私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(286)

Album: Set The Tone
Artist: Nate James
Genres: R&B, Soul, Acid Jazz, AOR

Set The Tone


イギリス、サフォーク州ニューマーケット出身のシンガーソングライター。
アメリカ人の父とイギリス人の母のハーフですが、アフリカ系の混血でもあるようです。
1979年生まれ。Notoriusという5人組のヴォーカル・インストゥルメンタルグループとして、
メジャー・レーベルと契約したものの、不運にも契約破棄となり、自主制作による
デモを作っていたようで、Universal Musicに見出されたことをきっかけとして、
インディーズレーベルであるOne Two Recordsとの契約に至り、発売は独自のレーベルである
Frofunkというレーベルから全世界への発売に成功しています。2005年作の1st。
本作のリード・トラックである#4Universal, #2The Messageが日本のFM局でパワープレイの
対象となり、2度の来日公演とテレビ出演、日本のジャズ/フュージョンバンドPe'zとの共作など、
日本国内の活躍でも知られています。本作は本国イギリスでもUK R&B#11を獲得し、
国内の音楽雑誌であるMOBOの最優秀新人賞と最優秀R&Bアーティスト賞の二つに
ノミネート、12万5千枚の売り上げを記録するスマッシュ・ヒットとなりました。
ソウルとはいっても、80年代のポップス、とりわけGeorge Michaelの作るポップスに
代表されるような、ダンサブルでディスコミュージックの影響が垣間見えるサウンドであるようで、
或いはJBやP-Funkからの流れをくんだPrinceのような、またはStevie Wonderのようですらあり、
懐かしく感じられる方も多いのかもしれません。
日本でのキャッチコピーはひとりJamiroquaiということだそうですが、
クラブミュージック寄りの#4Universalゆえにそういう評価が与えられたのだと思います。
本作にはゲストとして#6Funky Loveでは新人歌手のCarmen Reeceを、
#9I'll Declineでは、アメリカの90年代を代表する女性ボーカルグループである、
En VogueのメンバーであるDawn Robinsonをゲストに迎えています。
#1Said I'd Show Youから、音質が極めてハイファイで、イントロから流れ続けるクリーントーンの
ギターリフで掴まれます。正にダンサブルでモダンなR&Bと言う感じで、暑苦しくなく、
適度な軽さのある声質と、気障な歌詞がまたクールです。ブルーアイドソウルのような
フィーリングのある声と言うべきか、Craig Davidのような弱さを内包したような優しい声、
というか…とても好みです。アウトロのシンセのフレージングも意表を突かれます。
#2The Messageは、以前私的名盤紹介で紹介したNeo AORのシンガーソングライター、
Ole Borudを思わせるような透明感のあるサウンドで、ホーンのアレンジは往年のディスコサウンド
のようでもあります。大仰なキメを連発する後半部ではアンサンブルのグルーブを楽しめる
仕様となっていて、これまた耳が気持ちいいです。
#3Get This Rightは、Stevieを意識したかのようなボーカリゼーションと、キーボードのリフを
中心としてファンキーに展開していきながら、フィリーなストリングスが時折入ってくるあたりが、
とても新鮮な感覚があるアレンジで素晴らしい。お気に入り。
チャラい歌詞で煽るように歌うアシッドジャズの#4Universalは、2番に入ってからの
ファルセット交じりな歌唱の巧みさも聴き所です。左チャンネルを流れるトレブリーな
リードギターも饒舌です。
ゲストボーカルのCarmen Reeceがコーラスメインで所々シングアロングするようにして登場する
#6Funky Loveは、ロボットボイスを取り入れつつ、ダンサブルに、しかしどこかネオソウル以降の
UKソウルっぽい暗さを湛えたトラックでこれも渋くて良い。
もろにゴスペルなコーラスと、シンプルな繰り返しのメロディで力強く歌う#7Justify Meに続いて、
#8I Don't Wanna Fightは、イントロのハーモニカのフレージングで完全にStevie Wonderと
思わせておいて、単音カッティングを絡めた、ワウの掛かったリズムギターでまた
異なった進行、展開を見せています。
Dawn Robinsonの参加した#9I'll Declineは、ディストーションの掛かったギターリフが
随所に挟まり、重いリズム隊の演奏も相まってロックグルーブのある一曲に仕上がっています。
彼女のパワフルで伸びやかなボーカルとトラックとの相性は完璧です。
さらに一際ポップになった#10Impossibleは、透き通ったコーラスや、緊張感あるフィルを弾く
曲後半のベースラインがスリリングなグルーブを生み出します。これも最高。
さらにさらにダンサブルなパターン・ミュージックの#11Can't Stopは、
どこか暗澹としたメロディと、このうねるグルーブの取り合わせに彼の個性を感じます。
「踊りつづけよう」と歌うシンプルな歌詞もカッコいいですね…これもお気に入り。
アルバム最後を飾る肉体的なファンクナンバー#12Shake Out!は、
コーラスとワウの掛かったコードカッティングという定番のフレーズに、
モータウンなベースラインでどっしりと進行していきます。
日本盤ボーナストラックとして収録されている#15Still On My Ownは、
1982年生まれのブリティッシュ・ヒップホップ界隈で活躍するラッパー、
Sway DaSafoの楽曲で、ピアノ中心のRobert Glasper的なジャジー・ヒップホップに
仕上がっています。
全編通じて綺麗なメロディーと、生々しい音像で心地良く、
ドライブミュージックにも好適なサウンドです。快作。

Said I'd Show You

The Message

Get This Right

Funky Love

Impossible

Can't Stop
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  1. 2014/04/29(火) 02:51:01|
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Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
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