私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(320)

Album: Everybody Got Their Something
Artist: Nikka Costa
Genres: Alternative Rock, Funk, Blue-Eyed Soul

Nikka Costa


日本、東京都生まれのアメリカ人シンガーソングライター、1972年生まれ。
父親はアレンジャー、プロデューサーのDon Costaで、
Frank SinatraのアルバムSinatra and Strings(1962)のプロデュースを行ったこと、
とりわけそのオーケストレーションの技術の高さで知られています。
他にもSarah Vaghun/Snowbounndや、Tony Bennett/If I Ruled the World:
Songs For The Jet Setなどを手掛けています。
夫はプロデューサー、作曲家のJustin Stanleyであり、
The Vines, Beck, Daniel Merriweaatherなどのプロデュース、
Noiseworks, Electric Hippiesの作曲などが知られています。
彼女自身は幼少期から父より音楽的な教育を受けて育ち、
父のソロアルバムで歌ったり、9歳の頃にはSinatraと共演しています。
81年に発売されたセルフタイトルのアルバムはヨーロッパと南米で1位を記録し、
ワールドツアーまで行っています。父の突然の死を乗り越え、
高校卒業後はポップスからモータウンに影響を受けたファンク、ソウルへと傾倒して行きます。
Justinとの結婚を期にオーストラリアへと移住した彼女は、自身で作曲を行うようになります。
そしてLittle Mona & The Shag Daddies, Sugarboneといったバンドを組んで活動した後、
オーストラリア国内のMushroomというレーベルと契約を結び、1996年にソロデビューを果たします。
本作は(オーストラリア移住後の)2001年作の2ndソロ(US#120, UK#53)。
その後はLenny Kravitzとのレコーディング、ライブと共演したり、
スタックスとの契約を結んで活動を続けています。
ファンクやソウルとは言っても、夫であるJustin Stanleyの助力もあって、
UKのオルタナティブロックのようなダイナミズムと、
彼自身によるエッジの効いた、激しく歪んだバッキングが特徴的な音像になっています。
他にも、リズム隊にはThe Roots(詳細はThe Rootsの項を参照)のドラマーとして、
ヒップホップのメインストリームやネオソウルの界隈で、
縦横無尽の活躍を見せているQuesolve
(Elvis Costello, Common, D'Angelo, Jill Scott, Erykah Badu, Jay Z, John Legend)、
John MayerとのトリオやThe RH Factorなどでの活動や、
The Who, Genesis, Eric Claptonのサポートの経験も豊富な
Pino Palladinoを起用しており、非常に緻密に計算され尽くした音作りとなっています。
ローファイなギターとエフェクトの掛かったボーカルがファルセット気味に
歌う中でベースリフを中心として展開していく#1Like A Feather、
乾いた歪みのギターが左右に振られたオルタナティブロックの#2So Have I For Youは、
Quesolveの澄んだ音のドラムスは、アウトロでこそ彼らしいフィルを叩いていますが
全体としてラフな感じがあり、Pino Palladinoのベースもいつもよりも太い音で、
クラシックロック的なドライブ感があります。素晴らしい。
#3Tug Of Warは、揺れのあるエレピのバッキングとソウルフルなボーカルに、
エレクトロなテイストもある前半部から、曲後半にかけてホーンが入り、
ハードな音へと変化していきます。その後はストリングスのサンプリングや
細やかなハイハットの刻みが不安感を煽るパート、そしてコーラスの艶やかな
定位が心地良いパートへと目まぐるしく展開します。
表題曲の#4Everybody Got Their Somethingは、抜けの良いベースと、
もたれかかったドラムスの作るグルーブに、心なしかSlyを意識したような
フェイクに遊び心を感じるコーラスでゴリゴリと進行していくファンク。
ホーンのサンプリングやコーラスの音処理は極めてモダンで面白いです。
David Campbellのアレンジによるチェロの低音が哀しさを湧き立たせる
バラードの#5Nothing、激しいスクラッチとラウドなドラムスが鳴り響く
インタールードの#6Nikka What?を挟んで、
本作の中でもとりわけパワフルなハイトーンの歌唱が印象的なファンクロック、
#7Hope It Felt Goodへと繋がって行きます。強くワウの掛けられたリズムギターに
メタル張ばりに歪んだディストーションギターのリフ、重いキックのドラムスが
絡みつきます。その中で緩いホーンのフレージングが目立ちます。お気に入り。
ひたすらにドロドロのファンクが満ちている#8Some Kind Of Beautifulのような曲でも、
やはりPino Palladinoのベースの存在感は凄まじいものがあります。
僅か5歳の時の歌声をそのまま流したインタールードの#9Nikka Whoを挟んで、
スローバラードの#10Just Becauseでは、The Beatles/Let It Be, Abby Roadの
二枚のオリジナルアルバムのレコーディングに参加した他、70年代にはThe Rolling Stonesの
サポートメンバーを務め、グラミーとUS#1を獲得したキーボーディストの
Billy Prestonがゲストで参加しており、華麗なストリングスとサザンソウル的な
(より音色はモダンですが)グルーブのあるトラックの中で、左チャンネルを
流れるワウの掛かったクラビネットがファンクネスを感じさせてくれます。お気に入り。
アメリカの市民活動家であるJesse Jacksonの演説がサンプリングされた
#12Coners Of My Mindは、重ねられたチェロ、ノイズの入ったコーラスが
作り出す頽廃的な空気が印象的です。
乾いたロックを基礎としながら、ファンクやソウル特有の泥臭さがサウンド全体を
貫いていて、アナログな音作りと相まって、時代に左右されない作品に仕上がっています。

Like A Feather

So Have I For You

Everybody Got Their Something

Hope It Felt Good

Just Because
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  1. 2014/07/26(土) 00:27:17|
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Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
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TATSURO MANIA会員。
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上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
初心者ですが宜しくお願いします。
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