私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(252)

Album: Vital Tech Tones
Genres: Scott Henderson, Victor Wooten, Steve Smith
Artist: Jazz, Fusion

Vital Tech Tones


アメリカ、フロリダ州ウエスト・パーム・ビーチ出身のジャズ、フュージョン系ギタリスト。
1954年生まれ。Frank ZappaやChick Coreaと共に数々の作品を残してきたJean-Luc Pontyの
ソロアルバムであるFables(1985)に参加し、Allan Holdsworthのフォローワーとして
注目を集めることになります。他にも現代最高のジャズ・フュージョン、プログレ系
ベーシストの一人であるJeff Berlinのソロ作品や、Chick CoreaのElectrik Band期の作品、
Joe ZawinulのZawinul Syndicateに参加しています。
1984年に自身をリーダーとするTribal TechをGary Willisと共に結成し、
テクニカルフュージョンの優れた作品を制作していましたが、
90年代半ば以来、ブルース主体の作品(Dog Party, Tore Down House, Well To The Born)
も制作するようになっていきます。
本作は98年作で、Victor Wooten(B, Bela Fleck and The Flecktones),
Steve Smith(Dr, Journey, Mike Stern Band, Jeff Berlin)と
タッグを組んだVital Tech Tonesというグループ名義で録音されたものです。
音楽性としては、聴きやすいフュージョンというものではなく、
即興性の強いジャズロックをベースとしながら、アウトフレーズ満載の速弾きギターの
フレージングには、随所にブルースの香りが感じられます。
参加している御仁たちも存分にテクニックを見せつけており、超絶技巧のソロ、バッキング
による、極限まで張り詰めたアンサンブルを堪能できる作りになっています。
この辺は、以前にも紹介したGreg Howe, Dennis Chambers, Victor Wootenのトリオによる
Extraction(2002)にも近いコンセプトの作品といえるでしょう。
#1Crash Courseは、ダイナミックで連打の多いフィルが心地よい前半部と、
アウトフレーズ満載でジャジーな速弾きで展開する中間部も、
キャッチ―でこそないものの見事な泣きっぷりで素晴らしいです。
4分30秒あたりから長いベースソロがあり、ワウの掛かった奇怪な音色が耳に残ります。
しかしSteve Smithの、柔軟で軽やかでありながらロックドラミングでもあるという、
この独特な音色は魅力的だと思います。
ファンキーなグルーブを創出する#2Snake Sodaは、何とも変態的でモーダルなギターと、
Wooten得意の高速スラップで魅せるベースソロが聴き所です。最後のキメは鳥肌ものです。
端正なシャッフルで展開していく#3Dr.Heeは、激しいアーミングの絡んだフレーズを
起点にして様々なフィルが入りリズムチェンジしていきます。
9分40秒に渡る大作#4Evergladesは、最早ベースの領域を超越した超高速のソロが強烈な
存在感を放っていますが、ブレイクから全く拍が取れなくなるドラムのパッセージに
開いた口が塞がりません。どの音も極めて粒立ちが良く、一切のミスがありません。
#5Two For Oneは、1分30秒間のドラムソロから、ロータリー奏法(?)を用いた、
最早人間の領域を軽く超越したスラップベースを見せつけてくれます。
ポリリズムからジャングルビート、ダブルバスに展開していくドラムも最高。
シームレスに#6King Twangへと繋がっていきますが、タイトル通りのtwangな音の歪みで
心地よいです。ソロはブルース色が強いものですが、なぜここまで弾けてしまうのでしょう…
知る人ぞ知るコルトレーンの名曲カヴァー#8Giant Stepsは、かなり原曲から
変わったアレンジになっており、ここでもWootenのベースが饒舌に歌っていて
ニヤニヤしてしまいます。精密機械のような繊細なシンバルレガートから、
変態ドラムソロを挟んでパワフルになるリズムの中で、John Scofieldばりのアウトが
連発されています。
疾走しまくる#9Lie Detectorは、思わず吹き出してしまうようなベースの速弾きと、
完全にネジが外れて暴走しまくるスコヘンが見られます。最後にノイズが入って終わる感じも
狂気を感じます。カッコいいです。
らしいご機嫌な手癖が満載のJohn ScofieldやMike Stern、強力な左手でプレーを引っ張り
音の継ぎ目を感じさせないAllan Holdsworthといったような変態なジャズギタリストと
比較して、Scott Hendersonはピッキングする力が強く、フレーズの選び方にも
ハードロックやブルースを感じさせるものが多くて独特のダイナミックさがあると思います。
変態の多いShurの中でも、真に変態と言うべきギタリストだと思います。傑作。

Crash Course

Dr.Hee

Everglades

Giant Steps
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  1. 2014/02/02(日) 17:25:24|
  2. Scott Henderson
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

いつかは出るだろうと思ってましたが、とうとう出ましたな。
下手の横好きでスティーブ•スミスのDVD持ってます。彼は相当なトニー•ウイリアムス•フリークですね。
  1. 2014/02/04(火) 17:56:18 |
  2. URL |
  3. わんわんわん #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

Steve Smithの教則とか凄まじいでしょうね

ギターを弾く側からするとこういうアウト満載のフレーズを即興で弾くっていうのは最早
異次元の世界だと思います。スケールを速弾きするのとはまた違った世界ですよね
ギタリストごとに癖があるっちゃあるんでしょうが…
  1. 2014/02/04(火) 22:08:39 |
  2. URL |
  3. Systematic Chaos #-
  4. [ 編集 ]

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Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
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上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
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5. ハードロック, へヴィメタル,
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6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
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9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

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ブログとして記事を書くことを通じて
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