私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(313)

Album: It Must Be Love
Artist: Alton McClain & The Destiny
Genres: R&B, Soul, Disco

It Must Be Love

アメリカ、カリフォルニア州ロサンジェルス出身のソウル/ディスコグループ。1978年結成。
オリジナルのメンバーはAlton McClain, D'Marie Warren, Robyrda Stigerの三人で、
当時活躍していたThe Emotionsとかと同系統のガールズトリオと考えてよいと思います。
彼女たちは1979年から81年までの間に僅かにアルバム3枚を残して解散していますが、
後にメンバーの一人であるD'Marie Warren, Robryda Stigerを中心として、
Krystolというグループ名で1984年から89年まで活動していたこともあります。
本グループの解散後、Altonは音楽プロデューサーとして活動していたSkip Scarboroughと
結婚し、一時的に音楽活動を休止しますが、90年代からはゴスペルシンガーとして
再び活動を開始、オリジナルアルバムも残しています。
そしてKrystolで活動していたD'Marie Warrenは85年に交通事故で32歳の若さで急逝しています。
本作はAlton McClain and The Destiny名義でポリドールから発売された1979年作の1st。
本作に収録されている表題曲にして「至高の」ディスコ・チューン、
It Must Be Loveは1979年のUS,R&B#10を獲得するなど
スマッシュヒットを記録し、同じくUS,R&B#69であったCrazy Loveは、
レアグルーブ評価の中で、Free Soulなどのコンピレーションでもお馴染みな一曲だと思います。
プロデューサーはMotownでその名を知らない者は居ないFrank Wilson(1940-2012)で、
Brenda Holloway, Marvin Gaye, The Supremes, The Miracles, the Four Tops,
The Temptations, Eddie Kendricksなどを手掛けています。
やはり一番の聴き所はAlton McClainの鋭く、パワフルでどこまでも伸びていくハイトーンと
いうことになるのでしょうが、リズム隊の堅い演奏や緻密に作りこまれたストリングスの
アレンジも、当時の最高峰の音が詰め込まれていると思います。
これでセールスが伴わず、3枚アルバムを出すだけで解散してしまったというのは
俄かに信じ難い話のように、筆者は感じます。
#1Crazy Loveは、歌謡的な哀愁を感じるハーモニーに、乾いたカッティングが
引き締まったグルーブを作ります。動きの多いベースラインと、フィラデルフィアソウルの
影響が色濃くみられるストリングスの音が、時代を反映した典型的な一曲ではありますが、
Alton McClainの鋭いハイトーンも炸裂しており、素晴らしい一曲です。名曲。
#2Sweet Temptationは、ミニマルなベースリフを中心として、ワウの掛かったカッティングや
パーカッシブなホーンがリフレインするドロドロしたファンクで、
随所に挟まれるホイッスルボイスが強烈な存在感を放ちます。
ゆったりとしたバラードの#3Taking My Love For Grantedは、ブラッシングの音が心地良い
ギターとキャッチ―なサビでのコーラスワークが最高です。
ポコポコしたタムを巧みに絡めたドラムのフィルは曲後半にかけて盛り上がりを
見せていて、これも聴き所です。
続いてさらにフィリー色の強くなったバラードの#4My Empty Roomは、
コーラスの二人の音が前に出たアレンジになっていて、コーラスの掛かったギターの
バッキングがドリーミーです。
クワイエットストーム的なイントロと、リムショットの響きが印象的なリズムに
ピアノ、ストリングスとすっきりした音像の#5Power Of Love,
Slyを思わせるようなクネクネしたカッティングと歪みのギターリフの入った
スロウなファンクロック#6Push and Pullは、歯切れの良いホーンや
ブルージーなギターソロが最高です。お気に入り。
そして表題曲の#7It Must Be Loveは、Cheryl Lynn/Got To Be Realに近い
キーボードのフレージングと、The Emotions/Best Of My Love,に代表されるような
ディスコの定番リズムパターンであるスウェイ・ビートを合体した一曲で、
勿論腰に来る強烈なグルーブがあり、ストリングスのテーマを起点にして
サビにかけて一気に盛り上がり、透き通ったコーラスが包み込みます。
インストパート直前のロングトーンは圧巻です。やはりいつ聴いても最高の一曲です。
最後を飾るのは三拍子の異色な一曲#8God Said "I Love Ye One Another"で、
フュージョンライクな手数の多いドラムスと、パーカッシブなピアノ、
複雑なコーラスワークで爽やかに終わっていきます。
ディスコミュージックと言うと、シンセのベタベタした音が思い浮かぶかもしれませんが、
本作は、野性的な黒さを湛えた本物のファンクと、フィリーで幻想的な香りを放つ本物のソウルを、
LAのスタジオミュージシャンの演奏による、身体が自然と動くような強いビートと
鋭いバッキングで表現し切っています。
洗練された印象を与えるボーカルのトーンや、
隙のないコーラス、McClainのパワフルなハイトーンの歌唱も合わさって、
非の打ちどころのない名盤に仕上がっていると思います。
リマスターで音も良くなりました。愛聴盤です。

Crazy Love

Sweet Temptation

Push and Pull

It Must Be Love
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  1. 2014/07/10(木) 23:57:14|
  2. Alton McClain & The Destiny
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

Systematic Chaos様 こんにちは

このアルバムは5月にフリーソウル・シリーズの1000円廉価盤で再発されていまして、それでゲットしました。自分は初めて聴いたのですが、やっぱりリマスターの効果はあったのですね。
仰るとおり、リズム隊が強力でグルーヴがとっても気持ちいい。今の時期にぴったりですね。



  1. 2014/07/11(金) 10:47:30 |
  2. URL |
  3. GAOHEWGII #-
  4. [ 編集 ]

女子3人組というのはポップスの一つのフォーマットですね。日本で言うとPerfumeでしょうか。
企画、マーケティング、セールス、レコーディング(現在ではパソコンでDAW)、パフォーマンスといったモータウンならではの徹底した職人技分業というビジネスモデルがいまでも活きていますね。
  1. 2014/07/11(金) 12:58:04 |
  2. URL |
  3. わんわんわん #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

自分は最初ディスコミュージックのコンピレーションで彼女の作品を知るに至り、
このオリジナルアルバムを手に入れました。
古いCDよりも圧倒的に音質も良くなってますし、ジャクソンシスターズとか
シリータ(また今度レビュー書きます)、グロリアスコット(これもいずれ)とかもまた
新しいリマスターで聴いてみたいですね…夢が膨らみます。
  1. 2014/07/12(土) 00:51:10 |
  2. URL |
  3. Systematic Chaos #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

そうですね、Perfumeは不勉強なのもありましてなかなか聴けていないですが、
音楽マニアからの評価も高いみたいで、いずれはオリジナルアルバムをじっくり聴いてみたい
気持ちはあります。
このギターはRay Parker Jr.の音なのだろうと推測しますが、
それにしてもやはり最高のプレイです。こんなソロとかカッティング弾いてみたいです。
  1. 2014/07/12(土) 00:53:31 |
  2. URL |
  3. Systematic Chaos #-
  4. [ 編集 ]

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Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
①DENON PMA-50 + Zensor1 (USB-DACプリメインアンプ+スピーカー)
②iPod Classic+TEAC-HAp50(ヘッドフォンアンプ)
③ONKYO DP-X1A のいずれかで聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
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