私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(265)

Album: I Won't Change
Artist: John Valenti
Genres: Soft Rock, AOR, Blue-Eyed Soul

I Wont Change


アメリカ、イリノイ州シカゴ出身のシンガーソングライター、ドラマー。1951年生まれ。
アリオラレコードでのソロ活動以前には、Puzzleというバンドでフロントマンとして活躍し、
白人のバンドとしてモータウンと契約を結び、(契約のためバンドメンバーと共にLAに移住)
2枚のアルバムを残しています。Puzzleでは、初期のChicagoやBlood Sweat & Tearsに近いような
ファンキーなサウンドを指向していました。ボーカルのスタイルとしてはStevie Wonderの影響を
公言しており、1stを出す直前のBobby Caldwellを思わせるような甘さを含んだトーンで、
1stのAnything You Want(1976)では11曲中7曲が自身により作曲、
2ndである1981年作の本作は11曲中4曲が自身により作曲されています。
1stアルバムは、表題曲のAnything You WantがBillboard Hot 100で37位にランクインした
こともあって、U.S. Black Album Chartで51位と言うスマッシュヒットとなりましたが、
80年に録音された本作は、何と米国本国では発売すらされず、AORマニアの多かった
日本でのみ81年に発売された、という非常にレアな作品ということだそうです。
本作はプロデューサーにSmokey RobinsonのBeing With Youを手掛けたGeorge Tobinを迎えて
制作されています。80年代初頭にはNatalie Cole、80年代後半にはTiffanyのプロデュースで
知られる彼ですが、彼のプロデュース作品にほぼ必ずと言っていいほど登場するのが
ギタリストであり作曲家のMike Piccirilloで、この人は Chaka KhanやLa Toya Jacksonに
楽曲を提供していたことで知られています。
バックを固めるスタジオミュージシャンは、Bill Cuomo(Key, Kim Carnes),
Scott Edwards(B, Stevie Wonder,Donna Summer, Hall & Oates, Tom Wates, T-Rex)など、
当時LAの売れっ子が参加しています。ドラムスにはDonald FagenのNightflyでの
プレイを始めとして、Steely Dan, Frank Sinatr, Four Tops, Diana Ross
など数多くのアーティストのレコーディングに参加しているEd Greeneと、
若き日のVinnie Colaiuta(Frank Zappa, Jeff Beck, Joni Mitchell, Sting etc)が参加しています。
筆者が所有しているのは2001年のリマスター版ですが、
これほど高品位な作品がどうしてアメリカ本国で発売されなかったのか本当に疑問です。
#1Who Will It Beは、大仰なシンセのイントロが時代を感じさせるミディアムテンポの一曲です。
Ed Greeneの端正なドラミングとサビでのキメが懐かしい感じです。
軽くハスキーなトーンのボーカルも素晴らしい。ギターソロが入ってからの展開も面白いです。
2分45秒の爽やかな小品#2Did She Mention Meは、モコモコしたベースの存在感と
サビでの透き通ったコーラスワークに、Journeyっぽいドラマティックなメロディラインが光ります。
#3I'll Take You Backは、Vinnie Colaiuta(Dr)の普段に比べると抑え目ながらも、
極めて鋭い音色のハイハットに、Mike Piccirillo(G)の長いトリルを挟んだリードギターと
ジャキジャキしたカッティングがハードロック色を匂わせるValentiの自作曲。最高です。
一気にブラコン色を増した#4That's The Way Love Goesは、ソウルフルなコーラスが印象的です。
再び自作曲のゆったりとしたバラード#5Best For Youは、長めのサックスソロと、
スペイシーなキーボードの作る浮遊感のある都会的な一曲です。これも素晴らしい。
表題曲の#6I Won't Changeは、明らかにStevie Wonderを意識したトーンのボーカルが
特徴的ですが、ポップな中にも鋭いシンバルワークとキメの多いリズムはフュージョン的です。
#7Stephanieは、Kim Carnesのバックでキーボーディストを務めたBill Cuomoのプレイが
目立ち、少しRobert Byrneを思わせるような、ポップス寄りのAORです。
#9Make It Up To Youは、録音状態の影響もあって少しくぐもった音質で、
一層ソウルフルになったフェイクの印象的なボーカルと、後半部のサックスソロは白眉です。
サビのリフレインが耳に残る#10Fight For LoveにはChicagoっぽい感覚がありながら
アレンジには80年代の底抜けなく明るい香りが充満しています。
AORの隠れた良盤の一つだと思います。 間違いなく日本人に受けるサウンドです。

Who Will It Be

I'll Take You Back

I Won't Change

Stephanie
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  1. 2014/03/07(金) 01:00:05|
  2. John Valenti
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

ジョー・リン・ターナーの

Systematic Chaos様

こんにちは

名前は知っているのですが
今まで聴いたことがなかったです。

AORということで聴いてみたら
思いのほかハードでびっくりしました。
ギターも泣きまくっていますね。

ジョー・リン・ターナーのレインボーを
思い出しました。
もしかしたら、ジョン・ヴァレンティの影響を受けているのかもしれません。
  1. 2014/03/07(金) 17:26:09 |
  2. URL |
  3. GAOHEWGII #-
  4. [ 編集 ]

Re: ジョー・リン・ターナーの

中古レコード店のAOR特集で偶然見つけた作品ですが、
非常に良くて驚きました。

白いStevie Wonderというのも納得のソウルフルなボーカルです。
若干線は細いですが。
  1. 2014/03/07(金) 23:51:12 |
  2. URL |
  3. Systematic Chaos #-
  4. [ 編集 ]

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Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
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