私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(344)

Album: Front Page
Artist: Bireli Lagrene, Dominique Di Piazza, Dennis Chambers (Front Page)
Genres: Fusion, Jazz Rock

Front Page

フランス、アルザス地域圏、バ=ラン県スフレンアイム出身の
ジャズギタリストであるBireli Lagrene(1968-)、フランス、ローヌ=アルプ地域圏、
ローヌ県リヨン出身のジャズベーシストであるDominique Di Piazza(1959-)、
アメリカ、メリーランド州ボルチモア出身のドラマーであるDennis Chambers(1959-)の
三人によるハード・フュージョンプロジェクト。2000年作。

三人のメンバーについて、少しずつ紹介してみたいと思います。

Bireli Lagreneは、ジプシーを先祖に持つロマ(移動民族)の家庭に生まれ、
4歳でギターを弾き始めます。8歳の時には既にDjango Reinhardのコピーを
こなしていたようで、12歳の時にフランス北東部の都市であるストラブールで
行われたフェスティバルで優勝をおさめたことがきっかけで、
ドイツ国内でツアーを行います。その後はアメリカへと渡り、
Stephane Grappelli, Benny Goodman, Benny Carterなどの
作品に参加しています。1984年には、ジャズロック黎明期であった1965年に
The Free Spiritsと言うバンドを結成したギタリストのLarry Coryell(1943-)に
見出され、Jaco Pastoriusに紹介され、ヨーロッパツアーに帯同しています。
その後はAl Di Meolaなどのライブにサポートで参加する傍ら、
ソロアルバムを発表し続けています。

Dominique Di Piazzaは、独学でギターを学んでいましたが、
20歳の時にベーシストに転向したようで、1991年から翌年の1992年に行われた
John McLaughlin Trioのツアーに、Trilok Gurtuとともに参加し、
300公演をこなし、McLaughlinのアルバム、Que Alegria(1991, USJazz#5)に
参加したことで、いわゆる速弾き超絶技巧系のベーシストとして、
その名が知られるようになりました。彼の影響を受けたベーシストには
Matthew Garrison, Adam Nitti, Lucas Pickfordなどがおり、
現代のフュージョン系、テクニカル系のプレーヤーに多大な影響を与えています。

Dennis Chambersに関してはGreg Howeの項でも少し述べていますので
簡単にお話ししますが、参加したミュージシャンには
John Scofield, George Duke, Brecker Brothers, Santana,
Parliament/Funkadelic, John McLaughlin, Mike Stern,
Steely Dan, Greg Howeなどがおり、その超絶技巧、とりわけその驚異的な
スピードと強力なバスドラムで、非常に個性的なプレイスタイルです。
数多くのハードフュージョンの優れた作品に参加しています。

というわけで、これだけテクニカル指向のメンバーが揃ったトリオと言うこともあり、
緊張感溢れるインタープレイが楽しめる、良質なハードフュージョン作品となっています。
ただ音はギラつき過ぎておらず乾いていて、すっきりと聴けてしまいます。 
#1Intro Jingle/The First Stepは、雨だれのようなハイハットと超高速のハーモニクスを
連発するギターのイントロテーマの中で、Dominiqueのベースが縦横無尽に暴れ回ります。
Dennis Chambersのドラムも、いつもより軽い音で、曲に疾走感を与えます。
オクターブとスライドの入りまくった速弾きギターソロも、角の取れた音で、
カッティングのトーンが気持ち良いです。
後半では壊れたようなツーバス連打が待ち受けております。お気に入り。
表題曲の#2Front Pageは、ミニマルでファンキーなベースリフの中で、
メロディックに歌うギターがキャッチ―な一曲で、ベースとの高速ユニゾンもクールです。
#3Marie Tcha Tchaは、ハイハットの鋭いミュートがドライブ感を生み出しており、
ギターソロには少しラテンの香りも漂っています。後半では精密機械そのものといった
ドラムソロが入っています。これも素晴らしい。
Jacoを思わせるようなモコモコしたトレブリーなトーンのベースが印象的な
#4The Eyes Of Jesus Christは、グッとテンポを落としており、
アタックのパリッとしたメロウなギターと合わさると、
さながらWRのような雰囲気もあります。お気に入り。
#5D.B.Dは、鋭いトレモロによるリフを中心にしてゴリゴリと進むパートがあり、
ハイライトのドラムソロへと繋がって行きます。ギターソロはブルース色の強い
フレーズで繰り返しが多く、これも変態的です。
これまでのテクニカル指向な楽曲から少し離れた都会的でAORな#6Valbonne's Songは、
フレーズの要所要所で挟まれるハーモニクスの音が堪りません。
柔らかいシンバルレガートと、それとは対照的な鋭いハットの刻み、
リズムの中を自由自在に動き回るギターが熱い#8Living Hope、
ギターソロによるスキットを挟んで#10Zoe's Little Waltzは、
一気に冷ややかで落ち着いた音像になっていて、スケールライクなソロを
ビシバシ決めるギターのバックで、低音の出たベースが蠢いています。
#11Timotheeは、冒頭からベースによるテーマがフィーチャーされ、
Bireli自身によるスキャットの入れられた一曲で、中間部ではロングソロが用意されています。
#12I Wait For The Lordは、Dominiqueによるベースソロのスキットです。
#13JosephにはなんとJohn McLauglinがゲストで参加しており、
二人の熾烈なギターソロ対決の模様が収められています。
相変わらずMcLaughlinのプレイは極めて個性的で、得も言われぬ不穏さがあって最高です。

中古屋で偶然見つけた作品でしたが、一枚通じてひたすらにテクニカルな曲ばかり
と言う感じではなく、ジャジーで落ち着いた曲も配置されてるので、
疲れず聴くことが出来ました。オーセンティックなジャズギターのスタイルで速弾き、
喩えるならPat Martinoあたりがさらに弾き倒しているような、
そんな熱い現代型のテクニカルフュージョンです。

Intro Jingle/The First Step

Marie Tcha Tcha

The Eyes Of Jesus Christ

Valbonne's Song

Joseph
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  1. 2014/11/03(月) 01:33:43|
  2. Bireli Lagrene/Dominique Di Piazza/Dennis Chambers
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独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
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