私的名盤紹介―真の雑食を目指して

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今日の一枚(284)

Album: Supernal Liberty
Artist: 水樹奈々
Genres: Pops, Rock, Heavy Metal, Funk, R&B

Supernal Liberty


愛媛県新居浜市出身の歌手、声優。1980年生まれ。
2014年作の10th。本日が公式の発売日となっていますが、昨日からレコードショップでも
店頭に並んでおり、新参者のFC会員である自分も昨日手に入れて聴いております。
初回プレス盤には東名阪の3会場で行われる握手会の抽選チケットが入っています。(※)
ただ一人当たり1回しか参加できない仕様になっています。
何枚買った人がいるのか知りませんが…
遊園地を模したジャケットと「天上の自由」というタイトルには、
本作が収録された過程が反映されていると考えて、まず間違いないでしょう。
というのは、前作のリリースから本作までの間に既発のシングルがVitalizationの
1枚のみで、(名バラード、愛の星はカップリングでした)ほぼ完全新作となったから
であると思います。楽曲も、本人の予告通りほぼ全ての楽曲が異なる作家により
提供されており、多忙を極め、前作前々作と、短いレコーディング期間で
制作せざるを得なかった彼女ではありますが、10枚目の区切りともなるこの新譜に
かける思いは非常に大きいものがあったのかもしれません。
その作家陣ですが、これまで組んだことのない名前が続々と挙がっており、
おなじみの上松範康(Elements Garden)や2nd以降、特に初期のプロデュースを全面的に
行ってきた矢吹俊郎、近年提供曲の多い吉木絵里子の他に、(以下少し長くなりますが)
flumpool, 戸松遥のソロ作のアレンジャーである古川貴浩(1979-)
倖田來未やBoAなどの女性シンガーへの曲提供で知られるh-wonder(1968-, 和田弘樹),
艦隊これくしょん~艦これ~の音楽プロデュースで知られる宇佐美宏,
ハヤテのごとく!シリーズやみなみけシリーズの音楽制作を行った丸田新,
ロマンシング サ・ガシリーズ、FINAL FANTASYシリーズや聖剣伝説シリーズで
その名を知らないものはいないイトケンこと伊藤賢治(1968-),
京大卒の新進気鋭の作家として、ももいろクローバーZや私立恵比寿中学、AKB48,
SMAPなどのアイドルグループへの提供からアニメ「日常」の楽曲制作、
はたまた渋谷系界隈ではPizzicato Fiveの野宮真貴のプロデュースなどで
縦横無尽の活躍を見せる前山田健一(1980-)、
といった若く、才能のある多様な人材が投入されています。
全15曲というボリュームのある内容ながら、前作からさらに生バンドの音、
とりわけリズム隊が生演奏の曲が増えており、打ち込みポップス然とした
サウンドからは離れている傾向が続いています。
さらにサウンド面では、Hybrid Universe(2006)以降顕著になってきた、
Elements Gardenのメンバーたちによる煌びやかなストリングスのアレンジが
(以前と比べれば)影を潜めており、過剰装飾が排されてすっきりとした音になっている
印象を受けました。一方で録音の面でも飛躍的に音質が向上しており、
ベストアルバムThe Museumの頃の録音と比べると、全く別物になっています。
音域のバランスがよくて解像度も高く、ベストの音像だと思います。
アルバムのリードトラックとなった#3アパッショナート(Appassionato,
イタリア語で情熱的にの意)は水樹奈々自身による作曲で、ギターの
バッキングは完全なるメタルであったり、#6Fun Fun☆PeopleではJBマナーの(ドラムスはTower Of Powerと言うべきか)
ゴリゴリのファンクをやっていたり、或いはDreams Come Trueのヒット曲のカヴァー
#4笑顔の行方、生バイオリンのフィーチャーされたバラードの#7FATEなど、
多彩な楽曲が収録されています。では個々に見ていきます。
アルバム冒頭としてはおなじみのHibikiX上松という面子の#1Virgin Codeは、
サイバーな電子音の応酬からシンセのリフが流れて来ます。
室屋光一郎のストリングスアレンジと、SHiN(大凶作)のアグレッシブなドラムスで
疾走感たっぷりに進んでいきます。歌メロは革命デュアリズムやアヴァロンの王冠への
オマージュのようです。サビ前のタメた感じの歌唱がテクニカルで、
抑揚の付いた展開も良いです。歌の入るタイミング、キメが難しく、
いきなりライブでの再現はかなり難易度の高い曲だと思います。
強力な声門閉鎖によるハイトーンは少し鼻腔の鳴りが強いように感じます。
ピアノソロで静かに終わります。佳作。
ハウスっぽい打ち込みから始まり、歪んだギターのバッキング、
80s後半のニュージャックスウィングを思わせるような激しく抑揚の付いたストリングスが
R&Bっぽいグルーブを作り、サビではド派手なトランスになってしまう#2Guiltyは、
茅原実里のPrecious Oneを作曲した藤末樹作です。作詞の嵌め方が聴いていて面白い。これも良いです。
水樹自身による作詞作曲の#3アパッショナートは、三嶋章夫プロデューサーからの指示も
あったようで、完全なるへヴィメタルになっています。冒頭からブラストしまくりの
青山秀樹(Dr, 昨年亡くなられた日本を代表するドラマーであった青山純氏の息子)の
プレイが一番の聴き所です。軽めの音であるため、歌謡っぽい湿りのあるメロディを歌う
ボーカルを邪魔していません。
サウンドのアクセントとなるアルパを上松美香が弾いており、
ツインギターによるバッキングはさながらPanteraのようなリフで、
タッピングを絡めたフレーズも安定していて良いです。自身で作曲した初の楽曲である
SEVENを思わせるようなイディオムもあって、ファンならニヤリとさせられると思います。
インスト部のバリバリとしたサウンドでボーカルが無いのが少し淋しい気もします。
思いっきりメタルするなら、シャウト気味にブツ切りの歌詞を歌っても良かったかもしれません。
稗田隼人(G, 作曲家)のフラメンコギターがアレンジのカギを握っていて、
曲の展開や雰囲気を決定づけています。素晴らしいです。お気に入り。
Dreams Come Trueのカヴァー、稲垣潤一とのコラボレーションでも話題になった
#4笑顔の行方(1990)は、派手にブラスが入っており、ダンサブルな打ち込みのリズムで
一気に聴かせます。二番ではサウンドがよりすっきりとしたものに変化し、
ベースラインが前に出たかと思いきや、ブラスの存在が出てくると言うように
変化が付いていて飽きさせません。パワフルなロングトーンを起点にして、
コーラスの分厚さが心地良いラストサビに入って盛り上がっていく展開が良いです。
いつもよりビブラートを抑えたメロ部分と、サビでの
揺らし方の上手さは職人芸としか言いようがない見事な歌唱です。
ドラムンベースの如く、セクションごとに激しくリズムチェンジを繰り返すリズムトラックと、
ゴシックっぽい進行と普段の彼女の曲からは余り想像出来ない#5アンティークナハトムジークは、
室屋光一郎の細やかなストリングスアレンジも、ライブでどう表現されるか気になるところです。
米米Clubのギタリスト、林部直樹(G, いきものがかり、ポルノグラフィティ)の冒頭から続く、
スライドを効果的に絡めた、鬼のような16ビートのカッティングで始まるJBマナーなファンクの
#6Fun Fun★Peopleは、h-wonderによる提供の一曲で、彼はこういう曲調が得意なのでしょうか、
打ち込みによるベースラインも凄くアーティキュレーションの付いたものでグル―ヴィーです。
ドラムスはもっと黒いプレイでも良いのかもと思います。
Brecker Brothersのようなフュージョンの香りが漂うトランペットとトロンボーンの、
ミュートが効いた鋭いプレイも白眉です。それにしてもギターが良い音過ぎて…堪りません。
最高。兎にも角にも好みど真ん中の一曲です。
サビに向けて煽っていくようなボーカルワークもライブで観たいところです。
坂本竜太がこれをスラップ絡めながら弾いたりした日にはアドレナリンが全身を駆け巡るでしょう。
打ち込みR&B然としたリズムトラック(ベースはEXILEへの曲提供、中村一義のサポートなどで
知られる山口寛雄です)の#7FATEも、普段のシングルカップリングとは違ってバンドサウンドが
的確に取り込まれていて、結城貴弘のチェロや、今野均のバイオリンとこれだけでも豪華ですが、
佐藤竹善や田村ゆかりのバックバンドでも知られる黒田晃年のブルージーなアコギソロが特に
素晴らしい仕事をしておられます。これも勿論良いバラードです。
#8Vitalization-Aufwachen Form-はシングルのレビューをご覧ください。
宇佐美宏作曲の#9哀愁トワイライトは、近藤達郎のスウィンギーなピアノと太いベースライン
(角田文子さんと言う方でしょうか…とっても好みのプレイですが存じないです)で
ジャジーに進行するこれまた今までなかったような一曲です。宇佐美氏本によるギターソロも
コンパクトながらツボを押さえています。
若き作曲家丸田新の#10セツナキャパシティーは、門脇大輔のストリングスと藤間淳平の
アレンジと言う鉄壁のコンビで近年定番となった、ドラマティックな水樹ポップスを鳴らしています。
有明コロシアムでのファンクラブイベントで初披露された中野領太作のロックンロール
#11Ladyspikerは、ライブで聴いたときは余り嵌らなかったのですが、
こうしてスタジオバージョンを聴くと圧倒的にグルーブがあって素晴らしいです。
楽器類は打ち込みですがギターのバッキングは非常にリアルな音で、
言われなければわからないほどです。こういう曲もライブで今後テイクを
重ねるうちに輝くタイプの曲でしょう。渡辺格のアレンジしまくったソロが聴いてみたいです。
遠藤直弥作曲のポップロック#12Rock You Baby!は、本作の所々で演奏に参加している
作曲家、マルチプレーヤーの角田崇徳のギターベースと、近年では黒夢のライブサポートや
喜多村英梨のレコーディングでも活躍する楠瀬拓哉のパワフルなドラミングで、
ポップで切ないメロディや進行にもかかわらずダイナミックな音になっています。
コール&レスポンスが頭からあるというファンのための一曲と言う感じ、
きっとタオルを振って応援することになるのでしょう。準備しておきます。
イトケン×ヒャダインという、二人の個性が出まくった#13Million Ways=One Destinationは、
渡辺格(G)と坂本竜太(B)といういつものCherry Boysメンバーが参加しています。
まさかこの曲で弾くとは思っていませんでしたが、良いプレイです。
Aメロの歌謡感なんかはもうどう聴いても前山田の曲と言う感じです。
そのバックで存在感を示すベースラインと、弾き過ぎず限界で止めた渡辺格のギターソロも、
艶やかで何と上品な音なんでしょう。ユニゾンかましたクサいプレイも熱い。
矢吹俊郎作曲の#14僕らの未来は、なのはの曲ですと言われても分からない既視感を感じますが、
本作の中で聴くと溢れる90年代っぽい香りがアグレッシブです。
矢吹氏本人によるギターソロも待ってましたと言う感じで思う存分ピロピロしておられます。
初期の楽曲にかなり頻繁に入っていたあのソロの音を思い出します。
上松美香のアルパとボーカルのみで進んでいく#15愛の星-two heats-は、
巧みなアルペジオや滑らかな上昇下降のフレージングが耳を優しく撫で、
時にトレモロで情熱的に弾いていくプレイを堪能できます。
音域的にもリズム的にも、この曲は歌の内容に集中できる楽曲なのか、
歌唱も最高の出来だと思います。力強いヘッドヴォイスから微かにファルセットに抜けていったり、
低音での息の漏れが少しある感じ、そこから滑らかに繋いで力強くハイトーンへと向かっていく、
或いはフレーズの最後に少しエッジボイスが入って切なさを表現したり…
細かな表現の全て一つ一つが非常に丁寧で、この歌に込めた彼女の思いがそれだけ大きいもので
あることを物語っています。キャリアの中でも何度も巡り合う事はないであろう名曲だと思います。
昨日の時点でフライングゲットし聴いてはいますが、これですべてを語りつくしたかというと、
そんな感じは余りしないというのが本音です。
そして、あまりシングルを出さずに迎えた前作、今作は彼女のキャリアの大きな
ターニング・ポイントになるであろうと、強く感じていましたが、やはりそのようです。
ファンとしての評価を差し引いても、私は大成功だと感じています。
ライブの興行成績も国内トップクラスで、レコーディングに大きな資金を投入できるように
なるにつれて、どういう方向性に進んでいくか、レーベルに飼い殺しにはされないかと
一抹の不安を感じていた時期もありましたが、やはり彼女を支え続けてきた三嶋プロデューサーを
始めとするスタッフの方々は、極めて優れた見通しと審美眼を持っておられたようでした。
そして、水樹奈々という歌手は、そのどんな期待にも見事な化学反応を見せ、調和した音を作るだけの
能力を有しているという事も、改めて証明されたように感じます。
もう心配することは無くなりました。
最高傑作かもしれません。でもそんなことはどうだって良いんです。
ライブで、思いっきり弾けて楽しみたい、今はそれだけです。

※握手券ですが、何と高倍率を潜り抜け、当選を果たすことができました。
 大変光栄に思っております。これからも、私的名盤紹介は水樹さんを全力で応援して参ります。

アパッショナート

Fun Fun ★ People [Live]
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Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは50,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
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