私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(331)

Album: Miss Machine
Artist: The Dillinger Escape Plan
Genres: Progressive Metal, Chaotic Hardcore

Miss Machine

アメリカ、ニュージャージー州モリスで1997年に結成されたカオティック・ハードコア/
プログレッシブメタルバンド。元々はハードコアパンクを演奏していたArcaneというバンドが
彼らの前身で、それ以前にもAdam Doll, John Fulton, Chris Pennieの三人はSamsara, Malfactor
といった名義で活動していました。初めてのデモ音源を発表する際に、1930年代の銀行強盗の犯人である
John Dillingerの脱獄事件からThe Dillinger Escape Planの名を名乗るようになりました。
当時のハードコアパンクバンドの中で、彼らの演奏力の高さや暴虐的な音楽性が注目を集めるようになり、
Relapse RecordsからEPのリリースが決定することとなりました。
99年に1stアルバムを発表してからは、アバンギャルドメタルの界隈で評価され、
ファンクメタルバンドのMr.Bungleとツアーを共にする機会を得ます。
00年代に入ってからはAphex Twinのカヴァーを演奏するなど音楽性を広げる一方で、
イギリス国内の有名フェスティバルであるReading and Leeds Festival(Nirvanaのステージが
ライブレコーディングされたことでも知られていると思いますが)で汚物をステージ上で袋に入れて
撒き散らすという暴挙に出るなど、過激なパフォーマンスでもその名を知られるようになります。
本作は2004年作の2ndフルアルバムで、発売後一週間で12000枚の売り上げを記録するなど、
彼らの最大のヒット作となりました。本作リリース後はSlipknot, System of a Down, Megadeth
などのサポートアクトも行うようになります。
1stアルバムの攻撃的でパンキッシュなサウンドから、本作ではさらにアバンギャルドなサウンドを
指向しており、ボーカリストには元々彼らのファンであったGreg Pucitoが参加しています。
プロデューサーには、Alesana, Poison the Well, A Static Lullaby, Sepultura, Symphony X,
Saves the Day, Lifetime, Kid Dynamite, Story of the Year, Every Time I Die,
Earth Crisis, Still Remains, Our Last Night, The Wonder Yearsなど、
90年代前半から現在に至るまで、ハードコア~メタルコア、プログレッシブメタルなどの作品を
数多く手掛けてきたSteve Evettsが担当しています。(彼らの最新作もEvettsがプロデュースを行っています)
ボーカルは基本的にグロウルやスクリームを中心としたスタイルで、
ドラムスの叩き出すビートは、数学的に計算された変拍子を身体に叩き込んで演奏する
プログレッシブロックのそれというよりは、インダストリアルやミニマルテクノ、
ブレイクビーツに影響を受けたような、細分化、断片化されたビートを組み合わせて
巧みにリズムチェンジを行っているように感じられます。
しかしながら、曲中にはスラッシュメタルやブラックメタルに見られるような
リズムのパートも多くあり、この比率が絶妙にコントロールされています。
音は激しく歪んでいますが、フュージョンに近いハーモニーの感覚があって、
その上に多彩なエフェクトの掛けられた電子音やギターが飛び交っている、という異形な音像です。
目まぐるしく動くリズムや繰り返しの少ない曲の構造でありながら、
テクニックの高さに基づいた凄まじい緊張感があり、中毒性のあるサウンドだと思います。
#1Panasonic Youthは、冒頭から激しいスクリームが入っているため音量に注意して下さい。
変拍子のドラムスは目まぐるしくリズムチェンジを繰り返し、リズムギターのフレージングは
Meshugahhやその界隈から派生したDjentのそれです。短いタッピングのフレーズを起点にして、
曲後半ではスラッシュメタルのようなパートもあって楽しいです。お気に入り。
そのままシームレスに繋がっていく#2Sunshine The Werewolfは、激しいブラストビートを
随所に挟んでいますが、ともかくキックの音圧と粒の揃い方には驚かされます。
1:30あたりからはアンビエントなキーボードの鳴る静かなパートがあります。
最後一分ではノイズまみれのスクリームと美麗なストリングスが素晴らしい対比です。お気に入り。
Panteraのようなグルーブメタルを想起させる#3Highway Robberyは、本作の中でも
かなりキャッチ―な一曲に仕上がっています。突如として透き通ったコーラスが入った
パートでリズムチェンジした後は再び元に戻っていきます。
曲の中間部でDream Theaterを思わせるようなテンポの速いコードチェンジがある
#4Van Damselもなかなかにキャッチ―でポップです。
サスティーンの短いドラムスとジャリジャリと歪んだシンセ、ギターの単音カッティングで
静かに展開していく#5Phone Home、ギターリフとドラムスで出来る不気味なポリリズムが
得も言われぬグルーブを生み出す#6We Are The Stormは、左チャンネルを流れるフリーキーな
リードギターが際立っています。静かなパートは必要だったのかと思いますが…お気に入り。
機械音のようなインタールード#7Crutch Field Tongsに続いて、
#8Setting Fire To Sleeping Giantsは、本作の中でも一番激しいスクリームがありながら、
クリーンで歌うパートはコーラスもあったりして、Greg Puciatoの巧みなボーカルワークを楽しめます。
#9Baby's First Coffinは、ブラストとスクリームによるパートとメタルコアなパートが
交互に入れ替わりながら進んでいます。アウトロではドラムの抜けの良さがよく分かります。
#11The Perfect Designは、後半のテンポダウンしてからのスクリームが絶品です。
やはりアウトロは音量注意です。
かなり個性的なため、アルバム通して聴いているとなかなか疲れるサウンドですが、
一曲の中にこれでもかと展開が詰め込まれていて、キャッチ―なパートもあるため、
プログレメタルのファンだけでなく、スラッシュメタルやグルーブメタルの好きな方にも
楽しめると思います。計算された混沌、といった感じの一枚です。

Panasonic Youth

Sunshine Werewolf

We Are The Storm

Setting Fire To Sleeping Giants

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  1. 2014/09/04(木) 15:42:21|
  2. The Dillinger Escape Plan
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

Systematic Chaos様 こんばんは

久しくこういったスラッシュ・メタル系の新人は
チェックしていなかったので新鮮に楽しめました。

おっしゃる通り、やりたい放題やっているようでいて、きちんと整理されていて聴きやすかったです。確かにキャッチーですし、往年のスラッシュっぽさもあり、ちょっと懐かしい感じが良かったです。
  1. 2014/09/08(月) 18:53:19 |
  2. URL |
  3. GAOHEWGII #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

カオティックハードコアだのプログレメタルだのDjentだの、
この手の激しく歪んだへヴィなロックの界隈には、
優れたテクニックを持ったバンドがうようよ居ますよね。
リズムがぶれないとか、速弾きを完璧にこなせるといった
機械的な能力だけでなくて、スラッシュメタル特有のグルーブやノリが、
複雑な変拍子や不協和音の中に盛り込まれているのが、
彼らの音楽にキャッチ―さがある所以だと思います。
一見混沌としているけど、中をよく見ると整理されている、という
奇妙な面白さや中毒性があるバンドだと思います。良いですね。
  1. 2014/09/10(水) 01:47:31 |
  2. URL |
  3. Systematic Chaos #-
  4. [ 編集 ]

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Systematic Chaos

Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強していました。(2011/04-2017/03)
無事医師免許取得し、2017年より研修医一年目として社会人生活が始まりました。
新しいことばかりでストレスも多いですが、相変わらず様々な音楽に触れております。
山下達郎ファンクラブ
TATSURO MANIA会員。
水樹奈々ファンクラブ
S.C. Nana Net 会員。
上坂すみれファンクラブ
コルホーズの玉ねぎ畑 会員。
自分にとって魅力的な音楽を、様々な視点で、
新旧洋邦を問わず掘り下げて参ります。
初心者ですが宜しくお願いします。
好きなジャンル:
1. AOR, MOR, ソフトロック
2. R&B,ファンク, モータウン,
ニュージャックスウィング,
フィラデルフィアソウル, シカゴソウル,
ブルーアイドソウル
3. ポップス、Jポップ
渋谷系、ニューミュージック
4. プログレッシブロック
5. ハードロック, へヴィメタル,
プログレッシブメタル, スラッシュメタル,
メロディックデスメタル,ブラックメタル
6. ジャズ,フュージョン,
ハードフュージョン, アシッドジャズ,
ハード・バップ, ジャズファンク,
ジャズロック
7. ジャジーヒップホップ,
オルタナティブヒップホップ
8. エモ, スクリーモ
9. ハウス, アシッドハウス,ディスコ

ライブラリは65,000曲ほどです。
ヘッドフォンはAKGのQ701、Audio TechnicaのATH-ESW9、
イヤフォンはShure-SE425を使っています。
iPod ClassicにTEAC-HAp50またはATH-PHA31i(ポータブルヘッドフォンアンプ)を挿して聴いています。
ブログとして記事を書くことを通じて
自分のライブラリと向き合ってみると、
相当趣味が偏ってるということを
痛感しています。
これから沢山の音楽に触れ、勉強していきたいです。
たまに医学関連の記事や日々の雑感を書いております。
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