture的なクワイエットストームを
下敷きにしながら、軽やかな音遣いの爽やかな一曲です。

かつて、ピチカート・ファイヴや初期のOriginal Loveを支えたドラマー、故宮田繁男の所属していたファンクバンド、
Softsoulの活動10年目にして1stアルバムとなったTimelessから90年代の邦楽アシッドジャズ、
Escalatorsを思い起こさせるようなTake Meを選びました。

その他には、2015年に結成された男女混成5人組バンド、フレンズの2018年の2ndフル、
コン・パーチからファンキー&キャッチーなきらめくJPOPで、常夏ヴァカンスも素晴らしかったです。
アニメソングではORESAMAや、JPOPではいきものがかりや初期の椎名林檎、
かつてのm-floのような邦楽ブラックミュージックなどを背景に感じる、高い演奏技術に裏打ちされた良質な楽曲が並び、
既に完成されたバンドといった印象です。タイアップも複数こなしており、今後JPOPのメジャーシーンで活躍しそうな
雰囲気を強く感じています。名盤です。

そして、もう少しマニアックなところでは、インディーポップバンドのメロウ・イエロー・バナナムーンの
2ndEPからトロピカルな香りを感じる星野源/恋ともいえるような「夢の続き」を選びました。
少しルーズなグルーブの感じやリラックスしたファルセットのボーカルなど、
シティポップ~AORに振り過ぎず、かつてのシュガーベイブや大瀧詠一作品にも通じる美しく懐かしいメロディが満載で、
最近見つけた若手の中では一番注目しています。

日本でEXILEと言えば、ATSUSHIを中心としたLDH系のボーカルグループでしょうが、
彼が参加していたボーカルグループのCOLORは、EXILEの初期にも通じる、90s的なスロウジャムを数多く
リリースしており、JR&Bファンには見逃せない内容となっています。
その中から特にキャッチーで、CHEMISTRYの全盛期に負けずとも劣らぬBlue Skyをどうぞ。

最後には、現代シティポップ系のユニットで最も密度が高くかつポップで完成されたアレンジで
注目されているブルー・ペパーズの1stフルアルバムから、サーチライトです。
2017年の年間ベストにも選出しています。佐野康夫や森俊之なども参加しています。全てのトラックがおすすめです。
メンバーの福田直木さんがパーソナリティーを務めるラジオ番組、「Crossober Laboratory」は、
数あるラジオ番組の中でも非常にレアな、AOR, BCM, フュージョン、ブラジリアン、CCM、ヨットロックなどを取り上げる番組で、
僕も毎週必ず聴きようにしています。ぜひチェックされてみて下さい。

来月からは特に忙しい診療科での勤務が始まりますが、何とか更新頻度を保てるよう努力してまいります。
皆様に素晴らしい音楽との出会いがありますように、おやすみなさい。

前編

中編

後編



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プロフィール

Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
※当ブログはリンクフリーです。
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