私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(349)

Album: No Truer Words
Artist: Mark Portmann
Genres: Smooth Jazz, Fusion, AOR

Mark Portmann

アメリカ中西部(Midwest)出身(おそらくオハイオ州シンシナティの出身と
思われます)のキーボーディスト、音楽プロデューサー。
生年は公式HP、AllMusic等を参照しましたが記載がありませんでした。
おそらく活動年から考えて1960年代中ごろの生まれであると考えられます。

5歳の頃にピアノを弾き始めた彼は、僅か8歳の頃にCollege-Conservatory of
Music University of Cincinnati(シンシナティ音楽院)の教授に見出されたことがきっかけで
クラシックピアノを学び始めます。ここで数々の賞を取って頭角を現した彼は、
ニューヨークにあるEastman School of Musicの奨学金を得て、作曲と
オーケストレーションを学びます。17歳の時にマイアミ大学へと移って、
Vince Maggio等に学び、ポップス、ジャズへと指向性を変えていくこととなります。
この頃には既にプレイヤー、アレンジャーとして多数の作品に参加していたようで、
Jose Luis Rodriguezの作品など、ラテン系のミュージシャンとの共演が多かったようです。

1988年にロサンゼルスへと移り住み、その一か月後にはLAを代表する
スムースジャズ/フュージョングループとして活躍した、
Russ Freemanを中心として、David Benoit, Eric Marienthal, Jeff Yukio Kashiwaなどが
所属していたThe Rippingtons(1986-)へ加入します。
4年間のグループでの活動の後、自身によるレーベルであるHands Onを結成、
1stソロ、Roadmusic(1994)を発表します。これがTop 94にいチャートインするなど
マイナーヒットとなったようで、本作はその3年後、1997年作の2nd。

この時期から、彼自身が最も影響を受けたDavid Fosterとの邂逅を果たし、
彼のキーボードとアレンジによるBarbra StreisandのBack To Broadwayは
AC(Adult-Contemporary) Chartで1位を獲得します。
その後はLuther Vandross, Boyz II Men, Michael Bolton, Diana Ross,
Dionne Warwickなどのアレンジやキーボード、プロデュースなどを手掛ける傍ら、
テレビ番組(Showtime, The Disney Channel, Univision, BET等多数)、
CMの音楽制作などを行っています。グラミー賞には9回ノミネートされています。

本作には、ゲストにMichael Thompson(G), Ricky Lawson(Dr), Neil Stubenhaus(B),
Steve Groves(Sax), Bill Champlin(Vo), Joseph Williams(Vo)などが参加しており、
4曲目の表題曲No Truer Words以降はインストで占められています。
キーボードのタイム感、フレージングはやはりDavid Fosterを思わせる部分もありますが、
97年の作品という事もあり、アシッドジャズのようなグルーブのあるもの、
打ち込みのドラムスによる揺るがないグルーブに軽快なソロを乗せたものなど、
全体として冷ややかな感触があります。AORが好きな方と言うよりは、
クラブミュージック、ラウンジなどが好きな方に好適なサウンドかもしれません。
トラックはデジタルな感覚のあるものもありますが、
キーボードはメロディアスですので、高品位で落ち着いて聴けます。

Warren Wiebeがボーカルを取っているバラードの#1Here I Go Againは、
無機質で揺るがないビートとブライトなトーンのピアノに、
淡い透き通ったストリングス系のシンセが味付けするブルーアイドソウルと言った感じで、
後半になるとクリーントーンのギターやホーンが前に出てきます。お気に入り。
Lori Perryの鋭いハイトーンボイスがフィーチャーされた、Roberta Flackのグラミー受賞作品の
カバー#2The First Time Ever I Saw Your Faceは、打って変わって壮大な音作りで、
Niel Stubenhausのフレットレスベースの角の取れた丸い音と、Michael Thompsonの
シルキーなギターが泣いています。
Joseph WilliamsとMarilyn ScottのコーラスにBill Champlinの語り掛けるような
リードボーカルと言う豪華な編成の#3Come As You Areは、Marty Walshのアコギと
Bernie Dresel(Dr), Neil Stubenhaus(B)のリズム隊でより生々しく切ない
バラードに仕上がっています。力強いタッチのピアノソロが最高です。
メロディアスなインストのバラード(ここから先はインスト曲になっています)
#4Canyonsは、濁りの無いピアノのフレージングが如何にもFoster直系という感じです。
キラキラとした音像の中で、乾いたパーカッションの音に儚さを感じます。
表題曲の#5No Truer Wordsは粘りのあり鋭い音色のドラムスにスラップの絡んだリズムに、
歯切れの良いホーンの加わったファンキーなトラックの中で
饒舌なキーボードが弾き倒しています。お気に入り。
Steve Grovesのメロウなサックスをフィーチャーした#6Walla Wallaは、
もう少しフュージョンっぽいハーモニーでDavid Sanbornのソロ作品を思わせます。
地味ですがポップで聴きやすい一曲です。
#7Summer In Trujilloは、ピアノがこれまでの力強くてブライトなプレイから
軽くオブリガートの心地よいプレイへと変わっており、どことなく
クラシカルな香りが湧き立っています。リムショットの印象的な静かなリズムパターンから、
テーマに入るとパワフルに鋭くなっていきます。
ワウの掛かったカッティングが右チャンネル、クリーンのカッティングが左チャンネルに
配され、デジタルなドラムスがアシッドジャズを思わせるファンキーな#8Slinkでも、
Steve Grovesのサックスが速いパッセージを流麗に吹いています。ホーンの使い方はEWFを思わせます。
後半ではサックスとピアノ熱いインタープレイが楽しめます。お気に入り。
Ricky Lawson(Dr), Freddy Washington(B)のタメの効いたリズム隊に変わった一層ファンキーな
#9Michiでは、ピアノのフレージングは非常にパーカッシブで切れ味抜群です。最高。
Steve Grovesのサックスが切々と歌っているバラードの#10The Last Songは、
ディストーションギターまでバックに入ってきて、盛り上がりを見せます。

歌物は冒頭の3曲のみで残りはインストと言う構成の作品で、
スムースジャズとはいっても彼のポップセンスが如何なく発揮された一枚になっていると思います。

Here I Go Again

Come As You Are

No Truer Words

Michi
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  1. 2014/11/20(木) 22:21:51|
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Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
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