私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(291)

Album: Way Kool
Artist: Hiram Bullock
Genres: Fusion, Jazz Funk

Way Kool


日本、大阪府堺市出身のアメリカ系アフリカ人のジャズ/フュージョンギタリスト。
1955年生まれ。アメリカ軍の関係者であった両親の元に生まれ、
2歳のときメリーランド州のバルチモアへと戻った後、ジョンズホプキンス大学の
幼稚舎であるPeabody Instituteでピアノを始めたことをきっかけとして音楽に触れ、
元々はサックスやベースを弾いていましたが、16歳のときにギターに転向しています。
マイアミ大学の音楽学部に入学した後に、ギタリストではPat MethenyやSteve Morse,
ベーシストではJaco PastoriusやWill Leeといった錚々たる人物たちと知り合い、
フロリダのバーで演奏していたようです。ニューヨークに引っ越した後は、
当時NBCで放送されていたテレビ番組、Late Night with David Lettermanの
収録でJacoと演奏を行ったり、David SanbornやBob Jamesの諸作品への参加で
その名が知られていくこととなります。
おそらくSteely Dan/Gaucho(1980), Paul Simon/One Trick Pony(1980),
Sting/...Nothing Like the Sun(1987), Billy Joel/The Stranger (1977)といった
知る人ぞ知る名盤でのプレイは、一度は聴いたことがあるかもしれません。
個人的にはChaka Khanのアルバムで参加しているのを聴いて知りました。
本作は1986年のソロ活動開始後、セッションマンとして円熟期にあった1992年作の3rd。
HSHのピックアップレイアウトに改造されたストラトキャスターから繰り出される
コンプレッサーの掛かった軽快で独特なトーンと、得意とするカッティングや、
聴きやすいサウンドの中にスケールアウトした音を織り交ぜたフレーズは、
タイトルの通りクールでありながら理知的なギターインストを思わせます。
リズムとしては彼の得意とするファンキーなものが多く、ギターインストものに多い
目にも留まらぬ速弾き、と言うわけではないですが非常に丁寧に弾き込まれています。
本作では、長年キャリアを共にしてきたWill Lee(B), David Sanbornバンドで共に活動して
いたRicky Peterson(Key)にCharley Drayton(Dr)を加えたメンバー、
或いは Steve Wolf(Dr), Steve Logan(B), Dave Delhomme(Key),
といった以前のソロ作でも参加していたなじみのメンツで録音されています。
金属っぽいジャリ付いたスラップに、軽快な8ビートの絡むファンク・フュージョンの
#1Da Alley, Dave Delhommeのパーカッシブで左右に振られたキーボードのリフレインが
90年代っぽさを漂わせる#2Shut Upは、Alicia Keysのバッキングで知られる
Steve Wolfのパワフルで溜めたグルーブのあり、キックのハッキリとしたドラミングと、
後半のハモンドオルガンのソロが聴き所です。
ギタープレイは適度に抑制されていて上品です。お気に入り。
Hiram自身によるボーカル入りで初期Babyfaceのようなサウンドの異色なR&B#3Show Meは、
バックで流れるカッティングのタイム感や、短くも絶妙にアウトしたソロのセンスの良さは最高。
ポップス~ソフトロック感覚が如実に表れたメロウなタイトル曲#4Way Koolは、
シンセとの長いユニゾンを見せるパートのメロディックさ、口笛のような音のシンセが洒脱です。
クワイエットストームなバラードの#5Never Give Upは、彼のクリーントーンの、
コンプレッサーが強めにかかったような、独特なまろやかさのある音色でありながら、
アタックの音がプッと言う感じで良いというか…ともかく良い音です。最後はピアノソロです。
再びキラキラしたシンセ色の強いファンクの#6I No Uは、ギターシンセを効果的に用いた
冒頭部のフレーズや、泣きのチョーキングが入ったメインテーマのバックで鳴るまろやかな
カッティングも心地良いです。
サンプラーとスクラッチが効果的に用いられまた違ったソリッドなグルーブを作り出す
#7Wolfman, 洗練されたソウルやそれに続くブラック・コンテンポラリーの香りが漂ってくる
ボーカル入りの#8Another Nightは、歌のバッキングで弾き出されるトレブリーな16のカッティング、
一層ブルージーになったギターソロとちょっと異色な一曲です。渋い。お気に入り。
弦の擦れる音が心地良い打ち込み然としたトラックの中でも強烈なグルーブを放つ
#9 10 To 11は、入り組んだ冒頭部のパッセージと、分かりやすくキャッチ―なメインテーマとの
対比も素晴らしい。
The Beatlesの通称ホワイトアルバム(1968)に収録されているカヴァー#10Dear Prudenceは、
かつて彼がJaco Pastoriusのツアーメンバーとして、84年頃にニューヨークで行ったライブを
集めたコンピレーションである、Live in New York City Volume 4にも収録されています。
ただひたすらシンプルに、かつての盟友に優しく語りかけるようにギターが歌っています。
won't you come out to play=「外へ出て遊ばないかい?」という歌詞を思い出すと、
あまりにも早く彼岸へと旅立ってしまった友への思いが伝わってくるようで、胸が熱くなります…
テクニック満載のアルバムではないですが、この心地良いリズム感やフレーズの歌わせ方、
音遣いの上品さといい、いつまでも聴いていたくなります。

Da Alley

Shut Up

Show Me

Wolfman

Dear Prudence

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  1. 2014/05/10(土) 01:37:02|
  2. Hiram Bullock
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

センスの塊のようなギタリストでしたね。
  1. 2014/05/10(土) 06:28:38 |
  2. URL |
  3. わんわんわん #-
  4. [ 編集 ]

こんにちは、お邪魔します。
このアルバムは聞いてみたいと思っていました。
思い込みで軽いサウンドを勝手に想像していましたが、思ったよりファンキーで、テクニカルですね。聞いてみたいと思います。
  1. 2014/05/11(日) 13:56:07 |
  2. URL |
  3. jamken #zBaDG9y2
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

正にそうですね。
テクニック的にも凄まじいのですが、フレーズのリズムへの乗せ方と言う面では、
本当に他の追随を許さないと思います。Gauchoでのプレイも最高でした。
  1. 2014/05/11(日) 23:44:32 |
  2. URL |
  3. Systematic Chaos #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

急逝なさったのが本当に残念で仕方がありません。
メロディは若干ワンパターンな感じがありますが、このファンキーさと、
90年代と言う時代特有のシンセの音やメリハリのついたリズム感覚は、
現代のギターインストではなかなか味わえない部分だと思います。
  1. 2014/05/11(日) 23:46:33 |
  2. URL |
  3. Systematic Chaos #-
  4. [ 編集 ]

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Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
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3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
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5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
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6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
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オルタナティブヒップホップ
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9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは50,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
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これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
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