私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(213)

Album: Psychedelic Shack
Artist: The Temptations
Genres: Soul, Funk, R&B

Psychedelic Shack


アメリカ、ミシガン州デトロイト出身のソウル/ボーカルインストゥルメンタル・グループ。
1961年のデビュー以来、モータウンを代表するソウルグループの一つとして、
極めて優れたコーラスワークを駆使した数々のヒット曲を生み出し、幾度ものメンバーチェンジを
乗り越え、現在でも活動を続けています。
デビュー後しばらくはヒットに恵まれなかった彼らですが、64年にSmokey Robinson
(the Four TopsやMarvin Gayeなど数多くのアーティストに楽曲提供してきたモータウン生みの親の一人)の
プロデュースによるシングルMy Girl('65)が全米1位を獲得するに至り、スターダムを駆け上がっていきます。
デビュー当初から60年代末までの、ソウルの中にブルースっぽいフィーリングと泥臭さのないポップネスを秘めた
典型的なモータウン・サウンドが特徴的だった初期のサウンドがよく知られているかと思います。
70年代前半においては、本作(1970年作の12th, US/R&B#1)に代表されるような
サイケデリック・ロックの影響を同時代的に強く受けたものが多く見受けられます。
これはSly & The Family Stoneからの影響が如実に表れていると考えて問題なさそうです。
70年代後半以降はディスコ・ミュージックやブラック・コンテンポラリーへと接近していきます。
その時代の先端にあるブラック・ミュージックの空気を貪欲に取り込み、
優れた演奏能力とボーカリゼーションで常にUp-To-Dateされた楽曲を作り出す、
正にブラック・ミュージックのお手本のようなグループだと思います。
中期に当たる本作ではモータウンの楽曲らしい3~4分で、簡潔でポップな曲もありますが、
アルバムのキーとなる曲はかなり長めに尺が取ってあり、
粘り気のあるリズムセクションとファズの効いた歪みのリードギターが絡みつくような
濃厚なグルーブが堪能できます。一曲一曲も他の作品に比べて長いです。
当時時代の最先端の技術であったシンセサイザーを用いたサンプリングやステレオ録音による音源定位を
活用した空間的な音像は、今聴いても古さを感じないアレンジです。
ドアをノックするSEから始まる表題曲の#1Psychedelic Shackは、
クリーントーンのカッティングとシャウト気味にテーマを歌う歯切れのいいボーカリゼーション、
特にEddie Kendricksのファルセットが素晴らしい。のっけから最高の一曲です。
#2You Make Your Own Heaven and Hell Right Here on Earthは、
舌を噛みそうになりますが、Funk Brothersのメンバーたちによるタイトなリズムワーク
(特にドラムスのフィルは鳥肌もの)が聴き所の短い作品。
#3Hum Along and Danceは、Eddieのファルセットによるスキャットが炸裂する前半部と、
Melvin Franklinの語りと口ベースがドゥーワップっぽい空気感を残していてクールです。
ベースラインも動きが多くてメロディとのユニゾンが面白いです。最後のtwangな音のギターソロも良い。
#4Take a Stroll Thru Your Mindでは、不気味なウォーキングベースとEddieの線の細い
ウィスパーボイスから入って徐々にパーカッションが入り、
パーカッシブにコードを鳴らすコーラスワークは名人芸。
突然歪んだリードギターが鳴りエモーショナルなソロを聴かせます。
最近のロックではこういうクラシックな歪みの音をあまり聴かないなとふと思いました。
最後にまた静的なパートに移っていくのがまたカッコいい…
#5It's Summerは、右チャネルを流れる牧歌的なストリングスと語りから始まり、
透き通ったコーラスワークが楽しめるメロウな一曲。素晴らしく心地よい箸休め。
#6Warは、強烈なグルーブを叩き出すドラムスと荒くカッティングするリズムギターが
作るリフ、淡々とカウントするバスヴォイスに思わず笑みが零れる飛びきりファンキーな曲です。
#7You Need Love Like I Do (Don't You)は冒頭のキャッチ―なリフから始まり、
いかにもアナログレコード的な、音の塊が迫ってくるようなアレンジが見事です。
#8Friendship Trainは、疾走感を煽るパーカッションにホーンセクションと、
クリーントーンのギターのストロークが中心になって目まぐるしく変化していきます。
Dennis Edwardsの圧倒的なロングトーンからSEが入り展開していく後半部は至高。
コーラスを奏でる右チャンネルをよそに鳴り続けるアウトロのギターリフが最後まで攻撃の手を緩めません。
Slyも勿論素晴らしいのですが、彼らの作品はThe Funk Brothersという非常に優れた
スタジオ・ミュージシャン集団をバックに付けているため、
ひたすらにタイトで構築されつくしたアンサンブルで
サイケデリック・ファンクを聴くことができるので、彼らの作品の中でもかなり重要な位置を占める
作品であるに違いないと、私は思っています。

Psychedelic Shack

Hum Along & Dance

Take a Stroll Thru Your Mind

Friendship Train
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  1. 2013/11/05(火) 00:01:56|
  2. The Temptations
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

モータウンサウンドの要はやっぱりファンクブラザーズ。
ジェームス・ジェマーソンのエレキベースは最高です!
  1. 2013/11/05(火) 19:28:03 |
  2. URL |
  3. わんx3 #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ジェマーソンのワンフィンガーから生み出される独特な音色と
捻りのあるベースラインは本当に聴いていて飽きが来ません。フィルも最高。
現代でも数え切れぬほどのベーシストに強烈な影響を与えていますよね。
  1. 2013/11/05(火) 23:02:31 |
  2. URL |
  3. Systematic Chaos #-
  4. [ 編集 ]

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Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
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