私的名盤紹介―真の雑食を目指して

自分の心に残った作品を紹介することで、新たな音楽を見つけるきっかけとして頂ければ嬉しいです。

今日の一枚(369)

Album: Never Too Much
Artist: Luther Vandross
Genres: Soul, R&B, Fusion

Never Too Much


アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタン出身のシンガーソングライター、
音楽プロデューサー、ソウルシンガー。1951年生まれ。2005年没。1981年作の1stソロアルバム。

高校生の頃、Shades of Jadeというグループを組んでアポロシアターでライブを行ったり、
1969年には子供向けテレビ番組であるセサミストリートに出演するなどして、
ミュージシャンとしての活動を始めるようになります。
その後は、主にバックコーラスのメンバーとして、Roberta Flack, David Bowie, Diana Ross,
Carly Simon, Chaka Khan, Todd Rundgren, Barbra Streisand, Donna Summerなど、
錚々たるミュージシャンのバックとして活動していました。70年代後半になると、
Lutherというグループ名義で2枚のオリジナルアルバムを発表しますが、セールスには恵まれませんでした。

80年代に入り、Jacques Fred PetrusのプロデュースするChangeというグループに
リードヴォーカルとして迎えられ、A Lover's Holiday, The Glow of Love, Searchingなどの
ヒットを飛ばし、翌年、1981年に本作でソロデビューを果たします。
結果としては、 Billboard 200と全米R&Bチャートで1位を獲得するなど、大ヒットとなります。

その後は、80年代のブラック・コンテンポラリーを代表するアーティストとして、
長年に渡りヒットを生み出し続け、Miriah Careyとのデュエット曲Endless Love、
Beyonceとのデュエット曲The Closer I Get to Youなど、
1981年から1994年まで、毎年全米R&Bチャートでトップ10を記録しています。
2001年にはMichael Jacksonの9.11事件へのチャリティーソングWhat More Can I Giveに参加したり、
2003年にはアルバム、Dance With My Fatherがグラミー賞を受賞したりと、
活躍していた矢先に、遺伝の影響もあって罹患していた糖尿病と高血圧による脳卒中を起こし、
本当に残念なことに2005年には心筋梗塞で命を落としてしまいました。

ソロ1stである本作は、多くの楽曲で当時弱冠22歳のMarcus Millerと共同で制作しており、
その後のオリジナルアルバムの多くで、プロデューサーとして関わっています。
タイトル曲に加えて、Burt Bacharach作曲、Dionne Warwickの1964年作のカバーである
A House Is Not a Homeもヒットを記録しています。

参加したスタジオミュージシャンは、Nat Adderley, Jr.(Key), Georg "Jojje" Wadenius(G),
Anthony Jackson(B), Marcus Miller(B), Buddy Williams(Dr), Paul Riser(Horn/Strings Arrange)
などで、自身によるリードボーカルのミックスは控えめになっており、バックのミュージシャンによる
演奏のニュアンスが見事なバランスで録音されているため、今聴いても非常にモダンで、
生々しく艶やかな魅力を放っています。楽曲も、表題曲のようにアップテンポのものから
ミドルテンポ、スローなバラードとバランスよく配置されており、飽きが来ません。
時代的にも、これ以降はバラード歌手としての側面が強調され、シンセ色の濃いブラコンサウンドへと
変化していく前の時期にあたり、フュージョン色の強い生演奏のお蔭もあって、
今聴いても新しく感じられるような音になっていると言えると思います。

冒頭から Georg "Jojje" Wadeniusの鋭い単音カッティングが冴え渡っている
#1Never Too Muchは、滑らかなストリングスと、Marcus Millerのリッチな音色のスラップベース、
薄く聴こえてくるパーカッションと乾いたドラムスが作り出すハードで
極上なグルーブに満ち満ちています。彼を代表する名曲の一つだと思います。ただただ素晴らしい。
続いて近いテンポでさらにダンサブルになった#2Sugar And Spice(I Found Me A Real)は、
後半の分厚い多重録音によるコーラス(Cissy Houston、Tawatha Agee、Fonzi Thorntonなどが参加)
が定位を絶妙に変えながら迫ってきながら、メロディアスなストリングスが絡みつきます。これも最高。
少しテンポを落とした妖しげなミディアムバラードの#3Don't You Know That?は、
フィリーなストリングスの味わいにChicに近い部分を感じます。お気に入り。
スウィンギーなファンクチューンの#4I've Been Workingは、ミニマルなギターリフと
スラップの絡んだベースリフ、手数の多いコンガでゴリゴリと進行しつつ、
コーラスではシンセが派手に彩っています。
当時流行のディスコサウンドを積極的に取り入れた#5She's A Super Ladyは、
イントロから重くバックビートの強調されたドラムにMarcus Millerのベースソロから始まる
強烈に粘るグルーブを放っています。85年作の角松敏生のシングル、初恋にもMarcus Millerが
参加していますが、この曲と殆ど同じ路線と考えて問題ないと思います。最高。
ミディアムテンポのバラード#6You Stopped Loving Meでは、ベースはスラップは行わず、
シンプルなプレイに徹しており、淡いストリングスやピアノのバッキングに対して
彼の歌唱が前面に出てきています。
ヒットとなったカバーの#7A House Is Not A Homeでは、ベースはAnthony Jacksonが弾いており、
絶妙なトーンコントロールと音の切り方が見事です。ピアノとストリングス、微かなリムショットと
極限までシンプルなバッキングに、倍音豊かで暖かいLutherのボーカルが身体に染みわたっていくようです。
ロングトーンの後に少しだけブレスリーになるところなど、どこまでも惹き込まれる歌声です。最高。

全7曲と少な目ですが、一曲一曲が非常に内容濃く、スリリングなグルーブとりわけ
若き日のMarcus Millerのベースプレイの良い所が凝縮されています。
ソウル~R&Bとして見ても、ディスコミュージックとして見ても、
AOR, ファンキーなフュージョンとして見ても、全く非の打ちどころのない傑作だと思います。愛聴盤。

Never Too Much

Sugar And Spice(I Found Me A Real)

Don't You Know That?

She's A Super Lady

A House Is Not A Home
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  1. 2015/02/10(火) 02:09:00|
  2. Luther Vandross
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Author:Systematic Chaos
独断と偏見により、お気に入りのCDを紹介して行きます。
医学部医学科の大学生として臨床医となるべく勉強しています。
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上坂すみれファンクラブ
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1. AOR, MOR, ソフトロック
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